ユージオとティーゼにも少し触れていますが、基本的にはフォン&マーベルが主体となってます。
要するに盛大なフラグ回です(笑)
また、新しいオリキャラも出ますが、修剣学院編までしか出番ありませんのでご記憶に留めなくても大丈夫です。
それではどうぞ。
〈Other View〉
「ええぇ!?ティーゼ、ユージオ先輩にそんなこと言ったの!?」
「う、うん」
フォンたちがライオスとウンベールに対し、フレニーカに対する逸脱行為に忠告しに行った翌日。初等錬士の授業を終え、傍付きの務めを果たしに上級修剣士寮へと向かうマーベルはティーゼの言葉に驚いていた。それは一緒に向かっていたロニエも同じだった。
当事者であるティーゼは少し頬を赤くしながら二人の質問に答える。
ティーゼが告げた事実と言うのは、昨日フレニーカの件に関して報告に来たユージオへと放った言葉であった。
『学院代表になって、剣舞大会にも勝って、四帝国統一大会に上位に入れたら、私を・・!』
最後まで言葉にはしなかったが、それはティーゼなりのユージオへの告白の言葉だったのだ。ユージオもその言葉の意味を理解はしていたが、その場での返答ははっきりとは答えず、
『もう一度会いに行く』
とだけ答えたのだ。ユージオなりにティーゼを傷つけまいと考えての答えだった。そんなことがあったとは知らなかったロニエとマーベルは友の大胆な行動に顔を真っ赤にしながらも話を促した。
「で、でもね。いきなりそんなことを言ったら、ユージオ先輩にもご迷惑を掛けちゃっただけかもと思ってさ。物凄く自己険悪に陥っているの」
「ま、まぁまぁ。ユージオ先輩はそんなこと思ってないと思うよ」
「そうだよ。大丈夫だよ!」
昨日の言動を後悔し始めたティーゼをなんとか励まそうとするロニエとマーベルだが、それがマズかった。まさかの流れ弾が二人に飛んできたのだ。
「そういうロニエやマーベルはどうなの?二人は先輩たちのことどう思ってるの?」
「えっ!?」「はぁ!?」
まさかのティーゼの問いかけにそんな素っ頓狂な声が二人から上がる。ロニエは顔を更に赤くし、マーベルは耳を真っ赤にさせる。
「わ、私はそんな!キリト先輩のこと、そのぉ・・・(モゴモゴ)」
後半になるにつれ、声量がどんどんと小さくなっていき、何を言っているのか分からなくなったロニエの言葉だったが、その態度から本人がキリトのことをどう思っているかなど明白だった。
ここにフォンがいれば、親友のフラグ建築と正妻への対応で胃を痛めそうなレベルで分かりやすい態度だった。
「マ、マーベルはどうなの?」
「わ、私!?私は・・・なんというか違うかな」
「「えっ?」」
話題を誤魔化そうとマーベルへと話題を振ったロニエだったが、そんなマーベルの返答がいやに冷静だったため、ティーゼと共に思わず驚きの声が漏れた。
そんな二人のことなど置いて、マーベルはそう答えた理由を述べていく。
「確かにフォン先輩は凄いと思うよ。実力で主席になられているし、料理もお上手だし、優しいし・・・・・でも、好きと言われるとなんか違う気がするんだよね。その、上手く言葉にできないんだけど」
「それって、好きってことじゃないの?」
「う~ん、そうなのかな?」
ティーゼにそう聞かれるもイマイチな感じでそう答えるマーベル。そのまま談笑しつつ、上級修剣士寮の入口へと到着した時だった。
「おい、ネフィリアム!!」
「っ!?」「「あっ!」」
唐突に名前を呼ばれ、その声に心当たりがあったマーベルは思わず身構えた。ティーゼとロニエもマーベルが体を硬直させた理由を知っていた為、マーベルを庇うように前へ出た。そんなマーベルを呼び寄せた人物が寮の入り口から顔を見せた。
「何だよ、お前ら。ちょっと挨拶しただけだろうが。邪魔すんなよ」
「よくそんなことが言えたわね、グンジ」
ティーゼが睨みながら、偉そうな態度のままでマーベルに近づこうとした男子生徒を牽制した。だが、グンジと呼ばれた男子生徒はそんなことなどお構いなしに距離を詰めていく。
「別にお前たちなんかがどうこう言うことじゃないだろうが。俺はネフィリアムに用があるんだよ・・・どけよ、貴族もどき共」
「「!?」」
これっぽちも悪意を隠そうとせず、ティーゼとロニエを見下したままグンジは二人の壁を掻き分け、マーベルの手を強引に掴んだ。
「は、離してよ!?」
「相変わらずいい声するよな。これから傍付きの仕事なんだろう?そんなの放っておいて、俺と遊ぼうぜ」
「いい加減にしなさい、グンジ!」
「ここをどこだと思ってるんですか!?」
「うるせーな!たかが田舎出身の修剣士に仕えてる分際で指図してんじゃねーよ!?」
「「っ!?」」
キリトとユージオのことを馬鹿にされ、なんとか怒りを堪えていたロニエとティーゼも我慢の限界だった。先日のフォンの言葉を受けた二人は思ったことをそのまま言おうと口を開こうとした時だった。
「何をしている」
「あっ!」「「えっ!?」」「ちっ!?」
その場に響いた低く怒りのこもった声に一同の視線が集まった。そこにいたのは偶然近くを通りかかり、騒ぎを聞きつけてやってきたフォンだった。
〈Other View End〉
(入り口が騒がしいと思って来てみれば、マーベルたちだったのか。それにあいつは・・・)
口論をしていたのがマーベルたち傍付きトリオであったことに驚きつつ、俺はマーベルの腕を掴んでいた男子生徒に覚えがあり、思わず眉を顰めた。
ともかく今は口論を仲裁する方が優先だと思い、俺は4人に近づいた。
「揉め事か?ここは上級修剣士寮だぞ。口論ならば、初等錬士の寮で行え。ここでするのは他の上級修剣士や傍付きにも迷惑だ」
「「し、失礼しました!フォン主席上級修剣士殿!?」」
俺の威圧を込めた注意に即座に謝罪の体勢をとるロニエとティーゼ。一方のマーベルはグンジに腕を掴まれているせいか、動けないでいるようだった。
「それと、レースタン初等錬士。いつまでネフィリアム初等錬士の腕を掴んでいるつもりだ?
それとも、貴殿は謝罪をする際には女性の腕を離さずに謝るようにでも担当の修剣士から習ってでもいるのか?」
「そ、それは・・・違います」
更に圧と睨みを利かせながらグンジへと勧告すると、奴はようやくマーベルの手を離した。だが、反省している様子は全く見られなかった。
「はぁ、もういい。俺もこれ以上大事にする気はない。口論することも悪いとは言わないが、時と場所を考えろ。
それとレースタン初等錬士。次に女性に強引なことをする場面を見かければ、俺は主席として貴殿の担当に報告をしなければならない。そのことを頭に置いておくことだ」
「・・・・・分かりました・・・・・」
(絶対に納得してない顔だな、あれは)
俺の忠告を受けたグンジは早足で上級修剣士寮の方へと向かって行ったが、すれ違った時に見えた表情には怒りと悔しさが滲み出ていた。
遠くなっていく背中を見ながら、俺はグンジの担当修剣士があいつならしょうがないと思いながら、マーベルたちの方に向き直った。
「3人もだ。経緯はどうあれ、次からは気を付けるように。もう行っていいよ。早く行かないと、キリトたちが心配するぞ」
「「は、はい!失礼致します!!」」
途中から普段の口調へと戻し、俺はロニエたちに早く傍付きの仕事に行くようにと命じた。その言葉を聞いた二人は一礼してから慌ててキリトたちの部屋へと向かって走り出した。
寮内は走らないようにと注意したかったが、そこは大目に見ようと思い、俺は先程の口論の経緯を聞こうとマーベルへと視線を向けた時だった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「マ、マーベル?どうした!?」
震える全身を腕で押さえ、顔を真っ青にしたマーベルが目に入り、俺は慌てて彼女に駆け寄ろうとした。
「っ?!来ないでぇ!?」
「っ!?」
悲鳴に近いマーベルの拒絶の言葉に俺は思わず体が止まってしまった。だが、マーベルもその一言で冷静になったようで、自分が何を言ってしまったのか気付き、更に顔を青くしていた。
「す、すみません!?わ、私なんてことを・・・違うんです!?そうじゃなくって?!あのぉ、その・・・」
(これは、どうやら簡単な話じゃなさそうだな)
先程の口論の原因でもありそうだと思った俺は、パニックになっているマーベルが落ち着くのを待つことにした。
「すみません、先輩。大変お見苦しいところをお見せ致しました」
今日は傍付きの仕事どころではないと判断した俺は自室へとマーベルを連れていき、彼女が完全に落ち着くのを待った。
紅茶を前にし、謝るマーベルは完全に落ちついたようだったが、その表情は晴れてはいなかった。どうやら問題はかなり根深いようだ。
「そうか。マーベル」
「は、はい!」
「今日の傍付きの仕事はいいから、気分が戻ったのなら寮に戻っても構わない」
「えっ?」
俺が告げた指示にマーベルが俯かせていた顔を上げた。俺の言葉が信じられないものだったようで、マーベルは言葉を失っていた。俺もそれ以上は何も言わずに黙って大剣の手入れを始めた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「き、聞かないんですか?」
「何をだ?」
「その・・・さっきのこと」
言葉を濁すマーベルに俺は大剣を磨く手を止めず、目線だけをマーベルへと向けた。これ以上、俺が介入していいのか迷ったからだ。
「マーベルが話したくないのなら、俺はそれ以上詮索する気はない。誰にだって話したくないことの一つや二つはあるだろう?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「グンジ初等錬士との件も大袈裟にする気はない。それに俺よりもロニエやティーゼの方が話しやすいだろう。だから、俺は君の判断に任せる」
突き放すような言い方になってしまったが、これはマーベルが決めることだと思ったのだ。こちらから手を差し伸ばしてばかりでは彼女の為にならない、それが先輩としてあるべき俺の立ち位置ではないかと思ってとの結果だった。
俺もマーベルも何も言わず、時間だけが過ぎていくかと思われたが、すぐに沈黙は破られることなった。
「・・・聞いて、もらえますか?」
「分かった」
そのマーベルの言葉に俺は手入れを止め、彼女に対面するために椅子に座った。紅茶は冷めてしまっていたが、そのまま俺は話を聞くことにした。
「グンジ・レースタンは今年の初等錬士の中でもトップの実力を持っていると噂されています。実技での彼の剣技は、本当に凄いの一言に尽きると私も思う程でした」
「彼の噂は聞いたことあったが、それほどまでなのか?」
俺の言葉に黙って頷くマーベルに、俺はあいつの実力がそこまで高いのか、意外だと思いながらも話を聞き続けた。
「それだけ聞けば、グンジは優秀な修剣士だと思います。ですが、グンジの性格はその真逆のものでした」
「性格?」
「・・・グンジは幼女を好む性癖があるそうで。初等錬士に慣れ始めた頃、私に妙な視線を向けるようになったんです」
「!?」
マーベルの告げた事実に俺はそれ以上先を言わすべきではないと思い制止しようとしたが、
それを振り払うように声を絞り出しながらマーベルは言葉を続けた。
「事あるごとに私に誘いを駆けてきては体を触ろうとしてきて・・・先日、安息日で学院に人があまりいない時に部屋に連れ込まれそうにもなって」
「っ!」
「その時は偶然通りがかったロニエたちが助けてくれたので、事なきを得たのですが・・・それからグンジに視線を向けられると体が動かなくなってしまって・・・」
「もういい。もうそれ以上は言わなくていい」
今にも崩れてしまいそうなマーベルの態度に俺は今度こそ彼女の言葉を制止した。あまりに予想外の出来事に俺はどうしてこの前のピクニックでマーベルたちが相談してきたのかが分かった。
「それでこの前のピクニックでフレニーカのことを相談したんだな?もしかしたら、フレニーカのことでウンベールに何かあれば、グンジもおとなしくなるかと思って」
「すみません。そんな打算がなかったのかと言えば嘘になります。もしそうなればと思い、ロニエたちに先輩方に相談しようと提案したのは自分です」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
思わず言葉を失ったが、マーベルの気持ちは痛いほど分かった。おそらく俺のことを気にして直に相談することができなかったのだろう。そして、それに気付けなかった自分にイラついた。
「俺とライオスとの関係を気にしたんだね?」
「・・・・・(コクッ)」
どうやら俺の推測は当たりのようだった。それはマーベルも相談出来ない筈だ。
グンジ・レースタン初等錬士の指導官はあのライオスだからだ。
俺とライオスやウンベールの仲が大変よろしくないことは修剣学院では周知の事実だったりする。まぁ、ライオスたちが一方的に俺を敵視しているせいではあるのだが。俺も奴らを嫌っているのでおあいこなのだったりする。
推測の域を出ないが、この件にライオスが関わっているとしてもおかしくない。自分たちだけが気を付けていればいいという考えが裏目に出てしまっていた。
「・・・済まなかった」
「ち、違います!?先輩のせいじゃありません!」
俺の謝罪にマーベルが慌てて否定するも、俺の謝罪の意味を彼女は分かってはいないだろう。それでも、俺は謝らずにはいられないでいた。
そして、腹の底から怒りが沸き上がった。こんなことを平気でできる奴らが。そのことを許してしまっているこの世界が。
だからこそだ。マーベルの次の言葉に俺は思わず怒鳴ってしまった。
「私の体がこんなんだからいけないんです。こんな体だから・・・」
「それは違う!!!」
「っ!?」
俺の声にマーベルは怯えてしまったが、それでも俺は言葉を止めはしなかった。
「そんなことはない!誰かが誰かの権利や気持ちを踏みにじることなんてあっちゃいけない!絶対にあっちゃいけないことなんだ!!」
「で、でも!」
「はっきり間違いだって言っていいんだ!それを邪魔する権利は誰にもない!だから・・・あっ」
そう言いかけて、俺は気付いた。
どうしてライオスとの戦いの時、ユウキのことが頭に浮かんだのか。
どうして菊岡の考えが正しいと分かっていても、賛同できなかったのか。
どうして、ユージオやアリス、マーベルたちが傷つくのが嫌だったのか。
俺がみんなに理不尽な目に逢ってほしくないと思ったからだ。
確かに変えられないことは世の中には多々存在する。それでも、できることをしたいと思ったんだ。俺の大切な人たちには笑っていてほしい、悲しいことを一人で背負わないでほしい・・・俺の勝手なエゴだけど、そうしたい、そうしてほしいと思ったからだ。
(キリトのこと言えない程に俺も馬鹿だったわけか)
そう気付いた俺がマーベルに掛ける言葉は一つしかなかった。
「マーベル」
「は、はい!?」
「もし今度グンジと何かあったら、俺に遠慮することなく言ってくれて構わない。俺の立場なんか考える必要はないから」
「で、ですが!?」
「それからもう一つ。はっきりと言っておくが、俺は君をずっと守り続けるなんて無責任なことは言わない」
「っ!?」
マーベルの反論を聞かず、俺はそう告げた。まさかの一言に彼女は目を見開いていた。だが、そんな非情なことを聞かせるためにそんなことを言ったわけではない。
「言っとくが助けないってわけじゃない。だけど、俺がこの学院を卒業したら君は一人だ。ロニエやティーゼが常に一緒にいるわけでもない。だから、この問題は君自身が乗り越えないといけないことだと俺は思う」
「・・・できるでしょうか、私に」
「できる、できないじゃない。乗り越えようとすることが大事なんだ。その意思すらない人間には誰も手を貸したりはしない」
「でも、私なんか・・・」
どうにもマーベルには自分に対する自信が薄すぎる傾向があるようだ。これは傍付きとして稽古をしている時にもよく見られた傾向だった。
でも、ここで動くことができなければ、彼女は一生自分のコンプレックスと向き合うことができないのではないかと思ったのだ。それを変えようと彼女が思っているのであれば、俺が手を差し伸べない理由はなかった。
「一人じゃできないなら、それこそ誰かの手を借りればいい。俺やキリトたち、ロニエやティーゼが君の近くにはいるだろう?」
「・・・あっ」
「俺だって主席だとか色々言われてはいるけど、一人じゃできないことだって多いさ。だからさ、頼ることを弱さだとなかり思わないでほしい。少なくとも、俺はマーベルの味方でありたいとは思ってるよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
俺の言葉にマーベルは俯いてしまった。少し言いすぎてしまったかと思い、マーベルの顔色を窺っていると、
「ぐすっ!フ、フォン主席~!?」
「うおおぉ?!!」
いきなり立ち上がり、涙と共に抱き着いてきたマーベルに驚きながらも、なんとか椅子から落ちないように受け止める。が、良からぬものが胸に当たっており、別な意味で動揺してしまった。
「主席!?主席!?うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
「・・・よく頑張ったな」
泣き続けるマーベルの後頭部をポンポンとしながら、俺は彼女が泣き止むまで泣かせることにした。
責任感が強いマーベルにとって、今回の一件はかなりストレスだったはずだ。俺に見せてくれいる今の態度が彼女の素顔で、弱さだと思い、俺は満足するまで泣かせようと思ったのだった。
「すぅ・・・すぅ・・・」
「まさか泣き疲れて寝落ちするとは思ってなかったな」
背中で寝息を立てているマーベルに苦笑しつつも、俺は去年通っていた初等錬士の寮を歩いていた。泣き疲れてしまったマーベルはそのまま眠ってしまい、流石に俺の部屋に泊めるわけにもいかず、こうしておんぶして寮の部屋へと運ぶことになったのだ。
入り口でアズリカ先生にお小言と共に物凄い疑いを掛けられてしまい、帰りに寄るように言いつけられてしまい、そのことを思い出した俺は思わずため息を吐いてしまった。
「まったく。手を貸すとは言ったけど、ここまでとは思ってもみなかったぞ。明日からの稽古は更に厳しくするからな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
聞こえていないとは思うが、俺は寝ているマーベルに向かってそう告げた。すると、気のせいか、言葉に応えるように俺の首に回っている彼女の腕が少し強くなった気がした。
そのまま部屋についた俺は、マーベルのことを同室であるロニエとティーゼに任せ(二人がどこか嬉しそうだったので、一応釘は刺しておいたが)、その後、アズリカ先生による事情聴取という名のお説教を2時間に渡って受けることとなってしまったのだった。
〈Marvel View〉
(あれ?ここは・・・初等錬士寮?)
「フォン修剣士。こんな時間までマーベル初等錬士と何をしていたのですか?」
「誤解です、アズリカ先生?!」
聞こえてきた声に私の意識は半ば覚醒した。重い瞼を開けると、見えてきた景色は初等錬士寮のエントランスだった。未だ完全には回っていない頭で何が起きたのかを思い出そうとする。
(確か、傍付きの仕事の前にグンジと出会って、先輩に話を聞いてもらって・・・っ!?)
そこまで思い出して、私の頭はようやく完全に覚醒し、自分の身に今何が起こっているのかを理解した。
(わ、私!?フォン主席に背負われて?!)
あまりの事態にパニックで声を出すこともできず、自身が主席にここまで運んでもらっていることに気付いた。しかし、アズリカ先生と話を終えてしまった主席は再び移動を始め、私は声を掛けるタイミングを失ってしまった。
(主席の背中ってこんなに大きいんだ)
薄目で主席の後姿を見ながら、私はそんな感想を抱いていた。失礼な話かもしれないが、今の体勢が嬉しいと思う自分がいるのも確かだった。その時、昼間のティーゼの言葉が頭に浮かんだ。
『それって、好きってことじゃないの?』
『少なくとも、俺はマーベルの味方でありたいとは思ってるよ』
その言葉と共に私は主席がくれた言葉を思い出し、もう一度その背中を見た。その背中が、
『マーベル。どんな時でも誰かに誇れる騎士でありなさい。お前が女であろうが、弱くても構わない。誰かの背中を支えられる人間になりなさい』
私が小さい時に戦死した父の背中に重なって見えた。そして、自分の気持ちがはっきりと分かった。
(そっか。私は先輩みたいな人になりたいと思ったんだ。自分じゃなれないと思って諦めてた姿に・・・憧れたんだ)
今ならティーゼの質問にもはっきりと答えられると思った。
(先輩は好きな人というよりも、私が追いつきたい人だって)
「まったく。手を貸すとは言ったけど、ここまでとは思ってもみなかったぞ。明日からの稽古は更に厳しくするからな」
(よろしくお願いします、先輩)
そう告げる先輩の言葉に私は回していた腕の力を強めた。
その後、私を先輩から任されたロニエとティーゼに寝たフリをしていたことがバレ、あれこれ質問攻めされてしまった結果、3人共寝不足になってしまったのだった。
オリキャラのマーベルをこういう立場にしたのは後の展開を考えてのことです。
とてつもなく良いところではありますが、次回は100話記念エピソードになります。かなり大きな変更ありますが、フォンのコスプレアンケート開催中です。
期間は7月3日0時までとなってますので、お気を付け下さい。
それでは次回は100話記念回でお会いしましょう。
半人半魔さん、ご評価ありがとうございました。
次回更新 7月5日8時予定
カーディナルは生存させるべきでしょうか?(どちらでも前半の結末は変わりません。後半以降の物語に大きく影響します)
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生存ルート
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死亡ルート