インフィニット・ストラトス ~とある青年の夢~   作:filidh

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第九十一話 学級裁判!?

放課後の特別HR。

一年一組では現在、学園祭に向けて出し物の議論中だ。

一夏が黒板の前に立ち必死に意見をまとめているが、出てくる意見は……

『織斑一夏のホストクラブ』『織斑一夏とツイスター』『織斑一夏とポッキーゲーム』『織斑一夏と王様ゲーム』………比較的に集客は見込めそうだな。

一人『織斑一夏』という犠牲者が出るが……

おい、一夏。

そんな捨てられた仔犬のような目で俺を見るな。

彼女たちも本気で言ってるわけじゃない……たぶん。

 

「あと何が出てないかしら……」

「あっ!『織斑一夏のマッサージ倶楽部』なんていいんじゃない!?」

「確かに!!それなら先生方の審査も通りそうだし!!」

 

……ごめん、自信なくなってきた。

しかし一夏は人気だな……

こっちは俺の名前が一切出ないのが逆に不安なのだが……

なんか嫌われるようなことやったかな?

そしてここで流石の一夏も吠えた。

 

「あ、アホか!?誰が喜ぶんだこんなもん!!」

「少なくとも私は嬉しい!!」

「部の先輩がうるさくって……」

「でも集客を考えればこれが一番なのよね」

「織斑一夏は共有の財産である!!」

 

現在教室内に千冬さんは居らずある意味無法地帯である。

山田先生はいるのだが……ポッキーゲームで反応してたためおそらく乗り気(あちらがわ)だ。

一夏はがっくりと肩を落とし俺に助けを求める。

 

「奏……なんとかしてくれ……」

「仕方ないなぁ、のび太くんは」

「ど、ドラえもん……ってふざけてる場合じゃないんだよ!?っていうかなんで俺の名前ばかり上がってお前の名前が一切上がらないんだよ!?」

「それは僕も不思議に思ってた。ねぇみんな、なんで?」

 

そう言って座ったまま後ろを振り返る。

ちなみにこの世界に来て一番驚いたのは某青だぬきがしっかりと国民的アニメだったことだ。

世界違えど彼だけは共通だったらしい。

今は全く関係ないことだが。

みんな一旦互いに顔を見合わせた後口ぐちに話し出す。

 

「いや、だってねぇ……」

「デュノアちゃんに悪いっていうか……」

「流石に彼女持ちはねぇ…」

 

と言っている。

ああ、そこらへん気にしてたのか。

って言っても学園祭なんて馬鹿騒ぎする場だし、そんなに気にしなくてもいいと思うぞ。

やりたく無いから口には出さないが。

一夏のほうもそれで納得はしてないが理解はしたらしい。

 

「まぁ……だったら仕方ないか……でももっと普通なのだしてくれよ!?俺がこれを千冬姉に持ってくんだぞ!?絶対殺されるって!!」

「そこは織斑君がなんとかしてくれるって、私たち信じてるから!!」

「そんな信頼いらないよ!?って言うかやられるのは俺だけじゃなくてみんなもだからな!?」

「よしみんな!!真面目な意見をそろそろ出そう!!」

「「「「「「おおっ!!」」」」」」

 

鬼のような形相の千冬さんを思い浮かべる。

……それだけはヤバイ。

焦るようにしてクラス全体を促すとみんなも同じ事を考えたようだ。

流石千冬さん。

このクラスはやっぱり貴女のおかげでまとまってます。

って言ってもなぁ……

学園祭ってなにやりゃいんだろ?

お化け屋敷……客が来るか?

喫茶店……インパクトが弱い。

みんなで頭をひねり唸っていると

 

「メイド喫茶などどうだ?」

 

という発言。

おお!!結構まともな意見。

いったい誰が……って今の声って……

 

「ラウラ?」

「うむ、私だ。客受けはいいだろうし、経費の回収も行える。それに休憩所にもなるから需要は確実にあるだろう」

 

すげぇ!!!今まで一番マシな意見!!

むしろ、なに?この結構色物扱いのメイド喫茶が普通に聞こえる異常状態!?

っていうか色々考えるなラウラ。

そういや一回シャルロットとメイド喫茶でバイトみたいなことしてたんだっけ?

俺としてはかなりいい意見だと思うが…周りの反応が悪い。

っていうか思考がついてきてないな。

普段のラウラのキャラを考えれば仕方ないか。

一夏もぽかーんとした顔をしている。

とりあえずラウラのアシストしつつ動くように言っておくか。

 

「クラス委員長、みんなにも聞いてみればどうだ?僕はすごい良い意見だと思うぞ?」

「へ?あ、ああ……みんなはどう思う?」

 

という一夏の問いかけにも反応は薄い。

ふむ、どうしたものか……

そう考えているとシャルロットの援護が入った。

 

「いいんじゃないかな?一夏は執事の格好して貰えばいいだろうし、メニューの方はソウがいるしね」

 

流石シャルロット、ナイス援護。

軽くシャルロットに親指を立ててみせる。

気が付いたシャルロットがこちらに軽くウィンクをしたと同時にクラスが沸き立つ。

 

「執事姿の一夏君……良いわね!!」

「そっか!!うちのクラスには風音君のお菓子があった!!」

「でも衣装とかどうする?」

「あー、演劇部から借りれるかな?」

「ちょっと?ここに衣装係がいるじゃない!?いざとなったら私が縫うわ」

 

クラス全体がメイド喫茶の方向でまとまってきたな。

しかし衣装か……なんか楯無あたりなら持ってそうな気もするけど……

 

「衣装についてもアテはある。執事服も含め聞いてみよう」

 

またしてもラウラの一言でクラスが止まる。

いや、彼女のキャラじゃないのはわかるけどさ、いちいちラウラを凝視するのは止めようよ。

流石にラウラもハッとして恥ずかしげに頬を染め咳払いをする。

 

「ゴホン!!シャルロットがな」

「え!?私が!?」

 

突然押し付けられ焦るシャルロット。

そのふりはどうかと思うぞ?ラウラ。

当のシャルロットは焦りながらもなんとか話しを進めようとしている。

 

「えっと、ラウラ?それってこの前の?」

「うむ、あそこだ」

「訊いてみるけど……無理でも怒らないでね?」

 

そうシャルロットは不安げにみんなに尋ねる。

みんな構わないといったふうな反応だな。

 

「じゃあみんな。一年一組の出し物は『メイド喫茶』でいいな?」

「「「「いぎな「意義あり!!!!」

 

と大声を上げたのは、一夏よりも委員長らしい鷹月だった。

なんか不満でもあったのか?

いや、この娘の場合自分が嫌だとかいう理由では確実にないはずだ。

ということは何か問題点を見つけたんだろう。

 

「私はメイド喫茶自体に意義はありません……ただ……」

「……ただ?」

 

一夏が息を飲んで聞き返す。

クラスのみんなも息を飲む……

 

「名称がメイド喫茶はだめでしょ!?これじゃ男子二人もメイド姿みたいじゃない!?」

「……………それだけ?」

 

一夏が拍子抜けしたように話しかける。

周りのみんなはナルホド……と納得しているな……

俺?俺は初めてからこうなるような気がしてたから溜め息だけで済んだ。

 

「いや、織斑君。結構こういうの大切なのよ?例えばお客さんにそこを指摘されて『やらなきゃお金を払わない!!』って言われたらどうする?」

「うっ……確かにそれは嫌だな…奏だったらどうする?」

「………一夏、お前顔つきとか千冬さんに似てるしワンチャンあるんじゃない?」

 

俺の言ってる意味が分からず首を傾げ考え込む一夏。

クラスのみんなは気が付いたらしく、一夏とは違ったことで考え込んでいる。

 

「有りか無しかで言ったら……有りかな?」

「えー織斑君には似合わないわよ」

「一夏さんには似合いませんわ!!」

「そうかなぁ…」

「そうだ。一夏にはかっこいい服の方が似合う」

「箒の言う通りだ、嫁はカッコいい方がいい」

「……………一回試してみる?」

「「「「「「…………」」」」」」

 

なんかちょっとしたネタのつもりが大変な事になってるぞ。

真面目に着せてみるっていう雰囲気になってるところもあるし。

当の本人の一夏はようやく周りの雰囲気に気が付いたようだ。

キョロキョロしながら近くの生徒に話しかける。

 

「え?みんな何話してるの?」

「えっと……織斑君、試しにメイド服着てみる?」

「ものは試しに……ね?」

「多分……いけるんじゃない?」

 

結構真面目な顔で周りに言われる。

そう言われようやく俺の発言の意味に気が付いたようだ。

顔を赤くして俺に食ってかかる。

 

「奏!!なんてこと言いやがる!!」

「いや…軽いネタのつもりだったんだが…」

「だったらなんでこんな雰囲気になってるんだよ……」

「僕だって知らないよ……あと名称の方は奉仕喫茶とかでいいんじゃない?」

 

一夏をなだめるようにして意見を述べる。

これなら俺達に何癖付けてくる奴はいないだろう。

一夏のほうは疲れきっており最早ほとんどなげやりだ。

 

「はぁ……他、何か意見は?」

「あ!!できれば奉仕じゃなくて『ご奉仕』で!!」

「みんなもそれでいい?」

 

というとみんな口々に賛成している。

……反対意見はないな。

じゃあこれで決定かな?

 

「じゃあ、俺、これを織斑先生に伝えてくるから」

「あ、織斑君。私も一緒に行きます。皆さんは後は解散して下さい」

 

そう言って山田先生と一夏は教室を出て行った。

こうして一年一組の学園祭の出し物は『ご奉仕喫茶』となった。

俺の準備はメニュー作りか……

ちょっと長持ちする簡単なお菓子をいくつか見繕えておくか……

さてそこら辺も考えながら自室に戻るか。

と考えていると教室に鈴が入ってくる。

みんな鈴を見るが特に何も言わない。

なんと言うかもうこいつがクラスに入ってくるのは日常の一部になってきてるな……

それでいて二組の方でも結構人気者らしい。

まぁちっちゃいけど面倒見もいいし明るいキャラしてるからな。

余程のことがなきゃ嫌われないか。

要件は一夏だろうし現在不在とだけ伝えておこう。

 

「あ、鈴。一夏ならーー」

「みんな!!今よ!!」

「「「「「「了解!!」」」」」」

 

俺が『何が?』という間もなくクラスメイトが動く。

教室のカーテンは閉めきてられ前後のドアには一人づつ張り込んでいる。

俺は残りのみんなに囲まれる。

何事かと思っていると、となりの一夏の席にシャルロットが運ばれてくる。

こいつの驚いた顔を見る限りコイツは知らなかったようだな…………スゲぇ嫌な予感しかしない……

現在隣の席にシャルロット。

正面に鈴。

扉の前にそれぞれ一名。

俺とシャルロットを挟む様に両脇に各数名の生徒。

そしてその後ろに俺たちを囲むようにして残りのみんながいる。

みんなポジションについたようで雰囲気はさながら裁判所だ……魔女裁判にならなきゃいいが。

黒板の前にの教卓に鈴が立ち話しかけてくる。

 

「奏?どういうことか理解できてる?」

「……発案者はセシリアで企画は鈴、クラスメイトへの説得は箒かな?」

「そういうことじゃないわよ!?」

 

わざわざ突っ込んでくれるとは、真面目な奴だな。

さて適当に逃げ出そうと思ったのだが扉の前に一人づつ張り込んでいるためそう簡単に逃げ出そうにないな。

カーテンを閉めたのも俺が逃げづらいようにするための対策か。

ここら辺はラウラが一枚噛んでそうだな。

シャルロットの方を見てみると目を丸くして俺を見ている。

こいつも訳が分からず混乱しているな。

混乱しながらもシャルロットが鈴に話しかける。

 

「えーっとみんな?私たち何かした?」

「そこら辺は今から話すわ。奏、貴方シャルロットと付き合ってどれくらい経つ?」

「少なくとも2カ月くらいかな?」

「その間にデートとかした?」

「……してないです」

「ありえないわね……っ!!」

「二カ月間お預けって……」

「風音君……それは無いわよ!?」

「普通に最低ね……」

 

途端に周りからブーイングが起きる。

って言っても今までかなり忙しかったんだよなぁ……

それに周りからの目線もあったからなぁ……

どっちの部屋にもルームメイトいるから常に二人きりとかも無理だしな。

そんな俺の考えなど無視して話は進む。

 

「静粛に!!……検察側何かある?」

「私たちの捜査の結果、普段一緒には行動していますが別段イチャついているわけではなく、休日も部屋でただ一緒に何かしているだけのようです。これは織斑君、ボーデヴィッヒさん両名からも確認済みです!!」

 

その発言に頷くラウラ。

検察って……刑事ドラマの見過ぎだ。

横目でシャルロットを見るとこいつも頬をひきつらせて苦笑いをしている。

つづいて鈴は反対側にいる生徒に話しかける。

 

「弁護士側、弁論はある?」

「無いです」

「「ないの!?」」

 

シャルロット同時に突っ込んでしまう。

おい、仕事をしろ弁護士。

しかし弁護士こと夜竹は言い分があるらしくため息をつく。

 

「……はぁ…風音君。ひとつ聞くわよ?」

「はぁ………?」

「いかなる理由ならば自身の彼女を放置していい理由になる?」

「………」

 

それを俺に聞くのは反則じゃない?

って言ってもそれもある意味間違ってないよなぁ……

何も言えずに考えているとシャルロットからの援助が入った。

 

「私は別に放置されてないよ?そりゃデートはしなかったけどソウ、私のことを常に気にしてくれてたし……」

 

その言葉に……

自分がすごく情けなくなる。

いや、確実にシャルロットからしてみれば不満はあるだろうに……

それをこんなにも悪くないといわれると……

これでは、DV夫を擁護する妻の様に感じてしまう。

つまり俺がDV夫だ。

 

「ソウ?どうしたの?」

「いや……この裁判、結構くるものが……」

「奏は気が付いたようね……」

 

どう言って鈴が俺を見下す。

俺は頭を両手で抱えうつむく。

いや、できてるだけ考えないようにしてたけど、俺確実に彼氏として最悪だよな。

っていうか考えないようにしてる時点で最悪だな……

シャルロットは訳が分からず突然うつむいた俺を心配する。

 

「ソウ!?どうしたの!?」

「いや……何というか……」

「デュノアさんやるわね…」

「ええ、一気に風音君に現状の再認識と健気な自身の立場を理解させたわ……」

「さらに風音君に罪悪感まで植えつけたわね」

「え!?………あ…ソ、ソウ!?違うからね!?私そういうつもりじゃ!?」

 

そう顔を赤くし目を回しながら俺に力説するシャルロット。

お前にそのつもりが無くても現状は変わらないんだよなぁ…

落ち込む俺に鈴が話しかける。

 

「自身の罪を自覚したようね……」

「鈴…いや、裁判長」

「いや、そこは鈴でいいわよ」

「…僕、結構っていうか、かなーーーり最悪な彼氏だった?」

「……周りを見なさい」

 

そう言われ俺は周りを見渡す。

みんなかなり厳しい顔をしている。

要はこれが傍目から見た俺の評価なんだろう……

 

「奏……厳しい事を言うようだけど、あんた彼氏として酷いわよ?」

「裁判長……僕、一体どうしたら……!?」

「だから裁判長じゃないってば!!そうね…そこは自分で考えなさい?」

 

やっぱりこいつは弄ると輝くな。

しかし悪ノリして場を誤魔化したが、実際酷い男だよな、俺。

普通に考えればデートでもすればいいんだろう。

だが、今このタイミングでやると、確認に俺に不満を持つ奴に『真面目にISに乗らずに彼女を作り遊び回ってる』って思われるんだよなぁ…

俺は気にしないがこの時期に楯無の仕事を増やすのはなぁ……

頭を悩ます俺にシャルロットが苦笑いしながら話しかける。

 

「ソウ?本当に私は大丈夫だよ?」

「シャルロット!!あんたのそれもいけないのよ!?」

「……ええっ!?」

 

鈴に怒られるようにして指摘され驚くシャルロット。

しかしみんな悪ノリしてるのか、場の雰囲気は完全に魔女裁判だな…

そろそろ逃げるために準備をしておこう。

俺が考えをまとめている間にも鈴の言葉に続くように周りのみんなも話しかける。

 

「そうよねぇ……優しいのと甘やかすってのは違うからねぇ……」

「デュノアさん、少し甘やかしすぎね」

「もっと強くデートしたいとか言わないと」

「そこに甘える奏くんも悪いけどね」

「えっと……でも……」

 

うわぁ……シャルロットもボロクソ言われてら。

っていうか結論俺が悪いのね。俺もそう思うけど。

しかし……俺は今更の疑問を口にする。

 

「ねぇ、鈴」

「何よ」

「これって結局のところ何が目的の集まりなの?」

「え?あっ。これ渡すのが本当の目的だった」

 

おい、目的忘れるなよ。

っていうか何か渡すなら普通に渡せよ。

俺は呆れ顔で鈴から封筒を受け取る。

シャルロットも俺の封筒に興味があるようでこちらを覗き込んでいる。

封筒を開け中身を出すと二枚のチケット。

なになに『秋の星空!!最新式プラネタリウム展!!』……えっと、どういう事?

周りのクラスメイトはニヤニヤと笑いながらこちらを見ている。

そういう事か。鈴の方を向き話しかける。

 

「これに行って来いってこと?」

「そういう事。まさか文句がある訳じゃないでしょ?」

 

文句は無いし、むしろありがたいんだが……

楯無からこの間、俺にクレームがかなり来てるって言われたばかりなんだよな。

それに対して、また因縁つけられるような話題を作るのは好ましくないな。

だが……シャルロットの顔を横目でチラリと見るとすごい行きたそうな顔をしている……がこいつも事情がわかってるから俺に判断を任せるようにチラチラこっちを見ている。

…………どうする?

ここで行く選択をしたとしよう。

シャルロットとデートができ、更に個人的にもかなり楽しめると思う。

代わりに楯無にかなり迷惑をかけるだろうし、下手をしたらいらぬアクシデントを起こしかねない。

篠ノ之束が攻めてくるこの時期にそれはまずい。

行かないって選択は……

まずこの場で殺されかねない……

それから切り抜けられたとしてもシャルロットにまた我慢させてしまうし、クラスメイトからは印象最悪だろう。

だが、これは俺の問題でこの学園の防衛については別の話だ。

デートやクラスメイトの評価は後でなんとかなる。

だが学園の防衛は後からどうにでもなる問題では無い。

成功させなければ誰かの人命に関わる。

…………本気でどうしよう……

俺が悩んでいると突然声が上がる。

 

「はーい。さいばんちょー」

「だから裁判長じゃないってば!?」

「本音?どうしたの?」

「ソーが悩んでるみたいなんで証人をよばせてくださーい」

 

比較的後ろの方に居るためぴょんぴょんと跳ねながら発言する本音。

証人……嫌な予感しかしない。

 

「却下します」

「ってなんで奏、あんたが言うのよ」

 

鈴が何か言う前に却下する俺。

いや、考えれば考えるほどあの人以外くるはずないじゃん。

だが鈴はうーん、と唸りながら何か考えている。

 

「でもねぇ…このチケット自体布仏さんから提供してもらったものなのよね……」

「…………」

 

本音の提供?

……うわぁ…下手するとこの計画の発案自体一枚噛んでるの?あの人。

俺が顔をひきつらせていると鈴は考えをまとめたようだ。

 

「うん、布仏さん。呼んでいいわ」

「りょ〜かいです!!さいばんちょー!!」

 

そう言って本音は携帯をワン切りした(・・・・・・)

……ああ、こりゃ始めから選択肢自体無かった訳か。

その後数秒して教室の前の扉から、予想通り楯無が入ってきた。

げっそりとした俺の顔を見て満足げだ。

 

「ねぇ、風音君?びっくりした?」

「むしろ、全てが理解できてスッキリしましたよ…」

「それにしては顔色悪いわよ?シャルロットちゃんは……びっくりしてくれてるわね」

 

そう言って言葉も出ずに頷いているシャルロットを満足げに見ている。

クラスメイトは俺と親しげに話すこの人物が誰かわからずキョトンとしている。

いや、数人っていうか国家代表候補生はみんなわかってるぽいな。

セシリアは真面目な顔で、楯無からは目を離さず俺に声をかける。

 

「……奏さん…その方を紹介していただいてよろしいかしら?」

「うん?どうします?ご自分でやりますか?」

「頼まれたのは貴方よ?」

 

あー…面倒だな……

下手な事は言えないしなぁ……

この際、何処ぞの原住民みたく『オサ タテナシ コノ ガクエン サイキョウ オサ ヤッテル』とでもやってやろうか……

……それはそれで面倒だな。

普通に行こう。

 

「了解ですよ……あー…この人の名前は更識楯無。IS学園の生徒会長でロシアの国家代表やってる人」

「やはり……」

「この人がねぇ……」

 

と言い納得しつつもシャルロット以外の専用機持ちは強い目線を楯無に向ける。

楯無も普段ならスルーするだろうがあえてその目線に対し軽く気迫のようなものを当てている。

おい、どこのバトル漫画だ!?

……面倒ごとになる前にさっさと終わらせよう。

 

「で、楯無さん。どっからどこまで貴女の予定通り?」

「うーん……6割くらいかな?」

「……ソウ?どういう事?」

 

シャルロットが首を傾げている。

他のみんなも『え?』っといった顔をしてるな。

俺は本音の方を向き声をかける。

 

「のほほんさん。このチケットの出処って楯無さんでしょ?」

「せいかいだよ〜」

「んで楯無さん。このチケットを僕に渡せって言いましたね?」

「うーん…だいたいあってるわよ?ただ私もこんな風にみんなに囲まれてるとは思わなかったけどね」

 

そう言って可笑しそうに笑う楯無。

始めから貴女の手のひらの上だった訳か……

ため息をついて俺はシャルロットの方を笑顔で向く。

シャルロットも大体状況を把握したようで苦笑いしている。

とりあえず行っても問題は無いからチケットを渡したんだろう。

 

「シャルロット、問題は無いみたいだし行くか」

「え?……いいの!?」

「問題は楯無さんの方が対処してくれるみたいだし……なにより僕はすごく行きたい。どう?」

「……うん!!行こう!!」

 

そう言って満面の笑みを浮かべるシャルロット。

俺も結構楽しみだし、何よりシャルロットがこんなに楽しみにしてるんだ。

絶対にいいデートにしよう。

そこでハッとして回りを見る。

……全員ニヤニヤして俺たちの事を見てるな……

その後俺は、シャルロットと二人でクラスメイト+鈴、楯無にからかわれながらデートのプランを頭の中で組み立てるのだった 。

 

 

 

 

恋愛とは二人で愚かになることだ。

〜ポール・ヴァレリー〜

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