「沙織さん。何かあったのですか?」
朝のことを思い出すと少し落ち着かない。
「そんなにわかりやすいかしら。」
ええ、とっても。そう答える紅薔薇さまのつぼみこと小笠原祥子様は飾っておきたい笑顔で微笑む。
「こんな人をお姉様っていうのでしょうね。」
「誰が姉に相応しいかなんて、誰にも決められないわ。妹にさえ。」
また、声にだしていたらしい。
少し場所を移動しましょうか。祥子さまが提案した。そう言って貰えると助かる。山百合会時期会長と会計部時期会長の会話は目立つらしい。
「そのほうがよさそうね。」
そう言って案内されたのは薔薇の館であった。山百合会幹部の根城である。
だからって根をはっているわけではないし城なんてないのだけれど、あるのは机と椅子と薔薇様である。
中に入れば薔薇様達のお出迎えが待っていた。
「ようこそ、薔薇の館へ。久しぶりね沙織さん。」
城というのはあっているのかもしれない。こうして物知り顔で待ち構えていたのだから。さすが、紅薔薇さまである。大将?頭領?いや、ラスボスだ。しかも表面をクリアした後のとびっきりのだ。
そこからは普通に食事を楽しんだ。途中戦いがある訳でもなく、和解もなく、それは、それは、リリアン女学園らしい食事風景だった。
「それで、沙織さんは何をお悩みなのかしら。」
前言撤回、地雷元に突入したみたい。吹き飛ぶか、解体するか、どちらにしても1度触れないことには始まらない。
実は…
これまでの経緯を話した。周りの反応を見る限り解体できたみたい。しかも、ミスをせずに、
「つまり、沙織ちゃんは素直になれないってこと?」
聖さまが言った。
「」
いつ、来たのだろう。さっきまでいなかったのに。やはり佐藤聖双子説は本当だったのだろうか。
いや、それよりもだ
「そんなこと言ってません。素直にならいつもなってます!」
カラカラ聖さまは笑う。飛んでいってしまいそう。
「聖、お客様なんだから遊ばない。」
容子さまがお叱りになる。
へいへい。じゃ、帰るからさ、許してよ。
すれ違いざまに
「お詫びに困ったことがあったらよんでよ」
面白そうだし。
なんて言って行ってしまった。
返事すら忘れて呆然と立ち尽くしてしまった。
風のような、かといえば風に舞う木の葉のようななんだか掴めない人だと思った。
あれ、なんの話をしていたのだっけ?
「新聞部から、花守様と榴ヶ岡様がおおげんかをしたと聞いたのだけれど」
祥子さまが言った。
「え?」
「あら、やっぱり本当では無かったのね。よかったわ。」
ちょいと、紆余曲折しすぎちゃいませんか?