インフィニット・ストラトス ~とある青年の夢~   作:filidh

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第八十九話 生徒会室会議

俺が持って来た茶菓子を虚さんに渡した後ソファに腰掛ける。

持ってきたものはクッキー、マドレーヌ、一口大のガトーショコラとパウンドケーキ。後はホイップクリームなどでデコレーションしたカップケーキである。

来る途中に人に合わないかヒヤヒヤしながら運んできたためけっこう疲れた。

別に俺の手作りお菓子がステータス云々を気にしているわけではなく単純に簪にばれたくないだけである。

……気にしていないというのは正直に言うと嘘だが。

持ってきたお菓子に対する反応は悪くない。

本音は予想通りに目を輝かせている。

虚さんは表面上はいつも通りだが少しそわそわしてるな。

楯無は俺を見て笑いながら『見事‼︎』と書かれた扇子を口元で広げている。

あの笑い方、未だに俺から一本取ったのを思い浮かべてるな。

シャルロットの方は……アレ?何を悩んでるんだ?

 

「シャルロット、どうした?」

「うーん……最近クッキーとマドレーヌは一緒に作った記憶があるけど……」

「カップケーキは俺が食いたいから焼いた。残りは前に一緒に作った物の冷凍だ」

「……ソウ、料理を作するときは呼んでって言ったよね、私」

「作ったの今朝だよ?訓練の時間を削って」

「じゃあ起こしてよ」

「いや、それはさすがに……」

 

頬を膨らませ上目づかいで怒るシャルロット。

食い意地をはって……いるわけではないことはわかっているが…

今朝、突然食いたくなって訓練を切り上げて作ったのだ。

流石に俺の気分で朝早くから『一緒にお菓子作ろうぜ!!』と起こすことができるほど、俺の神経は図太くない。

しかし約束を破って怒らせてしまったのは事実な訳である。

頭をかきながらため息をつく。

 

「はぁ…次カップケーキ焼くときはしっかり呼ぶからそれで勘弁していただけますか?」

「わかればよろしい……なんてね。本当は気にしてないよ。ただソウのことだから実は今さっき焼いてきましたって言うかと思って」

「さすがにそこまでしないよ」

 

そう笑いながらシャルロットに茶化される。

それを見て楯無はニヤニヤしている。

なんかからかう気だな?

 

「あら〜?あんまり校内でいちゃついてないと思ったらそういうところでいちゃついてたの?お姉さんにも何してるか教えてくれない?」

「何って……料理作ってるだけですけど」

「本当に?」

 

そう言ってニヤニヤしてくる。

やましいことなど何もないのでジト目で睨み返す。

すると標的をシャルロットに変えたようだ。

 

「シャルロットちゃんは風音君の部屋で何をしてるの?」

「料理しているに決まってるじゃないですか。第一ソウの部屋には一夏もいるんですよ」

「ふぅ〜ん……」

 

よし、シャルロットのほうの切り返しも突き込まれるようなところはないはずだ。

下手なからかいは俺に返されると楯無は知っているからな。

だが今日の楯無は一味違うようだった。

 

「じゃあシャルロットちゃん。さっきカップケーキのところでちょっと怒った理由、お姉さん当てちゃおうか?」

「へ?」

 

そう言うとシャルロットはキョトンとしている。

いや、理由も何も俺を少しからかっただけじゃないのか?

そんなことを考えているとニヤニヤしたまま楯無が扇子を閉じると『バーンッ!!』といった効果音がつきそうな勢いで俺たちの方に向ける。

 

「それは……ズバリ、花嫁修業でしょ!!」

「…………はぁ?」

 

と気の抜けた声を出してしまう。

いや、この(脳内お花畑)何言ってるの?

半分呆れながらシャルロットのほうを向いてみると………何真っ赤になってるの?

顔をまるでリンゴのように赤くしながら小さくなるようにして俯いている。

布仏姉妹は何かに気がついたのかシャルロットと俺を見ながらニヤニヤしている。

………いや、ちょっと待って。

しかし俺の気持ちを察してくれるはずもなく、一瞬たりとも待つことなく楯無は話を続ける。

 

「いやぁ、泣ける話ねぇ。将来のことを考えて今のうちから旦那さまが好きな味を覚えようなんて。そりゃ、知らないところで作られたら困るわよね。次にいつ作るかわからないでしょうし」

「ふぁ!?ちょ、ま!?」

 

え?そう言う話だったの!?

単純にシャルロット(コイツ)が料理のレパートリー増やしたいだけだと思ってたんですけど!?

しかしシャルロットの反応を見る限りMs.OSAの考えが正しいらしい。

楯無の矛先はそのまま俺に向かう。

 

「風音君も知らず知らずとはいえ、順調に花嫁を育て上げてるなんて……これで何時でもお婆様にシャルロットちゃんを紹介できるわね。花嫁として」

 

そう言われてさらに赤くなるシャルロット。

反応したら負けと言いたいが……俺の方も顔が熱くなっている自覚があるからなんとも言えない。

それを見て本音が驚きながら声をあげる。

 

「ソーが照れてるところ初めて見ちゃった……あの金髪のお姉さんにキスされた時も赤くすらなってなかったのにぃ」

 

いや、あの時はぶっちゃけ後ろにいた(シャルロット)プレッシャー(威圧感)の方がでかかったからね。まぁ無くても反応は隠せるけど。

しかし、OSA絶好調だな、おい。

あれか、今までからかわれた分を今のうちに全部返す気か?

 

「そこのところ正解かどうか教えてくれない?シャルロットちゃん?」

「……………はい…正解です」

 

蚊の泣くような声で答えを言う。

それを聞いてわきたつ三人にさらに赤くなるシャルロット。

それ別に答えなくていいからね?

それでダメージ食らうの俺だけだから。

……はい、今の言葉で顔が真っ赤ですよ、自分。

畜生。楯無の奴楽しそうに俺の顔見てすごく楽しそうだな!!

虚さんは顔を真っ赤にして興味津々だし。

本音はお菓子が来た時より目を輝かせていやがる。

あー……これは一組メンバー➕αに広まるのは確定だな。

ここはこれ以上傷口を開かれる前に一旦話を切ろう。

このままだとこの後の話がまともに進まなくなる。

しかし花嫁修業か……

シャルロット(コイツ)そんなこと考えてたのか。

正直、俺はそこまで考え付き合ったか、と言われるとそうとは言えない。

じゃあ別れるつもりだったのか?と聞かれたら絶対にそれはないと断言する。

つまり、こっちの世界で俺として生きると言いながら、まだ何処か覚悟をきめておらず傍観者気取りだったのだろう。

このままじゃいけないし、何よりもシャルロットに対して誠実とは言い難いな。

とりあえずこの考えを止め、小さく咳払いをして平然につとめる。シリアスな事を考えて少しは顔の熱も引いたし。

っと言ってもシャルロットは未だにゆでダコみたいに真っ赤だし、生徒会メンバーはすごーくいい笑顔でこちらを見ている。

 

「とりあえず僕とシャルロットの事は置いておいて真面目な話をしましょう」

「二人の未来に関する話も凄く真面目で重要だと思うわよ?」

「茶化すだけだったらこのまま帰りますよ」

 

げっそりした顔でそう言うとうーん、と少しだけ悩んだ後名残惜しそうに扇子を広げる。すると扇子には『残念』の文字。

いつの間にすり替えたんだ?

スピードで切り替えたなら気がつく自信はある。

ということは俺が意識してない瞬間か…………いっぱいあったな。

こうして話し合いが始まる前に俺とシャルロットは疲れきっていたのである。

 

 

 

 

 

 

虚さんに紅茶を淹れ直してもらった後に話しを始める。

途中楯無から『もう十分甘いから砂糖はいらないわ』とからかわれたが虚さんがいい加減にしなさいと叱ってくれた。

本当にありがとうございます。

そんなこんなでやっと本来の目的だ。

楯無が俺とシャルロットを呼んだということは十中八九『篠ノ之束』関係だろう。

意識を真面目な話に切り替える。

楯無の方は一旦紅茶を飲みながらマドレーヌを口にしている。

マドレーヌを一つ食べ終えたところで話しを始めた。

 

「ごちそうさま。美味しかったわ」

「口にあったなら幸いですよ」

「いえ、本当に美味しかったわよ?普段から食べたいってくらい紅茶にも合うし……本題に入るけど、風音君」

「なんでしょう」

「『真面目な話』と『真面目だけど阿呆らしい話』と『とっても楽しい話』どれから聞きたい?」

 

何だその選択肢は。

つい顔をしかめてしまう。

『真面目な話』はおそらく『篠ノ之束』関連の話とみて間違い無いだろう。

そうでなければシャルロットを連れて来た意味がない。

では『真面目だけど阿呆らしい話』と『とっても楽しい話』……

正直検討もつかない。

この場合は……

 

「『真面目な話』からお願いします」

「わかったわ。これは『篠ノ之博士』関連よ」

 

真面目な顔で楯無は話す。

シャルロットの方も気を引き締めているようだ。

 

「9月中に攻めてくると考えているわ……今までの経験上イベント中に攻められていることから、おそらく学校祭当日が一番怪しいと見てるわ」

「学校祭か……」

 

そう言われてもうほとんど思い出せない向こうの世界の記憶を引っ張り出す。

えっと……一夏争奪……秋…亡国………妹……

だめだ。これ以上出てこない。

まず『秋』だけど……季節か?いや、そんなこと覚えておくほど重要なことじゃないか……

『亡国』はまず亡国機業(ファントム・タスク)と見て間違い無いだろう。

ってことは束ではなく亡国機業が攻めてくるのか。

『一夏争奪』は……いつものことだ。

気にするだけ無駄だ。

最後に『妹』………

パッと思いついたのは『篠ノ之 箒』『更識 簪』そしておそらく関係無いだろうが『布仏 本音』……

この三人だ。

一応気にかけておこう。

しかし………ぶっちゃけ細かいとこだと全く役立ってないな、向こう側の世界の記憶(これ)

まぁ、昔の事だから仕方ないって言ったらそれまでか。

うーん、と考えてる真似をしながら記憶を引っ張りだしているとシャルロットがこちらに尋ねてくる。

 

「ソウ、何か思いついた?」

「……たぶん今回は無人機は来ないと思う」

「どうしてそう言い切れるの?」

 

不思議そうにシャルロットが尋ねてくる。

布仏姉妹も聞きたそうにしているが、楯無はやはりといった風にしている。

 

「一番の理由は学園外の人間が多すぎるからね。流石に一般公開とまではいかなくても部外者が多く学園内にいる状況では無人機を使うのはリスクが大きい過ぎる」

「どういうこと?」

「仮に一機でも落ちて一般社会にその正体がばれたら僕を殺すのに無人機が使いづらくなる。使おうものなら直ぐに国際社会でテロリスト扱いで……箒にもダメージが来る。国際社会は気にならなくても箒が追い詰められるのは許容しないだろうよ」

「ええ、私たちもそう考えてるわ。そして今回襲撃してくるのはおそらく……亡国機業(ファントム・タスク)でしょうね」

 

まぁ、削除法でいけばそうなるか。

あのクレイジーラビットのことだ。

国際社会からの批判など屁の河童だろう。

だが、自分の可愛い妹が攻撃されるのは我慢ならないはずだ。

………我慢出来ずに交戦状態にする可能性もなきにしもあらずだが……あれ?

待てよ。向こう側の世界(あっち)の記憶をもっとよく引っ張りだしてみろ。

…………今回の事件って篠ノ之束関わってたっけ?

……自信は無いが何もしてこなかった気がするんだが。

そういえば諸悪の根源みたいな扱いしてたけど別に攻めてくる理由があるのは彼女だけじゃ無いんだった。

っていうかこの学園警備ガバガバすぎだろ。

そりゃさ、ISに襲撃されたらどうしようもないってのはわかるけど。

スパイだったシャルロットを簡単に懐に入れるとか、向こう側の世界(あっち)の記憶ではあと何回かは襲撃されるんだよなぁ………

まぁそこら辺は一生徒の俺が気にしても仕方ないか。

俺が関係無いところまで頭を回していると真面目な顔で楯無が話しだす。

 

「風音君、言ってしまってはなんだけど、あまり考えすぎても無駄よ。精々今の私たちにできることと言えば襲撃された時の避難場所の設定と戦闘許可地域への誘導。これについての擦り合わせくらいよ」

「………ですね。考えても何もいいアイディア出てきませんし。こっちから攻めたらまた話は別なんですけどねぇ……」

「防衛戦の痛いところね」

 

そう言って二人でため息を吐く。

相手が篠ノ之束だけならどうってことはない、海の上で逃げ回ればいい。

でも他の亡国機業とかと合同で攻めて来られれば……ああ面倒臭い。

 

「ってことはこれからの話はその避難とか戦闘許可地域とかの話ですか?」

「私もそうしたいんだけどねぇ……」

 

そう言う楯無の顔は疲れ切っている。

憎たらしげにクッキーを一つ噛み砕いた後紅茶をすすり一息ついた。

この人がこんなに疲れるって何があったんだ?

 

「『真面目だけど阿呆らしい話』についてよ」

「さっきも思ったんですが、何それ?」

「………貴方からIS没収しろって声が上がってるのよ」

「………へ?」

「どういうことですか!?」

 

その言葉に変な声を上げる俺と俺よりも声を上げるシャルロット。

布仏姉妹も知っていたのか暗い顔をしているが。

っていうかどこの誰よ?そんなこと言い出したのは。

いや、別にそういう声が上がるのは承知してたけど今になって楯無が話すってことは最近になって大きくなってきたって事でしょう?その声が。

そんなことボケーと考えてるとシャルロットが話を進めてくれた。

 

「楯無さん、どういうことなんですか?」

「どうしたもこうしたも1、2、3年生のごく一部の間で風音君は専用機を持つ資格はないって声が上がってるのよ」

「資格も何もソウの機体は第3世代型の実験機で……」

「で、現在はデータがほとんど取れず、更にその解明作業に従事しているわけでもない」

「でも、ソウの実力なら!?」

「大会成績と活躍を紙の上で見てみなさい」

 

そう言って楯無は面倒臭そうに紙を渡して来た。

 

・初戦 対【セシリア・オルコット】

 自身の機体不備により『敗北』

・二戦目 学年別トーナメント

 織斑一夏、シャルル・デュノアと共闘。

 未完成機と量産型相手に立ち回るも押され気味。

 途中アクシデントがあり『無効試合』

・三戦目 対【銀の福音】

 機密のため細部は不明だが専用機で撃墜される。

 

という感じのことが書いてある。

もう少し細かく説明するなら所々嫌味が書いてあるくらいだろうか。

まぁ間違いは書いてないな。

っていうか三戦目は一夏にも言えるんじゃないの?

俺の場合はここに一時行方もあるか。

一通り眼を通したあと楯無に話しかける。

 

「会長、これなんですか?」

「貴方からISを取り上げろって言ってきた子たちがわざわざ作ってきてくれたのよ。ちなみにさっきの私の言葉もその子たちの主張よ」

 

へー、そうなんだ。

まぁ嘘は書いてないからいいんじゃない?

あえて載せてないこともあるだろうけど、だいたい一般生徒に広まってる噂はこんなもんじゃないかな。

しかしシャルロットからしてみれば面白くないらしい。

 

「こんなの……酷い……」

「正直私も面白くないわよ。でも立場上、彼女達の意見を完全に無視っていうのもできないのよねぇ……」

 

そう言って楯無はなんとも面倒臭さそうにしている。

一方俺はシャルロットに笑いかけ気にしてないと慰めていた。

こういう風に言われるのは承知してたし、っていうかむしろ遅かったなーって思ったくらいだ。

楯無は俺を見てうつむき気味に話を聞いてきた。

 

「……風音君としてはこれを見てどう思ったわけ」

「うーん…面白くないですねぇ」

「…そう…よね」

「もっと僕のことを悪者っぽく書いてくれなきゃ」

「…ええ…もっと悪者…………へ?」

 

そう気の抜けた声をだして俺を見る。

一方俺は本気で文章にダメだしをしていた。

 

「この文章なかなかいいんですけど、所々書いた人の嫌味みたいなのが入ってるのを隠しきれてないんですよね。で、僕に関してのところはそのままの事しか書いてないから逆に書いた人の悪意の方が目立っちゃうんですよ。だったら初めから僕をクズの塊みたいな悪党にしたほうが共感する人も多いだろうし何より僕が読んでいて楽しい。これじゃあゴシップ雑誌読んでるのと大差ないですねぇ……」

 

一通りこの紙に書いてあることについての意見をあげた後周りを見渡す。

楯無は頭を押さえて何か悩んでる。

虚さんはぽかーんとしてるし本音は苦笑いしている。

あれ?っといった顔でシャルロットを見てみるとため息をついている。

 

「ソウ……楯無さんはそういう事を聞きたいんじゃないと思うんだけど……」

「え?でもぶっちゃけその程度の事しか感じないよ?」

「……かなり舐められてるのよ、貴方」

「それが何か?」

 

と言って首をかしげる。

それを聞いてため息をつく楯無。

シャルロットに至っては突然吹き出し「怒って損した」と言いながら笑いだした。

いや、だってさ、気にするだけ無駄じゃない?

それに対策って言っても何するの?聞いてみるか。

頭を抱えげっそりしてる楯無に声をかける。

 

「楯無さんはこれに対しどうする気なんですか?……っていうか僕がそんなこと気にしない人間だって知らなかったんですか?」

「貴方のいう『そんなこと』の対策でしばらく頭悩ませてたんだけどね、私たち」

「お疲れ様でした」

 

そう言って紅茶をすする。

『真面目だけど阿呆らしい話』なんていうからどんな話が来るかと思えばそんなことか。

楯無は俺をうらめしそうに見た後一度深くため息をつき話し始めた。

 

「事の経緯を説明すると、元々男性操縦者と箒ちゃんからISを取り上げろっていう声は前から上がってたの」

「僕と一夏は単に『男を特別扱いするな』ってことでわかるけど箒はなんで?」

「いろいろオブラートに包んで言ってたけど、ようは『姉の七光りで手にいれるなんてズルイ』ってことらしいわ」

 

あー、そういうことか。

真面目に努力していた方からすればポッと出の、しかもそれほど操縦が上手くない一年生が難なくISを手に入れたのが面白くないってわけか。

まぁ、直接箒に言い寄らなかっただけ大人だな。

 

「ちなみに直接、箒ちゃんに言いに行こうとした子もいたけど私の方で対処しておいたわ」

「……………」

 

お、大人じゃない子もいたらしい。

楯無は紅茶を一口飲んだ後に再び話し始めた。

 

「言ってしまえばISを没収するなんてことは初めからできないわ。ただクレームがねぇ……まぁこの三人のうち2人は直ぐになんとかなりそうなのよ」

「誰と誰なんですか?」

「織斑君と貴方よ、風音くん」

「箒は何がダメなんですか?」

 

そう尋ねるシャルロット。

しかし俺よりも箒のほうが問題か。

正直2人って言われた時点で『あ、問題は俺だな』って思ったんだが……

理由は聞けばわかるか。

 

「織斑君は正直かなり良いわ。お師匠さんとの稽古に自主練。更には他の専用機持ちとのこと練習試合でメキメキと力を伸ばしているわ。その前向きな姿勢と成長速度、そして練習量を見て文句を言う人はいなくなったわ」

 

そりゃあのキチガイじみた練習量はなぁ……

ぶっちゃけなんでオーバーワークになってないのかわからんレベルだぞ?

やはり織斑の血か……多分戦闘民族か何かなんだろう。

勝手に一人で納得していると楯無が次の話を始めていた。

 

「続いての箒ちゃんなんだけど……贔屓目で見ても周りの専用機持ちから3〜4歩くらい遅れてるわ。って言っても多分これが普通ね。同じ初心者の織斑君の白式は言ってしまえば『突っ込んで斬る』これしかできない(・・・・・・・・)機体だもの。極める方向性はすぐにわかるわ」

「そうか、それに比べて箒の紅椿は自己進化型の万能対応機……できることが広すぎるせいで扱いが難しいんですね……」

 

シャルロットがそう言うと何も言わずに頷く楯無。

ようは箒は初心者向けじゃない機体を渡されているわけか。

そりゃ武器として使うのなら使いやすさも実力に関係してくるよなぁ。

 

「箒ちゃんに関しては私の方で稽古をつけるわ」

「楯無さんが!?」

「私のISは第3世代型だけどある意味どのISよりも自由自在(・・・・)よ?おそらく自己進化に対して良い影響を与えると思うわ」

「いや僕が気にしてるのはあのクソがつくほど真面目な箒から楯無さんが変出者扱いされないかと……」

「……いい加減泣くわよ?本気で」

 

俺がからかうと楯無は頬を膨らませる。

そして更に俺はシャルロットに頭を叩かれた、いてぇ。

虚さんには『仲が良いのですね』と笑われ本音も同じように笑っている。

 

「もう!!ソウ!!真面目に話をしようよ」

「次は僕の番だから緊張しちゃって」

「そんな性格じゃないでしょ!?」

「……確かに」

「自分で納得してるんじゃないわよ、まったく」

 

そうシャルロットと楯無に怒られるが笑いながら許してもらった。

さて次は俺の評価か……

なんて言われるんだろう。

 

「風音君に関しては研究に積極的に協力するわけでもないし、ISの練習もほとんど行わない。試合をしても本気を見せない。かなりの問題生ね」

「授業態度は真面目ですよ?」

「織斑先生に何言われるかわからないもんね」

 

シャルロットの言葉に苦笑いを返す。

いやマジで下手な点数取ろうものなら殺されかねん。

これは俺と一夏との共通認識だ。

 

「そこらへんは今はどうでもいいわ。問題は今現在、三人の中で貴方が一番舐められているのよ」

「ああ!!だから今になって声が増えたのか!!」

「いや、そうなんだけどそんな風に納得してる場合じゃないわよ」

「それもそうですね。で、どうします?」

「簡単よ、この中の三人の中で一番強いってことを試合で示しなさい。そうね、次の大会で一人で出て、いい成績を収めなさい。それこそ優勝狙えるでしょ?貴方」

 

何を言ってるんだこの人?

第一、次の大会はタック戦だったはず。

それよりも何よりも問題がある。

 

「いや、その大会って楯無さんも出るでしょうに。無茶言わないでくださいよ」

「無茶じゃないでしょ?」

 

そう言う楯無の目にはどこか確信が見える。

この人何に気が付いた?

俺が何か言う前に楯無が俺の目をしっかりと見つめこういいはなった。

 

「風音君、貴方一度も、それこそ福音の時ですら本気で戦ってない(・・・・・・・・)でしょう。」

 

 

 

 

 

 

偉大な意志の力なしに、偉大な才能などというものはない。

〜バルザック〜

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