インフィニット・ストラトス ~とある青年の夢~   作:filidh

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第七十五話 ガールズ・ブラボー!!

夜になり全員が寝静まった頃俺は教会にいた。

適当な席に座りながらステンドグラスを眺める。

初めて入った時は吸血鬼でもいるのではと思ったほど寂れていたが今じゃ普通の教会だ。

まぁそれでもところどころ壊れたところがあるな…

また今度時間をつっくって修理をしに来よう。

しかし思うと、とんでも無いことになったなぁ…

思えば原因は婆さんのテレビだったな。

あれを買いに行った後にまっすぐ帰れば今頃普通に暮してたんじゃないだろうか?

いや…多分一斉調査かなんかでいずれにしてもばれてたか。

その後に一夏に会って…日本に行って…ISを動かしたわけか。

しかし…今考えるとIS学園に突っ込むって言う措置はひどいよなぁ…

はじめはそういう流れになる事は知ってたから逆らわなかったがせめて俺と一夏に対してもう少し特別な処置とか出来なかったのか?

まぁ、いまさらそんな事を考えても仕方ないか…

そして箒とセシリアと会って…おっさんにでたらめな機体渡されて…

更織姉妹に会ってか…あの時のOsaはとんでもなかったな…今思うと余裕が無かったのかな?

その後に鈴が転入してきて…あの無人ISと一夏のトランス状態か…

あの時にもう少し詰め寄っておくべきだったな。

だがその後の訓練だと何も起きなかったんだよなぁ。という事は鈴戦と福音戦の共通点か…まったく解らん。そこら辺はおいおい考えよう。

その後にシャルロットとラウラが転入したんだよな……まぁラウラには初対面でビンタされシャルロットとははじめかなりギクシャクしてたな。

今考えてもなぜばれなかったのかわからないな。

それで……どうにか二人とも救えたんだよな。

シャルロットの方はもうほとんど心配ないらしいし、ラウラのほうは…俺次第か。

確かにクラリッサの言うとおりなんだろうが…やはり俺自身が納得できていないのだ。

みみっちい事を考えているのはわかるが…こればっかりはどうしようもない。

しかし…ここら辺からかな?俺の思うようにいかなかったのは……いや常に思うように行ってなかったな。結局全部力押しだし……

専用機はなんだか分けわかんない状態になってるし…

篠ノ之束に喧嘩を売ることになるし、千冬さんはマシになったとはいえ落ち込んだまんまだしなぁ……そんなことよりお土産はなんにしようか。

最終的に何にもならないと考えお土産のことを考えていると教会のドアが開いた音がする。

多分婆さんだろう。

 

「『ソウ?何をしてるんだい。』」

「『うん?考え事。』」

「『そうかい…お祈りをする気は?』」

「『愚痴ならたっぷりあるんだけどねぇ……』」

「『それは自分で何とかなさい。』」

 

そう言って婆さんは普段のように祈りを捧げ始めた。

月明かりがステンドグラスからまるで天使のはしごのように婆さんを照らす。

絵になるなぁ……と思いながら婆さんを眺めながら黙っている。

そういや…俺が最初にここに入った時に俺も同じことをやってたんだけ…

まぁ、頭の中では文句ばっか言ってた気がするが…

数十分祈りを続ける婆さん。

その間俺は椅子に座りそれをだっまって見ながら考える。

俺は本当に何者なんだろうか…

もう元の世界の事はほとんど思い出せない。まぁ…この世界のおおまかなあらすじはわかるんだが…それすら流れが変っている今役に立つ事は少ないだろう。

それにもしかしたら俺は気が狂ってるだけでもとの世界なんて元々存在してないのかもしれない…ていっても俺がなぜ先のことがわかるのかの説明がつかないな…デジャブではないだろうし。

もしかして俺は本当にまだ夢を見てるのかもしれない…とりあえず目を覚ましたいが…いや…目を覚ましたくないのかもしれないな…

ってこんな事考えても仕方ないか。

とりあえずどんな事になろうと後悔しないようにしよう。

すると婆さんが祈りを終えたようでこちらに話しかける。

 

「『ソウ、私の予定は終わったわよ?』」

「『うん?ああ、じゃあそろそろ帰ろうか。』」

「『………ねぇソウ?』」

「『どうしたんだ婆さん。』」

「『もう少し誰かに頼っても良いのよ?』」

 

突然の婆さんの言葉に少し怯む。

正直俺の感情は結構ネガティブになってる自覚はある。隠しとおせるとは思わなかったが…

何に気づかれたんだろうか。

 

「『聞いたわよ?あなた向こうでも無茶してるらしいじゃない。』」

「『…どっちが言ってたの?それ。』」

「『言われなくてもあの子たちの反応を見れば解るわよ、それくらい……無茶をするなとは言わないわ。ソウ、あなたには私たちには見えない何かが見えるんでしょう。ただ…必ず誰かを頼るようにしなさい。たいした事じゃなくてもいいわ、何かする前に相談する程度でもね。』」

「『………』」

「『あなたが誰も巻き込みたくないことはわかるわ。でもね、それでさらに傷つく人もいるの。あなたもわかってるでしょう?』」

 

諭されるように話しかけられる。

自覚が無いわけではない……いま婆さんに言われた瞬間に友人たちの顔が思い浮かんだ。

特にシャルロットはあの俺が帰って来た時の泣き顔を思い出す…

無性にばつが悪い気がし、頭をかきながら話を聞く。

 

「『別に巻き込めって言っているわけじゃないの。ただ少しぐらい弱音を、それこそ愚痴でも良いわ。誰か信用できる人に吐く癖をつけなさい。それとも私が一々電話をかけてあげましょうか?』」

「『はぁ…いつまでも子供扱いだね、俺。』」

「『当たり前じゃない、あなたは私の孫なのよ。』」

「『了解しましたお婆様。努力しますよ。』」

「『よろしい。では眠りましょう。明日には出るんでしょう?』」

「『あれ?そんな事言ったけ?』」

「『あなたの顔を見ればわかりますよ。ここに来た時に悩んでいた事も、少し解決したことも、まだ何か悩んでいることも……あとはあのかわいいフランス人の『彼女』のことも全部ね。ただ怪我だけはしないように気をつけなさい。あんないい娘なかなかいないわよ?』」

 

そう言って楽しそうな顔をしながら俺の先を歩く婆さん。

唖然とし俺は動きを止めてしまう。

バレバレか……正直腹芸で婆さんに勝てる気がしない。

苦笑しながら婆さんに追い付き一緒に並んで家にもどり眠りについた。

 

 

 

 

 

 

翌朝出発の時間、どこから聞きつけたか解らないがかなりの人が集まった。

昨日よりも集まってるんじゃないか?これ。

シャルロットとラウラは苦笑いをしているがクラリッサはまさかこれほどとは思わなかったんだろう、結構驚いている。

 

「『なんだ…ソウ、本当に帰るのかよ…』」

「『あはは、悪いけど結構忙しいんだよこれでも。』」

「『次はいつ帰ってくるんだ?その時は連絡入れろよ。』」

「『わかったよ、多分冬頃には帰れると思うよ。それほど長くはいれないけどね。』」

「『本当に慌しい奴だなお前は…』」

「『まぁ…すぐに帰ってくよ。じゃあ皆またね。後婆さん、後で連絡するよ。』」

「『はいはい。気をつけて行ってらっしゃい。』」

 

そう言って車を出してもらう。

このままじゃいつまで経っても出発できない。

見えなくなるまで手を振ってしばらくすると誰も見えなくなった。

クラリッサがこちらに話しかける。

 

「す、すごい人気でしたね…」

「おばあちゃんに聞いたが奏兄は元々街の人気者だったらしい。」

「いや、便利屋みたいなもんだっただけだよ。」

「それにしては何か起きるたびに勝手に首を突っ込んでたんでしょ、ソウは。」

「だって……そうしなきゃ婆さんが突っ込んでいくんだぜ?流石にあの――」

「「〝流石にあの年で走り回らせるのはきついだろうから代わりにやっただけだ”」」

「……なんで言おうとしたことが解ったの?」

 

声をそろえて俺が言おうとした事を先に言う二人。

俺が驚きながら口から漏らす声を聞いて二人は笑い出す。

まるで初めからこうなると解られている…まさか…

 

「アストリットさん、ソウがこういうだろうって言ってたよ。」

「……いやね?た――」

「「〝多分婆さんに担がれてるだけだ。”」」

「…す―」

「「〝進んでやるようになったのは婆さんの癖が僕に移っただけだ。”」」

「……」

 

間違いない。

この二人完全に婆さんに何か仕込まれていやがる。

二人はクスクス笑いながらこちらを見ている…まだ何かあるようだ。

 

「まだ何か言う?」

「おばあちゃんはまだまだ奏兄が言う言い訳を私たちに教えてくれたぞ?」

「……降参だ。正直、僕婆さんにかなり考え見抜かれてるからね。」

「あはは、完全にソウの弱点だね。」

「……何かあったらおばあちゃんに電話して相談しよう。」

「ちょっと、ラウラ!?本当にそれだけはやめて!?」

 

話しに聞いてる限りでもいろいろ婆さんに俺のことを言われてるみたいだな…

それにラウラの顔…甘えるとまではいかなくても信用はされたみたいだな、婆さん。

しかし俺の返しまで予測されてるとは……そこまで解りやすい性格では無いと思っていたんだがなぁ…

車の中でわいわい騒ぎながら俺たちは空港のある町へと向かった。

 

 

 

 

 

 

街につくとラウラは何か用事があるらしく軍部に一人で向かった。

その時にすごく嫌そうな顔をしていたのは……気のせいだろう。

クラリッサは俺の監視だけを残してラウラについていった。

……さてどうしようか…

適当に観光してもいいけど……選択肢としては

 

①このままおとなしく観光

②監視を少しだけ撒いてシャルロットとデート

 

①はまぁ何も問題は無いが結構シャルロット昨日からおとなしいからな…ちょっと俺がそこを気にしてるのが一つ。

②はちょっとだけなら出来ないでもないが……あの子たちが大目玉くらうんだよなぁ…

………おとなしく①にしよう。

シャルロットへの埋め合わせはまた今度にしよう。

俺が考えている間シャルロットは黙って俺の顔を見てくる。

とりあえず黙ってても仕方ないから話でもしながら歩こう

 

「さて…どうする?俺後お土産買うぐらいしか考えて無いんだけど。」

「う~ん…ちょっと一緒に観光しない?」

「いいけど…俺もそれほど詳しいわけじゃないからエスコートは期待しないでよ?」

「あはは、別にそんなのどうでもいいよ。」

 

と笑っているが…多分普通にデートできない事はこいつもわかってるんだよなぁ。

なんというか…彼氏らしい事まったく出来てないな、俺。

っていっても彼氏らしい行動ってのがどんなものかって言われたらまったく説明できないんだけどさ。…まぁ悩むのはこれくらいにして適当に見て回るか。

 

「じゃあ…適当に見て回るか。」

「うん、行こう?」

 

そう言って手もつなげずに一緒に買い物に向かった。

監視は…昨日とは違い2人だけか。

気にしても仕方ないしとりあえず歩こう。

そして適当な店で早めの昼食としよう。

無駄話をしながら俺たちの買い物が始まった。

 

 

 

 

 

 

その後いろいろと観光しながら飯を食い、おみあげを買い、いろいろと見て回ったあとに適当な店先でお茶を飲みながら休憩する。

結構買ったなぁ…一応これで親しい人数分は間に合うだろう。

時間も結構経ったし…後は空港に行って帰るだけかな?

シャルロットの方も満足したようでかなり楽しそうだ。

そういやいくつか質問してみるか…

 

「そういえばシャルロット。」

「うん、どうしたの?ソウ。」

「いや、ちょっと気になったことがあってさ。」

「何?」

「婆さんと何話してたのかなぁって。」

 

今さっきふと気がついたことだが、俺はまったくそこら辺に聞き耳立てて無かったのである。

多分俺の昔話をしているだけだと思っていたがラウラともども婆さんに何かしこまれてるみたいだしな。そこら辺は先に聞き出したほうが良い。

そういうとシャルロットが少し笑い出す。

 

「やっぱりソウもそこら辺が気になるんだ。」

「ここに来る時のラウラとお前の態度を見てたら不安になってね。」

「あはは、大丈夫だよ。そんなにたいした事は話してないよ。ソウのちょっとした話とか、学校でどんな感じかとか、あとはソウの弱点とか。」

「……婆さん何話してるんだ?弱点って…」

「秘密、あとは…ソウを好きになったときのアドバイスとかかな?でも私しっかりと自分が彼女だって言えなかったなぁ…」

 

と言ってちょっと落ち込んだ風に笑うシャルロット。

それを見ながらため息をつきながら話しかける。

 

「……完全にばれてたよ、それ。」

「え?…わ、私言ってないよ!?」

「ああ、解ってるよ。ばれた理由は俺らしいしね。」

「ど、どこで気がついたんだろう…」

「まったく解らん。婆さん、俺の隠し事とかすぐさま気がつくからな……とりあえず次ぎ来る時はこそっと言ってみろ。多分知ってますよって答えが返ってくるはずだから。」

 

と半分呆れ顔になりながら話す。

ほんとにどこでばれたんだろうか…

俺が悩みがある事はばれるだろうと思ったがシャルロットの事は予想外だった。

 

「わ、解った。」

「とりあえず……問題全部解決したらゆっくり休もう。」

「そうだね……旅行に行こうね、二人で。」

「了解。……お、ラウラから連絡来てるな。……合流するか。」

「そうだね…今日の夜には帰るんでしょ?」

「うん?ああ、そのつもり。早いところ学園に帰らないといろいろ問題があってね。とりあえず行こうか。」

「うん。」

 

そう言って笑いながら合流場所にたどり着いた。

そのまま車に乗るとラウラはすごい……微妙な顔をしている。

 

「ラウラ…どうした。」

「…いや…奏兄にお礼を言いたい人がいてな。」

「えっと…どういうこと?」

「…まずは黙って聞いてくれるか?」

「あ、ああ…」

 

そのまま車は発進し空港に向かう。

いつも以上に真剣な顔でこちらに話しかけてきたラウラに俺も向き合う。

そういや一緒に言ってたクラリッサはどこに行ったんだ?

一旦深呼吸をした後に俺に話かける。

 

「軍の方で奏兄にお礼を言いたいと言っているんだ。」

「いや…でも僕はドイツ軍に何もしてないよ?」

「…私の救助に協力したという事でその代表者として感謝状を贈りたいらしいんだ。」

「えっと……他の人には連絡してあるの?学園とか…一夏たちとか。」

「ああ、学園の許可は貰ってるし…箒と簪は辞退した。嫁は……それどころではないほど忙しいらしい。箒の声もどこか落ち込んでいた…」

 

ああ、さっきから微妙な顔をしている理由はそれか。

多分一夏がどうなってるのか解らないのが不安なんだろう。

いや…だがそれだけではないような気もするんだが……

 

「ああ、一夏は今剣の師匠の元で修行しなおしてるからな。それのせいじゃないか?」

「じゃあ何で箒は落ち込んでいるんだ?あと嫁が理由を言わなかったのは…」

「そりゃ今まで剣の稽古をつけてたのは箒なのに奪われちゃったからね。それのせいじゃないかな。あと一夏が言わなかったのは今頃ボコボコにされててそれを聞かれるのが恥ずかしかったんだろうよ、きっと。」

「………そうか…うん。そう思うことにする。奏兄、話を戻すがそれで感謝状の受取人を全員奏兄を指名しているんだ…」

「っ!?本当に…あシャル――」

「あ!!私のことならいいよ!!気にしなくても。」

 

こいつ…すごい反応で逃げやがった…

しかし俺を押したって事はラウラもその理由は聞いたんだろうな…

隠し通すのはもう無理だろう。

 

「ラウラ…俺に言いたいことがあるんじゃないか?」

「!?い、いや…」

「大丈夫だ、好きに言え。覚悟は出来ている。」

 

こいつがなんと言おうと俺は俺が何をやったかしっかりと話し…謝ろう。

許してもらえるとは思わないがそれが最低限のケジメだろう。

やはりかなり緊張するな、今になって千冬さんの気持ちが理解できる。

一方ラウラはきょとんとしていた。

 

「え?…なんで奏兄が覚悟するんだ?」

「……クラリッサさん、すいませんラウラと一対一で話がしたいんで車を止めてもらっていいですか。」

「…解りました。」

「ソウ…」

「心配するな、話すだけだ。」

 

シャルロットはこちらを心配しているが笑顔を作り声を返す。

そして車を降り道端で話を始める。

誰か来るようなものなら部隊の誰かが連絡を入れるだろう。

 

「さて、ラウラ。お前の聞いたことを話してもらっていいか?」

「奏兄がわが国のために一部の暴走した奴らの情報を渡してくれていて……ある人からは私のことをはじめかなり気にかけていたということをきいた。クラリッサからは奏兄が…私を危険な目に合わせたことを気に病んでるとも聞いた。」

 

ある人って言うのはランベルトの事だろうな…俺電話で第一にラウラの事言ってしまったからな。クラリッサは多分この話を聞いたときのラウラにわざわざ伝えてくれたんだろう。

さて…なんと話そうか…

だが俺が口を開ける前にラウラが先に叫ぶように話す。

 

「なぜ私にそれを教えてくれなかった!!そんなに…私は弱く見えるのか!?」

「…違うよラウラ。弱いのは…俺の方なんだ。」

「…どういう意味だ?」

「俺が一番怖かったのは…お前が笑わなくなることだっ、いや、お前に嫌われる事だったんだよ。」

「なぜ私が――」

「今だから言えるけどさ…あの時俺の頭の中にはお前を何も関係無しで救う選択肢もあった。でも俺はそれを選ばなかったんだ…そしてお前は危険な目に遭った。」

 

これだけは誰がどう言おうと…俺にとって絶対に許せない選択だ。

命は絶対に簡単に斬り捨ててはいけない。俺はそれを知りながらも…命の選択をしたようなものだった。

 

「それでもお前を助けることは出来たが…これを知ったときにお前がどんな顔をするかわからなかったんだ。もしかしたらお前に嫌われて笑わなくなるかもしれない…何よりあの時に一夏に向けていた笑顔までなくなるんじゃないかって…怖くていえなかった。」

「………やはり私のために隠してたんじゃ…」

「違うよ。俺がお前に嫌われたくない…だからおびえて隠してただけだ。」

 

後は…ラウラの答えを待とう。

たとえここで嫌われてもいい。だが…こいつがせめて笑って過せるように動くつもりだ。

それがせめてもの俺にできる償――

 

<―パァンッ!!―>

 

突然、両頬を叩かれ顔を力ずくにもラウラに向けられる。

ラウラは俺の顔をじっと見つめる。

それを目をそらすことなく見つめ返す。

それを見てラウラは納得したような顔をする。

 

「やはり鈴のやったみたいにやれば確かにしっかりと話せそうだな。」

「……そんなことをしなくてもしっかりと聞くよ。」

「いや、奏兄は私のことをさっきから見ていない。奏兄が見ているのは『救えなかった私』だ。」

「っ!?」

 

ラウラのその言葉にびくっと反応してしまう。

俺がそう反応した後も続けざまに話を続ける。

 

「確かに奏兄の言う通りなんだろう。奏兄が後悔しない様に動いていたら確かに私は何の問題も無く救われただろう…だがそうしたらドイツも大変な目にあったし…シャルロットを助けるのが難しくなったんじゃないか?」

「確かにそうだが…それは人命より――」

「奏兄。しっかりと私を見てくれ。ここに居る私は死んでいるか?しっかりと奏兄に、嫁に、皆に救われてここに居る。奏兄が救えなかった(ラウラ)はどこにもいないんだ。」

 

そういうラウラの瞳はまっすぐに俺のことを見ていた。

一切迷い無くその言葉を吐き出していた。

 

「奏兄は今の私を認められないか?奏兄が助けられなかった(ラウラ)の方が笑っているのか?」

「いや…そんなことは無い。」

「私はしっかりと助けてもらった。もう何も問題は無い。しっかりと…ここに居る。ありがとう奏兄、私のことを助けるために全力で動いてくれて。」

「……ああ、そうか……」

 

ラウラに面を向かって言われてようやく納得できた。

お前のこともしっかりと助けられていたのか…俺は……

確かに俺はラウラを…見捨てた。

これだけは絶対に変らない事実なんだ。

でも…今の未来が最善だったんだろう。俺の目に映るラウラは確かに俺の思っていたラウラよりもしっかりと笑っている。

俺のやったことの否定は今目の前に居るラウラを否定しているようなものだ。

 

「はぁ…駄目駄目だな、俺。」

「何、誰だってこういうときはあるものだ。」

「偉そうに……とりあえず気は晴れたよ、ありがとう。」

「そうか、それはよかった。あと奏兄。」

「うん?なんだ。」

「もしどうしようも無いことがあったら私に言え。絶対に力になる。」

 

そう言って胸をはるラウラ。

なんともおかしくって…同時に頼もしかった。

頭をぽんぽんと叩きながら車に向かう。

 

「そうならないようにがんばりますよ。」

「む、信用してないな?」

「してるしてる。」

 

そう適当に返すように返事をする。

ラウラは何か言っていたがそれは適当に返事を返した、単純かもしれないがどうしようもなく気分がよかったのだ。

しばらくラウラをいじりながら俺は車に戻るのだった。

 

 

 

 

 

今あなたが不運な状態にあるなら、それはあなたがそうなるように仕向けた結果です。

逆に、今あなたが幸運に恵まれているなら、それもあなたがそうなるように仕向けた結果です。

                                   ~J・マーフィー~

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