山吹色をもっと濃く【番外編】二人旅も........悪くない 作:スタプレ
「あ〜癒されるわぁ〜」
「ホントだね〜」
この旅館には貸切風呂があり、朝はそれでゆったりしている。昨日みたいにドダバタしなくてもいい。
貸切風呂だから男女入っても問題ない。ルール上問題ない。そう表向きは問題ない。
「これが日本の伝統文化だね。曲。」
「イヴみたいに言わないでくれ。」
やましいことはしてないゾ。だって全年齢対象だからね(メタイ)
さて我々は旅館を出ては琴平駅に向かっています。
ちなみに余談だが、近くに琴電が走っており、これに乗れば高松までいける。
でも琴電は今回見送り。
「今日はどこ行くの?」
改札入る前に沙綾が聞く。
「今日は行くよりも乗るが目的だね。」
「乗る?」
ちょうど列車が接近するアナウンスが流れた。
「うわぁ...何この列車!?」
入ってきたのは緑、青、赤色の列車。各車両色が違う。
これぞ『四国まんなか千年物語』号!!!
観光列車には2つあって、1つは行く観光列車。もう1つは乗る観光列車。
乗る観光列車が本格的に流行り始めたのが九州からかな?元々あった列車を改造して走らせるのが多い。あんまり新造はない。
そして四国まんなか千年物語もJR四国が誇る観光列車の1つだ。
「今日はこれに乗ります!」
「めっちゃ豪華やん...」
なんだってグリーン料金もありますから。
アテンダントさんがご丁寧に絨毯も敷いてくれる。
車内は木がメインでライトの明かりが落ち着いた雰囲気を出している。車内は車両ごとで異なっている。本日は3号車に乗ります。
「お客様、お飲み物は何にしますか?」
メニューを開くとたくさんの飲み物がある。ほとんどアルコールだけど...
「じゃあオリーブサイダー1つ!」
「私はすだちサイダーお願いします!」
琴平を出発すると駅員さんたちが手を降ってくれる。これも観光列車の醍醐味だ。
アテンダントさんが沿線の案内をしてくれる。絶景スポットだと遅く走ってくれるから写真を撮りやすい。
「お待たせしました〜」
ご飯が来ました。事前に申し込めば美味しいコース料理が楽しめる。最初に冷たいもの、その後に温かい料理が来る。
白い重箱を開けると.........ボワッとはならないが、4種類の洋食料理がある。
うまそー!!
「食べよっか。」
「お、そうだな。」
ちょうど飲み物も来たし...
「四国の絶景と美味しい料理に...」
「「乾杯!!」」チンッ
「でもまさか男の子と二人きりで旅行に行くなんて思わなかったな〜。」
「俺も女の子とここまで仲良くなれるとは夢にも思ってなかったよ。そもそも転生することすら想定外なのに...」
「そうなんだ!前世はモテモテだと思ってた!」
「マジか。今もだけどオタク男子だからモテる要素ないのさ。」
「でも頼りになる時はなるからね。」
「喜んでいいのそのセリフ...」
などとご飯を食べながら雑談を交わした。量は多くないけど、景色を楽しみながら食べるので自然とペースが落ちる。そのおかげで味わうことができる。
特急で30分で駆け抜けるこの区間は2時間掛けて走る。振り子装置がないのと、スローペースで走ってくれるのもあるが、もう1つ理由がある。
『まもなく坪尻駅に到着致します。この駅では10分停車で、発車は...』
そう途中下車ができる!しかも時間があるので、記念写真など撮る時間がある。このため時間が掛かるのだ。
まぁ乗る旅だから時間掛かった方が楽しいに決まっている。
「せっかくだし降りよう!」
「うん!」
坪尻は山に囲まれてのどかなところ。
「家も無ければ道路もないね。」
「さすが秘境駅...」
坪尻駅はマニアに人気の秘境駅。なんと定期で使う人はいないらしい。
駅舎も小さな小屋みたいで、駅前の道は整備されていない。普通列車がもともと少ないから全ての普通が停まるか分からないがまぁ少ない少ない。
ここでオフ会開けば0人になるな...
カランコラン
発車間近になるとアテンダントさんが鐘を鳴らす。
そして次は温かい料理が出される。ちなみにご希望なら追加メニューも頼めるし、専用グッズも買うこと合っとる可能だ。
破産しない程度でね。カードは使えないから気を付けて。その放送を聞いて絶望した方がいたから。
「びゃあぁぁぁぁうまいぃぃぃぃぃ!!」
「もうちょっと上品な感想を言ってよ...」
「だって美味いもんは美味いから。」
「それはそうだけど.........あ、あのおばあちゃん手を振ってくれてるよ〜」
「ほんとだ。おーい!」
と声は届かないが、意外にも遠くても手を振ってくれるのが見えるみたい。なので精一杯振り返す。
おばあちゃん、おじいちゃん。かかしの職人さん、小学生たち。地元の人達が笑顔で振ってくれてる。
「曲。すごい笑顔だよ。」
「そういうさーやだって。」
なんでだろう?手を振るだけなのに繋がっている気がする。
そう考えると胸に熱いものがこみ上がってくる。
観光列車にしか出来ないことだから感じること。地元の人達の心温まるおもてなしだ。1本の列車でここまで出来るんだ!
「すごい岩だな。」
「大きく歩いたら危ないだって。曲やってみたら?」
「殺す気か!?小歩危ならどこも歩けないよ。」
吉野川の渓谷。大歩危小歩危の景色を楽しんだら終点の大歩危駅。
2時間なんてあっという間だ。
「ありがとうございました」
「「こちらこそ楽しい旅をありがとうございました!!」」
少し戻るが、阿波池田駅では阿波踊りがみれた。そして記念撮影も2人で。
そして大歩危駅でもほら貝や太鼓などの演奏で出迎えてくれた。
「ここからどうする?」
「特にないな。どっか行っても列車が来ちゃうから、ここでゆっくりしよう。」
そこから2時間ぐらい沙綾と喋った。千年物語号が発車した時は手を振る番だ。
川の音しかしない静かな駅で、話す話題が無くなったら黙って川を見つめていた。
これもあっという間だった。
この列車に乗り、岡山で新幹線に乗って旅は終了だ!
終了......だが、
「なんでまたアソパソマソ列車なんじゃ。」
「良かったね曲!」
「望んでないから。」
締めがいいのか悪いのか。
発車してすぐに沙綾は寝てしまった。3日分の疲れが出たんだろうなぁ。
「俺も一眠りしよかな。終点までだから心配なく寝れる。」
ストン...
「え?」
列車の揺れで肩に沙綾がもたれてきた。
「.........」
目が覚めてた。
沙綾はそのまま爆睡している。
俺は体勢を戻さない。寝違える可能性があるが、このままがいいという欲が勝ってしまった。
そして自分の手を沙綾の手の上に置いた。彼女の手は柔らかい。
「またどこか一緒に行こうな。さーや。」
気持ちよさそうな寝顔は微かに頷いた気がした。
番外編完結!
ここまでのお付き合いありがとうございました!この話は半分フィクションで半分ノーフィクションです。起きた出来事を元に書いてます。元というかただ沙綾を入れただけ?とにかく作り話ではないと言うことです。
実はここだけの話、四国まんなか千年物語を乗る予定は最初ありませんでした。前作出た?海洋堂ホビートレインの代走が分かった時は旅行会社からの電話でした。その時はもう予定を決めたところでした。
何か観光列車に乗りたいと思い、日程に合う車両はないかと探して見つけたのがこれでした。日程組む前にも他にないか探しましたが、乗れることを見落としてしまったのでしょう。空席があることを確認して旅行会社に頼み、手配をしてくれました。
切符を取った地点では団体客に紛れ込む形でしたが、他に1人で来た人がいたのでそんな気まずい雰囲気にはなりませんでした。むしろそれを忘れるぐらい楽しませて貰いました。
次はもう1つの観光列車『伊予灘ものがたり』。更には高知〜窪川でも新しい列車が。足を伸ばして九州の観光列車にも乗ってみたいですね。
長々と失礼しました。本編や逃亡アイドル、更に余裕が出来たら別の作品も投稿する予定ですのでそちらもよろしくお願いします。
最後までご愛読ありがとうございました