逃亡アイドルの辿り着く場所   作:スタプレ

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後日談2話 果たせたよ!

 

「十里さんに何かお礼をしたい!」

 

「どうしたの彩ちゃん藪から棒に...」

 

ライブが終わって楽屋で休憩中。十里さんのことを思い出したら何か叫んでいた。

 

突然の大声にみんなビックリしていた。

 

「ここまで来れたのは十里さんのおかげでもあるでしょ?」

 

「確かに彩ちゃんが立ち直ったのも十里さんがお世話してくれたおかげだもんね〜。」

 

日菜ちゃんが覗き込むように見てくる。

 

「お礼をしないのはブシドーに反します。私もお手伝い致します。」

 

「イヴちゃんありがとう!」

 

「では何を贈りましょうか?手作りだったら何でも喜ぶと思いますよ!」

 

「うん。でも私は夢への道を応援してくれたから、十里さんの夢を応援出来るものを贈りたい!」

 

「ではトオリさんの夢を教えて下さい!」

 

「十里さんはSLを走らせることが夢なんだよ。」

 

「「「SL?」」」

 

「私知ってるっス!蒸気機関車のことですよね!」

 

麻弥ちゃんは知ってるんだ。他の3人は何それ?って感じの反応。普通はそうだよね。

 

「蒸気機関車というのはですね...蒸気の力で貨車や客車を牽くものでしてね...」

 

私の代わりに麻弥ちゃんが蒸気機関車の解説をしてくれている。そしてなんで走らせれないかを私が説明する。

 

「それならお金をドーン!と贈ればいいじゃん。」

 

「日菜ちゃん...それはどうかと思うわ...」

 

一斉に首を捻る。

 

「彩ちゃん。何か欲しいものは言ってなかったの?」

 

真っ直ぐな目で千聖ちゃんがこちらを見詰める。

 

えーっと...十里さんは確か...

 

『ないんだ...客車が。』

 

そうだ!

 

「私達で客車を買って贈ろうよ!」

 

「いくらすると思ってるのよ...」

 

「無理かもしれないけどやろうよ!」

 

私達は無理ていう壁を乗り越えて来たんだ。誰かのためでも諦めたりはしないよ。

 

「みんな〜おつかれ〜!」

 

マネージャーさんが入ってくる。

 

『お疲れ様です!』

 

「ライブ終わりで申し訳ないが、少し先の仕事の話だけど...」

 

「あ、マネージャーさん。私達客車を探しているんですけど...」

 

「はい?客車!?なんで?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらは葡萄川駅。今までは秘境駅化としていましたが、今や温泉地、また観光列車の乗り換え駅として栄えています。

 

あれからもらった客車と貨車、ディーゼルカーを魔改造させて立派な客車が出来ました!

 

名前は『SLせせらぎ号』

 

水色の車体はとても美しい。ディーゼルカーだったところが補助の役割があるので、別の機関車も必要ない。よって後面展望も楽しめられます。

 

キハ58も魔改造をして『滝と星の泉伝説列車』という観光列車で運転している。

 

SLとこの列車しか見られない景色が話題を呼んで、休日は観光客が、平日は団体さんが来るので毎日が大忙し。

 

これに伴い普通列車も増えて、葡萄川に勤める駅員も増えた。俺は駅長と言うことで、ホントに人が足りない時にSLを運転するぐらいだ。

 

さて運転開始から間もなく半年...プロジェクトをスタートさせて1年が経った。

 

今日も葡萄川駅は何人かの駅員が働いている。ただいくら潤っても夜中に混むことなんてないから暇と言えば暇である。

 

「駅長さ〜ん。何ぼーっとしてんすか〜。こちらは忙しいと言うのに。」

 

「どーこが忙しいんだよ。他の奴らと雑談してただけやん。」

 

島本が噛み付いて来た。島本はこの駅専門の勤務者の1人になった。ちなみに暇な時は雑談も許している。

 

「で、何考えている?」

 

「テレビ取材だよ。どんな風に取材されるかなーって。」

 

テレビを観ながら適当に答える。今は25時間テレビがやっていて、『今会いたい人』という企画で進めている。

 

「テレビ取材...あっ!」

 

「なんか知ってそうな顔だな。言え。」

 

「嫌です。」

 

「駅長命令だ。いいな。」

 

「あー!パワハラだ!それよりも葡萄川止まりの列車が来るので早くホームに出て下さい。」

 

なんで駅長の俺が追い出される形になるんですかねぇ...

 

ちなみに本日の責任者が当駅終点の列車を見るという役割がある。

 

「なんで島本も来ているんだ。」

 

「え、えーっと...そうだ!忘れ物があるらしいからそれを取りに来たんだ!」

 

嘘だな。何か隠している気がするけど今問い詰めても意味が無い。後で絞ればいいや。

 

定刻通りに到着っと。あれ、何か異様に明るくないかこの車内?

 

そしてドアが開いた瞬間。

 

「とーおーりさーん!」

 

少女が飛び込んで来た。

 

「え!?彩ちゃん?」

 

「ずーっと会いたかったです!私、私頑張りましたよ!」

 

あぁ泣いちゃっている泣いちゃっている。

 

「う、うん。俺も会えて嬉しいよって...なんだこれ...」

 

目の前のカメラに困惑中だ。

 

「はいCMはいりまーす!」

 

生中継かよ!てことは25時間テレビ?

 

島本の方を見ると、グッチョブしながら車内に入っていく。なんやかんや言って良いやつなんだよ。後で絞ろう。

 

「CM終わり10秒まえ!」

 

待って!アイドルと抱きついた状態から始めるの?

 

誰か助けて!ってみんな見守る目をしている。

 

もう素直に再会を喜ぼ。

 

「十里さん。ありがとうございます。私...私...」

 

「知ってるよ。どんだけ頑張ったか。離れていても知ってたよ。」

 

それから彩ちゃんは泣き続けてしまった。俺としてはこれでもいいけど、生中継なら少しまずくないか?

 

「彩ちゃん。十里さんに伝えたいこと、あるんじゃないの?」

 

「あ、そうだった。ありがとうチサトちゃん。」

 

涙をぬぐって自分に向き直す。

 

「十里さん!」

 

「はい!」

 

なんか緊張してきた...

 

「私と...お付き合い...してくれますか?」

 

「へ?お付き合い?」

 

待て待て待て。アイドルと恋愛?だよな。彩ちゃん火照ってるし...

 

スタッフ陣を見ると、カンペで『今のアイドルは恋愛OKです!』って書いてある。

 

つまり仕事的に考える必要はないと...

 

「俺で良ければ...その...お願いします。」

 

「やった!十里さん大好き!」

 

「おっと...全くおてんばな恋人だぜ。」

 

見上げれば満天の星。しばらくは遠距離になってしまうが、新たな夢物語はどこに行くのか。今は誰も分からない。

 

でも彩ちゃんとなら行ける。どんな果てしない夢でもね!

 

 

 

Thank you for reading this story!

 

 

 

登場人物、場所の概要欄

 

明備鉄道

七市線と二桜線、鱒角線の3路線を持つ小さな鉄道会社。モデルはないが、中国地方をイメージしている。

 

葡萄川駅

近くに葡萄川が流れているのが由来。昔は鉱山の最寄りとして栄えていたが、今は観光で栄えている。

 

鱒角の滝と星の泉

壮大な滝と透き通った泉。今は観光列車『滝と泉の伝説列車』に乗らないと見に行けない。

 

星近ヶ丘

星が近くで見える。天体観測にもってこいの場所。葡萄川駅からも歩いて行ける距離。

 

C10形4号機

元は十里家のもの。現実では存在しない蒸気機関車。

 

キハ58

今は亡き国鉄時代の急行列車。最後は東北地方の列車『Kenji』

 

十里セイヤ

葡萄川駅に住んでいる駅長。父の早死から20歳という若さで駅長をしている。

 

丸山彩

パステルパレットのボーカル。鬱状態に全財産使ったあげく、葡萄川に辿り着く。今は売れっ子アイドルで色んな番組に出演するほどの人気だ。

 

畑中

葡萄川駅近くに畑を持っているおじいさん。近くに家があるわけではない。本人曰く「趣味で耕しとる。」

 

島本

十里の唯一の同期。今は本人の希望で葡萄川駅にいる。通勤時間は片道2時間。なんやかんや良い奴である。

 

ポピパのみんな

香澄の思いつきで星近ヶ丘に来た結果、葡萄川駅に泊めてもらうことに。ここまで来るのに使った資金の源は今でも謎に包まれている。

 

白鷺千聖

十里を問い詰めた人物。ちなみに十里に名前を覚えて貰ったのは、25時間テレビの時だというのはここだけの話。




Q、最後の結末何?
A、いいじゃねぇかハッピーエンドだろ?

Q、あの英語のぶんおかしいだろ?
A、通じればいいんだよ気にすんな。

Q、千聖さんの扱い酷くね?
A、知らん。

てことでついに完結です!
ホントにお付き合いありがとうございました!ホントに10話で終わりました笑

皆様の励みが主のモチベを上げさせてくれました。特に感想を書いてくれた方、評価、お気に入り登録をしてくれた方には感謝してもしきれません。

さて、私も他の方の作品を見て勉強をしています。1人の読者ですからもちろん面白い面白くないの評価を付けてしまいます。

原作バンドリの小説で面白い作品には2つ種類があります。これはバンドリ限定ではないですけど...
1つは全てオリキャラでも面白いもの。もう1つはバンドリのキャラがいるから面白いもの。
どちらの評価にせよ、とても嬉しいことです。前者は物語を作れる才能がある。後者はキャラや原作の特徴を活かしている。
当作品『逃亡アイドルの辿り着く場所』はどちらだったでしょうか?
いずれは両方ともそう思われる作品を書けたらいいなと思います。

さて、新作の原稿を今考えています。この作品のオリ主も登場させたいところですが、はっきり言って難しい笑

また別の作品でお会いした時はお付き合いお願い致します。

最後になりましたが、本編、あとがきを最後まで読んでくださり本当にありがとうございました!
またどこかでお会いしましょう!

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