多くの方が評価してくれるので、名前は割愛させていただきます。
評価も赤色になっちまったよ(歓喜)
誤字もありがとナス。
「それじゃよろしくな」
「十里の頼みだからな。任せろ!」
こいつは同期の島本。俺が休みを申請した時には大抵こいつが来るらしい。
なんでらしいって?そもそも休みすら申請しないからだ。島本は普段明備中央駅に居るが、代わり勤務は車でここに来る。
会社の中でも信頼しているやつだから安心して任せられる。島本も手当てが付くのと、俺に会えることから喜んで引き受けているらしい。
「悪いね島本。彩ちゃんのことも黙ってくれて。」
「本人の想いを尊重するべきだし、親友のお前を裏切るのは嫌だからな。」
島本は彩ちゃんの存在は知っていた。だから駅舎に入った時は、「同期がアイドルを監禁してる!?」と騒いでいた。
俺と彩ちゃんが誤解を解いてなんとかなりました。
「十里さん。準備出来ました。」
「お、ほんじゃ行くか。よろしく頼んだぜ島本。」
「んー。気をつけてな。」
「あの保線用のやつ乗ってくで。」
「はいはい。」
さて、話は1週間前に遡ってみよう。
「彩ちゃん、来週どっか出掛けない?」
「え、お出掛けですか?」
彩ちゃんは少し曇った顔をした。
お出掛けと言ったらショッピングとかレジャー施設を思い込むわな。安心して。そこに行く予定もないし、そもそも施設すらありません。
「誰かに会いそうなところじゃないよ。むしろ誰も知らない場所。」
「それってどんなところですか?」
「それはお楽しみに。お弁当を持って遠足。どうだい?」
「いいですね。私行きたい!」
あとは適当な日にちに休みを貰うだけだ。
「じゃあこれに乗っていこう。」
「何ですかこれ?」
「これは線路を点検するための車だよ。今は使ってないけど。」
ちなみにこれは十里家のもの。よくよく考えたら十里家って何者なんだ?
「じゃあ列車が走るところに?」
「いや、誰も知らない場所に繋がる幻の線路を走っていくよ。」
車は屋根がないから風が気持ちいい。
「おや、駅員さんじゃないか。」
「あ、畑中さん。こんにちは!」
「隣にいるのは彼女さんかい?」
彼女と言われて彩ちゃんは少し顔が赤くなった。
「違いますよ。今とある事情で預かっています。」
「そ、そうです。今十里さんにお世話になっているんです。」
「そうかそうかぁ。お主べっぴんさんじゃな。まるであいどる?ちゅうやつみたいやわ。」
アイドルなんですけどね。
「ほんでどこに行くの?」
「鱒角です。」
「鱒角かぁ...気をつけてな。」
「いってきまーす!」
そしてほぼ一直線の線路を軽快に走る。草原を抜けると森に入っていく。
時々雑談を交わして走ってるので体感時間はそんなに経っていない。でも実際は1時間以上走らないと目的の場所に着かない。
「着いたよ。」
「うわ〜すっごい!!」
そこは大きな滝が流れている。落差もなかなかあって、近くで見れるのもあって迫力がある。
「あ、そこにお魚さんが泳いでる〜」
「ホントだ。」
透明だから魚が遠くに泳いでるのも見える。
「ここは隠れスポットの鱒角の滝。そこに鱒が集まったことからこの名前がつけられたんだって。」
「落ち着くね。空気も美味しい〜」
彩ちゃんは全身を使って呼吸をする。自分もマネしてやってみると、彩ちゃんの言う通り空気が美味しい。
「反対側も見て。」
「凄い!」
滝からの水が泉を作っている。5つある泉は小さな川で1例に繋がっている。全ての水が滝からではなく、地下から湧いている水もある。上からは各泉に日光がスポットライトみたいに照らしている。神秘的だ。
「これは星の泉と言うんだ。」
「星の泉?」
「大昔それぞれの泉に各種類の惑星がキレイに映ったことからそう言われているんだって。」
「え?でも数足りませんよ?」
「いつかは分からないけど、まだ火水木金土星しか知らない時代だったんだろう。」
「なるほど...」
「手を入れてみて。とっても気持ちいいよ!」
「キャッ!冷たい!」
「あ、てーすべったー」
俺はわざと彩ちゃんに水をかける。
「や、やったな〜お返しだ!」
「つ、冷たっ!」
そのあと少しの水のかけあいをした。もちろん手加減はしたよ?服を濡らしたら紳士失格だから。
「じゃあお弁当食べよっか?」
「うん!」
俺たちは泉の傍にシートを広げてお弁当を開く。
「遠慮なく食べていいからね〜」
「いただきます!うん!おいし〜」
めっちゃ美味そうに食うじゃん。そんな笑顔見せられたら食欲が注ぐに決まる。
お弁当の中身はシンプル。おにぎりに唐揚げ、たこさんウィンナーなどの定番だ。
「そういえばこの線路はどこに繋がっているんですか?」
口にたくさん詰め込んで聞いてくる。彩ちゃんリスになっているよ。
「この線路はこの滝から生まれた川に沿って、七市という所まで走っているよ。」
「なんか誰も知らない場所に来れるなんて不思議な気持ちです。」
「いいだろこういうところ。」
「幸せです〜」
ホントは知って欲しいんだけどね。知らせる手段がない。
「十里さん。かくれんぼしましょう!」
お弁当を食べ終わるなり彩ちゃんが提案する。
「え?かくれんぼするの...」
「ダメ......ですか?」
あーそんな目するな。そんな目されたら断るわけないじゃないか。ある意味チート技だよな上目遣い。
「......分かったよ。やろうか。」
「わーい!じゃあ十里さん鬼ね!」
「うせやん......あんまり遠く行くなよ!」
「は〜い!」
「しょうがないな彩ちゃんは。」
俺は苦笑しながらカウントする。
心を開いてくれるのは嬉しい。だけどそのうち振り回されそう...
ちなみに何回かかくれんぼをしたが、やっぱりあの子は抜けている。
数えるのを忘れるぐらい頭隠して尻隠さずをやったんだろうか?逆に隠れる側になれば中々見つからず涙目になって探すのを遠くから見てた。
「十里さん酷いです!あんな難しいところに隠れるなんて!」
「俺そんなとこに隠れたつもりないんだけど...」
「もう知らない!」
あーあー、拗ねちゃったよ。そのままゴロンとシートの上で転がる。
俺も隣に寝っ転がる。
「十里さんは今の仕事はどう思うんですか?」
しばらく経って彩ちゃんがこっちを向いて聞いてきた。機嫌は直ったんだ...
「まぁ嫌ってわけじゃないな。でも退屈だったよ。」
「だった......ですか?」
「今は遠くからお客さんが来たから楽しいよ。仕事に関係ないけどな。」
ニカッと笑う。
「それって私のこと?」
「他に誰が居るって言うんだい。」
「え〜恥ずかしいよぉ...」
微かに覗いてくる太陽を見ながら彩ちゃんと会話した。
そして鳥の声やっぱり水の音を存分に楽しんだ。
「そろそろ帰ろっか。」
「うん。今日は楽しかった。」
気づけば夕方。島本のためにも飯を作らんとな。
「それにしてもこの子凄いな...逆向きで爆睡だよ。」
車の向きを入れ替えることは出来ない。だからバックをする体勢で走っている。
当然引っ張られる感覚になるのだが、それでも隣の女の子は夢の世界だ。
「あんだけはしゃげば疲れるわな。」
少しだけ頬をつんつんしてみる。起きない。でもだらしなく笑っている。
「アイドルがヨダレ垂らして寝ていいもんかねぇ...」
辺りはもう真っ暗。やっと見えた1つの明かりを目指してラストスパートだ!
誰も知らない場所って憧れますよね?
主は残念ながら住宅地に住んでいるので、誰も知らない場所なんて見つけること出来ません。
話は変わりますが、この物語に出てくる土地名などはフルーツから取っています。
明備と葡萄川はそのままですね。二桜、七市、灰奈、鱒角は何か分かりますか?まぁそのままです笑
逃亡アイドルの人気が右上がりです。なぜそんなに上がってるのかが今でも不思議に思います。感想や評価を下さる方には感謝しかありません。短い間ですが、最後までのお付き合いをお願いします。
また長々書いてしまった...
それでは次回もお楽しみ