東方残火廻~火の無い灰の幻想入り~   作:直剣ブンブン

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プロローグ

 

 

__不死が居た。

 

己の人間性を捧げ、幾度もの死を繰り返しながら、“始まりの火”を継いだ不死だ。

 

北の不死院で、名も知らぬ騎士に使命を託され、ロードランを巡礼し、二つの鐘を鳴らし、世界蛇に唆され、王のソウルを集め、大王グウィンを殺し、自らを薪として燃やした。

 

例え世界の真実を知っても、神々に利用されようとも、“闇の王”にはならず、それが正しいと、誰かの救いになると、誰かの役に立てると信じて……。

 

けれど、やはり火継ぎは、単なる滅びの先伸ばしに過ぎなかった。

 

どういう因果か、不死は遥か未来の世界で目覚めた。呪いを克服する方法を見つけるべくかつて栄華を極めていたどこか懐かしさを感じる古の王国を訪れ、しかしそこでの旅は、まるで過去の焼き直しのようであり、行き着いた先も、結局は火継ぎによる世界の延命だった。

 

絶望を焚べた先には、何もなかったのだ。

 

だが、古王の記憶を旅し、亡者化を完全に防ぐ道具を手に入れた。つまり不死は、漸く呪いを克服できたのだ。

 

しかし、それは不死が本当に望んでいたものではなく、世界を救う手立てでもなかった。

 

そして、火継ぎという行為が単なる延命に過ぎないと知っている不死は、かつて自身が討ち倒した深淵の主の欠片である渇望の使徒を殺し、原罪の探求者との戦いの果て、火を継がず渇望の玉座から去り、宛のない旅を続け、やがて人々から“絶望を焚べる者”と呼ばれ、様々な伝承を残した。

 

それから更に年月が過ぎた。鐘が鳴り、灰の墓所で叩き起こされた不死が……否、“火の無い灰”が見たのは、幾度もの火継ぎを繰り返した果ての、終わりかけた世界だった。

 

薪の王たちの故郷が集まる世界は歪み、ロードランのようにありとあらゆる時空が入り雑じっている。薪の王の一角であるはずの者が、灰として目覚めたのはそういうことなのだろう。

 

今度集めるのは王のソウルではなく、王の薪。もはや火を継いだところで無駄であろうが、灰としての性分か残り火に惹かれ、王狩りを始めた。

 

しかし、かつては言われるがままに行動して痛い目を見たので、今度はやるなと言われたことを積極的に実行してみせた。

 

そして灰は、すべての薪の王を玉座へ連れ戻し、己自身でもある“王たちの化身”を倒す。

 

それから、火を消した。

 

火を編纂することもなく、火防女と共に火を消して、闇の時代の到来を受け入れた。遠い昔から続いた火継ぎを終わらせ、火の時代に終止符を打ったのだ。

 

それが、人間性を捧げ、絶望を焚べ、火のない灰となり、幾度もやり直し、繰り返し、それでも心折れず戦い続けた灰が、漸く導き出した答えだった。

 

 

__灰の方、まだ私の声が、聞こえていらっしゃいますか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ここは?」

 

 

そして、名もなき灰は、見知らぬ地で茫然と立ち尽くしていた。

 

__“幻想郷”へようこそ。

 

火を継ぎ、そして火を終わらせた者よ。

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