インフィニット・ストラトス ~とある青年の夢~   作:filidh

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ある意味二巻中最大の山場です。
あらかじめもう一度言っておきますが
これは作者の考えや考察であって原作には関係ありません。
その事をご了承の上お読みいただければ幸いです。


第四十六話 デュノア社長

そして夜中の三時。

俺は自身の部屋でまたもやキッチンの床に座って電話をしていた。

デュノア社長への直接の電話番号は既にスコールから知らされている。

俺はもう一度自身の頭の中を整理した後電話をかける。

数回コール音がした後相手の方から声がかかる。

 

『何者かね?私が誰かわかってるのか?』

「お宅の息子、いや娘の正体を知るもの……とでも言おうか。デュノア社長、今会話できるな?」

『っ!!………』

「ちなみに馬鹿な事は考えない方がいい、周りがすべて味方(・・・・・・・・)と言うわけでも無いだろ?どうだいあってるだろ?社長。」

『……何のつもりだ。』

 

そう言ってデュノア社長はこちらの話を聞くつもりになったようだ。

さてまずは俺の中の考えと事実をすり合わせて『真実』を求めていこうか。

 

「まず周りに誰もいないか?盗聴は?」

『…心配ない。この携帯で現在の部屋の中なら盗聴の危険性は無い。』

「……OK。じゃあ、まず答えあわせといこうか、これから俺のする質問にすべて正確に答えろ。気分を害さなければもしかしたらその後の要求が軽くなるかも知れんぞ?」

『……解った。』

 

今頃、デュノア社長は悪態をつきたそうな顔をしているだろうか。

それともすべてを受け入れたように諦めているのだろうか…

いや恐らく俺の予想が正しければ……

まぁどちらでもやる事は変らない、俺は話を続ける。

 

「まず一つ目の質問だ、あいつ…シャルル君を日本に送り込んだのはあんたの意思だ。」

『YESだ。』

「………正確に答えろと言ったはずだが?それとも聞き方が悪かったか?」

『……どういう意味だ?』

「OK。言い方を変えよう、あいつを送り込んだのはあんただけの意思か?」

『……NOだ。あれを送り込む提案をしたのは上層部の私の敵対する側の意思でもある。』

 

やはり発案者はデュノア社長ではなく上層部の人間か…

それが解ればとりあえず次の質問はこれで決まりだな。

 

「じゃあ次の質問だ、二つ目、はじめにシャルル、いや、もうシャルロットでいいか…シャルロットを会社につれてきたのはあんたじゃなくその敵対グループ…反社長派とでも言おうか。そいつらが連れてきたんだろ。」

『YESだ。あいつらが私に対する弱みとしてあれを連れてきた。』

 

あれ(・・)ねぇ…

まぁいいだろうそこを指摘するのはすべてが終わってからでいい。

 

「………三つ目の質問だ。デュノア社は実質フランス政府からも見切られている。」

『……YES…だな。すべてがそういうわけで無いが味方が居ないのも事実だ。だが一体こんな事を聞いてどうする?』

「…いいか、質問しているのは俺であんたじゃない。」

『…すまなかったな。』

 

俺の質問の意図がつかめず俺になぜかと聞いてくる。

だが俺はあえてきつい口調でそれを止める。

現在相手からの要求を呑むのは好ましくない、このままいかせてもらおう。

 

「四つ目、反社長派は既に別の企業に買収されている、それもおおよそ半分は既に持っていかれている。」

『……半分はYESだな。確かに君の言う反社長派は買収されているがそれでもわが社の半分は行かないだろう…』

「1/3くらい?」

『……まぁその程度だろう。』

 

よし、まだ状況がそれほどひどくなっているわけでは無いな。

それにデュノア社長の話は簡単だ、なぜシャルロットが男のふりをしてIS学園に送られたか。

その理由は『デュノア社長を消し』さらに『デュノア社を買収する』動きができているのだろう。

そしてその買収する会社は既にフランス政府内にも賄賂か何かを送り味方に引き込んでいる。

だからこそこのような行動に出たのだろう。

要はこのシャルロットを男としてIS学園に送り込む作戦の本当の目的は『デュノア社の子飼い化』および『手に入れられるなら他社の第三世代ISの情報入手』だろう。

そして仮にデータが手に入らなくてもシャルロットの正体がばれればそれで最低限の仕事はしているのだ。後はその責任をデュノア社長と社長派の人間に押し付ける。

その後経営危機を理由に他社に身売り。

そのままフランス政府の息のかかった会社がそれを手に入れ、その会社は無傷のままISの開発権や今まで培ってきたデュノア社のISの技術を手に入れられるわけだ。

このままいけばの話だが。

 

「五つ目の質問だ、仮に今あんたらが量産可能の第三世代ISを開発できたとしたらフランス政府はどう動く。」

『……おそらくこちらに戻ってくるだろう、ただしあれの存在がばれなければの話だがな。それに我が社は今そのような事ができる状況じゃない。かろうじて私が自由に動かせるのは会社の一部の技術者と信用の置ける部下数人だ。会社の金だって自由に動かせるわけではない。』

 

と自身を笑うような口調で話すデュノア社長。

しかし『それでも無駄だ』と言わない辺り一応今までの結果はフランス政府内で評価されているのだろう。ならば計画を実行する上で問題はなさそうだな。

さて、後は個人的に気になっているところを聞こうか。

 

「では最後の質問だ……あんたにとってシャルロット・デュノアとはなんだ?」

『………ただの邪魔者だ。あれのせいで私は自身の首を絞めなければいけなくなったのでな。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嘘をつくな(・・・・・)と言ったはずだぞ?」

『っ、どこが嘘をついているというのだ!?』

「はっ、簡単な話だ。本当に邪魔者だと思っているのなら、彼女があんたの家の別館にいるうちに殺したりするだけで、あんたの枷はなくなるだろうが。」

『か、監視があったからできなかっただけだ!!』

「ならISに細工をすればいいだろう、あんたが自由に動かせる技術者でも使って、殺さないまでも完全に動けなくなるまで傷つける、もしくはISに対し恐怖を与えるほどの事件を与えればIS学園に送り込むことはできない。違うか?」

『そんな非人道的な事が…!!』

「さんざん犯罪行為をしているくせに今になって非人道的だと語るのか?」

『やっている事は全然違うだろう!!』

「はっ、異国の地に自分の娘を男と偽って送り込む男がよく言う。しかも犯罪行為の手助けをさせているんだ、あいつだってただじゃすまないだろ?下手したら一生牢獄だ。それだったらまだどこかを怪我させて自身の故郷に送り返した方がまだあいつの事を考えてるといえるんじゃないか?」

『そ、それは!?』

 

俺の言葉に言い返せなくなるデュノア社長。

半分はそうであってくれという願望だったが賭けには勝ったようだ。

今だけは信じてもいない神様を信じようじゃないか。

 

「正直に言え、あんた始めからすべての罪をかぶる気(・・・・・・・・・・・・・・・・・)だったんだろ。」

『……』

「沈黙は答えと見るぞ。簡単な話だ。あんたは自身の信頼できる部下を通して連絡は一ヶ月に一度に変更。そしてあの程度の変装、一ヶ月も持つはずが無い(・・・・・・・・・・・)。」

『……』

「そして正体がばれた彼女を調べるとさまざまなデータを集めている…がそれを一度も会社に送っていない。さらに今までの人生と自身が置かれていた状況から同情の余地はありとされてさらに未成年だ、実刑に処される可能性は低くなる。そしてあいつの分も自身がかぶれるだけの罪は全部かぶればかなりあいつの罪は軽くなる、そう考えていたんじゃないか?」

『そ、それは……』

 

完全にうろたえている社長。

俺は確信に迫るためにさらに言葉を続ける。

 

「そしてあんたの狙いは始めから自身を助ける事ではなく『シャルロットを助ける事だった』んだろ?」

『……』

「答えろよ社長。俺の握っている情報の公開時期は、別にあいつがデュノア社に情報を送った後でもいいんだぞ?」

『っ……だとしたらどうだと言うんだ…』

「いや、参考までに聞いておこうと思ってね。天下のデュノア社の社長がなぜあの小娘一人のために自身を犠牲にするかをね。」

 

そう俺が言うとデュノア社長はぼそぼそと自身の言葉を吐き出した。

 

『……私はあれの母親を本当に愛していた…』

「つづけて。」

『だがな、私がISの会社を建てるためには莫大な資金が必要だった。当時の私がいくら自身の金を使い、政府からの援助を受けようと到底足りないほどの金額だった。そんな時、私がある家の娘と結婚したら援助をしてもいいという人物が現れた。私は悩みながらも政略結婚のために、私は……妻と…当時まだ幼かった娘を捨てた。』

「ひどい話だ。」

『そのとおりだ、あれの母親には殺されても仕方ない事を私はした。私は彼女たちにはした金だけを置いて家を出て自身の会社であるデュノア社を造った。』

「そしてデュノア社は大成長、いまや世界三大企業の一つだ。」

『だが私の会社は先ほど君に言われたとおりほぼ詰みかけている。……そんなときにアレが反社長派(やつら)に見つかった。』

 

自らを笑うように話していた社長はシャルロットの所になると声を落とした。

 

「……」

『あの時は驚いたよ。なぜ今になってアレが見つかるのかとね。戸籍上も恐らく姓はすでにあれの母親と同じになっていると思っていたのだがな…』

「ちがったのか?」

『ああ、はっきりとシャルロット・デュノアと名乗っていたらしい。』

「理由は?」

『……母親に言われたらしい、【私がいつかあれを探した時に目印になるように】とな…』

「それ以外に理由はあると思うか?」

『………あれの母親はな。本当に優しい女だった…あれ、いやあの子の姓を聞いたときに彼女がこう言ってると思ってしまったよ…【この子は私たちの子供だ。私の生きた証拠だ、それを忘れないで。】とな……』

「……」

 

俺は何も言えなかった。

確かにあの人は一週間一緒に生活しただけでもわかるだけ本当に優しい人だった。

当時ホームレスみたいな俺を家に招きこんで家族同然に接してくれた。

それがどれだけ俺にとっても救いだったか…

俺がシャルロットの母親を思い出している最中にもデュノア社長は話し続ける。

それは最早懺悔のようであった。

 

『そう思ってしまったら、あの子を私の争いに巻き込みたくはなかった!!あえて私はあの子に近づかなかった!!だが反社長派(やつら)はあの子のIS適正が高いことを理由にあの子をテストパイロットに仕立て上げた!!』

「………」

『あの子が必死の思いでがんばる姿を見るたびに叫びたかった!!…頼むかやめてくれ!!私の会社なんかの…お前たち母娘を不幸にした物のために自身を追い込むのはやめてくれと!!』

「……」

『そんな時にあの子の事が妻にばれた。始めから妻も了承していた結婚だったというのに…妻はあの子をおもいっきりハタいたよ、【泥棒猫の娘】と言ってな…何が泥棒猫だ、なら私はなんだというんだ?畜生にも劣る外道じゃないか…』

「……」

『そして私はさらにあの子を傷つけた…こうすればあの子ががんばるのをやめるのではないかと期待もしていた…』

「あんたがあいつに会いたいだけだったんじゃないか?」

『確かにそれもあったさ……だがその後もあの子は自分を苛め抜いた…っ!2年間もだぞ!?普通の子供が学校に行って遊んだり友達と笑い会っている間もあの子はただISに乗り続けて自身を苛め抜いていた!!』

「……」

 

デュノア社長はまたもや声を強めた。

自身が溜め込んでいた感情が爆発したのだろう。

 

『外に出ることもできず!!友達もなく!!一人さびしく!ただ何もするわけでもなく!家に閉じ込められるだけだったんだ!!』

「……」

『あの子に……何の罪があるって言うんだ……罪にまみれているのは私だというのに…』

 

この人は後悔しているのだろう……

そして一人の親として、自分の娘をここまで追い込んだ自身のことが許せないのだろう。

社長の話はまだ続く。

 

『そんな時だった、日本で男性のIS操縦者が現れたのは。』

「それがあんたたちに何の関係が?」

『私個人として…いや、これは関係ないな。私ではなく反社長派(やつら)が言い出したのだよ【あの子をIS学園に男として送り込んで男性操縦者のデータと第三世代のデータを集めよう】とな。』

「…あんたはそれに乗ったと。」

『ああ、IS学園なら3年間はどんな国でも手は出せない。それにもしかしたらその間にあの子の事を守ってくれる人物が現れるかもしれないと思ってな……』

「はっ、どんだけ確立が低いんだよ、それ。その前に退学だろ。」

『ああ、解っているさ。それでもデュノア社という檻から彼女を解き放ちたかったのだ…そして私はあの子を……』

「……あいつの正体が早くばれるようにいろいろと社内で細工して、さらにいざと言う時の罪をすべてかぶるための準備をしていたって訳か。」

『そのとおりだ……これでわかってくれたか?私はあの子の親と名乗る資格もないような男だ。そんな男が今になって父親面をしてもあの子を傷つける事になる……だから私はあの子のためでなく自身の、あの子の母親のためという自身の自己満足のためにあの子をIS学園に送り込んだんだ。だから私にとってあの子は邪魔者でなければいけないんだ…』

「……」

『さて私に話せる事はすべて話したぞ。金の要求ならばれない程度ならいくらでもくれてやろう。どうせすぐになくなるものだ………』

 

そうデュノア社長は語るとしばらく沈黙した。

この人は何があってもこのことをシャルロットに告げることは無いだろう。

そして彼女に一切言葉をかけることなく目の前から消えるつもりだ……

そこまでの覚悟があるのならもっと良い未来のために協力してもらおうか。

俺は声をやわらかくして話しかける。

 

「じゃあ最後…といった後でスイマセンがもう一つ聞いてもいいですか?」

『あの子が集めた情報をこちらに送る前に、あの子が女だと公開してくれるなら何でもしよう。』

「ではお言葉に甘えて。あの時のクマのぬいぐるみは(・・・・・・・・・・・・・)いまだに大切にしていますか(・・・・・・・・・・・・・)?」

『……どういう意味だ?』

「ひどいな、忘れちゃいましたか?ひったくられた鞄を取り返したときの話ですよ。」

『…いや…まさか…ありえん……』

「確かにありえませんね。でも実際にそういうことなんですよ。お金持ちの社長さん。」

『…………』

 

デュノア社長は驚きのあまり声が出ないようだ。

俺はさらに声を優しくし話しかける。

 

「あの時のお礼をもらうために電話をさせてもらいました。お久しぶりですカザネです。」

 

 

 

 

貴方の心からくるものは、人の心を動かす。

                                ~ドン・シベット~

 




ということで謎がだんだん解けてきましたね。
デュノア社長はある意味作中で一番謎が多い人物ですね。
・なぜシャルロットを自身の家に連れてきたあげく軟禁したのか。
 婦人の復讐というか嫌がらせ目的なら
 作者なら自身の近くにおいて徹底的にいびると思います。

・シャルロットが邪魔になりIS学園に送った
 そんな危険性が有る行為をするくらいなら作中でも言ったように
 事故か何かに見せてシャルロットをISに乗れなくすれば問題解決です。

原作でも結果的に見ると
『シャルロットはデュノア家から開放されたあげく3年間の猶予を手に入れた。』
『そんなことをしでかした後でデュノア社はともかく社長が3年間もつ事はない。』
というシャルロットに都合がよすぎる結果に終わっています。
これは誰か裏で仕組んでいるだろう……ということでデュノア社長自身をそこに当てました。
ある意味そういう風に原作が進んでいると仮定してそこに主人公を介入させましたwww
ということで次回お楽しみにww
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