インフィニット・ストラトス ~とある青年の夢~ 作:filidh
時間は過ぎそろそろ四月も終わりに差し掛かった頃放課後におっさんに呼び出されまたもや俺はアリーナ近くの控え室に向っていた。
ようやく俺のISも完成したらしく、テストもしっかりと行いバグはもう無いらしいが今回は念には念を入れしっかりと俺が着た状態でテストをおこなうらしい。
アリーナに向うとおっさんがISの最後のチェックをしていた。こちらがきたことにも気が付いていないようなのでとりあえず声をかけよう。
「おっさん。来たぞ?」
「おお、クソガキ。調子はどうだ?」
「何とかこの女性の国で暮してるよ。正直今すぐにでも逃げ出したい。」
「贅沢言うねぇ。他の男なら代わって欲しいって言う奴だって居るだろうし。」
「じゃあおっさん。代わるか?」
「は、頼まれてもごめんだね。どうせ見世物にされるのが落ちだろうが。」
「上野動物園のパンダを就職先に選ぼうかと思うくらいにはね。」
「パンダのほうがまだましか、そりゃご愁傷様だな。じゃあそろそろISのチェックは終了だ。お前に合わせてさらに調整はしてある、だが少しでも違和感があればすぐに言えよ?」
「了解。じゃあ一回ISスーツに着替えてくるわ。」
「ああ、それについてだがこれを着ろ。」
と言って思いだしたようにおっさんは何かを渡してきた。
「あん?……何この全身タイツ。」
「ウエットスーツって言えよ。このISスーツはお前のIS適正の低さを補うための苦肉の策だ。」
「ふーん…どんな効果があるんで?」
「元々ISスーツってのは体を動かす際に筋肉から出る電気信号等を増幅してISに伝達する役割がある。」
「あ~授業で言ってたわ、そんな事。」
「勉強はしっかりしろ。お前の場合ISとの適正が低いからどうしても頭からISに命令をする形だとラグが出来ちまう。それを出来る限り減らすためにほぼ全身タイプのISスーツを作らせてもらった。特殊装備とかを使う際には意味が無いが通常に動く分なら少しはマシになるだろうよ。」
「テスト前に必死になるタイプなんで………あとおっさん、わかっていると思うが僕はどの企業にも所属出来ないし、するつもりはないからこういうの渡されてもうごかねぇぞ?」
「ガキが馬鹿なこと言ってるんじゃねぇよ。これは前に中途半端なISを渡した謝罪だ。」
「いいって言ってんのに、まあありがたくもらうわ。」
俺はおっさんに礼を言ってスーツに着替える。
通常のISスーツって言っても俺が知ってる男性用は当たり前だが一夏だけなんだよな……前回俺は着たのも学園側から渡された奴だし。
まぁそれと比べ袖が長く、へそも出てない。完全なウエットスーツに近い形だった。
その後おっさんの所に戻るとおっさんが話しかける。
「は、様になってるぞ?」
「そいつはどうも。」
「嫌味じゃねぇよ。あとこれがお前のISの待機形態だ大事に扱えよ?」
「……誰のデザイン?」
「さぁそこら辺は俺は知れねぇ、気に食わなかったか?」
「いや、いいセンスだと思ってさ。」
そう言って驚きながら俺は待機形態と言われたサングラスを受け取る。
オレンジ色掛かったレンズに稲妻のようなデザインの左右のフレーム。
完全にヴァッシュのサングラスだ。
俺は顔にそれを付けてみる。
「別に顔につけなくても発動はするぞ?たとえば手に持っておくとか首に下げるとかでもいける。」
「そうなの?でもつけてみたくはなるじゃない。邪魔になるわけでもないし。」
「それもそうだな。こっちは何時でもいけるぞ?」
「じゃあ離れて、発動させる。」
「やりづらかったらISの名称を呼べ、こい!とかつけてもいいらしいぞ。」
「了解、来い、『赤銅』。」
そう口に出すとISが展開する。
見た目は前回と変わらないが今回はしっかり360°すべてが見える。
情報にもノイズは無く今のところ問題は無いかと思ったときふと気が付く。
「おっさん、サングラスが消えないんだが。」
「あん?何だ、問題でも起きてるのか?少し待て、こちらの方で調べる。」
「いや、動くのには問題はなさそうだし、何かのバグじゃなければこのままでもいいよ。」
「……何か少しでもおかしいと感じたらすぐに知らせろ、コアネットワークは大丈夫か?」
「今のところノイズもなし、アリーナ内に出てもいいんだっけ?」
「ああ、少しだけだがな。」
「じゃあちょっと行ってくるわ。」
そう言って俺は「赤銅」でアリーナに飛び出す。
前回より動く時に抵抗がない、まるで厚着をしていたのを脱いだかのようだ。
しかしそれでもまだ自身にまとわり付く様な感覚があるな…これは俺のIS適正が低いせいだろうが。
しばらく体を動かすとおっさんから連絡が入った。
『調子はどうだ?』
「前回と比べてもいいね。動くだけなら普通に動ける。」
『全力はいけそうか?』
「壊してもいいのなら。」
『勘弁しろよ、俺とISへの虐待だぞ。』
「やりませんよっと、武器に関しては何か変更点は?」
『基本的に無しだ。装着型のチェインガンは命中精度を高めるように調整している程度で、ハンドガンは出来るだけ弾速と精密射撃ができるよう精度を高めている。お前の要求のとおりだろ?』
「ありがとうございますよ、少し撃ってみても?」
『許可は取ってある、ターゲットは一つしかないけど我慢しろ。』
俺はターゲットが現れた方を向き距離を出来るだけとる。
右手にハンドガンを構え狙いをつける、軽く200mは離れているのによく見えるなぁ。
ただISの機体自体が問題だな、構えには問題は無いが早撃ちをやろう物ならどこまで持つか……とりあえずいつもの癖で6発、弾丸を撃つ。
宙に浮かぶ半透明のターゲットのど真ん中の同じ箇所にすべてヒットした。
『お見事。』
「いや、いい銃だね。お世辞抜きに。」
『はっ、お褒め頂き誠にありがとうございますってか。まぁうちの技術者が丹精込めて作ったんだ大切にしろよ?』
「おっさんからもお礼いっといてよ。」
『おう。で、どうする?もう少しやるか?』
「いやもういいや。今からそっちに戻る。」
『了解、問題はなさそうか?』
「あったら今頃クレーマーのごとく吼えてるさ。」
『おーこえぇ、解ったからさっさと戻って来い。』
「了解。」
そうおっさんと笑いあいながら俺のISの最終調整は終了した。
俺は制服に着替えおっさんの所に戻るとおっさんは何かを考えているようだった。
「どうしたおっさん。」
「いやな……ちょっと悩んでただけだ。」
「僕関係?」
「いや違…わないか。なぁ坊主。」
「なに?」
「お前のISのデータ使わせてもらえないか?」
「………世界に公開されてる所ならご自由に。」
「いや、パイロットデータじゃなくてISの方の蓄積データだ。」
「はぁ!?あんな出鱈目なデータで何する気だよ?また同じようなの作るつもりか?」
俺がおっさんを茶化すように言うとおっさんは真面目な顔をしたままだ。
「……ネタじゃなくてマジな事でもあるの?」
「……この学園内でな、現在うちの研究所の協力で新型の第三世代ISを造ってる嬢ちゃんがいるんだ。」
「その子にこんな出鱈目な機体作らせるのか?」
「いや、流石にその子にこんなもん乗らせる気はない。」
「製作者がこんなもん言うなよ……」
「でだな、その子の作っているISなんだが、現在雲行きが良くない。」
「研究が挫折でもしてるの?」
「いや、もう一人の坊主に与えられた白式(びゃくしき)の研究の方が優先されててな、事実上の研究停止になってるんだわ。」
「それで僕になにができるって?」
「お前の『赤銅』は一応『打鉄』の改造機だ。現在作られてる第三世代ISも『打鉄』の発展系で防御よりも機動性を重視している。」
「つまりほしいのは僕のめちゃくちゃな機動で得られる、高速機動時の『打鉄』系統のISのデータってこと?」
「自分でめちゃくちゃ言うなよ。つまりそういうことだ。」
「……おっさんわかって言ってる?」
「……ああ、俺の個人的な頼みとはいえ、言っている事はいわばお前に『うちの企業のIS開発を手伝え』って言ってるようなもんだ。これを知ったほかの企業がお前に協力を求めてきかねないことは十分承知している。もちろんこちらでも最大限、情報管理は徹底する。だから頼めないだろうか……俺に出来る事ならなんでもする。」
「いや、そっちじゃなくてさ。」
「…なんだ?」
「困ってる女の子がいるって言われて助けに行かないとか男じゃないでしょ?」
笑顔で俺がそういうと、おっさんはさっきまで苦虫を噛んだような顔をしていたのに俺の言葉を聞いた後一瞬きょとんとした後苦笑いをしだした。
「………ばーか、かっこつけてるんじゃねぇよ。」
「それにおっさんに出来る事ならなんでもするって言われてもなぁ……かわいい女の子ならやる気も出るんだけど。僕も。」
「言ってろ……すまん、恩に着る。」
「気にしないでよ。おっさんは何を手伝ってるの?」
「一応兵器の開発関係は俺のチームで手伝ってるんだが、いかせん人数が足りなくてな。」
「本体の方は彼女が?」
「ああ、一人で作ってる。」
「一人!?おっさんもそっち手伝えよ!?」
「彼女がそれを拒否してるんだ。」
「……もしかしてかなり面倒ごと?」
「いや、それなりに面倒ごとだ。」
「大差ないよ…はめたなおっさん。」
「困ってる女の子のためなんでな。それに嬢ちゃんとお前なら俺たちのチームなら嬢ちゃんを迷わず選ぶ。」
「それは仕方ないか、僕だってそうする。」
誰だってかわいい女の子と男だったら女の子を選ぶだろう。
しかし現在のデータだけで大丈夫なのだろうか?
「おっさん、データはどうやってわたすつもりなんだ?」
「面倒な事に俺は直接彼女に会うといろいろとあってだな、後でお前にまとめたデータを送る、その後お前から渡してくれ。」
「了解、おっさんも彼女への連絡頼むよ?」
「ああ、こちらからも頼むよ。」
こうして俺は秘密裏にISの開発にかかわる事になった。
そしてその日の夕食時、俺は一夏、箒、セシリアと共に夕食を食べに来た。
「ということで僕のISはサングラスになりました。」
「いいな~、俺なんてガントレットだぜ?アクセサリーじゃ無いし。そういやセシリアはなんなんだ?」
「わたくしのはこのイヤーカフスですわ。」
「「へ~」」
と言った風に話す、箒は話に入ってこれないが嫌なのかムスっとしている。
一夏、本来こういうとこの管理はお前がやるべきじゃない?そう考えながらも気づいてしまったんだ放置は出来まい。
「んで一夏、これからも箒との訓練は続けるんだろ?」
「うん?ああ、今もやってもらってるし箒さえ良ければこれからも続けて行きたいと考えてる。セシリアとの試合であそこまで戦えたのは箒のおかげだと思うしさ。」
「!?…そ、そうか。なら私ももっときつく鍛えてやるとしよう覚悟しろよ?」
と箒の機嫌が良くなると今度はセシリアのほうがしょぼんとする……お前はさっきまで一夏と仲良くしてたでしょうが、我慢しなさい。
もうかまわずに飯を食べていると端末の方に着信がある、おっさんからだな。
一夏が俺に気が付き話しかける。
「どうした奏?」
「いや、僕のIS作った人から連絡。」
「なんだって?」
「……一夏、あまりそういうことを聞くな、言えない話だと奏が困るだろう。」
「いや、それほどあれな話じゃないよ、箒。ただデータをある人に渡して欲しいってだけ。」
「誰にですの?」
「え~っと……一年四組の更識 簪(さらしき かんざし)?」
おい、一年生でIS造ってるってどういうことだ?まだ学校生活が始まってから一ヶ月経つかたたないかってくらいだぞ?
一夏と箒はふーんと言った顔をしているがセシリアが何か考えている、知り合いか?
「セシリア、知り合い?」
「いえ、更識と言ったら確か現在のロシア代表もそのような名前でしたの、もしかして関係者かと。」
「ふーん、まぁいいか。問題は僕は彼女の顔は知らない事だな。」
「普通に渡しに行けばいいんじゃないか?」
一夏は当たり前のことのように言う。
「一夏、お前未だに僕たちは他のクラスの前を通るたびにじろじろみられてるんだぞ?クラスに入って声をかけてみろ、大混乱が起こりかねんぞ。」
「いや、そんな大げさな……」
「じゃあ代わりに一夏、お前が行くか?」
「……いや遠慮しとく。箒とセシリアは会った事は?もしくは4組に知り合いとか。」
「私は無いな。」
「わたくしもですわ。」
どうしよう、もう手詰まりか?こうなったら大混乱を覚悟で突っ込もうか……
そうすると近くの方から声がかかった。
「確か本音ちゃんの知り合いが居るんじゃなかったかしら?」
「「「「え?」」」」
驚き振り向くとそこにはクラスメイトの鏡ナギと鷹月 静寐が居た。
恐らく彼女たちも夕食だろう。手には夕食が乗ったお盆を持っている。
鷹月の方がこちらに話しかけてくる。
「こんばんわ、あなたたちも夕食?」
「僕は今食べ終わったとこかな、あと本当に?それ。本音さんと?」
「確かそんな事言ってたわよね。四組に知り合いのカンちゃんが居る~って。」
「鷹月さんそれ本当?」
「嘘を言っても仕方ないじゃない。ねぇナギ。」
「私ものほほんちゃんがそんな事言ってた気がする。」
と二人は話す。
かんちゃんが誰だか知らないが一応簪という名前からその知り合いの彼女が更識簪かな?違っても問題ないし四組に知り合いが居るならそこから話をつなげる事も出来なくはない。
「わるい、三人とも。ちょっと行ってくる。」
「了解、じゃあまた。」
「では、また明日。」
「あ、奏、今日の授業で聞きたい事あるから後で聞きに行っていいか?」
「箒とセシリアの二人に聞け、僕より優秀だ。あと二人とも情報ありがとうね。」
「どういたしまして、あ、風音君。」
「うん?鏡さんどうしたの?」
「さっき向こうでのほほんちゃんご飯食べてたからまだ居ると思うよ?」
「お、本当に助かったわ。ありがとう。じゃーね。」
そう言って俺は指差された方向に向っていく。探しながら歩くとすぐに彼女は見つかった。あんな猫のキグルミで歩く人間など彼女くらいだろう。
近づいて声をかける。
「本音さん?ちょっといい?」
「うん?あ、カザネだ~。どうしたの?」
「ちょっと聞きたいことあるんだけど、更識 簪って子知り合いで居る?」
「うん。かんちゃんのことでしょ~」
おお、見事にヒット。ありがとう鷹月&鏡コンビ。
おれはそう心に思いながら話す
「彼女に渡さないといけないものがあるんだけど紹介してもらってもいい?」
「う~ん……カゼネだったらいいよ~。」
「ありがとう。後でデザート何か奢るよ。」
「ほんと!?わ~い。じゃあかんちゃんの部屋に行こう?」
「今からっすか!?」
「今からっすよ?」
と笑いながらオオム返しをする本音。
まあ別に今から行っても困る事があるわけでもないしいいか。
「じゃあお願い。」
「りょ-かいしました~。付いてきて~。」
と俺は本音を先頭に後を付いて更識 簪、通称かんちゃんに会いに行った。
この地上には、 男性だけがその費用をひきうけるにしては、あまりに美人が多すぎる。
~リガリエン~
ということでヴァッシュのトレードマークゲットです。
ISもついでに手に入りましたね。
おそらく奏君もそちらの方がうれしいはず!?
ということで次回あの二人の登場です。