ソードアート・オンライン~夢幻の戦鬼~   作:wing//

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もう一つの小説の投稿が超ギリギリだったので、こっちの挨拶を忘れてました…(-_-;)自分的には書いてたつもりだったんですがね…(苦笑)

そんなわけでお話はルーリッドへと移ります。アニメだとものの5分ほどの出来事でしたが、本作ではユージオが生存しておりますので、少し丁寧に展開していこうかなと思ってます(毎度の如くですが、一体いつになったらユウキを再登場させることができるのやら…) 

そして……遂に評価バーが真っ赤に染まりました!!
これも読者の皆様のお陰でございます!スローペースでの更新ではありますが、今後もご期待頂ければ嬉しいです!

それではどうぞ!


第Ⅳ話 「懐かしき故郷の地にて」

1刻後…話が終わったようで、再び空間が開き、飛竜の宿舎から戻ってきたアリスとカーディナルさん。二人に手伝ってもらい、荷物の一部を持った僕はキリトを背負って宿舎へと再び足を踏み入れた。

 

先程とは違い、新たなる相棒である飛竜…凍華は檻から出ており、もう一匹の飛竜と何かを話しているようだった。

 

「凍華の横にいる飛竜って…もしかして」

「ええ。私の飛竜です。名は雨緑…あの飛竜が貴方の竜なのですね」

「うん…凍華っていうんだ。やっぱり飛竜同士だから、仲がいいのかな?」

「飛竜だからと、全ての竜がそういうわけではありませんよ。飛竜は生まれた地によって風習や気性が大きく異なりますし、主によっても大きく影響されるようですから」

「へぇ~……あっ…」

「…?どうかしましたか?」

「右目…治してもらったんだと思って…」

「…ええ。そういえば、貴方もこの右目の封印を破ったんでしたね…一人であれを…」

「…アリス?」

「おい…いつまで長話をしておるつもりじゃ」

「「っ!?」」

 

いきなり言葉に詰まったアリスの様子にどうしたのかと問い掛けようとして、カーディナルさんに割り込まれてしまい、聞けずじまいになってしまった。我に返ったアリスはフォンを壁へともたれかかれるように降ろし、荷物を雨緑へと積み始めた。

 

僕もキリトを降ろし、カーディナルさんから荷物を受け取って、凍華へと積み始める。少しは嫌がられるかと思ったが、凍華は素直に受け入れてくれた。荷物を積みながら、僕はカーディナルさんへと声を掛ける。

 

「アリスの目を治してくださってありがとうございました」

「礼を言われるようなことではない…むしろ、すぐに治してやれずに済まなかったぐらいじゃ。お主から右目の封印に関して聞くまで、わしも知らなかったからのう。少し時間を掛けて調べてから治療をした方がいいと思ってな」

「…あの…さっき強引に会話に割り込んだのはどうして…もしかして…」

「言った筈じゃぞ…わしから話せることはないと」

 

カーディナルさんはやはり話してくれないようだ…尤も、その言葉でそれが先程の一件と関連していることは間違いないと教えてくれているだけ有難い話なのかもしれないが…荷物を全て積み終え、キリトを背負い直し、移動の途中でずり落ちたりしない様に命綱を互いの体で結んだ。

 

そして、アリスに飛竜の乗り方を教わり、恐る恐る凍華へと跨る。子供の頃は飛竜へと乗るなんて夢のまた夢かと思っていたけど、こんな形で実現するとは思ってなかった僕は少しだけ気持ちが高揚していた。

 

「…よし。今なら監視の目はない。飛び立つなら今じゃ!」

「はい…ご足労をお掛けしました、カーディナル様」

「ダークテリトリーの侵攻に何か動きがあれば、すぐに知らせるが、十二分に気を付けるのじゃぞ…それと、さっきの件じゃが…」

「分かってます……それでは行ってきます。行きますよ、ユージオ!」

「う、うん…!」

 

意味深な二人の会話に首を傾げていると、アリスが雨緑に繋がれた手綱を操り、カセドラルから飛び出した。それに伴い、凍華も駆け出したところで僕はあることに気が付いた。

 

(ま、待てよ…!?そういえば、飛竜の飛び方って……どうすればいいんだ!?)

 

トントンと話が進み過ぎて、忘れていた…僕が知っているのはせいぜい馬の操り方ぐらいであって、学院でもそんなことを習ったことなどある筈がなかった。そんなパニックになっている僕のことなどお構いなしに、凍華はカセドラルから飛び立ってしまった。よく最近に味わった浮遊感に襲われた僕は思わず目を瞑ってしまい…

 

「ユージオ、大丈夫ですよ」

「っ…!」

 

前方から彼女の声が聞こえ、僕は声に従って恐る恐る目を開ける。そこに広がっていたのは、

 

「…うわぁ…!」

 

雲が少し出ながらも、隙間から輝く星々が広がる夜空だった。地上から何度も見上げていた星々だったが、地上のそれよりも近い空は澄んでおり、僕は思わず声が漏れてしまった。

先程感じていた浮遊感は消え、今まで感じたことのない疾走感が風として体に吹きついていた。凍華は前を飛ぶ雨緑に従って真っ直ぐ飛んでおり、僕は落ちない様に手綱を握っているだけで済んでいた。

 

「ほら、大丈夫でしょう?飛竜は無理に操る必要はないんです。いざという時に指示を出してやればいいんですよ」

「そう、なんだ…でも、そういうことはできれば飛び立つ前に言っておいてほしかったな」

「す、すみません…カーディナル様が、言うよりもこの方が覚えもいいだろうと仰りまして…」

 

話しやすいようにこちらへと並走してくれたアリス。そんな彼女が申し訳なさそうに謝る姿に、僕は思わず笑みが引き攣る。カーディナルさんって、意外に強引なところがあるんだなと内心思いつつ、僕は話題を変えることにした。

 

「ところで、ルーリッド村にはどれくらいで着くのかな?」

「そうですね…飛竜であれば、北の地であるルーリッドに着くには半日程度でしょうか?昼前には着けるかと思いますよ」

「…いきなり飛竜でルーリッドに降り立つのはマズいよね。村の皆もパニックになるだろうし…」

「ええ。雨緑と凍華は近くで待機させて、徒歩で移動する方がいいでしょうね…着陸に最適な場所があればいいのですが…」

「それなら、拓けた場所に心当たりがあるよ。そこなら村からも少し離れた場所だから、村へ向かうのにも手間はかからないだろうし」

「ならば、そこで着陸して雨緑たちには近くで待機してもらいましょう。村が近づいてきたら、道案内を頼めますか?」

「分かった」

 

以前、ギガスシダーが顕在していた場所なら今も着陸できるのではないかと思った僕はアリスへと心当たりがあることを告げ、着陸の方針が定まった。すると、アリスの表情が曇った。

 

「どうかしたのかい?」

「…ルーリッドは貴方と…本当の私が育った場所だとキリトから聞きました。それに…私の家族と…妹が住んでいると」

「……うん。セルカも君が生きていると信じて、僕は君を探すためにルーリッドから央都へと来たんだ」

「…受け入れてくれるでしょうか?」

「えっ…?」

 

アリスの発した言葉に僕は思わずそう聞き返してしまった。

 

「私は…偽物です。本来の私の生まれ故郷であって、騎士である私の居場所ではない。そんな私が行っても…」

「受け入れてくれるよ」

「…!」

 

彼女の言葉を遮り、断言した僕の言葉にアリスは驚いていた。彼女が二の言葉を紡ぐ前に僕はその理由を話し始めた。

 

「だって、僕たちが生まれ育った村だよ。受け入れてくれるに決まってる…それに、セルカだって喜ぶに決まってるよ。例え、君が騎士アリスだったとしても、セルカにとって君はアリスなんだ。大丈夫だよ…きっとね」

「…そうだといいんですけどね…キリトが約束してくれたんです。本当の私に体を返す前に、セルカに会わせてくれると…」

「なら、僕が代わりにその約束を果たすよ…キリトの代わりに…ちょっと頼りないかもしれないけど」

「カセドラルに乗り込んできた貴方が頼りないなんて言ったら、ほとんどの人が頼りないですよ」

「っ…そ、そうかな」

 

少しだけ笑みを浮かべたアリスの冗談に、僕は思わず目を背ける…それは気恥ずかしさではなく、幼い頃の彼女の笑顔と被ってしまい、気まずくなってしまって逃げてしまったからなのだが…

 

そのまま他愛のない話をしながら、僕たちはルーリッドへと向かって飛び続けた。夜が明け、日が昇り始めたところで、ようやく目的地であるルーリッドが見えてきた。

僕が思っていたとおり、2年前と同じようにギガスシダーが立っていた場所はまだ拓けていた。草木は生えていたが、飛竜2匹が着陸するには十分だった。

着陸には不安があったが、そこも凍華が上手くやってくれた。多くの荷物は凍華たちに任せ、僕とアリスはそれぞれキリトとフォンを背負い、ルーリッドの村へと向かうことになった。2年前と同じ道を、アリスを先導する形で僕は進んでいく。

 

「…懐かしいな。今、思ったら、2年前まではこうしてルーリッドとこの場所を往復しているのが当たり前だったんだよな」

「そうなのですか?そういえば、さっきの場所もよく知っていましたね?」

「うん…あそこは僕が天職で大きな木を切っていた場所だったんだ。あそこでギガスシダー…村の皆は悪魔の樹って呼んでたんだけど…その樹を切っている時、僕はキリトたちと再会したんだ」

「…再会した?貴方たちは以前にもどこかで会っていたのですか?」

「ううん…君がまだルーリッドの村にいた時に、キリトとフォンも一緒にいたんだ。僕たち4人はいつも一緒だったんだ…一緒にいた筈なんだ…君が央都へ連れていかれて、いつの間にか二人もいなくなって、僕もこの前までそのことを忘れてしまっていたんだ…本当は忘れちゃいけない筈だったのに…」

「…ユージオ…?」

 

その事実を思い出してしまい、僕の気持ちに影が刺した。アドミニストレータに整合騎士にされた際に、僕は完全に記憶を取り戻した…カーディナルさんが言うには、封じられていた記憶が、シンセサイズの術を掛けられた際に解かれたのだろうということだった。

少し気持ちが憂鬱になりつつも、今はアリスを先導していることを思い出し、僕は歩むスピードを上げた。

 

そして、見えてきた村は2年前とほとんど変わってなかった。全く変わっていないことに苦笑しつつも、ちょっと安堵した自分がいたのも事実だった。一方のアリスは、自分が生まれ育った村ということで、興味深そうに村を見渡していた。ところが、橋を渡ったところで僕たちへと声を掛けてきた人物がいた。

 

「おい、待てよ!?よそ者が勝手に村に入っては……お、お前は!?」

「…ジンク…久しぶり。二年ぶりかな?」

 

詰所から駆け寄ってきたその人は、僕たちを不審人物だと警戒していつでも剣を抜けるように近づいてきたが、僕を見て驚いていた…僕も彼とはあまりいい関係ではなかったが、年が近かったこともあり、その顔を覚えていた。

ジンク…ルーリッドの村で衛士を天職としていた彼が、僕たちに声を掛けてきたのは当たり前だと思った。2年経って、顔を忘れられていたらと思っていたが、僕のことを覚えてくれていたようで助かった。

 

「ユージオ…本当にお前なのか?それに、お前が背負ってるそいつは、あの時の剣士って名乗った…それに、隣にいる人は…まさか…!?」

「そうだよ…彼女は8年前に整合騎士に連れて行かれたアリス・ツーベルクその人だよ…彼女を連れて帰ってきたんだ。だから、村長を…アリスのお父さんを連れて来てほしいんだ」

「…あ、ああ…!ちょっと待ってろ!?」

 

混乱しつつも、僕の言葉に頷いたジンクは村へと走って行った。僕たちもその後をゆっくりと追いながら、噴水がある村の中央へと向かった。中央に着いた頃には、ジンクから話を聞いたのか、大勢の村人たちが僕たちを包囲する(適切じゃないのかもしれないけど、雰囲気的にそんな感じだったので)ように集まって来ていた…まぁ、小さな村だから話が広がるのも早いのは仕方のないことだと思う。

 

そんなことを思いながら、僕たちは村長を待っていると、人込みを描き分けて、村長…アリスのお父さんであるガスフトさんが姿を現した。ガフストさんに一礼するも、僕を見たガフストさんは一瞬驚き、隣に立つアリスを見て更に驚いていた。一方のアリスは少し困惑しているようだった。

 

「ユージオ…隣にいるのは、アリス…なのか?」

「そうです。この人はアリス・ツーベルク…貴方の娘さんで、僕たちの幼馴染のアリスです。彼女は央都で生きていたんです」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

僕の言葉が信じられないといった様子のガフストさん…その視線は、8年前に処刑されたと思っていたアリスへと向けられる。

 

「そんなことが…では、お前たちはどうしてここにいるのだ?アリスの罪は許されたというのか…?」

「…8年前、私は確かに罪を犯しました。その罰として、この村で過ごしていた記憶を全て取り上げられました。ですが、それによって、罪が許されたのかは私にも分かりません」

「僕たちがここに戻ってきたのは、アリスが8年もの月日を贖罪に掛けてきたことが認められ、一時的に故郷への帰郷が許されたことと、フォンとキリト…傷ついた二人の修剣士の世話を見ることを天職として、最高司祭様より言いつけられた為です。ここに、最高司祭様からの書類もあります」

 

僕は一部だけ持ってきていた荷物からある書類を取り出し、ガフストさんへと渡す。その書類には、最高司祭の署名と共に僕たちの主張を裏付けるようなことが書かれており、ガフストさんの眉が更に歪む。

考え込むガフストさんを前に、僕とアリスは一瞬アイコンタクトを取って、ここまでは打ち合わせ通りに話せて少し安堵し合う。

 

カーディナルさんが説得用にと渡してくれた書類…最高司祭のサインは確かにあるが、名前は書かれておらず、サインをしたのはカーディナルさん自身だ。それに、僕たちの言っていることも全部が嘘ではなく、真実と嘘を織り交ぜたものである。

 

(フォンがハッタリをかます時には真実を織り交ぜることが重要だって言ってたけど、まさかこんな形で生かされることになるなんて…)

 

学院時代に悪い笑みを浮かべながらそんなことを教えてくれた友の言葉を思い出しながら、僕は思わず苦笑してしまう。昔の僕ならこんなことはできなかっただろうなと思いつつ、ガフストさんの言葉を僕たちは待っていた。

 

「…確かにこれは最高司祭様からの書類のようだな。しかしな…私の一存では決めるわけには…」

「もちろん、すぐに結論を出すのは難しいと思います。なので、村の方々で話し合ってください。もし受け入れられないと言うのなら致し方ありません…僕たちは別の土地へと向かいます…でも、できることなら…これまで贖罪に努めてきたアリスのためにも、温情ある決断を頂けませんか…彼女は罪を償ってきました……だから、宜しくお願いします」

「…ユージオ」

 

最後の嘆願を言葉にし、僕は頭を下げる。隣のアリスが申し訳なさそうにしていたが、これは僕が本心から思ってやっていることだ。なんとしてでも、この周辺で住めるように僕は諦めるつもりはなかった。その誠意が伝わったのかは分からないが、ガフストさんは観念したように答えた。

 

「…分かった。村の者たちで協議しよう…少し時間をくれ。その間、どこで休んでもらいたいのだが…誰か彼らを休ませてくれないか?」

 

ガフストさんが周囲の村人たちにそう尋ねるが、誰もが顔を見合わせてしまっていた。その様子に、僕は少し皆に…悪いと思いつつも、少し失望してしまっていた。もちろん、アリスが咎人であることが理由なのが分かるが、それでも誰もがアリスのことを忌避するように見ていることに怒りを感じられずにいた。そんなことを思っている時だった

 

「あの…ならば、教会でお二人を預かりましょうか?」

「「…!?」」

 

その声がした方を向くと、右手を上げた彼女…セルカの姿が目に入った。周囲の目を恐れながらも、勇気を出して、意見を出す彼女に僕は思わず目頭が熱くなった。

 

「…セルカ、お前…」

「教会には空いている部屋もありますし、キリトたちを寝かせるベットもあります。それに、教会は困っている人に手を差し伸べる場所でもあります…誰も受け入れないというのなら、教会が二人を預かります!」

「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」」

 

セルカの言葉に村人は気まずい表情をして、何も言えないまま顔を背けていた。本当にいいのかと思い、僕はシスターアザリアへと視線を向けるが、彼女もそこまで反対といった様子ではないようだった。

 

「分かった…では、二人の世話はお前に任せるとしよう。各長たちはこれより、私の家へと来てくれ。以上だ」

 

とりあえず方針がまとまったことで、これで解散だとガフストさんが宣言した。その声を聞きつつも、困惑している皆はその場を動けないでいるようで、呼ばれた長たちがガフストさんの元へと集まっていた。そんな中、群衆を掻き分けて、セルカが僕たちへと近づいてきた。

 

「セルカ、その…」

「待って、ユージオ。ここじゃ落ち着いて話もできないでしょう?とりあえず、教会に向かいましょう」

「そうだね…アリスもそれでいいかい?」

「あっ…え、ええ。大丈夫です」

 

セルカの提案に頷きつつ、アリスに同意を求めると、一瞬反応遅れながらも頷いてくれた。周囲の目を無視しつつ、僕たちは教会へと向かうことにした。無言のまま先をいくセルカに対し、アリスはどこかバツの悪い顔になっていたが、仕方ないことだと思った。

 

そして、教会へと着いた僕たちは少し大きめの部屋へと通された。二つのベッドがその部屋にはあり、キリトとフォンをベッドに寝かせて僕たちも椅子へと腰を掛け、深い息を吐いた。ようやく一息吐けたが、まだ完全に安堵するには早く、村長たちの話し合いが良い方向に進むことを期待するしかなかった。

 

「あの…ちょっといいかな?」

「セルカ…?いいよ」

 

今後のことを祈っていると、控えめにドアを叩く音と共にセルカの声が聞こえ、僕はドアを開けて彼女を出迎える。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「セルカ…?」

「本当にユージオ、なのよね?本当に帰ってきたのよね?」

「うん。約束通り帰ってきたよ…4人でね」

 

自分の見ているものが信じられないといったばかりにセルカにそう尋ねられて、僕は頷きながらアリスへと視線を移す。アリスも被っていたフードを取り、その素顔を全て晒す。それを見たセルカは、

 

「…姉、さま…?本当に生きて……!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「セルカ…その…さっきも皆の前で話したけど、アリスは記憶を…」

「…分かってる…でも、姉さまともう一度会えて…私、もう姉さまと話すことなんてできないって思ってたから…!?だから、本当に生きてて、こうして会えて…私…!?」

 

セルカの言葉に何も答えることのできないアリスは悲しそうに目を伏せていた。彼女をなんとか支えようと僕はセルカに言葉を掛けるが、それでもセルカはアリスに再び会えたことに涙を流していた。

 

おそらく、さっきアリスを見た際にかなり感情が高まっていた筈だが、ここまで我慢していたのだろう。堰を切ったかのように泣き始めてしまった彼女をどう励ますべきかと僕が迷っている時だった。

 

「……!」

「ね、姉さま…!?」

 

僕の横を駆け抜け、アリスがセルカを抱きしめていた。いきなりのことに僕だけでなく、セルカまでもが驚いていたが、アリスは優しく彼女を抱きしめ続けていた。

 

「ゴメンなさい…今の私にこうする権利はないのかもしれないけど…このまま涙を流す貴女を放っておけないと思ったの」

「姉、さま…姉さまぁ…!!」

「…うん…好きなだけ、私の胸で泣いていいわよ、セルカ…」

「ううぅぅ……うわぁぁああああああ!?!?」

 

アリスのそんな優しい言葉に、セルカは大声を出してアリスのことを強く抱きしめ返していた。このままでは姉妹二人っきりの時間に水を差すかと思い、僕は少し席を外すことにした。

 

例え彼女が整合騎士のアリスでも…記憶を無くしてしまっているとしても、やはり彼女はセルカにとっては優しく、憧れていた姉であり、待ち続けていた人なのだ。村の皆の反応に落胆していた僕にとって、それは何よりの救いに感じられたのだった。

 

 




記憶がなくても、今のアリスならこうするだろう…それがセルカとの再会シーンなのかと思ってのお話でございました。(そして、ユージオはクールに去っているのですが(笑))

アリスの右目の治療も冒頭で語りましたが、キリト・フォンの怪我についての説明は次回のセルカとの会話シーンで言及する予定でございます…なんやかんやで、カーディナルが生存している影響が細かい点にも出るなと書きながら思ったりしたのは余談です。

次回辺りでキリの良いところまで大きく進めれたらいいなと思ってますが…ちょっとまた変なところで寄り道するかもしれないです(笑)

それではまた!

ヤマタノオロチさん、砂原凜太郎さん、カフェオレ大好きさん、
ご評価ありがとうございました。

また、以前評価を頂いていて、今回コメント付きで再度ご評価を頂いた方々もありがとうございました。

これからもご期待に添えるように頑張って参ります!!
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