夢幻の二つ名の如く世界を映し出すフォンに、天性の才能に爆発した負の感情を上乗せさせ続けるPoH…最終決戦が遂に幕を開ける!
それでは、どうぞ!
「っ…!?」
「フォン…?!」
「悪い…ちょっと張り切り過ぎただけだ。もう大丈夫だ」
安堵してか、気を抜いたところで視界がブレてふらついた俺の体を、それに気付いたキリトが支えてくれた。二つの武器の力を回復に回しっぱなしだが、全快に到るまでにはあと少しだけ時間が必要なようだ。
ブレていた視線も治り、俺は大丈夫だという風に笑って、キリトにそう告げてから離れる。赤鎧たちも全滅…というよりも、身動き一つ取れない様にしてやったので、当面の間は脅威は取り除けたと言えるだろう。
…あとは…
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
唯一、古稀樹槍『狭界』の記憶開放術から逃れた…元凶であるPoHをなんとかするだけとなったわけだが…あいつが素直にこのまま諦めるわけがない。
「…なんでだよ……」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
呆然と下を向いたまま、ポツリと言葉を漏らした奴の言葉を…奴が何をしてもいいように、俺とキリトは警戒を怠らないでいた。
そんな俺たちのことなど眼中にないとばかりに、奴は肩を震わせていた…癪ではあるが、PoHの望み通り、こうしてキリトが目覚めたと言うのに…何故か奴から怒気と憎悪が先程よりも激しく漏れ出していたのだ。
「ふざけんなぁ?!ふざけんなぁふざけんなぁふざけんなぁふざけんなぁふざけんなぁふざけんなぁ……ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「「っ!?」」
「キリトぉ!?お前は俺が唯一認めた最高の男だっていうのに…お前が求めていたのは夢幻の戦鬼だっていうのかよぉ?!お前を目覚めさせたのはこの俺だぁ?!俺であるべきだったんだぁ?!それを……それをまたお前が邪魔したっていのかよぉぉ…夢幻の戦鬼ィィィ?!」
言っていることが無茶苦茶な筈なのに…本気でそう信じているPoHの言動に、俺もキリトも圧倒され掛かる。
こんな展開は自分が望んでいたものではないと…そういう風に癇癪を起こしながら叫ぶPoHの姿は…あまりにも子供すぎた。
「…認めねぇ…こんなことを俺は認めねぇ!?こんなショーを…あの鋼鉄の牢獄で続けられなかったショータイムをこんな形で再び始めることを……俺は認めねぇぞォォォ!?」
こいつは…この男はどこまでの黒の剣士を…キリトを殺すことを生き甲斐にしてきたのだろう。それがどれだけの犠牲を払おうと、どれだけの人たちを傷つけようと、どれだけの悲劇を生み出すことになっても…それだけを求め続けてきたのだろう。
だが…それを叶えさせてやるわけにはいかない…
「…キリト」
「フォン…?」
「ここは俺が引き受ける…お前は、ユージオたちを追ってくれ」
「なぁ…?!…けど…!」
俺は前へと一歩出て、小声でキリトにこっそりと話し掛ける。そんなことを言われれば、キリトが驚くのも無理はない話なのだが…どうも雲行きが怪しいのだ。
「分かってる…あいつを放っておけないってことは。けど、ユージオとアリスの方にもヤバい奴が向かっているみたいなんだ」
「…っ!?」
ある程度体力も回復できたため、俺は左目の能力でユージオとアリスの姿を追っていた。そして、それと同時に先程から急に心意を感じ始めた…シノンを襲っていた敵が二人に追い付こうとしているのも確認できてしまったのだ。
「さっき仕留めそこなった奴で…言葉では表わせないぐらいの心意を使える奴だ。なんとかしないと…間違いなくユージオたちが危ない。だからといって、PoHをこのままにもしておけない」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「映現世の剣は記憶開放術を使い切っちまった。そんな今、記憶開放術がまだ残ってる黒剣を持つお前が行った方がなんとかなるかもしれないんだ」
「けど…お前の武器の方がまだ可能性は…」
「そうかもな…けどな、キリト。俺もあいつには結構頭にきてるんだ」
さっきまでの…キリトへと向けていた歪んだ想いを聞いていた俺が…なんとも思っていなかったわけではない。
…あいつは俺の友が苦しむ姿を喜びにしていた…
…仲間たちを嫌という程、傷つけた…
…この世界に生きる人たちの想いを踏みにじってきた…
そろそろ限界だった…あいつの思うがままになんて、この先何一つさせてなるものかと…ガキっぽいが、怒りの感情と共に闘気を解き放つ!
「…あいつは俺が倒す…俺にやらせてくれ、キリト」
「…フォン……」
「…だから、頼む!ユージオたちのことはお前に任せた!」
「…っ…!?…分かった」
「…何コソコソしてやがるぅ!?」
「「っ!?」」
キリトのことを信じ、俺はキリトを行かせることにしたのだ。そして、だからこそ、安心して俺は奴と闘うことができるのだ。
俺たちが何かをしようとしているのを阻止しようと、物凄いスピードでPoHが友切包丁を振りかぶり、その凶刃で斬り掛かってきた。対する俺も、すぐさま反応して、突き出した右手より発した心意で防ぎ止める。
「俺からの餞別だ、持ってけ!?」
「おっとと…っ!?この剣は…!」
これ以上進ませまいとPoHを堰き止め、左手に持っていた古稀樹槍『狭界』を新たな姿へと変え、俺の心意をも込めたその武器をキリトへと投げ渡した。
いきなりのパスを慌てて受け止めるキリト…その手元に収まったのは、あの時も使っていた友の血を吸いし薔薇剣…だったが…俺の心意が混ざり合ったことで、更なる姿へと剣が生まれ変わる!
「行け、キリト!全部……全部終わらせるぞ!」
「…ああ!ここは頼んだ、フォン!!アスナ、一緒に来てくれ!」
「…!う、うん!!」
新たな絆の力をも吸収した未知なる薔薇剣を手に、近くに転がっていた自身の黒剣をも心意で呼び寄せたキリト。そのまま、呼び掛けたアスナを抱きかかえ、無詠唱で神聖術を発動させ、上空へと飛び上がろうと…
「俺を放って……どこに行こってんだぁ!?キリトォォ!?」
飛行を開始したキリトたちを阻止すべく、矛先を変えたPoHが執着心を隠すことなく、飛び掛かる。それにすぐさま反応し、俺も武装変換術を発動させて奴に追い縋る!
「お前の相手は…俺だ!!」
「ぐおぉ!?てめぇ、いい加減に…ううおぉぉぉぉぉ!?」
天日剣が姿を変えた魔狼牙『フェンリース』…武装完全支配術状態で高速移動の能力を駆使し、キリトたちとPoHの間に割って入り、友切包丁を爪で受け止める。
そして、有無を言わさずに高速移動から重力操作の能力へと切り替え、PoHを空から地面へと一気に叩き付ける!
だが、咄嗟に奴はソードスキルを繰り出し、落下の衝撃を相殺した…が、流石に重力を倍にまで掛けられてしまってはすぐに動くことはできず、その間にキリトとアスナは戦域を離脱した。
「(キリトたちは行ったか…)…っ…!」
姿が遠くなっていくキリトたちを見送っていたところ、重力操作が解除された感覚が走り、俺は視線を奴へとすぐに戻す。
「「…っ…!?」」
その瞬間、瞬きする間もなく、斬り掛かってきた魔剣を狼爪で受け止めたことで、火花が散ると共に鈍い金属音が響いた。
「…てめぇぇ!?何から何まで…俺のすること全部をどこまで邪魔すれば気が済むんだよぉ?!」
「どこまで…?知ったことか!それに、その言葉…そっくりそのまま返させてもらうぞ!お前は…どこまで人が傷つくのを見れば気が済むんだ!?」
互いに一歩も引かずに、斬り結んだ武器たちがズレ合い鈍い音を響かせ続ける。拮抗する力がぶつかり合い、俺とPoHの視線までもが火花を散らしているかのように、言葉をぶつけ合う!
「てめぇが…てめぇさえいなければ、黒の剣士キリトは俺とここで踊っていたんだぁ?!てめぇの存在さえしてなければぁぁ!?」
「言った筈だぞ!お前の思う通りにはさせないって…!」
「上等じゃねぇか…だったら、黒の剣士たちが戻ってきた時に備えて、ここを地獄絵図にかえてやろうじゃねぇか…止められるもんなら、止めてみやがれェェ!?」
「っ…!?お前は…お前は、自分のしたことで誰かが悲しむことも、恐怖することも…少しも考えたことはなかったのか?!」
「はぁん?!そんなもの気にしてどうする!人がどうなろうが、知ったことか…!俺は俺…それ以外の連中なんて眼中に入れる価値すらもない奴らばかりだぁ!」
拮抗が崩れ、足に装備された狼脚具の蹴りを見舞うも、それは友切包丁の柄で防がれてしまう。
お返しとばかりに、大振りの一撃が横薙ぎ払いでくるも、上半身を逸らすことで躱す。そして、体勢を戻す反動を活かして狼爪を奴の顔面目掛けて突き刺そうとするも、今度は刃によって堰き止められた。
「そもそもぉ!人は人を傷つけることの何が悪い!?あの世界じゃ、善悪に関わらずそんなことは日常茶飯事だった筈だぁ!?現に…!お前は俺とこうして闘っているだろうがぁ!」
「お前と一緒にするなぁ!理由もなく、誰かの命を脅かし続けてきたお前たちなんかと…!?」
「違うとは言わせぇぞ!お前たちは理由、理由と言うが…それはお前たちが自分たちのことを正当化するためだけに作り出したものだろうが?正しければ、戦っていい…それが善ならば、人を殺めることも構わない…お前たちは自分たちのすることが至極正義だと信じ、俺たちを忌避してきただけだ!
お前たちと俺たちは同じ穴の貉…どう取り繕ったところで、やってきたことは変わらない!?争い、奪い…そして……ただの人殺しだ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
何度も狼爪と魔剣が交差する度に舌戦が飛び交う…そんな剣戟の中、間合いから少し離れた距離を取った俺は、PoHのその一言を黙って受け止めていた。
「…確かにそうかもな…」
「…おやぁ…?ようやく正直に認めたか…お前たちも「勘違いするなよ」…なんだと…?」
魔狼牙『フェンリース』を天日剣へと戻し、俺は強気の笑みを浮かべ、PoHの言葉を遮る。
「確かにお前の言う通りだよ。俺たちはあの世界を抜け出すまで何度も争ってきた…全部が良い思い出だけじゃなかったさ…命を奪ったことだって、今だって鮮明に覚えているさ。
けど…少なくとも、俺たちが闘ったのは、自分たちの信念を捻じ曲げたくなかったからだ!誰かの欲望が、間違いが、悪意が…俺たちの守りたいものに及ばない様に、手が届かないように闘ってきたんだ!
そして、それを忘れず、背負い、ここまできたんだ!何度でも言ってやる!お前たちと俺たちは…闘うための意義を持っている、いないで大きく違う!!」
「…フハハ……フハァハァハァハァハァハァハァ!!流石は正義の剣士様は言うことが違うなぁ!そう言って、何人を殺してきたんだぁ?覚えているというのなら、どうしてまだVRの世界に執着していやがる?」
「…この世界が…VRという繋がりが教えてくれたからだよ!俺もキリトも…誰かの為に闘っている…ここにいる人たち全員がそうだ!
VRというもう一つの世界が…新しい可能性を示したから…その可能性の先を知りたくて、見届けたいからここにいるんだ!そして、それを次に、明日に…未来に繋いでいくためにも……お前の好きにはもう何もさせない…お前が望む憎しみや争いの連鎖は…ここで止める!止めてみせる!!」
俺の言葉と想いに応えるよう、天日剣の赤き刃から陽炎が揺らめく…しかし、PoHは俺のそんな反応など望んていないと…全く面白くないと感じ、俺を挑発してきた。
「何が止めるだぁ…?お前は何も分かっちゃいない……VRの可能性がどうこう言ったが、たかがVRの世界に生まれたAIの何が大事だって言うんだ?」
「…!?」
その言葉が…たかが命という、そのフレーズを聞いた瞬間、俺の頭は一気に冷え切った。だが、そんな様子に気付いていないPoHは嗤いながら言葉を続けた。
「所詮は人様が作ったもの…それをどうこうしようとするのは人の勝手だろう?こんなに殺すのに最適なモノどもが大量に作られているだぜぇ?殺しても法にどうこう言われることのないモノどもを殺すことに何の罪があるっていうんだ?
そんな楽しみに気付いていない時点で、世界守るとかほざくお前さんの方が、可能性を潰し…ぐおおぉぉ!?」
人工フラクトライトは殺される為に…自身の快楽を満たす為に最適だとでも言いたそうな発言は最後まで続くことはなかった。
殺気を感じ、咄嗟に躱したPoHだが、避け切れなかったことで掠めた胸元から血が少し流れ出ていた…しかし、その傷もすぐさま凍結したことで塞がった…いや、正確には受けた傷と併せて、避けた斬撃が通り過ぎた一直線上全てが凍りついていたのだ。
…そして、その先には、ソードスキルを発動し終えた俺がいたわけで…
「…取り消せ…!」
「…あぁん?」
「モノじゃない!?この世界に生きている人たちは、お前の欲望を満たすための道具なんかじゃない!」
PoHの言葉にキレた俺は、武装変換術で発動させた氷華麗神『宝剣レクシーダ』で、細剣最上位単発ソードスキルフラッシング・ペネトレイター〉を放ったのだ。そして、纏う凍気と殺気を一気に解放しながら叫んだ。
そんな俺の反応が面白いのか、歪んだ笑みで破顔しながら、PoHは言葉を止めるつもりはないようだった。
「おいおい…本気で言ってるのか?たかがAIの何がそんなに大事なんだよぉ?造られたものを壊すだけの何が悪いっていうんだか…作った玩具を、生きてる人間様が使うのは道理だろうがぁ!」
「…っ…!?貴様ぁぁ…!」
我ながら沸点はそれなりに高い方だと自負していたが…それでも、その言葉だけは聞き捨てならなかった。怒りを闘気と共に一気に解き放ち、足を踏み込んだことで地面が一気に凍り砕け散る!
「必ず止める…!お前だけは…ここで必ず倒す!」
「やってみろよぉ!?お前を半殺しにして、仲間たちの阿鼻叫喚を嫌という程聞かせてやるからよおぉぉx!!」
凍気と殺気、正と負の心意がそれぞれぶつかり合い、これ以上の舌戦は意味がないと、俺とPoHは互いの獲物…氷細剣と血魔剣を構える。
「リリース・リコレクション!」
「イッツ・ショォォォォォ・タイムゥゥゥ!!」
記憶開放術を解き放ち、翼衣を氷華麗の翼衣へと変化させる。
こいつ相手に出し惜しみはなしだ。纏っている凍気が一段と冷え込み、結晶と光鱗が全身から放たれる。だが、代償として少しずつ天命が削れていく感覚に襲われるが、覚悟の上だ。
俺が細剣を肩の位置にまで持ち上げ構えたのに対し、PoHも自身の負の心意を友切包丁へと注ぎ、その刃を巨大化させながら背中に魔剣を隠すように身構える。
細剣単発ソードスキル〈スティンガー〉を発動させるべく、細剣にライトエフェクトを纏わせる。それに対抗すべく、PoHもソードスキルを発動させようとしていた。
互いのタイミングなど気にすることなく…だが、同時に放たれた剣技がぶつかり合った…のだが、
「…なぁ!?」
「っ…うううおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!」
モーションからして、PoHは短剣4連撃ソードスキル〈ファッドエッジ〉だったのだろうが…単発だけで初撃を防がれたどころか、一気に押し負けたことでソードスキルが途中で遮られた上に、吹き飛ばされたPoHが驚きの声を上げる。
氷細剣と、凶化された友切包丁の性能はそう大差はないのだろう。が、氷華麗神『宝剣レクシーダ』の記憶開放術はその性能差なんて関係なくする程の対人戦向けの力を持っていた訳だ。
「はあああぁぁぁぁ!」
「ぐぅぅ?!このぉ…調子に……ぐおおぉ!?」
加減する必要がない以上、隙を与えることなく追撃を仕掛ける!
強化された身体能力で吹き飛んだPoHへ一気に肉薄し、氷細剣で重い突きと斬撃を次々と繰り出す!
それをすぐさま魔剣で防ぐも、またしても容易く防御を弾き飛ばしかねない重い連撃に、押されるPoH…いや、正確には重いのではなく、重なった一撃がPoHへと襲い掛かっていたのだ。
氷華麗神『宝剣レクシーダ』の記憶開放術…それは、HPリジュネでも追い付かない継続ダメージを負う代わりに、一つの斬撃に三発分のダメージを加算できるようになるのだ。つまり…一撃に三つ分の力が上乗せしているのと同義であり…
「しっ!はぁぁ!!」
「っ…さっきからチマチマ…鬱陶しいんだよォォ!?」
氷属性を振り撒く重撃をまともに受ければ防御一方に回るしかないし、避けることが最善手なわけだ。まぁ、言っても、攻撃時のみにしか上乗せされないので、こっちが防御の時には効果を発揮しないのだが。
最初は押されていたPoHだが…氷細剣の特性をもう見切ったのだろう。受けるのではなく、逸らすことで衝撃を最小限にして、カウンターの一撃を繰り出してくるようになってきた。
天命が減少し続けているこっちとしては、余計な一撃を受ける訳にはいかず、それらを防ぎつつ、高速の連撃を放ち続けるが…一瞬の気も逸らせない攻防を繰り出す剣たちが、氷鱗と火花を散らし続ける。
奴の周囲を高速で移動しながら連撃を放つも、PoHは俺の姿をすぐに捉え直しては、斬撃や突きを躱し、魔剣を振り回す!
隙を作ろうと足払いを掛けるも、飛んで躱されたところをカウンターの振り落としが迫り、すぐさま後方に飛んだ瞬間、その刃が地を割る。
(本当に……その戦闘センスには舌打ちしたくなる程に感嘆するよ…!こっちの武器に瞬時に対応するなんてな…だったら…!?)
俺だって…SAO以降、ALOからGGO、オーディナル・スケール、そして、このアンダーワールドで何度も闘いの経験を積んできた。もちろん全部が全部本気でというわけでなかったが…けど、それでも、眼前で剣をぶつけ合う相手の…PoHの底が見えない実力を、俺は内心そう思っていた。
その力があったから、持つカリスマ性もあって、何度もSAOで悪夢というべき事件を引き起こしてきたのだろう…そして、この世界においても…!
けど…俺がやることは変わらない…持てる力を以て、こいつを止めると…武装変換術を発動させるべく、攻防の最中に意識を分けながら武器を探す…氷細剣の特性を見切られてしまったのなら、次なる手を繰り出すしかない。
…そして、次なる手を見つけた瞬間…
「これで…どうだぁぁ!?」
「くっ…!」
氷細剣が上空へと弾き飛ばさせ、武器を失った俺へと追撃を仕掛けようとPoHが魔剣を大きく振りかぶった!それを受ける訳にはと、俺は回避しようと大きく後方へと飛ぶも、それに追い縋る様にPoHはこちらに向かってきて…
「…来い!」
「……!?なぁ…盾だとぉ?!」
迫ってきていた刃との壁となるかのように、俺の意志に応えた氷細剣が、既に武装変換術を発動させていたことで勇気の黄鋼盾と変わり、上空から一気に降り立った!
魔剣の狂撃すらもびくともせず、それどころか返ってきた衝撃で僅かばかりPoHを後退させたのだ。
勇地究盾『グレイフォース』…その剛鋼は名に刻まれた勇気を体言したかの如く、負の心意によって凶化された魔剣の一撃に揺らぐことなく、俺とPoHを遮ってみせたわけだ。
そして、勇鋼盾を心意で平行になるように宙へと浮かせ、少しばかり助走を効かせた俺は体術スキル〈馬蹴掌〉を発動させ、空中廻し蹴りで盾を勢いよく射出した!
「これでも…喰らってろぉぉ!!」
「…?!ぬおおおおおおぉぉぉぉぉ!?」
体勢を立て直したところに、高速回転が加わった盾がもの凄い勢いで飛んできたものの、咄嗟に防いだPoHだが…勢いを殺し切ることができず、その身体が盾によって後方へと押されていく。
「ぬううぅぅぅぅ!?おらぁぁ……な、に…!?」
「…!おおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!」
雄たけびと共に魔剣を上手く動かし、盾を上空へと払い除けたPoHだが、その目が驚愕したことで見開かれた…弾き飛ばした筈の盾が急に軌道を変え、迫って来ていた俺の手元へと収まったからだ。
そして、それで終わらせるわけもなく…手元に戻る直前に真っ二つに分かれた盾が手甲として腕に装備された。飛び込んでいた速さをも加えた一撃を繰り出し、防御が疎かになっていたPoHを魔剣ごと更に吹き飛ばした!
「ぐぅぬううぅうう?!閃光みたいに細剣を使っていたと思ったら、今度は盾のような爪だぁ?!SAOの時みたいに、コロコロ武器を変えやがってぇ!?てめぇのお得意の大道芸を見せんじゃねぇよぉ!」
「お前を倒せるなら、何だって使うさ!お前の流儀って奴も似たようなもんだろうがぁ!」
「このぉ……言わせておけばぁ!?」
勇究爪を二つ合わせて振り下ろす!それを受け止めたPoHから抗議の声を上げるかのような言葉が聞こえたが、今までも様々な手を弄してきたこいつにだけは言われたくないと思い、腕に込める力が強くなる。
なんとか魔剣だけでも破壊したいのだが…この武器を以てしても、傷一つ付けることができないことに焦りが生まれる。
不死の軍団と化した赤鎧たちは、あくまでも地中に閉じ込めているだけに過ぎない。もし俺が負けたりすれば、記憶開放術が解かれ、あの軍団がユウキたちへと再び襲い掛かることになる…!
だからこそ、負の心意の媒介となっている友切包丁だけでも破壊できればいいのだが…PoHの底知れない負の心意によって、魔剣も強化されてしまっているようなのだ。
目の前で勇究爪と何度も斬り結んでいる魔剣だが…壊れる様子がないそれに、どのみちPoHを倒さなければどうにもならないことを否が応でも理解させられてしまったわけで…!
「ぼぉーっとしてるのなら、さっさと倒されやがれぇ!?」
「っ…誰がぁ!」
「てめぇと遊んでる時間ほど退屈なもんはねぇんだよぉぉ!俺の貴重な人生を…キリトと費やすべき時間を、てめぇごときのゴミがぁぁ…!俺の前に立ち塞がるなぁ!?キリトの横に……立っているんじゃねぇ!?」
「なぁ…ぐうぅぅ!?」
やはり、こいつの前では一瞬の隙も見せることができない!?
爪と剣がぶつかり、苛立ちを一切隠すことなく見せるPoHの心意が言葉と共に一層強くなるのを感じる。それに気圧され、魔剣の一撃で後方へと吹き飛ばされた!
そして、更なる追撃と、下方から振り上げられた魔剣が見え、俺は急ぎ勇究爪を盾へと戻し合わせたが、心意によって強化された一撃は、盾ごと俺を宙へと弾き飛ばしたのだ。
「(落ちてきたところを……っ!?)…クソッたれが?!」
宙へと身を投げられた俺が落ちてくるのを待ち構えようとしたのだろう…だが、俺の動きを見たPoHはそんな悪態を吐きながら、前進していた足を急ぎ止め、回避に移ろうとしていたが…
「…っ!リリース…リコレクション…!」
やられたと見せかけて、俺は盾を再び爪装具として分離・装備させ、準備が整った瞬間、体勢を立て直し、記憶開放術を発動させる!
周囲の神聖力を収束・増大させた大地の力が込められたエネルギー球…それを勇究爪で抱える様に制御し、回避行動に移っていたPoH目掛けて投げ下ろした!
光球が地面に触れた直後…辺りを光が覆い隠すような爆発が起こる!
「……ぐあああああああああぁぁぁぁ!?」
「っ…!?まだまだぁぁ!!」
ギリギリで直撃は避けたものの、爆発の余波をまともに受けたPoHの体勢が大きく崩れ、その身体が地面を転がる…だが、さっきの一撃が本命ではなかった俺はすぐさま武装変換術を発動させ…
「がぁぁ?!あのクソガキがぁ!?…っ!どこに消え「ここだぁ!?」なぁ…ぐはぁ?!」
すぐさま俺の姿を視界に捉えようと上空を見上げたPoHだが、もう既にそこには俺の姿はなく…奴の後方へと移動していた俺は言葉と共に奴のボディへと加速された蹴りを叩き込んだ!
流石に反応が遅れ、まともに直撃を受けたPoHの身体が再び地を転がる…だが、俺の方も決して無傷というわけではなかった…あまりにも早すぎるこの武器の機動性に身体がついてこれず、口から血を流す程に身体が悲鳴を上げていたのだ。
友凍究矛『サジタリウス・レイ』…状況に応じて8つのビットが装備する部分を変えることで、攻撃にも装具にも早変わりする特光武装を纏った恩恵と反動を同時に味わいながらも、
ここで攻撃の手を緩めるわけにはいかないと、無理を押して次なる手を繰り出す。
「友凍の光刃よ!その秘めたる力を存分に解き放てぇ!!リリース・リコレクション!」
「なぁ……がああぁぁぁぁぁぁぁぁ?!」
背後にジェットパックとして装備されていた六つの光短刀が飛び出し、次々とPoHの周囲を取り囲む…そして、包囲が終わった途端に囲まれていた地点が、一瞬にして絶対零度の凍土で覆われた!
あのPoHまでもが何の抵抗もできず氷に呑み込まれたのだから…まさしくあっという間の出来事であったわけだ。戻ってきた両手の光短刀に二つずつ連結させ片手剣に、足首に一つずつ装着して、その出力を最大にする!
二刀流で構えた光剣が記憶開放術の影響で最大出力を上回るエネルギーを放出し、青白から真っ赤な光へと変わる。その放出されるエネルギーを叩き付けるかの如く、一気にトップスピードにまで加速した俺は、凍りついたPoHを斬り裂こうと…!
「…?!ふぅぅん!?うおおおおおおおおおおおぉぉぉ!!」
「っ…?!でやあああああああああああぁぁぁ!!」
しかし、直前で氷を砕き脱出したPoHは、更に友切包丁の狂刃を巨大化させ、決定打として放った光刃を迎え撃ってきたのだ。光と闇がぶつかるかの如く、火花だけでなく、エネルギーの奔流が巻き起こり、周囲の地面が次々と砕けていく。
その拮抗が崩れたのは、飽和状態のエネルギーたちが臨界を迎えたことで爆発したことだった。俺もPoHももろに爆風を受け、後方へと吹き飛ぶ。
だが、奴の友切包丁は先程と同じく無傷なのに対し、光剣たちは記憶開放術の反動で限界を迎え、使用不能となってしまった。すぐさま次の武器を呼び出そうとするも、煙の中からPoHが飛び出してきたのが見えて…!?
「貰ったぜェェェェェ!!」
「…!?」
咄嗟に翼衣を脱ぎ捨て、PoHへと投げつける…しかし、それごと斬り裂こうと、PoHは友切包丁でソードスキルを発動させ、翼衣ごと斬り裂いた!…が、
「…っ!?消えただと…!?………上かぁ!?」
「…!堕ちろォォォォォォォ!」
魔剣が斬り裂いたのは翼衣だけであり、忽然と姿を消した俺を探し求めるPoH…そして、上空から感じた闘気に気付いたのだろう…すぐさま上を向いた時には、俺は武装変換術で呼び出していたその武器を構え、重力に従いながら武装完全支配術を発動させる!
魔聖騎槍『ギル・デューク』の武装完全支配術に、重力に引っ張られることに生まれた加速を足した急降下での突きを放つ!
聖邪が組み合わさった一撃により、一筋の光槍となった俺は一気に地上へと落下した。その一撃を視認した直後、すぐさま横飛びで躱したPoHは、衝撃波や土煙など気にすることなく、俺を斬り裂こうと、その狂刃を振り回し…!
「「うううううううううおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!」」
その狂撃を迎え撃つべく、俺も聖邪騎槍による重い一撃を繰り出す!再生が完了した翼衣を纏い、聖魔槍に適した翼衣…魔聖騎の翼衣へと変化させ、追加装備である魔聖騎盾『ギル・クリムゾン』を呼び出す!
「今度は騎士かよ…どこまでも自分が正しいと言い張るつもりだぁ、てめぇはぁ!?」
「そんなつもりはないさ…けど、お前が正しいって根拠だってどこにだってないだろう!?」
「俺は人が当然持っている欲望に忠実に生きてるだけさぁ!その中でも、殺しが俺の最も大きな欲望だったわけだぁ!」
「そんなことで……そんな下らない理由で、お前はあの世界から人を殺し続けてきたっていうのかぁ?!」
魔剣の一撃を聖邪騎盾で防ぎ、聖邪騎槍でのカウンターを放つ…人が持つにはあまりにも大きすぎるその重槍を易々と振り回す俺も、既に短刀どころか、両手剣の大きさまでも凌駕した友切包丁を振り回すPoHの対決は…傍から見れば、人の闘いではなくなっていたのかもしれない。
剣がぶつかり合う火花だけでなく、心意と武器の力までもがぶつかり合う余波で、空気は軋み、衝撃波で地面がどんどんと砕け散っていく。
「それがどうしたぁ!?人間、死んだら終わりだろう?生きてるからこそ、人は死ねる…その断末魔ほど、心地の良い音はねぇだろうがぁ!」
「違う!人が生きているのは、死に向かっている為じゃない!?その人生の中で、できることを、したいことを、必死に叶えるために…前へ行くために歩き続けているんだぁ!」
「いいや!死があるからこそ、人は必死になれるのさぁ!死を恐れ、奪われることを避けるために、人は力の限りを出し尽くすことができるのさぁ!
この世は奪われる者がほとんどだ!そして、それらの弱者であり、抵抗することを諦めた者たちばかりだぁ!そこから、脱却するためなら、どんな手を使ってもいいのさぁ!?奪われる前に奪う…それの何が悪い!?」
聖邪騎槍の突きを、後方へと下がることで躱したPoHは、自分の言っていることが何一つ間違っていないとばかりに…まるで演説するかのように嗤いながら、言葉を続ける。
「そもそも、この世界そのものがそうだろう?お前はこの世界を守るためだと言いながら、俺を殺そうしてるだろう?奪われる前に、奪おうとしているのはお前も一緒だろう!?違うと綺麗事を言いながらも、お前は今も剣を振るっている!
所詮はお前も汚い日本人…あの男と同じ、奪うことでしか、何も得ることができない、只の弱者だぁ!お前に…お前如きに、何も終わらせることも、止めることもできねぇんだよぉぉ!!」
「……………綺麗事で……綺麗事の何が悪い!?」
「っ…!?」
武器と翼衣を元に戻し、俺は叫ぶ…!
まさかの開き直りの反論に、流石のPoHも驚いていた。
「ああ、そうだよ…確かに綺麗事だよ!でも、それを実現したいと思っているから、俺たちは闘ってるんだ!やろうとしないと、綺麗事だろうとなんだろうと叶わないからだ!
それが明日を創り、未来へと繋がると信じて…どんなにちっぽけな可能性でも、光でも…何度も躓いて、失敗して、転んでも…それでも、最後まで諦めずに前へと進もうとする意志が力となるんだ!
お前がどんな過去を背負ってるかなんて知らないが…けど、過去に囚われたお前に…そのことを他者にぶつけることでしか耐えることができないお前に…この世界に生まれた可能性は、絶対に潰させない!?」
これで終わらせる…その想いと共に、俺はこれで何度目になるか分からない武装変換術を発動させ、天日剣を上空へと投げる!
光を放ち、天日剣が姿を変える…機械のような何かが複合しているライトイエローのバックパックが黄色と水色のスパークを散らし、顕在していた。
「…リリース・リコレクション!!」
式句と共にバックパックが分裂し、俺の脚部を中心に黒のアンダーアーマーを生成し、その上に黄色の装甲版が装具として装着された。さらに、バックパックの中心部に埋められていた白と青のパーツが右目には光学モニターとして、右耳には情報端末兼処理システムが装備された!
それだけでは終わらない…翼衣をも専用装備『電跳の翼衣』へと変化させる!
「っ…うあああああああああぁぁぁ!!」
「…!?」
完全に武具が俺と同調したことを認識し、体を駆け巡っていた余剰エネルギーを気合と共に放出する…英語のような機械音声が流れるのに合わせたかのように、放出された余剰エネルギーが斥力となり、周囲へと伝番する。
「…これで終わらせるぞ…PoH…!」
「終わらせる…?ああ、終わりにしてやるよぉ!?てめぇとの、くだらねぇこのゲームをなぁぁぁぁぁ!!」
「……すぅぅ……」
呼吸を大きく吸い、脚へと力を込め…地面を踏み込んだ瞬間…!
「…なぁ…!?」
「…でやぁぁ!!」
PoHが息を呑んだ…なぜなら、瞬きする間もなく、俺が眼前に迫っていたからだ。そして、俺が既にキックを放とうと構えているのが見え…無自覚で友切包丁で防御したのは流石だというべきだが…それでも、いきなりの攻撃を受け止め切れる筈もなく、大きく後退ったPoHは膝を突き、驚愕していた。
「な、何をしやがった…?!」
「お前はもう俺に触れられない…お前の攻撃はもう俺には当たらない……これは…ここでお前を止めるための…力だぁ!!」
「触れられないだと…!?世迷言を言ってんじゃねぇよぉぉ!」
俺の言ったことが信じられるかと…そんな感情を全開にし、PoHが向かってくる。その動きを目に捉えていた俺は酷く冷静に見極めていた。
「おらぁぁぁ!…なぁ…また消え「はあああぁぁぁ!?」ぐおおおおぉぉ?!」
友切包丁の一撃が空を切り、またしても驚くPoHだが、そんな隙を見逃してやる筈もなく、横から廻し蹴りを喰らわせる。まともに喰らったPoHの身体が、またしても吹き飛ぶ。
「がああぁぁ…ぐぅううぅぅ!?妙な真似をしやがってぇ!?」
「お前には悪いが…こっちには時間があんまりないんでな。一気に決めさせてもらうぞ!」
地面を蹴り、俺は再び姿を消す…しかし、PoHもやられてばかりではなかった。目を瞑り、俺の気配を辿ろうとしていた。
「(…落ち着け…気配が消えたわけじゃねぇ……目で捉えることができなくなってるだけだ……………っ?!)そこかぁ!?」
音を…気配を…俺が放っている闘気や殺気を感じ取ったのだろう。PoHは自身の背後目掛けて、友切包丁を振り降ろした…そこには、奴の予想通り、俺が既に肉薄していた…だが、
「っ…はあああぁ!」
「…なぁ?!(馬鹿な…?!俺の動きを…読んで…)…ぬはああぁ?!」
「だぁあああああぁぁぁぁぁぁ!!」
その動きを予知…いや、読んでいた俺は振るわれようとしていた友切包丁の柄頭を蹴っ飛ばし、斬撃を無効化…さらに、がら空きになったボディにまたしてもキックを直撃させる!
「っ…てめぇ…どんなチートを使いやがったぁぁ!?この俺を…二度も足蹴にしやがってぇ!?」
「言った筈だぞ…これはお前を止める力だって…お前に思う様にはもうさせないって!」
「うううううぅうぅぅ!!うあああああぁぁぁぁ!?本当にてめぇは、俺様をイラつかせる天才だよぉ、夢幻の戦鬼ぃぃぃ!」
俺の思うがままに転がされていることがよほど気に入らないのだろう…負の心意をこれでもかと増大させていくPoH…その心意により、更に友切包丁の狂刃も大きくなり、その刀身からはこれでもかという程の歪なオーラとなった心意が漏れ出していた。
「この一撃を受けてもなお、そんな虚言を言えるのなら、言ってみやがれェェェ!!!」
狂刃が振るわれる度に、負の心意が衝撃波となって周囲の空間を乱雑に斬り裂いていく!それを最低限の動きで躱していき、再び電跳繋仂『零壱』の力を解放する!
電跳繋仂『零壱』…人と人工知能…その二つが手を取り合った未来の可能性を実現させた世界の力を模した武器は、電跳の翼衣によりアンダーワールドの基幹システムに直接アクセスし、莫大な情報を処理したことで、何千億通りの可能性から最善手を導き出し、それを実現させる高速移動を可能とする機械装具だ。
黄色と水色のスパークが走るのを軌跡として残しながら、地を、空を、それぞれ跳躍して高速移動して斬撃の雨を掻い潜っていく!そして、奴が魔剣を振り降ろろうとした直前に肉薄したことで、
「はぁああぁ!!」
「ぬあぁ?!」
「うおおおおお!!だああああぁぁぁぁ!!」
刀身を蹴り、振り落とそうとした魔剣をあらぬ方向へと逸らした直後に、左右の腕で連続して拳を叩き込み、奴の身体が屈んだのに合わせ、その場で一回転する要領でサマーソルトを顎に喰らわせる!
鈍い音と共に、血が奴の口から噴き出るも、それで足を止めてやるわけもなく…低く浮いていた奴のボディに後ろ廻し蹴りを叩き込む!
「すぅぅぅぅ………はああああああああぁぁぁぁ!!」
蹴りをまともに喰らい、抵抗することもできずにPoHの身体が後ろへと吹っ飛ぶ!そして、それに追い縋るために大きく息を吸い、俺は電跳繋仂『零壱』の力で音を置き去りにして高速で移動する。
無防備となった奴の背中へと追い付き、空へとPoHを蹴り上げる!
「でりゃぁぁ!だあああぁぁ!!うおおおおおおおおおぉぉぉ!!!」
「ぐはぁ!?うううぅぅ…!?ぬおおおおおおぉぉぉ!?!?」
そのまま地を蹴り、空を駆けていきながら俺は目にも止まらぬ蹴りのラッシュを浴びせていく!常人であれば、目で追うこともできない蹴撃をPoHは受けることしかできず…最後の一撃を叩き込まれ、地上へとその身を叩き落とされた。
「っ…はぁ…はぁ…はぁ…!?」
叩き落とした奴に遅れ、俺も地上へと降り立つ…だが、電跳繋仂『零壱』の大きすぎる反動と消耗で息を切らし、思わず片膝を地に突けてしまっていた。
しかし、流石のPoHもすぐには起き上がれないようで…あまりの蹴りの威力と落下の衝撃で巻き起こった土煙は晴れず、そこから動く影も見受けられない状態だった。
「……勝った…?」
「あの悪魔を……討ち取ったのか…?」
「俺たち、助かったのかぁ…!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
全く動きが見られないPoHに…周囲の面々からそんな声が上がっていた。
だが、俺は奴がいるであろう場所から目が離せないでいた…確かに手ごたえはあった。だが…
(なんだ…この嫌な感じは…?)
胸中をどうしようもない不安が襲っていた…終わっていない、今にも何かが起こりそうな気がしてならず、俺はすぐに動けるように身構えていた。
そして、その予感が的中したかと思い…しかし、予感とは裏腹に姿を現した奴の態度は…おかしかった…いや、何故か笑っていたのだ。
「フハハ…フハハハハハハハ!!アハハハハハハハハハハハ!クヒヒヒヒヒィィィ!フハハハハハハハ!!フハハハハハハハハハハハハハハハ!?!!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
狂ったように笑い声を上げていくPoHのその姿に、俺は何も言えないでいた。
ただ笑っているだけなのに…何も言葉を発していないというのに…その嗤いがあまりにも奇妙で、その態度が底知れぬ恐怖を醸し出していたからだ。
「……クククッ…!クハハハハハハハハハハハハ!?!?本当にてめぇっていう存在は…この俺を最高にイラつかせてくれる存在だなぁ!ここまで嫌いになった奴の中でも、何が何でも殺してやりたいと思った奴はいなかったぜぇ、夢幻の戦鬼ぃ!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「その目、その態度、その力ぁ!?何から何までもが気に食わねぇ!何の痛みも知らず、何の苦労もせず、絶望という現実に一度もぶつかったことのないような…てめぇみたいな、人としてあるべき姿を模倣している…俺を否定するかのようなその全てが鬱陶しい!?目障りだ!!」
「…っ?!」
何度も、何度も…地団駄を踏み、見境もなく友切包丁を振り回し、暴言を吐くその姿は…目の前の現実を決して認めようとはしない奴の…怒りと憎悪に入り混じった奴の本性を荒らしているように見えた。
そして…その解釈が間違っていなかったかのように、言動に合わせて奴の負の心意が…減るどころか、ますます増加し、その色が黒さを増していき、その濃度の具合が人の血と魂を練り合わせたかのように不快なものへと変わっていた。
その変化に、俺は思わず息を呑んだ…呑んでしまった。
翼衣の力でアンダーワールドの基幹プログラムに繋がっている電跳繋仂『零壱』でさえ、今のPoHを分析し終え、『Warning!!』と真っ赤な文字を右目の光学モニターを通して吐き続けているのだから、奴の今の状態がどれほど異常なのかを俺に理解させるには十分すぎるほどで…
「俺の思うようには何もさせないだぁ!?俺を止めてみせるだぁぁ?!だったら、お前が守ろうとしているもの全てを壊し、狂わせ、奪い…全部を俺のこの手でぶっ殺してるよぉぉ!!」
その言葉と共に、PoHは友切包丁を頭上へと掲げた!
何をするのか分からない以上、仕掛けられる前に先手を打つべきだと、残り稼働時間が限界に迫っている電跳繋仂『零壱』で繰り出した超速の蹴撃がPoHのボディに…
「…なぁ?!」
俺の蹴りは奴に届かなかった…負の心意が、俺の攻撃を拒絶するかの如く、奴の体に纏わりつき、完璧に堰き止めていたのだ。
「俺の…俺の邪魔をるするんじゃねぇええぇぇぇぇ!!!」
「ぐうぅぅ!?」
言葉と共に一気に解き放たれた負の心意が、至近距離にいた俺を吹き飛ばし、空間を汚染していくかのように周囲一帯に広がっていく。
「貴様ぁ…!一体何をした!?」
「さぁ、ヒーロー様がお望みの危機的状況だぜぇ?早くなんとかしないと、てめぇの守りたいもの全部…どんどん壊れていっちまうぞぉ!?」
「っ…!そうはさせるかぁ!?エンハンス・アーマメント!」
荒廃した空と大地を埋め尽くそうとしていく負の心意…その様子を心の底から愉しそうに嗤い、発破を掛けてくるPoH。
舌打ちしたくなるのを堪え、すぐさま武装完全支配術を発動させる。纏っている電跳の翼衣を素材に、鋼鉄の飛蝗郡を作り出し、心意を纏わせてみんなへの盾にしようと向かわせる…だが…!
『『『『…!?ΓΠΘβζ?!?!?!?!』』』』
「…?!なに…!」
PoHの心意に接触した途端、飛蝗郡はその動きをいきなり止めてしまったのだ。そして、あろうことか、矛先を俺へと向けた鋼鉄の大群が襲い掛かってきたのだ!
「くっ…!うおおおぉぉ!!」
後方へと下がりながら、飛び交ってくる飛蝗たちを蹴り落としていくが、自分で作り出したものだからこそ分かっている、迫り来るその数の尋常さに手を焼いてしまい、ユウキたちのフォローに回ることができずにいた。
そして、負の心意がユウキたちに纏わり付いてしまった。なんとか心意から逃れようとするも、実体を伴わない心意を振り払うこともできず、全員が呑まれてしまい…
「…ぅうう!?な、に…これ…?!」
「まさか…これほどまでの心意汚染を…あやつが、行っておるというのか…!」
「ううぅ…うわああああぁぁぁ!?」
「こ、殺されるぅ!?来るなぁぁ?!」
「やれるならやってみやがれぇ!?返り討ちにしてやるよぉ!」
ユウキやカーディナルを始め、頭を押さえその場に蹲ってしまう者が出る程、リズたちの動きが鈍っていた。
だが、それならまだマシな方だ…完全に心意に呑まれた兵士たちやコンバートプレイヤーたちは錯乱や混乱、恐怖の叫びを次々と飛ばし、周囲にいる者同士で襲い掛かり始めてしまったのだ!
未だに呑まれ切っていないユウキたちも、なんとか意識を保つのが精一杯のようで乱戦を止めることができずにいた。
「くぅ…!止めろォォ!?」
ようやく飛蝗たちを全て蹴り砕き、高速でPoHへとキックを放つも…またしても…いや、俺の攻撃など意に介さないかのように、奴の心意が障壁となって寸前の所で防ぎ止められてしまう!
「アーハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!!クハッハッハッハッハッハッ!!!」
「ぐぅぅぅ…!うぬあぁ!?」
どれだけ力を込めようと、それ以上脚が進まない…そんな俺の姿を嘲笑うかのように笑い声を上げるPoH…そして、何かを解放するかのように両手を振り降ろした奴の動きに連動した心意によって、俺は再び吹き飛ばされる。
空中で一回転し、地面を多少滑りはしたが、なんとか着地できたものの、光学モニターが危険を知らせる『!?』の記号を赤い画面と共に表示したことで、視認するよりも先にその場を飛びのく!?
「っ!?」
電跳繋仂『零壱』で地面を蹴り去った直後、俺がいた場所へと負の心意が降り注いでいた。視線を戻すと、友切包丁で心意を操るPoHの姿が目に入ったが、その動きにすぐさま次が来ると知り、先の動きを予測して回避行動に移る!
電跳の翼衣が効果を失ってしまっているため、先程のような精度での予測はできないが…それでも、青と黄色の軌光を残す高速移動に負の心意は追ってこれないようだ。
しかし、俺の方も何か打開策があるわけもなく…このまま回避し続けているわけにもいかないとは分かっているのだが…!
ユウキたちだって、このままでは完全に心意に呑まれてしまうかもしれない…焦りを覚えながらも、回避に精一杯のこの状況では武装変換術を使う余裕も…いや、そもそもどんな武器を呼び出せばいいのかが分からないのだ…!?
「っ…(どうする…!?どうすれば…!?)…なぁ……しまった?!」
意識をそちらに取られていたせいで、それに気付くのが遅れてしまった!
地を蹴ろうとした脚が何かに掴まれ、高速移動しようとしていた体が無理矢理引っ張られたことで、動きが完全に止められてしまった!
その原因…地面に潜んでいた心意が触手の形となり、俺の両脚を拘束してたいたのだ!それを振り張ろうとするも、それよりも早く上空から心意が降り注ごうとしていて…!
「…フォン…!?」
「…!?!?!?」
咄嗟に両腕を盾にしようと構えるも、それで負の心意が防げるわけもなく…俺の様子に気付いたユウキの声が聞こえつつも、負の心意の雨に覆われた俺の意識は遠くなるのを感じ…
「ヒㇶーハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!!!アハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」
…悪魔の嗤い声を最後に、俺の意識はそこでぷっつりと途切れてしまった…
魔狼牙『フェンリース』(まろうが)
爪・籠手・脚具のカテゴリーに属する武器。
魔狼の腕爪と脚爪を模した武具で、俊敏性に富んでいるだけでなく、その狼爪による強力な斬撃や、魔狼が得意とする魔法を絡めるといった多彩な攻撃手段を組み合わせる戦法を得意とする。
元は魔族の上位に属していた魔麗狼だが、自身を倒した異世界から転入した青年と共に生きることを選んだ者の本来の力を宿した武器。
デフォルト状態でかなりの俊敏性・反応速度の向上の恩恵を得られるが、武装完全支配術では同時に二つまでなら、高速移動・重力操作・対魔無効などなど…といった魔狼が得意としていた魔法を行使できるようになる。記憶開放術では、武器と一体化することで魔麗狼の本来の姿を借りるような形で擬狼化し、元となった力全てを行使できるようになる。
モチーフ(読み込んだ世界の記憶)は『Lv2からチートだった元勇者候補のまったり異世界ライフ』のメインヒロイン『フェンリース』。
ちなみに、どうして主人公を読み取ってないのかというと、あまりにも規格外すぎて映現世の剣の条件上、キャパシティオーバーに該当するため。(まぁ、その周りもかなり規格外ばっかりなのですが、主人公はその中でも飛び抜けているわけで…)
また、このPoHとの最終決戦では、各武器の選出理由にSAOキャラをイメージしたものという条件があり、本武器の場合だとフォンとこの作品の主人公の立場が少し似ていることからの選出。(二人とも別世界からの転入者(もっとも、フォンの場合は原因不明であるのに対し、向こうは勇者召喚という形での呼出しという違いはありますが)、主人公のステータスがあるレベルから全て∞表記(≒夢幻)という類似点)
氷華麗神『宝剣レクシーダ』(ひょうかれいしん)
細剣のカテゴリーに属する武器。
常に氷鱗を振り撒く、薔薇をモチーフにした祭具らしく装飾が施された神器。攻撃対象・その範囲を瞬く間に凍り付かせるその力は、人の身にはあまりにも大きすぎる程に測り知れない。
ある異世界において、人々を滅ぼそうとした神々の進行に立ち向かおうとした者たちがいた…その中でも、自国の民を守るべく、民や友を失いながらも闘い続けた『六英雄』の一人である女性が使っていたとされる長剣。
武装完全支配術では全ステータスの強化・強力な天命(HP)自動回復が発動し続け、一振りするだけで斬撃線上を凍結させる力を持つ。記憶開放術では、上記の能力に加え、一撃のヒットが3重になってダメージ加算(分かりやすくいえば、1度に3ヒット分のダメージが計上されるようになる※3倍ではないのが味噌)されるようになる『氷華麗の懸命究撃』も発動するが、代償として上記のHPリジェネが追い付かない程の継続ダメージが発生する。
モチーフ(読み込んだ世界の記憶)はスマホRPG『ブレイブフロンティア』より選べる初期キャラで、六英雄の一人『聖氷の大女神セレナ(☆7)』。
SAOキャラのイメージでは、『細剣』からアスナ、武器自体の装飾・ゲーム内での攻撃エフェクトに『氷の薔薇』があることからユージオを連想させるものとなっている。
勇地究盾『グレイフォース』(ゆうちきゅうたて)
戦盾のカテゴリーに属する防具であり武器。
太陽によく似た橙色の紋章が刻まれたイエローカラーの盾。真ん中部分で半分に分かれる構造となっており、両腕にそれぞれを装備すれば内蔵されている超鋼の勇爪が現れて武具としても使用できる。
電子生命体の中でも、勇気の感情によって究極の進化を果たした者が常に身にまとっていた武器と防具を一体化させる形で反映させた武器。
武装完全支配術では、使用者の勇気に反応し、その攻撃力・防御力を比例する形で底上げる。また、記憶開放術では、大気の神聖力を両腕に集約・増加させて高熱球として放つ大規模攻撃、盾状態では巨大化・防御力の超絶強化といった力を行使できる。
モチーフ(読み込んだ世界の記憶)は『デジモンアドベンチャー』より究極体デジモンの一体『ウォーグレイモン』とその武器である『ブレイブシールド』と『ドラモンキラー』。
SAOキャラのイメージでは、『大地』の名を冠する必殺技を持つことから『地母神テラリア』アバターを使っていたリーファ、『勇気』に関連していることから名前繋がりでユウキを連想させるものとなっている。
友凍究矛『サジタリウス・レイ』(ゆうとうきゅうほこ)
短刀・装具のカテゴリーに属する武器であり装具。
青を中心とした白のアクセントカラーが入った8本の短光刀。手持ちで装備できる二本以外を装備できるよう、専用のショルダーラックが背中に装備されており、単独での高速飛行を可能とさせる機動力アップのための推進機器としても、短刀たちを合体させることで長光刀・光剣といったものへも利用できる複合兵装。
電子生命体の中でも、友情の光によって究極の進化への道を開きつつある者の力を、その行く末にある究極の力をも併せて反映された武器。
武装完全支配術を発動させると、8つの短光刀が起動状態になり、エネルギーの刃を形成することでの攻撃力アップ・リーチを拡張し、腕部・背後・脚部それぞれに装着を変えることで、推進力の強化、短時間の高速飛行を可能とする…但し、(使用者が生身の人間であるため)超スピードに対する対策はないため、Gによる反動は受けるため、長時間の運用・多用は難しい。
記憶開放術は、任意の短光刀を操り、対象・範囲を取り囲むような形で瞬間的に凍結し、手元に残っている短光刀の限界を超えた出力である赤きエネルギーの刃で敵を斬り割く、瞬間的火力の高い大技を繰り出す。しかし、出力に短光刀が耐えきれないため、一度しか使えないという弱点が存在する。
モチーフ(読み込んだ世界の記憶)は『デジモンアドベンチャー』より完全体の強化形態にあたる『ワーガルルモン サジタリウスモード』と、その進化先である究極体デジモンの一体『メタルガルルモン』。
SAOキャラのイメージでは、氷の機械武器・単独での飛行能力、更に矢に関連した『サジタリウス』を冠する名を持つことから、GGOで出会い、『太陽神ソルス』アバターを使っているシノンを連想させるものとなっている。
魔聖騎槍『ギル・デューク』(ませいきそう)
槍のカテゴリーに属する武器。
ある世界における最も硬いとされる電子金属が素材の重槍。白銀の槍身に赤と金色のアクセントが加わった配色。持ち手が装備者の腕を覆い隠すような形状をしているため、細やかな動きは得意ではないが、その突進力・操縦性は聖邪混沌の力と相まって他の追随を許さない。
電子生命体の中でも、ウィルス種でありながら、究極の聖なる騎士として目覚めた聖邪一体の力を持つ者が使用していた聖重槍。
武装完全支配術は、聖なる力を纏い、一点突破の突きを放つ大技。敵が邪悪(属性・精神・種族など、どれか一つでも負のジャンルに当てはまれば)であればあるほど、ダメージが大きくなる特効攻撃。
モチーフ(読み込んだ世界の記憶)は『デジモンテイマーズ』より究極体デジモンであり、「聖騎士軍団ロイヤルナイツ」の一体に数えられる聖騎士型デジモン『デュークモン』。
SAOキャラのイメージでは、騎士を思わせるデザインからアリスたち整合騎士を、聖騎士でありながらウイルス種であることからイスカーンたちダークテリトリーを…言ってしまえば、種族が何であれ、その在り方・生き方を決めるのは当人次第ということを連想させるものでもあったことからの選出。
電跳繋仂『零壱』(でんちょうけいじょう:ゼロワン)
脚具のカテゴリーに属する武器。
召喚時は様々パーツが組み合わさったようなバックパックの形で待機形態となっており、武装完全支配術・記憶開放術発動に合わせて使用者に装備される。
太ももから下部分に黒いアンダーアーマーが生成され、その上からライトイエローの装甲版に近い脚具が装着され、右目・耳に情報端末兼処理機能システムを複合した光学モニターを搭載したインカムが装備される。また、完了と同時に余剰エネルギーが放出・装着完了を知らせる音声が流れる。
『お前を止められるのはただ一人……俺だ!』人と人工知能…両者が歩み寄り、新しい未来と時代を切り拓けると信じ、何度も絶望に堕とされながらも、最後には人が生み出してしまった最大の悪意の予想をも超えた未来を作り出した、若き社長であり戦士に変身していた青年実業家が使っていた力を模したもの。
武装変換術は、一定グレード以上の物体を素材として、武器の記憶を元に生き物をモチーフとしたメカニカルモデル…指示によって一定の動きを取らせることができるロボットを生み出すことができる。
しかし、この武器の真骨頂は記憶開放術にある。記憶開放術状態では、使用者の脳と直接リンクし、経験・記憶などを媒介に敵対する相手の情報を分析、あらゆるパターンを想定し、最善手での攻略・撃退方法を提示する加速思考、音を置き去りにする程の高速移動でそれらを実現するといった対人性能に特化した力を発揮する。言ってしまえば、闘えば闘う程に敵の情報が使用者に蓄積されるため、闘っていく程にどんどんと学習していくといっていい武器。その反面、敵の力が未知数・情報が出そろっていない序盤では真価を発揮できない場合があるという弱点も抱えているが、そもそもの能力の都合上、肉体的・思考的反動もかなりなものがあるため、記憶開放術は武器自体に掛かる負担も考えると、10分程度しか維持することができない。そのため、短期決戦で用いられることが多いことから、上記のデメリットは敵が予測不能な力を発揮してきたとき、もしくは、予測はできても回避することが絶対にできない攻撃をしてきた時といった場面に限られる。
…余談だが…『零壱』は略称であり、正式名称は『飛電試作零式跳躍機械装具壱型』であり、あまりにも『長い』『堅苦しい』『読んでて頭が痛くなる』との苦情が勃発して、「零」と「壱」の文字を取って略称が決められ、「ぜろいち」の読みをもじって『ゼロワン』と呼ばれるようになったとのこと。
モチーフ(読み込んだ世界の記憶)は令和ライダー一号の『仮面ライダーゼロワン』より、ある意味でゼロワンの最終形態にあたる『仮面ライダーゼロワン リアライジングホッパー』。右耳に装着される情報端末は作中に登場するヒューマギアのヘッドホン状の耳部パーツ『ヒューマギアモジュール』にそっくりであり、そういった意味ではヒロインの『イズ』も該当する形になる。
ちなみにもう一つの最終形態であり、ゼロワンを超えたライダー『仮面ライダーゼロツー』は条件上キャパシティオーバーにあたり、映現世の剣では読み込み不可。
SAOキャラのイメージでは、(後述の翼衣の力で)アンダーワールドの基幹プログラムに接続・人工知能に感情はあるかどうかというテーマをモチーフにした作品でもあったため、キャラとしてはカーディナルが対象となるが、アリシゼーションのお話そのものが該当すると言ってもいいことからの選出。
また、『人の悪意』というテーマも含むため、似たような立ち位置にいるPoHに対する武器として、これほど適したことはないのではという意味もあってのセレクト(そう意味では、菊岡に対する意味も含むことに…)
アリシゼーションを締めくくる最終決戦で、この武器だけは絶対に外せないと思ってました!最終回も劇場版も…もう本当に良かったとしか言えないです!
〈翼衣一覧〉
・氷華麗の翼衣(ひょうかれいのよくい)
氷華麗神『宝剣レクシーダ』の専用装備。氷の透明さを表すかのように透き通った衣で、衣の所々には簡易的なものではあるが、祭具を模した模様や装飾が施されている。
特殊効果は、天命(HP)が2割を切った時、天命を全損した場合に一度だけ無条件で天命を5割まで回復して復活、5秒間無敵状態、30秒間全てのステータスを爆発的にアップするといった解除不可なバフを付与することができる。但し、30秒が過ぎると強化状態は解除され、その後、あらゆる能力(武装完全支配術・記憶開放術含む)が使用不可となる。
モチーフは、六英雄の一人『聖氷の大女神セレナ(☆7)』と一定レア以上から使用できるようになる『UBB(アルティメットブレイブバースト)』と呼ばれる超必殺技に該当するものと、『エクストラスキル』というユニット個体の特殊能力を模したもの。
魔聖騎の翼衣(ませいきのよくい)
魔聖騎槍『ギル・デューク』。鎧を思わせるような硬質な翼衣であり、この翼衣に限り、フードを被ったままの状態がデフォルトであるため、外見は赤のアクセントが入った銀白の鎧を纏っている騎士に見える形になっている。
特殊効果として、槍と対となる専用装備:魔聖騎盾『ギル・クリムゾン』を召喚することができる。この盾自体も武器でもあり、盾に刻まれた紋章から、邪悪を滅ぼす聖なる光を放てるとかなんとか…
モチーフは武器に引き続き、聖騎士型究極体デジモン『デュークモン』。
電跳の翼衣(でんちょうのよくい)
電跳繋仂『零壱』の専用装備。ライトイエローの配色で夜でもよく目立つ色の翼衣で、フードの部分には目を連想させる二つの赤い丸と、触覚のような二本の黄色いアンテナらしくものが装飾として施されている。
しかし、その特殊効果は見た目以上にデタラメなもので、装着者の脳をアンダーワールドの基幹プログラム…つまり、『ザ・シード』に接続するといったもの。これにより、元々の能力であった『使用者の経験・記憶を媒体に情報処理・演算を行う』を、『アンダーワールド全ての情報を元に情報処理・演算を行う』という、余りにも規格外な力へと昇華するわけである。その力は、何千億通りのパターンを想定し、瞬時に最適解を算出することができるという…ある意味チートに等しい能力ではある。
但し、管理者権限能力を手に入れた訳ではなく、あくまでも基幹システムからの情報捻出・演算の代理・併用処理に利用しているだけに過ぎないことに注意。また、心意といったシステム外による力には対応し切れないことがあるという弱点は変わっていない。
…まさかの次回に続きます!?
いや、もともと前後半に分けるつもりではあったのですが、本作では珍しい舌戦を交えつつの闘いになるため、会話文を挟む関係上どうしても長くなってしまうわけで…
憎しみをこれでもかと増し続けるPoHはもちろん、それに負けじと反論するフォン…どっちも黙って闘うイメージが持てないことが原因なのですが…(苦笑)
さてと…サブタイの通り、闘いの行方はまさしく予測不可能な事態になっております。最後に出た武器の作品をイメージしたサブタイでもあったわけですが、それはPoHが更に深化させた負の心意に対する、ダブルミーニングでもあったわけです。
実は、この闘いにおいてフォンは勝つための条件にまだ気付いていません…それどころか、PoHを凶化させてしまっているため、このままでは勝つことができない状態になっております。
負の心意に呑まれてしまったフォン…そこから逆転することはできるのか…鍵となる武器を呼び出せるかどうかがこの闘いを勝敗を決めることとなります…!
そういうわけで、せめてフォン対PoHの決着だけは着けさせたいので、12/31(金)に本年最後のお話を投稿致します!!
下手すれば、今まで一番長いお話になるかとは思いますが、現在死ぬ気で執筆中ですので、是非とも第ⅩⅬⅨ話『悪夢を断ち切る幻霊』にご期待頂ければと思います!
それでは!!
ミトを本作に登場させるとしたら、その後はどういう感じで登場してほしいでしょうか?
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半レギュラー化(物語にもがっつり絡む)
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スポット参戦(閑話に出てくるレベル)
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まさかのサブヒロインポジ