本日は、あと2話投稿します。
それでは、アインクラッド最終章スタートです。
「よっと!」
「はぁぁぁぁ!」
第74層
互いに獲物を振るい、それぞれのターゲットを仕留めた俺とキリトは武器をしまいながら、リザルト画面を確認していた。
「どうだ、キリト?」
「ドロップした。これであと二個……!」
「そうか。こっちはさっきので規定数に達したところだけど……」
「悪いな、フォン……付き合ってもらって」
「いや、かなり美味しい話だったからな。気にするな」
そう言って、俺たちは狩りを再開した。どうして、キリトとパーティを組んでいるのか……話は今朝に遡る。
『クエストに行かないか』
というメッセージがキリトから送られてきた。
特に予定もなかったため、こうして一緒にクエストを受けに来たのだが……
なにせドロップでの収集クエストなため、二人でやりながらもやっと数が集まってきたという感じであった。
「よっと、これで終わりだな!」
そんなことを思い返していると、どうやらキリトの方も連続でドロップしたらしく、規定数の数に達したらしい。
「ああ、お疲れさん」
「ああ、ありがとな、フォン。お礼に飯でもどうだ?」
「本当か?そうだな、たまには外食も悪くはないか」
「それじゃ、街に戻ろうぜ」
キリトの言葉に頷き、俺たちは街に向かい、雑談しながら歩き始めた。
「……そういえば、アスナとは最近どうなんだ?」
「なぁ!?……な、なんでアスナの名前が出てくるんだよ!?」
「いや、特に他意はなかったんだが……もしかして何かあったのか?」
「な、なんでもねえよ……!」
「(いや、事情を知らない人が見ても、何かありますよ、って言ってるようなもんじゃねーか)」
「うん?今、何か言ったか?」
「……なんでもねーよ」
キリトの追及を知らぬ顔で躱し、俺は首を振った。
「……プロポーズの言葉?」
「あ、ああ」
アスナとの話から、現実世界での恋愛に話は移り(俺が話を振ったわけじゃなく、キリトが神妙な表情で聞いてきたのだ)、キリトからそう聞かれたのだった。
「……誰かに告白するのか?」
「なぁ!?そ、そうじゃなくって!?」
「……(……こういうキリトを見るのは案外面白いな)」
慌てるキリトを横目に俺は口元を隠しながら、思わず笑ってしまっていた。
「とはいってもな……俺も告白なんてしたことないしな」
「そうなのか……なんか意外だな」
「どういう意味だよ……まぁ、告白されたことはあったけど……」
「えっ、まじで!?とういうことは、もしかして……」
俺の言葉に物凄い勢いで驚いたキリトの言葉に、俺はジト目になった。
「何考えてるか知らんが、彼女なんていないぞ。全部断ったからな。
だから、俺に期待するのはお門違いだぞ……?」
「……そ、そうなのか。そうか……」
今度はガッカリしたかと思ったら、少し安心しているキリトを見て、忙しい奴だなと思わず、笑みがこぼれてしまった。
「そもそも、人のを聞いたところでどうしようもないだろう?それくらい自分で考えろ」
「ぐぬぬぬ……分かったよ」
どうやらキリトもこれ以上は無駄だと察したらしく素直に引き下がった。
「……それにしても74層か。早いもんだよな」
「……そうだな」
「二年前の、第1層からは考えられなかったけどな」
「……あと四分の一か」
「ああ」
キリトの言葉に同意しながら、俺はこれまでのことを思い出していた。
(74層……もう時間がない、か)
もし原作通りなら、もう少しでこのゲーム……ソードアート・オンラインはクリアされる。
74層のボスでキリトは二刀流を開放し、ヒースクリフと一騎打ち……そこから物語は一気に進み始める……
「なぁ、キリト……二刀流なんだが」
「しっ!静かに!」
ユニークスキルの話をしようと思い、キリトに声をかけようとした時だった。
真剣な表情をしたキリトの言葉に俺も臨界体勢を取った。キリトの視線を見ると……
(ラグーラビット……おいおい、まさかのS級……というか、これはもしかして……?)
俺がそんなことを考えている内にキリトは投擲スキルでラグーラビットを仕留めていた。
「うぉぉぉ!フォン、これ!?」
「……おお、これって……」
キリトにドロップしたアイテムを見せられ、俺は二つの意味で驚いていた。
ひとつは噂のS級アイテムを初めて見たから。
もう一つは……『ラグーラビットの肉』……これが物語を大きく進めるキーアイテムとなることを知っていたからだった。
「おいおいおい……キリト、フォン。これって、噂のS級アイテムだろう?」
「まぁな。運よくエンカウントしてさ」
というわけで、迷宮区から戻り、俺たちは50層にあるエギルさんの店に来ていた。このアイテムをどうすべきなのか、相談に来ていた。
「まさか、これを売りにきたのか?それこそ調理した方がいいじゃないのか?」
「そうなんだけどさ……俺、そこまで料理上げてるわけじゃないし、お店に持って行ったら、足元見られそうだしさ……」
エギルさんの言葉にキリトは困った表情で答えた。
「……というか、フォン。お前さん、料理スキル上げてるだろう?お前さんが調理したらどうなんだ」
「と思って、俺も頼んでみたんだけどさ……」
「……いや、男に作る趣味はないもので」
「半分分けてやるって、言ってるのに……全然承諾してくれないんだよ」
エギルさんとキリトの言葉に俺は笑いながら、首を横に振った。
キリトには本当に申し訳ないが、この先の展開を知っている以上、流石にそのお願いは聞けないのだ。
(……ラグーラビットの肉には大変興味あるけどな!)
俺がそんなことを考えていると……お店のドアが開かれた。
「いらっしゃい……っと、これまた珍しいお客さんが来たもんだ」
「ようやく見つけたわ」
アスナとあのクラディールが後ろに立っていた。
「あら。フォン君、あなたも一緒だったのね」
「まぁ、色々あってね」
こちらに気付いたアスナの言葉に手を振りながら答える。すると、キリトがいきなりアスナに近づき、
「シェフ、捕獲!」
「……ほぇ?」
アスナの両肩を掴みながら、そんなことを言っていた。
当然、何も知らないアスナは変な声とともに、困惑の表情を浮かべていた。
「えっと、シェフって何のこと?」
「キリト……流石にそれだけじゃ、意味不明だぞ。説明しろよ」
「悪い、あまりにもタイミングが良かったからさ。ちょっとこれを見てもらいたいんだ」
混乱から少し回復したアスナの言葉に、俺も乗っかり、キリトに注意した。
落ち着いたキリトはアスナに謝りながら、ウィンドウを可視化し、アスナに見せた。
「ちょっと!これって……S級レア食材の『ラグー・ラビットの肉』じゃない!」
「ああ。経験値稼ぎにフォンとクエストに行っててさ。その帰りに運よくエンカウントしたんだ」
おお……小説とまったく変わらないリアクション……実際にはこんな反応だったのか……そんな余計なことを考えながら、俺はキリトとアスナの夫婦漫才を眺めていた。
「運が良いどころじゃないと思うけど……それよりもこれどうするの?ここにいるってことはもしかして……」
「そうも思ったんだけど……金には困ってないし。かといって、俺の料理スキルは高くないし……エギルの伝手で知り合いを紹介してもらおうかと思っただけど、当てが外れてな」
「ふーん……あれ?でも、フォン君、この前、料理スキルコンプリートしたって、言ってなかった?」
「……俺もそう思って、頼んだらさ……」
「俺、男に手料理を振る舞う趣味はないんだ」
「……って、まったく引き受けてくれないんだ。んで、考えていた所に……」
「私が来たって、ことね」
どうやらアスナにも事情が伝わったようだ。物凄いジト目でこちらを睨んでいることはスルーしよう……確かに料理できるけどさ……この先の展開を知っ(RY……
「ご名答。今、料理スキルはどの辺なんだ?」
「……ふふん、それなんだけどね……先週コンプリートしたわ!」
「な、なにぃ!?」「おおう!?」「……おお」
アスナは自身満々に言ってのけ、キリトとエギルは驚き、俺も感嘆の声を上げる。まぁ、確かに料理スキルって、地味に上げるの大変だからな……でも、その反応はどうかと思うぞ、キリト。
「そ、それなら話は早い。で、どうかな?料理してもらえるか?
報酬は、肉一口でどうだ……?」
と、調子に乗ったキリトのコートの襟を掴んだアスナは
「……は・ん・ぶ・ん!」
「……あ、ああ……」
うん、原作でも思ったが、食い意地張りすぎだろ、キリト。
そして、地味にアスナがちょっと怖かった……
「と、ともかく、契約成立だ。フォンもどうだ?」
「いや、俺はいいよ……お二人の邪魔をしちゃ悪そうだしな」
「なぁ!?」「にゃ!?」
キリトに誘われるも、空気を読んで返す言葉で茶化してやると、二人は顔を真っ赤にした。
「ななな、何言ってんだよ、フォン!お、俺はアスナに料理を作ってもらうだけでな!?」
「そそそ、そうよ!と、特に深い意味はないんだから!?」
「……分かった、分かった」
俺は肩をすくめながら、両手を上げながら、そう言った。
さすが夫婦(予定)、息がピッタリで……ともかく俺も帰るとするか。
「お、おい、キリト!俺にも分けてくれね~か!?」
「……800文字以内で感想文を書いてきてやるよ」
「Noooooo!」
キリトとエギルさんのやりとりをBGMに俺もエギルさんの店を後にした……
クラディールが物凄い視線でキリトをにらみつけていたのを確認しながら……
そのまま、キリトたちと別れ、俺は自身の拠点へと戻るのであった。
翌日
「よう、キリト。今日は迷宮区か?」
「うぉ、フォンか……まぁな。実は人と待ち合わせててさ」
74層迷宮区前の広場……偶然を装って、俺はキリトに声をかけた。
やっぱり来てたか……そんなことを思いながら、声をかけた。
「ふーん……アスナか?」
「なぁ!?な、なんで分かったんだよ……」
「勘だ(すいません、未来予知です)」
驚くキリトに平然と答えながら、ちょっとからかってやろうかとした時だった。
転移門から青いテレポート光が発生した。空中に人影が実体化し、
「きゃぁぁぁぁぁぁ!よ、避けてー!!」
「うわぁぁぁぁぁ!?」
その人物……アスナはキリトに飛んでいき、二人は地面に転がっていた。そして、そのまま……
「や、や────────!っ!?」
次の瞬間、今度はキリトが地面を転がって……いや、地面を走っていた。
そして、破壊不能オブジェクトの柱にぶつかり、止まった。
(キリト、南無三……)
俺が心の中で弔っていると、新たな人影が転移門から出現した……その人物はもちろん、
「ア、アスナ様、勝手なことをされては困ります……!」
はい、現れました、自称アスナの護衛、クラディール……小説読んでいても思ったが、こいつ、ストーカーだっていう自覚ないんだろうな……
「さぁ、アスナ様、ギルド本部まで戻りましょう!」
「嫌よ!今日は活動日じゃないわよ!……大体、貴方、なんで朝から家の前に張り込んでいるのよ!!」
「護衛のためです!」
「そ、それ……団長の指示じゃないでしょ!?」
「もちろん!私の任務はアスナ様の護衛です!それにはご自宅の監視も……!」
「含まれないわよ、バカ!!!」
……もう一度言おう……こいつ、ストーカーだっていう自覚ないんだろうな(大事なことなので、二回言いました)。余りにも必死な姿のクラディールと完全に引き気味のアスナのやり取りを俺はそんなことを思いながら、眺めていた。
「聞き分けのないことを仰らないでください……さぁ、本部に戻りますよ!」
そう言って、クラディールがアスナの腕を掴もうとした時だった。
「悪いな。お前さんのトコの副団長は、今日は俺の貸し切りなんだ」
「それに、嫌がる女性を連れていこうとするのは、いくら血盟騎士団とはいえ、許されないことではありませんか?」
「貴様ら……!」
キリトがクラディールの腕を掴み、それを制止し、俺はアスナを庇う様に前に立った。それに対し、クラディールは物凄い表情でこちらを睨みつけてきた。
「アスナの安全は、俺たちが責任を持つよ。別に今日、ボス戦をやろうって訳じゃない。悪いが、本部にはあんた一人で戻ってくれ」
「ふ、ふざけるなよ!!貴様らのような雑魚プレイヤーにアスナ様の護衛が務まるかぁ!」
「……あんたよりはマトモに務まるよ」
「こ、このガキィ!そこまで言ううのならば……!?」
そう言って、クラディールはウィンドウを呼び出すと、キリトの前にシステムメッセージが出現した。デュエルの申し込みだった。
「………………」
「大丈夫……団長には、私から報告するから」
キリトはアスナに視線を向けた。意図を読み取ったアスナの言葉にキリトはシステムウィンドウを操作した。
「……分かった、このデュエル、受けてやる」
そして、デュエルの開始は承認され、空中に60秒のカウントが表示された。
「キリト……負けるなよ」
「ああ、もちろんだ」
デュエルの舞台から去る前にキリトに小声で声援を送ると、自信にあふれた声で返事が返ってきた。
両者が武器を構えたまま、カウントがどんどん減少していった。キリトとクラディールがデュエルすることにどんどんと野次馬が集まり、広場には人の輪ができていた。
そして、
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
カウントがゼロになり、〈Duel!〉の文字が飛散したと共に、両者が一気に飛び出すように動いた。合図とともにキリトの方が早く動きだし、クラディールは一瞬遅れて動き始めた。
(ああ……勝負あったな……)
原作知識を持っていようがなかろうが、俺はキリトの勝ちを確信した。
バキィン!!!
金属が折れる音がし、剣だったものの破片が空を飛んだ。もちろんそれは折れたクラディールの大剣だった。クラディールの両手剣ソードスキル〈アバランシュ〉に対し、キリトの《武器破壊》を狙った片手剣ソードスキル〈ソニックリープ〉が見事に装飾部分がほとんどを占める大剣の柄に決まったのである。
「まだ武器を変えてやる気だって言うのなら、相手になるけど?」
「ア、アイ・リザイン……」
キリトの言葉にクラディールはそう呟いた。そして、一気に群衆が歓声を上げた時だった。
「このぉ……!?」
短剣を構えたクラディールがキリトに向かって、突進したのだ。
再び、剣を構えようとしたキリトだったが、
「……そこまでです、クラディール!」
「ア、アスナ様……!?」
細剣でクラディールの短剣を弾き飛ばし、アスナが立ちはだかった。
「クラディール、血盟騎士団副団長として命じます。本日をもって、護衛役を解任。別命があるまでギルド本部での待機を命じます」
「そ、そんな……この……!」
アスナの言葉に呪詛を吐きながら、奴は再びアクションを起こそうとするも、自制したのか転移門に向かい、グランザムへと転移した。野次馬は散っていき、俺たちだけが残された。
「ごめんなさい、嫌なことに巻き込んじゃって……」
「俺はそこまで被害を被ってないから大丈夫だよ」
「俺も大丈夫だ。それよりも、アスナは大丈夫なのか?」
「……ええ。今のギルドの空気は、ゲーム攻略だけを最優先に考えて、メンバーに規律を押し付けた私にも責任があるから……」
「だけど、そういうアスナの頑張りがあったから、ここまで攻略が進んだだろう?
確かにやり方は問題があったのかもしれないけど、結果として、やっとここまで来たんだぜ?そんな自分ばっかり責めるなよ」
「……ありがとう、キリト君」
真剣な表情で、じーと見つめ合う二人……おいおい……
「オホン!」
「うわぁ!?」「にゃ!?」
「あー、悪い……そういうのは二人っきりのときにやってくれるか?
…………俺がいない時とかな」
「わ、悪い……!」「ご、ごめんなさい……」
このバカップル共(予定)が……これで付き合ってないっていうだから、イライラする。しかも、動揺のしすぎでイチャついていることを否定しなかったぞ、こいつら……そんな二人の姿に俺は思わず、肩を落とすのだった。
「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
アスナの見事な細剣8連撃ソードスキル〈スター・スプラッシュ〉がリザードマンに決まり、敵をポリゴンに変えた……のはいいのだが、
(俺、見事にいらないなぁ……)
キリトとアスナの華麗なコンビネーションに俺はいらない感を感じていた。
いや、どうしてもこの後の展開を考えると、ついてこないといけないだけどさ。
「「………………………………」」
(完全にこっちを意識してるよな……しょうがない)
俺を気遣ってなのか、キリトとアスナがチラチラとこっちを見ており、会話が全く発生しないのだ。そこで俺がひと肌脱ぐことにした。
「そういえば、ラビーラグットの肉はどうだったんだ?」
「えっ?あ、ああ。美味かったよ、この世の食べ物とは思えないぐらいだったな……ああいうのを高級料理言うだろうな……」
「うん!本当よね……シチューで煮込んで、お肉がトロトロで……」
「でも、あんな料理が食べれたのは、アスナが料理してくれたおかげだよな……本当に助かったよ」
「……ううん。私も久しぶりに誰かと一緒にご飯食べられたし……それにキリト君が一緒だったから(ボソッ)」
(…………あれ、なんでだろう……イラっとする……)
おかしいな……?気を遣ったはずなのに、なんでこんなにこっちがイラっとしないといけないのだろうか、リア充め……!
もう気を遣っても、遣わなくても、疲れるだけだと気が付き、黙々と迷宮区を進むことに決めたのだった。そして、迷宮区の探索を進めていくと、
「……ボス部屋だな」
「……どうする?」
「……よし」
大きな門……まさしくボス部屋の扉にたどり着いた。
アスナの問いかけに、キリトが扉を開こうとして、慌ててアスナが止める。
「ちょ、ちょっと待って!本気!?」
「いや、ちょっと様子を見るだけだよ。ボスがどんなのか見ないと対策の立てようがないだろう?やばそうになったら、すぐに逃げるし……転移結晶の用意だけはしとくからさ」
「俺もキリトの意見に同意だな……まぁ、戦闘さえしなければ、大丈夫だろう」
「……それもそうね」
「よし、行くか」
そう言って、キリトはボス部屋の扉を開いた。中は暗い……そんなことを思っていると、ろうそくに炎が灯り始め、奥には、
『GAAAAAAAAAAAAAAA!!!』
74層ボス〈The Gleam Eyes〉がその場にいた。小説のように、大剣を持ち、蛇の尻尾を持った獣人型のボスが仁王立ちしていた。
(こうやって実物を見ると、やっぱり迫力あるな……)
と、俺がズレた感想を思っていると……
「うっ…………」「ひぃ…………」
「えっ?」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」
「えっ?ちょ、おい!?」
揃って、悲鳴を上げ、走って逃げるキリトたち。
いや、確かに原作通りだけど!そんなスピードで逃げるの!?
『GOooooo!』
「……アハハ……お邪魔しました!!!」
俺目掛けて、迫ってきたボスに一声をかけてから、脱兎のごとく逃げ出し、すぐさまキリトたちを追いかけた。うん、これは逃げるわ!
「「ハァ……ハァ……ハァ」」
「お、お前、ら……はぁ……にげ、るの……早すぎだろう……!」
やっとのことでキリトたちに追いつき、3人で安全圏で息を整えていた。
「い、いや……あの迫力はな……」
「ご、ゴメンね……おもわず」
「……さいですか」
そんな言い訳を聞き、ようやく息も整ったところで先ほどのボスの話を始めた。
「それにしても、あれは苦労しそうだね」
「そうだな。武装は大剣ひとつだけっぽいけど、特殊攻撃ありそうだな」
「前衛にタンクを10人は最低限欲しいな……それに状態異常とかも考慮するとヒーラーや耐性持ちも必要か。とにかく骨が折れそうだな」
「盾、ねぇ……」
俺の言葉にアスナはキリトを意味ありげな視線で見ていた。
「ねぇ、キリト君。なんで盾を装備しないの?」
「えっ?な、なんでって?」
いや、動揺しすぎだろう、キリト。その姿に俺は苦笑するしかなかった。
「だっておかしいじゃない。普通、片手剣のメリットって、盾を持てることじゃない。フォン君は武器を持ち変えるなんていう非常識的なことをするから、例外として。私の場合はスピードが落ちるからだけど……キリト君はなんでかなと思って」
……あれ、今、俺ディスられた……?アスナの言葉に少しダメージを受けながら、二人の話を聞き続けた。
「俺のバトルスタイルはダメージディーラーだ。威力を下げないのはそうだし、攻撃のスピードも下がるからな」
……まぁ、確かに嘘はついてないな。まぁ、キリトも本当は俺と同じ理由なんだが。そんなことを考えていると、アスナも一応納得したらしく、詮索を止めた。
そして、お昼に食べることになり、アスナは持ってきたサンドイッチを、俺も持ってきたおにぎりもどきをストレージから取り出した。それぞれ交換(キリトはもらうだけだが……)して、食べ始めたのだが、
「こ、これは……マヨネーズ!!」
「……驚いたな!アスナ、いつの間に調合したんだ?」
「フフフ!苦労したわ……本当に」
……これは本当に驚いた……いや、本当にマヨネーズだ……!
「そして……こっちはどうかしら?」
そう言って、黄緑色の液体を出してきた。俺とキリトはそれを指に取り、舐めると、
「「醤油!?」」
驚いた……料理スキルは確かにコンプしてたが、調味料は諦めていたのだ……
よし、絶対に後でレシピを聞こう!(謎の使命感)
今日来た目的を一瞬忘れてしまうくらい、俺はアスナの調味料に感心していたのだった。そうして、昼食を済ませた時だった。
「っ……誰か来るぞ!」
索敵スキルにプレイヤー反応を感じ、俺たちは警戒した。そして、現れたのは……
「ああ、疲れた……うん?おおう、キリト、それにフォンじゃねーか!しばらくぶりだなぁ!」
「久しぶりだな、クライン」「久しぶり、クライン」
旧知の仲で、ギルド『風林火山』を率いるクラインとそのメンバーだった。
「おめえらも元気そうで良かったぜ。そういえば、キリトの後ろにいる人……は……?」
「あー、ボス戦で顔合わせしてると思うけど、一応紹介しとくよ……
こいつはギルド〈風林火山〉のクライン。で、こっちは『血盟騎士団』のアスナだ」
紹介され、アスナは小さくお辞儀したのだが、クラインは小説通り、緊張で固まってしまっていた。
「おーい、ラグってんのか……?」
「……はっ!?……ど、ども、初めまして。ク、クラインっす!ど、独身24歳です!」
「……こらっ!」
緊張のあまり、おかしなことを言い始めたクラインにキリトがどついた。
そのまま、倒れたクラインを心配して、風林火山の人たちがキリトに仕返しを……ではなく、アスナを囲んでしまった。そして、復活したクラインがキリトが足を踏みつけ、逆襲する中、一人、蚊帳の外になった俺が苦笑していると……
「っ!?キリト君」「キリト、クライン!」
索敵スキルに反応があり、俺とアスナが警戒を促した。そこに現れたのは……
「あれは……軍か……?」
そこに現れたのは……強硬派で知られる『アインクラッド解放軍』だった。
フォンさん、原作の流れを大事にする人
というか、あの二人の仲に入れるのがある意味凄いかもしれません
本日は、10時、18時に更新します。