ドラゴンボール外伝~Z戦士たちが悟空と出会うまで~   作:究極

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二日連続投稿するとかいう快挙
おそらくもう二度とないか!?
あとちょっとだけグロめ

あらすじ
荒野に降り立った怪しい影。
それにしたがう無数の蠅がのんびり屋を襲った…


確認

2

 

暗闇から悲鳴が聞こえて、すぐに消えた。

 

闇に眼がかなり慣れたとはいえ双眼鏡で事態を即座に把握することは不可能だったが、声質的に襲われたのはあの久しぶりの「カモ」の男に違いない。

自分たちのアジトが狭いからと外に放置したが悪いことをした。

ピータは反省する。

 

参ったなと頭を掻くと、見えないと頭ではわかっているがなおも目に双眼鏡を押し付けて懸命に闇を探る。

想定していたハプニングはあの「カモ」の逃走くらいだったので慌てている様子だ。

整理してみよう。このあたりには夜行性の肉食動物、恐竜といったものは環境が過酷なためほとんど生息していない。もし一、二匹紛れ込んでいると仮定しても鳴き声一つ聞こえないのは不自然である。

では問題は何に襲われたかである。

 

それによっては自分たちがどう対処するべきか迫られることになるのだ。

 

ピータが一人、崖の淵で唸りがら指南しているとアジトからひょっこりサラが顔を出した。

ちょうどいい。サラは少なくともヤムチャより頭の回転が速い。力になってくれるだろう。

 

サラは真剣な眼差しで遠くを見つめながらピータの傍までくると腰をどっしり下ろして胡坐をかいた。

 

「おい。聞いたか」

サラが切り出した。視線は遠くを見つめたまま揺らがない。

彼も本能的に不穏な空気を察したのだろう。

 

何か得体のしれないものが眼下に広がる荒野の中にいてあの「カモ」を襲ったと。

 

「ああ。ばっちりな」

頷きながらピータは答えた。あれは聞き間違えなんかではない。

はっきりとした人間の悲鳴である。そう確信していた。

 

「やばそうか?」

問いながらピータの出方を伺いたいとサラはこっちを向いた。

安直で中身のない質問に聞こえなくもないが、やばいorやばくないの二択で答えることのできる単純明快なこの質問は一刻も争うこの状況下で適切な質問であった。

 

「やばいな。イヤ~な感じがする。孤児院のガラス割って逃げたあの日の夜くらいイヤな感じがする」

ピータの額が心なしか汗で濡れているように見える。

 

「…まったく同意見だ」

サラは遠くに視点を向き直して言った。「だが確かめる以外に手はない」

 

「そうだな…じゃあ…気をつけてな」

言いながら手を振って、また見えないのに双眼鏡を覗いている。どうやら癖のようである。心を落ち着かせるのに自然とやっているのだろう。

 

「おう。…ん?え?」

つられてサラも手を挙げたが途中で止めて文字通り目を点にした。

 

「え?何事?いかねーの?」

悪ぶれる様子もなくケロッとした顔で言った。

 

「いや、でも一緒に行ってくれたりしないの?一人より二人の方がさ…」

「俺は武闘派じゃねえし。生憎、お前ら二人みたく化け物級に速く走れねえの。お荷物じゃん。やだよ」

ピータが口を尖らせて反論した。

人より劣っているという点を利用して断るとはさすが『荒野の三人組』の頭脳角だと言えよう。

 

「あ、そう」

呆れたように目を薄めながらちらっと見ると、ピータは慌てて目をそらして親指を立てグッドサインした。

 

「行きたくない」じゃなくて「行けない」。そんな感じに見えた。

 

「おう。まあ精々頑張れや。応援くらいしてやる」

「ああ。じゃあな」

すたっとサラは勢いよく立つと助走をつけてシャンパンのコルクのようにぽんっと飛び出した。

 

落下していると頭上でピータが手をメガホンにして、

「気つけろよ!ヤムチャ起こしとこうか?」

と声高々に叫んでいる。

 

彼なりの最善の配慮なのだろうがヤムチャの性質をサラはよく理解していた。

 

「一回寝たらあいつテコでも起きねえだろ?いいさ。見てくるだけだ」

と澄ました顔で落ちながら答えた。

 

少し間を置いて、

「そうか。本当に気を付けろよ。油断すんなよ」

と返ってきた。

了解と指でサインすると漸くピータは引っ込んだ。

 

心配してくれているのかと思うとほんのり嬉しかったのは内緒である。

彼も何か力になりたかったに違いない。

 

ピータの性質もサラはよく理解していた。彼はただの臆病者ではなく自分ができることをその場で真っ当することのできる人間である。そういう意味で彼は偵察という任務についた。何も間違ってはいない。

 

それに後ろで誰かが自分を見守ってくれていると思うと足取りはちょっぴり軽い。

 

そうこうしているうちに崖の下に着いた。なお着地は失敗した。

 

埋もれてしまった足を引き上げると硬いものがサラの頭に当たった。頭をさすりながらその硬いものを拾い上げるとそれはヤムチャがどっかから五日前に拾ってきた信号拳銃のようだった。

『ほんとにやばくなったらうて!』と殴り書きで書かれた小さな紙がリボルバーに挟まっている。引き出すと『※これやむちゃからぱくったけどないしょな』と続いていた。

 

それでこそピータだ。

サラはピータに向けて拳を突き上げると腰のベルトに拳銃をさした。

 

サラは改めて前を向いた。

ぬめっと肌を撫でるような夜風がなんとも気持ちが悪い。こんな荒野の夜は初めてである。

 

風に乗って血の匂いも運ばれてきた。こいつは慎重に進むのが良さそうだ。腹を括ると目をギラッと輝かせてサラは足を一歩踏み出した。

 

「ザッ」という砂地帯独特の足音を消すのも苦労したが、なんとか音を殺してゆっくりながら着実に進んでいく。

 

 

暫く亀の歩みを続けているうちに足に何かが当たった。

思わずサラは息を呑んだ。

 

それは人の頭部だった。

 

苦悶の表情を浮かべて顔面は膠着、外傷はほとんどなく、切断面も鋭利な刃物ですぱっと斬られたように見える。

 

こうまじまじと観察することができるのはサラの荒野で培われたメンタルの強さがあるからだろう。

 

そして前方にサラは目をやった。

サラの強固なメンタルといえどもそのまま頭部を見つめたまま固まっていたが、視点が前方に移ったのは聞こえる虫か何かの不気味な羽音のせいだろう。

 

頭部と左腕が切り離された無残な死体が数メートル先に転がっていて、それに無数の蠅が集っている。そこまで腐敗していないぶん生々しい。

 

さすがにこれには堪らず、嗚咽が込み上げてきた。しかし、それを慌てて手で押さえる。

 

蠅ばかりに目をやっていたがすぐその奥にいたのだ。闇に溶け込むような漆黒に身を包んだ男が。数匹の蠅は死体から離れてその男の立てた人差し指を軸にしてぐるぐる回っている。

 

そのとき声がした。

「フィラ。何してる。気まぐれがすんだら早く帰ってくる予定だろ?」

声の主ははっきりしない。口を動かしているのは奥の男ではない。不思議な感じである。どこからか誰かに見られているような気もする。

 

「マジックか…皆、久しぶりに馳走にありつけたからな…皆の気が済んだらそのうち帰るさ…」

長身の男が答えた。フィラというのがこの男の名前らしい。さっきの声の主はマジックというようだが姿ははっきりしない。おそらく遠隔にて行われている会話だろう。

 

「おいおい。暢気なことを言ってるがまさか気づいてないわけじゃないよな?そういう作戦か?」

しびれを切らしたようにマジックが尋ねた。フィラはん?と顔を上げて

「ん?何のことだ?」

と聞き返した。

マジックは世話がかかるなあと言うように深く短く息を吐くと、

「蠅使いフィラさんが気づかねえとはなあ。仕方ねえ教えてやる。てめえの近くにガキが一人いるぜ。しかもかなり慎重な野郎だ。足音もほぼ消して近づきやがった」

その伝達を聞いてフィラはすかさず振り返った。眼光を動物のように光らせて辺りを舐めるように見回す。

コンマ1秒差でサラは体を低くして闇に乗じて身を隠したおかげでフィラに見つからずにすんだ。

やはり誰かに見られている感じがしたのは間違いではなかった。

 

「うまく隠れやがったな。小さいぶん有利だったか?どうする?」

言い終わるとひひひとマジックは笑った。ピータには劣るが気色の悪い笑い方をするものだ。

 

フィラはもう一度、周辺を見回すと、

「愚問だ…ミガ、ムスカ、ムーハ…ガキを探せ…」

と言うと、指を回っていた三匹の蠅が三つの方向に分かれて追跡を開始した。特別に調教されているのだろうか。従来の蠅より恐ろしいほど速い。目でやっと追えるレベルである。

 

「そうだ。こいつは一つ貸しだからな。後で杏仁豆腐奢れよ」

マジックがそう言うと「嗚呼…」とフィラはそっけない態度で返し、口論になっている様子だったがそんなことを気にしているわけにはいかない。

 

冷静にと思いながらも呼吸する速さは徐々に上がっていっており、口を手で押さえているとはいえ息が漏れるのは仕方がないことだった。

 

一匹がサラのその僅かな息遣いを探知したのか急に方向転換すると真っ直ぐにサラに向かってきた。

 

おそらく場所はバレている。

 

サラは小さく身構えた。




毎度お馴染み(二回目)名前の由来のコーナー!
フィラ…蠅の英語フライから
マジック…手品(マジック)
ミガ、ムスカ、ムーハ…蠅のギリシャ語、ラテン語、ロシア語

ぶっちゃけ自分の文章力がわからんので、まわりくどいとか説明くさいとかマイナスなことでもいいのでご意見のほどよろしくお願いします
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