逃亡アイドルの辿り着く場所   作:スタプレ

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ふらっと思いついて、ふらっと書いちゃいました。

文字数が少ないので2本立てで投稿します。


番外編2 ドッペルゲンガー?&番外編3 代打駅長

 

番外編2 ドッペルゲンガー?

 

「君が駅長さんだね。初めまして、ちょっとお話しようよ。」

 

いわゆるドッペルゲンガーというやつか。眼鏡かけて、痩せ型の若い男性。双子か兄弟だと言われてもしっくりくる。

ただ俺は完全な一人っ子のはずだ。

 

「あなたは……誰なんだ?」

 

「まぁまぁ。ここではなんだ、近くの川に行こうじゃないか。」

 

ただのお客さんではない。そんな予感が確信変わったのは、彼の一言だ。

 

「君の仕事が終了したのも知っている。さぁ行こうか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、あんたは誰ですか?」

 

「そうだな。まっとりあえずスタプレと名乗ろうかな。」

 

「珍しい名前ですね。それでどういった人物で…。」

 

「普通の人間って言っても信じてくれなさそうだね。」

 

「正直似すぎですよ俺と。それでただの観光客だとは思えないし、俺に話しをしようとしませんよ。」

 

「一応人間さ。ただここの舞台を創った神と言っても過言じゃないね。実際君も自分に似せたからね。」

 

「舞台?似せた?よくわからん。」

 

「わからなくていいこともあるさ。それに君に似た人は他にも数人おる。」

 

「ドッペルゲンガーの範囲超えとる…」

 

「安心しろ。死にはせん。俺が保証する。まぁ1人死んだけどな。」

 

「おい!」

 

そしてしばらく川の音を聞いていると、満足したように話す。

 

「やっぱりここはいい場所だ。」

 

「そう言ってくれると嬉しいです。」

 

「SLや観光列車に温泉、そして綺麗な星空と川のせせらぎ。こんな理想な場所実際旅行してみたくなるよ。現実にはないからね。」

 

「そ、そうですか……」

 

彼が仮に神ならば…色々知ってるのか?親父のことも。

 

「親父のことも知ってるのですか?」

 

「親父のことは俺も知らない。ただ他の設定とかなら教えられるよ。」

 

「せ、設定?じゃあなんで保存してあったのはC10形なんですか?しかも4号機ってマニアックなやつ。」

 

「俺の誕生日が10月4日だからさ。それに元々好きな機関車でもあったからさ。」

 

「あんたの世界にはないのか?」

 

「もうないね。今は8号機しかない。大井川にあるあれさ。」

 

「そういえばあったな。」

 

「でもこっちの世界で走ってる8号機はもしかしたら4号機だった可能性もあったんだって。」

 

「そうだったらよかったですね。」

 

そしてまた沈黙が訪れる。

 

「なんでこの世界を創ったかわかるかい?」

 

「いや、知らないです。」

 

「そうだよね。俺もよく知らん。」

 

「なんだそれ。」

 

「思いつきなんだよ。でも日々思っていることがあるから生まれたのかなこの世界が。」

 

「日々思っていること?」

 

「悲しいことでね、命を絶っている人が連日いるんだ。」

 

「それは仕方のないことですね。」

 

「楽しく生きている人のエゴと言ったらそれまでだけどさ。でも俺だって自分を追い込んで追い込まれた時もあったさ。」

 

「俺はよく分からないです。」

 

「分からないのが一番だよ。でも現代社会を生きるには必ずある。だけどそれを頑張って乗り越える、あるいは逃げたりすることだって立派な生き方だよ。」

 

「そうですね。」

 

「死は逃げじゃない。それは終わりだよ。」

 

「届くといいですね。その想い。」

 

「これで救われる人がいるなら越したことはないさ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「夢か…」

 

けたたましくなる目覚まし。2度寝をするなと言いたげな時計に を強く叩いて返事する。

 

「本当に……あれは誰だったんだ。」

 

自分を神といい世界を創ったといい想いが伝わるといい。不思議な人物だった。

 

「朝一の列車で行くと言ってたけど、乗るのかな?」

 

結論そんな人は来なかった。やはりただの夢に過ぎなかったのか?

 

「それにしては夢の内容は鮮明に覚えているんだよなぁ。」

 

あの後色んなことを話した。(ほとんどあいつの話で相槌を打つだけだったけど。)

他に機関車いらないかとか。結局本名も教えてもらったな。

 

だけど一番印象に残っているやり取りは……

 

『俺は色んな世界を見て来た。そして創って来たんだ。』

 

『結構すごいんですね。』

 

『創りかけもあってほぼ放置しているけど。』

 

『おい……』

 

『だけどこの世界が最高傑作で、一番好きな世界だ。』

 

『だから俺に会いに来たと。』

 

『そういうこと。いつもは天から見ているけど、たまには同じ視点も悪くないかなと。』

 

『たまにというか初めてでしょ……』

 

『考えた本人が言うのもあれだけどさ。この場所が一番好きなんだ!』

 

ここに来た人は、「また来たい!」と言ってくれる。自称神様も同じなのかな?

また来てくれると面白いかも。今度はこっちから色々質問攻めしてやろう。

 

 

 

 

 

 

番外編3 代打駅長

 

 

「駅長。来週の運用表持ってきました。」

 

「ありがとう。そこに置いといてくれ。」

 

部下の係員さんが持ってきた紙に目を通す。

 

「なになに、来週の土日は重連運転をするのか。」

 

しかし本当に機関車を増やすとは思わなかった。それもまたマニアックなものを。

 

ある機関車は他の鉄道からの買い取り。ある機関車は公園に眠ってたものを有志の強い要望で復活。ある機関車は鉱山後の奥で朽ちていたものだ。

C11形はまだいい。9600形もほとんどの鉄道ファンならわかる。1070形なんて知っている人おるの?

一応たまたまということにしているが、どう考えてもあいつの仕業としか思えない。おかげで明備鉄道は走る鉄道博物館の一つになってしまった。

 

「駅長電話です!部長からで。」

 

「了解。こっちの電話に繋げてくれ。」

 

部長から電話。ってことはほとんどあの件だろう。

 

「もしもし十里です。」

 

『十里くん?またテレビ撮影のお願いだけど。』

 

『いいですよ。いつですか?』

 

観光路線として復活後、テレビ撮影のオファーが何回か来るようになった。旅ロケから鉄道番組。ドラマの撮影で来ることもあった。

明備鉄道は基本撮影OKにしている。いい宣伝になるしね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そして撮影がドキュメントととは…」

 

今はカメラマンが資料映像を撮りたいとのことで、葡萄川駅から少し離れたところで線路を撮っている。俺はその付き添い&監視をしているのだ。

 

「ホントは当時の状況を再現して欲しいですけど、さすがに危険なことだからね。」

 

カメラマンが話しかける。

 

「それで合成用の映像を撮っているのか。それにしても危険なシーンとは?」

 

「線路で倒れるシーンです。」

 

少し前のここならできたことだろう。今は街ほどではないが、かなり本数は増えたからな。さすがに危ない。列車が来ない夜だと映えないだろう。

 

「だけど線路で倒れるとは、海外は凄いな。」

 

葡萄川周辺は温泉宿が軒並みにできたとはいえ、見る方向を変えれば以前とは変わらない田畑が広がっている。ヨーロッパの田舎と言っても余裕で騙せるだろう。

 

「あれ?今回の撮影内容聞いてないのですか?」

 

「いや全く。撮影だけと。」

 

なんだ海外で起きたことを再現しようとしたわけじゃないのか。てっきりアン〇リバボーとかそういう番組かと。

 

「いや、合ってますよ?」

 

「えっ?じゃあなんのロケですか?」

 

「丸山彩さんがここで過ごしたことを番組にしようとしまして。」

 

バリバリ関係あるじゃないかそれ!

 

「あっ、後で駅長にもインタビューお願いしますね。」

 

なんで大事な話をしないのかなあの部長!インタビューなんてやったことないよ。

 

まさか彩ちゃんのことを取り上げたとか…

さすがにこういうのは俳優さんが務めるのかなぁ。出来れば本人が来てくれたら嬉しいけど、無理な注文か。

でも最近ドラマにも出たとか言っていたような…

 

「だ〜れだ!」

 

突然視界が暗くなった。誰かが手で覆ったのだ。

この声はもしかして……

 

「彩ちゃん!?」

 

「大正解!まっ十里さんならわかって当然だけどね〜」

 

「よく来たね!ということはもしかして撮影?」

 

「うん!ここに来れることがわかったからマネージャーさんに無理言って仕事のオファー受けたんだ!」

 

マネージャーさんご苦労さま。そしてありがとう。

彩ちゃんの話だと、せっかくドラマの経験があるから本人に出演させてもらおうとディレクターが提案したんだって。わざわざ予定が埋まっていたのを前倒ししてまで。

そして俺の役はちゃんとした俳優さんがやると。そりゃそうかもしれないけど、俺と彩ちゃんの思い出なんだ。なんかモヤモヤするなぁ。

 

「あれぇ?十里さんもしかして妬いている〜」

 

このこの〜とひじでつつきながらニヤニヤする彩ちゃん。その仕草と顔に腹が立ったので。

 

「いひゃい!にゃにぃしゅりゅにょ〜」

 

ほほをつまむ。結構柔らかいな。

 

「無性にイラッとしたのでつい。」

 

「ゆ、ゆりゅしちぇ〜」

 

しばらくほっぺの柔らかさを堪能すると、

 

「いやぁお熱いですなぁ!」

 

サングラスかけた中年男性が声をかける。言わなくてもわかる、ディレクターさんだ。

 

「アイドルなのにファンから応援してくれるほどラブラブ。さすがですよ!」

 

「え?そうなの彩ちゃん?」

 

ほほをさすっている我が彼女に聞いてみる。ちょっとやり過ぎたかな……

 

「エゴサしてもほとんどの方が応援のコメントをしてくれます。反対している人が逆に叩かれるぐらい。」

 

確かに場所が特定されているからイタズラがあってもおかしくない。しかしそれがないどころか誹謗中傷すらない。

 

「名残り惜しいところだが、そろそろ撮影だ。彩ちゃんスタンバイしてもらっていいかい?」

 

「了解です!」

 

「駅長さんもよかったら撮影現場見ていってくださいな。」

 

「ありがとうございます。」

 

するとディレクターさんの携帯が鳴り出した。電話のようだ。

 

「はいもしもし。…………えぇそうなの!?……うんうん……いや急に言われてもいないよ。………出来れば今日撮りたかったけど。………うんうん。……その手があるか。ダメ元で聞いてみるわ。………うんわかった。」

 

「なにかあったのかな?」

 

「みたいだね。」

 

そしてため息をつきながら電話をポケットにしまう。

 

「あの、どうしたのですか?」

 

「駅長役の人が体調崩して来れなくなったんだよ。」

 

「えっ!?それ大変じゃないですか?」

 

「そうなのよ。そこでお願いなんだけどさ。」

 

ディレクターさんは顔の前に手を合わせて言う。

 

「駅長さんも出演してくれない?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は〜疲れた〜」

 

「お疲れ様十里さん!」

 

「お疲れ駅長。」

 

日が沈むころに今日の分の撮影が終わった。

 

「いや〜迫真の演技でしたぜ十里!」

 

「減給するぞ島本。」

 

「うわーパワハラだー。」

 

今日は島本も出勤している。ていうか1日駅事務室にいたから撮影なんて見てないだろ。

 

「それにしてもも十里さんって演技上手いですね。」

 

「演技も何も当時のことを再現するだけでいいって言われたから。」

 

もちろん台本もちゃんとあった。ただディレクターさんが「素でやったほうが味出る。」と言って記憶を頼りにやってくれと言われたのだ。

もちろんしっかり覚えているからほとんど一発OKだったけど、少し適当なのでは?

 

「でも台本よかったんですか?記念に貰えますのに。」

 

「恥ずかしいからいらない……」

 

あの時は彩ちゃんを励ますために色々背中を押したけど、いざ文字にされると臭いセリフばかりで見てられない。

正直番組も見ようかどうか迷う。

 

「さぁさぁ休みの人は行った行った!せっかくゆっくりイチャイチャできるんだ。」

 

「ゆっくりイチャイチャって…その一言でありがたみが薄れるな……」

 

「そういえば駅に泊まってもよかったのですか?」

 

「心配することないよ。」

 

今の駅はたくさんのスタッフがいるから部屋の空きがほとんどない。

しかし女性スタッフ用の部屋も新たに作り、幸いなことに今日は全員野郎共しかいない。

 

「そういう彩ちゃんこそよかったのか?他のスタッフさんは高級旅館での宿泊だったのに。」

 

「だって十里さんと少しでも長くいたいから。」

 

『おぉ〜』

 

島本含むギャラリーがうるさい。

 

「じゃあ俺は行くから後は任せたぞ。」

 

「了解任しとき!!」

 

適当に見えるが、こう見えても島本や他の係員もようやってくれている。これで安心して住居スペースや駅外に出られる。

 

「じゃあせっかくだからその辺の美味い店でも行くか。もちろん俺持ちで。」

 

「ほんとですか!?やったぁ!」

 

「ははっ。たまには彼氏らしいところみせないとな。」

 

「いいな〜俺も連れてってよ。」

 

「さっき任せろ言ってたじゃねぇか!」

 

こんな同期は置いといて、2人きりで温泉街を歩く。

 

「彩ちゃん今年で高校卒業だよね?」

 

「そうですけど?」

 

「その時になったら大事な話をしたい。時期になったらこっちに来てもいいし、俺が東京に行く。」

 

「っ!………分かりました。」

 

しばらく歩くと川に降りれる場所に着いた。特に何も喋らず自然な流れで川岸に行く。

 

「ねぇ十里さん。」

 

「ん?どした?」

 

「お願いがあるの。」

 

お互いしゃがんだ後に、彩ちゃんが頭を自分の肩に乗せる。可愛い。

 

「今日一緒のベッドで寝てもいいですか?」

 

「えっ!?い、いいけど……」

 

「やった!」

 

いつも無邪気に笑う彩ちゃんはそこにはおらず、妖艶な笑みを浮かべていた。

 

理性を保つことできるのか俺!?

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