平民の職業(パーティー)で魔王討伐なんて出来るわけない! 作:炭酸ルウル
ダメだ…全然人が居ない…。ん?まてよ?ここに来たおじいさんはどこに行った…?
そうだ…‼ 王都の門番に聞いてみよう!
遥人は走って門まで戻った
「はぁ…はぁ…あの…」
「・・・?」
「はぁ…さっきここを通ったおじいさんはどこへ行きましたか?」
「食料を大量に持っていたから、多分…教会だろう…」
「教会…?それはどこに?」
「この大通りをずっと真っ直ぐ行ったところに大きな教会がある…そこだ」
「なるほど…ありがとうございました!」
「・・・」
そうか…お‼教会に行けば…人も大勢いるのかもしれない!急いで行ってみよう!
遥人は教会の方向に走っている時だった…
バリンッ‼とガラスの割れる音がどこかで鳴った
「…っ⁉ なんだっ…‼??」
荒廃した人気のない王都の街にその音は響き渡った…
「誰かいるかっ…?おい…‼ 居るんだったら返事してくれ!」
返事は返って来ず、遥人は先に進もうと走ろうとした時…
またガラスの割れる音が鳴った
「…んっ?! こっちか…?」
ガラスの割れる方に恐る恐る近づいてみた…
「おー…い…、誰か…?居るの…?返事して下さーい…すみませーん…?」
誰もいないの…かな…?いや、でも…完全に音したし…。絶対誰かいるはず……この中か?
窓ガラスは割れ…壁にはコケやツルがびっしりこびりついた家に入った…
「あの…すみません…誰か居ますか…?お邪魔しま…す…。」
ここは、なんだ…?居酒屋的な店か…?テーブルと椅子がたくさんあるな……
ガシャァン‼
「なにっ…⁉ 誰かいるの…?」
二階から音がしたな…行ってみるか…。絶対誰かいるよな…
ギシギシと床をきしませながら二階への階段を上った
音がしたのは…この部屋か…?
「すみません……誰か居るんですか…?あの…」
……?なんだこれ…?パイプ…?
遥人の足にカランッと当たったのは錆びた鉄パイプだった
使えそうだ…もっておこう…。よし…じゃあ突入だ!
バンッ!とドアを破り部屋に入った
「ぶ…武器を捨ててください!!」
「…っ⁉」
「はっ…早く!捨ててください!」
「わ…わかったよ…」
そこには綺麗な銀髪の女の子が尖った木の枝を手に腰を抜かしていた
遥人はその女の子に従って、錆びた鉄パイプを投げ捨てた
「…な?もう武器は持ってない…、だから安心して?」
「本当にもうありませんか…?」
「ああ…本当だ、ほらないだろ?」
「は…はい。」
「それで、こんなところで何してるんだ…?」
「あの…お腹が空いていて、それで…ここら辺に来れば何かあると思って来たんですけど…そうしたら…あなたが居たので隠れたのですが…」
「なるほど?えっと…つまりは、お腹がすいてここまで来たと?」
「そういうことです…」
「え、君は王都の住人なの…?」
「いえ、私は二日前にこの世界に来ました。えっと転生者…?とか言ってた気がします」
「転生者っ…⁉ 君も!?」
「え…っ?君も?って事は…?あなたも…転生者なんですかっ⁉」
「そう、俺も転生者…俺はさっきこの世界に来たんだ」
「そうだったんですか…それでなぜ王都に来たんですか…?」
「王都に来た理由か…とにかく人が大勢いそうなところに行きたかったんだが…王都は荒廃していたってところだな…」
「なるほど…確かにこの世界はイージーの世界やノーマルの世界に比べるとかなりひどい世界です…。」
「え…?イージーの世界?ノーマルの世界…?」
…?もしかして…あのうざ女神の言ってた世界難易度ハードって…そういう意味だったのか…俺は一番難しい世界に来てしまったのか…。ん?てか…なんでこの子はイージーの世界やノーマルの世界の事、こんなに詳しく知ってるんだ…?
「はい、イージーの世界とノーマルの世界です!」
「・・・?」
「え…っと…もしかして…知らないのですか…?」
「知らない…」
「え…っ⁉ じゃあこの世界に来たのは自分の意思ではないんですか?」
「いや…女神が勝手に俺をこの世界に送り付けただけだよ…?」
「そうなんですか…っ⁉」
「え…?」
「いえ…私の場合は三つの世界から行きたい世界を選ばせてくれたのですが…」
「えええ‼ なにそれ…。」
あのうざ女神め……
「……?え?じゃあ…君は自分の意思でこの過酷な世界に来たの…?」
「はいそうです。苦しんでいる人々を助けたかったのですが…いざ来てみると思ってた何十倍も辛く…今も死にそうなくらいで…」
「そうだったのか…」
「すみません…自己紹介が遅れました!私は『冬月 琴乃花(ふゆつき このは)』って言います!」
「俺は、『遊馬 遥人(あすま はると)』えっと…なんて呼んだらいいのかな…?」
「あの…なんでも大丈夫です。できれば…琴乃花と呼んでくれたら嬉しいです」
「わかった、じゃあ琴乃花って呼ぶね?」
「はいっ‼ 私はなんて呼んだらいいですか…?」
「遥人でいいよ」
「じゃあ遥人君って呼びますね!」
「おう、あと敬語じゃなくていいからね?」
「いえ、敬語ではないとなぜか話しにくいのです…」
「そうなのか…?」
「はい!たまにタメ語になるかもしれませんけどそれは気にしないでください!」
「お…おう?わかった」
ぐぅ…
「あ…」
「そうだったね、お腹空いてるんだったね?じゃあ教会に行ってみよう」
「教会に…?」
「うん、教会に食料が運ばれてるらしいよ?だからそこに大勢の人が居るんじゃないかな?」
「教会には人はいませんよ…?」
「え…そうなの?じゃあ王都の住人たちはどこに…」
「ほとんどは隣国の帝都にいます…残りは冒険者や盗賊などになってますね…」
「なるほどな…てか…琴乃花は、なんでこんなにこの世界に詳しんだ…?」
「私がこの世界に転生した時、この王都から帝都へ移動しようとしていた冒険者の方と会って、その冒険者の方がこの世界の事を色々と教えてくれたんです」
「なるほどな…そういう事か…だからこんなに詳しいのか…」
「はい、でも詳しいと言ってもまだこれくらいの事しか知りませんけど…」
「十分だよ!じゃあとりあえず教会に向かってみようか?」
「そうですね‼ 本当に食料が教会に運ばれたならたくさんあるはずです!」
「そうだな!じゃあ行くか」
「はい!」
遥人と琴乃花は教会へと歩いて向かった
「なあ…?」
「どうしました?」
「なんで人が居ない教会に食料を運んで行ったんだろう…」
「確かに…少し気になりますね…。」
「んな」
「はい。ちなみに食料の量ってどれくらいかわかりますか?」
「量か…えっと…馬車の荷台の半分以上は食料だったよ」
「半分以上…⁉ そんなに食料が…。でも、仮に教会に人がまだ居たとしても、そんなに食料はいらないはずです…。」
「そうだな…だとしたら…教会に何かがある?って事になるな…」
「そうですね…。何かあるのは間違いないでしょう…」
教会に着き扉を開くと二人はとんでもない光景を見た…
「まじ…かよ…」
「うそでしょ……」
そこには…大勢の人が教会で宴会をしている光景だった…