インフィニット・ストラトス ~とある青年の夢~   作:filidh

8 / 120
それじゃあ題名の通りの戦闘。お楽しみください。


『人』対『IS』

(くそ!!速い!!)

(かわされた!?ありえない!?)

 

最初のぶつかり合いはお互いにすれ違うように通り抜けるだけだった。

スコールは内心驚いた。

確かに自身はISを使っている。だが彼女の目的は『奏を捕まえること』だ。

全速力で捕まえようにも普段自身が使っているわけではないこの緊急時の脱出用に用意したどこからか盗んでこられた量産機『打鉄』では正確なコントロールができず全速力でやろうものなら確実に彼を殺してしまう。

そう考え全力を出してはいない、否出せないのである。だがそれだけではない。その程度のこと彼女は初めからわかっているし、それだけなら自分はこの坊や一人簡単に捕まえられる。そういう自信が彼女には有った。ならばなぜ彼女はこの男を捕らえきれないのか、それは自身が想定していないことが今二つ起こったせいである。

一つは彼の早撃ち。自身が飛び出すと同時に目を狙うようにして二発弾丸が打ち出された。しかも撃つ瞬間はISを起動していたにかかわらず見えなかった(・・・・・・)。その弾丸は正確に彼女の両目に向かってきたが当たることは無い。ISによるシールドバリアーにより弾丸は防がれた。

二つ目は一瞬で彼が目の前から消えたのである。おそらく私が両目に向かってくる弾丸に目を奪われた瞬間に動いたのであろう。気が付くともう自身は彼を追い越していた。

彼女はさらに顔を輝かせながら彼を見た

 

(絶対に自身の手に入れてみせる)

 

そう心に決め再び奏へと向かっていく。

 

 

 

 

一方奏は内心悪態をついていた。

 

(くっそ!!想定していたよりも全然速い!!)

 

彼が想定していたよりもISは速く、そして固かったのだ。

いざと言う時、弾丸を同じ箇所にあて動きを逸らす。原作で本物(ヴァッシュ)がやっていたことをやろうとも考えていたが、このリボルバーから放たれる弾丸ではISにかかっているバリアーすら貫けず、まるで見えない壁にぶつかるかのようにして弾丸が空中に止まっていた。

自身の想定ではバリアーは生身の部分や装甲の薄い部分にかかっていると考えていた。だがそのバリアーは全体を覆うようにかかっていることが判明したため銃はもはや相手の気をそらすことにしか使えないのであった。

さらに自身の体捌きも彼をさらに焦らせた。彼は自身が英雄(ヴァッシュ)の再現ができるとわかってから自身の体を鍛え続けていた。それでも全然足りないのだ。本物と比べるとまるで競う気にもならないレベルの動き、コピーを名乗るのもおこがましい。紙一重でかわすのもやっとの動きで服を指先で破かれながらも何とかかわし、隙をみて相手の顔めがけて弾丸を打ち出すのであった。

 

(残り2分!!)

 

自身の能力不足に嘆きながらも何と相手の手をかかわし時間切れを待ち続けた。

 

 

 

 

(のこり2分ね……)

 

時間を確認しながらスコールは、自身がこの勝負をとても楽しんでることに気が付いた。

誰が想像するだろうか。生身でそれもまだ少年と言えるような年齢のこの坊やが、量産機相手とはいえISあいてに鬼ごっこをやり、逃げ続けているなど。

こんなことができる相手などそれこそあのブリュンヒルデ位ではないだろうか。

 

(ほしい、なんとしても彼が欲しい。)

 

そう思いながらISを操縦するが彼は紙一重とも神業ともいえるくらいの身の捌きでISのアームをかわしていく。

さらに時々飛んでくる弾丸はどれも正確に顔、いや瞳を狙うようにして飛んでくる。それに銃を向ける瞬間はよくよく集中しなければわからないほど速いのだ。そして腕の動き、瞳めがけて飛んでくる弾丸に注意が行くとまるでそこから消えるように居なくなり距離をとられる。

 

(『ゴールデン・ドーン』が整備中なのが痛いわね……いえ、ここは素直に相手のほうを認めるべきね。)

 

彼女は自身の整備中のISが今使えないことを少し後悔しながら自身のギアを入れ替えた。

もはや無事に無傷で捕まえることはかなわない。仕方が無いからどこかの骨が折れるくらいは勘弁してもらおう。そう思いさらに鋭く動きを速めた。

 

 

 

 

(残り一分……っ。だが……)

 

どうみても彼女の動きが速まった。

今までですら何とか紙一重だったのがさらに速くなったことにより少しずつ肌が切り裂かれていく。

こちらもペースを上げようとするが今現在でも全力といっても過言ではないのだ。

 

(残り45…44…43…)

 

頭の中で時間を数えながら考える。

仮に自分が3分間見事に逃げ切れたとしよう。だがそれは彼女が言い出しだ時間なのである。言うなれば彼女がさらに1分追加といわれればいくらこちらが断ろうとも。無効に無理やりやられればこちらは逃げることもできず捕まる。もし先ほど言った『シンデレラの魔法は10分』と言う言葉を信じるのならあと最低でも6~7分耐えないといけない。

何か手は無いか!?そう考えながらも体の傷はさらに深くそして増えていく。

 

(30…29…28…27…26…25…24…)

 

時間が経過するのが遅く感じる。

彼女は逆なのだろう、最早顔からは笑みが消え全力で俺を捕らえようとISを操る。

こうなったらこちらも意地だ。もう後のことを考えるのはやめて残り20秒、逃げ切ってみせる。

俺はそう心の中でそう思い、力を振り絞った。

 

 

 

 

(のこり15秒……!!)

 

彼女は内心焦る。

まさか本当にISあいてに3分間逃げ切るのか。30秒を切った時点で彼女は最早手加減などほとんどしていなかった。ただひたすらに彼の体のどこかを掴もうと手を振るうがどこまで行っても紙一重なのである。ここまでくると相手に恐怖すら感じる。

 

(本当にこの坊や、何者なの!?)

 

 

 

(10…9…8…7…6…)

 

頭の中では最早時間だけしか考えていなかった。

相手の手が伸びる、かわす。こちらに突っ込んでくる、潜る。隙を見つける、撃つ。

無心の動きで、ただ当たり前に動くかのように単純に普通はできない動きをする。

 

(3)

 

スコールが最早半笑いになりながら手を伸ばす

 

(2)

 

奏はなんでもないような顔をしながら体中から汗と血を流しかわす

 

(1)

 

残り1秒になった瞬間、奏は全力で距離をとり銃を上に向け弾丸を撃つ。

 

「0……俺の勝ちだ……」

 

空に向かって撃ち出した弾丸と、空に響く轟音がその勝負の終わりを告げた。

 

 

 

 

「ハァ…ハァ…、僕の…勝ちだね…」

「…………質問してもいい?」

 

こっちが笑顔で彼女に話しかけると彼女は真剣な顔で質問をしてきた。

 

「あなた本当に何者?」

「言ったでしょ?ただの教会に住んでる平和の狩人だって。」

「本気で言ってるの?それ。それによくよく考えればあなたの言う名前だって日本語で考えれば『風の音を奏でる』なんてそのまんま偽名じゃない。」

「………」

 

………確かに。

言われてみると『カザネ ソウ』と言う名前はそういわれると偽名にしか聞こえない。まぁ実際半分は偽名なんだ、仕方が無いだろう。

改めて気が付いた新事実に俺が驚いていると彼女はあきれたような顔をした。

 

「何いまさら気が付きましたって顔してるのよ。まさか本名じゃないでしょ。」

「……………」

「……本名なの?」

「……ハイ。」

 

少し気まずい空気が流れた。まぁこのまま時間経過してくれればいいんだけど。

そうすると彼女がはっとした顔をし、顔に笑みを浮かべながら話し出した。

 

「そ、そうなの。……まぁいいわ。それで勝負のことについてだけど。」

「え、ええ。僕の勝ちですよね。」

「ええ、勝負はね。ただご褒美としてあなたを好待遇で連れて行ってあげる。私たちの組織に。」

「……いくらなんでも、それはずるいでしょう。」

「女はずるいものなのよ。」

「僕は優しくて素直なほうが良いな~。」

「あら、ならなおの事、丁度良いじゃない。」

「………」

「何か言いなさいよ。」

 

ジト目で相手を見ながら内心焦っていた。やはりこうなったか。こうなるともう時間との勝負だ。もう体力は限界に近いが何とか時間を稼がなければ。会話と先ほどの戦闘あわせて約5分。なら後もう5分稼げば何とかなるはずだ。

とりあえずは時間を稼がなければ。

 

「いやーうれしいな(棒)」

「そう、じゃあ行きましょうか。」

「え!?まだ心の準備が。」

「早くしなさい。ちなみに時間稼ぎしても無駄よ?後10分で魔法が解けるって言うのも嘘だから。」

「………うそが多すぎじゃないかな?それ。」

「お仕事ですから。それにあなた美人は嘘をついてもいいって言ったじゃない。」

「……」

 

ああ、なんで俺はあんなこと言っちまったんだ。

状況的にも戦力的にも時間的にも口ですらすべて負けている。個人的には最後のが悔しい。

向こうも勝った!!っと言う風に顔をほころばせている。畜生。

だがまだ完全に負けたわけではない、最後まで悪あがきさせてもらおう。

俺は構えるように脚に力を入れ腰を落とし逃げる準備をした。

 

「あら?往生際が悪い男は嫌われるわよ?」

「しぶとく生きていきたいんで。」

「そう、じゃあ無理やりにでも連れて行くわよ!?」

 

そういうと彼女は先ほどの動きと変わらないほどのスピードで動いた。

対する俺は疲れからか明らかに動きが鈍い。

距離をとっていたのに掠るどころか深く腕に傷が付いた。

ここが戦力での決定的な差だ。戦闘の継続力が違いすぎる。

どれほど速く動けようと生身の力で動くのと機械の力で動くのでは、どう考えても前者に勝ち目は無い。

さらにISと言う機械は生半可な攻撃は効かない。そうなるとこの結果は誰がどうみても分かりきった結果である。

 

「っつ!!」

「あきらめたくなったら何時でも言ってね?」

「誰が!!」

 

彼女はますます顔を輝かせてこちらに突っ込んでくる。

なんとかかわすがやはり切り裂かれる。しかし人を傷つけて喜ぶとか、確実にこの人『どS』だ。どこが『優しくて素直』だ。

そこから何とかかわし続けるが、5回目辺りでとうとう彼女のアームに太股の辺りを深く傷つけられ足がやられた。

ガクッと疲れと足の傷からか、腰が落ちそうになるのを何とか踏ん張り踏みとどまる。

 

「……っ。ハァ…ハァ…ハァ…」

「ゲームオーバーね。それじゃあおしまいね。」

「まだ……こっちは諦めちゃ…いないぜ…?」

「そんな風に言われても説得力が無いわよ。」

「……っ」

 

実際どうしようもなかった。彼女はそう言って俺を捕まえようと距離をつめた。

そのとき突然横の方から木の棒が勢い良く彼女めがけて飛んでくる。彼女はそれをかわそうとも受け止めようともせずにバリアーで受け止め足が止まった。

俺は突然の出来事に訳がわからなかった

 

「…っ……?」

「うおおおおおおおおおお!!」

 

掛け声がする方を見ると鉄パイプを持った織斑一夏(ヒーロー)がそこに現れた。

 

 

 

いかに弱き人といえども、その全力を単一の目的に集中すれば必ずその事を成し得べし。

                                    ~春日潜庵~




今回はここらへんで終わりです。
また次回お楽しみください。
データの復旧は無理だけどもともと開始前と番外編4話と本編数話だけだから、大丈夫(遠い目)
実際一回書いた奴だからあとは思い出して書くだけですね。
一回編集者に没されたと考えよう、うん。(白目)
と言うことでまた読んでいただければ幸いです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。