初めての評価に嬉しいです!そもそもこんな自分(の作品)を評価してくれる人もいるなんて.....
「何かお手伝いします!」
「いいよいいよ。お客さんだからゆっくりしてって。」
「いえ、居候させてもらってる身です。何もしない訳にはいきません。」
やっぱりこの子はしっかりしているなぁ...
「じゃあご飯作れるなら今日の昼は任せようかな?」
「はい!喜んで!」
キラキラと目を輝かせながら駅事務所をあとにする。
彩ちゃんが来て何日経ったのかな?だいぶあの子は喋れるようになった。そして今は何か手伝ってくれる。暇人だから何手伝わせているんだって思うでしょ?実際俺も申し訳ないから断っているんだが、粘り強く彼女には適わない。
あとは特に変わったことは.....ないかな?
少し宅配便が多くなったぐらいしかない。彩ちゃんの衣類は彼女自身でお任せしている。男の俺には分からない世界だからな。たまに宅配業者がゴミを見る目で印鑑貰って行くけど。
何もないことは平和なことだよ。
ボン!
平和.....なのか?
なんかキッチンから爆発音が聞こえたような.....
「様子を見てくるか。」
誰も来ない窓口にカーテンをかけてキッチンに行ってみる。
「うわ〜すっごい。」
キッチンにはなんかの物体が飛び散っている。鍋の中は焦げた元食材。その前には実験に失敗した博士のような彩ちゃんが立っている。
「彩ちゃん.......大丈夫?」
汚れた彩ちゃんは涙を浮かべながら言う。
「キュー〇ーの3分クッキングを見てやってね。塩と味噌を間違えて入れたら爆発しちゃった...」
塩と味噌を間違えるところから突っ込みたいけど、その前になんの料理を作ろうとしたらそうなるの?
「掃除と飯は俺が作るから、彩ちゃんはシャワー浴びて着替えて来なよ。」
「うん。ありがとうございます。」
とぼとぼ歩く彼女を見届けてから作業に入る。適当に汚れたところを磨いて、ご飯もパンと余っている食材でパパっとサンドイッチを作った。
「私って何やってもダメなのかな?」
「.......」
「何も役に立たないし、食材を無駄にしちゃうし、十里さんに仕事を増やしちゃったし...」
もともと自分の仕事だから増えたわけじゃないんだよなぁ...
この子は心を開き始めたが、弱いままだ。たくさんの努力をドブに捨てられた思いをして来てる。
そして健気だ。捨てられたのは、汚い世界だから。選ばれし人間以外は当たり前の道だと言うより、自分がダメだからと思い込んでいる。
だから目の前で些細なことでも自分を悪役にしている。
「彩ちゃん。」
「は、はい!」
怯えている。数分前にやらかしてしまったことがある。何か罰を与えられると思っているんだろう。もちろんそんなことはしない。
「川に行こうか?」
「へ?」
「ちょうど魚を釣りに行きたいんだ。どうだ?」
「い、行きます!」
「ほんじゃ片付けるからちょっと待って。」
皿を洗い、釣りの準備をしてから川に行く。
葡萄川駅から川までは数分の距離。車が滅多に走らない国道を渡り、赤い橋の手前で川に降りれる場所がある。
8月だから当然暑い。お互い麦わら帽子を被ってきた。
「うわ〜キレイ!!」
「山の水は都会と比べられたら困るからな〜!」
ここは2つの川が合流する場所。本流の灰奈川に支流の葡萄川が注ぐ感じだ。
「よし!釣れるといいな!」
「十里さん!入ってもいいの?」
「あぁ!だけど遠くに行くなよ!」
「はーい!」
軽い敬礼をした彩ちゃんはやっぱり可愛い。
と、早速1匹釣れたな!今日はイワナの煮漬けかな?
「キャッ!冷たい!」
「どうだ!?気持ちいいだろ!?」
「ホントにいい所ですね!」
「だろ?でも昔は違ったんだ。」
「え?そうなんですか?」
「あそこのはげている山あるだろ?」
俺は近くの山を指した。そこは不自然に木がない。
「あの場所は星近ヶ丘という広場なんだ。そこで見る星は最高なんだぜ!でも昔は鉱山だったんだ。」
「鉱山...ですか?」
「俺のじいちゃんが若い時の話だけど。この川に毒が流れて汚かったらしいんだ。」
写真でしか知らない話だけど、それでもうわってなるほど汚かった。
その変わり、貨物輸送、人員輸送で二桜線は栄えていたらしい。
「その毒が紫だったから葡萄川と呼ばれているんだ。」
「由来がそこから来てたなんて...」
「俺も初めて聞いた時はビックリしたよ。やがて環境問題が厳しくなるとこの鉱山は閉鎖。それと共に過疎化が進んでご覧の通り。鉱山だった場所は隠れスポットとなったんだ。」
でもと俺は続ける。
「今はとてもキレイだろ?」
「はい!とても!」
「何年もかけて汚れを流したんだ。全て水の力で。」
「全て?」
「俺は川の上流だと何もかも洗い流してくれると思うんだ。」
「何も.....かも.....」
彩ちゃんは真剣に川を見つめながら呟く。
「下流.....都会の川は流れが遅いから見てもドンヤリするだけ。でもここは流れがいいから嫌なことも洗ってくれる。リセットさせてくれる!」
「確かにスッキリしたかもです!」
「だからさ、ここに居る時は失敗したらすぐにここにこればいい。川の音を聞きにこればいい。」
「はい!」
「そしてゆっくり探せばいいさ。自分のできることをね。」
「ふふっ」
「ちょっ!笑わないでくれよ〜。自分でも恥ずかしいと思うんだからさ〜。」
「ここに来て、十里さんに出会えてよかったなって。」
「.......そうか。」
ところでと言いながら彩ちゃんが聞いてくる。
「十里さんって今いくつですか?結構若そうですけど...」
「もうすぐ二十歳だよ。」
「え!?」
驚くのも無理ないだろ。未成年が駅を管理しているから。
彩ちゃんはまた浅瀬で遊び始めた。少し俺の話をしようか。
十里家は葡萄川駅の管理をする役目がある。俺の親父もここの駅員だった。母親は幼いこと離婚してその後は知らない。
親父は男手一つで俺を育てた。そして俺が子供の頃にも人生で迷った人がここに来た。彩ちゃん並ではないけどね。親父に励まされて帰って行くのも部屋から、ホームから、窓口から何回も見てきた。
そして俺も親父みたいな駅員になりたい。立派な背中から純粋だった俺はそう誓った。
高校卒業間近に病気で逝っちまった。幼い頃から駅を見てきた。だから急死しても焦ったり、悲しんだりはしなかった。葬式で堂々と言ってやったよ。『親父みたいに人を支える駅員になってやるよ。』
まさかこんな早く機会が訪れるとは思わなかったけど...
目の前にはさまよったアイドルが1人いる。
「そんなに楽しいか?めっちゃはしゃいでいるな!」
「だって冷たくて気持ちいいんだもん!」
ビックリするよな。これでも年は近いから。
それから数分後やっと2匹目も釣れた。これだけあれば充分だ。
「そろそろ戻ろうか。」
「はい!」
すっかり元気になった彩ちゃんがバシャバシャと戻ってくる。
「あ、そうだ。そこのカゴも持ってきてくれ。」
「これですか?.......うわっ!」
中には大漁のサワガニがいる。
「今日はご馳走だな!」
「うーんと...こうかな?」
彩ちゃんはピースをしてポーズをキメようとしている。
「何してるの?」
「新しいポーズを考えているの。」
「新しいポーズ?」
そもそもポーズすらあったっけ?
「カニさんピース!.......こんな感じ?」
「!!!」
やっぱりこの子はアイドルだ!可愛い.....
お待たせしました!山吹色よりもこっちの方が評判いいみたいなので、こっちの投稿のペースをあげることにしました。
僕が頑張れる限り頑張ります!
そして感想もありがとうございます!
基本簡単な質問に答えること以外は返信はしません。だけどいつもニヤニヤして読ませて貰ってます!←キモチワルイ
皆さんの期待に応えれるように...とは難しいですが、何回も言うように途中放棄だけはしないようにしたいです。
楽しく書いているので今のところは大丈夫かと...
それでは次回もお楽しみ