誤字・変文だらけの本作ですが、多くの方に読んでいただき、感謝しかありません!
最終決戦 フォンVsヒースクリフ
夢幻の戦鬼、最後の闘い・・・その行方はその目でお確かめください
それでは、どうぞ・・・!
俺の放ったソードスキル〈霧霞〉は紫色の障壁……『破壊不能オブジェクト』を表すシステム障壁によって、遮られた。それは本来、プレイヤーには適応されないシステムのはずだ。
だが、今、攻略組の目の前で起きている現実は俺が告げた、事実が真実であることを物語っていた。
「……フフフ……そうか、まさか君が裏切るとはな……」
「悪いが、アンタに協力するとは一言も言った覚えがない……それに……」
刀をヒースクリフから離し、言い放った。
「俺は決めたんだよ……俺がどうなろうが、必ずキリトたちを現実世界に返す。
それが……俺がここに来た意味じゃないかって……だから、アンタは俺が止める……!!!」
「………………なるほど、いい目だ」
俺の言葉と姿に、何故か奴は笑っていた。
「……本当に……あんたが茅場晶彦なのか?」
「……そうだ……私が茅場晶彦だ」
血盟騎士団の一人が問いかけると、ヒースクリフ……いや、茅場は冷静にそう答えた。
「本来ならば、95層に到達するまで私の正体は明かさないはずだったのだが……
いやはや、フォン君だけでなく、キリト君にまで私の正体が見破られるとは……いや、これこそ……まさしく、ネットワークRPGの醍醐味か」
奴は感慨深そうにそう言った。その言葉に俺とキリトは警戒を緩めることなく、構えていた。
「き、貴様ぁ……俺たちの忠誠を…………よくも騙したなぁぁぁぁぁ!」
そう叫び、血盟騎士団の一人がヒースクリフに斬りかかろうとしたのだが……
奴は左手でGM用メニューを開き、素早くウィンドウを操作した。
すると、そのプレイヤーは動けなくなり、地面に倒れた。ステータスには、麻痺毒のバッドステータスが表示されていた。そのまま、次々とプレイヤーたちが倒れていき、無事だったのは俺とキリトだけだった。
「……どうするつもりだ?ここで俺たちを始末して、口封じでもするつもりか?」
倒れたアスナを抱え、キリトはヒースクリフを睨みつけながら、問いただした。
「まさか、そんなことはしないさ。しかし、私は先に紅玉宮にて待たせてもらおう……君たちが強力な90層以上のモンスター達を倒し、最上層に辿り着くのを待つことにする。だが、その前に……」
奴は言葉を遮り、剣を突き立て、俺とキリトを一瞥した。
「キリト君、それにフォン君……君たちには私の正体を見破ったリワードを与えよう。不死属性を解除した私と、それぞれ一対一で勝負をしよう。無論、君たちのどちらかが私に勝てば、このゲームはクリアされ、プレイヤーたちは解放される。
……どうかな?」
原作同様、奴はそう提案してきた。
「……いいぜ、その勝負受けてやる」
俺は《高速換装》を使用し、装備を両手剣装備に切り替えた。
キリトも覚悟を決めたようで、アスナを離れたところに降ろし、臨戦態勢に入った。
「駄目よ、キリト君、フォン君!彼は君たちを排除する気だわ!ここは一度引いて……!」
「……いや、この機会を逃したら、次に奴と戦えるのは100層……
そんな時間、俺たちにはないかもしれない……!」
「…………今ここで決着をつけないと、駄目なんだ……!」
アスナの警告にキリトと俺はそう答える。
「……ふふ、そうでなくてはな。私の前に立ちはだかるのは君たち二人だと思っていたよ……
二刀流は全プレイヤーの中でも最も反応速度が高い者に与えられる、魔王である私に対抗するためのユニークスキル。
そして、幻想剣は全プレイヤーの中で、最も早く通常取得が可能なスキルの熟練度が全体の60%を超えた者に与えられる、未知のスキル。
それらを取得した君たちこそが魔王である私の前に立ちはだかる。
……ここまで熱いストーリーもないだろう?」
「……悪趣味なだけだろう」
茅場の説明に俺は眉を顰め、思わず突っ込んでしまった。
……というか、幻想剣の取得条件って、そういうのだったのか……
この説明って、俺のためのものだよな……とかそんなことを思ってしまった俺もどこかおかしくなってきているのだろう。
「では、どちらから来る……?」
「……お「俺からだ」っ、フォン!?」
キリトの声を遮り、俺は勢いよく言い放った。
「俺がやる……こいつとの決着は俺がやる」
「っ!?フォン……!」
「……いいだろう」
そう言って、茅場は再びGM用ウィンドウを操作した。
すると、限定的な空間が展開され、俺と茅場以外のプレイヤーが空間外に押し出された。そして、俺に茅場から決闘の申し込みウィンドウが表示された。
もちろん……『全損決着モード』でだ。そのウィンドウのイエスを選択し、120秒間のカウントが表示された。
俺は両手剣を抜き、周りを見渡した。すると、周りのプレイヤーがこちらを見つめていた。
「クライン……いや、クラインさん……色々とありがとうございました。クラインさんの兄貴肌なところ、すごい頼りがいがありました。いつもいつも、俺のこと、気にかけてくれて……本当に嬉しかったです」
「……馬鹿野郎!そんな、畏まったことを言うじゃねぇ!!!」
「エギルさん……一層で会ってから、エギルさんには相談に乗ってもらってばかりで……愚痴や悩みばかりですみませんでした……また、相談乗ってくださいね」
「よせぇ、フォン!」
俺の言葉に、クラインとエギルさんが叫ぶ。そして、キリト、アスナの方を向いた。
「キリト、アスナ……」
「フォン……」「フォン君……」
「……幸せになれよ。二人は絶対に俺が現実世界に返してみせるから……
俺、キリトやアスナと出会えてよかったよ……色々と突っ込みたいことは多かったけど……二人と過ごした日々は楽しかったぜ……」
「フォン……!?」「止めて、フォン君!!?」
俺の言葉にキリトとアスナも何かを感じ取ったのだろう。悲痛な叫びを上げた。
その叫びを振り切り、再び奴に向き直った。俺は深呼吸し、両手剣を握り直した。
(……この一戦に全てをかける……)
呼吸を落ち着かせ、意識を集中させる……周りの音はほとんど聞こえなくなり、カウントの音だけが静かに響いた。そして……
3、2、1……0……
その瞬間、俺と奴は互いの獲物をぶつけ合っていた。静かに、鉄の音が響き合った。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!」「ふっ……!」
俺は両手剣と幻想剣のスキルをフルに活用し、一気に攻め立てていった。
対する茅場も盾で俺の攻撃を防ぎながら、隙さえあれば、細剣で反撃してくる……そんな一進一退の攻防が続いた。互いに少しずつHPを減らしながら、斬り合いは数十回に及んだ。
「ぜやぁぁぁぁぁぁぁ!!」「はぁぁ!!!」
互いのソードスキルがぶつかり、俺たちはノックバックの衝撃で互いに大きく引き下がった。茅場のHPは8割に対し、俺のHPは7割5分といったところだった。
「ふぅ……相変わらず反則じみたスキルだよ、その幻想剣は……」
「あんたの神聖剣に言われたくはないぜ……本当に固すぎだぜ」
「フフ、誉め言葉として受け取っておこう。だが、今のままでは、私には勝てないぞ?」
「……それじゃ、見せてやるよ……幻想剣の本当の力をな!」
そう言って、俺は幻想剣のソードスキルを発動させようと構えた。
流石の茅場も未知のソードスキルには対応できないだろう。
それに……俺には奥の手がある。そのまま、俺はソードスキルを放った。
「ぬぅ……!」
急接近した俺に驚きながらも、茅場は対応したが、その体勢は大きく崩れた。
幻想剣《両手剣》重単発ソードスキル〈トルネイド〉。このスキルはノックバック率が異常に高く、相手の防御が高いほど、効果が大きくなる。流石の神聖剣もその効果が裏目になって、大きくノックバックした。そのまま、スキル硬直で俺はすぐには動けなくなるのだが……
「おらぁぁ!」
「ぐっ……!」
『幻想剣』のおかげで、硬直が短縮された俺は追撃で両手剣単発ソードスキル〈サイクロン〉を放ち、茅場のHPを大きく減らした。しかし、流石の茅場もすぐさま体勢を立て直し、俺の硬直が抜けきる前に反撃し、HPが半分まで減った。
「なるほどな……それが幻想剣のソードスキルか」
「……まだまだあんたの知らないスキルもあるが……全部を見せる余裕や時間はないな」
「それは残念だ」
そう言って、俺と茅場は再び剣を構えた。茅場のHPも半分を切っていた。だが、長期戦になれば、手の内を晒してしまうこちらが不利になってしまう。ならば……
(一気に勝負に出る……!)
そう考え、俺は意識を一層集中させる。そして、姿勢を深く落とした。そして、ソードスキルを発動させる。
「はぁぁぁぁぁ!」
「そのスキルはもう見切った!」
俺は再び〈トルネイド〉を発動させるが、それを見切っていたシールドでのバッシュ……おそらく神聖剣専用のバッシュスキルだろう……それで俺の〈トルネイド〉を無効化した。
俺は大きくノックバックし、茅場は大きな笑みを浮かべ、神聖剣のソードスキルを発動させた。刀身に赤い光が灯り、その刃が俺に迫っていた。
……そう、普通ならば、成す術もなく、ソードスキルの餌食になっていただろう。だが……
キィン……!
「な、なに……!?」
俺は硬直なしで、連続でソードスキルを発動させ、ヒースクリフのソードスキルを無効化した。そのままノックバックで俺たちは再び距離をとった。
「……一体、何をした?」
「……さぁな……少なくともアンタが組んだプログラムじゃないのは確かだぜ」
「…………………………………………」
俺の言葉に奴は黙りこくってしまった。
(次で決める……!)
仕込みを終え、次で勝負が決める算段が立った俺は両手剣を大きく掲げ、構えた。
「…………………………………………」
俺の動きに茅場も警戒を強めた。おそらく茅場も俺が勝負に出ることに気が付いたのだろう。俺が今にも飛び出しそうとした時、奴が口を開いた。
「驚いたよ……君が、自分が消えることを覚悟で私を倒そうとするとはね」
「っ……!?」
「……えっ!?……ど、どういう意味だよ!?」
茅場の言葉に、キリトが大きく声を上げた。
「……彼は、本来このゲームに参加する人間ではなかったんだよ……事実、彼がどこからログインしているのか、このゲームマスターである私でさえ把握できていない……まさしく、未知のプレイヤーだ。最悪、このゲームをクリアしてしまえば…………彼は現実世界に戻れないだろう…………」
「「「「!?!?!?」」」」
「それを覚悟で彼は「黙れ……!」……どうやら気に障ったようだな……」
茅場の解説に、俺は内心舌打ちし、思わず声を荒げてしまった。
その事実にキリトたちはショックを受けていた。
「う、嘘だよな……フォン、嘘だって……!」
「本当だ……悪いな、黙ってて…………けど、これは俺の贖罪なんだ……
命にかけても、こいつは……俺が殺す……!!!」
そう言い切り、再び茅場を睨みつけた。
「……決着をつけるぞ、茅場!」
「……いいだろう」
そして、俺と茅場は互いにソードスキルをぶつけあった。
そのまま、俺は技術連撃で連続してソードスキルを放った。初撃で放った〈サイクロン〉から幻想剣《両手剣》単発ソードスキル〈フォール・レイン〉を放つも、茅場はそれを盾で防いだ。だが、俺の攻撃はまだ終わらない。そのまま、幻想剣《両手剣》8連撃ソードスキル〈クァンタム・カウント〉を放つ。
それすらも盾で防がれるも、それは予想通りだ
(……ここまでダメージを与えれば。十分だろ……!)
そう思い、4連撃目……本命のソードスキルを放った……幻想剣《両手剣》重3連撃ソードスキル〈クラッシュ・エンカウンター〉を放った。高速の斜め十字切りに回転を加えた突きが、十字切りの交錯点にヒットした。そして……
「砕けろぉォォォォ!!!」
「何……!?」
その叫びと共に、茅場の持つ盾は見事に砕け散った。まさかの出来事に、ヒースクリフの表情も崩れた。
「お、わりだぁぁぁぁぁぁ!!!」
そのまま、幻想剣《両手剣》超重単発最上位ソードスキル〈エンド・オブ・フォーチュン〉を放った。両手剣から大量のオーラが溢れ、その剣先が三つに分かれた。
そのまま、俺は大剣と化した両手剣を振るった。その一撃に茅場は大きく吹き飛び……そのままポリゴンとなって消滅した。
「……勝っ、た…………?」
その光景に俺は思わず、油断してしまった……力が抜け、ほっとした瞬間だった。
グサッ……!
「……えっ……ガハァ!?」
背後から違和感を感じ、一瞬何が起きたのか分からなかった……胸元を見ると、剣で貫かれていた……そして……
「惜しかった……本当に惜しかったよ……フォン君。ここまで追いつめられるとは正直思っていなかったよ……」
背後から、消滅したはずの茅場の声が聞こえた。なんとか、目線をずらし、後ろを見ると……そこには確かに茅場が立っていた。
「ど、どう、し……て!?」
持っていた両手剣が手から滑り落ち、俺は思わず尋ねていた。
「もし、神聖剣の《不死鳥》スキルがなければ、君の勝ちだっただろう。
このスキルにより、私の盾が破壊された時、一度だけリバイブすることができるのだよ……尤もゲーム中に一度だけしか使えない貴重なスキルだがな。
それを使わせた君は……ある意味最強のプレイヤーなのだろう……結果は残念なものになってしまったがな……」
そう言ううちに、俺のHPはどんどんHPが減っていき、ついにレッドゾーンに到達し、もう間もなくゼロになろうとしていた……ここまでか……
「……キリト……」
「っ……!?フォン……!」
「……悪い……あとは、任せた、ぜ……!」
そのまま、HPがゼロになり……俺の意識は無くなった。
(ここは……どこだ……?体が軽い……そうか、俺、死んだのか……
死んだら、こんな感じなのか……)
そんなことを俺は思っていた。……あとは原作通り、キリトが勝つことを祈るだけだ……俺はそう思い、意識をそのまま手放そうとした時だった。
『はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
(うん……?なんだ?)
声が聞こえたような気がして、俺は思わず目を開いた。そこには、
(……キリト……!?)
キリトと茅場が戦っている光景が見えていた。だが……
(駄目だ、キリト……!)
俺が叫ぶも時遅し……キリトは焦るあまり、原作通り二刀流27連撃最上位ソードスキル〈ジ・イクリプス〉を放ってしまった。その動きに茅場は獰猛な笑みを浮かべ、キリトはしまったという表情をしていた。そのまま連撃が続き、遂にキリトが持つ『ダークリパルサー』が茅場の持つ盾によって、砕けてしまった。
『さらばだ……キリト君』
(キリト……!!!!!!)
俺は思わず、無我夢中でキリトに手を伸ばした……その時、不思議なことが起こった。
〈Other View〉
キリトが焦って、〈ジ・イクリプス〉を放ってしまい、全ての攻撃が防がれている中、アスナは自分が動けないことを悔やんでいた。
(駄目……このままじゃ、キリトくんが……!もしキリト君が死んだら……キリト君が死ぬくらいなら……)
そう思い、必死に体を動かそうとしているときだった、体が自然と動くようになったのだった。そして、キリトを助けようと飛び出そうとした時だった……
(アスナ……キリトは俺に任せろ)
「えっ…………?」
聞き覚えのある声に思わず、振り返るそこには誰もいなかった。
一方、〈ジ・イクリプス〉を完璧に防がれたキリトは、『ダークリパルサー』も砕けてしまい、スキル硬直による致命的な隙により、今にもヒースクリフの一撃を食らおうとしていた時だった。
(なにやってんだよ……キリト!!)
「えっ?」
その声と共に、後ろへと体が大きく引っ張られた。ヒースクリフのソードスキルは空を切り、キリトやアスナ、ヒースクリフ、そして、その場にいたプレイヤー全員、何が起こったのか、分からないでいた。
(ほら……立てよ、キリト!……まだここで終わるわけにはいかないだろう……?)
「えっ……っ!?フ、フォン……?」
そこには、半透明で宙に浮く、フォンの姿があったのだ。
〈Other View End〉
気が付けば、キリトの体を思いっきり後ろへと引っ張っていた。
「フォ、フォン……なのか?」
(ああ……どうやらまだ死ぬ前にできることがあったらしい)
「……キリト君……一体どうしたというんだね?」
(どうやら俺の姿は全員に見えているわけじゃないみたいだな……)
「フォ、フォン君……?」
茅場や周りの反応をみると、俺の姿が見えてるのは、キリトとアスナだけのようだ……というか、アスナ、動けるようになったのか……
そんな冷静な思考できるくらい、俺の頭は澄み渡っていた。
「フォ、フォン……俺……俺……!!!」
(ったく……焦りやがって……そんな状態で茅場に勝てるわけないだろう?)
「……………………」
(……ウィンドウを開いてみろよ)
「えっ……?」
(いいから、早く!)
「あ、ああ……!」
俺の指示にキリトはウィンドウを開いた。すると……剣がキリトの前にオブジェクト化された。決戦前に俺が死んだ時用に、仕掛けておいたのだ……超レアスキル《相続》……まさか役に立つとは思ってもみなかったがな……
「これは……?」
(……慌てて準備したんだぜ?万が一、俺が負けた時、お前の力になれるように、ってな)
「…………フォン」
(勝ってよ……俺とお前の力であいつを、茅場を倒してくれよ!)
「ああ、勝つさ……勝つよ…………だから、見ててくれ……!」
そう言って、キリトは片手剣『オニキス・トルゥース』を左手に構えた。
「…………命拾いしたようだが……どうやったのか教えてくれるかな?」
「……さぁな。少なくとも絆の力……って奴かもな」
「だが、君の劣勢に変わりはないぞ。どうする?」
「…………やってみないと分かんないさ」
(行け……キリト……!)
そして、キリトは再び茅場に斬りかかった。その表情は先ほどとは違い、光を灯した目だった。その攻撃に茅場も思わず、防戦一方になってしまう。キリトの攻撃はどんどん早くなっていき、茅場はなかなか反撃に出れずにいた。そして、その瞬間がやってきた。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
〈Other View〉
「……っ……ふっ」
そして、キリトは再び〈ジ・イクリプス〉を放った。それを見たヒースクリフは再び、勝利を確信し、笑みを浮かべた。システムによって放たれるソードスキルを全て見切り、盾で防ぐ。
しかし、先程と違い、キリトにも焦った様子はない。そして、先程同様、最後の一撃を盾で防いだヒースクリフは反撃のソードスキルを発動させた。
「今度こそ……さらばだ、キリト君!」
そう言って、ソードスキルを放とうとした時だった……ヒースクリフは信じられない光景を目にし、今日二度目の驚きの表情をした。
キリトが……硬直を無視して、連続でソードスキルを発動させていたのだ……
それだけではない、その背後に半透明のフォンがキリトの傍にいたのだった。
(……フォン君……!?)
その光景に目を見開くことしかできないヒースクリフ。
そして、キリトの剣に灯った水色の光から、そのソードスキルの正体を理解した。
最初の二撃でヒースクリフのソードスキルを弾き、キリトは叫んだ。
「スター……バースト・ストリ──ーム!!!!!!!!!!!」
二刀流から繰り出される連撃ががら空きになった茅場に次々と叩き込まれていった。その高速連撃にヒースクリフは何もできず、HPを減らしていった。そして……
「(はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!)」
キリトとフォンの声が重なり、最後の一撃がヒースクリフに突き刺さる……ヒースクリフのHPは2刀流の連撃に全て削り取られ、
「……見事だ……キリト君、フォン君……!」
パリン……
HPがゼロになり、ヒースクリフの体はポリゴンに変わり……今度こそ、本当に消滅した。そして……
『ただいまより、プレイヤーの皆様に緊急のお知らせを行います……アインクラッド標準時 11月7日 75層において、ゲームはクリアされました』
ゲームクリアのアナウンスがアインクラッド中に流れていた。
〈Other View End〉
「…………………………」
「……なかなかに絶景だな」
「よう……こんな感じだったんだな、崩壊するアインクラッドって」
「そうか……君はゲームクリアした時にはアインクラッドが崩壊することを知っていたのだったな」
「ああ……まぁ、あくまでも小説で読んだだけだったから……やっぱり読むのと見るのじゃ、全く違うな」
「百聞は一見にしかず、か……だが、確かにそうかもしれないな」
「キリトたちは?」
「…………向こうで話をしているよ……いいのか、会わなくて」
「これから消える人間に会ったって、悲しくなるだけだろう?」
「……そうか」
そのまま俺と茅場は崩壊するアインクラッドを見続けていた。もう8割方崩壊したところで俺は茅場にあることを言おうと思った。
「ありがとう、茅場」
「…………いきなりどうした、フォン君?」
「俺、SAOの小説を読んだ時、この世界で生きることに……憧れてたんだ……
キリトやアスナたちが言ってた、この世界で生きるって意味が……体験できて良かったよ」
「死ぬかもしれないのにか?」
「それでもだよ…………それにあんたもそうだろ?」
「そうだな」
「本当にうまくいくのか?」
「……それこそ神のみぞ知るところだろう…まぁ、うまくいけば、君の元の世界に行くことができるかもしれないな」
「……笑えない冗談だな」
「ふっ、これは失礼…………では、私はそろそろ行くよ」
「…………ああ」
そう言って、茅場は消えてしまった。アインクラッドももう間もなく崩壊を終えようとしていた。俺ももうすぐか……このまま消えるのか、元の世界に戻るのか……これもまた神のみぞしるか……俺がそう考えている時だった……
ズザザザザザザ……!!!!
画面にノイズが走った。
「な、なん…………?!!?!!?!?!?!」
何が起こったのか、そう考える間もなく、俺を激しい頭痛が襲った。
「・ぼくの……けんきゅ……やく…………」
聞こえてきた男の声に最後に、俺の意識はそこでブラックアウトした。
〈アインクラッド編 完〉
Next Episode 〈フェアリー・ダンス編〉
・・・ということで、アインクラッド編はひとまず終了となります。
マザーズ・ロザリオ編投稿後、アリシゼーションやオーディナル・スケールに入る前にちょっとした小話集をやる予定ですので、もしかすれば、またそちらの話でアインクラッド時代の話をやるかもしれません(まだプロット段階ですので、確定できるお話ではありませんが・・・!)
さて、本来であれば、このまま、第2章『フェアリー・ダンス編』に突入ということになりますが・・・
前話でご紹介しました企画の発表です・・・!
今作品でもやります!アニメのBD/DVDの限定版で話題になった人気企画(?)
『作者公認 そーどあーと・おふらいん あいんくらっど編』を書きます!
それに伴い、本作品に関するご質問・疑問点・ご不満・改善点などを大募集します。
読者様参加企画として考えておりますので、積極的にご参加頂ければ幸いです。
ちなみに、メインキャラクターは、オリ主にキリト、アスナ、ユイちゃん・・・
この4人にゲストを加えた構成を考えております。
アインクラッド編に関しては、4回に分けて行いますので、皆様のご意見お待ちしております。
期限はとりあえず、10月14日の24時で一度締め切りにしようと思います。
最後に、こんな趣味全開な駄文を読んでくださる、読者の皆様にお礼を申し上げます。これからもSAO~夢幻の戦鬼~をよろしくお願いします。
次回更新は10/9 0時になります。