ソードアート・オンライン~夢幻の戦鬼~   作:wing//

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本作だと珍しいアスナ回です!
ようやくアンダーワールドにコンバート部隊が降り立ちます!
そして、あのキャラも…?

それではどうぞ!



第ⅩⅩⅩⅤ話 「縁が導きし援軍」

「「「「「WOhhhhhhhhhhhhh!!」」」」」

 

(…来たわね…)

 

ダークテリトリー南部…50メルを超える二つの祭壇とそれらの真ん中に約7~8メルほどの幅がある通路の構成をした遺跡に、アスナ・カーディナル率いる人界軍は位置していた。

 

自分たちを追ってきたコンバートプレイヤーたちの雄たけびが聞こえ、小休止を取っていたアスナはその目を開き、立ち上がった。

 

「みんな…キリト君のこと、お願いするわね」

「はい!お任せください、アスナ様!」

「必ずお守り致します!」

「アスナ様もどうかお気をつけて…!」

「命に代えても…」

 

ロニエたち傍付きトリオとリーナの頼もしい言葉を聞き、アスナも凛とした表情で頷き、その言葉に応える。

 

「アスナ、準備はよいか?」

「ええ、カーディナルさん…指揮の方はお任せします。前線にいると、どうしても視界に限界があるから…」

「任せておけ…お主にも辛い役割をさせるのじゃ…それに比べれば、軽いものじゃ」

「…ありがとう…任せて。絶対に…キリト君のところには、敵は通させないから」

 

総指揮を任せたカーディナルとそう言葉を交わし、前線へと移動するアスナは静かに息を整えていた。前方には、人界軍を襲い掛かろうとするコンバートプレイヤーたちが舞い上げる砂塵が既に見えていた。

 

(…大丈夫…ユウキも、ユージオも、アリスも、シノンも…みんながみんな、できることを全力でやっているんだから…私は、今私ができることを…!)

 

美しき顔が、決意を秘めた表情へと変わり、アスナはあの時の感覚を思い出していた。SAOで、自身が『閃光』と呼ばれていたあの時の感覚を…

「…!くるぞ!迎え撃って!!」

「…っ!」

 

神器『ラディアント・ライト』を抜き、闘気を解放するアスナ…前線を指揮するレンリの合図で兵士たちが動き出すのと同時に、アスナも動き出した。

 

人界軍とコンバートプレイヤーたちが激突し、互いにその命を削り合っていく中…次々と赤鎧を斬り裂いていく光があった。あまりにも早すぎるその動きに、コンバートプレイヤーたちはその目を疑っていた。

 

「はぁぁぁ!!」

 

その姿を視認した時には、もう既にその頭に剣が突き刺さっていた。そして、次の瞬間には、抜いた剣を切り返し、背後に迫っていたプレイヤーの片手剣を容易に砕き、またしても頭部への一撃で仕留める。

 

明らかに一人だけ、動きが違いすぎる敵がいることに気付いたコンバートプレイヤーたちだが、視認した時にはもう既に間合いに入られてしまい、超速の一撃を見舞われてしまうのだ。

 

「…The Flash……?」

 

その閃光とも取れる剣技に、プレイヤーの一人が呟いてしまった…まさしく、『閃光』の名をこれでもかと体現していくアスナの奮闘に、次第にコンバートプレイヤーたちのヘイトが彼女へと集中していく。

 

しかし、スーパーアカウントである『創造神ステイシア』を使い、SAOから何度も死地を切り抜けてきたアスナを、たかが好奇心や遊び半分で不正ダイブし、低レベルのアカウントを使っているコンバートプレイヤーたちがそうそう捉えることができる筈もなく、

 

「くっ…はあああああぁぁぁぁぁ!!」

 

細剣ソードスキルをも駆使したアスナの一撃で、更にポリゴンへと変えられていくプレイヤーたち。一撃必殺で次々と赤鎧を仕留めていくが…兵士たちの命が減っていく中で、圧倒的な物量で攻めてくる赤鎧たちに、徐々に前線が押されていく。

 

攻撃に触れないでいたアスナへも、敵の数がどんどんと集中していくことになり、背後に迫っていた敵の頸を撥ねた隙を狙われ、その頭部に棍棒の一撃が掠めた。

 

「いっ……ま、だ…!」

 

細剣ソードスキル〈ストリーク〉で棍棒ごとプレイヤーの身体を斬り飛ばし、頭部から流れ出た血を、左手で乱暴に拭りとるアスナ…その怯んだ隙をチャンスだと捉えた5人の赤鎧たちが特攻を掛けるも…

 

「…っ!まだよ!はあああああああああああぁぁぁぁ!!!」

 

先程の速さなど全力ではなかったと言わんばかりに、更に速度を上げたアスナの動きを敵は捉えられず、ステイシアのステータスにより強化された細剣ソードスキル〈リニアー〉で、まとめてその命を屠られる。

 

まだ闘える…鬼のような闘気を纏うアスナに、コンバートプレイヤーたちも一瞬怯むも、アスナを討つべく、再び突撃を開始した…そんな敵たちを突き倒していくアスナの姿を見ている者がいた。

 

「…流石は『閃光』…フッフッフッ!相変わらずキレると容赦ねぇな。次から次へと殺す、殺す…でも、そうじゃないとな、お前らしくないよな…『閃光』?」

 

遺跡の祭壇から戦場を見下ろす灰黒のポンチョを纏った、右目のすぐ横に稲妻のようなタトゥーが入っているその男は、敵を屠っていくアスナを見て、懐かしそうに、そして、どこか狂気が混じった喜びを感じていた。

 

「さてと…あいつがいるなら、間違いなくお前もこっちに来てんだろう……どこにいんだよ、愛しい愛しい…黒の剣士よぉ…!」

 

その凶喜を隠すことなく、男は歪な笑みを浮かべ、自身が求める者の二つ名を呼び、その姿を消した。

 

そして、

 

「What the hell...it’s not fun at all,this game...!? I will log ou..GHAYAA!?」

「っ…!」

 

第一陣が壊滅し、戦意を失ったプレイヤーがアンダーワールドから離脱しようとするも、それを許すまいと、背後から頭部に剣が突き刺さった。

 

無我夢中で闘い続けたアスナに、敵がログアウトしようとしているなど判別できるわけもなく、逃げることも敵わず、そのプレイヤーも激痛のまま、ポリゴンへと姿を変えた。

 

しかし、人界軍が受けた被害も決して少なくはなかった。前線を維持していたほとんどの兵はその命を散らし、アスナの周りは彼らの亡骸が目につかないところがないぐらいにあった。

 

なんとか第一陣を退け、集中力も尽きかかっていたアスナ…その倒れそうになった身体を、剣を地面に突き刺すことで無理矢理支える。もう何人…いや、何十人のプレイヤーを倒しのか分からない…息継ぐ間もなく剣を振るい続けたものの、今や前線でまともに闘うことができるのは、アスナと整合騎士のレンリだけだった。

 

だが、もう既にコンバートプレイヤーの第二陣が攻めかかろうと、武器を抜刀しながら迫って来ていた。

 

「まだ、よ……この身体が倒れるのは、心が折れた時だけ…私には、キリト君たちが守ろうとしたこの世界を…みんなが守ろうとしているこの世界を守りたいという気持ちがあるわ…!だから…この心が折れない限り、私は永遠に立ち続けられる!!」

 

こんなことでは折れない、ここらこそが本当の闘いなのだと言わんばかりに、どんなに傷つこうとも、アスナの目から光と決意が消えることはなく、剣を構える。

 

そんな彼女の意思や覚悟など知ったことではないとばかりに、第二陣のコンバートプレイヤーが突撃を開始した。だが、その時…

 

「っ…あれは…あの光は…また敵の、援軍……?!」

 

アスナたちの上空から光が溢れ、襲い掛かろうとしていたプレイヤーたちは驚きのあまり、その動きを止めてしまった。対するアスナは、またしても外国のVRMMOプレイヤーたちが乱入してきたのかと、その心に絶望を感じられずにいられなかった。

 

ただでさえ、ギリギリの瀬戸際に対し、これ以上敵が増えたりすれば…しかし、その考えは大きく裏切られることとなった。

 

「旋車!」「ワール・ウィンド!」「浮舟!」

 

三者三様の剣技の名が響き渡り、

火妖精侍の刀が竜巻のエフェクトと共に敵を斬り裂き、

土妖精の斧技は大地を割るかの如く敵を吹き飛ばし、

鼠の相棒が放った刀技は鎧など紙も同然の様に敵を屠った。

 

「あっ…ぁああ…!」

 

空から降り注いだ光から現れた彼らの姿を見て、思わず言葉が漏れたアスナ…敵なんかじゃない…その姿は、折れそうになっていた自分にとって、今という程、助けてほしいと思っていた人たちであり、

 

「…おう!大分待たせちまったようだな……アスナ」

「すまねぇ、遅くなっちまった」

「クライン…さん…?!エギルさんまで……それに…!」

 

「Shit!? Kill you!!」

「っ!?」

「おりゃぁ!人が折角感動してるところに、水を差すんじゃないヨ!…かなりやられてるみたいだけど、なんとか間に合ったようだな……アーちゃん?」

「シグさんに、アルゴさんまで…!?…どうやってここに……うぅ…!?」

 

クラインにエギル、そして、シグだけでなく、背後から襲い掛かろうとしていた赤鎧を手甲で吹き飛ばしたアルゴ…ALOのアバター姿の彼らがここにいることに驚きを隠せないでいるアスナ。

 

しかし、安心感から気張っていた体から力が抜けてしまい、倒れそうになったアスナ…そんな彼女を背後から抱き留めたのは、

 

「ったく…本当に世話が焼けるんだから」

「でも、無事でよかったです…アスナさん」

「リズ…シリカちゃんも…!来て…くれたんだ…!」

「来るにきまってるじゃない…!親友のアンタが必死に闘ってるのを放っておけるわけがないじゃない…!」

「そうですね…リズさんの言う通りですよ!」

「…本当に…こんなになるまで無茶して…傷だらけになって…一人で頑張り過ぎだよ、アスナ」

「後は私たちに任せて下さい…みんな来てくれましたから」

「…みん、な…?」

 

抱きしめてくれたリズとシリカの言葉の意味が分からず、思わず言葉を復唱するアスナ。その言葉に応えるかのように、次々と青き光がアンダーワールドへと降り注いだ。

 

「我が気高き火妖精族よ!前方に見えるのが、この世界を壊そうとする敵だ!手加減など一切無用!我らの力を奴らに見せつけてやれぇ!全軍、突撃!!押し返せぇぇぇぇ!!!」

 

大号令と共に、自身の愛刀『魔剣グラム』を抜いたユージーン将軍率いる火妖精たち、

 

「我らもユージーンたちに遅れるな!風妖精族の力の全てを見せる時だ!前衛抜刀!メイジ部隊、ヒーラー部隊は一旦アンダーワールド人部隊と合流して、呪文を確認してから戦線に復帰しろ!」

 

刀を抜き、後衛部隊へと指示を飛ばしてから、自らも前線へと出たサクヤを始めとした風妖精族、

 

「あの赤い鎧の奴らが敵ダァ!猫妖精族のみんな、構わずにみんなやっつけるヨー!!」

 

明るい声だが、その声色には遊びなどは全く含まれておらず、容赦なく敵を倒すのだと闘気を放つ猫妖精族を導くアリシャー・ルー、

 

…そして、駆け付けてくれたのは、彼らだけではなかった…

 

第三回BoBにて、キリト・シノン・フォンのことを知り、知り合いとまではいかなかったが、オーディナル・スケールの一件でも協力してくれた闇風、ダインを始めとしたGGOプレイヤーたち、

 

SAOにて、キリトやフォンに恩義を受けたディアベル、シンカーを中心としたSAO帰還者たち、

 

そして、アルゴの策で、リズの言葉に共感を受けた他のVRMMOから駆けつけてくれたプレイヤーたち…

 

「…サチ…絶対に無理はするなよ」

「うん…!ケイタも…気を付けて!」

 

かつて…黒猫の名を背負い、友に八つ当たりに近い最悪の言葉を掛け、それを後悔し立ち止まっていた者たち…今は剣士とヒーラーを担っている二人、

 

「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」

 

その中には、かつて絶望した記憶から、キリトたちと対峙し、大事な人の記憶を救うのに助けをもらった闇妖精・影妖精の兄弟の姿が、そして、

 

「…私だって……きっと力になれるよね……フォン…!」

 

短剣を握り占め、かつてSAOの裏の世界にて、背中を預け合い、自身を影から助け出してくれた人の名を呼ぶ影妖精の女性の姿がそこにはあった。

 

キリトとフォン…彼らがこれまでに積み上げてきた絆が、アンダーワールドの危機に際し、救いの手を差し伸べたのだ。

 

「さてと…てめぇらには個人的な恨みはねぇが、ダチを散々痛めつけてくれた上に、そいつらが守ろうとしたもんをぶっ壊そうとしたんだ…!その借りは倍返し、いや、三倍返しに……いいや、千倍返しにしてお返してやるからよぉ!!この野郎どもォォ!!」

「命を奪うなら、自分たちがそうされることをも自覚しろ!!」

 

クラインの啖呵に、シグも同調し、エギルと共に三人も前線へと出た。

 

数で優っていた赤鎧たちだったが、数の差を詰められた上、低レベルアカウントの集団に対し、クラインたちは自分たちのアカウントをそのままコンバートしてアンダーワールドにやってきたのだ。

 

量で押し切れないのに、質で完全に負けている赤鎧たちが抵抗できるわけもなく、先程まで蹂躙していた立場が、今度は自分たちが反撃されることとなり、完全に防戦一方となっていた。

 

「そんな…みんな、無事に帰れるかどうかも分からないのに…大事なキャラをコンバートして……ゴメン…ゴメンね…」

 

正規コンバートプレイヤーたちがリスクを承知で来てくれ事を、リズから聞かされて知ったアスナは、聞こえていないと分かりつつも謝れずにはいられず、言葉が零れた。

 

「何言ってるのよ、アスナ…私たちがSAOやALOで頑張ってきたのは、きっと…今この場所で大切な物を守るためだったんだよ…!」

「みなさん、その思いでここに来てくれたんだと思います…だから、アスナさんがそんなことを口にしたら、みんな怒りますよ、きっと…」

「……うん…そうだね。そういえば…リズ、シリカちゃん。驚いてて聞き忘れてたけど…みんなをここに、アンダーワールドに連れて来てくれたのは誰なの?」

 

リズとシリカの言葉に、今は謝罪ではなく、感謝すべきなのだと自身の言葉を取り消したアスナ…そして、援軍に来てくれた一同を誰がこの世界へと呼んだのかと聞くアスナに、顔を見合わせて、苦笑いしたリズとシリカはその正体を答えた。

 

「ちょっと、アスナ…そんなの一人しかいないに決まってるじゃない」

「ユイちゃんですよ」

「…ユイちゃんが…?」

「はい。ユイちゃんが、アンダーワールドのことと、ここに生きている人たちのことを一生懸命に説明してくれたんですよ」

「それで、ラースの連中に掛け合って、私たちのアバターをこっちにコンバートできるようにしてくれたってわけよ」

「…ユイちゃんが…そこまで…?」

 

未だに青いコンバートの光が降り注ぎ続ける空…そんなことをやり遂げるために、どれだけ大変だったかな…それほどまでに自分たちを、この世界を守るために尽力してくれた愛娘の姿を思い浮かべ、アスナから涙が零れた。

 

「……ありがとう、ユイちゃん…!」

 

これで自分はまだ闘える…頼れる友と仲間が来てくれて、娘がここまでやってくれたのだ。ここで自分だけがじっとしているわけにはいかない…その想いと共に、神聖術を発動させたアスナの体が光に包まれる。

 

「アスナ…傷が…」

 

リズの言葉通り、ボロボロだったアスナの体は神聖術により、完全に回復し、その目に活気が戻り、更なる光が宿った。そして、前線へと戻ろうとしたアスナだったが、

 

「アスナ!あの戦士たちは一体…!?」

「…誰、このチビッ子?」

 

レンリから報告を受け、様子を見に来たカーディナルの声にアスナの動きが止まった。一方のリズは、いきなり現れたカーディナル(に大変失礼な呼び方をして)の素性をアスナへと尋ねるも、彼女が応える前に、カーディナルが答えた。

 

「誰がチビッ子じゃ……わしはカーディナル」

「この人は人界軍…ええっと…アンダーワールドの人族の総指揮を取っている方なの」

「「……えええぇぇ!?」」

「詳しい自己紹介は後じゃ…それよりも、あの様々な種族が入り混じった戦士たちは何者なのじゃ…」

「彼らは…私の大切な仲間たちよ。みんな、リアルワールドから助けに来てくれたの」

「あの者ども、みなが……そうか。それでは、この二人もお主の友人か…」

「「…うぅ…!」」

 

チビッ子呼ばわりしたこともあり、カーディナルにジッと見られたリズと、それに釣られたシリカに緊張が走る。しかし、そんな二人の反応に関わらず、カーディナルは笑みを零した。

 

「なるほどな…アスナ、お主たちが言っていたことは間違いなかったようじゃな。この世界を守りたいと思っている者はお主たち以外にも沢山いるのだと…あの赤鎧どもばかりでないと知り、安心したわい」

「「…えっと…?」」

「気にするでない、わしが勝手に納得しておるだけじゃからな。人界軍を…いや、この世界に生きる者を代表して礼を言う……力を貸してくれて、ありがとう」

「い、いやいや…その…どういたしまして…でいいのかな…?」

 

いきなり壮大なお礼の言い方をカーディナルにされたことで、パニックに陥るリズ。シリカもどう返すべき分からず、引き攣った笑みを浮かべるしかなかった。

 

「カーディナルさん。今、魔法…神聖術に特化した人たちが後方にいる部隊と合流して、呪文の確認をしています。できるなら、そちらのフォローに回ってもらえますか?」

「分かった…すぐさまそちらの対応に向かう。前線の指揮はお主に任せても構わぬか?」

「ええ、任せて下さい。リズ、コンバートしてくれた人の数は?」

「あっ…うん。ALOからは2千を越えて少し…後はGGOとか他のVRMMOから合流して、2500を超えないぐらいだと思う…ゴメン。頑張ったんだけど、話を聞いてくれたみんながってわけにはいかなくて…」

 

カーディナルに、魔法部隊のすり合わせを頼み、コンバート軍の戦力をリズへと尋ねたアスナ。大まかに把握できている数を伝えるリズだが、自身の力が十分に至らなかったことを悔やみ、その表情が歪む。

 

「リズこそ、何言ってるのよ…充分過ぎるわ!でも、敵が再コンバートしてくる可能性を考えると、消耗戦は避けたいところね………よし。

あまり前線を広げないで、ヒールを厚くしよう。リズとシリカちゃんは、200人ぐらい後方に下げて、支援部隊を作って!」

「オッケー、任せといて!」「分かりました!」

「それと、カーディナルさんに伝えて。ヒーラー以外は治癒術に不慣れだから、アンダーワールド人部隊は修道士部隊を中心にそっちの支援に回ってほしいって。その代わり、前線はリアルワールド人部隊で維持するからって」

「りょーかい!」

「お願いね…私は…このまま一番前の敵部隊に切り込むわ!」

「…止めたって行くんでしょ?だったら、精一杯暴れてきなさい!」

「気を付けてくださいね、アスナさん!」

「うん…行ってくるわ!」

 

友たちの言葉を受け、剣を構えたアスナは一気に前線へと駆け出した。ユージン、サクヤ、アリシャを筆頭に次々と赤鎧たちを打ち倒していくコンバート軍の合間を駆け抜け、アスナ…その眼にある一団が映った。

 

(あれは…スリーピング・ナイツのみんな…やっぱり来てくれたのね!)

 

他のALOプレイヤーたちと一線を画する動きで赤鎧たちを撃退していくギルド『スリーピング・ナイツ』の面々が来てくれていたことに、更にその背中を押してもらえた気持ちになるアスナ。

 

前線をサポートしていたシウネーと目が合い、アイコンタクトで会話し、アスナは更に前を出る。

 

(もう…負けない…!みんながいれば……大丈夫、絶対に勝てる…!みんななら、絶対に勝てる!!)

 

その思いともに振るわれるアスナの剣は一段と鋭く、そして、速くなる。

 

絶望を与えようとした愚者の大群は、希望という名を背負った援軍と合流した人界軍に一気に押し戻された。

 

…しかし…

 

「このまま終わるなんて…面白くないよなぁ、閃光…黒の剣士の出番もなしなんて、そんなのは問屋どころか、この俺が降ろさせる訳がないだろう…?」

 

まだ終わりではない…いつぞやの言葉を想起さえるかのように、ポンチョを被った男は、壊滅寸前の赤鎧たちと、攻勢に勢いづくアスナたちを祭壇から見下ろし、その一言を放った。

 

「It’s show time...!」

 

SAO時代から散々愛用してきた言葉…何人もの血を啜ってきた殺人包丁を肩に掛けた悪魔…元『笑う棺桶』のリーダー PoHが冷たく、暗い笑みを浮かべていた。

 

 




まさかの先行登場、二人目のサブヒロイン…実はギリギリまでアリシゼーションに出すかどうか迷ってました(UW大戦には参加していたという設定で、のちのちのお話で触れるつもりでした)が、折角だし、思い切って影だけでも出しとこうと思っての、登場でした!
本格登場はもうしばらくお待ち頂ければと思います。

そして、最後の最後で何か画策してるあの方も本格登場です…あぁ、ここから先を書くのが辛いです…

まぁ、アスナたちのお話は一旦休止して…
次回は遂にユージオへと視点が戻ります…なんとか一話で収めたいと思って(というか、区切るところがないというのが本音なのですが…)ますが、多分ですけど、結構長くなります。
だって、ベクタが強すぎるんですもん…なので、WoUの中でもまさしく激闘の一つとなる対ベクタ戦を次回はお届けします!
是非ご期待頂ければと思います!

それでは、また!

WENTさん、ご評価ありがとうございました!

武器解説に関して、新調と古いものだとどちらがいいですか?

  • 物語の語り部を新調版
  • 今までと同じ旧式版
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