ソードアート・オンライン~夢幻の戦鬼~   作:wing//

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フォン復活&無双回です!
大概、この作品でやらかしてるフォンですが、復活早々に(良い意味で)またしてもやらかしております(笑)

一言で言うのなら…そろそろ人外認定されそうなぐらいですね…アハハ…

しかも、久々にフォン視点で書いたせいか、リッパーに対する感情が働いてしまったせいか、武器をあれこれ呼び出したせいか…まさかの2万字越えでございます(苦笑)

サブタイに関しては後書きにて解説致します。

それでは、どうぞ!




第ⅩⅬⅣ話 「Observer of the World」

(…マジでギリギリのタイミングだったみたいだな…)

 

覚醒した瞬間、ユウキと俺目掛けて神聖術が迫ってきているのが目に飛び込び、感じるがままに心意を解き放ったのだが…咄嗟の事で加減することができず、放った心意は白銀の光嵐となり、全ての神聖術を防ぎ止め、霧散させてしまった。

 

自分が解き放った心意が…いや、あの精神世界での邂逅が…俺の罪と可能性を気付かせてくれたことで、枷を外すことになったのかもしれない…今までとは、自分の中で何かが変わった感覚がして、心意を通して感じ取るそれに驚いていた。

 

「…フォ…ン…?」

「…!ユウキ…もう大丈夫だから。もう少しだけ待ってて」

 

突然の力に戸惑っていると、その反応を心配してか、もしくは、俺の記憶が本当に戻ったのかを確認するかのように、背後からユウキの声が聞こえた。

 

そうだ…今は、この力に戸惑っている場合ではない。

 

さっきまで気を失っていたせいで、その間の出来事が認識できていないが…ユウキの今の姿を見れば、悠長に覚醒した力を確認している場合でなかった。

 

全身から血を流し、左目を始め体の至る所が何かに侵食され、装備の大半が崩壊してしまっているユウキ…その姿が、どれだけ過酷で、そして、どこまで彼女が辛いことに耐え、闘って来てくれたのかが…嫌という程分かってしまった。

 

「…すぅ……来い、映現世の剣…!!」

 

…まずはこの状況を打開しなければならない…!

 

あの時…セントラル・カセドラル100階で初めて記憶開放術を使った時よりも深く、そして、その存在を感じ取れるようになっていた映現世の剣を強くイメージする。

 

かなり離れた場所にあるようだが、今の俺にとってはそんなものは関係なかった。モノクロになっていた左目の景色に色が戻り、そのまま熱が灯る。

 

左目が銀に変わったことを認識した俺の言葉に従い、突き出した右手の先の空間にノイズによる歪みが生まれ、そこから映現世の剣が現れた。そして、鞘を足元へと放り捨てるように剣を抜き、

 

「…エンハンス・アーマメント…!!!」

 

式句と共に、技を発動させる…!意識が映現世の剣と同化したことで、映現世の翼衣が出現し、纏ったことで左目の銀色が更に光を増す。

 

武装完全支配術の力で二色に染まった映現世の剣の刀身を片手剣の状態へと分離させ、俺は光を解放した!

 

大切な人たちのために天空を掛けた光機の戦翼、一度は文明を滅ぼし、再び目覚めた時には人を救うためにその力を振るった月光の破翅…光翼盾『霧霞』と白古擲球『頑駄鎚』の力を統合した光が、二つの剣から一気に放出された!

 

「「「「「「?!!?!?!」」」」」

 

周囲を覆っていた心意の光嵐を斬り裂き、その外から俺たちを狙っていた人形らしき影を光が包み込む。

 

光の放出される勢いを利用し、その周辺を薙ぎ払うかのように俺が回転したことで、二つの光が全ての影に直撃する…そして、右の光翼に触れたものは跡形もなく消滅し、左の虹翅に触れたものは瞬く間に石化し崩れ去った。

 

「……な、なんだ…何が起こりやがった…?!」

 

眼前で起きた突然の出来事が理解できない…前方にいる、俺を攫った奴がそんな感情を表すかのように呆然と言葉を零していたが…

 

そんな奴を無視し、俺は武装完全支配術を発動し終えた剣を二刀流のままにし、右手に持つ天日剣を、ユージオと闘った時に呼び出した刀『黒暁』へと武装変換術で変える。

 

「…フォ、ン…何、を…?」

「大丈夫…じっとしてて」

 

黒暁から、特殊能力「不知火の炎」を発生させながらユウキのすぐ近くに歩み寄る。突然のことに、ユウキも俺の意図を図りかねて困惑していたが…説明するよりもやってみせた方が早いと、俺は黒暁をユウキへと押し付けるとその身体を炎が包む。

 

「…!ふざけんなぁ……ふざけんじゃねぁぞぉ!?死人形共ぉぉぉ!!」

 

不知火の炎がみるみるとユウキの身体を癒していくが、ようやく我に返った敵が雄たけびを上げる…そして、次の瞬間、今度は俺たちのすぐ近くから、こちらを覆い隠す程の影たちが地面から飛び出してきたのだ。

 

「…!?ダメ…!あの人形に触れたら…?!」

「…そういうことか…だったら…」

 

その言葉に、ユウキの侵食していた何かが、この影らしき人形が原因なのだとすぐさま理解できた。飛び出した勢いで宙へと浮かんでいる人形たちの中には、体から何かが爛れ落ちている個体も見受けられた。

 

考えられるとすれば、血か体液かによる呪いか毒といったものだろう…今にも俺たちへと覆い被さろうとしている人形たちを見て慌てるユウキに対し、俺は冷静に左手に握っていた月影剣を媒体に武器を呼び出す…

 

だが、その武器を呼び出す前に、空から落ちていた人形の半分は体が弾け、残った人形たちと共に、俺たちへと降りかかった。

 

「ヒャーヒャヒャヒャヒャ!?何者だか知らねーがぁ!これでゲームオー……はぁ…?!」

 

勝ち誇ったかのような狂った高笑いが止まる…理由など決まっている。

 

「……っ…!えっ…!?」

「…大丈夫って言ったろ」

 

周囲が覆い尽くされる瞬間、呼び出した武器が盾となり、俺とユウキの身を人形たちから守った。そして、目を開けて驚くユウキに向け、俺はそう言葉を掛け、武器の力を解き放つ。

 

盾壁となっていた白緑の光を放つそれが形を変え、いくつもの光の帯となって周囲に乱雑に散らばる。光の帯に触れた人形たちとそのドロドロとした体液が紙のようにバラバラに刻まれ、塵となっていく。

 

「フォン…どうやって……あっ…傷が…?!」

 

俺が何をしたのか分からず、驚きと困惑しっぱなしのユウキ…だが、声が普通に出る様になったことに気付き、自分の怪我が完璧に治っていることに更に驚いていた。

 

そんなユウキに押しつけていた黒暁を彼女から離し、俺は言葉を掛ける。

 

「ユウキ、聞きたいことがいっぱいだと思うけど…もう少しだけ待っててくれるか?すぐに…すぐに終わらせてくるから」

「……うん…!」

 

俺の記憶が無事に戻ったことを確認できたこともあったのだろう…ユウキはどこか安心したように笑い頷いた。そして、俺は左目を閉じ、意識をアンダーワールド全域へと集中させる。

 

…意識を失っている間にどうやら色々起こっていたようだ…あんまりここで時間を掛けることはできないが…あいつだけは放っておくことはできない。

 

「何だよ、お前ぇ!?さっきまで眠ってたくせに、起きた途端、わけのわからないこと、をぉ…ぐぉおおおぉぉぉ?!」

 

すぐさま現状をおおまかに把握し、俺は背中を向けている奴へと意識を戻す。二度も思惑を邪魔されたことに怒りの声を上げていたが、またしても、それが途切れた。

 

聖救手『神ノ道化師』…左手を中心に白い衣が翼衣の上から覆い被さり、起点となった左手は…あるものを救済するための左手を模した聖爪へと変わっていた。

ありとあらゆる呪術に対する特化性能を持ったこの武器の前では…全ての呪術・呪物は効果を失い、攻撃されたものは無へと還る。

 

呪いの人形たちを無効化したのは、この武器のお陰だ。ユウキが危惧していた呪いの体液をも完全に無効化し、人形をあるべき場所へ還した一撃…乱撃を放った時、衣を奴の身体へと伸ばしていたのだ。

 

「ぐおお…がああああああああぁぁぁぁ?!」

 

いきなり身体が引っ張られたことで、奴が絶叫する。そして、引き寄せた奴の身体が来たタイミングで、

 

「っ…?!」

「がぁ…?!ごべばぁ!?」

 

勢いよく振り返った反動までもを加え、奴の顔面に右拳を叩き込んだ。怒りによる正と負の心意が籠った拳は、直撃した顔面に何かが割れる鈍い音を発生させ、情けない声を出した奴を、元いた方向へと吹き飛ばした。

 

「…これは……なるほどな。これが人形たちの正体ってことか…」

 

殴り飛ばされた奴はすぐに立つことでができないでいた。その間に、聖救手『神ノ道化師』の副作用で左目の前に出現した歯車のようなレンズで、先程塵と化した人形たちの…元となったそれの正体を知る。

 

アドミニストレータと闘った時から感じていたが、映現世の剣の力…武装変換術を完全に使いこなせるようになったことで、やっと呼び出せるようになった武器があった。

 

聖救手『神ノ道化師』や不知火刀『黒暁』もその類の武器だ。

特に、前者は使っている間、体力を消費していくデメリットがある…強力な武器が呼び出せるようになったものの、それ相応のリスクもあるということなのだろう…それで、映現世の剣には、ああいったリミッターみたいな制限が当初はあったのだろう。

 

そんな考察はさておき…体力の消耗を抑えるため、変化させていた黒暁・神ノ道化師を元の夫婦剣たちに戻し、俺は意識を人形使いへと戻した。

 

「ぐぅぅ…ああぁ?!出くわした時から余計なことばっかりしてきやがって!何なんだよ、てめぇは!?」

「俺が何者なんかどうだっていいだろう…お前の能力…あの人形たちは、人の…散っていったフラクトライトたちの残片を無理矢理材料にしているんだな」

「…どうやって知ったかはしらないが…そうだよぉ!便利な能力だよ、この死霊人形師ってアバターはぁ?!死んだ道具を、自分の手駒にできる!こんなに大勢の奴らが死ぬ戦いじゃ、俺の能力はうってつけなんだよぉ!」

「道具、だと…?」

「…あん?道具だろうが?!所詮は、ジャパンの科学者共が造った人の紛い物だろうが、あんなAIなんかはよぉ!むしろ、それを再利用してやってる俺様に感謝してほしいくらいだぜ!?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

頭に血が昇るのがよく分かる…道具…ユージオたちを、この世界に生きる人たちの必死になっているその姿を無下にされたことに、既にキレかかっていた俺の感情が更に高まる。

 

「…一応聞いておいてやる…降伏する気はないんだな?」

「はぁぁ…?一度や二度、死人形たちを無力化したからって調子にのってんじゃねーよ!?俺にはまだまだ道具が残ってる!お前がどんなにチートしようが、力尽きるまで呼び出してやるだけだよぉ?!」

「…そう、か……なら、丁度良かった。お前を許すことなんてできそうになかったんでな…!」

 

もし勧告に応じるようであれば、なんとか怒りを収めようとかと考えていたのだが、その必要はないようだ。

 

ユウキがあそこまで追い詰められたのは、きっと俺のせいだ…だから、俺は自分にも怒りを覚えて、もしも奴が降伏するようなら見逃すべきだと少しばかり思ったのだ。

 

だが、残念ながらというべきか、それとも予想通りというべきか…奴は狂気を振り撒くことを止める気はないようだ。

 

ならば…もう容赦する必要もないのだろう。両手に持っていた剣たちを交差するように半身引いた形で構えた俺は、闘気と殺気を解放する。

 

「だったら…お前のくだらない考えをここで止める!」

「はっ…!やれるもんなら、やってみやがれ?!」

 

その言葉を引き金に、奴が指を鳴らすことで三度人形たちを地面から出現させる。10、20、30…数えきれないほどの物量が周囲を埋め尽くしていく。俺だけじゃない、ユウキまでも包囲するかの人形たちが姿を現していく。

 

「まだまだ増やせるぜ!女を守りながら、この数を相手にできるなら、やってみせろよ…このヒーロー気取りのガキがぁぁ?!」

「……なら、その言葉通り、そうさせてもらう!」

 

挑発に乗っかかる様に応えた俺は、左手で持っていた月影剣を空高くへと放り投げた!武装変換術を施していた剣が光を放ちながら、上空へと投げられたことでその場にいた全員の視線がそれに釘付けになった瞬間、右手の天日剣も武装変換術を発動させる。

 

「武器を投げて、何を……っ!?どこに行きやがった…?!」

 

視線をすぐさま俺に戻したようだが、もう既に遅かった。奴の言葉通り、俺はその場にはもういなかった。そして、離れた位置にいた人形たちの群れに突っ込んでいた。

 

「っ…!うおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!」

 

天日剣が変化した黒銀のグローブから出た橙色の炎を纏い、一体の人形へと殴り掛かる。軽快な動きとは半比例にもの勢いで殴られた人形が吹き飛ぶ。

 

そして、周囲にいた人形たちも、突如現れた俺をようやく認識し、飛び掛かってくるが…グローブから一気に炎を噴出させ、人形たちへと浴びせる。人形たちは燃えることなく、しかし、その身体が土となっていく…そして、

 

「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」

 

赤き土塊と化した身体は重力に引かれ、地面へと落ちて砕ける…そして、体液を零すこともなく、土へと還る。そこに追撃とばかりに、無詠唱で発動させた武装完全支配術を叩き込む。

 

超死炎手『イクスチェーロ』…人の生命力を変化させた炎…「調和の炎」と呼ばれる特殊な炎を生み出せるグローブで強化された腕力はただの鎧など溶かし尽くし、拳を喰らわせる。そして、「調和の炎」は殴った対象の状態を周囲の環境や物質へと同調させる。

 

死霊人形たちの呪いを…いや、その体質そのものをダークテリトリーの荒野の土と変えてしまう調和の炎が、グローブからガントレットへと変わった右手に先程放出させた炎以上の密度を以て集約する。

 

「はああああああああああぁぁぁぁぁぁ!!」

 

左手の炎を用いた推進力で空へと飛びあがり、地上目掛けて集約していた右手の炎を殴りつける様に開放する。

 

解き放たれた炎は、すぐさま巨大な炎球へと変わり、その直線上の人形たちを呑み込んでいく。そして、それを確認することもなく、俺は次の地点へと炎の推進力で高速移動し、再び武装完全支配術で炎球を殴り放つ。

 

「くそぉ!?人形共の反応が追い付いてねぇ?!こうなったら、女の方を集中して狙えェェ!?」

「…くっ…!?」

 

次々と移動しては、調和の炎で人形たちを無効化していく俺に対処するどころか、その姿を目で追うことがやっとの奴が、狙いをユウキへと集中させるように指示を出した。

 

その言葉をユウキにも聞こえており、なんとか抵抗しようとするも剣を構えるユウキ…だが、そんな思惑通りに俺がさせるわけもなく…

 

「ユウキを守れ!!」

 

俺の言葉に…いや、意識を受信したそれらが上空からユウキの周りへと降り立つ。ユウキへと死霊人形たちが襲い掛かるも、周囲一メートルに近づいた瞬間、見えない壁にぶつかったかのように吹き飛ばされた。

 

中には神聖術を放つ死霊人形たちもいたが、神聖術までもが何かに遮られたかのように防がれ、神聖力へと霧散してしまった。

 

「……これは…盾…?」

 

自身を守るかのように周囲を浮遊する三枚の盾を前に、ユウキからそんな言葉が漏れる。そして、そのうちの二枚が俺の意識に従って、ユウキの周囲に出現し続けている死霊人形たちへと襲い掛かる。

 

一角獣盾『ポジビリーシールドWH』…心意を組み合わせることで、その真価を発揮する可能性の獣が使っていた鋼盾。俺の心意の色を表わすかのように白銀と蒼の光が装甲のところどころから漏れ出し、ユウキを守護する矛や盾となり、人形たちを駆逐していく。

 

ユウキへの守りを盤石にしながら、飛び回りながら超死炎手『イクスチェーロ』の武装完全支配術を叩き込みまくっていく。

 

そして、ある程度一掃できたところで、上空へと飛び上がった俺は、グローブを次の武器へと変化させる。

 

「すぅぅぅぅ……いくぞぉぉぉ!!」

 

武器を変えたことで、炎の推進力も無くなったが…重力に引っ張られた勢いまでもを威力へと転換し、俺は新たな武器の武装完全支配術の一撃を振るう!

 

山吹輝槍『アルケーミハーツ』…呼吸に応じて内臓されたエネルギーが、その刀身をショートランスから巨大な突撃槍へと拡張され、落下地点にいた人形どもへと薙ぎ払われていく。

 

言ってしまえば、体液を無効化するだけでなく、体液を流させることなく消滅させてしまえばいいわけで…高エネルギーを纏った身長の何倍ものの長さを誇る刀身での広範囲攻撃は相性が良い。

 

映現世の剣の…武装変換術の弱いところは、武器によっては味方を巻き込みかねない程の威力を容易に出してしまうことだが…それを踏まえ、ユウキを盾でガードしたわけで…

 

「全力で…斬り裂けぇぇぇ!!」

 

重力を相殺するかの勢いで、地面をも斬り裂きながらエネルギーの刃を振り降ろし続ける。その度に、死霊人形たちが刃に呑み込まれ、消滅していく。無事に地面に着地できたのも束の間、すぐさま次の武器を呼び出す。

 

ドクロマークが柄に装着された剣へと手元で変化し、そこにユウキの周囲の死霊人形を一掃できたことで、二枚の一角獣盾が俺に合流してきた。その盾に動きに連動させ、剣の武装完全支配術を無詠唱発動する。

 

「さてと…海賊らしく、暴れてさせてもらう!!…なんてな…!」

 

刀身が高圧エネルギーを宿したかと思えば、刀身と柄が分離…いや、チェーンによって延伸された刀身が思うがままに動き回り、チェーンからもエネルギーが刃となって放出される。

 

蛇腹剣…片手剣と鞭の両方の特性を併せ持つメカニック要素の強い、海賊鎖剣『ムラマサ』が残ってる人形たちを焼き斬る。

 

さらに、一体の人形に突き刺さった刀身を切り離し、別の人形を剣を掴んでいた部分で拘束し、周囲の人形たちにぶつけ、宙を飛び回っている盾で押し潰す。

 

こうなってくれば、俺だけに体液が散らない様にすればいい…意志だけで自在に動かせる盾を同時に操るわけだが、その程度のマルチタスクは今まで嫌という程やってきたので、防御を盾でカバーし、蛇腹剣で残っている敵を殲滅するなど容易い。

 

「…どういう…なにが…なぁ…はぁ…?!」

 

何か聞こえたような気がするが、流石にそっちの方にまでは気が回らず、動き回りながら剣を操っていく…そろそろ終わりにしようとするか。

 

盾と蛇腹剣を、それぞれ別の武器に変化させる…右手に鉄の輪、左手に黒き細剣を装備した俺は、その速度は減ったとはいえ、未だに増え続けている人形たちの群れを飛び越し、

 

「えっ…フォン…?!」「なぁ……沈んだ…?!」

 

ユウキと敵の驚きの声が重なる…頭上を飛び越し、群れの中に飛び込んだ俺が地面へと沈んだように見えたのだから、そう言うのも無理はない。だが、驚くのはまだ早いもので…

 

「「「?!」」」

 

地面から鉄の輪が飛び出し、死霊人形たちの首を纏めて弾き飛ばした!

 

「「「「「?!?!」」」」」

 

更には、地面から何かが飛び出し、人形たちの顔面へと風穴が開けられていく。

 

「…っ?!またあいつの仕業か…!?」

 

驚くことはできても、対処することができない…人形使いだけでない。死霊人形たちも、攻撃してくる場所が分からないので、周囲を見渡すことしかできていない。

 

(そろそろリミットか……一気に決める!!)

 

武装完全支配術状態により、敵にヒットする度にその数を増やしていく土着神具『八百万ノ輪』…そして、影侵狼剣『楓牙』により、一方的な攻撃を加えていたが、時間制限が迫ってきたこともあり、俺は残っている人形たちへと…奴らがいる場所目掛けて技を連発する。

 

数えきれない程に分裂した金輪は増え続ける人形たちを圧倒し、地面から九つの突きが飛び出し、それぞれが人形たちの顔面を貫いていく。

 

「…よっと…!」

 

約60秒…制限時間が迫ったことで、影から飛び出した俺は、心意でソードスキルを発動させたことで変化した金色の右目をも併せて周囲を見渡す。

 

「…か、影に…潜んでいたのか…?」

 

人形使いの言葉通り…俺は影侵狼剣『楓牙』の武装完全支配術で人形の影を通って、影の世界にいたわけだ。まぁ、時間制限が短い事と、遠距離攻撃できる手段がないとイチイチ影を出ないと攻撃できないというデメリットもあるわけだが…

 

土着神具『八百万ノ輪』と、幻想剣《細剣》遠距離ソードスキル〈ランバルト・ノイン〉…高速の突きを飛ばす…いや、撃ち放つ技があれば、その弱点もなくなるわけで…

 

「…もう終わりか?」

 

最後の数体を仕留めた金輪を手元に戻し、武器たちを夫婦剣へと戻す。人形たちの出現も止まったようで、打ち止めかと思い、俺は人形使いの方へと視線を向ける。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

あまりに一方的すぎる闘いに流石に心が折れたのか…俯いたまま、黙ってしまっている人形使い。だからといって、見逃してるやる気などあるわけもなく、俺は奴に止めを刺すべく、夫婦剣を両手剣の状態に戻して、技を放とうと…

 

「……(ニヤリ!)」

「っ…!?フォン、危ない?!」

「…?!」

 

ユウキの悲鳴に思わず身構えるが、その直後に地面が揺れた。

 

「勝った気でいたよなぁ!?甘めぇんだよぉ、小僧!?」

「っ…!?なぁ…!」

 

足元が割れ、思わずその場から飛びのく…すると、歪んだ笑みを浮かべた人形使いが叫び、地面から…先程の人形たちとは比較できない程の大きさの死霊人形たちが3体、姿を現した。

 

「一体に500ものの材料を突っ込んだ人形だぁ!?さっき放った木偶の坊なんかとは桁違いの強さ…これでもまだ余裕でいられるか…!?」

「…おいおい…なんてもん呼び出してんだよ。くっ…!?」

 

まさかそんなことまでできるとは思っておらず、流石に呆気に取られる。しかし、そんなことなど相手が気にしてくれるわけもなく、その巨腕が俺目掛けて振るわれる。

 

すぐさま回避するも、地震を簡単に起こすその一撃は地面をいとも簡単に砕き、その威力の大きさを物語っていた。あれを直撃するのは流石にマズイと思っていた時だった。

 

「「!!!」」

 

残っていた二体の巨大死霊人形が、俺の着地に合わせて…なんとジャンプしたのだ!二体の巨体が着地した反動が大きな揺れとなって、地面に着地したばかりの俺やユウキを襲った。

 

「ぐぅ…!?」「ううぅ…!?」

 

あまりにも大きすぎたその揺れは、どうやら受けた対象にスタンを与える効果もあったらしく、俺だけでなく、少し離れていたユウキまでもをスタンさせてしまった。そして、動けなくなった俺に、巨大死霊人形がその腕を再び振り降ろして…!?

 

…ズシャーーーン…!?

 

「っ…フォン?!」

「ヒャーーヒャーヒャーヒャーヒャヒャヒャヒャヒャヒャ?!!やったぜぇ!ものの見事にペシャンコになりやがった!?」

 

その巨腕に俺が押し潰され、ユウキと人形使いから正反対の反応を示す叫びが上がる。俺がやられたと絶望するユウキに対し、これまで言い様にされていた人形使いが、その鬱憤を晴らすかのように喜びの声を上げようと、

 

「……!………うううううぅぅ!おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!」

「「!?」」

 

振り降ろされていた死霊人形の巨腕が徐々に持ち上げられ、いや…咄嗟に武装変換術を発動させることができた俺が巨腕を押し返していたのだ。

 

赤い羽根のアクセントが特徴的な鳥を模したかのような小型ハンマーから、武装完全支配術状態の証明である黄金の光が放たれ続け、徐々に巨腕を押し込んでいく。そして、

 

「ぐぎぎぃ…ぬあああああああああああああぁぁぁぁぁ!!」

 

更に押し込んだところで、ハンマー…赤鳥冒鎚『バンカー・ジグソー』の先端に仕込まれていたパイルバンカーが押し返していた巨腕に刺さり、それを起点に加速した俺は、巨腕を突き破った。

 

武装完全支配術状態の効果で一時的にダメージ無効になっていたため、呪いの体液を浴びても問題なくなっていた俺は、その勢いのまま、今度は逆に巨大死霊人形たちの頭上を取った。

 

(この大きさ…さっきの奴の言葉からして、一体500の死霊人形たちそのものと考えないと…下手な攻撃じゃ倒し切れないし、確実に消滅させなければ、ユウキに呪いが飛ぶ…!?)

 

総計1500規模の死霊人形たちを確実に消滅させる力…それを生み出せる武器を呼び出さなければと、武器を大剣の状態へと戻した俺の意志に応えるかのように、映現世の剣が姿を変える。

 

同じ大剣カテゴリーではあるが、黄金の刀身に紺碧のアクセントカラーが入り、右腕部分にまで及んだ大型小手までが一体となった武器…重醒甲剣『キングブレイド』…そして、その力を限界以上に引き出すために、纏っている翼衣を『重醒甲の翼衣』へと変化させる。

 

黄金の鎧を思わせるかのような衣に、背中に大きく写ったヘラクレスカブトの紋章を中心に12の異なる紋章レリーフが円形に写る翼衣が輝き、それに連動し右腕の小手に装填されていたレリーフが動き出す。

 

10・J・Q・K・A…ポーカーでいうところの「ロイヤル・ストレート・フラッシュ」を構成するためのレリーフが揃い、重剣の刀身が具現化したレリーフを通ることで巨大化する。

 

「はああぁぁぁぁ……ぶれぇええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

あらん限りの力を込め、限界にまで伸びきった巨大な刀身を真下にいる巨大死霊人形たちへと向けて振り抜く…一種のレーザーかと見間違う程の剣戟は、人形たちをあっという間に呑み込み…

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「…あんな…一瞬で…」

 

「……ふざ、けんな……?!」

 

あまりの威力に、人形たちを消し飛ばした地面は融解していた…その近くに降り立った俺を見てか、それともいとも簡単に巨大な力を行使してみせたことに関してか、あるいは両方か…その場にいた者全員が言葉を失いかけていた。

 

「…次はお前だ…」

「っ…ひぃぃぃ!?」

 

武器と翼衣をデフォルト状態に戻し、俺は今度こそという意味を込め、言葉と視線を奴へと向けた。その言動に、奴は腰を抜かし、悲鳴を上げていた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「や、やめろぉ……くるなぁ?!」

 

映現世の剣から、またしても別の大剣へと変化させ、俺はゆっくりと奴に近づく。俺から少しでも離れようと、奴は振り払う様に手を大きく動かしながら後退るが、恐怖が優ってか、全く後ろに下がれていなかった。

 

「・・・・・・・・・」

「やめろ…!?助けてぇ?!」

「・・・・・・・・・・・・」

「もう勘弁してくれぇ?!死にたくないぃ…?!」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

奴から情けない声で助命の言葉が飛んでくるが、そんなことで俺の足はもう止まらない…いや、止めるつもりなどなかった。

 

「…俺は一度忠告した筈だ…それを断ったのはお前だ。お前は危険すぎる…ここで確実に、仕留める…!」

「や、やめろ……止めてくれぇ!?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

与える慈悲などもう存在しない…こいつは…こいつの能力は危険な上に、この世界に生きていた人たちの魂そのものを冒涜するものでしかない…!

 

その思いと共に、奴の眼前にまで迫った俺は大剣を振りかざし、一撃で仕留めるべく、奴の頭へと大剣を振り落とそうと…

 

「…俺が悪かった…!?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

…その一言に、大剣を振り降ろす手が止まった…

 

「俺が…俺が全て悪かった!?もう何もしない!お前の仲間にも、この世界にもちょっかいを掛けない?!おとなしく、この世界から手を引く!?」

「…お前の言葉を信じられる証拠がどこにある…?」

「…信じてくれ…!?武器も手放す!奪い取った魂の残片も全部解放する!?もう本当に何もしない?!この通りだぁぁぁ?!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

涙を流し、持っていたナイフや杖を放り棄て、土下座してまでそう言う人形使いに…俺は少しばかり沈黙を貫き…そして…

 

「…………分かった。だったら、すぐに俺の目の前から(パン!)…っ…?!」

 

響いた音が銃声だと認識した時には、俺の言葉は途切れてしまっていた。

 

そして、俺の眼前で土下座していた人形使いは…隠し持っていたらしい拳銃を構えており、その銃口から煙が上がっていた。

 

「…こうすれば、信じるよなぁ?!これだから、ガキは騙しやすくて助かるぜぇぇ!死ねぇ!?死んじまえぇ、この化け物がぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

怨恨が込められた絶叫と共に、人形使いが拳銃の引き金を引きまくる…全ての弾丸が俺の体を貫き、弾を撃ち切ったというのに、空撃ちになっていることに気付かずに夢中でトリガーを引き続けていた。

 

「はぁ…はぁ…!あの女と同じ手に掛かってくれやがってぇ!?そのままあの世にいっちま…がぁぁ?!」

 

愉悦と狂喜の言葉を並べていた人形使いだが、いきなりその声が途切れ、そこから先は苦痛を表わす悲鳴が続きを引き取った。

 

「ぐあぁぁ…な、にが……ごふぅ……これは、剣…?」

「いつ…お前のことを信頼すると言った?」

「…!?!?」

 

人形使いは激痛に耐えながら、違和感を感じる自身の胸元を見降ろすが…そこには、背後から刺されたであろう刀身が見えていた。

 

そして、全身の至る所を撃ったであろう俺が言葉を発したことで、その表情に驚愕の色が加わる。すると、俺の体は赤い霧となって、その場から…奴の身体を貫いている大剣がある背後へと移動した。

 

「な、なにを…したぁ…?!」

「聞くまでないだろう…お前が何かを仕掛けてくると踏んで、能力を発動させていただけだ。さっきの銃撃も、体を霧にすることで、撃たれたように見せかけただけだ」

「なぁ…た、助けてくれる…じゃなか、たの、かぁ…!」

「もし本当にあのまま降伏していたらな、そうしてたさ…だが、お前は予想通りにだまし討ちを仕掛けてきたわけだ」

「このぉ…げど、うが……!?」

「人を騙そうとした時点で、騙されたことを咎める権利など……お前にはない…!」

 

酷く冷たい声が出た…さっき放った言葉からして、ユウキにも同じか、もしくは似たことを戦法を仕掛けたのかもしれない…何故、ユウキの傷に銃撃が混じっていたのか疑問だったのだが、それが分かり、そして、更に怒りが増してしまった。

 

「お前のような人間に…もう見逃すなんて慈悲があると思うな…お前はここで終わらせる!」

 

ブチギレる一歩手前…怒りに染まりそうな頭を理性でなんとか抑え、突き刺した大剣で奴の身体を持ち上げ、刀身を振り上げることで空へと放り投げる!

 

「…リリース・リコレクション…!!」

 

西鎧超剣『バロムグリャム』…自分のような弱者をもう生み出さないために、全ての世界を滅ぼし作り直そうとした戦士の力を模した大剣。

 

自分の身体を自在にガス・霧化するだけでなく、植物を自身の配下として操る武装完全支配術に対し、記憶開放術はその常識外の力を一点に集中させることで、あらゆる防御が意味をなさない一撃を放つ大技であり…

 

「これで……終わりだぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

赤と黒が入り混じった圧縮エネルギーが左拳に集約し、少しして落下してきた人形使いの身体へとその拳が突き刺さった!もともと鎧など装備していなかった奴の身体だが、どんな防具でも、バフでも、神器でも…それらの効果を無視しての一撃が奴の身体に決まり、内臓にまで浸透し切ったダメージを受けた奴は、蹴り飛ばされたボールの如く地面を転がっていた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

記憶開放術を発動させた余波で、力を使い切った『バロムグリャム』が映現世の剣へと戻ってしまった。しかし、人形使いに止めを刺すことはできた筈だ…そう思い、俺はその場を離れようとした時だった…

 

「がああぁぁぁ!?い、痛ってェェ?!ぐああああああああぁぁぁぁぁ!?」

 

「っ…?!まさか…!」

 

聞こえる筈のない絶叫が聞こえ、俺は視線をそちらへと戻す…そこには、動ける筈のない人形使いが、激痛に襲われ、地面で悶える姿があった。

 

(そんな馬鹿な…!どういうことだ…確かに記憶開放術は直撃した筈…?!あの武器の一撃はあらゆる防御を貫通する…!天命を全て失ってもおかしくなかった筈だ!なのに…どうして、あいつはアンダーワールドから強制離脱していないんだ…?!)

 

確かに止めを刺した筈…なのに、人形使いは未だにアンダーワールドに顕在していた。すると、ある可能性に思い当たり、俺はある武器を呼び出し、確かめて見ることにした。

 

形状は巨大なランスだが、あまりにもメカメカしい、その刀身がある種の戦闘機を連想されるような武器…吸命霊槍『ゼッシード』を掲げ、武装完全支配術を発動させる。

 

「…エンハンス・アーマメント…!」

 

周囲の神聖力や、解放したフラクトライトたちの魂からも少しずつ力を借りるという超常現象に近い力を行使できるこの槍は、その力を以て強大な一撃を放てる。これまでとはまた異なる強大な刀身を振り降ろし、またしても人形使いの身体を焼き尽くそうするのだが…

 

「がああああああああああぁぁぁぁぁぁ?!てめぇぇぇ!?また…まだ俺を殺そうとしやがったなぁぁぁ?!ぶっ殺す?!てめぇだけは、絶対に殺してやるゥゥゥ!?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

高エネルギーの刃に呑まれた筈…だが、焼き尽くした筈の奴は何事もなかったかのようにそこに顕在していた…しかし、ダメージは…激痛は味わっているようで、更なる怨念を募らせた罵倒を俺に向けてきていた。

 

そして、俺は自分の考えていた…最悪の可能性が事実だと確信を持った。

 

「…お前ぇ…!魂の分だけ、天命を失おうとも復活できるのか…?!」

 

「ああぁぁ…ぐあああぁ!?うるせぇ。うるせぇうるせぇ!?何が死なない能力だ、クリッターの野郎?!これじゃ、永遠にダメージを…痛みを負い続けるだけじゃねぇかぁ!?」

 

その言葉が全てを物語っていた…尤も、奴もその能力の本当の意味を理解できていなかったようだが…死霊人形師というのは、思っていた以上にやっかいな能力を持っていたらしい。

 

手に入れた魂の欠片を媒体に死霊人形を召喚・使役するものばかりかと思っていたが…どうやら、その魂の欠片の使い道として、天命を全損した時にその欠片を消費することで、死を回避するという能力まであったらしい。

 

そんなまさかの能力に驚愕していた時、激痛と怒りで憤慨している奴の叫びが耳に入ってきた。

 

「ぐうううううぅぅぅ!?何が人形を壊す楽な仕事だぁ?!俺がどうしてこんな目に逢わないといけないんだよぉ?!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「お前もあの女も…!?このチート野郎どもがぁ?!満足だろう!?俺が苦しむ姿を見て、少しはスカッとしただろうがぁ?!てめぇが…お前らがいなかったら、俺はもっと自分の楽しみを味わえていたんだぁ!?

 

人の形を殺し放題、人が目の前で苦しみ、悲鳴を上げ、助けを何度乞うた上で殺すあの快感…!それなのに、こんな激痛を味わうなんて…たかが、造られた人形の大群や、偽物の世界を壊そうとしたくらいで、何をマジになってやがんだよぉぉ!?」

 

「……!?…」

 

「殺してやるぅ…お前もあのガキも…ここから出たら、もう一度この世界に来て、ありとあらゆるものを壊して、殺しまくって…「もうそれ以上、しゃべるな…!」っ…!?」

 

限界だった…堪えていた怒りが言葉と混じり、漏れ出していた。

 

こいつは…こいつだけはこのままにしておけない。

 

理性と怒りが入り混じり、感情が表情から消え去るのを感じた俺は、映現世の剣を奴に向けて構えた。

 

「ヒャーヒャヒャヒャヒャヒャ!?また俺を殺すのか?!いいぜ!殺し切れるもんなら、殺してみろよぉ!?魂のストックはまだまだ沢山残ってるんだよぉぉぉぉ?!それに、例え殺し切れても、俺は再びこの世界に戻ってくるだけだぁぁ!?」

 

そう言って、奴は勝ち誇ったような笑みを浮かべ、狂ったように笑っていた。それが激痛を味わいすぎてなのか、それとも、あまりにも異常過ぎる狂喜がそれすらも快感へと変えてしまったのか。

 

どちらにしろ、俺がこれからすることなどもう一つしかないわけだが…

 

「…来い…!数多の世界から神器を呼び出す神刀よ…!」

 

何度目になるか…またしてもその姿を変える映現世の剣に合わせ、映現世の翼衣も変化する。

 

長刀…今まで呼び出してきた武器たちとは違い、シンプルなその形状…強いて挙げるのであれば、鍔の元に家紋が刻まれているというくらいだろうか。

 

それに対し、翼衣は黒紫の二本ラインが左右に一本ずつ走るもので、額には金の装飾があしらわれた額当てが足首のところにまで伸びきった帯と共に具現化した。

 

戦恋葉刀『一千ノ輝』と専用装備『戦恋葉の翼衣』…その力を解き放つべく、俺は刀を両手で地面に刺す様にして構え、敢えて式句を唱える。

 

「…エンハンス・アーマメント…!!」

 

式句が言霊となったかのように、俺の背後の空間が歪む…いくつものの波紋が重なったかのように揺れたように見える空間からそれらは姿を現した。

 

戦恋葉刀『一千ノ輝』…この武器は映現世の剣と似た性質を持っている。違う部分と言えば、映現世の剣が並行世界を武器として映すのに対し、一千ノ輝は世界から武器を呼び出してくるという点だ。

 

「……これは…なかなかの光景だな」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

能力は把握できていたが、少しだけ後ろにズラした目線に映る光景…様々な武器が宙に浮かぶその光景に、思わず感嘆の声が出る俺と、痛みすら忘れて言葉を失う人形使いの姿がそこにはあった。

 

一千ノ輝の武装完全支配術…それは、これまで映現世の剣で呼び出してきた武器たちを一斉に召喚する術なのだ。この闘いで呼び出したものは当然、セントラル・カセドラルで呼出しきた武器も含め、総数28といったところか。

 

…それも全ての武器が武装完全支配術状態なわけで…

 

「何度殺してもそう簡単には死なない、か…だったら、死ぬまで何度でも剣を振るってやるだけだ」

「…やめ、ろぉ……もう…?!」

「その言葉の信頼を殺したのも、お前だ…恨むなら、人の善意を躊躇いもなく切り捨てた自分を恨め…!」

 

勧告はした、見逃そうともした…残念ながら、二度もそれらを無碍にしたこいつに、また慈悲を与えるほど…俺は良い人間ではない。

 

「…やれ…!」

 

その号令と共に、待機していた武器たちが一気に飛び交う。

 

属性を宿し、幾多物の光を解き放ち、縦横無尽に次々と人形使いに襲い掛かる武器たち…それらの衝撃は轟音と共に何度も地面を揺らし、人形使いの悲鳴さえも掻き消していた。

 

何度も、何度も、何度でも…その体が確実に消滅するまで、武器たちは襲い掛かることを止める気配はなく…

 

「……ふぅ……」

 

数分が経ち、武器たちの動きが一斉に止まった…それで、攻撃する対象がいなくなったのだと判断した俺は、土煙が消えるのを待って視線を向けた。

 

「…やっぱり…感情任せに振るうべきじゃないな…この力は…」

 

そこには、人形使いの姿はなくなっていた…それどころか、地形が変わってしまっており、これまで呼び出してきた武器が尋常ではない威力だということを物語っていた。

 

ギリギリではあるが、完全に怒りに呑まれる一歩手前でコントロールできてはいたが、やはり感情任せに使ってはいけない武器なのだと、改めて映現世の剣の危険性を実感してしまったわけで…

 

「(…少なくとも…人が常時持っていていい力じゃないな…いや、それを考えるのはまた後だ)…ともかく、なんとかなったか…」

 

この力のお陰で多くの窮地を脱することができたのもまた事実だが、この事態が片付いた後には何かしら対処を考えないといけないと思いつつ、眼前の脅威を取り除けたことに&した俺は、映現世の剣と翼衣を元の状態に戻した。

 

「…ふぅぅ…(流石にちょっと体力を使ったか…でも…)…ユウ、おっと…!」

 

少しばかり疲労感と倦怠感を覚えながらも、ようやく落ち着いて話ができると思い、彼女の名を呼ぼうとしたのだが…振り返った瞬間、胸元に衝撃を受けたことで言葉が遮られた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「…ユウ、キ…?」

「…ばか……フォンの馬鹿!?」

 

胸元にユウキが飛び込んできたことに驚きつつ、伝わる震えから泣いていることが分かった次の瞬間には、罵倒が飛んできた。

 

「黙って一人で無茶して、魂を消費してアンダーワールドに行って、記憶を失くしたりなんかして…!?もうフォンが帰ってこないじゃないかって…ボクのことなんか、もうどうでもいいと思ったじゃないかって…!?怖かった…もう、フォンと一緒にいられなくなるんじゃないかって…もう色々なことがありすぎて、わけ分からなくなりそうで……怖かったんだ…!?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

限界だったのだろう…いや、それを必死で見せまいと耐えていたに違いない。大粒の涙と共に絞り出すように訴えかけるユウキの姿が…どれだけ彼女に心労を掛け、どれほどまでに俺のことを想ってくれていたのか、理解させるには十分過ぎるもので…

 

その悲鳴までもを受け止めるように、俺はユウキの体を優しく、けど、しっかりと抱きしめ返した。

 

「うぅう…ばかぁ…ばか、ばか、ばかぁ!」

「…本当に…いつもいつも心配ばかり掛けてて…本当に、ゴメン…」

「…今回という今回は……絶対に許さないから…」

 

まさかの許さない発言に、思わずビクッとなってしまう。これは…そういうことを言われてもしょうがないのかと内心冷や汗を流していたのだが、

 

「…あっちに戻ったら、当分の間、我儘放題言うから…それで、絶対にフォンから離れたりしない……フォンが嫌だって言っても、ボクが満足するまで甘えるから…!」

「…えっ………そ、それでいいのか?」

「フォンに拒否権はないから…心配させたって思ってるんなら、帰ってからその分だけお返ししてもらうから…いいよね?」

「……分かったよ。ユウキがそれでいいのなら、喜んでそうさせてもらうよ(…半分生殺しの地獄を味わうことにもなりそうだけど…)」

 

涙混じりではあるが、拗ねた顔のユウキが有無を言わせまいという視線で俺を見上げていた。嫌いとか大嫌いぐらいは言われてもしょうがないと覚悟してこともあり、ホッとしたのが半分、敵わないなと苦笑い半分でその要求を受け入れる。

 

「…本当にゴメンな、ユウキ…」

「もういいよ…こうして、フォンは帰って来てくれたんだし…」

「そうじゃない…そうじゃないんだ、ユウキ」

「…えっ…?」

 

謝っても謝り切れない…どうして俺が未だに謝っているのかが分からないユウキが疑問の声を上げた。

 

「…俺さ…ユウキたちの想いを受け取れないって…自分はここにいるべき人間じゃないって勝手に思い込んでさ……ユウキの声が聞こえたのに、それすらも拒絶しようとした」

「…フォン…」

「だから…だから、俺なんかいなくなってしまえばなんて…本当に自己満足なことばっかり、記憶を封じてた時に思ってて……なのに、ユウキたちとは別れたくないとも思ってて…」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

「その結果が…ユウキを危険な目に逢わせたなんて……本当に過去の自分をぶん殴ってやりたいぐらい……自分に嫌気が差してる」

「…うん」

「だから、嫌いって言われても……仕方ないって……思ってた」

「……今は、違うの…?」

「…今は違う。もう逃げないから…ユウキにも全部話すから…あっちに戻ったら、聞いてほしい…ユウキにだけは、話せると思うから」

「うん…ちゃんとボクも聞くから…フォンが背負ってるものをどこまで支えられるか分からないけど…全部受け止めるから…」

 

…精神世界では…もう一人の俺の前ではああは言ったが、それでも、本心を言えば、怖かったんだ。

 

昔の話を無意識に避けていたのも、あまり自分のことを話そうとしてなかったのも…自分に頼ってくれていたユウキやキリトたちに…いいや、そうじゃない。その立場にいることが、最も心地よかった、というただのエゴそのものが原因だ。

 

人には頼れと言っておいて、自分は弱さを隠そうとする…本当に俺は、卑怯で臆病者だったんだ。だからこそ…ユウキに赦されるには、本当の俺を知ってもらってからでないといけないのだ。

 

…覚悟した今でも怖い…けど、ユウキの目を…真剣な表情を見たら、そんな感情は消えてしまっていた。

 

(…本当に…ユウキには敵わないな)

 

絶対に大丈夫なんて言えない筈なのに、そう思わせてくれるのは、ユウキの純粋さをとことん知っているからか、俺が彼女に骨抜きにされてしまったからなのか…きっと両方なのだろう。

 

「そうだ…!そういえば、言ってなかったことがあった…!」

「言ってなかったこと…?」

「うん………おかえり、フォン」

「…ただいま、ユウキ」

 

久々に…以前は、いつも一緒にいたことで聞き慣れていたその言葉を聞いたことで、なつかしさを覚えながら、俺はユウキに返事を返す…本当に帰ってこれたのだと、実感できたことで、胸にくるものがあった。

 

「…さてと。もっとこのままでいたいわけだが、名残惜しいけど…そろそろ行かないとな」

「…そ、そうだった!大変なんだよ、フォン!?アリスが攫われちゃって?!ユージオがそれを追っていって、アスナたちも変な赤鎧の集団に襲われたりしてて…?!」

「ストップ、ストップ!少し落ち着け、ユウキ。安心しろ…ユージオたちは無事だ」

「えっ…?」

 

他の面々がどういう状況か…大まかに把握していた俺は、事態がとんでもないことになっていることを思い出し慌てるユウキを宥める。それと共に、先程見た光景を再度確認すべく、銀の左目を閉じる。

 

「…ユージオとアリスは飛竜でどこかへと向かってるみたいだな。一応周辺に敵影はないが……アスナたちの方がマズいな。リズたちが救援に来てくれてるみたいだが、敵に取り囲まれてるみたいだ…急いで向かわないと「待って待って待って!?」…ど、どうした、ユウキ?」

「どうした?…は、こっちの台詞だよ?!なんでそんなこと分かるの?!というか、リズたちが来てるってどういうこと?!」

「…あー…そういえば、言ってなかったな。目覚めてから、、二つぐらい変な能力が身についててさ。意識を集中すれば、遠くにまで視線を飛ばせるようになってたから、さっき戦闘を開始する前に大まかに全域を見渡したんだ。それで、それぞれの状況を確認できたわけ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「ユ、ユウキ…?おーい…!」

「…なんだろう…ALOで再会した時を思い出したよ……フォンって、やっぱり規格外だよね…」

「デジャビュって奴か…否定したいけど、今の状態に関しては、俺もそろそろ人間やめてるとは感じてきてるよ」

 

記憶を失っている間に…というよりも、映現世の剣と深く…いや、完全に繋がったことでまたしても人外な能力を持ってしまったようで…

 

銀の光を宿した左目を閉じ、意識を世界へと向ければ、思うがままに視界を飛ばせるようになったわけで…視界を飛ばすまでに多少時間は要するが、そうすることで把握できていなかったアンダーワールドの現状を認識できたわけだ。

 

それと…神聖力と心意の流れを感じ取れるようにもなっていた。流石に全ての神聖術を使えるまでには至らないが、武装完全支配術などの発動や心意を用いた力を感知できる…といえばいいのだろうか…そういう不思議な感覚が備わっているようなのだ。

 

…イマイチ要領を得ないのは、なんとなくそうできるような感じがするというレベルだからだ…

 

今までも結構散々なことを言われてきたが、今の状態は本当に人をやめてきている気がしてならない…俺の気持ちを代弁するかのように、項垂れるユウキに掛ける言葉が見つからない。

 

「…なんでだろう…傷は治ったのに、頭が痛くなってきたよぉ…」

「…なんか、本当にゴメン…ともかく、今は(ゾクゥ!?)…っ?!?!」

「フォン…?」

 

頭痛の原因など心当たりなど一つしかなく、思わず謝ってしまう。それよりも、アスナたちのところへ向かわねばと思ったその時だった…

 

異常な寒気が背中を走り、俺はそちらへと振り返る!…俺の動きに、どうしたのかとユウキが尋ねてくるも。それに応える余裕もなく、俺は左目の能力で視線を飛ばす!

 

(…なんだ、今の心意の感覚…?!キリトのとも、アドミニストレータのものとも全く違う!?何も感じない…まるで虚無としか言いようがない、この心意は…?!)

 

何度か感じてきた心意とは異なる…異質すぎる心意が溢れ出していた。その正体を探るべく、視線を心意を感知した方向へと飛ばしていく。そして、視界に捉えたのは…?!

 

(…あいつか?!誰かを狙ってる…?……あれは…まさか、シノンか?!)

 

辿り着いた視界の先には、二人の人間がいた。上空にいる男は、腕が異形なものへと変貌しており、その銃を模した怪腕で誰かを狙っていた。

 

そして、その銃口が向けられている…地面に倒れながらもスナイパーライフルを構えている女性…その風貌と持っている銃がGGOで見たヘカートによく似ていることから、シノンではないかと思ったのだ。

 

そして、男は怪腕の銃口に心意と神聖力を混合させたエネルギーを充填させており…

 

「マズい…?!」「…!フォン!?」

 

…このままでは、シノンが撃たれる…!

 

ユウキから離れ、俺は映現世の剣を左手で突き出す様に構える。焦ったユウキの声が聞こえるも、それに構うことなく、武装変換術を発動させる!

 

銀白の光が剣から解き放たれ、その光にそって剣の形が肥大化していく…包み込んだ左腕を起点に、人の身長ほどの大きさを持つ弩弓が呼び起こされた。

 

銀白のボディに、弓の各所部分に蒼輝の水晶が埋め込まれた弩弓…零絆超弩『ウルティアース』。

 

「っ…!(チャージしてる時間はない!?一気に…放つ!)…エンハンス・アーマメントォォ!!」

 

右手で光の弦を目一杯引き、武装完全支配術を放つ!

 

本来であれば、星をも穿てる弩だが…今はそんな威力を出すまでにチャージする余裕などなかった…閉じた左目で捉えている奴目掛け、弩弓から超光の矢を解き放った…!

 

 

「……!くっ…!?」

「……消えろ……」

 

銃腕に十分なエネルギーが装填されたことで、サトライザーはシノン目掛けて、その凶撃を撃ち放とうとしていた。これで終わりだとばかりに。サトライザーが引き金と化した意志を引こうとした…が、

 

 

「っ…?!(なん……?!?!!)」

 

その瞬間、サトライザーの何かが警鐘を鳴らした!

 

シノンに止めを刺すことばかりに意識を傾けていたせいで、いきなり感じたそれに反応するのが一瞬遅れてしまった。そして、それがサトライザーを救う形となった。

 

その何かを感じた方向を向こうとした時には…莫大な量の光がサトライザーの銃腕へと直撃していた…そして、その場を揺らす撃音が遅れる形で鳴り響いた。

 

「なぁ…?!ぐうううぅぅぅぅ?!」「…な、なに?!この光は…!?」

 

咄嗟に振り向いたことで、身体に直撃する筈だった光が銃腕に代わりに直撃したわけだが…一瞬止まった光は、すぐさま銃腕を貫通した!

 

いきなりの…しかも、尋常ではない一撃に流石のサトライザーも声を漏らす。一方で、突然の豪光にシノンは目を庇いながら困惑することしかできなかった。

 

そして、長時間に渡り巨大な光の矢はその場を通り続け…

 

「…収まった……一体何だったの…あの、光は……助けて、くれた…?」

 

視界を覆う光が消え、何が起こったのか未だに理解できないシノンは呆然としていた。自身を狙っていたサトライザーの姿も上空から消えていた…そのことに安堵したシノンは、思わず呟いていた。

 

「…もしかして……フォン…?」

 

何か確信があったわけではない…でも、こんな規格外なことをしそうだと思い、一番に浮かんだ戦友の名が、シノンの口から零れていた。

 

 

「…はぁ…はぁ……クククッ……アハハハハハハハハハハ?!?!?!」

 

一方…直撃は避けたものの、銃腕が光の矢に貫かれたことで、銃腕に蓄えられていたエネルギーが暴発した反動で、シノンと闘っていた場所から大きく引き離されたサトライザーだが…暴発で満身創痍の身になったにも関わらず、その顔に狂喜の笑みを浮かべていた。

 

(今のはなんだ?!何をされた!?いや、それよりも…あの力…!これまで感じてきた、どの力とも異なる異質な力……命を狙われてきたことは何度もあったが…あそこまで死を感じたのは初めてだった…!!)

 

圧倒的な力…それも、自分に初めて死ぬことを感じさせたその力に、サトライザーは自分の中の何かが高まっていることを感じ取っていた。

 

確かめたい…そして、その力をこの手中に収めたい…!

 

その思いが…歪んだ欲望がサトライザーの中で滾り始めていたが…今はそれよりも優先しなければならないことを思い出し、サトライザーは痛む体を起こす。

 

「先程の力も非常に興味深いが…まずは二人のアリスの確保だ。時間を無駄にし過ぎた…そろそろ追わねば、追いつけなくなるな」

 

冷静に目的を定め直し、サトライザーは自身の影から暗黒飛獣を再び呼び出し、現実世界に繋がるアクセスポイント…果ての祭壇に向かっているであろうユージオとアリスを追い始めた。

 

(アリスたちを捉え、先程の異質の力の源をも回収する…ツイている。私の魂をこんなにも震わせるものに、次々と出会うことができるとは…!)

 

…その狂喜に染まった笑みは、堕天使を思わせるかの程に歪んでいた…

 

 

「…仕留めそこなったか…!」

「フォン…一体何を撃ったの…!?」

 

零絆超弩『ウルティアース』から解き放たれた莫大な量の光の矢を撃ち尽くしたことで、大剣へと戻ってしまった映現世の剣を降ろしながら、俺はシノンを狙っていた奴を逃してしまったことに内心舌打ちをした。

 

あの異常な心意はあまりにも危険だと思ったのだ…できるなら、さっきの一撃で天命を全損させたかったのだが、光の矢は銃を模していた腕に当たってしまい、暴発の勢いで奴はどこかへと姿を消してしまったのだ。

 

ともかく…シノン(らしき人物)を助けられただけでよしとするべきだろう…頭を切り替え、俺は左目の能力で見えた光景をユウキへと伝える。

 

「シノンが……もしかしたら、フォンが撃ったそいつは、ベクタかもしれない…!」

「ベクタ…?もしかして、ステイシアたちと同じスーパーアカウントって奴に分類されてるって奴のことか?」

「うん…ボクやアスナたちもスーパーアカウントを使ってるんだけど…オーシャン・タートルを襲った人たちも、ダークテリトリー側のアカウントを使ってるみたいで…」

「…そういうことだったのか…ともかく、どうやらのんびりしている時間はないみたいだな」

 

想像以上に、アンダーワールドも、そして、オーシャン・タートルを取り巻く状況はかなりヤバいようだ。ともかく…まずは、敵に取り囲まれているアスナたちの救援に向かわなければならない。

 

「…よし…!行くぞ、ユウキ」

「…うん!みんなを助けに行くんだよね」

「ああ…全部終わらせて…みんなで一緒に帰ろう…と、その前に…」

 

移動する前に…映現世の剣の鞘を回収し、俺は武装変換術を発動させる。

 

器才芸鋏『創乙』…複数の糸が絡み合った鋏を呼び出し、俺はユウキの身体を…正確には、ボロボロとなっていた装備に沿わせるように鋏を飛び交わせる。

 

「流石に…その恰好のままじゃな…?」

「えっ……っ~~~//?!」

 

視線を逸らしたことで、ユウキも自分の恰好がどうなっているのか気付いたようで赤面していた。さっきまでは傷や血でそこまで目立ってはいなかったのだが…傷が治ったことで肌だけでなく、見えてはいけない部分までチラチラと見え隠れしていたわけで…

 

咄嗟に腕で体を隠すユウキをできるだけ見ない様に…俺は武装完全支配術を発動させた器才芸鋏『創乙』でユウキの装備を瞬く間に修復していく。

 

「うぅぅ……そういうことは早く言ってよぉ…!」

「ゴメン…言うタイミングを逃してて……よし、修復完了と…!」

 

一発軽く殴られたが…さっきまで真剣に闘っていたこともあり、俺もさっき気付いたばかりなのだ…そこは勘弁してほしいところだ。

 

「まぁまぁ……今度こそ行くぞ、ユウキ」

「…むぅ……よし!行こう、フォン!」

 

式句を唱え、風素系統の神聖術を発動させる。俺の体を風が包み、捕まる様に抱き着いたユウキの身体をしっかりと抱きしめた。

 

そして、神聖術を操作し、俺たちは上空へと飛び立った!

 

 




まずは、色々と解説を…

●フォンに備わった新しい能力
記憶封印から再覚醒に至るまでに、映現世の剣とフラクトライトを通した上での最適化・同調を果たした(便宜上、シンクロオーバー=以後S.O.記載…と呼称)ことで映現世の剣の能力を限界以上にまで引き出せるようになったことで備わってしまった副産物。
・今までは武装変換術で呼び出した武器の武装完全支配術・記憶開放術を発動させるのに式句の詠唱を必要としていたが、意思だけで術を行使(無音発動)できるようになった(唱える必要がなくなっただけで、気合を込める意味合いで言うのは自由。一方で、映現世の剣自体の武装完全支配術・記憶開放術発動には詠唱が必要であることは変わらない)
・左目を閉じることで、視界を思うがままに世界の至る所に飛ばすことでできる『世界を観測する者(=サブタイが指していたのもこれ)』というユニークスキルに該当する能力を会得。視界を飛ばしたまま遠距離攻撃を掛けることもできるが、相当の集中力を必要とするため、戦闘中に行使することは(マルチタスク処理能力に長けているフォンであっても)かなり難しい。(できないことはないが、ほぼ確実に隙を作りかねない。また、映現世の剣の記憶開放術の対象条件である『視界に入っていること』はこの能力のものは対象外となる)
・キリト程ではないが、アンダーワールドの真理に触れたことで、神聖力・心意の力の流れを感知できるようになった。
・映現世の剣のエクストラスキル『Last Hope』
フォンの心意に応じて、異空間を通って映現世の剣が出現できたのは上記のスキルのお陰。発現自体はソード・ゴーレム戦での記憶開放術初使用時には既に為されていた。
心意を感知し、その者が救いを求めている際に力を貸す…映現世の剣自身が意思を持って動く能力といって良い(実はアリス人格統合の際に、剣が突如現れたのはこれが理由)そもそも、修剣学院時代において、フォンに別世界の記憶を見させていたのもこの能力のせいだったりする(能力が漏れ出していたともいえる)
つまり、映現世の剣は『言葉を発しないインテリジェンスソード』という側面をも持っていることになり、この能力こそが映現世の剣を生み出した大本データの本核であるが、フォンはこのことをまだ認識できていない。

●武装完全支配術
・『光翼と月翅の円舞曲』
映現世の剣の武装完全支配術で、光翼盾『霧霞』と白古擲球『頑駄鎚』を統合させた技。全てを切り裂き飛翔する光翼と全てを無へと還す月翅のエネルギーを宿した片手剣たちから、レーザーの如く周囲360°を薙ぎ払うように回転しながら放つ超範囲攻撃。
言ってしまえば、『光の翼』と『月光蝶』のエネルギーを『ローリングバスターライフル』形式でぶっ放すものを想像して頂ければ大体合ってます。

●武装変換術で呼び出した武器
・聖救手『神ノ道化師』
爪(ナックル)のカテゴリーに属する武器。
左手に装着される少し大きめの黒曜石を感じさせる聖爪と、白緑の光を灯した道化師を思わせるローブが左肩を起点に体に纏まれている。また、フラクトライトの状態を可視化する呪いのレンズが左目に強制装備される。
人とアクマ…どちらも存在も不可欠で、どちらも救いたいと…道を見失いかけていた中、自分が為したいことを見つけた聖職者の少年の心に応え、真なる姿を発現させた聖遺物を模した武器。
 本来のものとは異なり、装着式武装のため、体力の消費が大きい・(武装完全支配術発動中)天命が徐々に減少していく(0.1%/秒)といった反動が存在するが、デフォルト状態でも呪術・状態異常に強力な耐性・ダークテリトリーといった闇・暗黒属性系に特攻ダメージを与える力を持つ。
武装完全支配術を発動する、上記の能力を強化(耐性→無効化、特攻→超特攻)、さらに纏っているローブが自由自在に形を変えられるようになり、攻防共に尋常ではない凡庸性を発揮する(全方位防御・身体の拘束・範囲攻撃などなど)
モチーフ(読み込んだ世界の記憶)は『D.Gray-man』より主人公『アレン・ウォーカー』とイノセンス『神ノ道化(クラウン・クラウン)』。

・超死炎手『イクスチェーロ』
手甲(ナックル)のカテゴリーに属する武器。
黒を基調としたグローブに、甲の部分には紋章が刻まれた水晶が埋め込まれているのが特徴で、天命を元に通常とは異なる炎を放出することができる。
『いつも眉間に皺を寄せ、祈るように拳を振るう』…力でも、地位でも、富でも、名声のためでもなく…友達を、大切な人を、家族を…自分が守りたいものの為に、上記の言葉のように闘い抜き、成長してきた「あまりにも優しすぎる」少年が愛用していた武器。
天命・神聖力を糧に「調和の炎」という自然界のものとは異なる超圧縮エネルギーを秘めた炎を放つことができる。また、この炎には触れた対象を自然に還す・周囲のものと同調させるといった特殊性があり、飛行にも使える推進力・圧縮エネルギーを防御を無視して直接叩き込むといった接近性においては類を見ない力を持つ。
デフォルト状態でも十二分に強いが、武装完全支配術が炎を一点に集約させるガントレットに変化させる攻撃形態・マントを展開しあらゆる攻撃を調和化を応用して無効化する防御形態の二種類が存在するなど、状況によって即座に対応することができる。
モチーフ(読み込んだ世界の記憶)は『家庭教師ヒットマンREBORN!』より、主人公『沢田綱吉』と専用武器『Xグローブ』。

・一角獣盾『ポジビリーシールドWH』
盾のカテゴリーに属する防具。
三枚一組の白き装甲を持つ盾。武装完全支配術状態では、更に中心の装甲部分がX状に開き、心意を力へと変えることができる。
『…それでも…!』…どんな悲劇を目にしようと、幾多ものの障害が立ち塞がろうと、それがどれだけ困難ことで難しいことでも…一人の少女のために走り、自身の心が感じたことを実現しようと、少年が操った可能性の獣が持つ盾。
ある程度の心意を扱えるものでなければ、ただの盾としか使用できない…しかし、武装完全支配術以上の状態になった時、使用者の心意に応じてその能力を限界を知らずに上げることができ、未知なる力を応用した防御壁・意志のみで自在に操ることができるなど、心意に特化した仕様となっている。また、力を解放している時には燐光が装甲から漏れるが、使用者の心意によって光の色が異なる。(フォンの場合は白銀と蒼)。ちなみに、WHは「Will of Hope(希望の意志)」の略称。
モチーフ(読み込んだ世界の記憶)は『機動戦士ガンダムUC』より、主人公機『ユニコーンガンダム』と『シールドファンネル』。

・山吹輝槍『アルケーミハーツ』
槍のカテゴリーに属する武器。
銀槍に山吹色のアクセントが加えられたショートランス。内部がエネルギーの増減によって拡張するようになっており、ショートランスから大剣にまで幅広く変化する凡庸性・破壊力を持つ。
その熱血漢・正義感から、命を失い、そして、新しい命を貰ったことで日常から非日常へと足を踏み込み、自分を犠牲にしてまでも、知人だろうと、見知らぬものだろうと、相容れることのできなかった敵であろうと、救おうと必死にもがき続けた少年のもう一つの命が武器の形として具現化した槍。
上記のように、武装完全支配術では、内部エネルギー部分が使用者の呼吸・意志によって増減し、最大解放時には月にまで単独で飛翔できるほどの威力を単体で発揮する。
モチーフ(読み込んだ世界の記憶)は『武装錬金』より主人公『武藤カズキ』と『サンライトハート改(プラス)』。

・海賊鎖剣『ムラマサ』
蛇腹剣(片手剣と鞭)のカテゴリーに属する武器。メカニックな部分が多く、一見すればドクロの装飾が柄部分にある片手剣にしか見えないが、刀身と柄の部分にチェーンが仕込まれている。
幾多ものの激戦を潜り抜け、人の中にある可能性を信じ続けた海賊の少年…例え、自分が犠牲になろうとも、守るべきもののために、そして、想い人とは違う方法であっても進もうと、最後の闘いに準備された機体が持っていた武装を組み合わせ、模倣したもの。
デフォルトでは、ただの片手剣だが、武装完全支配術状態では蛇腹剣としての機能が発揮され、攻撃範囲の拡張・刀身、チェーン部分の隙間から圧縮されたエネルギーの刃が形成される攻撃力の超絶強化といった真価を発揮する。また、刀身とチェーンは分離が可能で、敵をチェーンで拘束・掴んで捕縛してぶん回して周囲を巻き込むといった妙技も行うことができる。
モチーフ(読み込んだ世界の記憶)は『機動戦士クロスボーンガンダム』より『クロスボーンガンダムX1 フルクロス』と武装『ムラマサブラスター』と『シザー・アンカー』。

・土着神具『八百万ノ輪』
チャクラム(投擲)のカテゴリーに属する武器。
外観はただの鉄の輪に見えるが、神具の一種であり、その威力は外見とは裏腹に尋常ではない破壊力を持っている。
山の神であり、遥か古代は「ミシャグジさま」と呼ばれる土着神として祟り神達を束ねていた者…今は外の世界で消えた物、忘れ去られた物、存在を否定された物がが集うある世界に住む八百万の神が使う神具の一つ。
デフォルト状態で投擲物としては異常な威力を持つが、武装完全支配術状態では当たる度にその数を倍化していく能力を持っており、必ず使用者の手元に収まるよに戻ってくるという扱いやすさでも、他の武器と併用しやすいという特徴がある。
モチーフ(読み込んだ世界の記憶)は『東方Project』より、守矢神社の一柱『洩矢諏訪子』とスペルカード『神具「洩矢の鉄の輪」』。

・影侵狼剣『楓牙』
細剣のカテゴリーに属する武器。
刀身から柄、鞘といった全てが黒一色というシンプルな配色に、獣の剛毛がアクセサリーとして装飾されている侵食された聖剣の一つ。
森に棄てられた赤ん坊と、偶然出会った森の支配者である『影の神獣』…奇妙でありながら、普通ではない親子となった彼ら…しかし、突如として、別れがやってきた時、少女の本来在るべき姿を伝えると共に、悪意に染められた勇者に一矢報いるべく、聖剣を奪い、自身の魂を獣が込めた時に生まれたイレギュラーな武器。
武装完全支配術で、60秒という時間制限はあるが、影の世界へと入り込むことができ、そこからの奇襲・一方的な遠距離攻撃を可能とする、まさしく影の支配者のための武器といっても過言ではない性能を持つ。
モチーフ(読み込んだ世界の記憶)は『影獣の愛娘』…という設定のオリジナル。

・赤鳥冒鎚『バンカー・ジグソー』
片手棍のカテゴリーに属する武器。
赤い羽根の鳥を模し、先端部分には黄色いくちばしを模したパイルバンカーが仕込まれており、軽い見た目・打撃音に関して、威力はかなり高い。
ブラックジョークを時折言いながらも、邪悪(で我儘で、歌・クイズ好き)な魔女の野望を食い止めるべく、クマとトリのコンビの力を模倣した武器の一つ。
武装完全支配術状態は、無敵かつ高速で前方へと貫通力の高い突撃攻撃を放つ一点集中攻撃を放つ。
モチーフ(読み込んだ世界の記憶)は『バンジョーとカズーイの大冒険』より、主人公の一人『カズーイ』。

・重醒甲剣『キングブレイド』
黄金の刀身に紺碧のアクセントカラーが入り、右腕部分にまで及んだ大型小手までが一体となった武器。
運命と闘い、そして、友を救うために、誰もが予想しなかった方法で未来を選択した戦士が使用していた武器。
武器自体の攻撃力も高いが、その本来の能力は右小手に装填されたレリーフの組み合わせによって発揮される能力。攻撃ごとに13枚のレリーフを入れ替えることができ、特定の組み合わせ時に武装完全支配術を発動することで、その組み合わせによった特殊な攻撃を放つことができる。一方で、組み合わせを間違えれば、スカとなり、技は発動しないというギャンブル性が強いというデメリットも存在する。
モチーフ(読み込んだ世界の記憶)は、『仮面ライダー剣』より『仮面ライダーブレイド キングフォーム』と専用武器『重醒剣キングラウザー』と強化アイテム『ラウズアブゾーバー』。


・西鎧超剣『バロムグリャム』
大剣のカテゴリーに属する武器
黒き刀身に銀の刃、そこに黄色の蔦のような模様が絡まった装飾が特徴的な大剣の中ではスマートな形をしているが、刃から溢れる威圧と力は尋常なレベルではない。
『俺は何者にも屈しない……俺を滅ぼす運命にさえ!』…力がなかったから、自分が弱かったから…絶望と屈辱を味わい、強くあらねば手に入れることは愚か、生きることもできない…弱者を虐げる仕組みができてしまっている世界を破壊し、新たな世界…今度こそ弱者が踏みにじられない世界を創ろうと、強さを求めて孤高の道を進んだ戦士が使っていた大剣。
デフォルトで全ステータス強化・HPリジェネが発生する代わりに、しっかりとした自我を持っていなければ精神(フラクトライト)が崩壊するリスクを背負っている。また、武装完全支配術中はそこに一定時間体を煙に変えることができるようになり、記憶開放術は自己強化バフ全てを解除し、掛かっていたバフ効果を倍増した上で自身の部位一点に集中させることで、防御・バフ無視(解除ではない)の超絶した一撃を叩き込む(ほぼ一撃必殺で、心意による防御すら無視する)。
モチーフ(読み込んだ世界の記憶)は『仮面ライダー鎧武』より『ロード・バロン』と専用武器『グロンバリャム』

・吸命霊槍『ゼッシード』
槍のカテゴリーに属する武器。
赤・青・黒のいくつもの機械パーツが組み上げられたランス。ブースターが二つ付いており、急加速での一撃離脱戦法や短時間であれば空中戦を行うことができる。
繊細かつ敏感すぎる感受性でいくつもの悲劇と別れを、刻の涙を流しながら宇宙を駆けながら闘い抜いた少年が登場していた機体の力を模した武器。
武装完全支配術は、残留信念(心意の欠片)を集め、物理常識を超えた一撃を放つ。記憶開放術では、その上で周辺に生きる全ての心意の力までもを少しずつ借り、超常的な力を発揮する。
モチーフ(読み込んだ世界の記憶)は『機動戦士Zガンダム』より後期主人公機『Zガンダム』。

・戦恋葉刀『一千ノ輝』
刀のカテゴリーに属する武器。
武装変換術で呼び出してきた武器の中では、これといった特徴がない珍しくシンプルな武器。しかし、そこに秘められた記憶…内包された力は一線を画する。
闘いこそが自身の生き甲斐…!時には周囲を振り回し、時には自身の好奇心の赴くままに即行動、しかし、その実力・剣裁きに仲間を思う気持ちはまさしく将軍としての器にふさわしい、ある外史で活躍した女性将軍が愛用していた刀。
映現世の剣と性能が似ているが、そのコンセプトは全く異なっており、こちらは一つの条件カテゴリー群によって武器たちを呼び出すものになっている。武装完全支配術で今まで武装変換術で呼び出してきた武器を任意の数、自由自在に呼び出すことができる。また、武装完全支配術状態で呼び出すこともできるが、使用者に掛かる負担も増し、それらの武器は他者に使わせることはできない。
一方、記憶開放術は呼び出した武器の記憶を元に、その世界にあった全ての武器(神器級かどうかを問わず)を自由自在に呼び出すことができ、それらを他者に使わせることもできる。
フォンがS.O.状態になったことで呼び出せるようになった最上位武器の一つであり、能力発動時にフラクトライトに掛かる負担も大きくなっている。そのため、武装完全支配術は30分、記憶開放術は2時間と一度使用すると、次に使える様になるまでそれぞれ時間が掛かる。
モチーフ(読み込んだ世界の記憶)は『戦国†恋姫』より『足利 一葉 義輝』と彼女のお家流『三千世界』。

・零絆超弩『ウルティアース』
弩弓(弓)のカテゴリーに属する武器。
銀白のボディに、弓の各所部分に蒼輝の水晶が埋め込まれた弩弓。弓でありながら、人の身長の1.5倍はあろう大きさで、取り回しも悪いが、その威力・射撃速度は破格の威力を誇る。
『俺に限界はねぇ!』…その言葉を体言するかのように、様々な宇宙にて激闘を闘い抜いてきた光の国の若き最強戦士が、人の心の光の結晶が集結したことで生まれ、ある者から授けられた神器を可能な限り反映させた武器。
元の武器自体があまりにも尋常ではない力を持つ神器であり、ほとんどの機能が再現できていない。しかし、人の心の光が集結した武器ということで、生きる者たちの希望といった善の心意を集結させることができる神器として、弩弓として反映させることに成功した。
武装完全支配術は神聖力をチャージし、星をも抉る一撃を放つ超大規模攻撃…しかし、フルチャージするまでに3分も時間が掛かるという致命的な弱点が存在する。しかし、記憶開放術では善なる心意をも集めることで、チャージ時間を秒で終わらせることが可能で、その威力も星を穿つまでのものに高められる。
だが、無理矢理反映させた武器ということもあり、どちらの力を使った場合でもすぐさま映現世の剣に戻ってしまうという弱点も存在する。
モチーフ(読み込んだ世界の記憶)は『ウルトラマンゼロ』と神器『ウルティメイトイージス』。

・器才芸鋏『創乙』
様々な色の糸が結びついた裁ちばさみ。使用者のイメージを元に、創造・修復・改造を行う奇跡の道具。
自分が創りたいものを色々な人に使ってもらいたい、のんびりと過ごせられるように快適なものを生み出していきたい、時にはゆっくり、時には忙しく…社会に疲れた若き青年が、快適な生活を作っていく中で愛用していた道具の一つ。
武装完全支配術は、あらゆるものを修復・強化する『創造』。一見地味な能力だが、対象物を強化修繕することもできれば、機能を失くしてしまうこともできるため、搦手で並行して使うと結構えげつないこともできたりする。
モチーフ(読み込んだ世界の記憶)は、脳裏に浮かんだものを次々と想像しては自由に想像できる能力を持った現代人が異世界に転生したら…という設定のオリジナル。

●翼衣シリーズ
・重醒甲の翼衣
重醒甲剣『キングブレイド』専用装備。
効果は『キングブレイド』の武装完全支配術発動に求められる13枚のレリーフを自在に操作できるようになる…言ってしまえば、ハズレの組み合わせを失くし、好きなようにレリーフを操れるという、弱点を失くすどころか、強化へと転換してしまうというもの。

・戦恋葉の翼衣
戦恋葉刀『一千ノ輝』専用装備。
効果は武装完全支配術・記憶開放術のフラクトライトに対する負担を無効にする。また、『外史』関係の武器であれば、6つまで術を行使しているかどうかに関係なく呼び出すことができる。

幻想剣《細剣》遠距離ソードスキル〈ランバルト・ノイン〉
その場から、高速の突きを空気弾として放つことができるソードスキル。9連続まで突きを放つことができ(途中の任意解除も可能)、使い方によっては一方的な攻撃を仕掛けることも可能だが、硬直時間が4秒と長めで、また、ソードスキル発動中はその場から動けなくなるという相応のデメリットも存在する。

ようやく、解説記載終わりましたので、後書きを…

いや、やりすぎました…あっ、リッパーの剣ではなく、武器の出し方です…アドミニストレータ戦以上だったのではないかと…解説だけで一話近くの量書いてますからね(苦笑)

そして、まさかのここに来てのフォン強化…これでも、プロット段階よりはまだ弱い方なんですよね…

更に、謎になっていたシノンとサトライザーのラスト…実は、第ⅩⅩⅩⅨ話のラストはシノンがやられた音ではなく、フォンが介入したこと音だったわけです。
左目の能力を考えていた時に、「…あれ…これって、もしかしてサトライザーに一矢報いることもできるのでは…?」みたいなことから生まれた展開でした。
ユージオに邪魔され、今度はフォンに妨害されたわけで…次はキリトの出番なわけですが、フォンが余計なことをしてしまったので、今度はキリトに受難が降りかかることになるわけでして…さてさてどうなることやら…

バトルからチート能力全開に、シリアスの中にイチャイチャ空間と…詰め込みまくったお話でしたが、ここからお話は一気に佳境を迎えていきます!
そんなわけで、次回はアスナたちへと視線が戻ります…ということで、彼らの出番というわけで……

是非ご期待ください!
それでは!

雨☂️さん、
ご評価ありがとうございました!

ミトを本作に登場させるとしたら、その後はどういう感じで登場してほしいでしょうか?

  • 半レギュラー化(物語にもがっつり絡む)
  • スポット参戦(閑話に出てくるレベル)
  • まさかのサブヒロインポジ
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