インフィニット・ストラトス ~とある青年の夢~   作:filidh

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第九話 戦いの理由

「だ~か~ら~、僕がISの操縦が下手なだけだって!!」

 

今日何回目になるかわからない言葉を一夏に言う。

授業終了後俺はすぐさまクラスメイトに質問攻めにあい、どう言う事かを聞かれた。

『本当に生身で戦ったの!?』、『流石に冗談だよね!?』、『先生相手に互角って何をやったの!?』、『織斑先生のなんなのあなた!!』などなどである。

まぁクラスメイトの質問に対しては適当に答えてその後逃げ回ったが、放課後に一夏につかまってしまったのである。近くには箒と未だに納得できないクラスメイトたちも居てこちらも聞きたそうにしている。

 

「でもそれなら勝てるはず無いだろ?何をやったんだ?」

「初心者だったからか、僕がISをあまりうまく扱えなくて動きやすいようにISをほぼ解除したから向こうも攻めづらかったんじゃない?」

「………ではどうしてその後織斑先生が試験をおこなったんだ?」

「そこらへんの手加減が一番上手だったからじゃないかな?僕は良くわからないけど。」

「「「「…………」」」」

 

全員納得がいかない顔をしている。

まぁなんといわれようが俺はこのことに関しては深く話すつもりは無いし既に山田先生には詳しく言わないように言ってある。

先生も悪気があったわけではなく『えっ!?スイマセン!!言っちゃいけない事だとは思わなくって……本当にごめんなさい!!』と涙目になって謝られた。

これではこちらがいじめているような気がしてあわてて『いいんですよ!?』と言ってしまったがあれをわざとやっているなら相当の策士だ……そんな事は無いと願いたい。

さてまだ納得していない一夏の意識を逸らすか。

 

「そんな事より今は一週間後の試合だ。どうするつもりなんだ?」

「……戦って勝つさ。」

「一週間で?機体はどうするの?」

「やる前から諦めるわけ無いだろ。機体は……」

「機体についてなら織斑、お前に話しがある。」

 

と俺たちの会話に突然千冬さんが入り込んできた。

このタイミングを狙っていたのだろうか?そういうことは無いだろう、うん。

千冬さんは話しを続ける。

 

「お前のISだが準備まで時間がかかる。学園で専用機を用意するそうだ。」

「へ~そうなんだ。」

「良かったじゃん一夏、専用機だってよ。」

 

と軽い雰囲気の男二人、しかし周りのクラスメイトたちは違った。

 

「せ、専用機!? 一年の、しかもこの時期に!?」

「つまりそれって政府からの支援が出てるってことで……」

「ああ~。いいなぁ……。私も早く専用機欲しいなぁ。」

 

と、とても驚きながらもうらやましそうに一夏を見ている。

俺と一夏は理解できず顔を見合わせて話す。

 

「一体何がうらやましいんだ?」

「テストパイロットみたいなもんだからじゃない?」

「……教科書を読めお前たちは。」

 

と箒にあきれながら言われ教科書を二人で探すとすぐにその項目は見つかった。一夏が声に出しながら読む。

 

「え~っと。代表操縦者および代表候補生や企業に所属する人間に与えられるIS。現在はテスト機や最新技術で造られた物が大半である。最初からパイロットの特性がコアに入力されているわけでなく、「初期化」「最適化」を経て、専用機としての性能を発揮する。……つまりどういう事だ?わかるか奏。三行で頼む。」

「……一夏、こんな時にふざけるな。」

「・お前にぴったりの最新機体をわざわざ政府からプレゼント。

 ・しかもお前は企業に所属する人間や代表候補生じゃないため異例中の異例。

 ・おそらくはお前から男性操作時のISのデータを取るのが目的。

ってことだろ。どうだ、三行でまとめたぞ。」

「……奏も乗るな。」

 

箒はとうとう頭を抱え始めた。

一夏は笑っていたが何か思いついたかのようにふと止まった。

 

「あれ?じゃあなんで奏には専用機は無いんだ?データを集めるためなら奏にも渡すんじゃないか?」

「どこの誰が僕に渡すんだ?ちなみのお前の場合は多分日本だ。」

「えっと……じゃあ奏の場合は…どうなるんだ?」

「何も無しなんじゃない?そうじゃないんですか織斑先生。」

 

と千冬さんに声をかけるとうなずいた後に話しをはじめた。

 

「残念ながらその通りだ。現在風音はどこかの企業や機関、それどころか国にすら所属していないためいろいろあってな、仕方なく学校にある機体を長期で貸し出すことになっている。」

「らしいぞ一夏。」

「お前あまり気にして無いな。」

「僕は戦いは嫌いなんで、できることなら今回の試合も逃げ出したい。」

「覚悟を決めろ、馬鹿者め。」

 

と言いながらもどこか千冬さんは笑っているように見えた。

さーてどうしよう。このまま適当に戦ってすぐ負けるのもありだがそれだともしかしたら一夏のがんばりを無駄にしかねないしな……

とりあえず原作一夏と同じように『がんばったけど負けました』を目指そう。そう目標を定め千冬さんに話しかける。

 

「じゃあ先生。僕に渡されるISって何時ごろにもらえるんですか?」

「明日、現在学園にある打鉄を訓練用からお前に合わせて通常状態に戻す作業をおこなう。よって早ければ明日遅くても3日後ぐらいだろう。」

「了解しました。あとこの学園内に射撃場とかあります?」

「訓練用の射撃場は無いが武器の試験用としての射撃場ならある。そこを使え、あまり使われていないからすぐに借りられるだろう。」

「ありがとうございます。ということで一夏、後はお互いがんばろう。」

 

といい俺は一夏とわかれて訓練を開始しようとした。

が一夏につかまれ止った。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ。」

「うん?どうしたの?」

「お前ISの訓練するのにIS無しで何をする気なんだ?」

「射撃訓練。」

「IS無しで?」

「IS無しで。」

「意味はあるのか?」

「……さぁ?」

「一応意味はあるぞ。」

「本当に、ち…失礼しました、本当ですか?織斑先生。」

 

一夏、いい加減慣れろ。そろそろ千冬さんも怒るかもしれんぞ?

今回はセーフだったようでそのまま千冬さんは説明をしてくれた。

 

「ISは基本的に操縦者のできることなら一通りはこなせる。要は操縦者自身の力量で強くもなるし弱くもなる。基本的(・・・)にはな。では後は個人個人で努力しろ。以上だ。」

 

と千冬さんはある程度の説明をした後居なくなった。

あとなぜか『基本的』のところを強調していた。なぜだろう。まぁいいや。

とりあえず一夏に別れを告げて訓練を始めよう。

 

「ということで無意味じゃないらしいし僕は訓練を開始するよ。」

「じゃあ俺はどうすりゃいいんだよ。」

「一夏。お前の特技は?」

「…家事?」

「ちげぇよ!?ここで言ってるのは戦闘面だよ!?お前剣道やってたんだろ?」

「でも俺中学はほとんどやって無いし…」

「………」

 

と一夏が弱気になると隣に居る箒も顔色が暗くなる。

多分一夏が中学時代に剣道をやっていないと言うところが原因だろう。

この程度の問題既に想定済みで解決策も考え済みだ。どうなるかは知らんけど。

 

「一夏、なら箒に鍛えなおしてもらったらどうだ?」

「「え?」」

 

と声を上げる二人。かまわず俺は話す。

 

「いや、同門なんだろ箒は。なら一夏の鍛錬を全国優勝者の箒に見てもらえば少しは足しになるんじゃない?」

「…そっか!!箒、頼む!!手伝ってくれ!!」

「……え!?、ええっと……」

「…だめか?」

「……い、いや…」

 

となぜか悩む箒、まぁこちらの手札はまだある。

俺は箒の近くによって耳元で話しかける。

 

「(箒、これはチャンスなんだぞ?)」

「(そ、奏…でも何を教えればいいんだ!?)」

「(簡単な型を見るのとお前の打ち込みをかわさせるようになるだけでも鍛錬になるだろ?)」

「(でも…それが一夏の力にならなかったら…)」

「(安心しろ、ちゃんと力になる事は僕が保証する。それにほとんど意味が無くても一夏はお前を責めるやつじゃないだろ?)」

「(そ、そうだな…わかった。)」

 

と、何とか箒を説得した。

保証云々言っているがぶっちゃけた所、俺にも良くわからない。

だが本編でそれをやった結果一夏はギリギリ勝てそうなところまで行ったんだ。ならば無意味にはならないだろう。

ただ、え~っと一夏が負けた最大の理由ってなんだっけ……

まぁ試合前に思い出したら伝えよう。伝える事が無意味じゃなければの話だが。

一夏は俺と箒が何を話してるのか気になっているのだろう、話しかけてくる。

 

「どうしたんだ二人とも?」

「いや。箒が何から教えればいいか悩んでそうだったからある程度アドバイスしただけだよ。」

「…その通りだ。」

「そうか…悪いな箒。俺のためにそんなに考えさせちまって…でもお前の力が俺には必要なんだ。頼む手伝ってくれ。」

「!?そ、そうか。私が必要か。」

 

と一夏が箒のやる気を引き出した。ナチュラルに俺の援護したなこいつ。

箒は自分が一夏に必要だと言われてうれしそうだ。

さてそろそろ二人と別れるか。俺はそう思い回りに別れを告げる。

 

「じゃ、皆さん。僕は訓練をやらせてもらいますのでここらへんで失礼。後一夏と箒もまた。」

「おう、奏もがんばれよ。」

 

そう言い一夏と分かれた後俺はすぐに射撃場へと向った。

学園からかなり離れたところにその射撃場はあった、千冬さんの言うとおり利用者は居ないためすぐに使用許可が下りた。

さーて射撃場って言っても流石IS用の射撃場だな。最低でも100mくらいの的しかねぇ。

まぁ丁度いい(・・・・)か。

俺は自身の持つリボルバーに弾丸を込め的を狙い引きがねを引く。

轟音の鳴り響いた後撃ち出された弾丸は的のど真ん中にヒットした。

 

 

 

 

 

30分ほど撃ち続けただろうか。俺はまだ的をめがけて銃を撃ち続けていた。

そんな時俺に声がかかった。

 

「あら、あなたがここに居るなんて。」

「………<ドンッ>……<ドンッ>……<ドンッ>」

「ちょっと聞いてますの!?」

「……え?誰か呼びました?あ、オルコットさん。どうも。」

「あなたわたくしに対してわざとやってるんじゃないでしょうね?」

「何がですか?」

「…………まぁいいわ。あなたこんなところで何をして?」

「はぁ、ISが俺のところに来るの明日になりそうなんでとりあえず射撃訓練を。」

「射撃訓練ねぇ……いつごろからやってらっしゃるの。」

「え~っとまだ30分くらいですね。」

 

と言うとセシリアは笑い出した。

 

「あなた30分もやって一発しか的に当たって無い(・・・・・・・・・・・・)じゃないですの。」

「え?……ああ、そうですね。」

「まぁど真ん中に当たってはいますがそれもまぐれでしょう?こんな腕で私と一週間後に戦うつもりで?」

「ええ、一応。」

「今私に謝れば試合であなたをいじめるのをやめて差し上げますわよ。」

「はぁ……」

「…………あなたにひとつ言っておきたい事がありますわ。」

 

俺の態度が気に食わなかったのかセシリアは真面目な顔をしながら俺に話しはじめた。

 

「わたくし、あなたのようなプライドも無くそして女性に媚を売るような男が大ッ嫌いですの!!それにあの織斑一夏もわたくしの祖国を何も知らない男の癖に馬鹿にして……」

「ははは、僕は確かにそういう人間かもしれませんが、一夏があの時オルコットさんに言ったのには理由がありますよ。」

「…なんですって?」

「多分あいつ日本を馬鹿にされたことだけじゃなくてその国に住んでいる自分の大切な人まで馬鹿にされたような気がしたから怒ったんですよ。まぁ僕も思うところが無いわけじゃないですし。」

 

と俺が苦笑いしながら言うと、セシリアは少し落ち着きながらも俺をにらみながら話し始めた

 

「ならなんであなたは怒らないの!?」

「喧嘩や争い事が嫌いだから。」

「………あなたは自分の大切なものが馬鹿にされても怒らないというのですの!?」

「それが取り返しの付かない事じゃなければ。あの時ならお互いの国の良い所をしっかりと説明出来れば綺麗に終わると思ったんですけどねぇ…失敗しましたけど。」

 

そう苦い顔をしながら話すとセシリアは心底不思議そうにこちらに質問をしてきた。

 

「……あなたはなぜそこまでしますの?あなた私に馬鹿にされて腹が立たないの?」

「う~ん、腹が立たない、プライドも無いって言ったら嘘になるけどそれより大切な事があるからかな。」

「………それは一体…?」

 

セシリアは俺の言葉に息を呑んだ。

そして俺はこういった。

 

ラブ() アンド() ピース(平和)。」

「…………はぁ?」

 

きりっとした顔でそういう俺に対し、セシリアはガクッと肩の力が抜けてあきれた顔をしている。

俺はかまわず笑顔になり話す。

 

「だって争うだけなんて悲しいじゃないですか。そんな事より愛と平和を歌いながら笑いあってたほうが……もしも~し。オルコットさ~ん。聞いてます?」

「あ・な・た・は!!わたしくしのことをどこまで馬鹿にしていますの!?」

「え!?何!?どこがいけなかったの!?」

「全部ですわ!!もういいですわ、せっかくあなたのことだけは見逃してあげようと考えていましたのに!!ギッタギタにしてさしあせますので覚悟してなさい!!」

「ちょ、ちょっと!?オルコットさん!?」

 

そう言ってセシリアは怒りながら去って行った。

何が癇に障ったんだろうか。原作知識が断片的だとこういうときに困る。

 

「馬鹿にしてるわけじゃないんだけどなぁ……」

 

俺はそうつぶやきながらまた銃を的に構え引きがねを引いた。

撃ち出された弾丸はまっすぐ的のど真ん中に飛び的に当たらずに(・・・・・・・)終わった。

 

 

 

 

 

 

貴方は他人の責任をとる必要はない。

貴方が他人に対して負っていることといえば、それは愛と善意だ。

                              ~マーフィー~




ということでセシリアさんに完全に敵視されました。
次回、奏にISが渡される!?
今回も読んでいただきありがとうございました~
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