アニメでは思った以上にあっさり終わってしまってましたが、本作ではがっつり書かせて頂きました。
オリジナル武器も数々登場する最終決戦になります。
それではどうぞ!
追記 まさかのプログレッシブは劇場版だと…!?オーディナル・スケールがとても良かったので、ちょっと期待している作者です(笑)ちなみに鬼滅は初週の休みに行って、大号泣しました…(苦笑)
未だ立つことのできないフォンを背に、キリトはアドミニストレータに一人対峙していた。ユージオもアリスも倒れ、カーディナルも闘う力はもう残っておらず、今闘えるのはキリト一人だけだった。
「不愉快だわ…本当に不愉快…そこをどきなさい、坊や。今の私は、その後ろのガキを今すぐにでも殺したいのよ。今なら貴方の命は見逃してあげるから…そこをどきなさい!」
「っ……ヤダね。俺はもう逃げるわけにはいかないんだ。カーディナルが体を張って、フォンが死力の限りを尽くして、ユージオやアリスが傷ついてまでも闘って…みんなが繋いだこの未来を…今度は俺が繋ぐ番だ!」
憤怒のオーラを放つアドミニストレータに気圧されそうになるが、気を持ち直したキリトは闘気と共にそう返した。そのキリトの姿にアドミニストレータは不快感を露わにした。
「理解に苦しむわ…お前たちはどうしてそこまで無為に、そして醜く足掻くのかしら?貴方一人で何ができるというの?おチビちゃんは虫の息だし、アリスちゃんや栗毛の坊やは気を失い…そのガキはもう立つことすらできないというのに…
このまま闘ったところで結末は見えているでしょう?それとも、何か勝てる算段でもあるのかしら?」
「そんなもの何一つないさ。今だって、精一杯の気力を振り絞って、あんたの前に立っているぐらいだからな」
「正直な坊やね…なら、分かるでしょう?もう既に結末が見えている未来に逆らうことに、一体何の意味があるというのかしら…」
「意味ならあるさ…結果なんかじゃない。その未来に至る過程が大事なんだ。這いつくばって後悔したまま死ぬか、剣を握って最後まで闘い続けるか…俺たちは人間だ。必ず死ぬ時は死ぬ…けど、最期を迎えるそれまでに何ができるのか…それが大事なことなんだ」
その言葉と共に、意識を集中させたキリトの姿が心意により再び『黒の剣士』へと変わった。そのキリトの姿に眉を顰めながらアドミニストレータは口を開く。
「その黒づくめの姿…まるで暗黒騎士ね。まぁ、いいわ…そこまで言うのなら、もうそこを退けとは言わないわ。お前には苦痛を与えてあげるわ…とてもとても永くて、残酷で…あの時、私の言うことに従っておけば良かったと後悔し、早く殺してとひたすら懇願してと感じる程の運命をくれてあげるわ」
「それじゃ足りないな…俺の罪はもっと重く、根深いぜ?それすらも支配できるっていうんなら…やってみろよ!!」
話は終わりだと言わんばかりに、両者が静かに剣を構える…先に動いたのはアドミニストレータの方だった。上段に細剣を構え、その動きにキリトは彼女の技を見極めようとしていた。
(ハイ・ノルキア流の構え…上段から繰り出されるってことは、奴が放つのは〈天山烈破〉…向こうが一撃必殺の剣を放つのなら、それを避けてカウンターで…!)
「…フフッ」
「っ……はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
アドミニストレータが技を放つ前にキリトが僅かに早く動き出した。キリトの動きを見定め、アドミニストレータは秘奥義を放つが、持ち前の反射神経でその一撃を見切り、背後を取ったキリトはソードスキル〈バーチカル〉をアドミニストレータへと放とうとしたが…
「フフフッ!甘いのよ!」
「(っ!?〈天山烈破〉じゃない!?)ぐぅぅ…!?おおおぉぉぉ!!」
キリトの驚きを横に、アドミニストレータの放った秘奥義は一撃では終わらず、その連撃により、キリトのソードスキルを弾き、追撃の3連撃目を放ってきたのだ。まさかの事実に驚愕するキリトだが、3撃目をなんとか躱し、すかさず再度〈バーチカル〉を放ち、アドミニストレータの4連撃目を相殺させる。
互いにノックバックにより、距離を取ったが、キリトはアドミニストレータの放った技が信じられず、動揺していた。
(い、今のは…!?)
「あら…貴方の世界じゃこの技はこう呼ばれていたんじゃないのかしら…片手直剣4連撃ソードスキル〈バーチカル・スクエア〉、だったわよね?」
「っ…!(ソードスキル…確かにそう言った!?もしかして、ユージオの記憶から読み取ったのか……いや、俺もフォンもユージオにはソードスキルじゃなく、アインクラッド流の秘奥義として教えていた筈…なら、こいつはなんでソードスキルの知識を持っているんだ…!?)」
アドミニストレータが知る由もない筈のことを知っていることにキリトは驚くも、冷静に頭を働かせ、まさかの可能性を疑い、行動に出た。
(試してみるか…奴がユージオから記憶を読み取っているなら、こっちは4連撃を超える技を…!)
黒剣を上段に構え、キリトは片手剣最上位ソードスキル〈ノヴァ・アセンション〉を放つ準備に入った。その動きを見たアドミニストレータの笑みが一段と深くなった。
「っ…ぜぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「…!はぁぁぁぁ!」
キリトがソードスキルを放とうと踏み込んだ瞬間だった…その直前に圧倒的なスピードでアドミニストレータがキリトの懐へと飛び込んできたのだ。それだけではない…アドミニストレータの放つソードスキルはキリトの予測していたものとは全く異なる技だったのだ。
「がぁぁ……ぐぅぅ、ううううぅ!?」
「フフッ…細剣6連撃ソードスキル〈クルーシュ・フィクション〉…この私が片手剣だけの技しか使えないと思ったのかしら?」
「くぅ……やはりそうか…!」
胸元に6連撃の直撃を食らい、血を流すキリトは確信した。アドミニストレータが何故知る由のないソードスキルを知っているのかを…
「お前…全てのシステムコマンドが分かるステイシアの窓を開いた時、秘奥義の…ソードスキルに関する知識についても手に入れていたんだな…!」
「…ご名答。当たり前でしょう?私はアドミニストレータ…全てを支配する者よ。使えるものは使わないともったいないでしょう?」
「っ…!?」
カーディナルの話を思い出したキリトは、アドミニストレータが神聖術の全ての知識を手に入れた際に、アンダーワールドに存在するソードスキルの知識の全てをも手に入れていることに気が付いたのだ。
キリトの驚愕する様が面白いのか、笑いながらアドミニストレータがキリトの推理を肯定していた。
「それだけじゃないわ…私はこの世界のオブジェクトを自由自在に変換できる。例えば、こんな風に…」
「っ…しまっ…!?」
アドミニストレータの言動にキリトが黒剣を構えるが、一手遅かった。キリトが剣を構えた時には、
「……がはぁ!」
「…刀単発ソードスキル〈絶空〉」
細剣を刀へと変換させたアドミニストレータの高速居合がキリトの体を襲っていた。その威力にキリトの口から血が吐き出される。
「ぐぅぅ…ああぁ!?」
「言った筈よ?お前には、永く残酷な苦痛を与えてあげると…覚悟することね」
「くっ…!?」
膝を突いてしまったキリトに、アドミニストレータは容赦なく言葉を放った。対するキリトも負けるわけにはいかないと、剣を握る力を強め、立ち上がった。
「この世界を動かしているシステムに干渉している、知らないことがない私に勝負を挑むことがどれだけが無謀なことかをその身によく教えてあげるわ!」
そう言って、刀を槍に変えたアドミニストレータはキリトへとその凶撃を繰り出した。
〈フォン View〉
(ぐっ……キリト…!?)
ようやく映現世の剣の反動が軽くなり、俺はキリトとアドミニストレータの闘いへと視線を移すことができた…だが、その闘いは一方的な蹂躙と化そうとしていた。黒剣一本で闘うキリトに対し、あらゆる武器で全てのソードスキルを放つアドミニストレータの戦闘力は計り知れないものであり、キリトは防御するの精一杯となっていた。
(ううぅ…こんなところで、寝てる場合じゃねぇ…!キリトを…助けるんだ!俺は何のためにここに来た!?ここで動けないで、いつ動く…!?おおおおおおおぉぉぉぉぉ?!)
気合と共に俺は体を無理矢理起こす…体中が悲鳴を上げているようだが、今はそんなことなどどうでも良かった。先程、吹き飛ばされた際に手放してしまった映現世の剣を探し、視界を彷徨わせている時だった。服を誰かに掴まれ、そちらへと視線を向けると、
「はぁ…はぁ…!」
「カ、カーディナル…!?」
「…ぐぅ…少しじっとしておれ…!」
息を切らし、這いつくばって移動してきたカーディナルの姿がそこにはあった。そして、そう呟いたカーディナルが高速で何かを唱えたと思えば、俺の体が光に包まれ、少しだけ体が楽になった。
「…これは…?」
「お主の体の痛みを少しだけ緩和した…じゃが、これは一時的なものじゃ。すまぬ…今のわしにはこれが限度じゃ…ぐぅ…!」
「いや、十分だ…はぁ、はぁ…ありがとう、カーディナル。後は任せてくれ」
「すまぬ……不甲斐ない…本来ならわしがケリをつけねばならないことじゃったのに…頼む…後はお主とキリトに任せる…!」
「…任せてくれ。だから、あんたは少しだけ休んでてくれ……来い、映現世の剣!」
意識を失ったカーディナルをゆっくりと床に寝かせ、俺はユージオが使っていた『心意の腕』を真似して、心意で映現世の剣を呼び寄せて見た。剣を呼び寄せるイメージを強く持つことで意識してみると、遠くに飛んで行ってしまっていた剣がこちらへと飛んできた。それを確認した俺は一気に駆け出し、キリトとアドミニストレータの闘いの場へと乱入した。
「さぁさぁ!もっと悲鳴を聞かせて頂戴!」
「ぐぅ!?ぬぅぅぅ!?」
曲刀4連撃ソードスキル〈ミリー・スラッシュ〉を放つアドミニストレータの高笑いに反し、それをなんとか凌ぐキリトから苦痛の声が上がっていた。そして、完全に体制を崩したキリト目掛け、今度は両手剣へと武器を変えたアドミニストレータは両手剣単発ソードスキル〈テンペスト〉を放とうと…
「させるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「フォン!?」「っ!?」
身を投げ入れるように両手剣単発ソードスキル〈サイクロン〉で二人の間に割って入り、俺はアドミニストレータの一撃を相殺する。相殺した勢いで俺たちの間に斥力が生まれ、その余波を受けた俺はキリトを巻き込み、後ろへと吹き飛ばされた。
「ちぃ…また邪魔をして…!お前は私の邪魔を何度すれば気が済むのよ!?」
「ぐぅ……何度だってだ!この意志が、魂が折れるまで、何度だって俺は立ち上がる…俺たちは一人一人は確かに弱いし、ちっぽけだ!それでも、手を取り合って強くなるんだ!弱いから、誰かに後を託して、その意志を受け継いでいくんだ!お前みたいに、誰も信用せず、人形にしか頼れないような奴に…俺たちは負けない!」
「…フォン…」
「いつまでも寝てるつもりだ、キリト…!すぅ……勝つぞ!この闘いは、俺たちだけじゃない…ユージオやアリス、この世界に住む人々全てのための闘いだ!!」
「…ああ!」
俺の言葉に気力を取り戻したキリトも立ち上がり、その両目が金色へと変わる。俺も意識を集中させ、映現世の剣と意識をシンクロさせる。そして、剣を上下にスライドさせ、二振りの片手剣へと分離させた。
「…来い、友の血と絆を吸いし、緋色の薔薇剣!」
左目が銀に変わったことをその熱で感じ取った俺は右手に持っていた赤刃の片手剣…天日剣を武装変換術で更に変化させる。赤き刃を持つ剣は、血を吸いし氷の剣へとその姿を変えた。
「…これは…赤い青薔薇の剣…?」
「使え、キリト!お前の二刀流と俺の世界を映す剣…奴の知らない手なら、俺たちにも勝機はある!」
「っ…!?分かった!」
俺から赤色の青薔薇の剣…赤薔薇の剣を受け取ったキリト。俺も残ったもう一つの片手剣…月影剣を右手に握り直し、再び映現世の翼衣を纏ったところでアドミニストレータと対峙する。
「…さて…死ぬ覚悟はできたかしら?」
「まさか……勝つ覚悟ならできたけどな」
「フフッ…アハハハハハハ!私に勝つ…?本当に…笑えない冗談を言ってくれるじゃない?」
高笑いから一転して、俺の放った強気な言葉にアドミニストレータはとても冷たい声でそう発した。その言葉と共に殺気が奴から放たれるが、俺もキリトももう一歩も引くことはなかった。
「この場におよんで、まだ運命に贖うというのかしら?本当に理解に苦しむわ…なぜ、そこまでするの?行く先が救えないものだと分かっていながら、愚かなことができるのかしら?」
「…贖うことが、今の俺たちにできる唯一のことだからだ」
「お前の言う通り、俺たちにはこの世界のことをどうこう言う権利なんてないんだろうな…でも、少なくとも俺たちの友や友が守りたい者のために俺たちは足掻いているんだ!」
「っ…ふざけるなぁ!ここは私の世界だ!招かれざる…外から見ていただけの、侵入者にそのような振る舞いは断じて許さない!膝を突け!!首を差し出せ!!恭順せよ!!!」
俺たちの言葉を否定し、その怒りと支配を心意として具現化したアドミニストレータは、大剣を細剣へと変化させ、俺たちへと突き出した。その闘気と殺気が一段と強まる。
「違う…この世界は貴女のものでもなければ、貴女は支配者でもない…ただの簒奪者だ!世界を…その世界に生きる人々を愛しない者に…支配者の資格はない!!」
「うるさい!愛は支配することよ!私は全てを愛する!この世界を愛するからこそ、全てを支配するのよ!」
「それはあんたの本心なのか…!?カーディナルシステムと融合した結果でないと、魂の底から本当にそう言い切れるのか?!それこそ、あんたはシステムにただ従ってるだけで、世界を愛しているなんてことを言えないじゃないのか!?」
「ぬうぅ…うるさい…うるさいうるさいうるさい!?黙れぇぇぇぇぇ!!」
俺の言葉に、完全に激高したアドミニストレータは怒りの心意で細剣を刀身の長い片手剣へと変化させた。もう言葉を交わすことなど無意味だと悟った俺たちも武器を構える。
「私の支配は正しいことなのよ!それを否定するというお前たちこそが悪だ!それを排除するのが私の役目…アドミニストレータの存在意義よ!…だから…私の前から永遠に消え去りなさい!!」
その言葉と共に、両手剣単発ソードスキル〈テンペスト〉をなんと片手剣で繰り出してきたが…それは前へと飛び出たキリトの二刀流防御スキル〈クロス・ブロック〉で受け止められた。
「…!なぁ…!?」
「ぐぅぅ……おおおらぁぁ!?」
鈍い金属音が部屋に響き、咆哮と共にキリトはアドミニストレータの剣を押し返す。その反撃に硬直に襲われていた奴は体制を崩し、俺が追撃を掛けるために月影剣で斬り掛かる。
だが、アドミニストレータは最小限の動きで体勢を立て直し、迎撃に出た。俺と奴の剣が何度もぶつかり、金属音が部屋に連鎖して響く。その隙を突き、キリトも二本の剣でアドミニストレータに攻撃を仕掛ける。
その連撃をギリギリのところで捌いていくアドミニストレータ…SAOから背中を預け合ってきた俺たちは言葉を交わすことなく、互いに剣を打ち込んでいく。だが、流石の奴もやられっぱなしというわけでもなく、俺たちの攻撃の隙間を掻い潜り、剣を槍へと変化させ、ソードスキルを放ってきた。
「ちょこまかと…!うっとしいのよ!?」
「ぐぅ…!?」「っ…!?」
槍2連撃範囲ソードスキル〈ヘリオス・トワイス〉の強襲を受け、それぞれに放たれた一撃を凌ぐも、俺たちは後方へと大きく吹き飛ばされた。そして、その勢いで奴が槍でキリト目掛けて攻撃を放とうするが、
「そう何度もやらせるか…!?」
素早く体制を立て直し、俺は月影剣を武装変換術で変化させる。将銀槍『ライドスパーク』でアドミニストレータの攻撃を妨害し、鍔競り合いのままに言葉を交わす。
「私の支配は…愛は止まらないわ!世界の果てまで支配するまで、終わることはないのよ!」
「いいや!お前の欲望から始まった暴走は、ここで止める!!」
そのまま槍をぶつけ合い、俺が一旦後方に下がった瞬間、入れ替わりにキリトがアドミニストレータへと再び斬り掛かる。その隙に、俺は新たなる武器を呼び起こす。絆虹装『クロスザナウム』…胸部に装備された装甲と手甲から伸びたクリスタルのような素材で構成された爪を構え、俺はアドミニストレータへと狙いを定める。
「避けろ、キリト!エンハンス・アーマメント!!」
「っ!」「なぁ…ぐぅぅぅ!?」
Xの字を描くように振り下ろした両腕の爪から、俺は超振動波の刃を打ち出した。寸でのところでキリトが躱し、キリトの体によって斬撃の軌道が見えていなかったアドミニストレータはなんとか長槍で防御するが、後方へと大きく吹き飛ばされた。
その隙を逃すわけもなく、既に飛び出していた俺はキリトの背中を転がることで勢いを更につけ、武装完全支配術状態で超振動を起こしている戦爪でアドミニストレータへと斬りかかる。
「おおおおおおぉぉぉぉ!!」
「ぐぅぅぅ!?よくも…よくもやってくれたわね!?」
「っ…何!?うわぁぁ!?」
超振動の一撃で奴の槍をバラバラにするも、自身の髪を乱暴に抜き、砕け散った武器と合成することで、新たなる武器を生み出したアドミニストレータの行為に俺は絶句する。至近距離で放たれた両手斧3連撃ソードスキル〈ランパー・ジャック〉をなんとかクロスザナウムで防御するも、威力に耐え切れずに爪が半壊してしまった。
次なる武器…極金輪『朝陽』…赤・青・黄色の複数の刃が回転するクローへと武器を変化させ、アドミニストレータの持つ斧へと撃ち合うが…流石に斧相手には分が悪く、俺の武器はどんどんと押し込まれていく。
「フォン!」
「っ!スイッチ!」
背後から聞こえた友の声に、俺はギリギリのタイミングでアドミニストレータの斧を地面へと逸らした。そして、入れ替わりにキリトが二刀流7連撃ソードスキル〈ローカス・ヘクセドラ〉を放った。
流石のアドミニストレータも、あの鋼鉄の城にしか存在しなかった二刀流ソードスキルは知る由がなかったらしく、未知なるその連撃に慌てて防御に入っていた。一方のキリトは、あの頃の黒の剣士のように熟練した剣技を見せていた。
そして、その間に体勢を立て直した俺は奴の虚を突くために武器を換装する…全身が周りの光景を反射する鏡の特大ブーメラン…境鏡『星ノ真』…無詠唱で武装完全支配術を発動させ、駆けることで勢いをつけ、空中に飛び上がった俺は全身の力を込め、星ノ真を投擲する。
「これでも…食らえぇぇぇ!」
「っ…!その程度ォォ!」
キリトを吹き飛ばし、斧から刀へと武器を変化させたアドミニストレータ。奴が咆哮と共に星ノ真を両断しようと、刀を振り降ろすが…
「なぁ……分裂した!?」
「…やれ!」
刀により両断されたかと思われた星ノ真が分裂し、思わずアドミニストレータの体が硬直する。だが、星ノ真は自由自裁に空中を駆け巡り、俺の意志に従い、更なる追撃を奴へと掛ける。アドミニストレータも迎撃を図ろうと何度も刀を振り回すが、斬れば斬るほど、星ノ真は小さく分裂していく。
そして、完全に後手に回ったアドミニストレータに隙が生まれたのを俺たちは見逃さなかった。無数に飛び回る星ノ真の一つを手に取り、俺はキリトと共に技を放つ。
「エンド・リボルバー!」「ラウンド・アクセル!」
キリトの二刀流2連撃範囲ソードスキル〈エンド・リボルバー〉と合わせ、短剣2連撃範囲ソードスキル〈ラウンド・アクセル〉をアドミニストレータへと放った。俺たちの攻撃に遅れながら気付いた奴は咄嗟にその場から飛びのいた。
キリトの攻撃は外れたが、踏み込んだことで前へと出た俺の2連撃目は奴の体を捉え、その刃を食い込ませようと…
「…なぁ!?(障壁…!?破壊不能オブジェクト!?)」
「…クククっ…残念だった、わね!!」
「っ…!?ぐぅぅぅぅ!?」
…ことはなかった。俺の鏡の刃は紫色の障壁によって阻まれてしまっていた。それだけではない…奴を襲う無数に飛び交う星ノ真の鏡刃が全て障壁によって阻まれているのだ。まさかの出来事に驚くも、そんな暇など奴が与えてくれるわけもなく、俺は星ノ真ごと刀で吹き飛ばされた。
「フォン!?」
「…っ…大丈夫だ…やっかいだな、あの障壁。普通の武器じゃ、奴にダメージを与えられないってことか…!?」
「…ブンブン飛んで鬱陶しいのよ!いい加減に墜ちなさい!!」
「「っ!?」」
未だ飛び交う分裂した星ノ真を神聖術で放った大規模な炎で焼き尽くすアドミニストレータ。弱点を突かれ、分身できなくなった星ノ真全てが焼き尽くされ、限界を迎えた俺の手にあった星ノ真も、月影剣へと戻ってしまった。
「…いいわ。そんなに蹂躙されるのがお好きならしてあげるわ。天からの裁きを受けるがいいわ!」
その一言と共に再び宙へと浮かび上がった奴の周りに無数の光球が出現した。無詠唱で発動した神聖術が禍々しい光を放っていた。
「全てを滅しなさい!バースト・エレメント!!」
「「っ!?」」
俺とキリト目掛けて降り注ぐ神聖術による光の雨に…俺たちは何のコンタクトもなし、互いに動き出した。キリトは二つの剣にライトエフェクトを発動させ、俺は月影剣を弓…光翼絆弓『ニューコックス』へと変化させ、意識を集中させながら弓を構える。右目がユージオと闘った時と同じような熱を帯びたのを感じ、俺はその技を放った。
幻想剣《弓》拡散ソードスキル〈クラウン・ブランチング〉
弓から放たれた電子の矢が一気に枝分かれし、光の雨へとぶつかる度に大爆発を起こす。一方のキリトも二刀流16連撃ソードスキル〈ナイトメア・レイン〉により、スキルブラストの要領で次々と神聖術を斬り裂いていく。
全ての神聖術を相殺し、俺たちの周りが余波により煙に包まれる中、互いの動きを完全に理解し合っていた俺たちは一切の迷いなく動いていた。弓を大槌…夢ノ槌『ハルドローウィング』へと変え、俺は大きく振りかぶった。そして、煙が晴れようとする最中、こちらへと飛んできたキリトにタイミングを合わせて、
「いっ…けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「なぁ…くぅぅ!?」
大槌で打ち出されたキリトは、弾丸の如く宙へと浮くアドミニストレータへと飛んで行った。黒剣と赤薔薇の剣を突き出し、飛んできたキリトの強襲を咄嗟に躱すアドミニストレータ。その頬に赤薔薇の剣が掠り、一筋の血が流れる。流れる血を手で拭い、アドミニストレータの怒りが再燃する。
「私にキズを…!このガキ共がぁぁぁぁ…!?」
「余所見してる暇があるのかよ!」
「っ!?」
壁に剣を突き立て、(激突したことで多少のダメージを負ってしまった)隙が出来たキリト目掛けて攻撃を仕掛けようとする奴のガラ空きになった背後に俺は再度変換した弓…先程とは異なる弓、神貫雷弓『エシュオン』で電光の矢を天へと放つ。
俺の攻撃に気付いた奴は天へと放たれた矢へと視線が釣られる。天へと放たれた矢は暗雲を生み出し、神を貫く雷へと変わり、アドミニストレータへと降り注いだ。直撃は不味いと判断した奴はギリギリのところで躱すも、掠った髪は焦げるどころか、一瞬で消滅してしまった。まさかの一撃に驚愕するアドミニストレータだったが、壁に張り付くキリトの存在を一瞬忘れてしまった。
「もらったぁぁぁぁぁ!!」
「ぐぅぅぅぅ!?いい加減に沈みなさいぃ!?」
「がぁぁ!?」「キリト!?」
二刀流2連撃ソードスキル〈ダブル・サーキュラー〉…時間差で繰り出されるキリトの強襲を、斧から咄嗟に変化させた大盾へと変えて防ぐアドミニストレータ。二つの剣による連撃で大盾にヒビが入るも、タイミングをずらし、キリトの軌道を逸らしたアドミニストレータはその勢いでキリトに蹴りを入れ、地面へと叩き落とした。
咄嗟に俺はキリトの下へと潜り込み、キャッチしたことで大きなダメージはなかったが…完全に無防備になってしまった俺たちへとアドミニストレータの非情な一撃が繰り出された。
「神聖なる4つの元素よ…混じりあいて全てを無と虚へと還しなさい…!バーストアウト!!」
「ヤバい!?」「っ!?」
俺が使う明らかに直撃するのは危険だと分かる獄炎・灰氷・黒雷・崩嵐が混じり合った混合神聖術に、息を呑むキリトを放り投げ、俺は慌てて武装変換術を発動し、そのまま武装完全支配術を行使する。
「全てを呑み込み、打ち返す盾となれ!エンハンス・アーマメント!!」
奴の放った混合神聖術が直撃する寸前で発動した双絆盾『エクスプリズマー』の武装完全支配術が4つの属性を吸収し、盾に4色の光が宿る。そして、盾の中央部分にあるレバーを引き、俺は吸収した神聖術を倍返しにして奴に放出する。
「くぅ!?…私の術を跳ね返すなんて…癪なことをするじゃない!」
「くそっ!避けられた…!?」
一直線に収束された反撃の光線を避けられ、俺は思わず舌打ちしてしまう。再び地上に降り立ったアドミニストレータに対し、体勢を立て直したキリト、盾を月影剣へと戻して睨み合う。
(不味いな…どうしても決定打が打ち込めない……!?)
経験のないキリトの二刀流と、次々と姿を変える俺の武器を警戒してか、俺たちを睨んだまま動かないアドミニストレータに対し、俺たちも先程の猛攻で決定打を繰り出せていないことに焦りを覚えていた。
まだまだ余裕のある奴に対し、俺とキリトの体は徐々に限界が近づきつつあった。俺は先程の映現世の剣の反動がぶり返しており、キリトも二刀流で本気を出しているためにかなりの体力を消耗してしまっていた。
このまま闘い続ければ、どんなに有利な手段で闘ったとしてもジリ貧になるのは目に見えていた。何か…何かあと一押しがあれば…!そんな思いと共に俺とキリトはなんとかアドミニストレータの隙を突けないかと身構える。そんな時だった…俺はあることに気付いた。それはキリトも同じであり、覚悟を決めて、残る闘気を振り絞る。
「…キリト。後は頼むぞ…!」
「任せろ…!」
「っ…!」
俺たちの動きにアドミニストレータが警戒心を全開にする。俺はキリトの前へ出て、月影剣を蒼輝勇槍『天零』へ、意識を武器へと集中させ、映現世の翼衣を『蒼輝龍の翼衣』へと変化させる。蒼き鱗を模した衣に、龍の角を模したかのようなフードを被った俺は、翼衣の効果によって高速移動し、アドミニストレータの左横へと移動した。
「これなら……どうだ!!」
「何度も同じ手を…!そんな氷の槍で私を倒せると思っているのかしら!」
「っ、今だ!………ユージオォォォォォォォォ!!」
「…!?」
「咲き乱れろ、青薔薇!!!」
俺の叫ぶに応えるように、気絶していた筈のユージオが動き出した。まさかユージオがまだ動けるとは思っていなかったアドミニストレータは完全に不意を突かれた。
…そう…俺とキリトは気付いたのだ。ユージオが意識を取り戻し、いつでも動けるように様子を伺っていることに。アイコンタクトだけで互いの考えを理解し、俺はワザとアドミニストレータの意識をこちらに向けさせるために派手に動いたのだ。
そして、ユージオが渾身の限りを込めて放った術に対し、俺も蒼輝勇槍『天零』の真なる力を解き放つ。
「「リリース・リコレクション!!!」」
左右それぞれから異なる氷の波がアドミニストレータへと襲い掛かった。咄嗟に反応した奴は両腕を突き出し、大火力の神聖術を発動させ、防御を図っていた。青薔薇の全てを凍らせようとする永久凍土の氷と、蒼龍の全てを打ち砕こうとする破壊の氷がアドミニストレータを襲うが、流石の奴も最上級の炎である獄炎の神聖術を放ち続けており、氷と炎が拮抗し合っていた。
「「あああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「舐めるなァァァァァァァァァァァァァァ!!」
俺たちと奴の咆哮が重なり、一層に強まった互いの術の勢いが増す。急激な熱膨張による水蒸気爆発が起こった。視界が水蒸気で覆われる中、爆発の余波を耐えた俺は蒼輝龍の翼衣の力で、強引に前へと飛び出した。そして、俺は奴がいた場所へと氷槍を振り降ろした。
「…もらった!?」
「っ…させるわけがないでしょう!?」
眼前に出現した俺にアドミニストレータは動揺することなく、俺の槍を再び変化させた細剣で受け止めていた。俺の一撃を受け止め、歪な笑みを浮かべる奴は言葉を放った。
「残念だったわね…!今のは良い攻撃だったわよ」
「そうかい…けど、残念だったのはそっちの方だぜ…!ぐぅぅ!!」
「っ…何を「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」なぁ…ああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
そんな奴に対し、俺は奴の細剣を握りしめる。刃で手から血が滴り落ちるのも関わらず、俺の行動を不審に思った奴の言葉が続くことはなかった。気合と共に、負った凍傷などお構いなしにユージオが青薔薇の剣でアドミニストレータへと斬りかかったのだ。
完全に俺が本命だと思い込んでいた奴は完全に反応が遅れ、青薔薇の剣は細剣を持つ奴の右腕を肩口から斬り落とした。その一撃に初めてアドミニストレータから悲鳴が上がった。そして、体勢を崩した奴に追撃を掛けるべく、俺は奴の体を、ユージオが首を斬り落とそうと動くが、
「よくも……このゴミ共がぁぁぁァァァァァァァァァァ!?」
「「っ!?!?」」
完全にキレたアドミニストレータの咆哮の迫力に、俺とユージオの動きが一瞬止まってしまった。その隙にアドミニストレータの全身から衝撃波が発され、俺とユージオは防御する暇もなく、信じられないスピードで壁へと叩きつけられた。
「がぁぁ…!?」「ごほぉ…!?」
壁に減り込むほどに叩きつけられ、ユージオは青薔薇の剣を手放し、俺も武器と翼衣が元の姿に戻ってしまう程のダメージを受け、地面へと倒れ込んだ。だが、大技を放ったアドミニストレータに確かな隙が生まれた。
「アドミニストレータァァァァァァ!!!」
「っ!?」
その隙を見逃さず、キリトが黒剣でソードスキルを発動させる。咆哮と共にジェット音のような轟音が響き渡り、キリトが弾丸の如く高速で飛び出した。その攻撃に気付いたアドミニストレータは細剣を足で踏み上げ、残った左腕で剣を掴んでソードスキルを発動させた。
「うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
キリトの〈ヴォーパルストライク〉とアドミニストレータの〈フラッシング・ペネトレイター〉…黒剣と細剣が交差し、ソードスキルのぶつけ合いによって火花が散ったと思った時には、それぞれの剣が互いの腕へと突き刺さっていた。
「がぁ…!?ああっ、あぁ!?」
「あっ…ううぅ!?」
ソードスキルによって威力を増していた互いの剣はその勢いのまま、互いの腕を斬り落とした。かなりの量の血が噴出し、地面を血へと染めていく。そのダメージの大きさに、流石のキリトも怯み、後退ってしまう。
「おのれ……オノレェェェェェェェェェェェェ!!!」
絶対なる存在である自分をここまで傷つけた敵に対し、アドミニストレータは悲鳴にも近い怒りの声で叫ぶ。そして、眼前のキリトを始末しようと残った最後の武器…なんと、己自身の髪を操り、攻撃を仕掛けてきた。
「くっ…!?このぉ…ぐぅぅぅぅ!?」
なんとか残った赤薔薇の剣で迎撃しようとするも、斬っても斬っても髪が伸び続けるのだ。そして、終わりの見えない、あまりにも莫大過ぎる攻撃の手に遂に体を捕らわれてしまう。
「このまま絞め殺してあげるわ!?今度こそ…死になさいぃぃ!?」
「ぐぅぅぅ!?がぁぁ…ま、だだ…!」
全身を髪により締め付けられ、キリトから苦痛の声が漏れる。その姿に邪の心を隠そうともしないアドミニストレータの嘲笑が重なるが…キリトは決して諦める気はなかった。
「まだ……まだだぁぁぁ!!」
その咆哮と共に最後の力を振り絞り、赤薔薇の剣を上空へと放り投げた。最期の悪足掻きだと鼻で笑ったアドミニストレータ…だからこそ、キリトの背後から飛び出す影に反応が遅れた。
「いけ……フォン!!」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
「っ!?」
俺の動きに気付いていたキリトの叫びを受け、俺はキリトの体を踏み台にし、高く空へと飛んだ。俺にアドミニストレータが気付いた時にはもう手遅れだった。空中に放り投げられた赤薔薇の剣を掴み、元の姿…天日剣へと姿を戻し、空中で一回転することで勢いをつけながら、ソードスキルの構えを取った。
「これで……最後だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
重力の力をも加えた〈ヴォーパルストライク〉による超加速した一撃をアドミニストレータへと放つ。その一撃を防ぐべく、奴はキリトを拘束していた髪を解き、自身の前へと壁のように束ねて盾とした。
天日剣が次々と髪の壁を突き破っていき、アドミニストレータの表情に焦るが生まれていた。だが、強固な盾にヴォーパルストライクの勢いが殺されていき、あと少しというところで完全に受け止められてしまった。
(…勝った…!)
「まだだぁぁぁ!!」
「っ!?」
勝利を確信したアドミニストレータの笑みが、俺の言動により凍り付く。俺の意志に応えるかのように天日剣から陽炎が漏れ出す。
「全てを育し、照らす赤光よ!その蓄積した炎を解き放てぇ!!エンハンス・アーマメント!!!」
剣を持つ右腕に左手を添え、俺は天日剣の武装完全支配術を発動させる。漏れ出していた陽炎が刀身と柄から一気に噴出し、辺り一帯の温度が急上昇した。
天日剣…このアンダーワールドで全てを照らし、ソルスの恵みを与えてきた太陽の欠片から作れた、本来はこの世界に存在する筈がないその剣はまさしく太陽そのものの性質を持っていた。
天日剣の武装完全支配術…それは蓄積してきたエネルギーを一気に爆発させ、攻撃力へと変換させる超強化術。ルーリッドの村からザッカリア、央都セントリア、修剣学院、そして、セントラル・カセドラル…これまで幾度となる闘いを映現世の剣として過ごしてきた、この剣のエネルギーは想像を絶するものと化していた。
「ううぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
完全に制止させられた〈ヴォーパルストライク〉が太陽の陽炎を刀身に宿し、その息を吹き返す。柄頭からも異常な量の炎が噴出され、陽炎を纏った天日剣が一瞬でアドミニストレータの髪を灰へと変えた。炎が触れた瞬間、炭化さえも通り越し、灰と化す炎剣…その剱がアドミニストレータがその事実を認識するよりも早く、奴の体を貫いた。
「がぁぁ……あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「ぐぅ…逃がすかァァァァァァァァァァ!!!」
奴の体を灰へと変えようと、天日剣の陽炎が奴の体を侵食していく。その蝕みから逃れようと、アドミニストレータが後退るが、俺は逃すまいと天日剣を奴の体へと更に深く突き刺す。
「ううううぉぉぉぉぉおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「あああ…!ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
互いの咆哮と悲鳴が重なり合う中、天日剣の陽炎が最高潮にまで高まり、奴の体を焼き尽くそうとした瞬間…
カァ!!
一瞬の閃光の後…俺とアドミニストレータの体を爆発が包んだ。閃光に視界が染まる中、俺は最後まで奴を貫く剣を手放すことはなかった。そして、遂に俺の視界も完全に閃光に包まれ……
オリジナル武器解説
天日剣 (てんじつけん)
映現世の剣を構成する二剣の一つ。別称:片陽の剣。内包する記憶は「太陽」。刀身の表面には黄金の古代文字が刻まれており、『生は太陽から生まれ、全ての命を支える炎なり』と書かれている。本来はUWが作られた際にデータのみ存在していた神器の一つで、能力の高さから存在が危険視されたことで削除された剣。設定では偶然UWに墜ちてきた太陽の欠片から作られた片手直剣とされている。
刀身は太陽を表すかのような黄色が混じったような赤色であり、振るうだけで陽炎により対象を焼き切る特性を持つ(生半可な武器・防具であれば、容易に切断する)。
この状態でも、武装変換術は行使可能であり、劇中ではキリトに二刀流を使わせるために他のSAO世界で顕在した赤薔薇の剣へと姿を変えた。また、夫婦剣である月影剣と同時に武装変換術を行使できるため、二種類の違った武器を同時に運用することができる。そのため、映現世の剣の中で汎用性・サポート能力(仲間に武器を貸す)に優れた形態でもある。
武装完全支配術は蓄積してきたエネルギーを陽炎として剣から放出して、威力を超絶強化する術。蓄積したエネルギーとは、時間経過や剣の使用、各術式・ソードスキルの行使などが該当し、映現世の剣として過ごしてきた期間も計算に入れるため、武装完全支配術を使うまでの時間で効果が大きく増減する。劇中では、アドミニストレータへの決定打として使われ、2年間という時間とセントラル・カセドラルでの激闘を経て蓄積されたエネルギーが一気に爆発した。記憶開放術はリソース元である太陽の欠片を召喚するものだが、劇中では未使用のため効果不明。
尚、この状態では映現世の剣の武装完全支配術・記憶開放術は使えない。
月影剣(げつえいけん)
映現世の剣を構成する二剣の一つ。別称:片陰の剣。内包する記憶は「月」。刀身の表面には銀白の古代文字が刻まれており、『月は全ての命の眠りを見守り、死と抱き合う慈愛なり』と書かれている。本来はUWが作られた際にデータのみ存在していた神器の一つで、その特殊性から存在が危険視されたことで削除された剣。設定では偶然UWに墜ちてきた月の欠片から作られた片手直剣とされている。
刀身は月の光を表すかのような真っ青なもので、その斬撃は全てのバフを無力する(攻撃するだけでバフ消しするようなもの)。
この状態でも、武装変換術は行使可能であり、劇中ではアドミニストレータの攻撃・武器に合わせて様々な武器へと姿を変えた。また、夫婦剣である天日剣と同時に武装変換術を行使できるため、二種類の違った武器を同時に運用することができる。そのため、映現世の剣の中で汎用性・サポート能力(仲間に武器を貸す)に優れた形態でもある。
武装完全支配術は元々備わっているバフ消しの効果を強化し、対象のレベル・ステータスを初期値に戻す『零の月雫』というレーザーを放つ技。効果が絶大な分、隙も大きく、直線状にしか放てない・心意では防御可能という弱点も存在するため、アドミストレータ戦では未使用。記憶開放術はリソース元である月の欠片を召喚するものだが、劇中未使用。
尚、この状態では映現世の剣の武装完全支配術・記憶開放術は使えない。
赤薔薇の剣
原作で登場した赤薔薇の剣とほぼ同一の剣。フォンたちがいるSAOで存在したらという設定で武装変換術で再反映された神器。劇中ではキリトが二刀流として使用した。当初はフォンが映現世の剣の真意を把握できていなかったため、近似する世界の武器は反映させることが難しく、アドミニストレータ戦でようやく呼び出すことができたが、それはフォンにある驚愕の事実を突きつけたことも同然であり…
将銀槍『ライドスパーク』(しょうぎんそう)
長槍のカテゴリーに属する武器。槍刃や本体の至る所がクリスタルで構成されており、武装完全支配術時には術に対応した色へと変化する。
ある未来から来た戦士が使っていた光の槍であり、シンプルな形状ながら、数多くの強敵と闘ってきたにも関わらず全く傷ついたことのない耐久度を持つ。しかし、その真価は様々な神秘な力を行使することにあり、使用者の意思や状況に応じた力を発揮する。
武装完全支配術が一つに限らず、炎石を召喚する、強力な雷撃を放つ、浄化の光を撃つ、周囲に癒しの光を振り撒くetc…槍というよりもソーサリーロッドとしての側面が強い。記憶開放術は銀河の光を放つ貫通性の高い大規模範囲攻撃。
モチーフ(読み込んだ世界の記憶)は『ウルトラマンギンガ』と彼が使う武器『ギンガスパークランス』。名前は主人公「礼堂(らいどう)ヒカル」と組み合わせたもの。ちなみに、ギンガ自身が未来から来たウルトラマンとの設定なので、「将銀槍」の「将」→将来・未来、「銀」→ギンガ(銀時ではありません!)という意味だったりもする。
絆虹装『クロスザナウム』(ばんこうそう)
戦爪のカテゴリーに属する武器。クリスタルのような素材で構成された長爪と胸元を覆う装甲が特徴。武器と防具が一体となっているため、戦闘用アーマーといった意味合いが強い。
人と怪獣…本来、多くが相容れない筈の両者だが、両者の絆を信じる一人の科学者によって作られたアーマーの一つ。その中でも、科学者が最も信頼していた怪獣の力を模したアーマーであり、防御力だけなく、超振動を生かした爪による攻撃は、衝撃波を飛ばす遠距離・相手の武器・防具を容易に破壊する近距離両面において大きく効果を発揮する。
武装完全支配術は、爪を高速振動させることでの攻撃能力の強化を図る常時発動型。この状態であれば、衝撃波を放つことも可能であり、劇中ではX型の衝撃波を飛ばし、追撃の一撃でアドミニストレータの槍を破壊した。
モチーフ(読み込んだ世界の記憶)は『ウルトラマンX』よりモンスアーマーの一つ『ゴモラアーマー』。名前の由来は「クロス」→エックス、「ザナウム」→必殺技『ザナディウム光線』から。ちなみに別称の「虹」は最終話や強化形態から取っている。
極金輪『朝陽』(きわみかなわ:あさひ)
短剣・投擲のカテゴリーに属する武器。赤・青・黄色の複数の刃が回転するクローであり、刃自体を射出することも可能なため、チャクラムとしての側面が強い。
ある光の兄弟戦士が使用していた武器。時には喧嘩し、仲違いし…それでも家族として戦い続けた絆の結晶でもあり、刃には兄弟と妹のパーソナルカラーが反映されている。絆を信じるかどうかで威力が増減し、その力は絶対に滅ぼすことができないとされていた者さえも打ち滅ぼした程の可能性を秘めている。
劇中では絆虹装『クロスザナウム』が破壊されたために繋ぎの武器として登場。アドミニストレータの斧と撃ち合い、すぐさまキリトと攻撃を交代した。
モチーフ(読み込んだ世界の記憶)は『ウルトラマンR/B』より合体戦士『ウルトラマンルーブ』が使用した専用武器『ルーブコウリン』。色合いはその上位互換である『ウルトラマングルーブ』のもの。名前の由来は主要人物の一人のものから。
境鏡『星ノ真』(きょうかがみ:ほしのまこと)
投擲のカテゴリーに属する武器。全体が鏡で構成された特大ブーメランであり、光や景色を反射するため、使う場所によっては奇襲用の暗器としても使用できるが、素材の点からある弱点が存在する(後述参照)。
鏡の国で闘う戦士が使用していた武器の一つ。鏡と現実…虚像と実物が交わり合う中で生まれた脅威を取り除くために使われる。境鏡と呼ばれる武器にはそれぞれ個性が備わっており、星ノ真は割れる鏡の如く、物力を受ければ無数に分裂するという特性を持っている。
武装完全支配術では、攻撃を受けるたびに分裂する特異性を発揮することができる。分裂する度にブーメラン自体は少しずつ小さくなるため、分裂後には短剣として手持ち武器としても使用できる。だが、炎や錆が弱点であり、それぞれの攻撃を受けると分身が維持できなくなってしまう。
モチーフ(読み込んだ世界の記憶)は鏡の世界…というオリジナル武器に該当する。
光翼絆弓『ニューコックス』(こうよくばんきゅう)
弓のカテゴリーに属する武器。ライフルを弓に転換したようなメカメカしい形状が特徴的。
データを装甲として纏う戦士の一人が使っていた兵器を模した武器。本来は広範囲に複数のビームを自由自在な軌道で放つ兵装だったが、弓で再現するのは難しく、連射性とエネルギーの収束率に性能を絞った経緯がある。本来の武器とは大きくかけ離れてしまったが、その威力は破格なものとなっている。
劇中では、幻想剣《弓》拡散ソードスキル〈クラウン・ブランチング〉を放つために使用(本来想定された用途に近いソードスキルを使用しようために呼び出された形)。
モチーフ(読み込んだ世界の記憶)は前日譚『バーサス』で少しだけ登場した『アイグレアスガンダム』の下位互換形態の一つ、V2ガンダムとνガンダムの要素を組み合わせた『V2クロスν』という機体。名前の由来は「νガンダム」と『V2クロスν』の専用武器である「ビーコックスマッシャープラス」から。
夢ノ槌『ハルドローウィング』(ゆめのつち)
ハンマーのカテゴリーに属する武器。桃色をカラーに打撃面にはトレードマークの星が描かれている。全力で振るえば炎の一撃を放てるが、どうして炎が出るのかは原理が分かっていなかったりする。
ある星の戦士が時たまに使用していた大槌。あらゆる敵を吹き飛ばし、障害物を粉砕することができる万能武器だが、その分入手できる機会も少ない。どちらかといえば、ある大乱闘で使用されることが多いかもしれないと噂されていたりもする。
劇中では空中にいるアドミニストレータに一矢報いるために、キリトを打ち出すために使用された。
モチーフ(読み込んだ世界の記憶)は『星のカービィ』よりコピー能力である『ハンマー』。名前の由来は 『戦艦ハルバート』に振るの英語『スウィング』を組み合わせたもの。「夢ノ槌」は『夢の泉』や『星の夢』から取っている。
神貫雷弓『エシュオン』(しんかんらいきゅう)
弓のカテゴリーに属する武器。白を基調に、蒼玉の装飾が複数装備された雷弓。別称:神を穿つ雷弓。
人を滅ぼそうとした神に立ち向かった異界の英雄の一人が使っていた雷弓を再反映したもの。大切な人のため、共に闘う仲間のため…その想いに応えた雷弓は神を穿つ一撃を放ち、戦局を大きく変えたとされており、使用者に雷煌穹の加護を与えるとされている。
武装完全支配術は敵の上空に矢を放ち、雷雲から神をも貫いた雷矢を降らせる超強力な一撃を放つ。攻撃するまでに多少のタイムラグがあるため、仲間との連携で放つことが多い。
モチーフ(読み込んだ世界の記憶)はスマホゲーム『ブレイブフロンティア』からパルミナの四戦士の一人『雷煌の蒼穹神ロクス』と彼の武器『神貫雷弓「エシュオン」』。
双絆盾『エクスプリズマー』(そうばんじゅん)
盾のカテゴリーに属する防具。表面がクリスタルで構成されており、内部が仕切りによって4分割されている。その硬度から打撃武器としてもある程度使用できる。
二人組の探偵が変身する戦士が使っていた武器の一つ。本来は剣と盾のセットだったが、能力が高すぎたため、盾の能力だけを特化させた形で反映された。あらゆる神聖術を組み合わせたり、逆に相手の放った神聖術を倍返しにして放つなど、対魔法特化型盾となっている。
武装完全支配術が2種類存在し、神聖術を無詠唱かつ高速で4つまで収束して放つ攻撃型・相手の神聖術を4つまで吸収して倍返しにして放つ防御型である。
モチーフ(読み込んだ世界の記憶)は『仮面ライダーW』から『仮面ライダーダブル サイクロンジョーカーエクストリーム』と専用武器『プリズムビッカー』。名前の由来は『エクストリーム』と『プリズムビッカー』の掛け合わせ。
蒼輝勇槍『天零』
第31話で登場した氷槍。今回は武器自体の性能を完全に引き出せており、青薔薇の剣との合同攻撃でアドミニストレータを追い詰めた。専用装備である『蒼輝龍の翼衣』は氷の威力を高めるだけでなく、移動速度の向上や飛行能力を使用者に与える。ちなみに翼衣シリーズは武器の性能を限界まで引き上げると同時に、フォン自身に元となった世界の記憶を身を以って体現させているため、フォンにかかる負担も大きい。
オリジナルスキル解説
幻想剣《弓》拡散ソードスキル〈クラウン・ブランチング〉
時間差で枝分かれに拡散し続けていく魔法の紫矢を放つ変則ソードスキル。攻撃範囲は優れているが、矢の速度自体がそこまで早くないため、牽制や迎撃、対モンスターで使用することが多い。ちなみにUWでの使用だったため、この時だけフォンの右目が金色に変わっている。
様々な要素が飛び出した最終決戦はいかがでしたでしょうか?
フォンが放った最後の一撃…その行方は次回をお待ち頂ければと思います。
そして、次回は遂に前半最終話…「 」にご期待頂ければ有り難いです。
カヴァオ君さん、L.L.さん
ご評価ありがとうございました!
感想・評価お待ちしております。
それでは。