ドラゴンボール外伝~Z戦士たちが悟空と出会うまで~ 作:究極
約半年くらいです
気まぐれにもほどがある
今回は結構な鬱回
閲覧注意っちゃ注意です
あらすじ
あっけなく捕まってしまったのんびり屋。
色々あって夜の荒野に放置されてしまった…
のんびり屋はぶるっと一つ身震いした。
夜の荒野の寒さが身に染みて、倦怠感と恐怖感をより一層増長させた。
形式上縛られているもののあの三人が去ってから懸命に体を動かしたせいか緩まっており身動きはかなり取れるため、束縛によるストレスはかなりマシだった。
足は縛りがきつく自由がないが両手は完全に動かせる。そのため痒いところをすぐ掻けるのでよかった。
なにぶん暇なのでふと空を見上げてみる。
頭上には皮肉にも満天の星空である。満月も煌々と輝いている。
これが都のホテルの窓から見れたらどれだけ気持ちがよかっただろうか、と残念そうに空を仰ぐ。
向こう側の崖にはぽつっと灯がともっている。
おそらくあのガキどものねぐらだなとのんびり屋は踏んだ。
街の灯はもっと遠い。果ての果てにスタンプを押したみたいな光がぼんやり微かに見える。寂しい目をしてのんびり屋はそっと顔を伏せた。
様子からわかるように一刻も早く逃げ出そうなんて考えは最早なかった。
背後の崖から感じる突き刺さるような視線がのんびり屋をその場に止めていたのである。
子どもほどおそろしいものはない。子どもはふとした瞬間に予測不能な行動を起こすものだ。娘がプレゼントした一輪車で我がバイクに突っ込んで大破させたことを思い出す。
色々考えるとやっぱりこいつはお手上げだと早々諦めるしかなかった。
背後には忌々しいガキ、目の前にはじっとりとした闇。こんな環境で星の光だけを頼りに逃げ出すというのも無謀だろう。
そう自分に言い聞かせるとのんびり屋はゆっくりと目を瞑った。
うまく眠れるか心配していたが意外とすんなりと夢の世界に入っていけた。
不思議な夢だ。白い空間に妻が娘を抱いて立っていて、笑いながらこちらに手を振っている。だが側に行こうとすればするほど二人は遠のいていく。走り出したが二人は見えなくなってひとりぼっちになってしまった。膝を抱えてのんびり屋は腰を下ろした………
…少し経った時だ。耳もとで羽音がした。
最初は気にならなかったのだが羽音は複数に増え、わんわんと耳が壊れそうなほど大きくなった。頭にまで音が響いて脳を揺らした。
のんびり屋は思わず飛び起きた。
顔の周りに大量の蠅がたかっていて、視界を覆っている。
驚くやら気持ち悪いやらのんびり屋は蠅を目の前から取り除こうと必死に手を振り回した。蠅はのんびり屋の振り回す手を器用にかわす。
すると無数の蠅の中から一匹がのんびり屋の頬に止まった。
焦った彼がそれを反射的に叩き潰すまでそう時間はいらなかった。
ぷちっと小さな命が消える音がして気づいた頃には蠅は頬で呆気なく潰れていた。
蠅の群れは同胞を殺されたと瞬時に理解したかのように、さーっと後ろに引いていった。
やっと静けさが訪れた、と思って幾分か顔を曇らせながらも安堵したのも束の間、突然、背後でざっと砂を踏みしめる音がした。
「おい…」
ガキ達の声変わりのしていない声とは違う太い声がした。低い、腹に轟くような声だ。
「え?」
のんびり屋はゆっくり振り向く。そこには全身を闇に溶け込むかのように黒一色に包んだ長身の男が不安定に立っていた。
目は血走っており、男の右腕にはあの無数の蠅が渦を巻いてまとわりついている。
「全て見たぞ?…お前がモスカを殺した…」
落ち着いているようなゆっくりした口調だ。
尾を引くように消えていく語尾には怒りと冷静さを両方孕んでいるように聞こえた。
こいつはやばいと常人ののんびり屋も直ぐに理解できるほどの異質な喋り方だった。
モスカ?いったいなんのことかさっぱりだ。殺した?俺が?
様々な情報が頭の中を錯綜する。のんびり屋の脳内容量は既にパンク寸前だった。
「な、なんのことかさっぱり_____
「とぼけても無駄だ…」
のんびり屋が言い終わる前に男が遮った。さらに間髪入れずにつづける。「ならお前の右手でくたばってるのはなん、だ?…」
右手?早まっていた鼓動がさらに早くなる。頬を叩いたまま固まっていた右手をゆっくりとはがす。先程叩いた蠅の粘液が掌と頬とに繋がってゴムのように伸びた。
「まさか!?このハエ_____
「あ?…」
男の右腕に群がっていた蠅たちが一斉に激しく羽音を立て始めた。怒っているように見える。この男の感情に連動しているといった方が表現としては近いのかもしれない。
男は息を吐き、俯くとのんびり屋の左腕を指差し、
「…とれ…」
と吐き捨てるように言った。
蠅たちは男の言葉を聞くと素早く綺麗に一列に並んで、一気にのんびり屋の左腕目掛けて飛び立った。
あっという間にのんびり屋の腕に取り付いた蠅たちはやがて、大きな円を描くように回転し始めた。その回転は恐ろしいほど速く残像しか捉えることができず当然、のんびり屋には手も足も出なかった。
円の大きさは時間が経つごとに狭くなり丁度、のんびり屋の腕回りくらいになる。締め付けられるような感覚は遅れてやってきた。
きつくなる、きつくなる。
無抵抗のまま何秒か過ぎた。左腕の感覚がない。どうしてだ?神経がやられたか?
するとどすっと砂に何かが落ちる鈍い音がした。
次の瞬間、のんびり屋が拝んだ物。それは砂に埋もれる千切れた自分の左腕だった。
「え」
短く悲鳴をあげるとそのまま卒倒する。
目には涙が溢れている。気絶しそうだ。
直接的な痛みがないのも一因か意識はなんとか保っていた。
気絶した方が幸せなのかもしれない。
男はのんびり屋に近づくと胸倉を掴んで無理矢理起こして、
「ハエじゃない…モスカだ…」
と諭すように言った。
涙が滝のように流れに流れた。一生分の涙かもしれない。
下半身の方もだだ漏れだったことは言うまでもない。
このままじゃ確実に殺される。蠅一匹潰しただけで殺さられるなんて狂っている、堪ったもんじゃない。理不尽だ。
「蠅一匹潰しただけで殺されるなんて堪ったもんじゃないってか?…くくく…言うねえ…」
ダメだ心が読まれてる。
こうなったら……
浅い望みだが、やらないよりはましだろう。
「君のモ、モスカくんを殺してしまったのは申し訳ないと思っている。た頼む。私には妻も娘もいるんだ。見逃してくれ」
言いながら頭を下げる。渾身の土下座である。
「命乞いか?…見苦しいぞ…諦めろ…小さな命でも尊さは平等…お前の道は死あるのみ…」
「わ、私はお前じゃない!フーンという名が…」
勇気を振り絞ってのんびり屋は言い放った。だが息が続かず最後まではいえなかった。
男はその言葉に眉をぴくっと動かした。そしてニヤッといやみったらしく笑ってそっと言った。
「いんや…お前はお前で十分だ…あばよ…」
のんびりの心は絶望の底に落とされた。
なぜこう次から次へと酷い目に遭わなければならないのか。
人より善良に生きてきたつもりだ。
賭け事もやらなかったし、酒も煙草もやらなかった。どれだけ忙しくても日曜日には家に帰ったし、約束は絶対に守った。
自分の何がいけなかった?
男が黙って蠅たちに首を落とすように指示するとそれらは鋭く尖って突き刺すべく、のんびり屋の首元めがけて飛び出した。
脳裏に妻と娘の顔がよぎって…
同日同時刻。東の都KYV@L7
「お母さん星きれい!」
パジャマ姿の少女が空を指差してきゃっきゃ騒いでいる。長身の女性が近づいて少女を抱きあげた。
「あらほんとね…でももう遅いわよ。早くお布団に入りなさい」
時間は23時すぎ。母親として注意するのも当然だろう。
そっけない返しをしたというものの星空の美しさに少し見とれていたのは確かだ。
「はーい」
いい返事をしてぱーっと寝室まで少女は駆けていった。母親もその跡を追う。
布団に潜ってしばらくたったとき少女が寝ぼけ眼をしばしばさせながら側についている母親に言った。
「ねえお母さん」
「なあに?」
「あの星空、お父さんも見てるかな?」
「あんなにきれいなのよ。きっと見てるわ。さあお休みなさい」
「お休みなさい…」
母親は少女を起こさないよう静かに寝室を出た。
リビングに戻った母親は写真立てを手に取った。
中にはCC製の旧型バイクに乗ったのんびり間延びした顔の男が写っている。口角が上がっておりどこか照れ臭そうだ。
「見てる?あなた…」
母親はふと呟いた。はっとして空の方に向き直る。
満月はいつのまにか雲に隠れたが星々はさらに煌めき、空を飾っている。
流れ星がひゅんっと一筋流れるのが見えた。
設定とか色々あげるとかいってましたがそんなに深い設定はないのでここに名前の由来とか書いときます
ここでかかないと一生かかないと思うので
名前の由来
サラ… 酸辣湯(サンラータン)
ピータ…皮蛋(ピータン)
フーン(のんびり屋)…不運
モスカ…蠅のイタリア語から
東の都の座標の秘密には気づいたらこっそりどうぞ