とてつもなくシンプルになりました…クウガであったらなと思ったのは余談。
そして、ベクタが遂に動き出しますが、もちろん黙っていられない人がいるわけで…
それではどうぞ!
暗黒軍と対峙していたボクたちだったけど、その戦場にいきなり現れた謎の軍団により、戦闘の手は一時止まることとなった。
けど、謎の軍団は迷うことなく暗黒軍に攻撃を仕掛け始め、同じ姿をした軍団に、拳闘士たちはともかく、暗黒騎士たちは完全に混乱していた。
そして、そんな暗黒騎士の無防備な姿に、謎の軍団の一人が剣を振りかぶり…何の躊躇もなく、その体を真っ二つに斬り裂いたんだ。
「CooL!?」「Exiting!!」「Yeah!」
「…(英語…?!日本人じゃないの…!)」
「ユウキさん…あの暗黒騎士によく似た、赤い鎧の兵士たちは一体…!?」
「分かんない…ボクもあんな軍団がいるなんて…何も聞いてない…」
勢いづいた軍団の連中から聞こえてきた言葉が英語であることに驚いていると、背中を預けていたレンリがそう問いかけてきたが、ボク自身、状況が呑み込めておらず、答えることができなかった。
「…AHAHAHAHAHAHA!!!」
「Kill you!」
「…止めてよ…」
「ユウキ…さん…?」
高嗤いを上げながら、暗黒団へとその狂喜の攻撃を仕掛けていく謎の軍団…その姿が、命を奪うことを楽しんでいるようで、相手のことなんかお構いなしの理不尽すぎるその行動に、
…ボクの中で何かがキレた…
「もう…止めろォォォォ!」
「ユウキさん!?」
レンリの制止の言葉など耳に入らず、ボクは一気に駆け出す。ルナリスの『能力限界突破』で一気に脚力を5倍に…先程の奇襲時のスピードを凌駕した速さで、謎の軍団と暗黒団の間に割って入り、暗黒騎士たちに襲い掛かろうとしていた数名の兵士を剣で斬り裂いた。
「…!お、お前は…」
「すぐに体制を整えて!」
「な、何を言っている!?お前は敵で、あいつらは味方ではないのか!?」
「話も聞かずに襲い掛かってくる人たちが味方なわけないじゃん!早く逃げて…っ!?」
混乱し切っている暗黒団の人へそう言うも、さっきまで殺し合いをしていたボクのことをすぐに信用できるわけもなく、更に困惑させてしまったが、そんなことを言ってる暇もなく、他の赤鎧がボクへと襲い掛かってきた。
「…くっ…!(こうなったら…反動なんて気にしてる場合じゃない!?)もう…いい加減にしてよぉぉぉぉ!?」
限界突破で7倍にまで右腕のステータスを引き上げ、ソードスキルを発動させる。
片手剣単発ソードスキル〈ホリゾンタル〉…ルナリスでオーバーリミットした神撃が地面を抉り裂き、衝撃波で赤鎧の集団を空へと散らせた。
流石に今の一撃は想像していなかったらしく、赤鎧の集団が一瞬怯むも、後方からの動きに押され、再び侵攻してきた。
まだ暗黒軍は体勢を整え終えていない…なんとか時間を稼がなければと、再び剣を振るおうとしたんだけど…
「ぐぅぅ…!?うううあああああああああああぁぁぁぁぁぁ!?!?」
両足に激痛が走り、次の瞬間にはそれを上回る痛みが右腕に走り、持っていた神剣を落とし、その場に跪いてしまった!
(…ううぅ!?足に力が…入らない…!右腕なんか、まるで無理矢理捻じ曲げられたみたいに……これは、ルナリスの副作用、なの…!?こんなに酷いなんて…!)
立ちたくても、足に力が入ってくれない…右腕は痺れ震え、露出している指は血管が膨張しているみたいで、鎧の隙間から血が大量に流れ出ていた。
「ユウキさん、危ない!?」
「…っ!?」
しかし、敵が待ってくれるわけもなく、後方のレンリの叫びで顔を上げた時には…赤鎧がボクの眼前で斧を振りかぶっていた。
やられる…!とっさに動かせる左手を盾に衝撃に備えようとしたんだけど…
「はあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「えっ…!」「Gaaa!?」
ボクの後方から突風が襲ったかと思えば、それと同時に赤鎧が吹き飛ばされ、ポリゴンへと姿を変えていた。
そこには、まさしく閃光の名の如く、細剣を構えたアスナの姿があった。
「アス、ナ…!」
「じっとしてて、ユウキ!ここは私が…!」
待機していた場所からすぐさま駆け付けたくれたのだろう…ボクを気遣ってくれたアスナは細剣を天へと掲げ、ステイシアの地形操作能力を発動させた。空にオーロラが浮かび上がり、赤鎧たちの地面が次々と変形していき、せり上がった岩盤に打ち上げられていった。
そして、岩盤は小さな山を造り上げ、ボクたちと赤鎧たちを完全に分断することに成功した…けど、能力の反動がきたのか、頭を抑えたアスナが崩れ落ちた。なんとか足を動かせるようになったボクは、アスナの体を支える。
「アスナ、やっぱり反動が…!?」
「それは…ユウキも同じでしょう?まだ、大丈夫…ここで倒れるわけには、いかないから…!」
そう強がるアスナだったけど、見ても分かるぐらいに無理をしていた。ただでさえ、一回目の時に広範囲に渡って能力を使用したのだ。その反動も回復し切ってないのに、連続での使用は堪えている筈だ。
できるなら、ボクが動くべきなのだろうが…未だに右腕は回復し切っておらず、足も十二分には動かせるとは言えない状態だった。それでも…アスナもボクも無理矢理体を起こす。
アスナが無理を押して、再度能力を発動させようとするのを体を支えることで補助する。反動を覚悟して、アスナが能力を発動させようとした時だった。
「駄目だよ、アスナ」
「っ……ユージオ…?」
細剣を掲げたアスナの右手を止めた者がいた…その声にボクたちが視線を向けると、悲しそうな表情をしたユージオの姿がそこにはあった。
ユージオだけじゃない…駆けつけてくれたアリスやベルクーリたちの姿もあった。
「無理をしないといけない時もあるのは分かるよ…でも、君は一人じゃないよ。それに、君たちに何かがあったら…僕は、キリトとフォンに合わせる顔がないよ」
「そうです…後は私たち整合騎士に任せなさい」
「でも…あの赤い兵士たちは…きっとリアルワールドの…私の世界からやってきた敵だと思うの」
「それも、ボクたちが住んでる国とは違う言葉で話してたから…話が通じるかどうかも…」
「…関係ないよ…」
「「っ!?」」
あまりにも冷たく、覚悟の籠ったその言葉にボクとアスナは思わず息を呑んだ…穏やかな印象だったユージオの雰囲気が一気に変わったからだ。
「あいつらが外の世界の人間だろうと、そうでなかろうと…自分の快楽のためだけに、誰かの命を奪っていいわけがない…!」
「ええ…ただ闇雲に血を求め、剣を振り回す連中など…それこそ私たちの敵です。それに、そんな目的でしか剣を振るえない連中など、いくら何万いようと恐れるに足りません」
「二人の言う通りだな…それに、いつまでもお前さんらばかりに活躍させるわけにはいかなんでな…俺たちにも少しは出番を分けてくれよ」
「………みなさん、ありがとう」
ユージオとアリスの言葉に同意し、ベルクーリの放った言葉に、レンリとシェータ、イーディスも熱い目線で応えてくれた。その言葉に甘え、ボクとアスナは一旦下がることとなった。
「よーし…!全軍、密集陣形を取れ!一点突破するぞ!!」
「アスナはユウキの治療を…!周りの警戒は僕がするから」
「…分かったわ。ユウキ、右腕を見せて…!」
ユージオが周りを警戒してくれるとのことだったので、ボクは反動で使い物にならなくってしまっている右腕をアスナに見てもらうことになった。
そして、岩盤の山から抜け出てきた赤鎧たちと、人界軍・暗黒軍の乱戦が始まった。
〈Eugeo Side〉
アスナたちが一旦下がり、障壁から抜け出てきた赤鎧たちを撃退すべく、僕たち人界軍は密集陣形での一点突破を開始した。
次々と迫ってくる赤鎧の兵士たちを斬り裂いていくも、死を恐れない…命を奪うことに執着した敵は怯むことなく迫ってくる。
アリスやベルクーリさんたちも敵を斬り裂いていくが、敵の数が多すぎて、キリがない状態だった。そのうち、数に押され、兵士の方にも被害が出てくる。
「くっ…お前たちはぁぁ!」
青薔薇の剣の記憶開放術が使えるなら、この数をなんとかできるだろうが…こうも味方までもが密集しているようでは、おおそれとは使うことができない。歯がゆい状況に、敵のあまりにも異常な好戦性に苛立ちが募ってしまう。
込み上げてくる怒りと共に、青薔薇の剣を振るい続けるが、次第に兵士たちの悲鳴が耳に入ってきてしまい、怒りで頭がどうにかなってしまう感覚に襲われる。
「止めてェェェェェェ!!」「いい加減にしてよぉぉぉ!?」
「っ!?アスナ、ユウキ!?」
そして、それは僕だけでなかった…治療を終えた二人が戦線に復帰したようだが、この蹂躙の光景に耐え切れず、赤鎧たちに突っ込んでしまったのだ。
次々と敵を打ち倒していく二人だが、今の彼女たちは感情的になり過ぎている。敵の注意も二人へと一気に集中してしまい、このままでは包囲されてしまうと思い、周りの敵を片手剣4連撃秘奥義〈ホリゾンタル・スクエア〉で斬り飛ばしながら、僕は彼女たちに近寄っていく。
そして、僕が危惧していたせいか…こういった乱戦になれていないのもあったかもしれないが、兵士から流れ出て血だまりとなっていた場所に、アスナが足を踏み込んでしまった。
血だまりに足を取られ、体勢を大きく崩してしまったアスナ…その隙を逃さまいと、迫ってていた赤鎧が大剣を振りかぶっていた。回避は間に合わない…距離を詰めていた僕は、更に加速し、アスナと赤鎧の間に割って入り、左手でその大剣を受け止めようとした。
「…!ユージオ!?…えっ…?」
「…What…?」
アスナの悲痛な声が驚きに変わり、眼前の赤鎧までもが信じられないと言った様子になっていた…無理もないだろう。斬ったと思った僕の左腕が鎧に変わり、大剣が腕ごと凍っていたのだから…割って入る直前に心意の破界鎧を発動させ、大剣を受け止めると同時に瞬間的に凍らせたのだ。
「Jesus!?」
「はぁあああああぁぁぁ!!」
無防備と化した赤鎧を躊躇なく斬り捨て、その体が青い光となって消滅するのを横目で見届けながら、僕はアスナへと手を貸す。
「大丈夫かい、アスナ…!」
「え、ええ…ありがとう…」
「アスナ、大丈夫!?」
「ユウキもアスナも感情的になっちゃ駄目だ…!二人はこっちでの戦闘に慣れてないんだ。僕たちが主流になって闘うから、二人は援護を…」
「っ…くるよ、ユージオ!」
二人にこれ以上負担を掛ける訳にはと後方での援護を頼もうとするも、ユウキの言葉に周りから新手の赤鎧たちが迫っていることに気付く。
言っても素直に聞いてくれないところは、あの二人に似ていると言うべきなのか…こうなったら、多分退いてはくれないのだろうと諦めた僕は、二人とそれぞれの背中を守るように剣を構えようと…
「おらぁぁぁぁ!!」
「っ…!?」
そうしている間に、飛び込んできた影があっという間に赤鎧たちを瞬殺してしまった。誰かと思い、その正体…赤銅色の体色をし、拳を構えているその人物に、僕は思わず剣を構えてしまった。
「お前は…拳闘士部隊の…シェータさんと闘っていた…!?」
「「っ!?」」
「…!うおおおらあああぁぁぁぁぁ!!」
僕の言葉に、アスナとユウキも警戒態勢を取るが、そんなことなどお構いなしに拳闘士は再び拳を振りかぶり…
地面へと拳を振り落とし、その衝撃波で僕たちの背後に迫って来ていた赤鎧たちをまた撃破し、遠方に控えていた多数の敵までを吹き飛ばした。まさかの行動に、僕たちは驚き、その威力に言葉を失っていた。
「柔い連中だ…あの女騎士なんかとは比べるまでもねぇぜ」
「お前…どういうつもりだ…!」
「お前、お前って…俺の名はイスカーンだ。おい、あの岩山や地割れを作り出したのは、そっちの茶髪の女…お前だよな?」
「え、ええ…そうだけど…」
イスカーンと名乗った拳闘士…おそらく部隊を率いる長であるこいつは、アスナの地形操作能力のことを確認していた。いきなりの問い掛けに驚きながらも、アスナは頷く。
「…だったら、取引だ…今すぐあの地割れに、狭くていいからしっかりした橋を架けろ!そうすれば、4千ものの拳闘士が赤い兵士たちを全部ぶっつぶすまで、お前たちと共闘してやる!」
「「っ!?」」「共闘…!?ダークテリトリー軍が…?」
イスカーンのまさかの提案に僕とユウキは息を呑み、アスナも信じられないといった様子で驚いていた。そんな提案など信じられないと思っていると、イスカーンの右目に気付いた。まさか…
「…その人、多分嘘は吐かない…」
「…でも…」
「アスナ…僕もシェータさんの言う様に信じていいと思う」
「…ユージオまで…」
「ほう…意外にも、女以外にも、話の分かる奴がいたんだな」
「…私の名前はシェータ…そう言った筈…」
「…お、おう…そうだったな」
右目の封印を破った…ということは、ダークテリトリーの生きる者たちも、僕たちそう変わらない者たちではないか、というアリスの予想は当たっていたのだろう。
シェータさんの言葉に、イスカーンの気質をなんとなく感じ取った僕も助言したことで、アスナもイスカーンの言葉を信じてくれたらしい。
「…分かりました。峡谷に橋を架けます」
アスナが剣を空へと掲げると、昨日目撃した七色の光が空へと浮かび、地面が大きく揺れた。そして、峡谷の壁からいくつもの横柱が出現し、峡谷に即席の端が出来上がった。
橋が出現したことで、向かい側にいた拳闘士たちが雄たけびを上げ、こちらへと向かって来てくれていた。
「しゃあ!思う存分に暴れてやるぜ!!」
「…ユージオ…ここは私と彼に任せて…貴方は他のところの援護に…」
「分かりました…行こう、アスナ、ユウキ」
「ええ!」「うん!」
拳闘士たちが来たことでイスカーンは更に気合を入れ、彼と共闘することを決めたシェータさんの言葉に、僕はアスナたちと一緒に他の場所へと向かおうと…
「嬢ちゃん、先走り過ぎだ!?」
(っ…!?アリス…!)
ベルクーリさんの焦った叫びが聞こえ、彼女の姿を探す。アリスを目で捉えた時には、彼女は赤鎧たちを斬り飛ばしながら、丘の方へと向かっていた。
「行って、ユージオ!」
「アスナ…!?」
「こっちはボク達でなんとかするから…早く!?」
「ユウキ……ありがとう!」
アリスを一人にしておけない…僕の気持ちを察しくれた二人の言葉に背中を押され、方向転換し、アリスの後を追う。道中に赤鎧たちが立ち塞がるも、
「っ…!?道を…開けろォォォ!!」
障害にしかならない奴らを斬り伏せていくが、整合騎士のアリスの脚力にすぐに追いつくことができない。徐々にしか距離が詰められず、歯がゆい思いに襲われた時だった。
「…(ゾクッ!)…っぅぅ!?!?」
背筋が凍る…まさしくその言葉の通りの恐怖…今まで感じたことのない悪寒が全身に走った。それに倣う様に思わず上空を見上げてしまった…そして、僕の頭上を大きな影が通り過ぎて…
「アリス、危ない!?」
「っ!?」
叫んだ時にはもう遅かった…その影、黒き大型の飛竜はアリスの後方から素早く襲い掛かり、その体を右足で捉えたのだ。
「くっ…このぉ…エンハンス・アーマ…」
「ふん…」
「えっ……っ…!」
捕まったアリスも抵抗しようと、金木犀の剣の武装完全支配術を発動させようとするが、黒飛竜に乗った男が手を翳したことで、黒い霧が彼女を包み、そのままアリスは動かなくなってしまった。
「…アリス…!」
彼女の名を呼ぶも、届いていないのか、アリスは全く反応しない…その光景が…彼女を攫った男と飛竜の光景が、僕の記憶を刺激する。
『アリス・ツーベルクを禁忌条項抵触の咎により、捕縛・連行し…審問の内、処刑する』
(ドクン!)
飛竜に繋がれた鎖により拘束された幼きアリスの姿が…
『待って下さい!』『騎士様!話を聞いて下さい!』
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
(ドクン!?)
アリスの無実を必死に訴える親友たちと、それを聞き入れない騎士の姿が…
『ユージオ、頼む!行ってくれ!』
『あんたら…!アリスがどうなってもいいのかよ!?そんなに、禁忌目録が正しいっていうのかよ!?』
(ドクン!!)
親友たちの声に応えられず、迷うあまり動くことができない僕の姿を…
『…さようなら…』
(ドクン!!!)
声は届かなかったが、口の動きでそう見えた…辛そうに見えた彼女の顔が…
心臓の音が嫌な程、頭の中に響き渡っていた…周りの戦闘音など、全く耳に入ってこない。全身の血が沸騰しそうな程に熱く、剣を握る力がどんどんと強くなることだけを感じていた。
現在と過去…飛竜とアリスの姿が重なって見えた…そして、限界を超えた心が体に応え、叫んだ!
「っ…うわあああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああぁぁぁ!?!?!?」
咆哮と共に秘奥義を力任せに地面へと叩き付けた!
制御し切れていない青薔薇の剣の力が爆発し、極限にまで高められた秘奥義の一撃が、周囲から一気に迫って来ていた赤鎧たちを後方部隊ごと吹き飛ばした。
「来い、凍華ぁぁぁ!!!」
『…!グオオオォォォォォ!!』
周辺を一掃し、僕は凍華を呼ぶ…出せるだけの声での叫びに、待機していた凍華が応えてくれた。飛来した凍華に飛び乗り、僕は手綱を握る。
「絶対に逃がすなぁ!?…もう二度と…あんな過ちは繰り返さない!!」
『グル!!』
その言葉に応えるように、凍華は一気に加速した。
黒飛竜に乗っていたのが敵の指揮官…ベクタだとすれば、ここで逃がすわけにはいかない。必ずアリスを助け出す…その思いと共に僕は奴から目を放すことなく、追い続けた。
「ユージオ!?一人じゃ無謀だ?!…ちぃ…こいつら、邪魔をしやがって!?」
アリスが攫われ、その追撃に単独で出たユージオを追おうとしたベルクーリだったが、赤鎧の暗黒兵士アバターを使っているアメリカプレイヤーたちに阻まれてしまい、悪態を吐いていた。だが、
「リリース・リコレクション!」「ライトニング・フォール!」
記憶開放術により翼を得た双刃がプレイヤーたちを容易く斬り裂き、月夜神の加護により強化された斬撃が地面を伝って広範囲のプレイヤーを足元から抉り裂いた。
「行って下さい、団長!」
「こっちはボクたちに任せて!」
「すまん、レンリ、ユウキの嬢ちゃん!」
「どきなさい、造兵共ぉ!!」
周囲を一掃されたことで、動けるようになったベルクーリは、道を作ってくれたレンリとユウキに礼を言う。その少し離れたところで、苛烈な一言と共にアメリカプレイヤーたちが宙へと舞っている光景が出来ていた。
「…!イーディスか…!」
「騎士長!?さっきの…アリスが連れ去られたの!?」
「そうだ…ユージオの奴が先行して追ってる。お前も来い!俺たちも追撃に入るぞ!」
「…ええ!」
闇斬剣の武装完全支配術による防御・バフ無視攻撃を組み合わせた刀系秘奥義でプレイヤーたちの波を一瞬で無効化してきたイーディスがベルクーリに駆け寄る。手短に彼女へと状況を述べ、ベルクーリが口笛を吹くのに合わせて、イーディスも自身の飛竜を呼ぶ。
「行くぞ!最初から全速力で行くから、遅れるなよ!」
「上等よ!…って、雨緑、あんたも来たの!?」
『グオォォォ!!』
「ふん、お前さんも主人が心配なんだな…ついてこい!」
それぞれの飛竜、星咬・斬舞に飛び乗る二人だったが、アリスの飛竜である雨緑までもが飛来したことにイーディスが驚き、その気持ちを察したベルクーリが同行を許可した。そして、ユージオを追い、二人も追撃を開始した。
『これから私は目的の回収に向かう…クリッターのおかげで戦場は大混乱だ。お前の欲望のまま、望むままに殺してくるがいい…リッパー』
「…と、放置してくれるのは有難いが…言うだけ言って、自分は竜に乗っていくのかよ。流石は大将というか、らしいというか…まぁ、いいか」
ベクタ…ガブリエルが目的を確保したことを遠目で見ながら、アンダーワールドに降り立ったリッパーはそんなことを考えていた。アスナが地形操作により作り出した谷の反対側…混沌とした戦いとは全く関係ない場所に奴はいた。
(ああは言ってたけど、ガブリエルの奴、リーダーの癖に全く考えが読めないからな。一体どこまで本当のことを言っているのやら…いや、俺やヴァサゴを始め、まともな奴なんかがいる部隊じゃなかった、俺たちは…ケッケッケッ!!)
全員が狂っている…そんな部隊に所属していることを、どこか嬉しそうに心の中で嗤う…そして、その視線が混沌とした戦場へと向かい、その笑みが更なる狂気を増して歪に大きくなることを感じる。
(いいぞ…!もっと、もっと殺し合え…!そうでないと…この身体は使いものになんねぇかならな!)
リッパーの視点…死霊人形師の眼を通して見る光景に、リッパーは更なる死を戦場に求める。既に集め終わっていた何かの光片が更に出現し続け、それが増えるたびにリッパーは回収していく。
進化し続ける別の悪意が、その手を人界軍に伸ばそうとしていた。
ユージオ、ブチギレ…!
前々から、この話を書くに当たって、「アリスの攫われ方見たら、ユージオの逆鱗に触れるんじゃねぇ?」と思っていたわけですが、書いてて尚更だと感じました。
周りに味方いたら、確実に巻き込む一撃を放つ程に半ば暴走し掛かってます。
そんなユージオとアリス奪還のために、ベルクーリとイーディスが向かいましたが…そうです!本作では、ベルクーリに加え、ユージオとイーディスでの三人体制でベクタと闘う訳でございます!
そのお話はもうしばしお待ち頂ければと思います。
そして、ルナリスの反動が初めて出ましたが…7倍であれですから、最大の10倍を使ったらどうなることやら…書いてて作者のメンタルがガリガリ削られております…本当にすみませんの気持ちでございます(…誰が言ったか、界○拳)
それに加え、またしても最後に暗躍しております、オリ敵…
能力の詳細隠す気ゼロです…(笑)名前からして、大体察している方も多いと思いますので…
次回はようやく彼女の登場シーンになりますが、もう一つの悪意が遂にその牙をむけます…そんな急展開のお話になります。
それでは、また!
武器解説に関して、新調と古いものだとどちらがいいですか?
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物語の語り部を新調版
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今までと同じ旧式版