山吹色をもっと濃く【番外編】二人旅も........悪くない 作:スタプレ
「ねぇ曲。」モグモグ
「ん〜?」ガッツガッツ
「なんで朝ごはん10分しかないの?」
「日程的にこうなった。」モグモグ
「もうちょっとゆっくりしたかったのに...」
「何でもいいって言ったじゃん。文句言う前に食え。あと5分で出るぞ。」
「え?嘘!ちょっと待って...」
2日目の朝
松山駅から特急に乗るため、逆算した結果7時37分の路面電車に乗らないと間に合わないことが発覚した。
じゃあもっと早く飯食えだって?
バカヤロウ。ご飯が7時からだからこうなったんだよ。移動時間も考えて10分しかない。残すのも勿体ないから頑張って食べましょう。
「うし、ごちそうさま!行くよ、沙綾!」
「あ、待って!」
本日のルートは松山から宇和島、窪川、高知と周り、金毘羅温泉で宿泊します。
そして松山から乗るのは宇和海5号。この特急はちょっと変わっている。
「この列車アソパソマソが描かれてる!」
JR四国はアソパソマソに力を入れている。その1つがアソパソマソ列車。アソパソマソ列車は定期運転だから時刻表を調べれば分かるゾ。
「いいね!こういう列車!」
沙綾の機嫌は直ったみたい。
「僕は普通のに乗りたかったんすよね〜」
子供たちはさぞ喜ぶことだろう。しかし大人な俺にとっては望まないアソパソマソ列車。
車内は普通のとは変わらず、天井にアソパソマソが描かてれいる。
チャイムアソパソマソマーチ。ここから1時間20分の旅。
豆知識でJR四国の特急列車のほとんどに振り子装置がある。これはカーブでもスピードを落とさず走れる。カーブが多い四国では右に傾けば左にも傾く。結構な角度だからトイレ行く時は気をつけて。
「曲。実は私調べてみたんだ〜」
「ほぉ...」
「次に乗るのは海洋堂ホビートレインでしょ?」
沙綾は到着時間と接続から予想したのだろう?ぶっちゃけ正解です.......が、
「そいつはどうかな?」
「え〜絶対そうだよ。だって本数少ないし。」
そう。宇和島付近はまだしも、窪川近くになると1日5本になる。
『僕、アソパソマソ!』
宇和島近くになるとアソパソマソがアナウンスをしてくれる。その後すぐに通常のアナウンスに戻るから違和感半端ない。
「よし、宇和島!トイレは今のうちに済ませとけよ〜」
「なんか引率の先生みたいだね。」
「事実2時間以上トイレに行けないからね。」
『窪川行きは〜3番線から発車します〜』
宇和島駅は終点駅だから乗り換えに階段は使わない。
そこに停まって今のは水色の帯の列車。
「ホビートレインじゃない!」
「ホビートレインじゃないね。」
「ホームページにはこの時間走るって書いてあったのに!」
「そのホームページをよく見てみろ。この※を大きな声で。」
「海洋堂ホビートレインは検査のため本日普通列車で走らせていただきます...........は?(威圧)」
「んまぁそゆこと。」
お茶を濁したのはこの事があったから。俺は前々から知っていたが、その情報を知ったのは全て予定が決まったあとだった。せっかく綺麗にまとまったのに大幅に変えることも出来ないから仕方なく普通列車に乗ることにした。
「ちょっと待って?どうしてくれんのこれ?私はホビートレインに乗りたかったの。」
「沙綾さん諦めて。でも、予土線はどんな列車に乗ってもいいポイントがあるよ。」
「いいポイント?」
それは乗って1時間以上経過してからだ。
「うわ〜キレイ〜!!」
沙綾の目は少年のようにキラキラしている。それもそのはず。目の前には四万十川が流れており、何回も鉄橋を渡っては絶景が見られる。
川は透けて底まで見える。はっきりわかんだね。
「お、魚が泳いでる!」
「え、どこどこ?」
2時間以上各駅停車の旅は鉄オタ以外はちょっと苦かもしれない。でもこの路線の絶景は時間も忘れさせてくれる。いつの間にか終点の窪川駅だ。
「この後は?」
「すぐ来る特急あしずりに乗って高知で降りよう!」
あしずり号も1時間ちょっと。今度はアソパソマソじゃないが、新型の2700形。え?マニアックな話すんな?すんません。
そこから旅行で2回目の路面電車。沿線沿いにはりまや橋という有名な観光スポットがあるが、今回はカット。
「昼はひろめ市場でカツオのたたき〜!!!」
「いえーい!!!でも、曲。」
「なんだいさーや?」
「あの四字熟語読める?」
いくらバカだからと言って舐めすぎだろ。
なになに?
本 日 休 館
「は?キレそう...」
「曲〜しっかりしてよ...」
来月の休みを見た感じ毎週ではないらしい。ピンポイントで今日休みだ。余計に腹立たしい。
「昼ごはん食べれてたのはいいとして、何かないの?」
「あるっちゃあるけど時間的に厳しいなぁ...お、そうだ。木曜市場がやってる。」
「お、いいねそれ。」
「なんかぼうしパンって言うのがあるっぽいぞ。」
「パン屋としては聞き捨てならないね。」
「えっと、この道でやってるはずだが...」
「...」
ガイドに載っている通りに来たところは人気がない。
「終わっとるやん。」
「どこもパン売ってるところないよ...」
「撤収しちまったかも...」
「ま〜が〜り〜?」
やべぇ。完全キレたなこれ。
しかもいい時間になってしまった。
高知からは特急南風で本日の目的地、金比羅山に行く。
高知の街を見て沙綾に聞いた。
「俺たち何しに高知に来たのかなぁ?」
「さぁ...私も分かんない...」
1時間半の旅は途中ウトウトしながら向かった。
「ゼェゼェ.......さーや.......待って.........」
「遅いよ曲。早く。」
旅館に着いて俺たちは早速金比羅山に登っている。それにしてもこの階段キツい...
「さすがドラマー。体力あるなぁ...」
「曲が運動不足なんだよ!」
もしかしてまだ怒ってる?
金比羅山へ続く階段はいっぺんに登るわけではなく、曲がって登っての繰り返し。なので一瞬終わりだと思う道は横に繋がっており、絶望を抱く形になる。
やっと着いた頂上には香川の街が見渡せる。あれは讃岐富士。天気が悪くて見えないが、光の点滅で瀬戸大橋だと分かる。
「ねぇ曲。ありがとね。私を連れて来てくれて。」
「なんだよ。まだ旅は終わってねぇぞ。それに迷惑掛けてばっかりで...」
「でも平凡じゃ面白くないよ。こうやって何か起きた方が絶対楽しいよ!」
「あはは。なんか香澄みたいなこと言ってんぞ。」
「またどこか行こうね?」
「.......だからそれは明日言うセリフだよ。」
適当に誤魔化したが、胸がドキッとした感覚がした。灯篭の光で反射した沙綾の顔はこの街の景色より、川の色よりも美しかったから。
その後足をプルプルしながら下ったのはまた別の話。
これは全てノンフィクションです。ホントに高知で何したんだろ?振り返ると少し悲しい。
いよいよ最終日。早いですね。ここで2人が次回予告するみたい。
では次回もお楽しみに
「「明日の日程!!!」」
「明日はどこ行くの?曲。」
「明日はどこ行くよりも乗ることが目的なんだ。」
「じゃあ今日と同じ?」
「うーん.......半分正解で半分違う。」
「何に乗るの?」
「それはお楽しみに。土讃線の新たな看板でもあり、今回の旅のメインディッシュ!それではまた明日は 〜」