インフィニット・ストラトス ~とある青年の夢~   作:filidh

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第二十四話 約束の行方

何か思ったよりも早く終わったし一夏たちの訓練に顔を出してみるか。

ISは調整中のため参加は出来ないが見ているだけでも一応ためになる。

この時間だとまだ控え室にいるだろうと、控え室に向うとそれらしき人影を発見する。

一夏たちの方に向っていくと何か話し込んでいるし人数が一人多い。

あのちっこいシルエットは恐らく鈴だろう。

仲直りなら良いんだがな……

 

「今~~~~なの~~~~~でて!!」

「~~~~だと!?」

 

うん、どう考えても仲直りはないな……

しかし鈴はなんというか……ガキ大将を連想してしまうな。

弾や一夏から聞いていた鳳鈴音(おおとりすずね)の印象とは結構違うんだが…

『結構強気だがやさしく、何より一緒にいて楽しい奴。』だったが現在は『回りを一切気にせず一夏に突撃している奴』にしか見えん。

まさかこれを含めてだまされていたのか?

まぁ昔のことを気にしても仕方あるまい、実際今喧嘩がおきそうなのだから。

俺はペースを上げ一夏の元に駆け寄る。

 

「だ、か、らっ!あたしを怒らせて申し訳なかったなーとか、仲直りしたいなーとか、あるでしょうが!しかもあんた、すぐに探しに来ないし!!」

「いや、そう言われても……鈴が避けてたんじゃねえか。」

「あんたねえ……じゃあなに、女の子が放っておいてって言ったら放っておくわけ!?」

「おう。」

 

それが一夏クオリティ

何とか近くまで来たが険悪なムードの箒とセシリア、一夏に怒り心頭の鈴。

そしてそれにまったく動じない一夏。

とりあえず二人に話を聞くか。

 

「(箒、セシリア。何があった。)」

「(訓練しようとしていたところに鈴さんがやって来て…)」

「(その後は無理やり一夏と話をして謝れと言っている。)」

「(って事は最初とほとんど状況は変わらないってことか…)」

「(そういうことだ。)」

 

しかし一夏も悪いと思った事は謝るって言っていたと思うんだが?

それなのになんで話がまとまっていないんだ?

そう考えていると一夏が口を開く。

 

「それにさっきから俺、何度も謝ってるじゃないか?『鈴との約束が俺の覚えてる奴と違うようだ。しっかり覚えてなくてごめん。』って。」

「謝るべき事が違うでしょうが!!」

「だから何がどう違うんだよ!?俺確かにお前がこう言ったって記憶してるんだぜ!?」

「言葉があってても意味が違うの!!」

「じゃあどういう意味なんだよ!!」

「……ああ、もうっ!」

 

お互い語尾が強くなってるな…

これは放置するのは危ないかもしれないな。

特に鈴の方は完全に頭に血が上ってる。

 

「ちょっと二人とも一旦落ち着いて。」

「あんたはすっこんでなさいよ!!これは私と一夏の問題なの!!」

「でもこのままじゃまとまるものもまとまらないし一旦落ち着いて。ね?」

「うっさい!!邪魔よ!!」

「っ!?」

 

と言いIS展開して拳をこちらに向けて構えてくる。

この子、これ以上邪魔したら俺に攻撃するつもりだ…

おい、ISで生身に攻撃する気とかいくら脅しだったとしてもヤバイだろ。

一夏も感じたのか声をさらに強くする。

 

「おい、鈴!!やめろ!!何考えてるんだ!?」

「何!?関係ないからさがっててって言っただけでしょ!?」

「だからってISで脅すってどういうつもりだ!?」

「一夏、僕のことはいいからまず喧嘩はやめろ。」

 

ヤバイな一夏も完全に頭に血が上っていやがる。

俺の言葉を聴いてすらいない。

 

「なによ!?元をただせばあんたが悪いんでしょ!!謝りなさいよ!」

「だからお前の言いたい事がわからないんだって!!説明してくれたらそれについてだって謝ってやるって言ってるだろ!!」

「せ、説明したくないからこうして来てるんでしょうが!」

 

ここで理由を説明すればワンチャンあるんだけどね……

でもそれが出来ないからここまで話がねじれてるのか。

何よりこの状況の一夏に言っても伝わるかどうかも問題だな。

 

「じゃあどうしろっていうんだよ!?」

「……じゃあこうしましょう! 来週のクラス代表戦、そこで勝った方が負けた方に何でも一つ言うことを聞かせられるってことでいいわね!?」

「おう、いいぜ。俺が勝ったら説明してもらった後と、奏に謝ってもらうからな。」

「一夏、僕のことはいいからまずは冷静になれ。」

 

一夏が頭に来てるのはそこか。

力で無理やりものを言わせるやり方、お前も嫌いだもんな…

だがその命令って一つだけじゃなくないか?まぁ鈴がそれで良いならそれで良いけど。

だが鈴は後半は聞こえておらず前半の『説明してもらう』の所しか聞いていなかったようだ。

顔を赤くして止まってしまった。

 

「せ、説明は、その……」

「何だ? やめるならやめてもいいぞ?」

「誰がやめるのよ! あんたこそ、あたしに謝る練習しておきなさいよ!」

「なんでだよ、馬鹿。」

「馬鹿とは何よ馬鹿とは! この朴念仁! 間抜け! アホ! 馬鹿はアンタよ!」

 

もうお互いに低レベルな暴言の応酬だ…

この程度の喧嘩ならいいんだけど、こいつらは今とんでもない武器を身に纏っているんだ、仮に事故なんかおきてみろ、最悪の事態になるぞ?

ここにいる人間なら何とか対処できるかもしれないがヒートアップして対処できない人に流れ弾に当たってしまう可能性だってあるのだ。やるんだったらせめてアリーナでやれ。

だがこのままいけば確実に暴言だけで終わるだろう。頼むからそれで終わらせてくれよ。

 

「この唐変木!!」

「うるさい、貧乳。」

 

その言葉の後空気がぴたっと止まる。

一夏もヤベッといった顔をしている……何か来るか?

次の瞬間鈴はIS展開している手を壁めがけて振ろうとしている…

俺はすかさず右手のみの装甲展開と銃の生成を一瞬で終わらせ鈴の装甲を撃つ。

グォン、というシールド音と共に鈴が動く前に装甲に衝撃をあたえる

その後鈴がこちらを目尻に涙を貯めながら鋭く睨みつける。

 

「……なに!?あんたもやられたいの!?」

「落ち着いて、物に当たるのは止めよう。」

「うるさい!!言ってはならないことを言ったのよこいつ!!」

「す、すまん!今のは俺が…」

「今の『は』!?いつもよ!いつもあんたが悪いのよ!……もういいわ。少しは手加減してやるつもりだったけど、どうやら死にたいみたね……全力で叩き潰してあげるわ!!」

 

鈴は目尻に涙を貯めながら一夏に鋭い視線を送ったのち去って行った。

しかし『手加減してやるつもり』とか『許して差し上げますわ』とか流行ってるの?代表候補生の間で。

一夏はやっちまった…と言った顔をしている。声はかけてやるか。

 

「…頭に血が上りすぎだ、一夏。」

「……すまん。」

「それは鈴に言ってやるべきだな…まぁ今は聞かないだろうけど。」

 

今一夏に注意しても意味はないしこいつが一番それをわかっているだろうし言うだけ意味がないな。

こりゃもう一夏が何とかするしかないな。俺が介入できるとこふっ飛ばしちまった。

そう考えているとセシリアが話しかけてきた。

 

「……一夏さん、今日の訓練は対近距離戦闘の訓練にしましょう。恐らく鈴さんのISは中~近距離戦を主にしておりますわ。」

「どうしてそう思うんだ?セシリア。」

 

一夏が疑問を口にする。

 

「まず彼女の装甲、奏さんの弾丸をものともしない強度でした。通常遠距離使用の機体は重装甲より高機動が普通ですし、何より一夏さんは普段の訓練で対遠距離の戦闘には慣れています。ならばこれから三日間は近接戦闘の方に慣れるべきかと。」

 

セシリアの言う事はもっともだがそれが本当だとしてもどう訓練するかだな…

 

「どういう訓練にするの?残念ながら僕もセシリアも近距離は得意じゃない。」

「そうですわね……」

「私がやろう。」

 

と名乗りを上げる箒。しかし

 

「箒、いけるのか?」

「ああ、何とか戦う事はできる。」

「……ですがそれでは…」

 

何とか、か…それで間に合うような相手だといいんだけど仮にも代表候補生相手だ。

織斑姉弟との関係を考慮された可能性もあるがこのIS学園にまで送り込まれるということはかなりの実力者と見たほうがいいだろう。

そう考えるともう一段階訓練をきつくしたい。

 

「セシリア、君箒の援護をしながら戦う事って出来る?」

「もちろんですわ。」

「じゃあ2対1でいこう。セシリアは箒が近距離戦闘をしている時だけ攻める感じで。」

「奏!!私だけで十分だ!!」

「箒、最悪を常に考えろ。お前にとっての最悪は一夏が負けたときだろ。」

 

そういうと二人とも負けた一夏が鈴と付き合うところを想像したのだろう。

すぐさま考えが変わったようだった。

 

「箒さん、今回ばかりはお互いに協力して全力を尽くしましょう。」

「そうだな、今回ばかりは仕方がない。」

 

うん、目的が一緒だと協力しやすいね。

いつもこのくらいでいれば一夏も一緒にいやすくて好感度稼ぎやすいのに。

まぁ、今はこれで良いか。

一夏の方を見ると勝手に話が進んでいることについていけてないのと自身が鈴にやってしまったことを後悔しているのだろう、微妙な顔をしている。

とりあえずやる気だけは出させるか。

 

「一夏、すべてはお前次第だ。負けられないんだろ?千冬さんのためにも。」

「…ああ、そうだな。」

 

と言うと視線を鋭くする一夏。

やはりこいつシスコンだよな、好みのタイプも千冬さんだし。

そういえばその千冬さんで思い出したがそっちはどうなったんだ?

 

「(で、修行のほうはどうだ?)」

「(後は俺が掴みきれるかどうかだってさ。)」

 

へぇ。既に千冬さんにそこまで言われるとは……やはり姉弟だからなのかな。

いや、ここは単純に一夏の才能だと思おう。

 

「さてじゃあ俺はそろそろ行きますか。」

「何だ、奏は訓練に参加していかないのか?」

 

と不思議そうにする箒。

まぁこのタイミングでいなくなるとか空気は読めてない自覚はあるが理由はある。

 

「いや、さっき調整中なのにIS展開したせいで絶対おっさん怒ってるだろうから謝りにいこうかと。」

「そうか、じゃあ仕方ないな。」

 

そう言って三人とも納得してくれた。

本当の理由はさっきの動きで既に『ISの右腕部が壊れている』からだ。

調整中だからか動きが格段に悪く無茶をしたせいだ。

やはりこの強度の低さは問題だな…いざと言う時使えないなんて話にならない。

一応おっさんと相談はしてみようか…と考え、とりあえず謝りにいくのであった。

 

 

 

 

 

人は誤れる事を言うべきにあらず。ただし、真実なることは黙すべからず。

                           ~マルクス・トゥッリウス・キケロ~




ということで完全に鈴音を怒らせました。
この時期の鈴音はちょっとおそろしいですね。
平然とIS展開して攻撃してきますし。
この後も………そ、それは…ぎゃ、ギャグ空間だから(震え声)

読んでいただきありがとうございますwwww
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