そんなわけで、再登場傍付きトリオ!
その前にベルクーリがとんでもないこと仕掛けたり、真面目な話が飛び出したり、フォンがちょいちょいやらかしたり…終いにはアリスまで…
そんな混沌というか、恐ろしい程に布石を詰め込んだお話です(苦笑)
ちなみにですが、ダークテリトリー・襲撃部隊での視点は大体カットする予定です…ほとんど原作と変わりませんので…ご了承頂ければと思います。
それではどうぞ!
「そろそろ戻らないと…フォンがいるとはいえ、様子を見に行くべきよね…」
「そうだね。流石に何もないとは思うけど…ちょっと不安だしね」
エルドリエさんとの決闘を終え、アリスに傷を神聖術で治してもらってから、僕たちは物置となっている天幕で少しばかり休息を取っていた。
あの後、少ししてから兵の人がやってきて、ボロボロになってしまった僕の服の用意ができず、夕方以降にやってくるであろう補給部隊の到着まで待ってほしいこと、現状の説明を明日の軍議にて纏めて行う旨を伝えられた。
補給部隊…カーディナルさんたちが来るまで時間があった僕たちは、一度フォンたちの様子を見に天幕へと戻ることにした。
兵士の方々に僕たちの天幕の場所を尋ねてみると、どうやらフォンたちがいる天幕のすぐ隣に、僕たちの天幕が用意されているとのことだった。おそらくベルクーリさん辺りが配慮してくれたのだろう。
そんなことを思いつつ、僕たちの天幕の隣…フォンたちがいるであろう天幕へと入ろうとした時だった。
「うおぉぉ…!?」
「「っ…!?」」
聞いたことのない音が天幕から響き、続いて聞き覚えのある男性の呻き声が聞こえてきた…何かが起こったと察した僕たちは慌てて中に踏み込むと、
「お、叔父様…!?大丈夫ですか!」
「っ…大丈夫だ、嬢ちゃん…跳ね飛ばされただけで、大した怪我はしてねぇよ」
地面に尻餅を着くベルクーリさんの姿があり、アリスは慌てて駆け寄っていた。弾き飛ばされたとのことだったが、一体誰にと思い、ベルクーリさんの反対の位置にいる人物…何が起こったのか分からないといった表情をしているフォンと、黒剣を右手で抱きかかえたままベッドに腰掛けているキリトへと視線が移った。
「…まさか…フォン、貴方がこれを…?」
「い、いや……そのオッサンがいきなりここに来て、何かを放ったと思ったら、勝手に吹き飛んで…訳分かんねぇよ…!俺が説明してほしいくらいだ…!?」
「そいつじゃねーよ…そっちの黒髪の坊主の仕業だ」
「えっ…キリトが…?」
アリスの問い掛けに混乱してしまっているフォンが苛立ちながら答えていた。だが、ベルクーリさんが放った答えは、全く予想していなかったものだった。これがキリトの仕業だと聞いた僕は信じられず、彼へと再び視線を向けていた。
「なに…坊主たちの様子が気になってな。少し立ち寄ったついでのつもりだったんだが…大剣を使っていた坊主が本当に記憶を失っているかどうか…それを確かめるついでに心意の太刀…といっても、小刃ぐらいの威力だが…そいつに向けて放ったそれを黒髪の坊主が受けたのさ、己の心意でな」
「「…!?」」
ベルクーリさんの言動にも驚いたが、それよりもキリトがフォンを守ったという事実が更に僕たちを驚かせていた。
「当たったとしても頬の皮が1枚切れるかどうかのものを弾き飛ばし、その勢いで心意の太刀を切り返してきた…自我を喪いながらもあんな強力な心意が使えるとは…明らかに異常だ。こいつの心は今はここになくとも、死んでるわけじゃね。
それに、茶髪の小僧もそうだ…見ず知らずである筈の俺がここに来た時、無意識に黒髪の小僧を背中で庇いやがった…こいつらはどう変わろうとも、根底の部分は何も変わっちゃいないのさ…だから、安心しろ、二人とも…こいつらは必ず戻ってくる」
「…まさか叔父様…それを確かめるために、こんな乱暴なことを…?」
「お前らが連れてきたこいつらを見た時、不思議な感覚を覚えたんでな…それを確かめたかったのもあってだ…いきなりで邪魔したな、坊主共。できるだけ人が来ない様に配慮してあるから、こいつらの面倒はお前たちに任せたぞ、嬢ちゃん、ユージオ」
「…ありがとうございます、ベルクーリさん」
そう言って、ベルクーリさんはその場を後にした。去る背中に一礼しながらそう言葉を掛けると、片手を振りながらベルクーリさんは行ってしまった。
「なぁ…結局、あのオッサンは何者だったんだ?」
「…っ…!?」
キリトがフォンを守ろうとした…今まで自我を喪っていた友が初めて見せた反応が何を意味するのか…僕がそんなことを考えている横で、2度目となるオッサン呼びをした(空気を読まない)フォンの腹に、アリスの怒りの肘鉄が炸裂していた。
「どういうことなのかしら…今のキリトに心意が使えるなんて…」
キリトのことはフォンが看てくれるとのことだったので、隣の天幕にいることを告げてから、僕たちは自身の天幕へと戻っていた。
そして、先程のことを相談しに僕の天幕へとやってきたアリスの言葉を聞きながら、僕もキリトの放った心意について考えていた。
「心意って…確か意思の力だったよね?」
「ええ。神聖術でも完全武装支配術でもない…古から伝わる秘術だって、整合騎士の時に話を聞いたことがあるわ。例えば、あらゆる物体を引き寄せる『心意の腕』とかがそうね…でも、整合騎士の中でも使えるのは、叔父様や数人しか使えないって…」
「…でも、キリトやフォンもその心意の力を使えていた…と思う」
「…!そうなの…?」
そう聞き返してきたアリスに、僕は静かに頷くことで答えた…僕自身もアドミニストレータにシンセサイズされた際、特別な敬神モジュールを埋め込まれたお陰で、アリスが言った『心意の腕』を使っていたことがあり、なんとなくではあるが心意の力がどういったものなのかが分かるようになっていた。
例えば、僕と闘っていたフォンが途中で繰り出した見たことのない秘奥義や、秘奥義連携とよく似た二種類の武器で交互に秘奥義を放つ技、そして、キリトがチュデルキンを討つ際に放った技やアドミニストレータと対峙した際に姿が変わったこと…
あれら全ては心意の力によるものだったと思えば、納得がいく部分が多いのだ…というよりも、それ以外に説明がつかないと言った方がより的確なのかもしれない。
「昔から…剣を教えてくれていた時から、二人は剣にどんな思いを込めるかが大事なんだって言ってた…怒りや恨みだけじゃない…誰かを守りたい、大切な人の笑顔を守りたい…それこそが本当の強さなんだって…」
「…それって…キリトたちは心意の力を理解していたってこと…?」
「分からない…もしかしたら、キリトたちも意識していたわけじゃなかったかもしれない…でも、本質か何かを感じて取っていたのだとしたら…」
「叔父様が言っていたように、キリトの心はまだ死んでいない…」
「うん。僕もそう思う」
先程の出来事も考えれば、おそらくそうなのだろう。そうなってくると、問題なのはキリトもフォンも、どうしてああなってしまったのかという原因だ。その辺りはカーディナルさんから話を聞いてみなければならないのだろう。
「カーディナルさん…もう着いたかな?」
「そうね…もう日が沈みかけているし、様子を見に行ってみる?兵たちの鍛錬ももう終わっているだろうし…」
「…そうだね、それじゃ…」
(チャリン!)
「…?誰だろう…?」
補給部隊が来たかどうか確認しに行こうという話の途中…来客を知らせる鈴が鳴り、僕は入口へと向かう。もしかしたら、補給部隊が来たことを誰かが教えに来てくれたのだろうかと思いつつ、入り口の幕を開くと、
「…ユー、ジオ…先輩…!」
「…ティーゼ…?」
僕の姿を見て、彼女は絞り出すように声を出していた…無理のない話だと思うし、彼女の気持ちはよく分かる…だって、罪人として連れて行かれた人と再会したのだ。そうなってしまうのが当たり前だろう。
そんな彼女を見て、僕も彼女の名を…ティーゼの名を呼んだ。本当に僕が目の前にいるのだと理解した彼女は感情を堪え切れず、僕に抱き着いてきた。
「良かった…!本当に良かったです!?もう会えないって思ってたから……先輩が処刑されちゃうじゃないかって…!?」
「心配かけてゴメン…でも、僕は大丈夫だったから。すぐに連絡を取れなくてゴメンね。ティーゼも元気そうで良かったよ」
最近女性を泣かせてばかり気がするなと思いつつも、ティーゼが満足いくまで泣かせてあげ…たかったのだが、残念ながらここには僕たち以外にも尋ね人がいるわけで…
「「…えーっと……」」
「ロニエにマーベルも…久しぶり。二人にも心配かけてゴメン」
「い、いえ…!ご無事で良かったです、ユージオ先輩。代理の最高司祭様からもしかしたら、ユージオ先輩たちがここに来てるかもしれないって…」
「それを聞いてから…着いた瞬間、ティーゼがいてもたってもいられないといった様子だったものでして…いきなりの来訪ですみません…」
「ふ、二人とも…!?」
お邪魔かな…みたいな顔色を浮かべるロニエとマーベルにも声を掛ける。二人も僕の姿を確認できてホッとしていた様子を見ると、かなり心配してくれていたようだ…尤も、二人が心配しているのは、それぞれ別の人物のような気もするが…
どうやらここを訪れたのは、ティーゼが先導して来たらしい…二人の暴露に泣いていたティーゼも焦って抗議の声を上げていた。そんな三人の…学院にいた頃に見ていた仲の良い姿を見て、僕も少しほっとしつつ…気になった言葉があり、ロニエに尋ねる。
「そうだ…カーディ…最高司祭代理から僕たちの話を聞いたってことだけど…もしかして、補給部隊が到着したのかい?」
「はい。というよりも、私たちは補給軍に志願したんです」
「えっ…!?」
まさかの言葉がロニエから飛び出し、僕は思わずどういうことかと驚きの声が出てしまう。ともかく話を聞かなければと思い、先を聞こうとした時、
「ユージオ、どうかし……貴女たちは…」
「「「…っ!き、騎士様!?」」」
入り口で長話している僕を心配して様子を見に来てくれたのだろう…天幕から姿を現したアリスがティーゼたちに気付く…が、まさか整合騎士のアリスが僕の天幕から出てくるとは思ってなかった三人は仰天していた。
「ど、ど、どうして先輩の天幕から騎士様が…!?」
「ティーゼ…!ご挨拶しなきゃ…!」
「そ、そうだった…!失礼致しました、騎士様!人界支部軍補給部隊所属、ティーゼ・シュトリーネン初等錬士です」
「同じく、ロニエ・アラベル初等錬士です」
「二人に同じく、マーベル・ネフィリアム初等錬士です」
「え、えっと…確かユージオたちを連行する際に見送りにきていた子たちよね?私はアリス・ツー……シンセシス・サーティよ。そんなにかしこまらくていいわ。ここは戦場でもないし、私も気楽な話し方で接してもらえる方が助かるから」
まさかの事態に困惑するティーゼだったが、マーベルに促されて挨拶をし。それに倣ってロニエとマーベルも続く。一方のアリスも驚きながらも挨拶を返していた…一瞬、ツーベルクと言い掛けていたところを見ると、アリスも困惑していたようだ。
「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」
「…?どうしたんだい、三人とも…?」
「い、いえ…以前、修剣学院でお見掛けした時と、騎士様の雰囲気といいますか、ご印象がかなり違っていましたので…」
「あー……」「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
代表して答えたティーゼの言葉に、僕とアリスはそれぞれ違った反応をしつつも、それはそうだと思っていた…だって、人格を統合したのだ。騎士として振る舞っていない今のアリスを見て、昔を知っている人からすれば、その反応は当然のものだろう。
「ま、まぁ…そうだ。ティーゼはともかく、どうしてロニエとマーベルも……もしかして…」
「はい…兵士の方々からユージオ先輩らしき人物が決闘をして整合騎士様に勝ったという話が大きく広まっていまして…」
「その話を聞いた時に、その剣士と一緒に黒髪や黒茶髪の少年がここに飛竜でやってきたという話も聞きまして…もしかしたら、フォン先輩やキリト先輩のことじゃないかっと思って…」
話を変えようと、ロニエたちがここに来た理由を尋ねようとしたが、言葉の途中で気付いてしまった。僕が言い掛けたその先をロニエとマーベルが言ってくれたことで、僕の考えが正しかったことを証明してくれた。
でも…今の二人にロニエたちを会わせていいものかどうか…二人の気持ちは痛い程分かるけど…どうしたらいいものかと思っていると、
「会わせてあげたら…?」
「…アリス?」
アリスから助け船を出され、僕は小声でどういうことと尋ねる。そのまま普段の口調でこそこそと言葉を発した。
「彼女も後ろの二人も…貴方たちを心配して、真っ先にここに来たんじゃない?どんな形であっても、無事な姿を見たいと思うのは当然のことだと思うわ。それに…貴方がいるから大丈夫よ…私とセルカの時だって、貴方は橋渡しをしてくれたでしょう?」
「…分かった。けど、カーディナルさんのところにも行かないといけないだろう?キリトたちの様子も診てもらわないといけないし…」
「それは、私が先に行って話をしておくわ。私に起きたことやダークテリトリーの侵略のことも説明しておきたかったから。それに、青薔薇の剣もカーディナル様に見てもらえば、すぐに天命を回復してもらえるでしょう?」
そんなことをアリスから言われてしまえば、断ることなんてできなかった…カーディナルさんの方もアリスが対応してくれるとのことなら尚更だ。ならば、僕は彼女たちにキリトたちのことを説明すべきだろう。
諦めが半分混じった苦笑を浮かべ、僕は腰に差していた青薔薇の剣をアリスに預ける。
「なら、そっちは頼むよ」
「ええ、任せて」
剣を受け取ったアリスはその足でカーディナルさんの元へと向かった。残された僕は再び視線を三人へと戻したんだけど…何故か三人はこそこそ話を始めていた。
「今度はどうしたの…?」
「えっ…!そ、その…ユージオ先輩が騎士様とあんなに親しげに話しているのを見て…一体何があったのかと思いまして」
「整合騎士様に勝った話というのと何か関わりがあるのですか!?というか、本当なんですか、あの話は…!」
「ユージオ先輩も飛竜に乗ってたとも聞きましたけど、まさか…先輩も騎士様になられたんですか…!?」
「えっと…とりあえず一旦落ち着こうか?説明するからさ…」
堰を切った様に質問が彼女たちから飛び出し、最後のマーベルに質問に至っては完全に話に尾ひれがついてしまっていた。
僕の制止の言葉に落ち着きを取り戻してくれた僕は、ひとまずロニエとマーベルにキリトたちを会わせるべきだと思い、そのためにも、今の彼らについて話さなければと思い、口を開いた。
「…まず、君たちの言う様にキリトとフォンもここに来ている。隣の天幕にいるよ」
「…!本当ですか!」
「良かったね、ロニエ!」
「でも…今の彼らと話すことは…正直難しいと思う」
「「…えっ…?」」
「どういう、ことですか……ユージオ先輩?」
僕が告げた事実にロニエとマーベルの笑みが凍る。言葉を失ってしまった二人に代わり、そう問いかけてきたティーゼに、僕は一息置き、覚悟を決めてその理由を話し始めた。
「これから話すことは事実で…かなり辛いことだと思う。それでも…僕には、彼らのことを伝える責任がある。覚悟はいいかい…?」
「「「……(コクッ)」」
ロニエたちだけなく、ティーゼも友達のために同席して聞くという姿勢を見せていた。彼女たちが望むのなら、僕も話すしかない。
話が長くなりそうなので、僕は彼女たちを自身の天幕へと通した。備え付けの簡易椅子に彼女たちを座らせ、僕はキリトとフォンに何が起こったのかを話した。
セントラル・カセドラルに連行された後…カセドラルでの戦闘で、キリトが自我を喪い、フォンが記憶を失ってしまったことを…
「そんな…」
「……本当なんですか、それ」
「…うん…」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
ティーゼたちにどう話が伝わっているかが分からない今、キリトたちが誰と闘って、ああなってしまったのかは敢えて伏せた。
それでも、ロニエとマーベルは信じられないといった顔をしていたが、僕の反応から嘘を言っているわけではないと理解してしまっていたようだ。
だから…彼女たちが、キリトたちに会いたいと言っても…僕は反対しなかった。
「…キリト、先輩…?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「…ユージオ…こいつは…?」
「彼女は…マーベル・ネフィリアム…君が修剣学院で傍付きとして剣を教えていた子だよ」
「前に聞いた剣の学校の話か……そうか」
「…フォン先輩…本当に記憶が……!」
ロニエの呼びかけにも反応しないキリト、やはりマーベルのことなど知らぬ存ぜぬの態度のフォン。
話は理解できていたとしても、二人の受けた衝撃は計り知れなかっただろう…キリトの足元で涙を流すロニエに、口を手で覆いながらその場に崩れ落ちてしまったマーベル…ティーゼも大きく衝撃を受けており、僕へと視線を向けてくるも、僕も目線を落とすことでしか応えることができなかった。
「……私のせいなんでしょうか…?」
あの場に居続けるのはロニエたちにとっても、キリトたちにとっても良くないと思った僕は傍付き三人を連れ、自分の天幕へと戻っていた。
少し落ち着きを取り戻すまで待つべきかと思っていると、ロニエが重い口を開いた。
「私が…フレニーカの件でライオスたちの姦計に嵌って…それでキリト先輩たちがカセドラルに連れて行かれたから…!私たちがもっと賢かったら、先輩たちが禁忌目録を破る必要もなかったのに…そしたら……!」
「法を変えるなんて闘いを…することにならなかったんじゃないかって思うと…やっぱり私たちが…主席たちを今の状況に追いやってしまったんじゃないかって…!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ロニエとマーベルの口から出た懺悔…その言葉が自身にも当てはまると思ったのか、ティーゼまでもが表情に影を差してしまっていた。
「それは違うよ」
「「「…!?」」」
だからこそ…僕は口を開いた。今の彼女たちの考えは間違っていると…友たちが何のために闘ったのかを一番知っている僕だからこそ、彼女たちの罪の意識を取り払わなければならないと…そう思ったのだ。
「キリトもフォンも…法を変えたいとか、間違いを正したいとか…そんな思いで闘っていたんじゃない。誰かを守る力があって、守りたい者があって、彼らは闘っていた。
あの時だってそうだ…キリトがライオスの腕を斬り飛ばしたのも、フォンがウンベールを追い詰めたのも…僕や君たちを助けたいという一心だけで動いた結果だ。
カセドラルで闘っていた時だって、彼らはさっきまで殺し合いをしていた筈の相手を助けようとしてた…その時にこう言ってたんだ…『この世界の人たちを守りたい』って…その想いだけで剣を持って立ち上がったんだ。
だから…キリトたちがああなったのは君たちのせいじゃない…君たちが罪を背負う必要ななんてないよ。僕たちはああすべきだと思って、覚悟の上で剣を抜いたんだから…」
「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」
僕の言葉の途中で、三人は我慢できなくなり涙を流していた…ずっと後悔していたに違いない。もし自分たちがああなっていなければと何度も思っていた筈だ。
だからこそ、僕はそれを否定した…彼女たちが罪を感じることなど何もないのだ。その根源ともいうべきアドミニストレータを討ったキリトやフォンだって、それを望んでいる訳がなかった。
「キリトやフォンがよく言ってたんだ…」
「「「…えっ…?」」」
「想いをどれだけ乗せられるかで剣の強さは決まるって…僕も剣士になる前は、諦めてばかりで何もしようとしなかった。天職を理由に現実から目を背けてばっかりだった。でも、二人が僕を強くしてくれて…色々なことを沢山教えてくれて…そして、大事な人と再び出会わせてくれた。
だから、今度は僕が二人を守る番だと思ってる。必ず二人は帰ってきてくれるって信じてるから…僕が諦めちゃいけないんだって…」
「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」
「僕にだってできたんだ…だから、三人にも諦めないでほしいんだ。心は…魂だけは誰にも侵すことはできない。最後まで希望を捨てないんでほしいんだ…心さえ強く持っていれば、人はもっと強くなれるから」
「「「…はい!」」」
少しは彼女たちを励ますことができたようだ。アリスの言う通り、彼女たちを信じて二人に会わせてみたが、心が折れるという最悪の展開にはならなかったことを喜ぶべきなのだろう。
それと共に懸念も生まれていた…ロニエやマーベルと会っても、キリトもフォンも変化がなかった。ということは、アリスと話したように二人がああなってしまった原因はやはり外の世界にあるのかもしれない。
その辺りについて、カーディナルさんと話し合う必要だあると思った僕だったが、今は眼前の三人の話を聞くべきだと思い、思考を現実へと戻した。
「そういえば…さっきは聞き損ねたんだけど、どうして三人は補給部隊に志願したんだい?」
「それは…」
一方…ユージオから青薔薇の剣を預かり、カーディナルの元へと向かっていたアリスは…とても決まずい表情をしていた。
(私…ここまで自分が嫌な女だったとは思わなかったな…)
そうアリスが思うには理由があった。
ティーゼたち傍付きトリオがユージオの天幕にやってきた時、実はアリスも入り口近くまで来ており、会話を最初から聞いていたのだ。
その時、ティーゼの安心した声とユージオの温かみのある声を聞き、その場にいますぐ乱入しようとしてしまったのだ。
流石に空気を読んでなんとか堪えたものの、その後、何事もなかったかのように出ていき、カーディナルの元へと先に向かうと提案したのは、その場にいることに苦痛を覚えてからだった。
もちろん傍付きトリオをキリトたちに会わせるべきという思いも確かにはあったが、いつまでもユージオとティーゼが親しげに話しているのを見ていることができなかったのも理由の一つであった。
(ユージオに押しつける形で出てきちゃったけど…もしユージオがあの娘のことを…)
ルーリッドでの言動からそれはないと思いつつも、もしかしたらという疑念がアリスの胸中を渦巻いていた。それが嫉妬だということは彼女も十二分に理解しており、更に自己嫌悪へと陥っていた。
(こんな嫌な私…ユージオには見せられないわね)
あの場でユージオと話していた時も、今に抱き着きたいという思いをなんとか抑えていたアリスはそんなことを自虐しながら、カーディナルの元へと向かう歩を早めた。
アリスさん、嫉妬してしまったとよ…
不穏な空気を漂わせながらのオチでしたが、回収は次回以降になります(笑)
そして、久々に心意の話が出ました。話中でも出ましたが、ユージオは心意の力の片鱗を無理矢理経験しましたので、それを半ば意識して使えるようになりつつあります(それが、前回のエルドリエさんで繰り出したヴォーパルストライクでございます)
さらにベルクーリが触れたキリトの心意の力…フォンの状態と合わせて触れるのが次回…サブヒロインのカーディナルの再登場回でございます。
アリスと共にヒロインまくってますので、是非ご期待頂ければと思います。
ちなみに、次回更新は12日(水)予定です。その後は週一更新に戻ります。
それでは、また!
以下の戦い方のうち、見てみたい・好みだというものはどれですか?
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様々な武器を換装し続ける暴れ無双
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武器射出無双(ゲー●・オブ・バビ●ン)
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過剰威力での殲滅無双
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精神かつ覇気的要素での威圧無双