ソードアート・オンライン~夢幻の戦鬼~   作:wing//

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サブタイ:屑貴族をブッ飛ばせ!
となっております。

フォンがやりたい放題です・・・こいつに心意使わせるの止めさせようかと思うくらいのご都合展開です!

地文がかなり多いのでお気を付け下さい。

それではどうぞ!


第21話 「修剣検定試験」

先輩たちが卒業して数日後・・・

俺たちは12人しかなれない上級修剣士に入るため、修剣検定試験を受けるために学院へと来ていたのだが・・・

 

「・・・マジか、この組み合わせ」

 

神聖術の筆記テストが行われる教室と、実技試験の組み合わせと会場が記された試験の一覧表が張られた掲示板を見て俺は思わず絶句した。隣で組み合わせを見ていたキリトとユージオも何とも言えない表情を浮かべて俺の方を見ていた。

 

修剣検定試験は神聖術と剣による実技試験の二つの構成になっている。

 

神聖術の試験では、術式と術の特性を覚えているのかを確認する筆記試験と、試験官が指定した神聖術を順番に発動していく実技試験が行われる。

 

その後、昼食を挟んで4人8組に分けての総当たりによる剣術の実技試験が行われる。基本的には勝ち負けによる点数制で、勝てば3点、負ければ加点なし、引き分けの場合は両者に1点ずる加点するといったルールになっている。

 

そして、最後に実技の試験官との一騎打ちの試合の評価で点数が与えられ、順位が決まる仕組みになっている。

 

さて、どうして俺が剣技の実技試験の組み合わせを見て絶句しているのかというと、その組み合わせ相手に理由があった。

キリトとユージオと当たったわけではない・・・その時は全力で戦おうと話し合っていたので問題はなかった。むしろ、そっちの方が良かったくらいだ。

なぜなら・・・

 

(まさか、あのライオスとかよ・・・!)

 

その事実に思わず頭を抱えたくなってしまった。頭痛がしてきたのは気のせいだと思いたい・・・試験前だというのにテンションがダダ下がりである。

見たくはないが、とりあえず俺たちとは離れた位置で一覧表を見ているライオスとウンベールを見てみると・・・

 

(うわぁ・・・!とてつもなく良い笑顔を浮かべてるわ)

 

まるで勝つことは決まったかのような歪な笑みを浮かべていた。ウンベールがいつものようにライオスを持ち上げているようだが、とてつもなくどうでもいいと思った。 

 

「だ、大丈夫かい、フォン?」

「・・・大丈夫だよ、ユージオ、今すぐ試験を辞退したいぐらいだけど、なんとか大丈夫だよ」

「えーと・・・冗談だよね?」

「アハハ。ドンマイ、フォン」

 

友人二人の励ましが妙に胸に刺さる。気持ちをなんとか切り替え、俺は気合を入れ直すため、自分の頬を両手で叩いた。

 

「・・・ふぅ。よし、行くか!」

「ああ!」「うん!」

 

切り替え終わった俺の掛け声と共に、俺たちは神聖術の試験が行われる会場へと向かった。

俺たち3人の会場は同じだったが(ちなみに会場は大学の講義室みたいなものだ。以前、重村教授の講義に参加した時のと似たようだものだった)、席は少し離れた位置に配置されていた。

二人と試験に関して最後の確認をしていると、試験官が入室してきてたのでそれぞれの席へと戻って行った。

 

まず試験に関する注意事項が説明され、問題と解答用紙が配布された・・・まるっきり現実世界とそっくりすぎて、内心で苦笑してしまったのは秘密だ。

 

試験官の合図と共に一斉に参加者が問題用紙を開き始めた。俺も一通り問題を見渡してから問題を解き始めた。

 

一番時間が掛かりそうだと思った最後の問題から手を付け始める・・・内容は一年の間に習った神聖術の応用に関する問題だ・・・まぁ、神聖術に関しては1年間ハルト先輩にみっちり鍛えられたので問題なく解いていく。

 

やっかいそうだった応用問題も難なく解き終え、そのまま最初の問題・・・指定された神聖術の式句を記入していけ、という問題を解いていく。

 

(そういえば。この問題はキリトがかなり苦手としてたな。ユージオは問題なさそうだけど・・・まぁ、大丈夫だろう)

 

そんなことを考えるくらいに余裕があり、動かすペンの手が止まらない状態だった。そのまま特に苦戦するような問題もなく、残り時間15分ほどを残して、見直しを終えた俺はペンを置いた。

後の時間は寝てしまおうかとも思ったが、流石に空気を読んで問題を見直しているフリをして、この後の試験のことを考えていたのだった。

 

そうこうしている内に時間は過ぎ、試験官が試験終了の合図を告げた。解答用紙が回収され、休憩なしで会場を移動することになった。次は神聖術の実技試験になるため、術を放っても問題ない実技室へと向かう。

 

神聖術の実技試験は10人1組で行われる。

実技では、試験官が指定していく神聖術を唱えて発動すれば合格。それを10問繰り返す形で、一度でも間違えれば失格となり、唱えられた呪文により点数が決められる。もちろん、出題される術はどんどんと難しくなっていく。

 

3組の挑戦が終わり、ようやく俺の組の番が回ってきた。

 

まずは初級ともいえる、火球を放つ神聖術。これは全員が問題なく合格した。

次に、風を発生させる神聖術、天命を少しだけ回復させる術、前方に光の槍を放つ神聖術、とお題の神聖術を次々と放っていく。ここで初めて脱落者が出た。

 

折り返しの神聖術は鏡を生み出す神聖術だった。物を生み出す神聖術は何度が上昇するため、ここで3人ほど脱落したが、俺は問題なく神聖術で鏡を生み出す。

 

6問目で水と風を組み合わせた水の刃を射出する術、7問目では土から自身の彫像を作り出す術、1問目で出された火の術の応用で、複数の対象に火の雨を降らせる攻撃術式が8問目に出された。難度が上がっていく問題に次々と脱落者が出て行く。

 

そして、土により四方の壁を作り、試験官が放った神聖術を防ぐ(壁が壊されたら失格)を終えた時には、組で残っているのは俺だけだった。

そんな中、最後の問題として繰り出されたのは・・・

 

「自身が放てる最も強い神聖術を放ちなさい!」

「・・・!」

 

試験官のまさかの出題に俺は考える。

最も強い術とはいうが、試験官が納得するものでなければ合格とはされないのだろう。意地悪な問題でもあり、考えられた問題でもあった。

 

(どうしたもんかな・・・俺も上級の神聖術はほとんど使えないし)

 

一問ごとに与えられた時間は30秒だ。刻々と迫る時間の中、俺は頭を巡らせる。そんな俺に全員の視線が集中しているのを感じた。

 

(・・・!やってみるか・・・)

 

ここ数日で試していたことを思い出し、頭にそのイメージを確立させる。

 

「あと10秒!」

 

試験官の声など無視し、ただただイメージを固める。イメージするのは何度もその身で受けて味わってきたハルト先輩のあの神聖術。それを自身が放つ、完成されたイメージを頭に固定させる。

 

「あと5秒!」

 

そして、早口で10に及ぶ式句を唱え、イメージと共に右手を突き出す。

 

「ディスチャージ!!」

「そこま『ゴオォ!!!』なっ・・・!」

 

試験終了の声を遮り、俺の右手から突風が吹き荒れる。そして、俺の周りで豪風となり渦巻き形どっていく。

 

「おい、あれって・・・ザガメナン先輩が得意としてた術じゃないか!?」

「・・・風還龍・・・」

 

外野が何かを騒いでいるが、イメージと術を維持するのに必死で雑音にしか聞こえない。少しでも意識を散らせばあっという間に龍が崩壊してしまいそうだ。

 

「・・・そ、そこまで!!合格です!」

「っ!はぁ・・・はぁ・・・!」

 

試験官の掛け声に遂に集中力が切れた俺は膝をついた。その瞬間、術で作り上げた龍もあっという間に霧散と化した。

 

「お、おい・・・あいつ、何なんだよ!?」

「キリトといい、あいつといい・・・なんであんな術が使えるんだよ!?」

「確か、去年もあの最後の問題を突破したのってザガメナン先輩だけって噂だよな。付き人だったフォンなら納得か・・・?」

 

「凄い、凄いよ!フォン!」

「やったな、フォン!というか、あんな隠し玉持ってたのかよ」

「・・・サンキュー、二人とも。ぶっちゃけると、ぶっつけ本番の失敗覚悟の術だっただけどな。流石に疲れたわ・・・」

 

俺の放った神聖術に盛り上がる同期とそれを抑えようと注意の声を上げる試験官。そんな中、ユージオとキリトが俺を賞賛してくれるも、流石にあんな大術を放ったのと集中しすぎた反動が来て返事をするのがやっと状態だった。

 

ようやく会場が落ち着いたところで、試験官から試験が満点であったことを俺に告げられ、更に会場が盛り上がってしまい、落ち着くまでに5分を要することになったのは余談だ。

 

ちなみに、キリトは7問目、ユージオは8問目で脱落した。ライオスたちは9問目で壁を作り上げることはできたものの、試験官の放った神聖術により壁の一部が崩れたことで失格となったので、満点をもらった俺を物凄い憎悪の視線で睨んでいたのだった。

 

 

 

「それにしても、あんな術式いつ使えるようになってたんだい、フォン?」

「あれは俺も驚いたぜ・・・練習してたのか?」

 

昼食休憩になり、俺たちの話題は最後に放った『風還龍』の話となった。

 

「本来、上級修剣士で習う神聖術だよね?」

「ああ。俺が知ってたのは、ハルト先輩の傍付きを仕えていた時に何度も何度も使うところを見てからだよ・・・一体、あの術で何度剣を弾き飛ばされたことやら」

 

ユージオの質問に、当時の稽古のことを思い出して遠い目をしてしまった。神聖術ありでの稽古の際、先輩はあの術と共に秘奥義を放っていた。だから、俺の中で最も強い神聖術としてイメージが残っていたのだ。

 

「といっても、本当にあの場で思いついたぶっつけ勝負だったんだけどな。多分、あれを実践でやれといわれたら無理だな。

さっきのも術を維持するのがやっとで、放つのはもちろん、攻撃しようなんてほぼ不可能な状態だったからな」

「それでも、あんな術を発動するだけでも凄いことだろう!あのライオスたちが物凄い表情をしてたしな」

「キリト、キリト!?聞こえるから!」

 

昼食に出されたベーコンエッグをつまみながらそんな会話をしていく。笑いを隠そうしないキリトにユージオが慌てて口を押さえる。

 

(この後、ライオスと戦うの俺なんですけど・・・!)

 

空気を読めとジト目をキリトに向けると、流石のキリトも悪いと思ったのか、笑うのを止めた。こっそりとライオスたちを見てみると・・・どうやら聞こえてはいなかったらしい。

 

「この後は剣術の実技か」

「神聖術の筆記はそれなりにできたと思うから、あとはそれを乗り切るだけだね」

「あ、ああ・・・そう、だな」

「「キリト・・・」」

 

歯切れの悪いキリトに何かを察した俺とユージオはそれ以上何も言う事はなく、思わずため息を漏らしたのだった。

 

 

 

そして、実技試験が始まり、それぞれの組が割り当てられた会場へと分かれる生徒たち。

俺も割り当てられた会場へと向かう・・・あの大剣を背負ってだ。

 

剣術の実技試験では、各自が用意した実剣を用いての勝負になるのだ。キリトがあの黒剣を作ってもらったのもそういう理由があってのことだ。ちなみに、試合は本人たちの同意の下で行われるので、血を流すことがあっても禁忌目録違反にはならないようになっている。

 

会場へと入場しようとした時、うしろからすれ違いざまに肩をぶつけられた。誰かと思い、顔を確認すると・・・不機嫌を隠そうともしていないライオスだった。

 

「平民が・・・調子に乗らないことだ」

 

俺だけに聞こえる憎悪のこもった声でそう告げられた。あまりに器が小さすぎる行動に呆れるしかなく、俺は全く気にすることなく、ライオスに続き教室へと入った。

 

試験官から実技試験の注意が説明された後、早速総当たりでの戦いが始まった。

流石に楽勝とまではいかなかったが、同じ組の二人との試合を勝利で収めた俺。それはライオスも一緒であり、最後の試合は・・・俺とライオスの組み合わせとなった。

 

「これは驚いたよ。まさか貴殿までもがここまで全勝とは。偶然なのか、他の錬士が弱かったのか・・・本当に驚きだよ」

「試合前によく回る口だな。それとも、俺の試合やさっきの神聖術を見て、しゃべっていないと落ち着けないのか?」

 

いつも通り・・・どころか、同期までもを馬鹿にした言葉で挑発してくるライオスに、全く反応することなく挑発し返す俺。だが、流石のライオスも慣れたのか、全く怒る様子もなく更に挑発を続けてきた。

 

「いやいや。これは貴族としての余裕というものなのだよ。まぁ、平民である貴殿には到底分からないものであるだろうし、この試合で貴殿のまぐれ続きも終わりであることを証明できるのだから、口も軽くなるのは当然のことだよ」

「はぁ・・・なるほど。それは失礼しました、ライオス殿。では、この試合でそれを学ばせて頂ければと思います」

「・・・フン!貴族の本気というものを見せてやるぞ、平民!」

 

挑発に乗ってこなかった俺を見て、そう言い放ったライオスは開始の位置に着いた。俺も難癖をつけられる前に開始位置へと移動した。

 

「両者、構え!」

 

試験官の合図と共に剣を抜く俺たち。

ライオスは歪な笑みを隠し切っているが、闘気からは、俺を事故という形で傷つけられるという喜びが湧き出ているのが感じられた。

そこまで俺が嫌いなのだろうか・・・まぁ、嫌われるようにはしてるから仕方ないことではあるのだが・・・

 

「・・・始め!」

「疾!」「はぁあ!」

 

開始の合図と共に剣をぶつけ合う。そのまま一度、距離を取ってから切り結んでいく。

 

(流石に口だけ達者ってわけじゃないな・・・!一発一発が重い!)

 

ライオスの剣を受け止めながら、反撃する俺はその腕前にそんな感想を抱いていた。他の試合も見ていたが、ライオスの剣技は他とは一線を画していた。伊達に貴族として英才教育を受けていたのは確かなようだ。

 

本来であれば、傍付きにだって選ばれてもおかしくない実力をライオスとウンベールは持っている、それが俺とキリトの見解だった。二人が実力を隠していたのは、傍付きという厄介な面倒事を避けるため。実にプライドが高い二人が考えそうなことだった。

 

「どうした、どうした!さっきまでの威勢はどこにいったんだ?それとも、実剣を使うことは自体が初めてなのかな!」

「・・・別になんでもないさ。貴族様には分からない、平民としての戦い方があるんでね!」

「・・・ならば、すぐに終わらせて差し上げよう!!」

 

その一言と共にライオスの剣圧が一段と強まった。スピードも速くなり、ラッシュをなんとか防ぐもなかなか反撃に移れずにいた。

カウンターを仕掛けたくても、気を抜けば間違いなく負ける。全ての攻撃をいなし、躱して機会を待った。

 

「ほらほらほら!私の剣技に何もすることができませんか?」

「・・・調子にのるなよ!」

 

高笑いしながらそう言うライオスの挑発に乗ってやることにした。大きくバックジャンプして俺はソードスキルの構えを取った。それを見たライオスも好機と見て秘奥義を放つ構えを取った。

 

「ぜりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「きぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

俺の放った両手剣2連撃ソードスキル〈ブラスト〉とハイ・ノルキア流剣術秘奥義〈天山烈波〉がぶつかり、剣による風圧が周りに起こる。だが、

 

「があああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

(っ・・・!これが、ライオスのイメージ・・・!?

粘りつくようで、全てを支配しようとする・・・憎悪!!)

 

キリトやウォロ主席のように、俺にはライアスが放つ絶対なる“自尊心”からなるイメージが見えた。

そのイメージが俺の全身を覆うように見え、それと共に剣が徐々に押されていく。

 

「さぁさぁ!もう後がありませんよ!」

「(ヤバイ!押し、負ける・・・!?)っ・・・こんのぉ!」

 

ワザと力を抜き、押し負けた勢いを使って横っ飛びに避けることで、なんとかライオスの秘奥義を避けた。空振ったライオスの秘奥義が会場の床にヒビをつけていた。

 

注意事項では寸止めが勝利条件だったはずだが・・・間違いなく怪我では済まない威力だったが、そんなことを言う余裕はなかった。

 

「ちょろちょろ・・・平民らしく鼠のように逃げるのがお上手ですね!」

「悪かったな、素早くて」

 

躱しきれず剣が掠ったことで血が流れる頬を拭いながらそう答える。このまま長期戦で戦うのは明らかに不利だった。覚悟を決めた俺は再び剣を上段で構えた。

 

「次で最後だ、ライオス。

俺が放てる最高の技でお前を倒す!」

「ほう・・・キリト錬士が使っていた小賢しい技かな?ならば・・・貴殿のその技を破り、貴族の本当の力を見せてやろう!」

「・・・勝負だ、ライオス!!」

 

互いに闘気を高め、いつでも技を放てるように構えた。その間、俺の頭の中にあったのはライオスを倒すことではなく、今から放つ技のことだけを考えていた。

 

「しゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

「きぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

再度技がぶつかり、先程とは比べ物にならない風圧が発生する。

 

「これで終わりだァァァァァァァァァァ!!!」

 

先程と全く変わらないイメージで増幅された〈天山烈波〉に俺の剣が再び押される。ライオスが叫びと共に更に剣を押し込んでくる。

 

( “支配”“自尊心”“自己顕示欲”・・・それがお前の絶対なる力なんだろうな・・・!だけど・・・俺にだって譲れないものがある!)

 

俺はゼフィリアの花で『心意』なるイメージの力を経験した時から試していたことがあった。

それは、この大剣では使いこなすことができないソードスキルさえも『心意』を使えば、使うことができるのではないかという考えだった。

 

もちろんすぐにできる芸当ではないことは分かっていた。だが、俺がイメージしたのは何もソードスキルのことだけではなかった。

 

(俺が戦ってきた奴らは・・・その想いを剣に掛けていた!

俺が守りたい人は強くて、明るくて・・・一人で泣いていてほしくない人だ!そして、俺がユウキを守りたいという想いは絶対に・・・誰にも負けない!!!)

 

その想いを剣に込める!

徐々に剣を押し返すも、ライオスも負けじと剣へと力を込める。

その時、大剣に刻まれた模様から光が溢れ出した。その光景に驚くライオスに対し、俺は剣へと語り掛ける。

 

(お前が何で、どんな大剣だって構わない!今の俺の想いに応えてくれるなら・・・力を貸してくれ!!)

「おおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

剣へと込める力を一層強めると、大剣から放たれる光がライトエフェクトと混じり、灼熱の赤と穏やかな青の光へと変わった。

まるでライオスの秘奥義の力を吸い取り、自らの力へと変えているように光はどんどんと輝きを増していく。そして、その光と共に俺は叫ぶ。

 

「ソードスキル・・・アストラル・ヘル!!!」

 

ライオスの剣を弾き、2撃目・3撃目でライオスの秘奥義を完全に無効化させた。そして、続く4連撃の斬撃を繰り出した。

ライオスもなんとか防御しようと足掻くもソードスキルの連撃に耐えられる訳がなく、最後の一撃でライオスの剣を吹き飛ばし、

 

「・・・あ、あぁ・・・」

「・・・勝負ありだ」

 

目の前で何が起きたのか分からず、理解が追い付いていないライオスの喉元へと剣を突きつけた。

 

「・・・そこまで!この勝負、フォン初等錬士の勝利!」

 

勝利宣言を告げられ、俺は突きつけていた剣を降ろし、技の反動による倦怠感に襲われた。

これが最後の試合で良かったと内心ホッとしながら、試合場から降り始めた。

 

「・・・あり得ない・・・この、俺が・・・このライオス・アンティノスが・・・平民に負けた・・・?あり得ない・・・こんなことは・・・!?」

 

未だに現実が受け入れられないライオスの心配はしなくてもいいだろう。

心配すればあいつのプライドが更に傷付くことにしかならないだろうし、あいつも心の底からそれは望んでいないだろう。

 

そんなことを思いながら、さっきの試合について賞賛の声をくれる同期の錬士たちに応えるのだった。

 

 

 

「それで・・・まさか最後の試験の相手が貴女ですか・・・アズリカ先生」

「ええ。私が貴方の試験官を務めます、フォン錬士」

 

実技試験を終え、少しの休憩を挟んでから最後の試験となった。

最後の試験は一人ずつ呼び出されていく形式になっており、最初に呼ばれた俺は、試験会場へと一人来て驚いていた。

そこで待ち構えていたのがよく知るアズリカ先生だったのだから驚くのも無理ない話だ。

 

「分かっているとは思いますが、試験だからといって私は手加減など致しませんので・・・」

「・・・分かりました。胸を借りる気持ちで挑ませてもらいますよ、アズリカ先生」

「貴方の全力を私に見せてみなさい、フォン初等錬士!」

「・・・すぅ・・・いきます!」

 

模造刀を構え、俺はアズリカ先生へと斬りかかった。

その時、滅多に笑うことがないアズリカ先生の口元に笑みが浮かんでいたのだった。

 

・・・奮闘したが、流石は元北帝国代表剣士。ボコボコにされたが、アズリカ先生に落胆の色は見えなかった。

 

「・・・これで決まりですね」

「・・・降参です」

 

アズリカ先生に剣を胸へと突きつけられ、俺は両手を上げて降参の意を示した。

 

「・・・ふむ、流石はフォン初等錬士ですね。洗練された剣技でした」

「ありがとうございます、アズリカ先生」

「・・・これで修剣検定試験は全て終了となります。後日、結果が発表されますのでそれまで鍛錬を怠らないようにすることです」

「はっ!本日はありがとうございました!」

 

アズリカ先生の言葉に、修剣士特有の胸へ手を当てるポーズと共にお礼を言う。

そして、会場を後にしようとした時、俺は気になったことをアズリカ先生に尋ねてみようと思った。

 

「あの、アズリカ先生。少しだけお時間宜しいですか?」

「・・・次の試験もありますので、手短にお願いしますよ、フォン初等錬士」

 

俺は会場の入り口に置いておいた大剣を持ち、アズリカ先生に見せながら尋ねた。

 

「ハルト先輩に聞いたのですが、先生は神器の・・・武器の『記憶』についてご存知だと・・・この大剣が神器かどうか分かるかと思いまして・・・」

「・・・・・・・フォン錬士・・・まさか、あなたも・・・?」

「・・・えっ?」

 

珍しく驚いた様子のアズリカ先生の反応に俺も思わず驚いてしまった。だが、先生はすぐに冷静になり、何事もなかったかのように元の仏頂面に戻ってしまった。

 

「・・・残念ながら、私からお話しすることはありません」

「えっ・・・でも、今・・・」

「時間です。フォン初等錬士、退場しなさい」

「・・・・・分かりました。失礼します」

 

これ以上は聞けないと思い、俺は潔く身を引くことにした。言われたとおりに退場する俺を見て、アズリカ先生がこんな言葉を漏らしていたが、俺の耳には届いていなかった。

 

「・・・これは・・・今年の上級修剣士たちは大変興味深いですね」

 

 

 

(ライオスとの試合の時・・・この剣から放たれた光は何だったんだ?)

 

宿舎へと戻って、アズリカ先生に預ける前に剣の手入れをしながら、俺は大剣を見つめながらそんなことを考えていた。

 

ゼフィリアの花の経験から、イメージによる上位ソードスキルの練習時に起こらなかった現象は一体何だったのか。両手剣7連撃範囲ソードスキル〈アストラル・ヘル〉を放てるようになった、イメージの力・・・『心意』とはまた異なるものだと俺はどこかで理解していた。

 

(それじゃあ、あの時見た光はこの大剣の『記憶』の力が『心意』と重なったものだったのか・・・?

そういえば、この大剣の『記憶』って一体何なんだ?あの時見た光は・・・まるで太陽と月の光みたいだったけど・・・)

 

鮮明に記憶に残っていた光を思い出し、更に深まる大剣の謎に俺は頭を悩ませながらも俺は手入れを続けた。その日の月はいつもより明るく見えたような気がした。

 

 

 

こうして、初等錬士最後の試験は終わりを告げ・・・晴れて俺たちは上級修剣士へと昇格した。

 

キリトは6位、ユージオは7位の成績で上級修剣士に・・・そして、俺は、

 

「よっ!今年もよろしくな、フォン主席上級修剣士殿」

「茶化すな、キリト」

「でも、楽しみだよね。初めての後輩か・・・先輩たちもこんな気分だったのかな」

 

紺色に白のアクセントが加わった修剣服に袖を通し、キリト、ユージオと共に俺たちは上級修剣士として学院へ一歩を踏み出したのだった。

 




オリジナル神聖術
風系上級神聖術『風還龍』
龍を象った暴風を操る神聖術。術者の意志である程度のコントロールが可能で、攻撃する様が逆巻く風を纏いし暴龍に見えることが名前の由来。
ハルトはこの神聖術を最も得意としており、秘奥義と共に放つことで、フォンを打ち負かしていた。
本来フォンのシステムコントロール権限では使用不可であったが、咄嗟の機転で練習中だった『心意』を応用したことで辛うじて術を発動させることができた。

フォン、まさかの主席合格です。
もともとライオスに勝つ=主席みたいなことを考えていたのですが、それだと根拠が弱いかと思い、神聖術の試験を入れた背景があります。

おそらく修剣学院編もあと3~4話で終わりになるかと思いますので、今後の更新をお楽しみにして頂ければと思います。

次回は上級修剣士としての日常とオリキャラの登場を予定しております。

それではまた。

次回更新 14日0時予定

カーディナルは生存させるべきでしょうか?(どちらでも前半の結末は変わりません。後半以降の物語に大きく影響します)

  • 生存ルート
  • 死亡ルート
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