仕事で家を2日程急遽離れることになってしまい、投稿が遅れてしまいました。
申し訳ありません!(おのれ、ディ○イド~~!?」
さて、以前から宣言しておりました、100話記念回です。
サブタイ:作者の書きたいこと・やりたいこと詰め込み暴走回です。
次回からアリシゼーション編もシリアスなお話が続くことになりますので、丁度いいタイミングでもあったかと思います。
その前に、このお話をお読み頂く前にいくつかの注意事項が存在します。
・当たり前ですが、このお話ではSAO編~アリシゼーション前編までの多大なるネタバレを含みます。必ず最新話から読んでから目を通して頂くことをオススメします。
・コスプレコーナーもですが、本話では珍しく他作品ネタがそれなりに存在します。一応、後書きでいくつか解説しますが、それらが苦手だという方はお気を付けください。
・本話は過去今までにないくらいの超長文となっております(平均と比較して、約9~10倍くらい)。それを苦手とする方もお気を付けください。
・フォンとユウキ以外のカップリングもこのお話では触れております。それらにこだわりがある方は十分にお気を付けください。
・全体的にはメタ発言・キャラ崩壊が所々にありますので、お気を付けください。
…と、思い付くのはこのぐらいでしょうか?
これらの注意事項が『大体分かった』と某世界の破壊者様並みにご理解頂けましたら、先にお進み下さい。
それではどうぞ!
某スタジオ
いつもとは違う豪華なセットが組まれた会場では、スタッフたちが慌ただしく縦横無尽に動き回っていた。そして、出演者たちが所定の位置にスタンバイしたところで、スタッフから合図が送られる。
「それでは本番まで5秒前…3、2、1…タイトル入ります!」
『そーどあーと・おふらいん むげんのせんき 100話記念だよ!全員集合!』
「ちょっと待て!タイトル!?」
番組がスタートしたかと思えば、まさかのタイトルにフォンのツッコミが炸裂した!
「こんにちは、皆さん!そーどあーと・おふらいん、すぺしゃるのお時間です!司会のアスナです」
「同じく、司会のユウキです!みんな、今日はよろしくね~!」
「解説のキリトです。今日も無事に終われるように頑張ります」
「えっ!?まさかのスルー?!…はぁ、同じく解説のフォンです。早くも退出したくなりましたが、なんとか気張っていこうと思います。よろしく」
何事もなかったかのように進行していく司会陣、そしてまさかのユウキまでもがグルであることにショックを受けながらも自己紹介をするフォン。彼の胃のダメージが心配だが、オリ主として頑張ってもらうしかないだろう。
「さて、今回のスペシャルは100回記念ということで、これまで出てきた皆様にも雛壇出演という形で来てもらっております。それじゃ、ユウキ。みんなの紹介を頼むね」
「うん。任せて、アスナ。まずは、みんなの頼れるマスタースミスのリズベット!」
「やっほー!今日はよろしくー!」
「竜使いことビーストテイマーのシリカと相棒のピナ!」
「ど、どうも!よろしくお願いします!ほら、ピナもご挨拶して?」
『キュルルル!』
「キリトの妹で風妖精一のスピードホリック、リーファ!」
「ス、スピードホリックって!?あー、もう!!お兄ちゃんがいつもお世話になってます」
「GGOではクールスナイパー、ALOでも百発百中の猫妖精アーチャー、シノン!」
「私だけ紹介に二つ名多くないかしら?よろしくね」
「キリトとアスナのとってもかわいい娘ちゃん、ALOではいつも頼りになる小妖精のユイちゃん!」
「はーい!今日も皆さんのお役に立てるように頑張ります!」
一段目に座る出演陣の紹介が終わるも、GGO姿のシノンは自身の紹介に苦笑いしてしまっていた。ちなみに、リズとシリカ、ユイはSAO、リーファはALOのアバターである。
「さて、まずはキリトの嫁~ズと愛娘からの紹介でした」
「「「「ちょ!?ユウキ?!」」」」
「キリト君、あとでお話しましょうか?」
「パパ、浮気はメッ、ですからね」
「誤解だ!?」
まさかのユウキの発言に各ヒロインが赤面し、当の本人は妻と愛娘から詰問を受けようとしていた。そんな泥沼状態を引き起こした元凶は何事もなかったかのように登場人物の紹介を進めていく。
「それでは続いて。ぼったくり店主は表の顔、裏ではニュービ―や初心者プレイヤーに好待遇の頼れる人生の先輩、エギルさん!」
「お、おう・・・そう言われると照れるな。って、誰がぼったくりだ!?」
「この作品では何故かトラブルメイカー一色ですが、やる時にはやる、頼れる兄貴侍、クライン!」
「よろしくな!というか、こっちで呼ばれるの結構久々だよな~!今日はいっぱいしゃべるぜ!!」
「情報料は一切まけない、この人に秘密を握られたら最後!鼠のアルゴさん!」
「ニャハハ!おねーさんの情報は高いからナ!というか、もう少し出番が欲しいところなんだけどナ」
「そんなアルゴさんの相棒兼恋人、『鼠のボディガード』の二つ名を持つ、シグさん!」
「えーと、数回登場しただけの俺がこんなところに呼ばれていいのかとは思いますが、今日は宜しくお願いします」
「・・・以上が雛壇ゲストの皆様になります!ちなみに紹介文を考えたのは作者ですので、文句は作者にお願いします。
また、この『おふらいんシリーズ』はキャラ崩壊・メタ発言が飛び出す可能性があります。本来のSAOや二次作品とは異なる解釈も出ますのでそこら辺もご注意下さい、とのことです」
「ユウキ、もしかしてその誰に当てたかも分からないメタ発言って…?」
「このお話が初めての人へと向けての、作者からの気配りだって書いてあるよ?」
「「「「「「「「「「作者‥…」」」」」」」」」
「第2回のおふらいんシリーズからのネタを引っ張ってくるなよ」
一同が呆れる中、フォンの力のないツッコミが入った。微妙な空気だったが、いつまでもこうしているわけにもいかず、フォンが番組の進行を続けた。
「それじゃ、今回のスペシャルゲストの紹介だ。現在更新中のアリシゼーション編よりメインキャラのお二人に来て頂きました!どうぞ!」
その言葉と共に転移の光が発生し、ゲストが姿を現した。
「…アリス・シンセシス・サーティ、要請に応じ馳せ参じた」
「どうも初めまして。ユージオです。こんな場所は初めてで緊張してるけど、今日は宜しくお願いします」
「はい。ということで、アリシゼーションから幼馴染で親友のユージオ、そして、整合騎士のアリスに来てもらいました。というか、二人とも自己紹介固すぎだろ?」
「ゴ、ゴメン、フォン!なんか、こんなに人が集まっていて、大勢の人に見ているのって初めてだからさ」
「わ、私もですよ!いくら整合騎士とはいえども、こんな場での経験などあるはずがないでしょうが!?」
フォンの言葉に反論する二人に思わず苦笑いしてしまう一同。そんな緊張など、この番組ではあっという間に吹き飛ばされてしまうことを、ユージオとアリスが知るのはまだ先の話である。
「まぁまぁ。ともかく、二人にはゲストとして結構話してもらう予定だから頼むな。あ~、多分途中で胃が痛くなると思うから頑張ってくれ」
「えっ、フォン?!」「ど、どういう意味ですか、今の?!」
「「それではスタートで~す!」」
「ちょっと待って?!」「ちょっと待って下さい?!」
ゲスト二人の抗議を無視し、フォンとユウキの掛け声で番組がスタートしたのだった。
「さて、まず初めのコーナーは『フォンの素顔を公開!』のコーナーです!」
「はぁ?!」
ユウキのコーナー紹介の声に一同が拍手する中、早くも嵌められたフォンはすっとんきょんな声を上げた。そして、一同を見渡し、
「…やりやがったな、お前ら」
「ユージオ。先ほどフォンは私たちに気を付けろと言っていたと言っていましたが」
「うん。見事なまでにその言葉がブーメランとして直撃してるね」
怒りでこめかみに怒りマークが浮かんでそうなフォンに、ゲストの二人が思わず同情してしまっていた。まぁ、そんなフォンなどお構いなしに司会陣がコーナーを進行させていく。
「え~っと、今回のコーナーの趣旨は100話にもなるのにオリ主の容姿が全く決まってない、ほとんど描写されないというのは如何なものなのか?という作者の心配から生まれた緊急コーナーです。というか、良い機会だしこの際決めてしまおうという魂胆もあるみたいだよ」
「…さいですか」
ユウキの解説に慣れ切ってしまったフォンは項垂れながらそう答えたのだった。そんなオリ主の姿にユージオとアリスは苦笑いするしかなかった。
「俺たちはSAOの時からの付き合いだから良く知ってるけど、作中だとほとんど描写ないからな」
「読者の方から質問頂いたこともあったしね。ってことで、こちらに作者さんから『フォンの容姿に関して 最終決定版』という資料を頂いておりますので、ヒロインのユウキに発表してもらいましょう!」
「は~い!では、発表します!」
アスナから受け取った資料を開くユウキに一同の視線が集中する・・・というか、フォンが一番ドキドキしながらその姿を見守っていた。
「え~と、髪形は黒に近い茶色に前髪に少し癖毛が混じっている、目はダークグレーの少し細め、背はアスナより少し大きいくらいで、細身だが無駄のない筋肉でひきしまったボディ・・・似てる人で言うのなら、『武装錬金の主人公、武藤カズキを大人っぽくかつクールにした感じ』、だって」
「…だそうだ。これで満足か、お前ら」
そう言ってジト目を向けるフォン。
「あー、言われてみればって気はするわね」
「少し長めの髪形ですよね?色々な武器を使って戦われてますけど、どれも似合ってるというか、しっくりきますし」
「けど、ここぞという時には顔つきが変わるよな?特にキレた時なんかは別人みたいだし」
「第1層のキバオウとのやり取りの時なんか、堂々と啖呵切っていってたもんな。あの時は本当に中坊かと驚いたくらいだぜ」
リズベッドを始め、シリカ、クライン、エギルらSAO時代の面子にそんな評価をされ、何とも言えない表情をしてしまったフォン。そんなフォンに対し、
「でも、ALOだと工匠妖精の姿だから、少しだけ顔が違うよね?」
「そうですね。長耳であるのもそうですが、髪色がブルーグレーのせいで違った印象になりますね」
「普段はゆったりとした衣装を着ているけど、戦闘時には各種防具に換装するのだから尚更よね。そういえば、死銃事件の時にコンバートしたGGOアバターもかなり違った感じだったわね」
「はい!こちらが今まで登場したフォンさんのアバターのイメージになります!」
「…へぇ~、こう客観的に見てみるとこんな感じなんだな」
ユウキの言葉に頷きながら同意するリーファとシノン。その言葉にユイが各種VR世界でのフォンのアバターイメージを表示する。そのイメージを見て、当の本人は思いがけず感嘆の声が漏れていた。
SAOアバター:リアルと同じ容姿。基本装備の『蒼炎の烈火』と両手剣『エンプレス・ジェイル』を装備している印象からハンターっぽい印象。基本的にはダメージディーラーを担当。イメージカラーは蒼(装備している武器によって大きく印象が異なる)
ALOアバター:工匠妖精。リアルの容姿を更に大人っぽくした感じ。時々20代に間違えられる。髪色はブルーグレーにダークブルーの瞳。ダボっとした洋服が普段着。SAO時に愛用していた防具シリーズをリメイクしたものを使用している。イメージカラーは白と蒼。
GGOアバター:某種系ロボットアニメ主人公ほぼそっくりの顔。茶髪に紫色の瞳。ダークブルーを基調とした軽装装備。イメージカラーは濃い青色。
UWアバター:リアルとほぼ同じ。服は基本的に蒼色や少し暗めの青色のものをメインに、白のアクセントが入っているのが特徴。制服を着ているせいか優等生の印象が強い。イメージカラーは蒼と白。
「どのフォンもカッコいいね!」
「あ、ありがとう、ユウキ。というか、もういいだろう!?やられる側は恥ずかしいわ、これ!ほら、さっさと次のコーナー行くぞ!」
「アハハ。フォン君が照れちゃったところで次のコーナーに行きましょうか」
これ以上何かを言われる前にコーナーを無理矢理終わらせるようにフォンが顔を赤くしていることには追求せず、アスナが次のコーナーへと話を進めるのだった。
「はい!それでは続いてのコーナー、『メインキャラたちによるコスプレショー』です!」
「このコーナーは『ガールズ・オプス』でメインを張るリズさんと私、それと・・・」
「私、リーファとシノンさんの4人が司会を努めます!いや~、司会なんて大役が回ってくるとは思ってもなかったですね、シノンさん」
「そうね。このコーナーはフォンやキリトたちに、事前に行ったアンケートに則ったコスプレを披露してもらうコーナーよ」
シノンの説明に会場が一気に盛り上がる。拍手が止んだところでリーファが説明を続けた。
「お兄ちゃんたちには、今からコスプレを披露すると共に一言ずつコメントをしていってもらいます。そして、それぞれ1位のコスプレはこの後のコーナーでも着続けてもらう予定です」
「さて、それじゃ早速披露してもらいましょうか!キリト、みんな。準備はいいかしら?」
『…あー、リズ。俺やフォンたちは問題ないんだが…』
「えっ?何かあったんですか?」
『い、嫌です!?こんな格好で出て行くなんてできません!?』
『アリスがめちゃくちゃ抵抗しててな』
「「「「…ああ」」」」
シリカの疑問に答えるようにアリスの抗議の声がモニターを通して聞こえてきた。声だけではあったが、キリトとフォンも困っている様子だった。
「あー、もう!ここで時間を取ってもしょうがないでしょ!?キリト、フォン!無理矢理でもいいから、アリスを引っ張り出しなさい!ほら、まずはユージオとアリスのコスプレからよ!」
『悪いな、アリス』『すまんな、アリス』
『ちょ!キリト、フォン!?やめ…ユージオ、見てないで助けなさい?!』
『ここまで来たら諦めよう、アリス。みんな待ってることだし』
『受け入れてる!?ユージオ?!ま、まだ心の準備が?!』
慌てたアリスの声を最後に音声は途切れ、会場のライトが消えた。
そして、中央の奈落からコスプレをしたユージオとアリスが姿を現した。
「こんにちは、お母さん!今日も暑いですね。いつもご苦労様です…で、いいのかな?」
「関係ありません、立ちなさい。あなたならちゃんとやれるわ…こ、これでいいんでしょうか?」
共に台詞を述べた後に確認を取る二人だったが、慣れないことをしたアリスの顔は特に真っ赤になっていた。
そんな二人のコスプレをリーファとシノンが解説していく。
「ユージオさんのコスプレは同票2位で選ばれた保育士さんです!優しい笑みと雰囲気、水色のエプロンに綺麗な薔薇の刺繍が特徴的で、まさしく園児たちのお兄さんかつマダムキラーとなってますね!」
「そ、そうかな?そう言われても全然実感が湧かないや」
「アリスの服装は某鬼殺の隊士服に蝶をイメージした羽織ね。アリスの金色の髪と合わさって幻想的なイメージを与えているわね。
ちなみに同票だった居酒屋の女店主は流石に両立不可と判断したため、今回はこっちを採用したそうよ」
「シ、シノン!?似合っていると言ってくれるのは嬉しいですが、あまり言われすぎるとどう反応すればいいのか困ってしまいます!?」
司会陣二人のコメントに満更でもない反応を見せるゲスト二人。ユージオが笑顔で手を振る(園児と親御さんを見送るかのように)横で、コスプレと一緒に準備されていた刀を抜いたアリスがポーズを決めたところで、次はキリトとアスナの出番となった。
「それじゃ二人とも次の衣装に着替えて来てね!それじゃ、お次はキリトとアスナの番よ!」
「お二人のコスプレはこちらになります!それでは登場してもらいましょう!」
リズとシリカの紹介を受け、登場したキリトとアスナ。その姿はというと、
「さぁ、始めようか…戦争という名のゲームを」
「ええ、始めましょう…我が君」
黒の猫耳が特徴的だが、その風貌はまさしく魔王とも呼んでしまう漆黒のマントと鎧に身を包んだキリトが冷徹な声でそう告げながら登場した。同伴したアスナも和服に身を包み、かなり長い脇刺しを抜き放っていた。魔王であるキリトに従者のように付き添う姿はいつもとは違う二人の印象を周りに与えていた。
「これはまた…普段の黒好きなキリトの恰好とは違った印象を与えるわね。耳も可愛いというよりも、種族を特徴付けている感じね。コンセプトは半獣半人の魔王様ってところね」
「そんな魔王の付き従う茨城姫がアスナさんのコスプレのコンセプトですね。いいな、アスナさん…あんな鮮やかな赤い着物をばっちり着こなしちゃうなんて」
リズとシリカがキリトたちの第3位に選ばれたコスプレを解説していく、シリカのコメントには半分嫉妬も混じっていたような気もするが、スルーしておこう。
というよりも、完全に役に成りきっているキリトたちがいかにノリノリなのかが分かる登場の仕方でもあったりするのだった。
解説が終わり、ユージオたちと同じように、キリトは大剣を地面に突き付け、アスナはそんなキリトにもたれかかるように決めポーズを取ったのだった・・・もちろん嫁~ズが嫉妬したのは余談だ。
「お兄ちゃんたちの次はフォンさんとユウキさんの番になります!」
「ある意味一番ノリノリでコスプレの衣装合わせしてた二人よ。どんな格好なのかしらね?それではどうぞ!」
リーファ・シノンの紹介を受け、登場したフォンとユウキ。登場したフォンはマゼンタカラー(ピンクじゃない、マゼンタだ!)のカメラで一枚写真を取ってから顔を上げた。
「ここが、SAOの世界か。大体分かった」
「それでも、私は魔法少女だから…みんなのこと、守らなきゃいけないから」
黒のスーツに首元からカメラを提げたフォンは尊大な態度でそんな台詞を放った(ジオウ客演時の恰好をご想像下さい)。そんなフォンに対し、ユウキは覚悟を目に宿した感じでそう台詞を述べていた(アルティメットVerをご想像頂ければと思います)。
「本当にノリノリですね、お二人」
「ユウキはともかく、フォンに至っては完全に成り切りすぎでしょう…お願いだから他の人にカメンライドしないでよ?」
ちゃっかりシノンまでもがメタ発言込みでのツッコミを入れていたが、決めポーズを取ろうとして、フォンがディ○イドドライバーを取り出そうとした時には、司会陣4人が止めに入ったのだった。
「さてさて。それでは2周目に入りましょうか!次は女子の3人に登場してもらいます」
「皆さん、それぞれの個性が際立ってますね。ユウキさん、アスナさん、アリスさん!お願いしまーす!」
フォンの暴走(というよりも成り切りすぎゆえの変身未遂)を未然に防ぎ、ようやく落ち着いたリーファの言葉に続き、シリカの呼びかけに第二陣のコスプレをした女性陣が姿を現した。
「いけない!学校に遅刻しちゃう!?」
ユウキは白を基調に青のアクセントが加わったセーラ服を、
「ご主人様、お帰りなさいませ」
アスナは裾まで丈があるロングスカートが特徴的なメイド服を、
「私は『七色の人形遣い』…得意なことは人形を使役する魔法よ」
アリスはカチューシャとブルーを基調とした洋服(東方ロストワード準拠)に、自身にそっくりな人形を伴って、台詞と共に登場した。
あわてんぼうなユウキのイメージにパンを加えている姿を連想したり、完璧な仕事ぶりが予想しやすいアスナの佇まいや、別キャラのはずなのに衣装が似合いすぎているアリスに称賛の拍手が飛ぶ。
「女性陣の皆さん、どうもありがとう。そして、次はフォンたち男性陣の第2陣よ!」
「ほら出番よ、あんたたち!」
シノン・リズの言葉に応じて登場した男性陣だが、これがまた凄い衣装だった。
「あっ、いらっしゃい。今日はこの青薔薇がオススメですよ?」
先程のエプロンとは違うタイプのものを身に着け、青薔薇の花束を紹介するユージオ。
「焼肉定食、焼肉抜きで」
「上杉!!」「リーファ!?どうしたのいきなり!?」
鋭い眼光に二つのくせ毛とおかっぱヘアーが特徴的で、学生服を身に纏うことで、某五つ子の家庭教師に成り切ったキリト。
変な電波を受けて、約一名が暴走したようだがそっとしておこう。
そして、フォンはというと、トレンチコートと赤と青の小さなボトルらしきものをシャカシャカさせながら登場した。
「さぁ、実験を始めようか?」
まさしく天才物理学者で自意識過剰な正義のヒーローその人のコスプレをしたフォンが、今度はビ○ドドライバーを取り出し、「変し…」とまで言いかかったところで再び司会陣によるストップが入ったのだった。
そんな騒動をなんとか乗り越え、どこか疲れたリズたち司会陣はようやく最後のコスプレの紹介へと移ったのだった。
「それでは、最後にみんなにアンケートで各1位に選ばれたコスプレを披露する、筈なんだんだけど」
「みなさんにはその衣装でこの後のコーナーにも出演してもらう筈なんですけど、どういうことなんでしょうか?」
「台本とは違いますよね、さっきのフォンさんとユウキさんの衣装。どうなってるんでしょうか?」
「ともかく、6人ともスタンバっている筈だし登場してもらったらどう?何か考えがあってのことだろうし。それじゃ、みんな準備はいいわね?どうぞ!」
台本とは違う流れに混乱するリズ、シリカ、リーファを諫め、シノンがコーナーの進行を受け持つ。シノンの合図に会場にライトスポットが乱れ動く。そして、姿を現したの、
「えっ、あれ?アスナ、フォンとユウキは!?」
「えっ?!嘘!?いないの?」
「さっきまで一緒だったけど、二人ともいないのかい?」
姿を現したのはフォンとユウキを除く4人だった。突然の事態に驚きを隠せないリズだったが、それは4人も同じだった。さっきまで行動を共にしていたアスナとユージオからそんな疑問の声が漏れた。
だが、その疑問はすぐに掻き消されることとなった。次の瞬間いきなり会場の照明が消えたのだ。あまりに予定外のことが続き、全員が混乱状態に陥っていた。
「ちょ、ちょっと?!さっきから立て続けに何なのよ!?」
「リズさん!危ないんで動かないでください!スタッフさん、早く照明を?!」
「きゃぁぁぁぁぁ!?」
「い、今の?!アスナの声じゃなかった!?」
「アスナ?アスナ!?」
「痛!?キリト、危ないって!」
「全員落ち着きなさい!パニックになっては危険です!」
リズとリーファが対応に追われる中、悲鳴の主がアスナだと気付いたシノンの声にキリトが慌て出すが、その巻き添えで足を踏まれたユージオとアリスがパニックを抑えようと声を掛ける。そして、ようやく照明が復帰して会場に光が戻った時には、
「ア、 アスナさんは?アスナさんがいません!?」
「っ!?アスナ!どこだ、アスナ?!」
最初に異変に気付いたシリカの声に全員何が起こったのかを察した。
先ほど悲鳴を上げたアスナの姿が消えていたのだ。アスナの姿を求め、キリトが周囲を見渡すがアスナの姿はどこにもなかった。その時、キリトの元へと何かが投げつけられた。
「っ!?な、なんだ…カード?」
「予告するよ」
「「「「「「「「!?」」」」」」」」
会場に女性の声が響き、カードを受け止めたキリトだけでなく、全員の視線が声のした方向・・・会場の天井部分へと向いた。そこにいたのは、
「キリト。あんたのお宝は頂いていくよ?」
ライトパープルを基調とし、足首近くまで届きそうな上着が特徴的な燕尾服、更には頭に斜め被りしたミニハットに目元を隠す紫色の仮面を被った女性がワイヤーで宙吊りの状態で健在していた。ワイヤーを握っていない腕には、意識を失っているらしいアスナの姿があった
「アスナ!!お、お前…一体何者だ!?」
「フフッ。知らないの?世間を騒がす快盗だよ。というわけで、アスナは頂いていくね~!」
自身を『快盗』と名乗った彼女はワイヤーを上昇させ、その場を去ろうとする。あまりに突然の出来事に一同が動き出すことができず、快盗が逃げるのを止めることができないでいた。だが、
「そこまでだ!」
「っ!?うわぁ!」
怒声と共に銃声が鳴り響き、快盗のワイヤーが銃弾によって切断された。重力に襲われた快盗だったが、なんとか着地に成功し銃弾を放った犯人を睨んだ。
「はぁ…全くしつこいな、お巡りさん」
「ふざけるなぁ!今日こそ逮捕してやるぞ、快盗!」
「…な、なにが起こってるんだ、これ?」
怒鳴る男は白い銃らしきものを構え、快盗の挑発にそう返していた。藍色の制服に金の装飾パーツが特徴的な恰好はまさしく警察官そのものだった。
いきなりの展開が目の前で続き、一同の心情を代表したかのようにキリトの口からそんな感想が漏れていた。
「国際警察の権限において実力を行使する!」
「やってみなよ?勝つのはボクだけどね!」
「失った物を取り戻すために戦う『快盗』、世界の平和を守る為に戦う『警察』、
君はどっちを応援する?!」
『エギル!?』『エギルさん!?』
そこにまさかのエギルまでもが謎発言を繰り出し、会場の全員が目を疑う。そんな一同のことなどお構いなしに快盗と警察官は銃を構え、互いに牽制し合う。快盗はアスナを地面へ降ろし、警察官は銃を握る力を更に強める。そして、どちらからと言わず一気に駆け出し、その拳がぶつかろうとして、
「いい加減にしろ、お前ら!?」
「うぉっ!?」「うわぁ!?」
流石にこれ以上は見ていられないとキリトが装備していた太刀と小太刀で二人の銃を止めた。まさかの介入に快盗・警察官共に驚きの声が漏れた。
「そっちの快盗は誰だか知らないが、そっちの警察官!お前、フォンだろ!?」
「あー、やっぱりバレたか」
キリトの言葉にやれやれといった表情でサングラスを取った警察官・・・いや、フォンは苦笑いしながら応えた。
「お前ら、姿が見えないと思ったらこんなこと企んでたのかよ?」
「まぁな。サプライズとしてはなかなかだっただろう?」
「心臓に悪いわ。というか、ユウキはどこにいるんだ?それにこの快盗さんは誰なんだよ?」
「えっ。まだ気付かないのか、キリト?」「フフッ。まだ気付かないの、キリト?」
「はっ?」
フォンと快盗の言葉にキリトだけでなく、全員が首を傾げる。そんな一同を見て、思わず笑みを浮かべる二人。そして、快盗は目元を隠していたマスクを取り、
「快盗の正体はボクだよ、キリト。やっぱり気付かれなかったね、フォン?」
「言ったろ?そのマスクを被ってる限りは絶対にバレないって」
『はっ…?はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?』
快盗の正体に一同の叫びが会場全体に響き渡る。その反応にしてやったりという表情をしていたのは、マスクの製作者であるフォンだった。
「う、嘘だろう!?だって、全然面影なんでなかったぞ!?」
「う、うん。僕にも別人に見えてたけど」
「マスクを取った瞬間、印象が一気に変わりましたね。これは一体?」
「ああ、これは「装飾品スキルで作った『偽将の仮面』ダナ」…流石はアルゴさん。やっぱり知ってましたか」
キリト、ユージオ、アリスが三者三様の反応を示す中、フォンの説明を遮ったアルゴが仮面の正体を言い当てた。情報屋であるアルゴが知らない筈がないと思っていたフォンはあまり驚いてはいなかった。
「まぁな。お姉さんは使ったことはないが、相棒の方はSAO時代によく使ってたからナ。なぁ、シグ?」
「昔の話だ。今は使ってないさ」
「「ぎ、偽証の仮面?」」
「そいつは認識阻害の効果を持つ装飾アイテムなのさ。被ってさえしまえばフレンドであっても別人の顔に見えちまうのさ。これのせいでSAOの時にも一悶着あったしな」
「ああ、デプス事件のことですか・・・あれは骨が折れましたね」
「全くだ。あの事件のことは忘れたくても忘れられそうにないな」
「あ、あの~、すみません」
ユージオとアリスの疑問に答えたアルゴだったが、そのままフォン、シグと共に昔話に花を咲かせてしまっていた。が、そんな3人に待ったをかけたのはシリカだった。
「申し訳ないんですが、その話は後にしてもらっていいですか?後のコーナーでしっかりと時間は取りますので…というか、さっきからまたリーファさんの様子がおかしいんですけど?!」
「「「「「「えっ?」」」」」」
シリカの声にフォンたちがリーファに視線を向けてみると、何故か顔を真っ青にしながら頭を押さえるリーファの姿があった。
「快盗…警察…お宝…ううう、何故か『実験』や『切り刻む』、『元気にしてあげて』というワードが頭を巡ります?!」
「分かる、分かるぞ、リーファ!俺も謎の声が聞こえたと思ったら、いつの間にか謎の台詞を発していたんだ!?」
「しっかりしろ、スグ、エギル!?」
「アハハ。完全に中の人の影響だな」
「もう!笑い事じゃないわよ、フォン君!いきなり攫われたと思ってビックリしたんだから!?」
「まったくだ。アスナの言う通りだぞ、フォン。いたずらに、も…アスナ、起きてたのか!?」
ツッコミを入れたアスナに同調しようとして、キリトはいつの間にか復活して平然と横に立っていたアスナを思わず二度見し驚いた。そして、その驚きは全員に伝染した。
「えーとね、実は最初から気絶なんてしてなかったの。攫われた時にユウキに正体を聞かされて、気絶したフリをしてただけなのよ」
「そうだったのか。それにしても、フォンとユウキのコスプレは警察官と怪盗なのか」
「まぁな。後、ユウキのコスプレは正確には『快盗』だけどな。本当は『心の怪盗団』の方にしようかという案もあったんだが」
「作者がこっちの『快盗』も好きで、せっかくならフォンも巻き込む形にしたかったからこのコスプレになったんだ。どう似合ってるかな?」
キリトにコスプレの趣旨を聞かれ、経緯を説明するフォンとユウキ。そして、ようやくコーナーは本題へと戻った。
「それにしてもキリトの恰好は侍、なのか?」
「ただの流浪人でござる、なんてな。刀を二本差してるから、宮本武蔵みたいだろう?」
全身真っ黒の和装と刀を偉く気に入っているのか、フォンの質問に上機嫌に答えるキリト。真っ黒すぎて疑問形だったフォンの言葉をあまり気にしていないようだった。
「私は聖女だね…神の祝福を貴方に」
「アスナが聖女か。攻撃魔法も使えるアスナにはピッタリだね!」
「ああ、まさしくバーサクヒーラーに相応しいコスプレだな」
「フォン君、天罰を落とすよ?」
神杖をフォンに向けるアスナの目が笑っていなかった。そんなアスナを見て、ユウキがうんうんと頷いていた。
「そういうアリスとユージオは…どういうコンセプトなんだ?」
「私はオルタ風…俗にいう悪落ちというものですね。私の立場ですと、ダークテリトリーの騎士といったイメージだと説明すればいいのでしょうか?」
「僕は考古学者だね。謎は解けるから謎なのさ…なんてね」
フォンから質問を受け、それぞれ答えるアリスとユージオ。
アリスは灰色をベースに濃い紫のアクセントがまるで血管のように纏わりつくようなデザインの鎧を身に纏っており、金髪もくすんだ銀色へと変わっていたため、真逆な印象を与える感じになっていた。
一方のユージオは、背負っているリュックと探険帽に手をやって、某英国紳士風な台詞を述べていた…コスプレ違わないかとは突っ込んではいけない。
ともかく、全員のコスプレ披露も終わり、フォンとユウキもそれぞれ警察と快盗でこのまま番組に参加することになったため、司会陣はこのコーナーを終わらせることにした。
「さて、それでは皆さんにはこの後もその衣装のままコーナーに参加してもらいますので!色々とありましたが、『メインキャラたちによるコスプレショー』は終了です!」
「つ、疲れたわ。司会をそっちに返すから後は宜しくね…ほら、リーファ。しっかりしなさい!」
「『ルパンコレクション』、『エックス』、『実験台』…あ、頭がぁぁ…!」
シリカとどこか疲れた様子のシノンの言葉でコーナーは終わりを告げた。未だ怪電波にうなされるリーファを引きずり、雛壇へと戻るリズベットたちだった。
「さて、それでは次のコーナーに行こうか!」
「ああ。次のコーナーはこれだ」
『今だから言える!「夢幻の戦鬼」暴露大会!』
ユウキとフォンの言葉と共にタイトルバックが現れ、拍手が巻き起こる。
「このコーナーでは100話を記念に、これまで公にできなかったり、ボツになったした裏話を雛壇からメンバーを選出してトークを展開する今回のメインコーナーです」
「俺やフォン、ユウキたちに秘められた色々な話が出てくる予定だ。選出されるみんなもよろしく頼むぜ。それじゃ、まずはこのテーマからだ!」
『フォンの初期設定や小説のタイトルは全然違ったものだった』
トークメンバー:フォン、ユウキ、キリト、アスナ、ユージオ、アリス
「まずはこの6人でのトークだ。というか、俺の初期設定か」
「以前にフォンの設定に関しては話したことがあったんですよね?」
「ああ。確か、おふらいんシリーズSAO編で何回か触れたことがあったな」
アリスの問いに当時のことを思い出しながらキリトは答えた。
「えーとね、それに関して作者から資料を預かってきてるよ」
「へぇ~、気になるわね。フォン君の初期設定か」
資料に関心が向いたアスナは横からユウキが持っている資料を覗き込んだ。ユウキは全員にその資料が見えるように資料を空中のディスプレイへと表示させた。その資料には次のような項目が書かれていた。
・初期タイトルは『SAO~技術の開拓者~』
・基本は片手剣装備。特技は人の技を模倣すること。その特技が影響して、ユニークスキルはあらゆるスキルに変化することができる『幻想剣』を取得。
・キリトの兄貴分
・メインヒロインはユウキとシリカ
・ありとあらゆる武器を使いこなす天武の才を持つ。ALO・GGOでも同じ
・年齢はキリトとアスナの丁度真ん中の15才
・両親は小さい頃に死別。中学からは無償の奨学金を元に一人暮らしをしていた優等生
・基本負ける要素なし。ヒースクリフやユウキにも全勝
「ちょっと待て?!ヒロインってユウキだけじゃなかったのか!?」
「えええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
『嘘ですよね!?』
衝撃的な事実にオリ主とメインヒロインが絶叫した。ついでに雛壇の方からも悲鳴が上がったのは当然のことだった。ショックのあまり呆然とするユウキから資料を取り上げたアスナが詳細へと目を通した。
「どうやらシリカちゃんはSAO編のメインヒロインだったみたいね。というか、ALOからGGO編に至るまでシリカちゃん一人の独壇場だったみたい」
「その名残がSAO編の第5話に残ってるみたいだな」
「あの話って、最後にシリカちゃんの危機をフォンが救ったんだよね?」
「そういうお話でしたが、どうやらその話がきっかけでフォンとシリカはコンビを組むことになったようですね」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
資料を見て、事実を確認していくキリトたちの横で魂が口から抜けたかのような表情を浮かべたメイン二人の姿があった。
ちなみに、雛壇に座っているシリカは顔を真っ赤にさせて俯いていた。そんな彼女をリズが弄っていたのはお約束だ。
「というか、今のフォンとは全然設定が違うな」
「誰にも負けないっていう設定も違うよね。フォン君、団長やユウキにも一回ずつ負けてるし」
SAO当時のことと初期設定のことを比較したキリトとアスナがそんな感想を述べていた。
「そもそも幻想剣の効果も違っているんだね。でも、様々な武器を使いこなすって言う設定は引き継がれているんだね」
「資料を見てみると他にも色々ありますね。キリトとSAO時に戦ったり、シリカと自分の家を買って同棲したりなど色々相違点がありますね」
「「ど、同棲!?」」
「あっ、二人ともやっと帰ってきた」
アリスの解説にようやく意識が戻ったフォンとユウキ。そんな二人を見て、アスナは苦笑していたが、二人にとってそんなことはどうでもいいことだった。
「シリカと同棲!?うわぁ、本当だ!」
「しかもユウキと一緒に戦ったあの隠しダンジョンのボスも、初期設定だとシリカと戦ったことになってる!?しかもその時のドロップアイテムもまさかの使い道かよ!?」
「あまりのショックに二人とも今度は地面に膝を突いたぞ!?このテーマの進行ほぼ不可能じゃないか?!」
資料の詳細へと慌てて目を通していくユウキとフォンだったが、どんどんと顔が真っ青になっていき、本日二度目となるメンタルブレイクにより地面へと崩れ落ちた。その有り様に流石のキリトも笑い飛ばすこともできずにいた。
「う~ん、このテーマはここまでにしておきましょうか」
「先程の行為が罰として返ってきたようですね」
「まぁまぁ。アリス、これ以上追い打ちをかけるのは止めときなよ」
アスナの提案に頷きながらも、先程騙されたことを未だ根に持っていたアリスから辛辣な言葉がフォンたちに投げられるも、そんなアリスをユージオが宥めながらこのテーマは終わりを告げたのだった。
『ALO編・キャリバー編はもともと書く予定だった』
トークメンバー:キリト、アスナ、リーファ、シノン、リズ、シリカ、ユイ
「原作メンバーでのトークだな」
「ALO編だとリーファがメインになるのかしら?」
「そう、ですね。というか、ヒロインで私だけメインストーリー省略されたんですよね」
「リーファさん、お気持ち分かります。私もせっかくの出番回無くなりましたから」
「リーファちゃんだけじゃなくユイちゃんまで?!」
キリトとシノンが出だしを飾るも、いきなりダメージを受けたリーファとユイの表情が沈み、慌ててアスナがフォローに入った。
ちなみにフォンとユウキは先程のダメージからまだ立ち直れず、ユージオとアリスに看病してもらっている状態だったりする。
「でも、ALOでフォンが参加したとしてもあんまり変化はなかったんじゃない?」
「幻想剣が使えなくても、なんとかしちゃいそうなイメージがありますよね」
「まぁ、俺もALOに初めてダイブした時、SAOアバターをコンバートした状態だったから、使ってたスキルも全部使用可能だったからな」
「パパもチートキャラ化してましたが、ほとんどの武器スキルをコンプリートしていたフォンだとさらに規格外になっていたことでしょうね」
シノンとシリカの会話に、当時のことを思い出したキリトとユイは思わず苦笑いしてしまった。あの時も二刀流スキルや各種アイテムは使えない状態だったが、あのユージーン将軍をキリトは倒してしまうくらいだったのだから、フォンが介入していればもっと話があっさりとしてしまっていたことだろう。
「逆に言うとキャリバーの時、フォン君の立ち位置ってちょっと微妙なところだったのよね」
「微妙な位置、ですか?」
「うん。あの時のフォン君ってまだヒロインのユウキとも再会してなかったし、ポジションもダメージディーラーだったでしょう?トンキーやレイドメンバーの人数制限もそうだけど、あの時の攻略メンバーで誰かと交代っていうのも難しかったみたいだし、それでキャリバーはマザーズ・ロザリオ編の冒頭で語られる形になった、ってこの資料に書いてあるわ」
リーファの疑問に資料に書かれていた裏話を説明していくアスナ。その説明に思わず感心の声が漏れる一同。
「まぁ、フォンって色々とキャラが被ってるわよね?例えば、マスタースミスであることは私と被ってるし」
「ユニークスキルを持っていることやALOからは二刀流も使っているのは俺と被ってるよな?」
「料理とかそういう家庭的なスキルに優れてるのも私と似てるよね」
「冷静なところは私やエギルに似てるわね。ツッコミ気質で苦労人だから引っ張りだこなのは見てて可哀そうだけど」
「皆さんの意見を統合すると、何をやらせても何でも上手くできてしまうということでしょうか?」
「そうですね。私みたいなテイマースキルやALOの魔法とかも、やろうと思えば簡単に使いこなしちゃいそうですよね」
「随意飛行もお兄ちゃんみたいにあっという間にマスターしてましたし、現在執筆中のアリシゼーションでも凄い神聖術を使っていましたもんね」
フォンに対する評価を纏めたユイの意見にトークメンバーは確かにと頷く。だが、ゲーマーであるキリトが次の瞬間とんでもない一言を放った。
「ある意味、器用貧乏だよな。なんでもできるって」
「「「「「「!?」」」」」」
「乙男というのか、オカンというのか・・・まさしく主婦の鏡だよな!」
「ちょ、キリト君!?」「パ、パパ!?」
「容赦なくツッコミを入れてくれるから、俺も安心してボケられるしな!フォンが一緒だと安心して背中も任せられるし、ちょっとぐらい暴走してもなんとかしてくれるだろうし」
「お、お兄ちゃん、ストップ、ストップ!?」「そ、そこら辺にしておきなさい!?」
アスナ、ユイ、リーファ、シノンがキリトの背後に迫る影に怯えながらなんとか待ったを掛けるが、キリトは全く気が付いていない。
「オールラウンダーっていいよな!弱点がないっていうか。でも、時々真面目過ぎるせいか、表情が硬いからその表情を崩してやりたくなるんだよな」
「あ、あわわわわ!?」
「キリト、後ろを見てみなさい」
「えっ、後ろ?」
慌てるシリカの姿とこの後起こることを察したリズのどこか諦めがついた言葉を受け、キリトは後ろを振り返り全てを察した。
「あっ」
「そうかそうか。俺は、器用貧乏でオカンでツッコミマスターで糞真面目の岩表情のオールラウンダーだって言いたいんだな?」
「ところどころ言ってないのが混じってるぞ!?というか、そのハンマーはもしかして!?」
いつの間にか復活していたフォンが手にハンマーを携えて立っていた。
だが、その姿はいつもと違った。表情は伏せているせいで髪に隠れて伺えないが、その全身からとてつもない憤怒とムカツキの気を宿した紫と赤色のオーラを放っていた。
そして、そのオーラはハンマーにも伝染し歪な力が宿っていた。それを見て、初めて身の危険を感じたキリトだったが、もう既に手遅れだった。ちなみに他のトークメンバーは一足先に退避していた。
「大丈夫、痛みは一瞬だ」
「その一瞬の痛みが絶対にヤバいだろ、それ!?待て、フォン!話せば…!」
「問答無用!!アブスターディ・ターミネイター!!!」
幻想剣《片手棍》超重単発最上位ソードスキル〈ガエル・ターミネイター〉。
怒りと憎悪と悲しみの『心意』でその本体そのものが巨大化したハンマーで最上位ソードスキルを放ったフォン。弁解しようとするキリトだったが、『心意』とソードスキルでの一撃に抵抗できる訳もなく、一瞬でペチャンコにされてしまった。
「成敗!」
「キ、キリト君!?」「パパ!?」
達成感から珍しく満足したかのように笑みを浮かべるフォンはハンマーを担いだ。紙のようにペラペラと化してしまったキリトに慌てて駆け寄るアスナとユイ。その様子を見ていたトークメンバーはこう思った。
『フォンを怒らせることだけは絶対に止めておこう』
いつも優しさと穏やかな気を纏っているフォンを怒らせるとこうなる、ということをキリトの犠牲をもって体感したのだった。
『ボツになった設定やお話とは』
トークメンバー:フォン、ユウキ、ユージオ、アリス
「またこれは、変わった面子でのトークですね」
「えーと、キリトがフォンによってぺっちゃんこにされちゃったので、アスナたちが看病に行ってるからね。ここからはフォンとSAO~GGOまで登場がなかったボクやアリスたちで話していくみたいだよ?」
自分たちが選ばれたことが不思議だったアリスの疑問にユウキが答えた。先程のトークメンバーは裏手でキリトの看病をしている真っ最中だった。
「やっぱりフォンって怒ると怖いね。ライオスたちとの一件もそうだったけど、なんか人が変わったように見えるよ」
「分かる…分かるよ、ユージオ。フォンがキレると本当に怖いんだよね。剣を向けられた時なんか、ボク泣きそうになったもん」
「す、すみませんでした…!」
ユージオの言葉に実体験があったユウキがそのことを思い出し体を震わせていた。当事者のフォンもその時のことを思い出し、罪悪感から土下座をしてしまっていた。
「そ、その話はそこまでにしておきましょう!?このトークテーマではフォンを中心にボツになった設定やスキルに関して話すのでしょう」
「そうだね、アリス。ほらほら、フォンもユウキもそろそろ立ち直って」
二人の言葉を受けたフォンとユウキはフラフラしながらもなんとか立ち上がった。その様子に苦労人だなとユージオとアリスが心の中で同情したのは内緒だったりする。
「ふぅ。よし、もう大丈夫だ。まずはこの話からだな」
〈フォンは元々スキルを発見する達人という設定だった〉
「これな。さっきも話題に上がった旧タイトルの『技術の開拓者』にも関わりがあることだな」
「へ~。そういう意味からのタイトルだったんだ…あれ?でもそれと今とじゃあんまり変わらなくない?」
「SAO編とか見てみると、装飾スキルとか新ソードスキルとか色々使ってるよね?」
「オカンとかも呼ばれているのでしょう?」
「ア、 アハハ。確かにそう言われると変わりないよな。だけど、色々とヤバいスキルを発
見しちまう悪癖が旧設定だとあったんだよ」
「「「あ、悪癖?」」」
嫌な言葉がフォンから飛び出し、3人は思わず冷や汗を掻いた。
「そうそう。例えば、『暴食スキル』とか『調合スキル・毒』とか『衣装作成スキル』とかま。酷いものだったら、とてもともて小説では書けないようなスキルの発見話もやる予定があったりしたくらいだからな」
「それってそんなにヤバい奴なの?」
「軽くR-18Gレベルのものもあったくらいだからな。それを嬉々と発見していく話なんて、どこぞのマッド野郎みたいな話だろう?」
「そ、そうだね」「そ、そうですね」
自嘲気味に笑うフォンにユージオとアリスは頷くことしかできず、ユウキは苦笑いするしかなかったのだった。
〈実はキバオウとの確執はもう一つあった〉
「GGO…銃の世界でのお話でしたよね?」
「ああ。ファントム・バレッドで俺が戦ったもう一人の死銃のことだな」
アリスの確認にフォンは当時のことを思い出し、眉をしかめた。それほどにキバオウとの思い出に良いものがなかった証拠だった。
「このキバオウって人、フォンとSAOで色々あったんだよね?」
「色々というか、一方的に敵視されたというか、つい反撃をやりすぎちまって逆恨みされたというか」
「もしかしてフォンって敵を作りやすいのかい?」
ユウキとフォンの会話に、心当たりがあったユージオはフォンへと疑惑の目を向けていた。その目線から逃げるようにフォンは話題を元に戻した。
「それで題目についてだが、実はSAO編の第8話から第9話の間にもう一つオリジナルエピソードが入る予定だったんだよ。というか、この話にはシリカも加わってくるんだよな」
『わ、私ですか!?』
まさかの自分が呼ばれるとは思ってもみなかったシリカの声が外から割り込んだ。
「第8話の終わりで、俺は宿に三日三晩閉じこもる設定だったんだが、その時の騒動にあやかって俺に復讐しようとしたキバオウとオレンジギルド『タイタンズ・ハンド』のロザリアが手を組んでシリカを誘拐する…っていうエピソードがあったりしたんだよ」
「も、もしかしてそれって…」
「俺がブチ切れて二人が引き連れたレッドプレイヤーを惨殺、キバオウとロザリアもHPゲージが赤のゾーンまで追い込んでトラウマを植え付ける、っていうオチだ」
「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」
「シリカをキリトのヒロインメンバーに回したっていう理由もあるが、あまりにも惨いエピソードが続くのを作者が嫌ったのが一番の理由だそうだ。
ちなみにGGO編だとロザリアとの二人掛かりで俺を襲う予定でもあったらしいが、この話がボツになったことでキバオウ単独の襲撃になったらしい。それが唯一の救いかもな」
「そ、そうなんだ。そんなことよりもよく分かったのは、フォンは絶対に怒らせちゃいけないって話な気がするよ」
「「(コクコク)」」
ユージオの感想に同意したヒロインズの頷きにさり気なく精神的ダメージを受けたフォンだった。
〈アリシゼーションにフォンはほとんど参戦する予定ではなかった〉
「はぁぁ!?」「えええぇぇぇ!?」「え、ええええぇぇ!?」「・・・!?」
まさかの話題にトークメンバーが四者四様の反応を示した。上から順にフォン、ユウキ、ユージオ、アリスの順である。
「ど、どういうことだ?えっ、作者からの資料がある?どれどれ!」
まさかの事実に動揺しまくりの一同。そんな中、フォンに番組スタッフから資料が手渡され、全員がその資料を覗き込んでいた。
「近い、近い!なになに…元々俺は人界戦争編中盤でアンダーワールドに参入予定だった。奮闘するもアメリカ・中国勢のコンバートプレイヤーに苦戦、キリト復活後に人界・コンバート軍の総指揮を執る…っていう設定だったのか」
「これってほとんど出番なしだね」
「基本原作通りなんだね。でも、今は序盤からお話に絡んでるよね?」
「おや?その理由もこの資料に書かれていますね」
フォンの説明を受け、資料を覗き込んでいたユウキとユージオが補足していく中でアリスが資料のある部分に目を付けた。
「フォンがアリシゼーションに本格的に参加したのは各種テーマに則った結果。
SAO編が『原作の記憶を持って』、
ALO編は『偽りの記憶を携え』、
GGO編で『記憶にはない未開への挑戦』、
そして、マザーズ・ロザリオ編~オーディナル・スケール編は『出会いと運命の分岐点』というテーマがそれぞれ設定されている、とありますね」
「ほとんどに記憶が関連してるのか。言われてみればそうかもな」
「でも、アリシゼーションのテーマって何なのかな?」
アリスが読み上げた部分に心当たりがあったフォンはそういえばと思い唸っていた。一方、ユウキの疑問にはユージオが答えた。
「アリシゼーションのテーマは、『罪と世界、記憶を巡る旅』だって」
「罪、か…それって俺に関することだよな?」
その言葉に全員の視線がフォンに集中するが、当の本人は思い当たる節がなく、首を捻っていた。
「記憶を巡る旅、か。それって、あの大剣のことだよね?でも、あの大剣ってあの後、○○○になるよね?あ、あれ?!」
ユウキの言葉に一部規制音が入り、本人から驚きの声が漏れた。
「えっ?どうした、ユウキ?」
「わ、分かんない!?急に変な音が入って、フォンの大剣の武装完全支配術に話そうしたら変な音が鳴って!?」
「えっ、フォンの大剣のあの○○○のこと?うわぁ、僕もか!?」
「も、もしかして…!?俺はセントラル・カセドラルでの戦いの後○○○になる!セントラル・カセドラルでは○○○○○と戦う!ユウキとマーベルは○○○!アリシゼーションの結末は○○○!…やっぱりか!?」
「な、何が起きているのですか、フォン!?」
いきなり叫び出したフォンに規制音が連続してその声を遮った。そして、何かを察したフォンが呆れている様子にアリスが何事かと尋ねた。
「どうせアリシゼーション編のネタバレになるからっていう理由で作者が規制音入れてんだろう!」
半眼のままフォンが視線をスタッフ陣の方へと向けると、カンペで『ネタバレ厳禁でお願いします 作者』を掲げたスタッフが苦笑いを浮かべていた。そして、それを見たトークメンバーにも苦笑が伝染した。
「はぁ~。ともかく、旧設定とは異なる展開を示すアリシゼーション編の今後に注目頂ければと思います、でいいのかな?」
「い、いいんじゃないのかな、多分。というか、ボクの出番当分先みたいだし」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
どこか投げやりなオリ主と最近出番がないメインヒロインの二人を見て、アリシゼーションのメインキャラ二人は思わず目線を反らしてしまったのだった。
『そもそもフォンはどういったスキルを持っているのか』
トークメンバー:フォン、ユウキ、エギル、クライン
「俺のスキルに関してか」
「SAOからUWにおける本編で描かれていなかったスキルについてトークするんだって」
「なんで俺とクラインの組み合わせなんだ?」
「そうだぜ。こういう話ってアルゴとかの方が適任じゃないのか?」
トークメンバーの選出に疑問符を浮かべる大人2人だったが、それに答えたのは苦笑するフォンだった。
「トークコーナーも次で終わりなんですが、次のテーマがアルゴさんたちに大きく関わることなんですよ。そっちで思いっきり話す予定があるので、SAO時代の俺を知ってるお二人にご登壇頂いたわけでして」
「なるほどな。なら、ここは大人の俺たちがきっちりと解説してやろうじゃねーか!」
「いや、お前よりフォンの方がそういう話詳しいだろうが・・・ほら、さっさと始めるぞ」
自信満々のクラインにジト目でツッコミを入れたエギルの合図で解説が始まった。
〈装飾スキル〉
「装飾スキルですね。文字通り、装飾品系統の装備を作成できるスキルですね」
「ああ。SAOでも鍛冶スキルを覚えてる奴は派生スキルとして習得している奴も多かったよな」
「ええ。ただ防具を作るだけなら鍛冶スキルだけで足りますが、細部へのデザイン、カラーの変更、各種素材の組み合わせなどなどしようとすると、装飾スキルとの併合使用が必須となってきますからね」
エギルの説明にフォンが補足説明を述べる。そのままウィンドウを可視化し、自信が所有している防具の一覧を出した。
「例えば、俺がSAO時代から愛用している『蒼炎の烈火』や『骨織りの海装束』とかがいい例ですね。鉱石やモンスターのドロップアイテムの配合で防具の性能や重量、さらには装備できる武装とか大きく変わってきますからね。
いや、本当にSAOの時は大変でしたよ。思った通りの防具を作るのもそうですけど、素材を加工する『加工スキル』やアイテム・装備を廃棄しようとした際に一定確率で素材を再利用できるようになる『リサイクルスキル』、防具自体に特殊加工を加える『鍛冶スキル・付与極』も併用してですからね。スキル熟練度を上げるのに何千回と鍛冶したことやら。幻想剣のスキル効果がなかったら……」
「ス、ストップ!?ストップ!?もう分かったから!次のスキルの説明に行こうよ!?」
「そ、そうだな!ユウキちゃんの言う通りだ!」
「えー。まだあと30分は語れますけど」
「いい加減にして!」「「いい加減にしろ!」」
まだまだ鍛冶・装飾関係スキルに対して話したり無さそうなフォンを全力で阻止した3人の尽力により話は次のスキルへと移った。
ちなみに今回フォンたちが来ているコスプレの衣装もフォンが持つ『装飾スキル』、『デザイン拡張スキル』、『衣装作成スキル』で作られたのは余談である。
〈料理スキル〉
「料理スキルだね。ALOでいつも美味しい料理を作ってくれてるけど、もしかして他にも色々な種類があるの?」
「いい質問だ、ユウキ!実は料理スキルにも色々な派生があってな!例えば、」
「フォン。手短にお願いね」
活き活きと再び語り出そうとしたフォンをユウキは笑顔で制した。その目が全く笑っていなかったことに流石のフォンも冷や汗を掻き、自重の上で説明を始めた。
「代表的な派生スキルを挙げるなら、菓子系の調理を目的とした『製菓スキル』、アスナも愛用してる調味料関係で使う『調合スキル』、あとは俺たちはあんまり使わないが、野外調理を主とした『サバイバルスキル』とかが有名だな」
「そういや、フォンやアスナは現実世界でも料理してるんだったよな?」
「たまにうちの店でアルバイトをしてもらってるが、感心する腕前だぞ?少しは習ったらどうだ、クライン?」
「う、うるせー!?侍は料理なんてしないんだよ!」
エギルにそう茶化されたクラインが慌てて答えるも、あまりに杜撰な回答にフォンからジト目での批判の視線が飛んでいた。
「でも、現実と違って料理スキルって上げるの大変だよね。この前、僕もリーファと一緒に挑戦したけど、とんでもないものが出来上がっちゃったし・・・」
「ま、まぁ。失敗は誰にでもあるから気にするなって、ユウキ。あれは、うん・・・確かに食べられないものだったけど」
どこか遠い目をしたユウキに対し、その時のことを思い出し、こちらも遠い目をしたフォンがそんな慰めの言葉を掛けていた。
『料理スキル』、『製菓スキル』、『調合スキル』、『配膳スキル』、『器具使用スキル』、『鑑定スキル』、『レシピ拡張・極』をマスターしていたフォンでさえも、リーファとユウキにALOで料理を教えるのはかなり難しかったようである・・・そのお話はまた今度の機会にすることにしよう。
〈採取関係スキル〉
「採取関係のスキルか。それって、薬草とか鉱石関係のアイテム採取に関わるスキルだよな?アインクラッドの低層を探索してた時、採取クエストとかで世話になったよな」
「そうだな。あの時はレベル上げるために色々なクエストを受けてたからな。その時の余韻で採取系のスキルも上がったよな」
「10層以降は討伐系のクエストも増えてきたから、あんまり優先して上げるプレイヤーも減ったけどな」
クラインの言葉にアインクラッドを攻略していた当時のことを思い出し、思わず苦笑するフォンとエギル。
「フォンや俺は今でもよく使っているよな」
「そうですね。使っているというよりは、ほとんどがパッシプで発動しているようなものですから、俺の場合は装備や道具の効果との重ね合わせを計算して感じですかね。
素材によってはポップ率を上げないと時間が掛かるものもありますし」
「フォンって、鍛冶に装飾品、料理とかの素材も自分で用意すること少なくないもんね」
「ウチの店にも大量に売りに来ることもあるよな。あまりに量が多すぎて時々困るぐらいだぞ」
「す、すみません。一定のグレードのアイテムを探しているとどうしてもストレージを圧迫してしまって。結婚してストレージを共有してる上に、素材や武器の保管もしていると、その、ねぇ?」
「すみません、ウチのフォンがご迷惑をお掛けしてまして」
「なぁ、エギル。フォンのこと、一発ぶん殴ってやってもいいよな?」
「諦めろ、クライン。この二人の夫婦っぷりは分かっていたことだろう?」
フォンとユウキの息の合った謝罪にクラインが血涙を流し抗議するが、年配者のエギルが諦めた表情でそれを制止するのだった。
そして、大体のスキルを話し終えたところでトークテーマは最後の題材へと移るのだった。
『オリキャラの一人、シグの扱いに関して』
トークメンバー:フォン、ユウキ、アルゴ、シグ
「シグさんについてか」
「シグさんって、新生アインクラッド27層の時に僕たちを助けてくれたよね?」
最期のトークテーマについて話し始めるフォンとユウキ。大型ギルドの妨害に合ったスリーピングナイツとアスナを救うべく、大型ギルドのレイドメンバーに勝負を挑んだフォン、キリト、クラインを援護したのがシグだったのだ。
【シグって誰だっけという読者の方はマザーズ・ロザリオ編の第5、6、13話をご覧頂ければと思います】
「ニャハハ。ほらほら、お前さんの話題になってるぞ、シグ」
「うーん。俺自身本編の登場ってそう多くないからあんまり目立ちたくはないんだけどな」
アルゴに茶化されながらも、苦笑いしながらそう答えるシグ。そんな乗り気ではないシグに対し、フォンがある物を取り出した。
「そもそもシグさんって、『夢幻の戦鬼』の裏エピソードにおける主人公、いわゆる裏主人公の立場みたいですね。ALO編も本来はシグさん視点で描かれる予定だったようですし」
「アルゴさんも裏ヒロインとしていっぱい出てるみたいだね。物語の始まりもアルゴさんのピンチを救うところから始まってるしね」
「お、おい。フォン・・・その資料は何だ?」
何故か事情を詳しく説明し出したフォンとユウキが見ている資料に、シグは冷や汗を流しながら尋ねた。聞かれたフォンは資料のタイトルを見せた。そこには、
『夢幻の戦鬼外伝 鼠のボディガード 設定資料』
「作者から預かった資料です」
「や、やっぱりか…!」
フォンが告げた事実に思わずガックリと肩を落とすシグ。そんなシグに追い打ちを掛けるようにアルゴがまさかの行動に出た。
「それじゃ、オネーサンのとっておきの情報を出そうかな?」
「お、おい!アルゴ、一体何を…!?」
「それじゃ、ご開~帳!」
アルゴの指パッチンと共に上空に画面が写し出される。そこに表示されていたのは、シグの詳細なプロフィールだった。
【アバター名:シグ 本名:速水 英雄 大学1年生の19歳
メインウェポン:刀、弓
二つ名:鼠のボディガード、ファフニール
父子家庭でVRMMOはSAOが初めてだった。実力は前線プレイヤーである攻略組に匹敵するものだったが、本人の意向もあって前線で戦うことはほとんどなかった】
「という感じで、簡単なプロフィールのご紹介ダ。こういうのがあった方が読者の皆様も分かりやすいだろう?」
「俺のプライバシー度外視かよ。まぁ、ネタバレになることはほとんど伏せているからまだいい、のか?」
「「ア、アハハハ…」」
シグのコメントにどう返せばいいか困り、乾いた笑いを浮かべるフォンとユウキ。思った以上にシグが冷静なのもそうだが、この人も苦労人なんだなと若干同情してしまったせいでもあった。
「そもそもの話だが、ALO編を短縮させたから俺やアルゴの登場シーンが愕然と減ったんだろう?本来なら、俺はルグルー回廊から助っ人として登場する予定だったみたいだしな」
「そうだ、そうだ!オネーサンの出番もほとんどないしナ。SAO編とかマザーズ・ロザリオ編でちょっと出ただけダゾ?」
「あー、作者も番外編で二人のお話を書こうとしたみたいですけど、かなり中途半端になるかと思って断念しちゃったみたいですね」
裏主人公&ヒロインの抗議を受け、資料を見ながらそう弁解するフォンだったが、こればかりはフォンのせいでもないためどうしようもない問題だったりする。
「あっ!でも、アリシゼーションじゃ二人とも後半から出番あるみたいですよ?」
「えっ?本当に?」「おっ?本当か?」
「コンバート軍として参戦する予定みたいですね。というか、それに伴って外伝の投稿も現在検討中だそうです」
「「・・・はい?」」
前触れもなく落とされたフォンの爆弾発言に固まるシグとアルゴ。そんな二人を置いてどんどんと話が続いていく。
「えーっと、資料によるとSAO編~GGO編の時系列に当たる話を現在再編集中だって。今のところSAO編の話が一番長くなりそうで、『夢幻の戦鬼』の裏で起きていたことや本編では語られなかったエピソード、さらにはお二人のラブコメ要素も入れたものを必死でプロット作成中、って筆者のメモもあるよ?」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
「流石に更新頻度は本編みたいにとはいかないみたいですけど、月1、2話程度を検討しているそうです。って、お二人とも聞いてます?」
いきなりの発表に口をぽかんとしてしまったシグとアルゴ。ユウキとフォンが顔の前で手を振るも、完全に意識がフリーズしてしまったようで全く反応がなかった。
「でも、どうしていきなりこういうことになったのかな?」
「そもそもマザーズ・ロザリオ編で登場させたのはいいけど、それから全く登場させる機会がなかったのもそうだけど、本編と違ってこのお話はアリシゼーションからホロウ・フラグメントやロスト・ソングに繋がるから、どうしてもアルゴさんが出てくる関係上、シグさんを放置するのはどうかと思ってのことらしいぞ?」
「というわけで、本話の終わりにアンケートを開催しますので、皆さんのご意見を頂ければと思います、という作者からメッセージを預かってますので、皆さん、投票を宜しくお願いしますね!」
「・・・ユウキまでそんな容赦なくメタ発言をするようになってしまったのか」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
最後の最後にとんでもないことをぶっこんできたユウキに思わず肩を落とすフォンの一方で、未だショックで意識が戻ってこないシグとアルゴを放置したまま、暴露大会は終了となったのだった。
「さて、それでは最後のコーナーだが、ここからは新連載(仮)が決まる予定のオレっち、鼠のアルゴと」
「裏主人公を務めさせてもらうシグが司会進行をやらせてもらう」
ショックからようやく復活したアルゴとシグが司会席に移動し、最後のコーナーのタイトルを紹介し始める。しかし、何故かフォンやユウキ、キリト、アスナ、ユージオ、アリスの姿はなかった。
「最後のコーナーはこちら、『真の最強ゲーマー決定戦』だ」
タイトルバックと共に一気に紙吹雪が巻き起こり、スタジオの床がいきなり開いたかと思えば、奈落の要領で姿が見えなかったフォンたちが登場した。
「このコーナーでは、三つのゲームを各コンビに挑戦してもらい、どのペアが最強なのかを決めようという趣旨のコーナーだ。雛壇のメンバーには各種ゲームにおいて、どのペアが1位になるかの予想を立ててもらえればと思う」
「それじゃ、選手の紹介に移るゾ?まずは、本作のメインキャラで、『夢幻の戦鬼』と『絶剣』の最強カップルコンビのフォン坊&ユウキのペアだ」
「頑張ろうね、フォン!!」
「ああ。もちろん!」
ユウキの掛け声に手を合わせながら応えるフォン。二人とも勝つ気満々の様子で、ある意味優勝候補と言っても差し支えないペアだった。
「続いて、夫婦歴はフォンたちよりも上、原作キャラとしてはここで負けるわけにはいかない、キー坊とアーちゃんのコンビだ」
「フォンとユウキへのリベンジ戦だな!」
「そうだね。私たちの絆の強さを見せてあげようね、キリト君!」
アルゴから紹介を受けたこちらのペアも闘志を燃やしていた。アスナもそうだが、特にキリトは本編でユウキとフォンの二人に負けっぱなしなので一段と闘気を燃やしていた。
「最後に、この組み合わせは吉と出るのか凶と出るのか。アンダーワールドからの刺客、ユージオとアリスのペアだ」
「やるからには勝ちますよ、ユージオ」
「そうだね。せっかく出させてもらってるだしね」
予測不能のマッチングだが、やる気を感じさせるゲスト二人の言葉に会場のボルテージも一気に盛り上がる。
「それじゃ、最初のゲームを決めるゾ?」
「「「「「「最初のゲーム?」」」」」」
「そうだ。公正を期するために一つ目、二つ目のゲームは次の6種類からくじ引きで選ぶことになってる。みんなに挑戦してもらうゲームはこれだ」
アルゴの言葉に参加者6人が首を傾げる。そんなメンバーに淡々と説明を述べていくシグが手を挙げると、メンバーの頭上にゲームの種目が表示される。
『VRホラーゲーム』『VR迷宮突破』『早押しクイズ』
『パズルゲーム』『ホームランコンテスト』『VRシミュレーション』
「ゲームにはVRタイプの奴もあるのか。これはゲーム次第じゃどうなるか分からないぞ」
「油断できませんね」
フォンの意見に同意為しながらアリスは一段と気合を入れていた。そんな一同を雛壇のメンバーも固唾を飲んで見守っていた。そんな中、シグの言葉に従ってアルゴがゲームを決めるためのくじを引き始めた。
「それじゃ、アルゴ。最初のゲームを選んでくれ」
「おう。最初のゲームはと…これダ!」
『VRホラーゲーム』
「「あっ」」「ひぃ!?」
アルゴがくじ箱から引き出した札には紫の板に真っ赤な文字でゲームの種目が書かれていた。それを見たフォンとキリト、アスナからそんな声が漏れた。もっとも前者二人と後者が漏らした声の意味は大きく違ったものだった。
笑顔のまま冷や汗を流すアスナにSAOからの付き合いであるフォンとキリト、そして雛壇にいたリズは気まずい表情をしていた。なぜなら、
((そういえば、アスナってオバケとかそういう類のもの駄目だったよな))
(そういえば、アスナってオバケとかそういう類のもの駄目だったわよね)
「ホラーゲームか。オバケとかゾンビとかがいっぱい出てくるのかな。楽しみだね、アスナ?」
「そ、そ、そうだね!うん、楽しみ、うん…」
そんなことは露とも知らず、満面の笑みを浮かべながらそう尋ねるユウキにアスナもなんとか答えるが、その表情はどんどんと崩れていく。聖女のコスプレをしている彼女だが、今やその背中はとてつもなく頼りにならないものになってしまっていた。
「それじゃルールの説明をするゾ。このゲームでは、二人一組である洋館から脱出してもらうのが目的ダ。VRヘッドを装着し、それぞれ役割を分担してもらうことになっている」
「一人は主に移動とアクションを行う操作担当だ。移動だけでなく、迎撃用の行動も操作できることになってる。
もう片方には地図の作成、そして霊感能力を持つ設定として広い視野と敏感な聴覚を持つ捜索担当だ。移動などの操作はできないが、操作担当のプレイヤーにアドバイスを送りながら、協力して洋館を攻略してくれ」
「役割担当か。どっちは担当するかもかなり重要になってくるのか」
「う~ん。僕は操作側かな。マップとかそういうのは難しそうだし」
「アスナさん?さっきから顔色が良くないですけど大丈夫ですか?」
「だ、だ、大丈夫よ!うん、大丈夫!!」
アルゴとシグの説明にうーんといったアクションと共に首を捻るキリトとユウキ。一方のアスナはユージオに心配される程に冷や汗を流し続けていた。
各ペア相談の上、VRホラーゲームの役割分担は次のように決まったのだった。
操作側:ユウキ、キリト、アリス
捜索側:フォン、アスナ、ユージオ
「それじゃあ、みんな。VRヘッドを装着してくれ。今回のゲームはマップは共通だが、他のプレイヤーとは干渉しないようになっているし、外部の音声と合わせて聞こえないようにしているから、気兼ねなくプレイしてくれ」
ホラーゲームのどこを気兼ねなくプレイしてくれなのかは疑問だが、シグの追加説明を聞きながら各自がVRヘッドを装着していく。
「みんな、準備はいいカ?これからは音声も聞こえなくなるが、最後に一つだけヒントを与えておくゾ?出口は北側にあることを頭に置いておいてくれよナ!それじゃ、ゲームスタートダ!!」
アルゴの言葉と共にプレイヤーたちのVR画面が一斉に切り替わる。
薄暗く狭い廊下に、窓には雷混じりの雨が叩きつけられていた。まさしく、何かが出ますといった雰囲気そのものだった。散策側のプレイヤーの視界も2メートル先しか見渡せず、操作側のプレイヤーの視界は尚更酷いものだった。
「とりあえず周りを…えっ?」
捜索側のプレイヤーであるフォンがユウキにそう言いかけた時だった。フォンを含めた捜索側のプレイヤーの耳に妙な音が聞こえたのだ。その音がした背後を振り替えると、
「なぁ!?」「ひぃぃぃぃぃぃ!?」「うわぁぁ!?」
白いワンピースを着た女性が立っていた。もしそれが普通の女性なら彼らが悲鳴を上げることはなかっただろう(アスナを除く)。だが、その女性は普通ではなかった。
目はデメキンのように肥大しており、肌の色は常人では考えられない程に青く、更には顔と髪が不自然に鼓動と波打ちを繰り返していたのだ。そして、プレイヤーたちに気付いた怪女は、
『KHAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!』
「逃げろ、ユウキ!?」「に、に、逃げてキリト君!?早く?!」「アリス、走って!?」
「「「!?」」」
只ならぬ捜索側メンバーの叫びに、操作側メンバーが振り返るのと怪女が奇声を上げて追いかけてくるのは同時だった。
腕を振り上げながら全速力で走ってくる怪女に危険を感じ、一瞬で前方へとダッシュを始めたのは流石歴戦の戦士たちというべきか、操作側プレイヤーは追いつかれてなるものかと死に物狂いで走る!
長く続く廊下で逃げる一同だったが、プレイヤーたちよりも怪女の方のスピードが少し早く徐々に追いつかそうになっていた。
「キリト君!?もっと急いで!?追いつかれちゃう?!」
既に1名若干パニックになりかかっていたが、もう少しで追いつかれてしまうといったところで前方に扉が見えた一同。必死に最後の力を振り絞りその扉へと飛び込んだ。
飛び込んだ途端、自動的に扉が閉まり、それ以上怪女が追いかけてくる気配はなく、一同はようやく一息を吐くことができたのだった。しかし、
「扉が三つ?ここから選んで行けってことなのか?」
いち早く冷静になったフォンが周りを見渡すと、少し広めの部屋には入ってきた扉とは別に三つのドアが静かに健在していた。どの扉を行くか、各組は相談を始めたのだった。
〈ここからはペア単体での視点をお楽しみ下さい〉
「右に行ってみようか」
「右に?」
いち早く行き先を決断したのはフォン&ユウキペアだった。フォンの提案にユウキは首を傾げながら右手に見える扉へと視線を向けた。
「アルゴさんのヒントだと、出口は北にあるってことだったけど、俺が作れる地図には方角が載っていないから、なんとか方角の見当をつける必要があるんだ」
「それじゃ、どれかの部屋にヒントがあるってこと?」
「もしくは全部の部屋にあるのかもしれない。とりあえずここでじっとしていてもしょうがないし、直感だけど右の部屋から攻略してみようかと思ってさ。どうかな?」
「う~ん…そうだね。こういうホラーゲームって何回も死んだり生き返ったりを繰り返すのが当たり前だし、とりあえず右の部屋に行ってみようか」
フォンの意見を聞いたユウキも、過去にプレイしたホラーゲームのことを思い出し、その意見に賛同した。というわけで、ユウキの操作で右の部屋へと移動し始める二人。扉を開くと、
「また一本道みたいだね」
「そう、だな」
扉の先はまたしても一本道だった。ユウキの言葉に頷きながらも、先程の怪女のこともあり最大限に警戒するフォン。だが、今のところ、何かが出てくる気配はなかった。
ユウキが操作して進む中、フォンは時折後ろを確認しながらマッピングを行っていた。二つの角を右、左へと順調に進み、その廊下を半分進んだ時だった。
トスン
「・・・トスン?」
何かが落下したにしては軽すぎる音がフォンの耳に入ってきた。一体何事かと思い、後ろを確認した時だった。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
全身ブルーベリーの怪人がフォンたちを無表情で見つめていた。あまり広くはない廊下にその巨体をアピールするかの如く立っているその姿はシュールとも見れたが、今のフォンには恐怖しか感じていなかった。
「どうしたの、フォ・・・」
いきなり静かになったフォンの方へと視線を向けようとしたユウキの口も固まってしまった。そして、二人が自信を確認するのを待っていたかのように、突如化け物が二人を捕まえようと動き始めた。
「ユウキ!!」
「分かってる!?」
フォンの叫びにすぐに動いたユウキ。全速力で前方へと逃走を図るが、化け物のスピードは異常なまでに早かった。先程の怪女が優しいと思えるほどにどんどんと距離を詰めてきた。
「無理無理無理!こんなの無理だよ!?」
後ろを振り返り、絶望的な状況に流石のユウキも涙声になっていた。そして、角を曲がって数メートルを走ったところで二人は捕まってしまい・・・
「そして、ここに戻されるわけか」
ゲームオーバーのまるで血で書かれたような文字が表示されたかと思えば、次の瞬間には三つの扉があった部屋へと戻されてしまった二人。大体の流れを察したフォンからそんな感想が漏れていた。
「むむむ!今度こそ攻略してやる!行こう、フォン!」
「待て待て待て。無策で突っ込むつもりか」
気合い十分という反応で再び右手のドアに走り出そうとするユウキを冷静に制止するフォン。先程逃走する際に気付いたことをユウキに話してから、作戦を練った二人は再び扉へと向かった。
再び廊下を進み、角を2回曲がってから少し進むと、
トスン
「「!!」」
軽い音がした瞬間、フォンの合図でユウキは迷うことなく走り出した。後ろから追いかけてくる気配が迫ってくるが、そんなことを気にすることなく走る二人。そして、先程と同じように角を曲がった時だった。
「そこだ!」
「うん!」
先程、逃走する際にそれがあることに気付いていたフォンの言葉に従い、ユウキが操作して中に飛び込む。そのまま息を殺して、隙間から外の風景を伺っていると、
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
化け物が眼前を通り過ぎていくのが視界に入った。化け物が二人に気付く様子はなく、思わず二人は安堵の声を出してしまった。
「危なかったな」「なんとかなったか」
が、次の瞬間だった。
ガァン!
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
「「えっ?!」」
いきなり二人が隠れていた場所の扉が開かれ、そこには化け物がジッと二人を見つめながら立っていた。もちろん、二人にはなす術もなくその凶腕が二人を襲って…
「ぐぬぬぅぅ!また駄目だったね…」
「‥‥‥‥‥」
作戦が失敗し、思わず落胆するユウキ。一方のフォンは先程の出来事を思い返していた。
「う~ん…フォンの言う通り、掃除用具箱に隠れて、上手くいったと思ったんだけどな。どうして駄目だったんだろう?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あれじゃないのかな?それともこのルート自体が間違い?でも他のルートはもう入れなくなってるし…あの箱に隠れれば安心だといけると思ったのにな」
「あっ、それだ」
「えっ?」
ユウキの言葉に思わず両手でポンと打ったフォン。そのリアクションにユウキは思わず首を傾げた。
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
3回目の挑戦。先程と同じように化け物から逃げ、掃除箱へと隠れた二人。だが、二人は隠れた途端、息を殺してジッと身を潜めていた。先程と同じように化け物が目の前を通り過ぎてもジッとし続けていた。
そして、捜索側であるフォンも違和感を感じなくなって、ようやく二人は掃除箱から出た。今度は化け物に襲われることはなかった。
「行ったみたいだね」
「やっぱりか。アミュスフィアじゃないと思って油断してたな。まさか音声にまで反応してくるとはな」
化け物の姿が消え、ユウキはホッとしていた。一方のフォンは自身の仮説が正しかったことを確信し、苦笑いしていた。
実はこのVRホラーゲーム、感覚だけでなく音声まで認識されるようになっていたのだ。なので、掃除箱に隠れるところを見られていなかったにも関わらず、二人が声を出したことで通り過ぎようとしていた化け物に捕まってしまったのだ。
「このゲーム、思った以上に油断できないな。というか、どんだけ凝った造りにしてるんだか」
「これ、あと何回死んだらクリアできるのかな」
思った以上に苦戦しそうだと思い、二人からため息が出てしまった。ともかく進まない事には始まらないと思い、一本道を進んでいく二人だったが、
ポスン
「あっ」「えっ」
フォンの耳に再び、しかし、先程とは違った落下音が聞こえてしまった。フォンの声に釣られたユウキ。二人が後ろを振り返ると、
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
先程の化け物と同じ色、だが、食パンのような四角いデザインの化け物が、『やぁ!』といったような表情(ように二人には見えた)が鎮座していた。もちろん、ただ立っているだけで終わるわけがなく、
ドゴゴゴゴゴゴゴゴ!!
「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」」
化け物に追いかけられ、二人の悲鳴が再び廊下に木霊したのだった。
「真ん中のルートに行ってみましょうか」
一方、フォンたちが右側へとルートを決めた時。ユージオとアリスもルートを決定していた。アリスの言葉に頷き、二人は真ん中のドアへと進み始めた。
「うわぁ…これは何というか」
「おぞましい気配ですね」
二人が絶句するのも仕方のない光景が目の前に広がっていた。廊下には霧のような白い靄が漂い、壁や床にはお札らしきようなものが大量に張り付けられていた。
特に捜索側のユージオは視界が広い分、その光景が更に目に入っており、嫌な予感をその身で感じ取っていた。
「ユージオ、どうですか?何か潜んでいる気配はありますか?」
「…今のところは特には。これは進んでみないと分からないかもしれない」
「そう、ですか。気は進みませんが、負ける訳にもいきませんし、進むしかありませんね」
そう言って、アリスは操作して前へと進み始めた。先程の部屋とは雰囲気も異なっているようで、ユージオたちが進む廊下はまるで廃校のようだった。
廊下を進んでいく二人だったが、これといったギミックもなく、警戒を続けるユージオだったが、逆に不安を覚えてしまっていた。すると、
「あっ。何だろう、あれ?」
「どうしましたか?」
「少し先に何か看板みたいなものがあるんだ」
視界が広いユージオが前方に何かがあることに気付いた。どうやらそれは立て看板らしく、二人は近寄って看板の内容を見た。
『汝、この先を進みたければ生命の音すら立てることなかれ。さもなければ、汝の命と魂を冥界の使者が連れて行くだろう』
「これは…どういうことなのでしょうか?」
「この先に進みたいのなら、音を立てちゃいけないってことなのかな?」
看板に書かれた内容に二人は思わず顔を見合わせていた。互いの顔には疑問の色が浮かんでいたが、ここでこうしていてもしょうがないと思い、二人は前へと進み始めた瞬間だった。
「「っ!?」」
数歩進んだ瞬間、いきなり二人の目の前に身長3mはあろうかという異形の者が立っていたのだ。提灯を持ち、傘帽子を被った男の体はまるで影のように黒くなっており、その素顔さえ判別することはできなかった。
咄嗟の事に動揺してしまったアリスはとにかく後ろに下がることしかできなかった。しかし、男は二人を追いかけるようにゆっくりと歩みを進めた。
「アリス。もしかして、さっきの看板って…」
「…なるほど。このことなのかもしれませんね」
看板に書かれていたことが、この異形の者の対処する方法だったのではないかというユージオの言葉に納得し、小声で返すアリス。後退するのを止め、息を殺して異形の者・・・傘男が通り過ぎるのを待つことにした。
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
ジッと動かずに待つ二人。傘男はジリジリと歩き続けていた。そして、遂に二人の眼前へと来た時だった。二人が自身の足元の寸前にまで近づいた瞬間、歩みを止めた傘男は、その巨体と先程までのゆっくりとした動きからは考えられないスピードで、提灯を捨て去り二人の首を締めあげたのだ。
「なぁ!?」「ぐぅ!?」
もちろん剣すら持たない二人に抵抗する術などなく、呆気なく二人は一回目のゲームオーバーを迎えたのだった。
「やられましたね」
「やられたたね」
最初の部屋に戻された二人はそう呟いていた。そして、早速先程の出来事について相談を始めた。
「どういうことでしょうか?音を出さないだけでは駄目だったのでしょうか?」
「う~ん?さっきの看板の意味を読み間違ったってことかい?」
「あの狭い廊下ではあの怪物を回避することすらできないでしょうしね。ともかく先程の看板のところまで戻ってみましょう」
あの看板の内容を確認しようということで、立て看板の所まで戻ることにした二人。一応、このゲームが対戦ということなので、素早く戻った二人は看板の内容をもう一度吟味していた。
「うーん。あの化け物が冥界の使者ということなのはこの看板の通りなのでしょうね。となると、重要になってくるのは…」
「うん。この前半部分だよね?『生命の音すら立てることなかれ』だから、音を立てないようにしてたけど、さっきは見つかっちゃったし…」
看板を前に頭を捻る二人。悩むこと5分、ユージオがあることに気付いた。
「ちょっと待って。生命の音って心臓の鼓動のことじゃないのかい?」
「心臓の?それは…心臓を止めろということですか!?それはいくらなんでも無理がありませんか?」
「そ、そうだね…いや、もしかしたらそういう意味じゃない…?」
アリスの指摘に再び頭を回転させるユージオ。自分たちの解釈が未だ不十分ではないのかと再び看板へと視線を向ける。
「音、心臓、生命…待てよ、『音すら立てるな』…?」
「変な書き方ですね。音を立てないだけを示したいのなら、『音を立てることなかれ』と書けばいいものですよね?」
文章の書き方が妙なことに気付くアリス。その部分を凝視する二人が再び頭を悩ませること2分。妙手が浮かばないユージオがため息を吐いた時だった。
「はぁ。駄目だ、お手上げだね。駄目もとでもう一度進んでみるかい?」
「それはどうでしょうか?またここまで戻ってくるのも時間がかかり…あっ」
「えっ、どうかした?」
途中で言葉が止まったアリスにユージオは首を傾げた。何かを思い付いたアリスは看板を指さしながら説明を始めた。
「音という文字に捉われすぎていて忘れていましたが、呼吸をする際にも音が少しだけしますよね?もしかして…」
「あの怪物が通り過ぎるまで息を止めろってこと…?だから『音すら立てるな』っていう書き方をしていたのかな?」
「善は急げ。試してみましょう!」
早速二人は思い付いた策を試してみようと看板よりも前に出た。案の定、ギミックが反応し、傘男が二人の前に突如現れる。その瞬間、二人は大きく息を吸って呼吸を止めた。
だが、この作戦には穴があることを二人は気付いていなかった。確かに二人の作戦はある意味では今回のギミックに関しては正解だった。
しかし、二人は傘男が二人を通り過ぎるまでかなりの時間がかかることを失念していた。傘男の歩くスピードはまるでカタツムリが進むのより少しだけ早い速さであり、明らかに人間が息を止められている限界を優に超えることを。
いくら二人が剣士で歴戦の猛者だとしても、2分を超えるほどに息を止めていることができるわけがなく・・・
「「…っ!?ゴホ、ゴホ!?あっ…!」」
限界を迎えた二人は思わず後ろを振り返ったが、その眼前には二人を捕まえようとする傘男の凶腕が迫っており、その結末は・・・
「またしてもここからですか!?」
「うーん、惜しかったね」
「くぅぅ…行きますよ!今度こそ突破してみせます!!」
二回目の死を迎えた二人はリスタート地点に戻ってきた。イケると思っていただけにアリスはかなり悔しがっていた。そんなアリスを見ながらユージオは苦笑いをしていた。
意気込むアリスは操作して元いた場所へと向かう。そして、傘男に再挑戦しようとするもそれをユージオが待ったを掛けた。
「ねぁ、アリス。今思ったんだけど、ただ待つだけじゃ無理がないかい?」
「うっ…そう、ですね。ですが、他にヒントらしきものはないみたいですし」
「…もしかして、息を止めた上で音を立てずに動いたらバレないとかってないよね?看板には動くなとは書いてないし」
「…まさか、そんなことは…そんなまさかがあるわけ…」
ユージオの言葉に困惑するアリス。そんなことがあるわけがないと思う彼女だったが、
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
息を止め、音を立てることなく傘男とすれ違った二人は捕まることなく突破することができてしまった。焦る気持ちを抑え、音を立てないようにすることだけに集中し、傘男の姿が見えなくなったところで二人はようやく息をすることができた。
「な、なんとかなったね」
「…これ、ホラーゲームより謎解きゲームになっていませんか?」
アリスの疑問に再び苦笑することでしか答えることのできなかったユージオ。一段落した二人は再び廊下を進み始めた。
そして、一番懸念視されていたキリト&アスナペアはというと、
予想通り大変な事態に陥っていた。
「きゃぁぁぁぁ!?キ、キ、キリト君!?前?!前!?やっぱり後ろ?!」
「しっかりしてくれ、アスナ!?」
左の扉を選んだ彼らだったが、まさしくカオスな状況に襲われていた。その原因はやはりアスナにあった。
彼らが最初に遭遇したギミックは鍵集めだった。フォンやユージオたちのルートとは異なり、少し複雑な道となっており、所々に落ちている鍵の部品を5つ集めれば先へと進めるようになっていた。
が、もちろん障害や邪魔する者がいないわけがなく、現在進行形でキリトたちはそれに追われていた。
手にチェンソーやら包丁やらハンマーやらドリルやら、明らかに殺傷目的の凶器を振り回す人形たちがキリトたちを改造しようとするかの如く追跡をかけていた。
体は熊のかわいい人形なのだが、手に持つ凶器と隠そうとしない野蛮なギザ歯から涎と血を垂らし、追いかける様はまさしくホラーだった。
そんなスプラッタなキャラに追いかけられたりするば、もちろん・・・
「無理ぃ!?無理だって、あんなのぉ!?逃げて、キリト君?!」
絶賛大混乱中のアスナだった。弱点属性にクリティカル・弱点特攻がプラスされたかの如くのダメージを現在進行形で受けていた。
ゲーム性もそうだが、恐怖から捜索側を選んだアスナがその状態のせいでキリトに上手く指示出しすることもできず、キリトは完全孤立でのソロプレイをしていたのだった。
「いや、アスナ!?頼むからマッピングを!?うわぁ、前から来た!逃げ、げっ!?右からも、うわぁぁぁぁぁ!?」
そんな状態でギミックが突破できるわけもなく、前方から迫ってきたエネミーの奇襲を避けようとして右方向に移動するも、そちらからもエネミーが迫って来ていたことに気付けなかったキリトに、血まみれのハンマーが振り落とされ・・・
「うううぅぅぅぅ……無理だよ、あんなの、絶対無理ぃ?!」
リスタート地点に戻されてしまい、遂にアスナが泣き崩れてしまった。その横で流石のキリトも死に戻り過ぎてげっそりとしていた。
実はかれこれ死に過ぎて、先程の挑戦が7回目だったりする二人だった。
「アスナ、大丈夫か?」
「大丈夫じゃない……」
完全に心が折れかかっていたアスナに普段の凛々しい面影は消し飛んでいた。まぁ、SAO時代にもレイス系の迷宮区はちゃっかり攻略を放棄する程に彼女はホラーが苦手なのだ。
しかし、自身を姉のように慕ってくれるユウキの前でそんな無様な姿を見せるわけにはいかないという心持で挑んだアスナだったが、今やその心意気は完全に失われ、早くこの状況から解放されたい一心であった。そして、恐怖と混乱、プレッシャーがその頭脳を高速回転させてしまった。
「………待って、キリト君。もしかしてこれ…正面から挑まなくてもいいじゃないのかな?」
「ア、アスナ?」
「そうよ!これはホラーと見せかけての発想力を問われるゲームなのよ!」
「…おーい…」
「この三つの扉は全てブラフ、どの扉の先にも出口は無いのよ!とすれば…」
「帰って来てくれ、アスナ~…」
キリトの呼びかけにも答えない程にアスナは思考の海へと浸かってしまっていた。そして、その思考は(意味不明な)答えへと辿り着いた。
「そう!本当の出口は来た道にあるのよ!さっきの女性のオ…オバケももういないはず…だから、今ならこの来たドアから外に出れる筈よ!!」
「そ、そんなことあるのか?」
「キリト君、アルゴさんのヒントを思い出してみて?」
「ア、アルゴのヒント…?」
そう言われて、キリトはアルゴがスタート直前に放った『出口は北側にある』という言葉を思い出していた。
「あれはこのことを指していたのよ!じゃなきゃ、わざわざゲーム開始前にあんなことを言う訳がないわ!」
「た、確かに…!?」
核心を突いたかの如くに力説するアスナの言葉に思わずキリトも納得してしまった。ゲーマー歴最長のキリトもその可能性があるのではと感じたのだ。
「さぁ、行きましょう、キリト君!このまま私たちが1位突破するわよ!」
「お、おう!」
アスナの号令に若干引きながらこの部屋に入って来た扉を開いた。そこには、スタート直後に襲ってきた怪女の姿はなく、キリトとアスナはガッツポーズをして進み始めたのだった。
が・・・
「なぁ、アスナ…この道ってこんなに長かったか?」
「最初は追いかけられて走ってたからね。長く感じるのはそのせいじゃない?」
二人は廊下を歩いていたが、いつまで経っても出口が見えてこないことに一抹の不安を感じていた。キリトの疑問に答えるアスナだったが、彼女自身も嫌な予感がぬぐい切れず、冷や汗を流していた。
そして、その不安と予感は当たっていたのだった。
『ねぇ、後ろを見て?』
「えっ?キリト君、今何か言った?」
「えっ!?アスナじゃないのか?」
思わず聞こえてきた声にアスナは恐る恐るキリトに尋ねるが、キリトもアスナであってほしかったとばかりに反応しながら首を横に振った。
さっきの声が互いのものではないことを二人は既に理解していた。だが、心の底からそうではないと思っていたかったのだ。
「後ろを向いてみるか?」
「ダ、ダメよ!?絶対にダメ?!というか無理!!」
『ねぇ、後ろを見てよ?』
「キリト君?!」
「はいぃぃぃ!!」
再び聞こえた声にアスナが悲鳴を上げ、その声に応えたキリトが全速力で前方へと走り出した。だが、
『早く見てよ?』
「「っ!?」」
『見た方が楽だよ?』
「「………!?」」
『なんで見ないの?楽になるよ?』
前へ前へと声から逃げるように走る二人だったが、声は遠のくどころか、徐々に近づきつつあった。だが、それでも二人は後ろを振り返ることだけはしなかった、というかできなかった。
止まったり、振り返ったが最後だと二人の戦士の直感が告げていたのだった。だが、いきなり走っていた二人の動きが止まってしまった。
「キ、キリト君!?早く逃げないと?!」
「ち、違うんだ?!操作ができなくなって…!?」
早く逃げるように告げるアスナだったが、キリトが何度も操作しようとしても二人は動けない状態に陥っていた。そんな二人の肩に何かの手が添えられたのが目に入ってしまった。
「…い、いやぁ…!」
そうアスナが拒絶するも、肩を掴んだ手により二人の体は後ろを向かされてしまう。そして、振り返った二人が見たものとは・・・
「…ひぃ!?きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?!?!」
彼らが何をみたのか・・・それを知る術はないが、今日一番のアスナの悲鳴が廊下に木霊したことからも、他の物とは一線を画する物であったことは確かなことだった。
「ま、参ったな」
「お手上げだね」
そんな弱音を放つのはフォンとユウキのペアだった。
四角いブルベーリーの化け物の追跡を振り切り(高速移動に対応し切れず1ミス)、いきなり飛んできた巨大バサミを躱し(ユウキの超反射神経によるファインプレイでノーミス)、いきなりの突然死が小さな人形の奇襲だと見切り(2回目の襲撃でフォンが人形の影に気付き、3回目にてようやく逃げ切れた)、最後の部屋らしき扉の前に辿り着いたのだが・・・
実はこの二人・・・この最後の部屋でもう既に5回ミスをしており、あまりに攻略の糸口が見えずに6回目に挑もうとする前にどうしたものかと頭を悩ませていたのだった。
「これで全部のヒントは試したよね?」
「そうだな。この扉の前に落ちていた紙切れに書かれていたヒントは間違いなく試したな。だが、どれも正解じゃないというのはどういうことなんだ?」
確認するユウキに頷きならフォンはヒントの紙切れをもう一度見ていた。
『部屋の右手にある5つのボタンを小さい順に押す』
『入り口のすぐ傍の床を星・魚・火の順番に踏む』
『天井から吊るされた紐を10秒以上引っ張る』
『部屋の左奥にあるライトの色を信号機と同じにする』
『入り口のドアを10回叩く』
「どれかが正解だと思ったんだけどな。最後の部屋のせいか、リスタートもこの部屋の前からに設定されてたし」
今までとは違うリスタートの仕方に、何度も繰り返すことが前提だと思っていたフォンは眉を顰めていた。それぞれのヒントを試したにも関わらず、部屋の全方位の壁から謎の鳥らしき怪物が一気に押しつぶされてしまうのだ。
「本当に名前の通りの部屋だよね。『無理難題の部屋』って命名されているだけのことはあるよね。あー、もう!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
頭を抱えて叫び出すユウキ。一方でフォンはヒントが書かれた紙をもう一度見て、部屋の名前が書かれた看板を見ていた。
「まさかな…まさか、そういうことなのか?」
「フォン?」
「ユウキ。さっきまで5回のトライ。それぞれあの化物鳥が迫ってくるまでの時間って均一だったよな?」
「えっ…そう、だったかな?」
何かを閃いたフォンの問いかけにユウキは自信がなく答えた。だが、フォンは自分の考えにどこか確信を覚えていた。
「ユウキ、ちょっと試してみたいことがあるんだけど」
「…?…?」
フォンの閃きを聞いたユウキは目を丸くした。そんな方法で上手くいくのかと思いつつ、ユウキは操作して部屋へと進んだ。
フォンが考えた策・・・それは何もしないことだった。
入った途端、ユウキは操作することを止めてジッとし続けていた。刻々と時間だけが過ぎていくが、二人は何もすることなくただ待ち続けた。
これで本当に大丈夫なのかと不安な視線をフォンへと向けるユウキ。そして、二人が部屋に入ってから30秒が経過した時だった。
ピンポン!ピンポン!
「「!!!」」
部屋に明るい音が聞こえたと思えば、薄暗かった部屋が一気に明るくなった。そして、奥へと繋がる扉が開くような音が聞こえ、二人は思わずハイタッチして喜ぶ。
「やったね、フォン!でも、どういうことだったの?」
「ああ。ヒントは部屋の名前だよ。『無理難題の部屋』ってことは、部屋のギミックに関して何をしても意味がないってことじゃないかって思ってさ。そもそもあのヒントの中に正解があるのかとも思ったしな」
「そっか。思い込みでどれかが正解と思ってたけど、そういうことだったんだね」
フォンの解説に納得したユウキはそのまま鍵が開いたであろう奥の部屋へと進む。扉を開いた先には、真っ白な光を放ち続ける勾玉が置かれていた。それを手に取ってみると、次のようなメッセージが表示された。
解放の勾玉:西の迷宮を突破した証。これを持って行くことで出口へと向かうことができる。
「西の迷宮…ということは、俺たちが入った扉が西の方角だったってことは」
「あの広い部屋に入って来た扉が出口だってこと?そうと分かったら、善は急げだね!」
「ああ!」
早速、もと来た道を戻ろうとする二人。だが、これで終わるわけがないのがホラーゲームのお約束であり、
ズズズズズゥゥゥゥゥゥ!
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
嫌な音が二人の耳に入ってしまった。振り返りたくなくても、強制的に後ろを向かされてしまう二人。覚悟を決め、ユウキはいつでも走り出せるように操作スティックを、フォンは何があっても対処できるように呼吸を落ち着けていた。そんな二人が見たものは、
『ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ』
「「っ!?!?」」
真っ赤に染まった巨大な能面の仮面軍団が呪詛を呟き、部屋を破壊しながら迫ってくる光景だった。悲鳴を上げる余裕もなく、ユウキは一目散に駆け出した。
全くスピードを落とすことなく逃げる二人。そんな二人を逃がすまいと、壁や床を構わず破壊しながら迫ってくる仮面たち。
フォンの適切なガイドにより、道に迷うことなく最初の部屋に辿り着いたユウキ。だが、仮面たちの進行は止まらない!
一息もつくこともできず、入って来た扉へと駆け込む二人。そんな二人を地獄へと引きずり込もうとする仮面軍団の背後から真っ黒な手を模した触手群までもが出現した。
「ユウキ!絶対に振り返るな!前だけ見ろ!?」
「分かってる!分かってるってば~!?」
背後に迫りくる脅威に振り返ってしまっては駄目だと、どこか直感で分かってしまった二人は全速力で廊下を走り抜ける。仮面と触手によりどんどんと洋館が破壊されていくが、そんなこと気にする余裕などなく二人は走り続けた。
そして、永遠に続くかと思われた逃避行にも終わりが見えた!
「っ!?フォン、あれ!!」
「飛び込め!!!」
先に見えた扉に勾玉を突き付け、飛び込む二人。扉が開かれると共に、勾玉から空間を覆い尽くす光が溢れ出す。その光が二人をもう少しで捕まえようとしていた呪物たちをあっという間に消し去っていく。そして、
「お疲れさん、お二人!一位通過はフォン坊&ユウキペアだ!」
聞こえてきたアルゴの声に二人はようやく安堵し、VRヘッドを外すことも忘れてその場でへ垂れ込んでしまうのだった。
「…アリス、今だ!」
「ええ!」
目から血の涙を流す肌が真っ青なゾンビが、大鋏を持った狂人に惨殺されている隙にその場から離脱したユージオ&アリスペア。
傘男のギミックを突破した二人を襲ったのは、背後から二人を大鋏で串刺しにしようとしてくる狂人と、二人を同じ存在に仕立て上げようとしてくるゾンビが前から襲ってくるという挟み撃ちギミックだった。
どちらに行っても殺されてしまうこのギミック・・・実はフォン&ユウキペアが遭遇したギミックと似た攻略法であり、3ミスをした上で用具箱に隠れることで、両者が相打ち(?)になっている隙に突破するのが正解だったのだ。
死ぬ様子が全くない青色ゾンビを鋏男が何度も何度も串刺しにしているのを横に、ユージオたちはその場を一気に突破したところであった。
ちなみにこの時、キリト&アスナペアは鍵を持たずに出口に向かったことで大絶叫しているところだったりする。
さておき・・・
挟み撃ちギミックを突破した二人。以前、札を貼られまくりの廊下を進んでいく。そして、見えてきたのは、
「…扉、だね?」
「ええ。これが最後の部屋なのでしょうか?」
「だといいんだけど。あっ、何か落ちてるよ?」
扉の前に落ちている紙と小さな石にユージオが気付き、アリスが操作して拾い上げると、システムメッセージが開いた。
『見張りの部屋:3分間生き残って下さい。近くにある石は一回だけ使える魔除けの石です。タイミング良くお使い下さい』
「見張りの部屋?この部屋の中に何か仕掛けがあるということなのでしょうか?」
「これは入ってみないと分からないね。生き残るっていうのがとっても物騒だけど」
一抹の不安を残しながらも、とりあえず試しに入ってみようということで部屋の中へと進む二人。部屋の中は先程の廊下とは異なり、しかし、またしても異様な光景が広がっていた。
部屋はワンルーム程の大きさだったが、光源は四方に設置された四角窓からの僅かな月明かりと雷の光のみというほとんど視界がない状態だった。捜索側のユージオでさえも視界を確保するのがやっとの状態であり、二人は周囲を警戒しながら部屋の中央へと向かう。すると、
パリン!
「っ!?何だ、今の…?」
「どうかしましたか、ユージオ?」
「今、何かが割れる音がしたんだ。聞こえなかったかい?」
「…いいえ。私には聞こえませんでしたよ」
どうやら先程の音はユージオにしか聞こえなかったようだ。音の正体を探るべく、ユージオは周りを見渡した。微かな光を頼りに目を凝らすと、光を反射している何かに気付いた。
(あれは…鏡?いや、硝子かな?)
床に散らばっている破片が硝子ではないかと思ったユージオがアリスに声を掛けようとしたが、それは叶わなかった。
『KyAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!』
「うわぁぁ!?」「ひゃぁぁ!?」
声を掛ける直前に二人の視界を血まみれの女が覆い尽くしており、噛みつかれてしまった二人はその場で息絶えてしまったのだった。
「な、何が起こったのでしょうか?」
「いきなりだったね。びっくりした…」
部屋の前でリスタートした二人だったが、突然のことにアリスは困惑しており、ユージオは先程の女の襲撃のことを思い出してまだ驚きが止まらずにいた。
「ユージオ。先程、何かを言い掛けていませんでしたか?」
「う、うん。さっき何かが割れる音が聞こえたって言ったよね?それが硝子じゃないかと思って言おうとしたんだけど…」
「さっきの女の襲撃を受けてしまったわけですね。もしかすれば、貴方が聞いた何かが割れる音というのは」
「さっきの女の人が硝子を割った音ってこと?」
「だとすれば、それがこの部屋の攻略のヒントなのかもしれませんね」
攻略の糸口を見出した二人は再び部屋の中へと入った。部屋の中は先程と変わりなく、視界の広いユージオが周りを確認するも、先程見えた硝子の破片も消えてしまっていた。
パリン!
「っ!?またあの音!」
すると、先程聞こえた何かが割れる音を耳にしたユージオ。今度の音源は違った方向だったが、そちらを向くとやはりそこには硝子の破片が落ちていた。
「アリス!11時の方向!」
「分かりました!」
ユージオの指示に素早くその方向に移動するアリス。近づくと、その音源の正体がはっきりとした。
「これは、窓ガラスが割れていますね」
「さっきの女の人はこうやって入って来たみたいだね」
「…おや?この窓、どうやら直せるみたいですよ?」
割れた窓の近くに寄ったアリスが表示されたコマンドに従って操作すると、窓を修復作業に入れた。5秒ほどして窓の修復が完了したが、次の瞬間・・・
『AAAHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH!!!』
「「っ!?」」
部屋の中に侵入できなかった悔しさを体現するかの如く、女が窓にへばりついてきたのだ。いきなりドアップで現れた女の姿に思わず動揺する二人。しかし、すぐさま女は姿を消してしまった。
「これは心臓に悪いね」
「そ、そうですね」
二人して心臓を抑えながら苦笑いするも、残念ながら休憩する暇はなかった。
パリン!
「っ!?また?!」
「えっ?!ユージオ、今度はどちらですか!?」
「え、えっと…8時の方向だ!」
慌てるユージオだったが、即座に意識を切り替えたアリスの言葉になんとか答える。その指示を聞いたアリスは即座にその方向へと向かう。すると、再び窓ガラスが割られていた。
そこからの二人は水を得た魚の勢いだった。窓を修復しては、割られた窓をユージオが察知し、アリスが向かって修理する・・・その繰り返しだった。そして、もう間もなく3分が経とうとしていた頃だった。
「このペースならなんとかなりそうですね」
「そうだね。でも、油断はまだできないね」
窓の修復を終えたアリスの言葉に、警戒を解かずに答えるユージオ。互いに最後まで緊張の糸を切らすことなく集中していた。しかし、次の瞬間、予想外のことが起こった。
パリン!パリン!
「なぁ…二枚同時!?」
「何ですって?!」
今までにないパターンにユージオが驚き、アリスにもそれが伝染した。音がしたのはそれぞれ、3時、9時と全く正反対の方向だった。
「どうします、ユージオ?割れた窓はどれとどれの窓ですか?!」
(どうする…?どっちの窓を直しても襲われる可能性が高い。どうすれば…!?)
一瞬判断に迷うユージオ。どちらに向かっても手遅れになる可能性が高いと頭を悩ますユージオだったが、あることが彼の頭を横切った。
「アリス!3時の窓を直してくれ!」
「は、はい!ですが、もう一つの窓は…!?」
「大丈夫だから!早く!」
ユージオの言葉を信じ、迷いを振り切ったアリスは3時の方向にある窓を直しに向かった。割られた窓を直すアリス。しかし、窓を直した時には、もう一つの割られた窓から女が部屋に侵入してしまっていた。
背後から二人を襲おうと猛スピードで迫る女。しかし、ユージオは視界を後ろに向けながらアリスに叫んだ。あれを使わせるために・・・!
「アリス!あの石を!!」
「っ?!」
ユージオの指示に咄嗟に持っていた魔除け石を振り返り際にかざすアリス。その石から放たれた眩い光が部屋全体を満たす。その光に女は悲鳴を上げることもできずに、部屋の外へと逃げ出した。
そして、制限時間がきたことでは部屋の窓から太陽の光が差し込みだしたのだ。その光が部屋全体を照らすと同時に窓の外からあの女の断末魔が聞こえてきたのだった。
「…勝った、でのしょうか?」
「勝ったというよりも生き残ったって感じかな」
未だに部屋の謎を攻略した実感がない二人だったが、奥の扉のロックが開かれた音が聞こえたことで、ようやく安堵して奥の部屋へと向かった。部屋の中には深紅の輝きを放ち続ける鍵が安置されていた。アリスがそれを手に取ると、次のようなメッセージが表示された。
解放の紅鍵:南の迷宮を突破した証。これを持って行くことで出口へと向かうことができる。
「南…ということは出口は来た道ということですね?」
「そういうことになるみたいだね」
鍵の説明を見た二人は早速出口へと向かおうと最後の部屋を出たが、またしても奇妙な景色が二人の前に広がっていた。
「ユージオ。来た時、この廊下には札が貼られていませんでしたか?」
「そ、そうだったよね。でも…」
アリスの指摘通り、来た時には廊下一面に貼られていた札が綺麗さっぱりと消え去っていたんのだ。異様な風景が消えたと思った二人だったが、安堵するのはいささか早かったようだ。
ズン!ズン!ズン!
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
異様な足音らしき地響きに思わず二人の顔が硬直する。その音源に振り返ってしまった二人が見たのは、
『おぎゃぁぁ!おぎゃぁぁぁぁ!!』
「「っ!?」」
二人を手で圧殺しようとする、馬鹿でかい赤ん坊が迫っていたのだった。その巨体に廊下や部屋は壊されていくが、赤ん坊は止まることなく二人へと迫る。
このままではマズいと思ったアリスはすぐさま廊下を走り出した。しかし、次の瞬間、来た道にはなかった筈の分かれ道が二人は思わず困惑してしまう。
「ど、どっちに行けば…!?こっち!!」
迷った挙句、青色の矢印に従って右へと進むアリス。だが、その先に進んだ二人を待っていたのは、
「あっ…!」「しまっ…!?」
ここに来るまでに撒いた筈の大鋏を持った狂人だった。すぐさま逃げようとする二人だったが、そんな暇を与えてくれるわけもなく二人は大鋏で串刺しにされてしまい・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
もう少しでクリアというところで殺されてしまい、悔しさのあまりに青筋を浮かべるアリス。そんなアリスに触れるべきではないと思い、沈黙を貫くユージオだった。
先程の失敗を考慮し、リスタート地点である最後の部屋から脱出を再び試みた二人。案の定、先程の巨大な赤ん坊が迫ってきた。逃げる二人は分かれ道を青い矢印とは逆の方向へと逃走していく。それを4回繰り返し、再び分かれ道に出くわした。その道には、今度は赤い矢印で右の方向を指していた。
「今度は左…ではなく!」
「右だね!」
その矢印が今までと異なる色だと気付いた二人は冷静に対処した。今までとは違うパターンだとこれまでの経験から悟った結果であり、それは正解だった。右に曲がった先には誰もおらず、ユージオが後ろを振り返ると、大鋏の狂人が悔しそうに佇んでいるのが見えたのだった。
そのまま赤ん坊からの襲撃を避け、二人は無事に最初の部屋から北の扉へと向かい、フォンたちと同じようにゴールしたのだった。
「それまで!ゲーム終了ダ!!」
ユージオ&アリスペアが2位でゴールし、順位が決まったことでアルゴがゲームセットを宣言したことで第1ゲームは終了したのだった。
「え~っと、結果発表といきたいんだが、アーちゃん、大丈夫か?」
「………(フルフル)」
出口のギミックに腰を抜かせてしまい、今だにキリトとユイに慰められているアスナはアルゴの問いに涙を堪えて、首を横に振っていた。そんなアスナを、クリアしてから他のペアの様子を見ていたユウキも、知らない内にプレッシャーをかけてしまっていたのだと気付き、無言で頭を撫でていたのだった。
自分は気にせず進行してくれというアスナの意思を汲んだ司会陣は話を進めることにし、順位を発表していくことにした。
「まず1位はフォン坊たちのペア、2位はユージオたちのペアという結果になったナ。まぁ、雛壇のメンバーの予想もその2ペアで別れてたんだけどナ」
「唯一キリトたちが1位になると予想していたのはユイちゃんだけだったからな」
「ママ。ママは頑張りました!ユイはママたちの頑張りをこの目で見ましたから!」
「ううう、ユイちゃ~ん!!」
「うん、アスナは頑張ったよ。もう大丈夫だから」
ユイとユウキにそんな言葉を掛けられ、再び泣き出したアスナに一同が苦笑する中、第1ゲームは終了したのだった。
「続いてのゲームはこれだ」
第2ゲームを決めるくじを引き、シグが告げたゲーム名は、
「「「「「「VRシミュレーション?」」」」」
掲げられたくじの札を見た全員の声が綺麗にハモッた。ハテナマークを頭上に浮かべる一同のために、司会陣が説明を始めた。
「このゲームもそれぞれ役割を分担しての協力プレイに挑戦してもらう。今回はシミュレーションということで『爆弾解体』に挑戦してもらう」
「制限時間は5分。役割は爆弾解体役と解体用マニュアルでの指示出し役ダ。但し、それぞれの画面は見ることができないから、解体役は爆弾の詳細をどれだけ正確に伝えられるか、そして、マニュアル担当は爆弾の種類を把握して解除方法を伝達できるかがポイントとなってくるゾ」
アルゴの説明を聞き、ルールを理解したフォンたち。早速、役割分担を相談し始め、その間に雛壇メンバーが1位のペアを予想していたが、今回は綺麗に分かれることとなった。
フォン&ユウキペア:シノン、エギル
キリト&アスナペア:シリカ、ユイ、クライン
ユージオ&アリスペア:リズ、リーファ
といった感じに分かれた。一位通過のフォンたちが勢いで勝ち進むという意見もあれば、名誉挽回とばかりにアスナが活躍するという期待もあれば、先程の冷静な対応からユージオたちを押すという形で意見が分かれたのだった。
そして、そうこうしている内に各ペアの役割も決まったのだった。
解体役:キリト、ユウキ、ユージオ
マニュアル役:アスナ、フォン、アリス
「よし!それじゃ、役割が決まったなら、早速第2ゲームをスタートするゾ?準備はいいカ?」
アルゴの合図にVRヘッドを装着した一同は手を挙げて準備ができたことを告げる。それを確認した司会陣がゲームをスタートさせた。
「「それじゃ、ゲームスタート!」」
結論から言おう。
このゲーム・・・キリト&アスナペアの圧勝に終わった。
「ちょ、ちょっと待って、フォン!?どの番号を押せばいいの!?」」
「落ち着け、ユウキ!3個前に押した数字だ!」
「アリス、どの色を止めればいいんだい?」
「ま、待って下さい!?え、えっと…これはどういう仕組みなのでしょうか?」
思っていた解体ゲームと違っていたユウキはギミックに混乱し、フォンの指示に上手く従えないでいる一方、あまり触れたことがない分野にユージオもアリスも大苦戦を強いられていた。
ところが、キリト&アスナペアは違っていた。自身の苦手ではない分野であり、先程の失態を取り戻そうとするアスナの頭は冴え渡っていた。
「キリト君。そのコードは黄色と、一番下の黒のコードを切って」
「了解!」
キリトから爆弾の特徴を聞き、完璧に把握したアスナの的確な指示により、順調に爆弾を解体していくキリト。ゲーマー歴が長いキリトもこういった類のゲームの経験値も多く、慣れていたのも大きかった。
「よし、ナンバーキーのギミックも解除したぞ。後はどうすればいい、アスナ」
「最後は『解除』と『押すな』のスイッチがあると思うんだけど、『押すな』のボタンを3秒以上押してから、ボタンを離さずに『解除』ボタンを押したら解体終了だよ」
「よし……やった、解除成功だ!」
僅か2分足らず・・・キリトたちが挑んでいた爆弾は平均で4分ほど時間が掛かるタイプのものだったのだが、それを大きく上回るタイムに司会陣や雛壇メンバーが凄く驚きながらもキリトたちが1位通過したことに拍手を送るのだった。
そして、解体開始から4分・・・2位で通過したのはフォン&ユウキペアだった。
「ほ、本当に離していいの?!爆発しない?!」
「待った、待った!離すのは黄色のボタンだけだからな!青いボタンは離すなよ!」
ナンバーキーのギミックでミスをしてしまったユウキが念入りに確認してくることに不安を覚えたフォンも念入りに解除の仕方を伝える。
1ミスはあったが、それ以外は順調にギミックを解いた二人は、黄色いボタンだけを離したことでカウントタイマーが止まったことに安堵し、2位で通過したのだった。
一方のユージオ&アリスペアはというと、
「あ、危なかったですね」
「…残り一秒もなかったね」
そういうユージオの目の前でコンマ5秒だけ残した解体に成功した爆弾があった。慣れない機械に苦戦し、2回ミスしたことでカウントタイマーのスピードが加速してしまった二人だったが、ギミックを理解してからは冷静に解体と指示出しに徹することができたため、残り時間僅かではあったが、なんとか爆発という最悪の結果だけは回避することができたのだった。
「というわけで、第2ゲームまで終了したわけだが、ここまでの接戦になるとは思っていなかったな」
「総合順位は、1位は5ポイント獲得のフォン坊のペア、それを4ポイントのキー坊たちと、3ポイントのユージオたちが追っかけている感じダナ」
最終ゲームに挑む前にこれまでの成績を振り返るシグとアルゴ。二人の解説に合わせて各ゲームの順位と獲得ポイントがチームごとに上空に表示される。ちなみに1位には3ポイント、2位には2ポイント、3位には1ポイントが入るシステムとなっている。
「これは最後のゲーム次第じゃ、どのチームが優勝してもおかしくないゾ」
「う~ん。これは逃げ切れるかどうかは最後のゲーム次第だな」
「だね!絶対に負けられないね!」
アルゴの言葉に、ここが正念場とばかりに気合いを入れ直すフォンとユウキ。それは他のペアも同じであった。そんな全員が注目する最後のゲームがシグの口から発表される。
「最後のゲームはこれだな。『SAO無双』だ」
「「「「「「……はい?」」」」」
シグの口から出たゲーム名に参加者たちだけでなく、雛壇メンバーからも驚きの声が漏れていた。どういうことかと全員の視線が司会陣に集中したので、説明を始めるシグとアルゴ。
「最終ゲームのこれは、作者が『ガンダムや仮面ライダー、ゼルダとかで無双ゲーがあるのなら、SAOの無双ゲーもあったら面白いのではないか、というかあったら絶対に買う』という考えの元、もしもあったらという体で決まったゲームとのことだ」
「そもそもこのゲームを書きたくて、他の2種類のゲームを出したのもあるみたいダゾ?というわけで、みんなにはそれぞれ元の恰好に戻ってもらうゾ?」
アルゴの言葉と共に、フォンたちの体が光に包まれ、フォンとユウキ、キリトとアスナはALOでの姿に、ユージオとアリスはUWでの普段の姿に戻った。
「みんなには制限時間3分の中で撃破数を競ってもらうゾ。一人ずつ挑戦してもらって、ペアでの合計数で順位を決める形ダナ」
「ちなみに、全員にそれぞれ一度だけ使える強力な固有技があるからタイミング良く使えば、一気に撃破数を稼げるぞ。それと時間が経てば経つほど敵の出現数も増加するから、その点にも気を付けてくれ」
ルール説明が終わり、挑戦する順番は順位が低い順とのことでアリス、アスナ、ユウキ、ユージオ、キリト、フォンの順番で挑戦することになった。
ちなみに順位の予想は、フォンたちが逃げ切り優勝するという予想でシノンとリズ、エギルが、キリトたちの活躍にシリカとユイが、神器を使えるユージオたちにリーファとクラインが勝つのではという予想が立てられていた。
そんな中、最初に挑むアリスが専用ステージに転送され、会場に残ったメンバーはモニターからその様子を見守っていた。すると、キリトがフォンに話し掛けていた。
「どう思う、フォン?」
「そうだな。アリスの戦い次第だが、多分大荒れになるだろうな」
「えっ、どうして?」
「見てれば分かるよ。ほら、始まるぞ?」
どういうことかと首を傾げるユウキだったが、フォンがモニターを指さし、アリスがゲームに挑もうとしていたのだった。
「ふぅ…参ります!」
一呼吸置いてから、金木犀の剣を抜いたアリスはスタートの合図と共に一気に切り込んだ。スタートと共に一気にポップしたモンスターたちを一振りで薙ぎ払っていく。
「流石だね、アリス」
「倒せば倒すほど、敵のポップ率も上がるんだね。対処しきれなくなると立ち回りが難しくなるかもしれないね」
一撃一撃で多数のモンスターを確実に屠っていくアリスの剣技に感嘆の声を漏らすユージオ。流石は整合騎士というべきか、無駄のない剣技で次々とモンスターを切り捨てていく。重く、重心を乗せた先頭スタイルは、多少の攻撃を鎧で防ぎつつの攻撃的な戦法だった。
そんなアリスの戦い方を見ながら、アスナはこのゲームの特徴を分析していたのだった。
そして、残り時間が1分を切った所で、一気にモンスターのポップ率が急増した。しかし、それを待っていたかのようにアリスも金木犀の剣を構え、その技を放った。
「花たちよ、舞いなさい!エンハンス・アーマメント!!」
金木犀の剣の〈武装完全支配術〉を解放し、アリスの周りを幾千もの花びらへと姿を変えた刀身が飛び交う。そして、アリスが剣を振るうことで周囲のモンスターたちを一気に薙ぎ払い始めた。
アンダーワールドで最初の破壊不能オブジェクトとして存在した『金木犀の樹』、一枚一枚が大地を穿つ程の威力を持つそれが振るわれれば、ザコモンスターなど一撃で吹き飛ばされてしまうのは当然の結果だった。
それが自由自在に操れるというのだ・・・アリスにとってこの無双ゲームは相性が良すぎるといっても過言ではなかった。そのまま終止無双状態だったアリスが叩きだした数字は・・・
「そこまで!アリスの撃墜数は…なんと1224体だ!」
「…まぁ、こんなものでしょうか」
シグが口にした結果に一同が驚く中、当の本人は冷静にそう判断していた。息一つ乱していないことからまだまだ余裕が感じられるのだから、改めて彼女の凄さが分かった瞬間でもあったのだった。
「これは…負けてられないね」
そんなアリスの撃墜数を聞き、闘志を燃やしていたのは次に挑むアスナであった。細剣を抜き、スタートの合図を持つ彼女は剣の握り具合を確かめるように握り直していた。
「アスナか。あまり集団戦に向かない細剣でどう戦うか…注目だな」
「フォン坊なら、幻想剣のスキルでどうにかしちまいそうだが、アーちゃんはどうするつもりなんだろうナ」
フォンとアルゴがそんなことを話していると、アスナのゲームが今まさに始まろうとしていたのだった。
「さぁ、行くわよ!」
その気合いと共に、アスナは先制攻撃とばかりに細剣最上位ソードスキル〈フラッシング・ペネトレイター〉を放ち、モンスターの大軍へと風穴を空けた。その勢いとバフの効果でスピードを増したアスナは次々と敵と突き倒していく。
「やっぱり早いね、アスナの剣!」
「ああ!流石『閃光』だな」
ユウキの感想に自分のことのように嬉しそうにそう語るキリト。
だが、アスナの戦法は剣技だけではなかった。水妖精が得意とする水属性魔法でのマルチロックや貫通レーザーで遠距離のモンスターまでも攻撃し、討ち漏らしを少なくすることでポップ率の回転率を上げるアスナ。
まさしく『副団長』のブレーンと『閃光』の剣技が重なった、超高速のスピードプレイに全員の目がアスナに奪われてしまっていた。そして、最後のモンスターラッシュにアスナの大技が炸裂する。
「ユウキ、力を貸して!マザーズ・ロザリオ!!」
ユウキから受け継いだOSS〈マザーズ・ロザリオ〉を放ったアスナの姿が消えた・・・いや、正確には目で追えるのがやっとの状態まで加速したアスナがフィールドを駆け巡りながら11連撃を放った。
その高速ラッシュにモンスターたちはなす術もなくポリゴンへと変えられていく。バフで更に強化されたアスナのスピードラッシュは最後まで続いた。その結果は、
「そこまで!アーちゃんの撃墜数は867ダナ!」
「やったね!」
流石にアリスとまではいかなかったが、それでも十分に凄い数であり、アスナも手ごたえを感じてガッツポーズをするのだった。
「よし!行ってくるね、フォン!」
「おう!」
女子メンバー最後の挑戦者であるユウキが手を振って転移されていくのを見届けながら、フォンはモニターへと視線を移していた。
「ユウキさんか。やっぱり凄いのかな?」
「…ただ、今回ばかりはちょっと不利かもな」
「えっ…どういう意味ですか?」
ユージオにそう尋ねられるも、フォンは少し険しい表情をしながらそう答えた。フォンの懸念が分からず、アリスを代表して一同が首を傾げる中、キリトだけはフォンの言いたいことが分かっていた。
「武器と戦闘スタイルだろ、フォン?」
「ああ…これがボスを倒すとかなら話は変わってくるだろうけどな」
キリトの問いかけに頷きながら、フォンはモニターに映るユウキを心配そうに見つめていたのだった。そんなこととは知らず、ユウキは愛剣を抜いて、準備万端といった感じだった。
「それじゃあ、スタートダ!」
アルゴの合図と共に一気に駆け出すユウキ。片手剣で次々と敵を切り捨て、時折〈ホリゾンタル・スクエア〉や〈サベージ・フルクラム〉といった連撃ソードスキルを混ぜ込むことで、モンスターたちをポリゴンに変えていくのだが、
「あれ?イマイチ撃破数が上がってないね?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ユウキの戦闘スタイルのせいだよ」
「「え?」」
アスナがユウキの撃破数が伸び悩んでいることにフォンは黙ってモニターを見つめていた。そんなフォンの代わりにキリトが解説をしたことに、疑問の声を上げるユージオとアリス。
「アリスは金木犀の剣によるパワースタイルと武装完全支配術による広範囲攻撃、アスナは細剣による貫通性と魔法での対多数攻撃ができるが、ユウキの戦闘スタイルは一対一を主体としてるのが大きいんだ。だから、主将エネミーやボスとの戦闘にはめっぽう強いが…」
「そっか。今回みたいな撃破数を競うゲームだと、十二分に実力を発揮できないのね。だからフォン君、さっきから黙ったままなんだ」
キリトの解説に納得したところで一同がモニターへと視線を戻したところ、エネミーラッシュを迎えたユウキがOSS〈マザーズ・ロザリオ〉を放とうとしていたところだった。
「いくよ!でりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
アスナの放った〈マザーズ・ロザリオ〉とは異なり、ユウキはその場で剣技を繰り出した。ソードスキルの余波が前方へと貫通していくが、この技も主に対個人用の技としての一面が強く、あまり撃破数を稼ぐことはできないでいた。
「そこまでだ。ユウキの撃破数は555だ」
「…ううう、そんな~」
シグが告げた結果に、現在最下位の数字に思わずガクッと落ち込んでしまうユウキ。会場へと戻って来た彼女は申し訳ない表情でフォンの元へと駆け寄った。
「ゴメン、フォン…」
「気にするなって。後は任せろ」
落ち込むユウキの頭を優しく撫でながら、そう返すフォン。その目には、今までにない程のやる気の炎が灯っていた。
「ニャハハ!これは驚きの展開になってきたナ!」
「現在の順位はアリスがダントツの一位、アスナがそれに追従し、ユウキが大きく引き離されてる状態だ。この状況を大きく打破できるのかどうか、男子陣の活躍に期待だな」
中間結果を告げる司会陣。続いて挑戦するのは、現在トップのユージオだった。
「これは更に差を開かされるかもな…ユージオには青薔薇の剣があるからな」
「あの剣の武装支配術も広範囲攻撃だからな」
親友の神器の性能をよく知っているキリトとフォンは苦笑いをしながら、その成り行きを見守っていた。
スタートの合図と共に、青薔薇の剣で次々と剣技を繰り出すユージオ。ユージオの戦闘スタイルもユウキと同じ一対一に特化したものであり、序盤は撃破数を稼げていなかったが、エネミーラッシュを迎えた瞬間、一気に戦闘スタイルが変わった。
「咲け、青薔薇!エンハンス・アーマメント!!」
式句を叫ぶと共に、青薔薇の剣を突き立てるユージオ。彼を中心に一気に氷がフィールドを覆い、ほとんどのモンスターたちを凍らせ、青薔薇が咲き乱れる。ポリゴンに代わり、リポップしては再び凍りつくモンスター、その繰り返しにより一気に撃墜数を稼いでいくユージオ。
武装完全支配術を解けた後も、最後までソードスキルを駆使してモンスターを倒し続けるユージオ。その結果は、
「そこまでだ!ユージオの撃破数は、1003体だ!」
「よし!」
アリスに続き、自身も好記録を叩き出したことにユージオもガッツポーズを決める。そんなユージオを見ながら、この後出番を控えている男性陣二人にはかなりのプレッシャーが掛かっていた。
(待てよ…アリスが1224体、ユージオが1003体で合計2227体。俺たちの撃破数が555だから…うわぁ、1700体は倒さないと駄目なのか。これは普通に挑んのだじゃ勝ち目はないな)
キリトが二刀流でモンスターたちを一掃していくのをぼんやりと眺めながら、フォンは冷静に現状を分析していた。ここまで来たならなんとか総合1位で逃げ切りたいところではあるが、現状はかなり厳しいものだった。
どう攻めるかと頭を悩ませながら、エネミーラッシュに突入したキリトが奥義である〈スターバースト・ストリーム〉を放つのをボーっと見ているフォン。
(必殺か…必殺?待てよ…やってみる価値はあるか)
「そこまでダ!キー坊の撃破数は913体ダナ!」
アルゴがキリトの撃破数を告げたところで一気に会場が盛り上がる中、フォンは一つの策を思い付いていた。これから使う武器の調子を確認する彼に会場へと戻って来たキリトが声を掛けていた。
「どうだ、フォン?流石のお前もこの差を覆すのは難しいじゃないか?」
「…かもな。けど、キリト。それ、フラグだぞ?」
「えっ?」
自信満々にそう尋ねるキリトだったが、フォンの意味深な言葉と笑みに冷や汗を覚える。フォンがああいう表情をする時は、大体が碌なことではないとキリトたちは知っていた。
一同が嫌な予感を覚えるも、そんなことを気にすることなくバトルフィールドへと転移されるフォン。
「さぁさぁ!最後の挑戦者はフォン坊ダ!奇天烈妙才、多芸万能、変幻自在!一体どんな妙手を見せてくれるのかが注目ダナ!!」
(…ア、アルゴさん。プレッシャー掛けてくるなぁ…)
他のメンバーの数倍盛られたアルゴの口上に思わず笑みが引きつるフォン。そんなフォンの装備について、シグが解説を入れる。
「今回、フォンには武器の制限を掛けさせてもらってる。使える武器は3種類まで、高速換装スキルは使用禁止、幻想剣ソードスキルは最上位以外は常時使用可能だ。このぐらいの制限を付けないと、幻想剣の関連スキルが反則級に強すぎるからな」
解説が終わり、一同はフォンが選んだ武器を見ていた。フォンが選んだのは、自身が得意とする両手剣、それと広範囲を攻撃できるショートランスと弓であった。ランスと弓を背中に装備し、フォンは両手剣を構えながら呼吸を整えていた。
「それじゃ、フォン坊の挑戦ダ!いくぞ…スタート!!」
「っ!!」
開始の合図と同時にフォンは両手剣を振るいながら、一気にモンスターの群れに飛び込んだ。その攻勢を見ていたアリスとユージオは思わず言葉を零していた。
「あれが、フォン自身の本当の戦い方なのですね」
「うん…あっちだと両手剣や片手剣でしか戦う所を見たことしかなかったから。でも、あれはまるで…」
変幻自在・・・ユージオの言葉の通り、フォンの戦い方は目まぐるしく変わり続けていた。両手剣で敵を薙ぎ払っていたと思えば、槍の幻想剣ソードスキルで一気にフィールドを制圧し、遠距離の敵も新たにポップした敵ごと弓矢で貫き・・・
「『夢幻の戦鬼』…」
「ううう…25層のことを思い出すね」
その姿にキリトが二つ名を呟く横で、アインクラッド25層のボス戦でフォンがやらかしたことを思い出し、アスナが震えていた。
当時はまだ幻想剣や高速換装スキルを習得していなかったにも関わらず、手動操作で高速換装を行っていたのだから、当時からフォンのマルチタスク能力が高いことははっきりしていたことだった。
それがフォンの強みであり、幻想剣はフォン専用スキルとも噂されるのもしょうがない話だったりする。そんなフォンの無双をユウキは固唾を飲んで見守っていた。
「ラスト1分!」
「…っ!(来た!)」
アルゴの残り時間を告げる声に、フォンは策を実行するためにモンスターたちをポリゴンに変えながら、フィールドの中央へと移動する。エネミーラッシュを迎え、一気に出現したモンスターたちがフォンに襲い掛かるが、それこそフォンの思惑通りだった。
「行くぞ!イーティング・ブリンガー!!!」
両手剣を腰にしまい体勢を低くしたかと思えば、一気に小さな斬撃の竜巻と化したフォン。幻想剣《槍》ソードスキル〈イーティング・ブリンガー〉で引き寄せられたモンスターたちは次々と斬撃の竜巻でポリゴンへと変えられていく。だが、フォンの猛攻は終わらない。
「まだ、まだ!!ヘクセレイ・アンフィニ!!!」
幻想剣《弓》ソードスキル〈ヘクセレイ・アンフィニ〉・・・空中から乱射される魔法の爆弾矢はリポップしたモンスターたちを次々と蹂躙していく。地上で矢を放つ時に比べ、空中から放たれるその矢が遮られることはなく、更には着弾時の爆発により打ち漏らす隙さえも与えなかった。
「これでラストだぁぁぁ!」
槍と弓・・・二つの幻想剣ソードスキルを放った反動で一気に空中へと浮かび上がっていたフォンはそれぞれの獲物を捨て、両手剣でその技を放った。
幻想剣《両手剣》最上位ソードスキル〈エンド・オブ・フォーチュン〉・・・だが、いつものソードスキルとは一味違っていた。空中に位置しているフォンはその高度と重力を活かし、更に剣技の威力を上げる。更に体を捻ることで回転を加えてのダメ押しを謀る。
「エンド・オブ・フォーチュン!!!!!」
技名と共に放たれたソードスキルはフィールド全体を揺らした。その威力のあまり、会場のモニターに通信障害が起きるほどに映像が乱れてしまっていた。そして、映像が回復した時には、
「はぁ…はぁ…!」
技の反動と着地を度外視していたために受けた高度からの落下ダメージでHPがレッドゾーンに突入していたフォンが息を切らしている姿があり、制限時間がゼロになっていた。ようやく我に返ったシグとアルゴが集計をかけ、その撃破数を発表した。
「フォンの挑戦終了だ!結果は…マジか」
「オネーサン、確かにフォン坊を煽ったりはしたが、ここまでの数字を叩き出すとは思ってもみなかったゾ」
まるで化け物を見るかのようにフォンへと視線を向ける二人。そして、その撃破数はというと、
「フォン坊の撃破数は…なんと個人トップの1340匹だ!」
「マジか!?」「ウソ!?」
アルゴの告げた数字にキリトとアスナから悲鳴が上がった。フォンの脅威の撃破数にも驚きだったが、何よりも驚いたのはその結果についてだった。
「えーっと、集計が終わったようだな。結果は次の通りだな」
フォンがまだ戻って来ていなかったが、先に話を進めておこうとなったのか、シグが現れた画面と共に最終ゲームの結果を発表していた。
3位 キリト&アスナペア 総合撃破数:1780体
2位 フォン&ユウキペア 総合撃破数:1895体
1位 ユージオ&アリスペア 総合撃破数:2227体
「あちゃー、流石にユージオたちには勝てなかったか…」
「フォン!お帰り!」
結果発表と同時に返ってきたフォンは画面を見ながら苦笑していた。そんなフォンにユウキは掛け寄った。
「あー、ゴメンな、ユウキ。逆転できなくて…」
「そんなことない!本当に凄かったよ!どちらかといえば、ボクのせいだし…」
「まぁ、相性が悪かったわけだし、しょうがないさ」
「そうかな?でも、かっこよかったよ、フォン!なんか、久々にフォンの規格外なところを見れた気がしたよ!」
「…それ、褒めてるのか?」
ユウキの言葉になんとも言えなくなってしまったフォンは引きつりながらもなんとか笑みを浮かべた。そんな二人っきりの空間はアルゴが声を掛ける5分後まで続くのだった。
「それじゃ、総合成績の発表ダナ!」
そう告げるアルゴの言葉に会場から拍手が巻き起こる。そして、参加者たちの頭上に画面が出現した。もちろん優勝したのは、
「優勝は最後の最後で逃げ切ったフォン&ユウキペア!まさしく最強夫婦ここにありっていうのを照明してみせたナ!」
「時々フォンが人間を辞めてしまっているように感じるのは俺だけなのだろうか?」
「なんで俺限定で言うんですか、シグさん!?というか、全員して頷くじゃねーよ!?」
「ゴメン、フォン。僕もちょっとだけ思ったりしちゃった…」
「ユウキまで?!」
シグとユウキ、そして会場の全員に疑惑の目を向けられたフォンが膝から崩れ落ちた。彼自身、至って普通にしようとしているのだが、逆に時々やらかしてしまう度合いのレベルが酷すぎてしまうのが原因なのだが、オリ主の宿命としてフォンには強く生きてもらうしかないのだろう。
晴れ晴れしく優勝したはずなのに、いじけてしまったフォンをユウキが慰める中、2位が発表されることとなった。
「2位はまさかのダークホース、ユージオ&アリスペアだな」
「まぁ、最下位でなかっただけ良しとしましょうか」
「それに色々なゲームに挑戦できたし、結構楽しかったよね」
シグが順位を告げる一方で、そんな感想を述べるアリスとユージオ。本当に楽しかった様子のユージオに対し、堅い態度を崩すことのないアリスだったが、少し頬が緩んでいる辺り、彼女も彼女なりに楽しんではいたようだ。
そして、最下位はというと・・・
「そして、ドベがキー坊とアーちゃんのペアだが…大丈夫か、二人とも?」
「…ぐぅぅぅ」「…ううう」
打倒フォン&ユウキに燃えていただけでなく、最後の最後でフォンに逆転されてしまったこともあり、精神的に大打撃を受けてしまっていたキリトとアスナ。アルゴの心配に唸ることでしか返すことができなかったくらいなのだから、よっぽどだったのだろう。
そんな二人に追撃をかけるかのように無情な事実がアルゴから告げられる。
「それじゃ、ドベになった二人には罰ゲームを受けてもらうゾ?」
「「ええぇ!?」」
まさかの聞いていなかった罰ゲームに悲鳴を上げるキリトとアスナ。そんな二人の反応などお構いなしに、シグが何かをストレージから取り出した。それは純黒の液体だった。
「二人にはこれを一気に飲んでもらうのが罰ゲームだ」
「なんだ、これ?」
「…酸っぱい匂いがするね。黒酢かな?」
シグからミニカップのそれを受け取った二人は漂ってくる匂いからそれが黒酢だと判断した。そんな二人を見て、軽めの罰ゲームだと思ったフォンは苦笑いしながら、二人に声を掛けた。
「黒の剣士には丁度いい飲み物じゃないのか?さぁ、二人とも。グッと飲んでくれ」
「頑張って、アスナ!」
「…飲むか、アスナ」
「…そうだね」
フォン、ユウキの応援を受け、覚悟を決めた二人はミニカップに入った黒酢へと視線を向けた。思っていた罰ゲームよりも軽めだったこともあり、二人は気楽にそれを飲んだ。そして、一同も問題はないだろうと油断してしまっていた。
だが、思い出してほしい。この番組は〈そーどあーと・おふらいん〉シリーズなのである。罰ゲームが生易しいものであるはずがなかった。
「(ゴクッ)……ううぅ!?がぁ、あああ、ゴフッ!?(バタン!)」
「(ゴクッ)……ううん!?ゴホォ、ゴホォ!ひぃぃ!?(バタン!)」
「「「「「「…………………えっ?」」」」」
黒酢を飲んだ二人がいきなり苦しみ出したかと思えば、その場で卒倒し倒れてしまったのだ。まさかの事態が起こり、目の前で起きていることが理解できずに会場の全員の思考が停止してしまった。
そんな中、真っ先に我に返ったのはフォンだった。いきなり倒れてしまった二人にすぐさま駆け寄った。
「お、おい!キリト、アスナ?!…駄目だ、完全に気を失ってる」
主人公やヒロインが決して見せてはいけない表情をしてしまっている二人の体を揺らすが、全く反応がないことに驚愕するフォン。そんなフォンの視線は、件の黒酢へと向けられた。
「い、一撃で仕留めるなんて…一体何が入ってたのかな?」
「アルゴさん、シグさん。これ何なんですか?」
ようやく正気に戻ったユウキの疑問に、答えを求めるように司会陣に尋ねるフォン。だが、司会陣の表情もかなり浮かないものに変わっていた。
「い、いや…オネーサンもただ預かってただけだから詳細までは…えっ、資料がある?」
「どれどれ…うわぁ」
スタッフからキリトたちが飲んだ液体についての資料を受け取った司会陣の表情が更に酷いものに変わった。何が書かれていたのかと思い、フォンは二人に続けて尋ねた。
「何が書いてあったんですか、それに」
「……聞きたいか、フォン坊」
「ま、まぁ…気になりますし」
「本当に聞きたいのか、フォン」
「は、はい…」
やけに念入りに確認してくるアルゴとシグに疑問符を浮かべながらも答えていくフォン。そんなフォンにアルゴはそれを差し出した。
「それじゃ、これを飲んで感想を教えてくれ」
「!?」
アルゴが差し出したもの・・・それはキリトたちが飲んだ礼の黒酢らしき怪しい飲み物だった。まさかの展開にフォンの目が開かれた。
「えっ?えっ?ええええぇぇぇぇぇ!?」
「ほら、よくあるだろう、こういうの…お約束って奴ダ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
このままでは自分が飲まされる!絶体絶命の状態にフォンは周りに助けを求めた。だが、全員が綺麗に視線を逸らした。あのエギルやシノン、果ては彼女のユウキせさえも、キリトたちの惨状を目のあたりにしては当然の結果とも言えた。
そして、孤立無援に陥ったフォンにそっと黒酢が渡されてしまった。
(えっ?マジで…マジで飲まないと駄目なのか、これ!?)
真実を知るためにはこれを飲むしかない…しかし、キリトたちの様子からもこれが明らかに非常識なものだということを理解していたフォンの手は震えてしまっていた。そんなフォンの頭の中では変な選択肢が出現していた。
・(男は度胸!)飲んでみる
・こうなったら、ユージオに押し付ける
・飲むフリをして捨てる
(…駄目だ…飲む一択して考えられねぇ…仕方ない。飲むしかない、大丈夫、多分大丈夫!そう、俺は毒見の達人だ!!)
追い詰められすぎて、良く分からないテンションに陥ったフォン。少しだけ黒酢を口に含んだ彼だったが、次の瞬間だった。
(…うん?普通の酢みたいにすっぱ…待て!?いきなり辛くなったと思ったら、甘かったりしょっぱかったり苦くなったりして味が安定しない?!しかも、飲み物の筈なのに、なんで変な食感があるんだ!?まるでイカの刺身のような、グミのような…ああ、分かった…)
あまりの意味不明すぎる味の感覚にフォンは悟った。
「う、あう、ああぅ、あぉぉぉ!」
(これ、人が食べていいものじゃない)
そんな叫び声と共に、フォンまでもが倒れた。まさかのフォンまで敗れ去ったことに動揺する会場だったが、
「…あんじゃコリャーァァ!」
あまりの怒りと混乱状態のまま復活したフォンが司会席に詰め寄った。ほんの少しだけしか飲まなかったことが幸いして、すぐさま意識を取り戻したフォン。だが、先程の味を思い出したのか、何かが出そうになるのを堪えようと口を押さえていた。
「フォン、これ!」
「あ、ありがとう、ユウキ………ふぅ。で!なんなんですか、この液体Xは!?」
ユウキから受け取った水を一気に飲み干したフォンが再度アルゴたちに尋ねる。一方のアルゴは観念したように説明を始めた。
「作者が考案した罰ゲーム用の黒酢だそうダ。お酢をベースに、百種理の調味料・食材を煮込んだものだとここには書かれている」中身は…絶対に見ない方がいいと思うゾ?」
「………分かりました」
アルゴの言いにくそうな言葉に何かを察したフォンは、自身が何を飲んでしまったのかをそれ以上追求することを諦めた。知ってしまえば、取り返しのつかない後悔を抱えてしまいそうだと思ったのも理由だったりする。
「ちなみに名称は液体X(黒酢Ver)とのことだそうだ」
「こんなの『黒酢』じゃなくって、『カオ酢』じゃないですか」
「おう、上手いナ、そのネーミング!」
そこ感心するところじゃないです、と言いたいフォンだったが、まだ気分が悪いこともあって、ツッコミを入れることを諦めたのだった。
こうして、様々な波乱が起こったゲーム大会は無事(?)終了したのだった。
「ううぅ…まだ頭がクラクラする」
「私なんか、まだ喉に何かがこびりつている気がするよ」
「大丈夫か、キリト?ほら、水だ」
「大丈夫、アスナ?お水だよ」
ようやく意識を取り戻したキリトとアスナだったが、今だに違和感を覚えるらしく、二人とも喉と胃を抑えながら真っ青な顔をしていた。そんな二人を気遣うフォンとユウキ。
司会進行を二人に任せ、キリトとアスナは少し休むことにしたのだった。
そして、長らく続いたこの100話記念エピソードも終わりを迎えようとしていた。
「さて、それではそろそろ終わりの時間となりました。というか、結局何一つ平和に終わることなかったのに、よく進行できたよな、この番組」
「うん。いつも見てて思うけど、ある意味凄いことだよね」
フォンとユウキからそんな感想が漏れるが、全員が思わず頷く程に全員の意識がシンクロしていた程だった。そんな話は置いておき、出演者たちに感想を聞いていこうと、まずはユージオとアリスに話を振ったフォン。
「ゲストの二人はどうだった?まぁ、初めての参加で色々戸惑う事も多かったと思うが…」
「ア、 アハハ。でも、楽しかったのも本当だよ?キリトやフォンたちがいつもやっていたことを一緒にやれたのもいい経験だったからね」
「そうですね。まぁ、私としては本編よりも先に登場したのがこちらというのが些か不本意ではありましたが…」
「あぁ…遂にアリスまでメタ発言を」
アリスまでこの番組に毒されてしまったと頭を抱えるフォン。そんなフォンをよそにマイクを持って、雛壇のメンバーたちに感想を聞きに行くユウキ。
「それじゃ、雛壇の皆さんからも一言ずつお願いします!まずはリズから!」
「そうね。とりあえず、出番増やしなさい、作者!」
「リ、リズさん!?それ、感想じゃなくって要望です!?」
リズの暴走にシリカが慌ててツッコミを入れるが、それらをスルーしたユウキがマイクを次に向けたのはリーファとシノンだった。
「途中、変な電波が入ったみたいですみませんでした」
「リーファ…貴女、最後の感想がそれでいいの?私もまぁまぁ楽しめたとは思うわよ」
謝罪するリーファにツッコミを入れながらも、器用に自身の感想をも述べるシノン。その言葉にうんうんと頷くユウキ。次は大人組のエギルとクラインの番だった。
「まぁ、フォンの胃に穴が開きそうで心配だが、これからも頑張ってほしいところだな」
「頑張れよ、フォン!まぁ、持っている男の辛いところだな…いたっ!?」
投げられた抗議の靴がクラインに直撃し、思わず苦笑してしまいユウキ。そして、最後はシグとアルゴに感想を求めたのだった。
「色々と暴露話や発表とかあったが、一言でいうと疲れたな。俺もああなるのかと思うと、胃が痛くなってきたぞ」
「まぁまぁ。裏主人公の定めじゃないのカ、それは?」
フォンの方を指さしながら顔が引きつるシグだったが、その肩をまるで諦めろというかのように慰めの言葉を掛けるアルゴ。
そして、最後に司会陣4人で話を締めることとなった。
「さて、まだまだお話はアリシゼーションの途中で、メインは俺、フォン、ユージオの三人が主体だが、どんどんとオリジナル要素が加わっていく予定なのでこれからの話にも是非注目を頂けばと思います!」
「私やユウキも後半からは活躍しますので、こうご期待とのことですので更新をお楽しみにお待ちくださいね!」
「フォンたちを待ち受ける運命とは一体…?これからの展開にワクワクだね、フォン!」
「そうだな。ということで、これにて100話記念エピソードは終わりとなります。
まだまだ『ソードアート・オンライン~夢幻の戦鬼~』は続きます!それでは、最後はみんなで一緒に〆ようと思いますので、俺と一緒にご唱和下さい!」
『これからも応援よろしくお願い致します!!!』
その言葉と共に番組てテロップが表示され、番組は終了したのだった。
『この番組は、読者の読みたい作品が揃っている、熱き作家たちが集うWEB小説投稿サイト〈ハーメルン〉の提供でお送り致しました』
ネタ解説
●『ここまで来たら諦めよう、アリス。みんな待ってることだし』
『受け入れてる!?ユージオ?!ま、まだ心の準備が?!』
元ネタ:ガンダムビルドダイバーズ 第8話
フォースフェスという祭りイベントに参加した主人公たち。全員がコスプレしている中、一人だけコスプレを拒否しようとしたメンバーが放った台詞のオマージュ。元は
「わ、私にそれを被れと言うの!?」
「アヤメ君…郷に従えば郷に従えということわざもあることだし…」
「(コスプレしてる同じ年長者を見て)染まってる?!」
●「さぁ、始めようか…戦争という名のゲームを」
キリトが魔王コスプレ時に放った台詞。中の人つながりの台詞オマージュ。
「さぁ、ゲームを始めようか?」
●マゼンタカラー(ピンクじゃない、マゼンタだ!)
某世界の破壊者様のカラー。絶対に間違ってはいけない。
公式ネタ化としたかと思えば、中の人までマゼンタTシャツを作ってしまうほどだったりする。ピンクじゃない、マゼンタだ!(大事なことなので二度言いました)
●「ここが、SAOの世界か。大体分かった」「さぁ、実験を始めようか?」
フォンが放ったコスプレ時の台詞。それぞれ平成10番目と19番目の仮面ライダーのキメ台詞。
●「フフッ。知らないの?世間を騒がす快盗だよ」
ユウキがコスプレ時に放った台詞とそのコスプレ。元ネタは快盗戦隊ルパンレンジャーのキメ台詞。ちなみに作者は快盗側の方が好きです。
●「国際警察の権限において実力を行使する!」
フォンがコスプレ時に放った台詞とそのコスプレ。元ネタは警察戦隊パトレンジャーのキメ台詞。なんやかんや言っても、警察側も好きだったりします。ちなみにこの作品では、エギルの中の人がナレーションを、リーファの中の人は敵幹部を演じてます。
●「謎は解けるから謎なのさ」
元ネタ:レイトン教授シリーズ
ユージオが考古学者のコスプレ時に放った台詞。本家は考古学者という割には紳士服にシルクハットと、完全に英国紳士の恰好だったりする。
ちなみにCVが意外な人で、作者の中でかなり好きなキャラクターだったりします。
●「大丈夫、痛みは一瞬だ」
平成10番目のサブライダー。某世界の破壊者様を追い掛け回す怪盗さん。
先輩ライダーたちを変身・変形させるまさかの行為を行う時に放つキメ言葉。
ちなみに、某世界の破壊者様は「ちょっとくすぐったいぞ?」と発言は柔らかいが、やることは全く変わらないのでどっちもどっち(というか、場合によっては後者の方が酷かったりする)
●白いワンピースを着た女性
元ネタ:ホラーゲーム『GO HOME』
フォンたち6人を強襲した女性。作者は某人気声優(SAOだと『アサダザァン』で有名です)のプレイ動画で知りました。完全版が最近出たみたいです。
●全身ブルベーリーの怪人たち
元ネタ:青鬼
フォン・ユウキペアを襲った化け物。大体の人はご存知でしょうから説明は割愛で。
●傘男
元ネタ:ホラーゲーム『返校』
作中で出てくる化け物を集約したもの。ホラーというより謎解き要素が強いゲーム。
●いきなり飛んできた巨大バサミ
元ネタ:ホラーゲーム『深夜廻』
フォン・ユウキペアにいきなり飛んできたハサミ。このハサミ様より最後の奴の方がクズ過ぎると思ったのは作者だけではない筈。
●真っ赤に染まった巨大な能面
元ネタ:ホラーゲーム『ウタホノタタリ』
作者トラウマゲーム2位です。当時のトラウマを思い出すので多くは語りませんが、目がつぶれたような男性の顔が大量に追ってくるシーンのせいで作者は2日程寝れなくなるぐらい怖かった記憶があります。
●鋏男、巨大な赤ん坊
元ネタ:ホラーゲーム『クロックタワー』
ユージオ・アリスペアが遭遇した狂人と歪な赤ん坊。
作者的には鋏男=神出鬼没なシザーマンの方が怖いですね。車のバットエンドでの登場の仕方は…おや、今鏡に鋏が見えたような…?
●死ぬ様子が全くない青色ゾンビ
元ネタ:ホラーゲーム『SIREN』
作中に出てくる屍人という化け物
作者のトラウマゲーム堂々の第一位です。プレイ動画を見て死ぬほど後悔した作品です(二度と見たくない程怖いという良い(?)意味でです)
●血まみれの女
元ネタ:ホラーゲーム『Home Security』
ユージオ・アリスペアが最後の部屋で対峙した女。
某人気声優がマウスを投げて液晶を割ってしまうぐらいに心臓に悪い怖さです。
●爆弾解体ゲーム
元ネタ:『Keep Talking and Nobody Explodes』
爆弾解体ゲームです。you tubeで見て頂ければ、大体一緒のものだとご理解頂けるかと思います。
●罰ゲームの『黒酢』
元ネタ:乾汁
『テニスの王子様』を語る上では外せない(?)飲み物。
本作では、正式名称はフォンが呟いた『カオ酢』に決定した。
乾汁の中でもあの天才:不二を昏倒させた「青酢」に近いもの。
●・(男は度胸!)飲んでみる
・こうなったら、ユージオに押し付ける
・飲むフリをして捨てる
元ネタ:ペルソナシリーズ
混乱したフォンの頭に浮かんだ選択肢。ペルソナシリーズでは当たり前の選択肢。
ちなみに今回は『ペルソナ4』の林間学校のものをアレンジしたもの。
●大丈夫、多分大丈夫!そう、俺は毒見の達人だ!!
元ネタ:武装錬金
主人公が時折放つキメ台詞(?)。確かにそう言い放った後の結果は凄いのだが、求めているものとは何かが決定的に違っていたりする。ちなみに元の台詞は
「大丈夫!俺は○○の達人だ!」
●「…あんじゃコリャーァァ!」
元ネタ:ペルソナ4
林間学校にて、女子メンバー(料理経験ゼロ、感覚的に間違った材料を選ぶ神センス)が作り上げてしまった物体X(別名:ムドオンカレー)を食べた主人公の相棒が放った台詞。ちなみにこの後、主人公も同じものを食べて昏倒している・・・どんなにステータスを上げても回避できないイベント。
余談だが、後日にリベンジでオムライスを作る女子メンバーだが、普通に不味かったり、様々な具材を混ぜたのに味がしない(男子メンバー曰く:不毛な味)、メンバーを一撃で昏倒させる程の激辛味など、散々な結果となり、主人公のオムライスが一番美味しかったという話もあったりする。これが続編の『P4G』だと、バレンタインデーのイベントで更なる悲劇が…
●「こんなの『黒酢』じゃなくって、『カオ酢』じゃないですか」
「おう、上手いナ、そのネーミング!」
元ネタ:ペルソナ4 ドラマCD1(アニメ準拠版)
夏休み、相棒の頼みでお店(ジュネスという名前のスーパー)の助っ人をすることになった主人公たち特捜班。タイムセールに殺到するお客さんを仕分けるために身構える男性メンバーだったが、セールと聞き鍛冶場の馬鹿力を発揮した主婦たちにどんどんと倒れていく仲間たち。
そんな混沌とした状況で、混乱した主人公と相棒のやり取りが元ネタ。ちなみに元の会話は、
相棒「こうなったら、俺とお前の二人っきりでこのタイムセールを乗り切るしかない!」
主人公「いや!ここは勇気ある撤退を!!」
「何!?」
「見ろ、この惨状を!?一言で言うのなら、『ジュネス』じゃなく『カオス』!」
「誰が旨いこと言えと!?」
●「俺と一緒にご唱和下さい!」
元ネタ:ウルトラマンZ
絶賛放送中のウルトラマンのキメ台詞。作者、ゼロが好きなのですが、PR動画からちょっと不安を感じていたのですが、始まってみたら最高に面白かったです(笑)初変身シーンは一見の価値ありかと。ちなみに元のキメ台詞は
「ご唱和下さい、我の名を!ウルトラマンゼェェェート!!」
いかがでしたでしょうか?
お楽しみ頂けましたでしょうか。
次回からは通常更新になりますので、アリシゼーションをお楽しみ頂けばと思います。
この更新と共に、タグの更新も行う予定です。
それでは次回…超問題回でお会いしましょう。
次回更新 12日0時予定
カーディナルは生存させるべきでしょうか?(どちらでも前半の結末は変わりません。後半以降の物語に大きく影響します)
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生存ルート
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死亡ルート