インフィニット・ストラトス ~とある青年の夢~   作:filidh

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第二十七話 襲撃者の正体

あの乱入者との戦いが終わってしばらく後俺はアリーナ脇の通路で頭を悩ませていた。

よみがえった現世の記憶でもあの機体について解った事は名称のゴーレムという事ぐらい。

そのほかはどのようにして戦ったかなどである。

現在あの機体について解っている事は

・まだ世界的に存在しない無人機であるという事。

・強力なレーザー兵器持ちでその威力は類を見ないほどであるということ。

・狙いは恐らく一夏だということ。

・できるだけ人的被害は出さないようにしていた。

このくらいであろう。

何よりも問題は無人ISだ。

こんなものがつくれると世界に公表したらとんでもない事になる。

それこそ世界中がこぞって手に入れようとするだろう。

よってIS学園はこれを公開する事は無いだろう。

続いて狙いの一夏についてだ。

戦いの最中まず俺と鈴を狙ったのは恐らく邪魔者の排除。

さらに一夏主体の話中に攻撃しないのは一夏の会話を聞いていたか、もしくは一夏の邪魔をしたくなかったから?

だがなぜわざわざこのタイミングで攻め込んできたんだ?

まるでこの試合の結果が出てはいけないかのように……

さらにあの機体、なぜ今まで叫びながら逃げる観客には手を向けようともしないのにあのタイミングでわざわざ隙をつくってまで攻撃の意思を示したんだ?

しかもその攻撃はほおっておいても当たらないものだ。

ますます謎が深まる……なんにせよ情報が足りないのだ、考えても仕方あるまい。

とりあえず人的被害はゼロに収めたんだ。最悪の事態は避けられて良しとしよう。

そう考えていると後ろから人の気配がする。

なんだと思って顔を向けるとそこには千冬さんがいた。

 

「ああ、織斑先生、お疲れ様です。」

「……風音、いや奏。今は普通に話していい。」

「あ、じゃお言葉に甘えて、千冬さんどうしましたか?僕に用でしょ?」

「ああ。まずお前にお疲れ様と言うことと、聞きたいことがあってだな。」

あいつの狙いは一夏かどうか(・・・・・・・・・・・・・)ってことだったら恐らくイエスですね。」

「……やはりか。」

「しかもその上本気で手に入れようとしているわけでも、消そうとしているわけでもない。」

「……」

 

千冬さんは俺のことを見ながら考えている。

とりあえず一方的に話させてもらうか。

 

「手に入れるためならあの状況からどうやって一夏を連れ出すのかが解りませんしね。あの隔離された空間だったから戦えたものを他の教員や専用機持ちたちが戦える状況ならまったく戦いになりませんしね。僕だったら誘拐するのなら別のタイミングを狙います。」

「……」

「一夏を消すって言ったって理由は?男性操縦者が邪魔って言うのなら俺を無視したのはおかしいですし戦いの最中に一夏が話すたびにわざわざ待つ、なんてバカとしか言えません。」

「……」

「最後に一つ言わせてもらうならあいつが最後に箒に攻撃を仕掛けようとしましたよね。」

「……ああ。」

「あれ、撃ったとしても当たりませんでした。」

「!?どういう意味だ?」

「今まで正確に狙いをつけて撃っていたのにあの時あのまま撃ったとしても箒から10m以上離れた所に着弾していました。」

「……そうか。」

 

と言ってまた考え込む千冬さん。

この顔は……

 

「……千冬さん、僕からも質問いいですか?」

「……いいだろう。」

犯人に心当たりは(・・・・・・・・)?」

「…あの無人機についてだが先ほど調査がひと段落した。っと言っても大まかなところだがな。」

「…それ僕に話して大丈夫なんすか?」

「ああ、既に無人機という事は知っているだろうし想像はつくだろう。」

「……無人ISですか…」

「そのとおりだ。」

 

どうしようもなく頭に手を当てる。

一応知っていた情報だが確認が取れるとやはり頭が痛くなる。

そんなばかげたもの発表でもされ製作されたら、『ここ数年間、虐げられたと感じた男性が何をしでかすか解らない』。個人への仕返しならかわいい物だろう、テロ行為などされてみろ。

それがISによるものといわれれば『責められるのは女性だ』。

下手をすれば男と女の戦争なんてSFものがおきかねない。

まぁ俺に言わせてもらえばこの世界も絶賛SFワールドなんだが。

俺が頭を抱えている理由を察したように千冬さんは話を続ける。

 

「お前の考えているだろう事態を懸念してこの事は内密にな。」

「……もう悪い情報は無いですか?」

「……あの無人機から出てきたISコアは現存するISコア467個の内どれとも一致するものではなかった。」

「……悪い夢を見ているようなんで目覚ましてきます。」

「馬鹿者、これは事実だ。受け止めろ。」

 

そう言っている千冬さんも頭を抱えたくなりそうな顔をしている。

簡単な話である、この事実はいわば

『どこかかしらの組織、もしくは個人がISコアの生成に成功した』。

『ISの製作者、篠ノ之束(しのののたばね)がこの学園をおそった』。

このどちらかなのである。

前者ならばとんでもない敵、後者なら自身の親友がやったことなのである。

千冬さんが頭を抱えたくなる理由も良く解る。

しかしそうなると…俺は頭にとんでもない事を思いついてしまった。

 

「どうした奏。変な顔をしているが。」

「失敬な、生まれつきですよ。」

「輪をかけて変だったといっているんだ、いいから話せ。」

 

ひどい言われようだが結構なれたもので今まで織斑家で暮していた時はこの程度の暴言は日常茶飯事だった、むしろ懐かしいと感じた。

こっちが言ったらひどい目に遭うことは言わずもがなだが……

俺は半笑いになりながら話すが笑いきれていない。

 

「……とんでもない馬鹿な話しますよ?」

「…話してみろ。」

「これは今回の襲撃者が篠ノ之博士であるという前提で話します。」

「!?…いいだろう、はなしてみろ。」

「…まず、今回の試合の一夏と鈴ですが賭けをしていた事はご存知?」

「…ああ、一夏が話していた。」

「それによって仮に鈴が勝ったら多分あいつは一夏に自分と付き合うように命令したでしょう。」

「…だろうな。」

「負けたにしても一夏のことだから何だかんだで仲直りをして鈴も馬鹿じゃなきゃ距離を縮めるでしょう。一夏も鈴のことを嫌いじゃないですしチャンスは増えます。」

「……何が言いたい。」

「そうなると困るのは他に一夏を狙っているセシリアと…篠ノ之博士の妹、箒です。」

「……まて。お前もしかして…」

「…箒のためにあのタイミングで乱入したら有耶無耶にできません?その約束。」

「……」

 

千冬さんは頭を抱えている。

恐らく『そんな馬鹿な』もしくは『あいつならやりかねん』と思っているのでは?

俺は気にせずに話しを続ける。

 

「その後は邪魔者の鈴を圧倒的な強さで倒した後、一夏があの乱入者相手に一人で勝つ…」

「…しかしそれはお前の存在と凰の予想外の強さで出来そうになかった。」

「だからプランをどうするか迷っている時に箒の乱入、そして狙われる箒…」

「…お前の言い分が正しければ始めから攻撃を当てるつもりは無し。」

「しかし箒の危険に焦る一夏は決死の覚悟で突っ込み見事無人機を倒す。結果ピンチのヒロインを助けたヒーローのごとく…」

「…だが最後に一夏に攻撃をしたのはなぜだ?」

「はじめの方は箒が何らかしらの行動をすれば奇跡の(都合のいい)ように動きが止まる。最後の攻撃はISの製作者なら白式に当たっても一夏は大丈夫って判断できたからじゃないですか?」

「……」

「仮に怪我をしたとしても少しだけ、そうすれば箒が一夏の見舞いに行って仲を縮められる、鈴の約束も言っている場合じゃなくなる。」

「…確かに馬鹿な話だな。」

「…ええ、馬鹿が考えた話っす。」

 

そういいながらお互い顔色はいいものではなかった。

千冬さんは完全に頭を痛そうに抱えていたし俺は乾いた笑いと引きつった笑顔しか出せないで居た。頼むから馬鹿が考えたありえない想像であって欲しい。そう思わずに居られなかった。

この雰囲気を何とかすべく俺は無理やり話を方向転換した。

 

「バカな話で思い出しましたがもう一人のバカはどうです?」

「二人の間違いじゃないのか、箒は先ほどまで私が絞り上げた。今頃反省文を書いているだろうよ。」

「うわぁ…ご愁傷様…」

「これくらいで済んでよかったと思わせねば。」

「…実際そうですしね。」

 

あの状況でもし始めからゴーレムが狙っていたら?

もし俺のISの限界が来て腕を逸らしきれなかったら?

もし一夏の太刀を受けた後も箒を狙い続けたら?

そう考えると箒が無事な事は運が良かったとしか言えないのである。

千冬さんの話は続く

 

「一夏に関してだが体に別状は無い。恐らく緊張の糸が切れて疲れが押し寄せただけだといっていたからじきに目を覚ますだろう。」

「…そっすか。これで一安心ですね。」

「お前のISはどうなんだ?」

「明日にでもおっさ…栗城さんに渡して修理ですよ。完全に逝っちゃってて自己修復に任せたら何時までかかるかわかりません。」

「まったく出鱈目なやつだな、貴様は。」

「誰かを助けるためだったらいくらでも出鱈目しますよ?僕は。」

「ふっ、無茶苦茶だな。ではまた、しっかりと休めよ風音。言わずもがなこのはなしは誰にも言うなよ?」

「了解しました、織斑先生。」

 

そう言って俺は千冬さんと別れた。

さて一応一夏の見舞いに行ってやるか。

起きていなかったら顔に落書きでもしてやろう。

そう考え俺は医務室に向った。

 

 

 

 

 

 

 

医務室の扉の前で鈴が去って行った。

恐らく一夏の見舞いに来ていたのだろう。

去って行ったと言う事はまだ起きていないのか?それとももう話終わったのか?

中を覗いて見ると一夏は起き上がっていた。

こちらにも気が付いたようで手を上げている。

俺は一夏の方に向いながらマジックペンを見せ、話しかける。

 

「何だ、一夏起きてたのか…せっかく顔に落書きしようと思ってたのに。」

「お前やめろよ?ほんとに。」

「一割ジョークだ。んで体の調子は?」

「九割本気かよ。体は問題無いけど大事をとって今日は一日医務室だって。」

「ご愁傷様、さっきまで鈴来てたろ?あれどうしたんだ?」

「ああ、何とか仲直りできたよ。アレはお互いに勘違いだったらしい。」

「……鈴がそういったのか?」

「?ああそうだっていってたぞ?」

 

鈴…自ら諦めるとは…次会ったらヘタレと言ってやろうか…

いや、もっと良いシチュエーションにあこがれているのか?

一夏相手に、それは『モグラに空を飛べ』って言ったほうがまだ可能性があるぞ。

鈴がそれを目指すって言うのなら俺は止めないけどよ。

しばらく適当に話していると俺は疑問に思っていることを聞いた。

 

「そういや一夏、お前今回すごい回避しまくってたけどあれなんだ?」

「ああ、あれか。アレはお前を真似てみたんだ。」

 

やはりか…しかし俺はこいつの前で回避を見せた事なんてなかっはず……

と考えている間も一夏は話し続ける。

 

「…僕のって…どの?」

「え~っとな、俺も鈴に負けないために自分の試合を見直してみようと考えたんだ、でその時にちょっと思ったことがあってさ。」

「何を?」

「お前はどうやってセシリアと戦ったか。そしたらお前はじめは完全に相手を見てだんだん紙一重で回避してたじゃないか。」

 

ああ、なるほど。

あの試合を見たからか。

しかし見ただけで簡単に出来るものでもないはずなんだが…

やはり現世の俺の知る『一夏』とここに居る『一夏』は別物だと考えた方がよさそうだな。

……これも俺の介入の結果だというのか?

俺の考えなど知らずに一夏は話す。

 

「しかしアレはどうやれば出来るんだ?俺も鈴が怒って攻撃パターンが単調になってたから出来たけど…」

「?あの無人機相手にも出来てたじゃないか。」

「……それなんだけど俺と戦った時だけなんかおかしかったんだよな…」

「どういう意味だ?」

「いや、奏と鈴と戦ってた時のパターンっていうかリズム?って言えば言いのかな?それが俺のときだけ単調って言うか弱いって言うか……勢いが無かったんだ。」

「……具体的に言うと。」

「…弱くなってた?」

 

これは…ますます俺の馬鹿な話の可能性が高くなってきた……

馬鹿な話で終わったら笑い話で済むが、事実だとしたらこの先、箒のいやなことがあるたびにこういうことがおきかねないのだ……

ああ、出来る事なら二人の秘密にしておきたいが……

疲れた顔をしながら話す。

 

「一夏…それ千冬さんに言ったか?」

「いや?千冬姉には起きてからまだあって無いぞ。」

「わかった。俺が今探してくるから必ず伝えとけ、僕からも一夏に聞くように伝えておく。」

「お、おう?」

 

突然疲れたような顔をした俺に困惑している一夏。

もう俺も知らん。千冬さんに任せる。

そう考え医務室から出ようと思うが言い忘れていたことを思い出し振り向く。

 

「あ、言い忘れてたわ。」

「うん?何だ?」

「一夏、僕はあの勝負はお前の勝ちだと思ってる。すごい強いよお前。」

「……そうか、ありがとう奏。」

 

そう一夏に告げた後俺は千冬さんを探しに医務室をでた。

 

 

 

 

 

 

希望はいいものだよ。多分最高のものだ。いいものは決して滅びない。

                               ~ショーシャンクの空に~




これで一応原作一巻分が終わりました。
なぜか予定より二話多い…
…まぁ少ないよりは良いでしょう、そう考えますwww
これでやっとメインヒロインを登場させられる二巻に入れます!!
っと言いたいのですが途中何話かはさんだ後に行かせてもらいます。
では読んでいただきありがとうございますwww
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