逃亡アイドルの辿り着く場所   作:スタプレ

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ホンギィさん、インレさんharethさん評価☆9サンシャイン!

初めての評価に嬉しいです!そもそもこんな自分(の作品)を評価してくれる人もいるなんて.....


2話 清流はキレイに流してくれる

「何かお手伝いします!」

 

「いいよいいよ。お客さんだからゆっくりしてって。」

 

「いえ、居候させてもらってる身です。何もしない訳にはいきません。」

 

やっぱりこの子はしっかりしているなぁ...

 

「じゃあご飯作れるなら今日の昼は任せようかな?」

 

「はい!喜んで!」

 

キラキラと目を輝かせながら駅事務所をあとにする。

 

 

彩ちゃんが来て何日経ったのかな?だいぶあの子は喋れるようになった。そして今は何か手伝ってくれる。暇人だから何手伝わせているんだって思うでしょ?実際俺も申し訳ないから断っているんだが、粘り強く彼女には適わない。

 

あとは特に変わったことは.....ないかな?

少し宅配便が多くなったぐらいしかない。彩ちゃんの衣類は彼女自身でお任せしている。男の俺には分からない世界だからな。たまに宅配業者がゴミを見る目で印鑑貰って行くけど。

 

何もないことは平和なことだよ。

 

ボン!

 

平和.....なのか?

 

なんかキッチンから爆発音が聞こえたような.....

 

「様子を見てくるか。」

 

誰も来ない窓口にカーテンをかけてキッチンに行ってみる。

 

 

 

 

 

「うわ〜すっごい。」

 

キッチンにはなんかの物体が飛び散っている。鍋の中は焦げた元食材。その前には実験に失敗した博士のような彩ちゃんが立っている。

 

「彩ちゃん.......大丈夫?」

 

汚れた彩ちゃんは涙を浮かべながら言う。

 

「キュー〇ーの3分クッキングを見てやってね。塩と味噌を間違えて入れたら爆発しちゃった...」

 

塩と味噌を間違えるところから突っ込みたいけど、その前になんの料理を作ろうとしたらそうなるの?

 

「掃除と飯は俺が作るから、彩ちゃんはシャワー浴びて着替えて来なよ。」

 

「うん。ありがとうございます。」

 

とぼとぼ歩く彼女を見届けてから作業に入る。適当に汚れたところを磨いて、ご飯もパンと余っている食材でパパっとサンドイッチを作った。

 

 

 

 

 

「私って何やってもダメなのかな?」

 

「.......」

 

「何も役に立たないし、食材を無駄にしちゃうし、十里さんに仕事を増やしちゃったし...」

 

もともと自分の仕事だから増えたわけじゃないんだよなぁ...

 

この子は心を開き始めたが、弱いままだ。たくさんの努力をドブに捨てられた思いをして来てる。

そして健気だ。捨てられたのは、汚い世界だから。選ばれし人間以外は当たり前の道だと言うより、自分がダメだからと思い込んでいる。

 

だから目の前で些細なことでも自分を悪役にしている。

 

「彩ちゃん。」

 

「は、はい!」

 

怯えている。数分前にやらかしてしまったことがある。何か罰を与えられると思っているんだろう。もちろんそんなことはしない。

 

「川に行こうか?」

 

「へ?」

 

「ちょうど魚を釣りに行きたいんだ。どうだ?」

 

「い、行きます!」

 

「ほんじゃ片付けるからちょっと待って。」

 

皿を洗い、釣りの準備をしてから川に行く。

 

葡萄川駅から川までは数分の距離。車が滅多に走らない国道を渡り、赤い橋の手前で川に降りれる場所がある。

 

8月だから当然暑い。お互い麦わら帽子を被ってきた。

 

「うわ〜キレイ!!」

 

「山の水は都会と比べられたら困るからな〜!」

 

ここは2つの川が合流する場所。本流の灰奈川に支流の葡萄川が注ぐ感じだ。

 

「よし!釣れるといいな!」

 

「十里さん!入ってもいいの?」

 

「あぁ!だけど遠くに行くなよ!」

 

「はーい!」

 

軽い敬礼をした彩ちゃんはやっぱり可愛い。

 

と、早速1匹釣れたな!今日はイワナの煮漬けかな?

 

「キャッ!冷たい!」

 

「どうだ!?気持ちいいだろ!?」

 

「ホントにいい所ですね!」

 

「だろ?でも昔は違ったんだ。」

 

「え?そうなんですか?」

 

「あそこのはげている山あるだろ?」

 

俺は近くの山を指した。そこは不自然に木がない。

 

「あの場所は星近ヶ丘という広場なんだ。そこで見る星は最高なんだぜ!でも昔は鉱山だったんだ。」

 

「鉱山...ですか?」

 

「俺のじいちゃんが若い時の話だけど。この川に毒が流れて汚かったらしいんだ。」

 

写真でしか知らない話だけど、それでもうわってなるほど汚かった。

その変わり、貨物輸送、人員輸送で二桜線は栄えていたらしい。

 

「その毒が紫だったから葡萄川と呼ばれているんだ。」

 

「由来がそこから来てたなんて...」

 

「俺も初めて聞いた時はビックリしたよ。やがて環境問題が厳しくなるとこの鉱山は閉鎖。それと共に過疎化が進んでご覧の通り。鉱山だった場所は隠れスポットとなったんだ。」

 

でもと俺は続ける。

 

「今はとてもキレイだろ?」

 

「はい!とても!」

 

「何年もかけて汚れを流したんだ。全て水の力で。」

 

「全て?」

 

「俺は川の上流だと何もかも洗い流してくれると思うんだ。」

 

「何も.....かも.....」

 

彩ちゃんは真剣に川を見つめながら呟く。

 

「下流.....都会の川は流れが遅いから見てもドンヤリするだけ。でもここは流れがいいから嫌なことも洗ってくれる。リセットさせてくれる!」

 

「確かにスッキリしたかもです!」

 

「だからさ、ここに居る時は失敗したらすぐにここにこればいい。川の音を聞きにこればいい。」

 

「はい!」

 

「そしてゆっくり探せばいいさ。自分のできることをね。」

 

「ふふっ」

 

「ちょっ!笑わないでくれよ〜。自分でも恥ずかしいと思うんだからさ〜。」

 

「ここに来て、十里さんに出会えてよかったなって。」

 

「.......そうか。」

 

ところでと言いながら彩ちゃんが聞いてくる。

 

「十里さんって今いくつですか?結構若そうですけど...」

 

「もうすぐ二十歳だよ。」

 

「え!?」

 

驚くのも無理ないだろ。未成年が駅を管理しているから。

 

 

彩ちゃんはまた浅瀬で遊び始めた。少し俺の話をしようか。

 

十里家は葡萄川駅の管理をする役目がある。俺の親父もここの駅員だった。母親は幼いこと離婚してその後は知らない。

 

親父は男手一つで俺を育てた。そして俺が子供の頃にも人生で迷った人がここに来た。彩ちゃん並ではないけどね。親父に励まされて帰って行くのも部屋から、ホームから、窓口から何回も見てきた。

そして俺も親父みたいな駅員になりたい。立派な背中から純粋だった俺はそう誓った。

 

高校卒業間近に病気で逝っちまった。幼い頃から駅を見てきた。だから急死しても焦ったり、悲しんだりはしなかった。葬式で堂々と言ってやったよ。『親父みたいに人を支える駅員になってやるよ。』

 

まさかこんな早く機会が訪れるとは思わなかったけど...

 

目の前にはさまよったアイドルが1人いる。

 

「そんなに楽しいか?めっちゃはしゃいでいるな!」

 

「だって冷たくて気持ちいいんだもん!」

 

ビックリするよな。これでも年は近いから。

 

それから数分後やっと2匹目も釣れた。これだけあれば充分だ。

 

「そろそろ戻ろうか。」

 

「はい!」

 

すっかり元気になった彩ちゃんがバシャバシャと戻ってくる。

 

「あ、そうだ。そこのカゴも持ってきてくれ。」

 

「これですか?.......うわっ!」

 

中には大漁のサワガニがいる。

 

「今日はご馳走だな!」

 

「うーんと...こうかな?」

 

彩ちゃんはピースをしてポーズをキメようとしている。

 

「何してるの?」

 

「新しいポーズを考えているの。」

 

「新しいポーズ?」

 

そもそもポーズすらあったっけ?

 

「カニさんピース!.......こんな感じ?」

 

「!!!」

 

やっぱりこの子はアイドルだ!可愛い.....




お待たせしました!山吹色よりもこっちの方が評判いいみたいなので、こっちの投稿のペースをあげることにしました。

僕が頑張れる限り頑張ります!

そして感想もありがとうございます!
基本簡単な質問に答えること以外は返信はしません。だけどいつもニヤニヤして読ませて貰ってます!←キモチワルイ

皆さんの期待に応えれるように...とは難しいですが、何回も言うように途中放棄だけはしないようにしたいです。
楽しく書いているので今のところは大丈夫かと...

それでは次回もお楽しみ
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