…のくせに、過去最長のお話になりました!(苦笑)本来なら二話ぐらいに分けてもよかったのですが、今後のこと考えて凝縮した結果です。
それでは、どうぞ!
「…カナデもこっちで一緒に住めばいいのに」
「いきなりどうしたのじゃ、ユウキ?」
カーディナル…カナデとも親密な関係となって、2日経った午前。
せっかくだからとユウキに誘われ、ログハウスで朝食を共にしていたカナデはいきなりの話にジト目となっていた。もちろん、その矛先は突然そんなことを言い出したユウキに…ではなく、俺に向けられていた
(…いや、俺も初耳なんだけど…確かに考えてはいたけどさ)
『お主が原因なのでは?』と言いたげな視線に、内心否定しながら苦笑いで横に首を振る。といっても、その内に提案しようとは思ってはいたが…それが早まったと思えばいいか。
「まぁ、ユウキの突然の提案はさておき…」
「むぅ、その言い方はちょっと思うところはあるけど…だって、現実世界でもほとんど三人一緒にいるようなものじゃん?だったら、ALOでも一緒に住むのも大差なくない?」
今度はチーズ入りの半熟オムレツをフォークで突いていたユウキからもジト目を向けられるが、ハニートーストを齧りながらスルーする。ユウキの方もちょっとだけ口を尖らせただけで、発言の意図を説明していく。
…もっとも、言われた方のカナデは肩の力が抜けたように呆れた表情をしていたんだけど…
「お主らというものは…人が良すぎんか?フォンはもうどうしようもないとして」
「おい…」
「ユウキもよいのか?またしても、フォンとの時間が減ることになるのではないか?」
「長くいるだけが良いってもんじゃないでしょ?それに、ボクとフォンも四六時中一緒にいるわけじゃないし、寝る時はいつも一緒だから大丈夫!一緒に住んでたら、カナデにだってその機会が増えるかもしれないでしょ?」
「ちょ?!ユウキ、何言ってんの!?」
「…ほう。そこまで言うとはのう…フォンはそのうち手を出すと言いそうじゃな」
「なぁ?!カナデまで…俺はまだそこまでは…!」
「「…まだ?」」
…やっちまった。
ユウキとカナデの会話と空気が良くないものになったことに焦って、口が滑った。いや、別に変な意味とか意図とかあったわけではない…ないけど…!
完全に言葉をミスった…『まだ』とつけば、それは『そのうちその予定がある』と取られても致し方ないわけで…ぶつかっていた二人の視線が俺へと集中し、冷や汗が背中を伝う。
茨の道だとは覚悟していたが、早くも二日でこんな空気を迎えることになるとは…どう取り繕っても、弁明しようとも手遅れかもしれないと思い、なんとかしなければと頭を働かせていると、
「フフッ…アハハハハハ!」
「くッ…フフフフフフッ!」
「…え?」
「冗談だよ、フォン。分かってるって…フォンはそういうことはちゃんと分別を持ってるって」
「そうじゃな。ユウキに乗っかって揶揄ってみたが…そこまで動揺すると、わしとしては悲しいのう、うん」
「…お前ら…」
どうやら二人も分かった上で一泡吹かされたらしい…というか、あの一瞬でそこまで息を併せての意思疎通に驚くしかないのだが。笑いを堪え切れずにいる二人にムッとするも、ここで何を言っても反撃される未来しか想定できないので堪えて話を元に戻す。
「ゴホン…まぁ、一緒に住むっていうのは俺も考えていたことだ。あっちと違って、ALOならカナデとも触れあえるから、一緒に住むのはありだしな」
本当に変な意味はない…現実世界でも四六時中いっしょにいるようなものなのだ。ユウキと同棲していることもあって、カナデと三人で生活していくことに抵抗はなかった。
ただ感情とか理性とかは別に、現実的問題はあるわけで…
「問題なのはこの家の広さなんだよな」
「今日、初めてお邪魔したが…そこまで狭くないのではないか?このリビングに、部屋が二つ…その内の一つをわしが使うのでいいのではないか?」
「うーん…実はそうもいかないんだよな」
一昨日は外観を見るだけで終わったが、こうして今日初めてログハウスの敷居を跨いだカナデだが、見たままの感想から意見を述べてくれるのだが、住んでる側としてはそうもいかないわけで…
まず、俺たちの家とキリトたちの家はALOで活動するにあたっての一つの拠点として機能している部分が大きいのだ。
そのため、宴とかあった時や、夜中まで勉強会とか話し合いなどの憩いの場として皆が使うことが多いわけで…そうなると、誰かが泊まるということも少なくないのだ。その時に、空いている部屋を使うこともあるわけで…
逆に荷物とかは問題ないのだ。
ALOに来て日がそこまで深くないユウキは荷物少ないし、SAOでのアイテムはほとんどロストした俺も、装備・鍛冶関係のアイテムは21層の『ファントム・クラウド』の工房に別途分けているので、空き部屋は文字通り空っぽなのだ…だから、雑魚寝するには最適ということで、時たまに誰かが泊まっていくこともあるのだ。
「俺たちが付き合っていることは隠すって決めたが、同棲…一緒に住むことは隠さないとしても、拠点としての機能は残しておきたいところだからな」
流石に二股…ゴホン…カナデとも付き合うことになったのは隠すことにした。まぁ、バレない程度に付き合っていくことを、昨日三人で話し合って決めたのだ。
一方で、拠点としての機能はやはり残しておきたいのだ。
SAOメンバーだけでなく、シノンがALOを初めて以降、ユウキを始め、パーティメンバーが続々と増えていることもあり、キリト宅にしても俺たちの家にしても集まるに当たって手狭になってきたのだ。
今の面々だけならまだしも、時には風林火山やスリーピングナイツのメンバーに、サクヤさんといった各領主たちも偶に来ることもあるため、全員が集まったりすると、外で宴会をすることになったりもするのだ。(以前の、28層攻略を祝したバーベキューパーティなんかがいい例だ)
今後のことも考えると、そのまま空き部屋をカナデに使ってもらうよりも、家の増築を検討して、それに伴って新しくカナデの部屋をも増設すべきかと思ったのだ。
「……と考えているんだけど…どうだ?」
「…いいんじゃない!そっか…大きくするって案も確かにありだね!」
「家の増築か…住まわせてもらう側としては有難い話じゃが、資金とかは大丈夫なのか?」
「大丈夫、大丈夫!ボクはともかく、フォンってALOでも滅茶苦茶お金溜め込んでるもん…この家を買った時もそうだけど、あれからまた凄い金額が溜まってるもん…見てよ、これ」
「どれどれ……………いや、冗談じゃろう…初期があれだけだったとしたら、どれだけ溜め込んでおるのじゃ、お主ら」
その手があったかと隣で頷くユウキに対し、費用を懸念するカナデから当然の疑問が出るも、その辺りは問題ない。
ユウキはスリーピングナイツの活動もあって、稼いだ分に見合った金額を消耗品の補充に当てたりするため、そこまで貯蓄は多くはないが、俺は自身の武器の補修・強化のために鉱物・モンスターの素材を集めては、いらないものを売却し、更には時折依頼を受けて行う鍛冶の収入もあるため、自然と懐が溜まってしまうのだ。
ユウキとこの家と家具を買った際にかなりの金額を使ったが、それでも余裕なぐらいに残っていた金額から積み貯めてきたものはまたいい金額になっているわけで…結婚によりストレージが共有化されているユウキのメニューを、反対側から覗き込んでいたカナデが思わず0の桁を数え直しながら目を丸くしていた。
「…なかなか使うことがなくてさ。宴会とかになったら、皆で費用を折半するし…武器のメンテなんてほとんどタダみたいなもの、というかお釣りがくるもので……気付いたら、また貯まっていたもので……自分で使うってことがほとんどないんだよな。強いて挙げるなら、食材費とかか?」
「なるほどのう…この帽子みたいに、こんなところでも他人のために使うことの方が多いわけじゃな」
ユウキのためにとか、何かしらのイベントで使うことはあっても、悲しいことに(?)俺は散財家ではないため、収入に対して消費が追い付かないという現象が常であり…それはユウキが使う分のマイナスまでもを余裕で帳消しにするレベルで…
乾いた笑いがつい出てしまい、異常な貯金額の理由を語るも、座り直したカナデはメガネの位置を直しながらどこか呆れていた…俺の秘密を知ったせいか、それとも、最近色々ありすぎたせいか、慣れてしまった態度のカナデに苦笑いするしかなかった。
そんな彼女も頭上に位置するミニ帽子を触りながら、少し顔を赤くしている…頼むから、そういう可愛い顔をしないでほしい。
…『そんなことしてたんだ?』と暗に示すかのように、ユウキから横腹に左ひじの一撃が捻じ込まれる!…地味に痛い!?(嫉妬するユウキも可愛いと思った俺は重症かもしれない…)
「コホン…まぁ、資金に関しては全く問題と思う。あとは方法だな…でも、SAO時代でもそんなクエストとかは聞いたことなかったからな」
「そうなの?住まいとかを買う人が少なったの?」
「いや、そういうわけでもないんだ。まぁ、ギルドホームとして一軒家を買うプレイヤーが多かったのもまた事実だけど、人によっては個人の家を持っていた勢は一定数いたんだ。リズは工房兼自宅として、アスナなんかはアインクラッドの50層に豪華な家宅を買ってたし…」
エギルさんも店を自宅兼用で所有していたし、クラインも風林火山のギルドホームを買っていた筈だ。俺も『幻想剣』のスキルが発現して間もなく鍛冶スキルを取得する過程で買った21層の工房『ファントム・クラウド』をホームとしていた。
そういえば、俺の工房は設備を含めて300万コルを少し超えるぐらいだったが、アスナの家は小説だと400万コルくらいだって描写があったな…今はそれに匹敵するぐらいのユルドを持っているんだよな…そんなことが頭を過ぎりながら、俺はユウキとカナデに説明を続けていく。
「ただ、ほとんどの人が既製の住宅を買うのが当たり前で、手を加えるとしても内装だけに留めるのがほとんどだったかと思う。更に、結婚システム自体が…というか、カップルになるプレイヤーが少なかったから、買った家を増築しようと事例がほとんどなかったんじゃないかな」
「むぅ…アンダーワールドでは家の増築などのそういうことは、ルーリッドといった辺境では珍しくなかったのじゃが、SAOではそうではなかったということなのじゃな」
「ああ。デスゲームと化したことで死生観が一気に変わったSAOじゃそういうことは忌避される傾向にあったのも大きかったと思う。実際の経験でも、読んだ感じでも、そういう感じはあの世界ではしてたからな」
アンダーワールド以外の結婚観を知らないカナデの問いに、知る限りの範囲で答える。女性プレイヤーが少なかったというのももちろんあるが、そもそも死別することを恐れて結婚するというプレイヤーが皆無に等しかったのだ。
俺が知る範囲でもキリトとアスナぐらいじゃないのだろうか…あとは、直接は知らなかったが、キリトとアスナが偶然に遭遇した『圏内事件』での例ぐらいだろうか?(現実世界に帰ってきた後でキリトが教えてくれたのだ)
「まぁ、ALOのカーディナルシステムはSAOと同じ…少しヴァージョンが低いんだっけ?それで日頃から自動的にクエストが作成されているらしいから、探せば見つかるじゃないかと思うんだが…」
「わしの本体のパーフェクト版とも言えるカーディナルシステムに備わっている『自動クエスト作成機能』じゃな。人の手を必要としない管理システムには必要不可欠なものじゃな」
「…まぁ、それが時折とんでもないクエストやらスキルを創り出したりするんだけどな」
「……あー…あれのことだね」
カーディナルシステムという単語に敏感に反応するカナデだが、俺とユウキは苦笑いしていた。エクスキャリバーの件とか、幻想剣とか隠しダンジョンの件とか…とんでもないことをまぁまぁの確立であのシステムはやらかしてくるのだ。
「…話が逸れたが、今日はそのクエストを探しに行くところからだな。先方の手が空いてればいいんだけど…」
話の中でも昼食を進める手を止めていなかったため、先に食べ終えた俺はカフェオレを飲みながらメニューを開き、メッセージを作成していく。一先ずは連絡を待つべきかとメッセージを送信する。
待っている間、増築するにあたってどういう風な間取りにするかを二人と相談しようかと考えていると、
『このあとすぐに会うこと可能。どうする? アルゴ』
という迅速な返信が来て、その相談を持ち掛けることはなくなった。
「よう、フォン坊。それと…この前ぶりだナ、噂の新人さん」
「…その説は世話になったのじゃ」
メッセージでやりとりし、すぐさま待ち合わせ場所を決めたわけだが…先に来ていたアルゴさんから、そんな出迎えの挨拶をもらった俺は一礼し、高難度ダンジョンの件でお世話になったカナデも礼を述べていた。
「噂の新人さん…どういうこと?」
「うん?ユウキ、あの新聞見てないのカ?ほら、キー坊とフォン坊が大暴れしたあの件だヨ。ユー坊とアリス嬢に、そこのカナデ嬢が一緒に取り上げられていただろう?二人と違って、ニュービーらしき彼女を、あの夢幻の戦鬼で有名なフォン坊が助けた上に、その場から連れ出して行った…注目されないわけがないだろう?」
「…あー…ありましたね、そんなこと…ねぇ、フォン、カナデ?」
「…そ、そうですねー…」「…そ、そうじゃな…」
油断していたところに、いきなりの爆弾が飛んできた。ユウキさん、笑顔が怖いです…!
「…おや?思っていたよりも冷静だナ、ユウキ。お姉さんとしては面白くないゾ…いいのか、キー坊のように、手を出してるとは感じないのカ?」
「大丈夫ですよ!だって、フォンとは色々と、ちゃんと約束してますから…大丈夫です!」
「ほー…信頼されてるナ、フォン坊?」
「アハハハ…ソーデスネ(…ヤバい、笑えてるかな、俺…?)」
『色々』とか『ちゃんと』とかの部分が強調して聞こえる言葉…ユウキさん、圧を感じるんですが!?あと、カナデさん!?お願いだから動揺しないで!
加えて、アルゴさんの目線がとてつもなく痛い?!口調が棒読みになっているのを自覚してしまい、笑みが引き攣っているような気がしてならない…この人にだけは知られるわけにはいかない…とてつもなく大変なことになりかねない!だって、100%ネタにしてくるに決まっている!?
「そ、それで…!お願いしたクエストの件なんですけど…!?」
「うん?ああ、あれナ…これのことだろう?」
「…『ドライアドの嘆願』?」
これ以上詮索される前に本題へと話を強引に戻すと、アルゴさんはストレージからオブジェクト化した洋筆紙を手渡してきた。
それが頼んでいたクエストの発注書だと理解し、覗き込んできた二人と一緒にその内容へと目を通していく。
「元々はSAO時代にもあったクエストの一つダ。SAOだとクエスト内容は、アインクラッド19層の迷宮区から二つ前の村の近くにある森林エリアにいる木こりの集団の手伝いをすることだったんだけどナ。
もっとも、ALOだとその木こりの集団NPCが、木々の妖精であるドライアドに変わっているんだけどナ。内容も、素材ではなく、乱雑化してきた木々の整理を兼ねた伐採を目的にしたものに変わってる。
問題なのは、間違った木々を伐ってはいけないってところだナ。指定を受けた木材を伐った時点でクエストは失敗扱いになるから、注意ナ?」
「このクエストをこなせば、家屋の増築のための素材が手に入るってことなんですか?」
「正確には、ドライアドが感謝の気持ちとして、祈りの魔法によって家を増築してくれるってことダ。もっとも、SAOだと木こりたちが総出で家屋改修してくれるのをALOなりにアレンジしたんだろうナ」
「祈りって…まぁ、確かにALOらしいですけど」
「…ドライアドか…うん?でも、あれって木の妖精だよね?ボクたちと何が違うんだろう」
「まぁ、その辺りは気にするのはナァ…領主制度とか考えると、木々と一体化しているとかで動くイメージがあまりないドライアドは外されたとかじゃないのカ?そんなこと言ったら、エルフとかも媒体によっては妖精と扱うこともあるだろう?」
「うむ…世界が変われば、物事に対する解釈も異なってくるということなのじゃろうな…様々な世界があるというのも考えものじゃな」
どうやらアルゴさんが知っているものとは異なっている部分も少なくないらしい。忘れがちだが、ALOの基本アバターの設定は妖精であり、トライアドといったものももしかすれば基本8種族のどれかに入っていてもおかしくはなかったりするぐらいマイナーなものだ。
まぁ、こればっかりは開発側のセレクトによるものだし、今も広がりを見せつつあるALOにとってはそう珍しくもない話ではある。
3人それぞれが違った反応をして、アルゴさんとそんな話をするも、とりあえずは現地に行ってクエストを確認してみるしかないのだろう。
「ありがとうございます、アルゴさん。これ、依頼料です」
「…まいど!フォン坊は、キー坊と違って文句を言わずに情報料を払ってくれるから助かるヨ。それじゃあ、お姉さんはそろそろ行くが、その前に一ついいカ、フォン坊」
依頼料をトレードメニューによって送り(…いつもの通り、結構な額だが、アルゴさんたち『鼠』の情報は確かなものなので、適正価格ではある…それでも、万の桁で取ってくるのだが…)、席を立った俺を呼び止めたアルゴさんが、
「…女の子を侍らせるのはいいが、キー坊みたいにユウキにやきもきさせるじゃないぞ、フォン坊?」
「っ?!…肝に銘じておきます…!」
俺にだけ聞こえるように小さな声で、しかし、隠す気のないニヤニヤした顔でそんな忠告をしてきたアルゴさんに、俺は苦笑いしながらそう答えることしかできなかった。
…うん、流石にカナデが俺にどういう感情を抱いているかは隠せなかったらしい。まぁ、アルゴさんからしたら、キリトたちという例で散々見てきてるから当然か…
余計な一言を頂いてから、俺たちは今度こそアルゴさんと別れ、新生アインクラッドの第19層へと向かった。
『よく来てくれました、心優しき妖精たちよ』
「…うわぁ……綺麗な人…」
アルゴさんに教えてもらった森林にやってきた俺たちは、入り口らしき場所に辿り着いたところで、クエストの発声を知らせるアイコンを見つけた。そこに近づくと、入り口の傍にそびえ立つ一本の巨木が光り、俺たちの前に女性が突如として出現した。
半透明ではあるのは化身としての姿の特徴なのだろうか…膝元まである長い薄い緑髪と、整った顔つきは、随伴していたユウキが思わず感嘆するほどのレベルだった。ほとんど閉じているといっても差し支えない薄目と落ち着いた話し方からして、確かに大人の女性というものを体言しているかのような雰囲気を持っていた。
「貴女が、この森にいると聞いたドライアドでしょうか?」
『ええ、間違いありません』
「そうですか。森で困ったことがあると聞いてやってきたのですが、何があったのですか?」
間違いないとは思うのだが、彼女がドライアドなのかを確認したところで、俺はクエスト受注のために定型文の問い掛けを彼女に投げた。すると、彼女の頭上にクエスト受注のマークが浮かんだ。
『私の願いを聞いてくれるというのですね?私はこの森林一帯を管理しているのですが、実はここ最近森が異常に活発していて、木々が思った以上に早く成長し続けているのです。このままでは、日の光が思う様に行き渡らず、他の植物たちに影響が出かねません』
「なるほど…では、木々の何本かを伐採すればいいのですね?」
『お願いできますか…私の手に負える範疇を超えてしまいまして。それと、勝手なお願いではありますが、私が指定する木々以外を伐らないで頂きたいのです』
「…分かりました。その木々を伐らない様に注意しましょう」
依頼の内容と注意点がドライアドから告げられ、それを承諾したところで俺の前にクエストを受領するかどうかのメニューウィンドウが出現した。一度ユウキとカナデに確認するように目線を向けるも、二人も問題ないという態度での返事が返ってきたため、俺は受注するのタブをタッチする。
『ありがとうございます、妖精たちよ。では、あなたたちに伐って頂きたい木は…』
「…フォ~ン!これはどう?!」
「うーん……違うな、これじゃない」
「えぇぇ…またハズレ?うううぅ…全然見つからないじゃん!?」
木々がこれでもかと生い茂る一帯を散策している中、ユウキからお呼びが掛かった俺は、彼女が目を付けた木へと近づく。
確かに探しているものと似てはいるが…確信を得るために鑑定スキルをも発動させて見ると、そこには『ヘブリュの木』という詳細画面が表示され、俺が目的のものとは違うことを告げると、ユウキから落胆の声が出ていた。
無理もない、これで3連チャン外しまくっているのだから。
「おーい、フォンよ。これはそうでないのか?」
「今そっちに行く!…………どれどれ……ああ、これはそうだな。よし、伐るからちょっと離れてくれ」
落ち込んでいるユウキに、ドンマイと言う代わりにうな垂れる方へと手を掛けていると、数メートル離れたところにいたカナデから呼ばれる。
木々を掻い潜る様に飛び、カナデが見つけた木へと近づき、鑑定スキルを発動させる。すると、今度は『アシカアの木』と鑑定画面が出て、目当てのものだと分かったため、俺は片手剣を背中から抜く。
斜め左後ろへと軽く振りかぶるように構え、そのままソードスキル〈ホリゾンタル〉を放つ。振り切った剣に遅れて、切断面を境にズレた木がそのままポリゴンの光へと変わり、ストレージの中に『木材(アシカア)』が一つ収納された。
「これで三つ目…残りは12本だな」
「むぅ…凄いね、カナデ。あっという間に二つも続けて見つけちゃうなんて」
「そうかのう?あっちでは、ステイシアの窓では得られる情報が限られておったから、同じものであっても目で判断しなければならぬことも多かったからのう」
「言われてみればそうだったな…俺もあっちでは鑑定スキルとかなかったから、色々と苦労したな」
目的の物…ドライアドから依頼された木である『アシカアの木』を三本伐り終えたところで、離れていたユウキも寄ってきて、現状について言及していた。
ドライアドからの依頼では、アシカアの木を合計20本伐採してほしいとのことなのだが、この依頼の面倒くさいところは、外見が似ている木々が並んでいるせいで見分けるのが大変だというところなのだ。
細かく見て、やっと判別がつくかどうかいうレベルで酷似しているぐらいに、それぞれの木が似ているのだ。最初の一本はアシカアの木がどういった特徴を持っているのかを知るために、鑑定スキルを持っている俺を中心に慎重に探し出した。
それから、大まかな特徴(といっても、他の木と比べて樹皮が明るく、表皮の模様で判断できるかどうかみたいなレベルだが)を理解したところで、ユウキとカナデも目視でそれらしきものを散策し、俺が鑑定スキルで確かめるという形で散策を開始したわけだ。
散策を始めて15分ほどだが、これかもとユウキが見つけてきたものは似てはいるが違うもので、カナデは二つ連続で『アシカアの木』を見つけてきているのだから、驚き混じりの声がユウキから出るのはしょうがないのだろう。
一方、カナデの方も謙遜しつつも、そういうことをしなければならなかった環境だったことを述べていて、俺もアンダーワールドの実態を経験していたため、思わず同意してしまっていた。
アンダーワールドはザ・シードで作られたⅤRMMOの中でも、ゲームというよりも世界構築シミュレーションといった極力リアル寄りの思考に則ったものだから、ステイシアの窓で得られる情報はほとんど限られている上、それ以外の分析手段がほとんどなく、目測頼りになることが多かったのだ。
「むぅぅ…手当たり次第に伐れないのが大変だよね。それでいいのだったら、バンバン伐っていけるのに…」
「まぁ、相手は木の精霊様だからな。そんな暴挙を起こしたら、確実に起こるだろうから止めておこう。それに、環境破壊というか、大量に手元にできるであろう木材を処分するのも大変そうだし…」
「幸いなのが、この森の中で飛行ができることじゃな。こんな整備もされていないところを歩き回りながら木を探すのは…想像するだけで大変そうじゃしな」
「確かにな…SAOの時がそうだったと思うと、これが飛ぶことができるALOで良かったと思うよ。それにしても…」
「…?どうしたの?」「…?どうしたのじゃ?」
気疲れしたのか、珍しくちょっとイライラしているユウキを窘めながら、カナデの言うう通り、この辺り一帯が飛行可能エリアで良かったと安堵していたが、それとは別に少し気になることがあった俺はそれを声に出したことで、二人から首を傾げながら尋ねられることになった。
「…まぁ、俺の気のせいならいいんだけど。結構森の中を歩いているのに、モンスターに遭遇しないっていうか、空中どころか地上にもモンスターがポップしないなって思ってさ」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
言葉にした懸念…言われてみてそういえばと思った二人は互いの顔を見合わせていた。経験上、いくら採取が目的のクエストとはいっても、これは少し不自然なように感じたのだ。
「もちろん、そういうクエストがないってわけじゃないけど…アインラッドの、しかもこんなエリアでなら、虫系統とかトレント系統のモンスターが出るのかと思ってたんだが…一向に見かけないから気になってたんだ…」
「わしはそこら辺の感覚がまだ分からんのじゃが、どうなのじゃ?」
「うーん……ボクもALO歴はフォンに比べたら短いけど…さっきドライアドさんが、ここは自分が管理しているって言ってたから、クエストの間は出ないようにしてくれてる…って考えるのは安易かな?」
「…その可能性もあるか。ゴメン、ちょっとそれが引っ掛かってさ。俺の気のせいだったらいいんだ。ただ、何があってもいいように注意はしといた方がいいかもな」
あくまでも気になったというレベルの懸念だ…それでも、これまでいくつかの修羅場を潜ってきた経験と勘が嫌な感じを覚えているのもまた事実で…杞憂に終わればそれでいいが、二人にも油断しないようにと告げ、了承したと二人が頷いたところで、俺たちは散策を再開した。
「…これで最後……20本目!」
それからは不安が当たったというか、本当に偶然にも遭遇していないだけなのか…一切のモンスターと出会うこともなく、俺が7本、ユウキとカナデがそれぞれ5本ずつ(ユウキは物量で、カナデは正確に一本一本を見極めてと言えば、更に分かりやすいか)アシカアの木を見つけ、最後の一本をユウキが伐るのを見届けていた。
クエストの確認画面にも『木材(アカシア)20/20』と表示され、目的の数に達したのが見てとれた。開始して二時間を超えないぐらいだが…やはり結構な時間が掛かった。
「お疲れ、これで目的数達成だな」
「うん!…って、結局ボクが見つけた数、一番少なかったか~…なんかくやしいぃ!」
「ま、まぁまぁ…わしが少し多く見つけただけじゃろう?それに、ユウキが必死に探していたから、わしも負けてられぬと思ったのも大きかったから…そういう意味ではユウキのお陰でもあったのじゃぞ?」
「……そっか。ありがとう、カナデ」
「それに、なんやかやで一番多くやっておるのはフォンじゃし、わしが見つけた木もこやつが伐ってくれたから、そういう意味ではこやつが一番働いておるからのう」
「そりゃどうも」
負けたというよりも、足手まといになっていたのではという思いから落ち込むユウキだが、カナデの言葉を受けて、少しばかり元気を取り戻したようだ。
それと同時に、俺の方を見て苦笑いしているカナデに俺も肩を竦める。主武装が魔法杖であるカナデでは、木を伐採するには初級風魔法『ウィンド・カッター』が使うのだが、今回は余計な木を伐ってはいけないため、貫通性の高いその魔法を木々が密集するここでは安易に使用できなかった。
そのため、俺が代わりに片手剣で伐採していたわけだ。ちなみに、俺も取り回しとか、抜刀・納刀のしやすさから、両手剣ではなく片手剣を今回は使っていた次第だ。
「ともかく、これで依頼は達成した筈だから、ドライアドのところに戻ろうぜ?…警戒しながらな…素材を集め終わったことで何かが起こる可能性もあるから…」
「…フォン、そういうことを言う時点でフラグじゃない?」
「…フラグ?」
ユウキに指摘されて「あっ」と思ったが、もう言ってしまったものは飲み込めないわけで…聞き慣れていないワードにカナデが一人首を傾げる中、俺たちは入口へと戻ることにしたのだ。
『よくぞ戻られました、妖精共よ』
…と、まぁ…帰りも何事もなく森の入り口まで戻って来れて、出会った時のようにドライアドが出迎えてくれた。
「お待たせしました。この通り、ご依頼のあったアシカアの木20本を伐採してきました。これで依頼は完了ですよね?」
『フフフッ…ああ、これで依頼は完了ですわ。本当に助かったわ』
「…?(…なんだ?何か違和感が…)」
クエストの詳細画面を可視化し見せながら、達成の事実を確認すると、ドライアドが笑いながら完了した旨を教えてくれた…のだが、その態度や話し方に嫌な感じを覚えたのだ。
確かに嬉しそうではあるのだが…笑い方が何かを堪えているような…いや、そもそも彼女はこんな話し方だったかと思い、ユウキたちの反応を伺おうと目線を逸らした時だった。
「…っ!?危ない!!」
「「っ?!」」
突如としてユウキが叫んだと思った瞬間、俺はカナデと一緒に地面に倒れ伏せられていた。それが、ユウキが俺たちを押し倒したのだと分かった次の瞬間、俺たちが立っていた場所を黒い光弾が通り過ぎていた!?
「今のは…!?っ…!」
攻撃されたのだと理解したのと同時に、威圧感を感じた源…彼女がいたであろう場所へと視線を向けるとそこに姿はなく、頭上から声が掛かってきた。
『愚かな妖精共よ…我の復活によくぞ協力してくれたな』
「…うわぁ…フォンが危惧してことが当たったね。というか、やっぱりフラグだったじゃん!?」
「俺のせいか、これ?!明らかにあのドライアド…と言っていいのか、あいつが元凶だろう…!」
「……なるほどのう。これがフラグという奴なのじゃな」
闇と形容すればいいのか…禍々しいオーラを纏ったドライアド(?)が3メートルぐらいの高さに(方法は不明だが)浮かんでおり、そこから俺たち見下ろしていた。その姿は、一切の隠し事を止めたかのごとく、堂々とした話し方だった。
一方で最後の最後で起きた展開に、ユウキからそんな言葉が飛んでくるも、流石にこの展開は俺の発言だけが理由ではないだろうと反論している中、一人納得しているカナデという混乱極まった会話が繰り広げられていたが、ドライアド(?)は気にすることなく話を進めていた。
『これで我はようやく力を解放することができる!まずは…我を縛り付けていた忌々しいこの土地を、ドライアドこと吹き飛ばしてくれるわ!グハハハハハハハハァァ!!』
その清廉そうな見た目に似合わない豪快な笑いをしたと思えば、ドライアド(?)が纏っていた黒いオーラが不規則に動き、その身体から抜け出たと思えば、もの凄い速さで森の奥へと消えていってしまったのだ。
そして、オーラが抜け出たことで解放されたのか、意識を失くしたドライアド(?)の身体はぐらりと揺れて…
「…おっと!」
重力に引かれて落下し始めたのに気付き、すぐさまその身体を受け止める。何が起こっているか全部は分からないが、少なくとも良くないことが起こっているのは確かなのだろう。
どうするべきかと考えようとした時、タイミングよく受け止めていた身体から声が聞こえてきて…
『うぅ…ここは…?』
「大丈夫ですか?」
『…あなたたちは……っ!そうです、アシカアの木は?!あの悪霊はどうしましたか!?』
…どうやら、さっきまでのドライアドはあの黒い靄らしきものが意識を乗っ取っていたようだ。我に返った途端、慌て出した彼女に俺は依頼を受けてアシカアの木を伐採したことを伝えた。
『…そんな……そう、ですか…多くのアシカアの木を伐ってしまったのですね…』
「…あの…ドライアドさん。さっきの黒い奴と、アシカアの木って…どんな関係があったの?」
何かしらの訳ありらしい…何が起こっているのか、それを知りたい俺たちを代表して恐る恐る尋ねたユウキに、ドライアドは少しばかり逡巡しながらも答えてくれた。
この地は植物や大地の負の要素が集結しやすいエリアとなっており、かなり昔の時代にそれらが凝縮した結果、凶樹の悪霊が生まれてしまったのだという。
守り主であったドライアドはその悪霊と対峙し、なんとかその力を抑えることはできたものの、殲滅するにまでは至らずにこの地に封印することしかできなかったのだという。
そして、常にアインクラッドの負のエネルギーを集めやすいこの地にて、悪霊がその力を増して復活しないように、神聖なる木であるアシカアを生やしていた…それが、この地に秘められた真相だった。
『…ですが、最近無容易に木々が伐採されることが増え、その中にアシカアの木が何本か含まれていたのでしょう。それにより、悪霊の封印が弱まり…私の身体を乗っ取ったのです。そして…』
「…完全に復活するために、わしらに残りのアシカアの木を伐らせた…そういうことじゃな?」
ドライアドの話を最後に要約したカナデの言葉に、彼女は静かに頷いた。話を聞き終え、非常にマズイ状態であることを悟り、俺たちは沈黙してしまっていた。
「それじゃ、その悪霊がもうすぐ復活するってことだよね?」
「だろうな…なぁ、ドライアドさん。もしその悪霊が完全に復活したら…何が起こるんだ?」
『…まずこの森は死の森へと変貌し、そこから数多の魔物が出現して近隣の村や街へと一気に押し寄せていくことになるでしょう』
「…下手をすればスタンピードか…なるほどな。まさか、ここでイレギュラークエストに遭遇するなんてな」
「「イレギュラークエスト…?」」
「…ああ。二人には緊急クエストって言った方がまだ分かりやすいか」
大まかな事態が呑み込めたところで、俺はこれがイレギュラークエストではないかと考えていた。一方で、カナデだけでなく、ユウキも初耳だったらしく首を傾げていたので、その詳細を説明することにした。
「イレギュラークエスト…緊急クエストとかトランスクエストとも呼ばれてるんだけど、そのクエストにおいて追加か変更といった形で内容が変わるものなんだよ。
条件が決まり切っているものもあれば、一定の条件を満たさなければまず発見すらされないものもある…その難易度の変化すらもバラバラだったりするぐらい不安定だ」
「それが今回のクエストで発生したってこと?」
「多分…スタンピードを誘発するようなものや、そのエリアの根幹に関わるような大きな内容は特にその傾向が見られるんだ。今回は、ドライアドが言っていたようにアシカアの木が一定の数以下に達したこととかが条件だったんだろうな。
SAOだと木こりだったって話からして、ALOによって内容が変動したことによって、新たに設定されたのかもしれない」
「そういうことか……それと、すまぬ…スタンピードっていうのはなんじゃ?」
俺もSAOで一度だけ…63層を攻略していた時に遭遇したことがあり、その時は迷宮区に一番近い街にスタンピードが起こり掛けるという事態があったのだ。
その時は、アスナたち血盟騎士団やクラインたち風林火山に青龍連合、そして、攻略組のソロプレイヤーたちが集結して、なんとか元凶を倒すことができた。
それが今、この地にても起ころうしているのかもしれない…スタンピードの意味を知ったカナデも、ユウキと揃って何が起こるのかを察して気まずい表情をしていた。
「…ドライアド。その悪霊を倒すことさえできれば…万事解決するってことだよな?」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
『それは…その通りですが……悪霊の力は凄まじいものです。一筋縄ではいきませんよ、妖精様』
「それでも…このままにしておくわけにはいかないだろう?こうなったのは俺たちの責任でもあるわけで、それを放ったままにする目覚めの悪いことはしたくない性質でね。それと…」
悪霊を倒すという俺の言葉に、ドライアドが厳しい表情と共に警告してくれるが、俺の心は決まっていて、そして、二人の意志を確認するように振り返ったが、
「「…(コクッ)」」
「…俺だけでなく、二人も同じ気持ちらしいからな。任せてくれ、ドライアド。こう見えて、俺たち結構強いからさ」
『……分かりました。妖精たちよ、わが地を、そして、この土地一帯を救うべく、力を貸してもらえますでしょうか?』
まっすぐ、迷いがない目と共に頷いてくれた二人の意志を代わりに答え、その覚悟を受け止めたドライアドは深く頭を下げた。そして、俺たちの前に新たなるウィンドウが出現する。
「…『悪樹霊が目覚める時』か…上等じゃねぇか」
「うん!」「うむ!」
真っ赤なウィンドウ枠を見ればこのクエストの重要度が窺い知れるが、躊躇する気も迷いもなく、俺はクエスト受託のタブを選択する。
『ありがとうございます!…では、悪霊の元へは私が道を切り拓きましょう!』
クエストを受託したことで、ドライアドが新たな動きを起こす。集中するようなポーズを取ったのと同時に光が彼女に集まり、
『…はぁぁ!!……この先に悪霊の本体を封印した場所があります。まだ奴は復活しようとしている最中のようです。今ならば、まだ容易に倒すこともできるかもしれません。妖精たちよ、武運を祈ります』
「「「(コクッ)」」」
草木で覆われていた道が拓かれ、一本の道が出来上がった。激励の言葉をドライアドから受けた俺たちは、一刻も早く辿り着くため駆け出した!
「…これは…この先にいるっぽいな」
ドライアドが拓いてくれた道を駆け抜けていく中、作戦を話しあっていた俺たちだが、視線の先に大きく開けた場所が見え、更には雰囲気が重苦しいものに変わったのに気付き、一旦足を止めた。
「……作戦はさっき話したようにだ。カナデには負担を掛けることになるけど、頼むな?」
「任せておけい。むしろ、露払いの方はしっかりと任せたぞ?」
「もちろんだよ!よし、行こう!」
再度作戦を確認し、俺たちは警戒しながら広場へと足を踏み入れた。すると、出口を塞ぐかのように歪な形をした木の根っこが地面から飛び出した。そして、大きな揺れを感じたかと思った次の瞬間、
『GAAAAAAAAAAAAAAAA!?!?』
『The curse tree of Miasma』…直訳で、瘴気の呪樹といったところか…木漏れ日が差し込んでいた空間が、どす黒い雰囲気へと様変わりしていくことでボス戦が始まったことを告げていた。
フィールドの奥の地面から俺たちの5倍はありそうな巨体を誇った呪樹がその姿を現し、その中央には真っ赤なペンキで描いたような歪な目と口が現れていた。HPゲージは3本…ネームドモンスターとしてはそれなりといった強さのようだ。
更に、ボスに続くように周囲に転移の光が発生し、そこから奴をそのまま小さくしたようなトレントたちが出現する。
「1,2……取り巻きは全部で6体か…!」
「フォンは前に出ることに集中して!カナデはボクが!」
「こちらのことは気にせずに、一気に突っ込め!」
「…頼んだ!行くぞ!」
両手剣に片手剣、魔法杖といったそれぞれの獲物を構え、戦況を素早く分析したところで、各自で動き出す。
奥に鎮座するボスに対し、トレントたちは俺たちを包囲するかのようにゆっくりとだが迫って来ていた。その包囲網を強引に突破するように俺は両手剣範囲ソードスキル〈サイクロン〉で前方のミニトレント二体を斬り飛ばす!
流石に一撃では倒し切れなかったが、硬直が解けてすぐに前方へと飛び出した俺は翅を具現化し、低空飛行から一気に加速してボストレントへと肉薄する。そのままやられてなるものかと、ボストレントも自身の身体から生え漂わせていた巨枝を横薙ぎに振るってくる。
その一撃を高度を上昇させることで躱し、接近したのと同時に両手剣での袈裟斬りを繰り出すも…
「っ…!(硬い…!?斬撃に耐性持ちか!)」
物見を兼ねての一撃だったため、ソードスキルは使っていなかったが…それでも、ほとんど減少していないHPに、攻撃したこっちの手が痺れるような感覚に、防御が高いだけでなく、耐性があるのではと思わざるを得なかった。
「フォン、離れよ!」
「…!」
その合図で俺が一旦ボストレントから距離を取った途端、後方から熱波が奴に直撃する。それがカナデの放った中級範囲魔法〈フレア・カーテン〉と察するが…
(…炎にも耐性持ちかよ…!ドライアドがあそこまで言うほどのことはあるってことか…!?)
しかし、両手剣同様に、炎魔法によるダメージも芳しくなく、ボスの情報を分析しながら攻め方を模索していく。
後方のカナデも炎系統の魔法は効果が薄いと分かった今、別の属性をぶつけていくだろう。そんな彼女をカバーするように、ユウキは6体のミニトレントを近づけまいと迎撃し続けていた。
取りまきをユウキが引き付けるのに対し、ボスのヘイトを集めながら前線でダメージを与えていくのが俺の役目だが…このままでは埒が明かないと思い、高速換装スキルで武装を換えようと…
『Oooooooooooooouuuuuuuuu!!』
「…?なに、を……ぐぅうう!?…」
距離を保ちながらも、枝の攻撃範囲から逃れようと高度を上昇した時、ボスが叫び声を上げ、何事かと思った時には…眼前に何かが迫っていた。
…ガァ…!?
「「…っ!フォン?!」」
「………大丈夫!掠っただけだ…!」
鈍い音と共にそれをまともに喰らったかのように、背中から落下し始めた俺を見て、後ろの二人から悲鳴に近い呼び掛けが聞こえる。けど、問題ないと俺は最低限の言葉を大声で放ち答える。
咄嗟に体を山折りの形で反らし、両手剣で軌道を僅かに逸らしたことで直撃は避けられたが…高度を地面スレスレにまで落としつつ、俺は先程の超高速の一撃…枝による刺突に冷や汗を流していた。
あんな技まであるとは…俺が反応するのが遅れてしまったほどだ。ユウキであっても、あんなものを連発されれば、回避に徹するしかなくなってしまうだろう。
(長期戦は不利…カナデだって何度もすぐに魔法を連発できるわけじゃないし、片手剣メインのユウキがディーラーに加わってもダメージは期待できないか…そうなってくると…)
低空飛行であってもスピードは落ちないため、接近や回避するには特に問題はないだろう。ミニトレントの方もユウキが相手取ってくれているため、当面は大丈夫だ。
そうなってくると、問題なのはボスのHPを削りきるかということだ。
トレント系の弱点として多い斬撃・炎に耐性を持つということは、ボスは変異種に近い系統だと思われる。現に、ユウキが蹴散らしている取り巻きは片手剣のダメージが通っている。
樹皮の硬さからしても貫通属性もそこまでダメージの通りが良くないとすれば…こっちの取る戦法も決まってくる。
幸いにも、取り巻きたちを除けば、ボスの攻撃はさっきの強襲での刺突以外は、周囲に漂わせている四つの巨枝での全体薙ぎ払い、単体狙いの縦・横・斜めを織り交ぜた振り下ろし、といった単調な攻撃ばかりだ。
巨体ではあるが動く気配がない相手に、カナデの魔法はほぼ当たるようなものであり、こっちも攻撃の軌道さえ読めば多少の大ぶりな攻撃も直撃させることはそう難しくない筈だ。
(…よし、だったら…!)
頭の中で歯車が噛み合ったように、ある程度の戦法が整え割ったところで、俺は左手でメニューを開き、ショートカットに登録していた高速換装のスキルを発動させる。
発動と同時に、現在の装備画面とその下に武具に関するアイテムストレージの一覧が出現し、俺は手早くそれぞれの画面を指でタップする。
防具は装備している『蒼炎の烈火』のままでいくため何も触れず、装備画面の両手剣『エンプレス・ジェイル』のスロットを一度タッチすることで、装備中を表す青のタブから解除(未装備)を表す灰色へと色が変わり、ストレージ一覧にあった両手混『ジーク・テンペスト』をタッチしてから、スキルの発動を完了させる。
三秒にも満たない操作が完了した途端、持っていた剣と背負っていた鞘が水色のシステムエフェクトに包まれ消え、入れ替わるように手元に両手棍が出現した。
「これなら…どうじゃ!?」
ずっしりとした感触を両手で感じるように握りしめ、再度アタックを掛けようとする最中、詠唱が完了したカナデの上空に7つの光剣が具現化し、彼女の指示に従い加速してボスへと飛来した。流石にタダでは通さないと枝で障壁として防御を図るも、3つは防いだものの、残りの四つが顔面らしきものが浮かんでいる周囲へと乱雑に突き刺さる!
『UUUUUUUUUUURRRRRRR!?』
「痛がってるところ悪いが…追加だぁ!!」
炎魔法が直撃した時よりも明らかに苦痛な姿をしたボス…その隙を逃してやるわけもなく、その側面へと急加速で接近したスピードをも加えた片手混7連撃ソードスキル〈ヴァリアルブル・ブロウ〉を叩き込む!
風・雷属性が半々に属性付与された連撃は、光魔法に比べれば効きは良くなかったが、付与された打撃体勢ダウンのデバフによって底上げされたことで、先程の魔法ダメージと併せてそのHPを一本目の6割程削った。
片手棍に比べ、取り回しが非常に悪い分、代わりに威力がかなりある両手棍でのソードスキルは有効だと察し、一旦距離を取る。
3本の枝を大きく振りかぶったことで、攻撃が来るとモーションで察してその軌道に注意する。一発目は俺へと斜めに、二発目は後方の二人にも届くような全体薙ぎ払い、そして、それに僅かに遅れて時差での全体薙ぎ払い…全てを躱し、二人もユウキが主導で躱すタイミングを指示していたため、回避できていた。
この二連続の全体薙ぎ払いは敵味方問わずに攻撃するため、空へと回避した二人に対し、包囲しようとしていたミニトレントたちは容赦なく直撃を受け、ポリゴンへと変わり…そして、また新たに6体のミニトレントが即座にポップする。
「やっぱり取り巻きは無限増殖のタイプみたいだね…本体を倒さないと、ジリ貧だよ」
「でも、あいつの攻め方は分かった。攻撃も単調なら、あとは削っていくだけだ。二人とも、高度を上げ過ぎるなよ。さっきの奇襲はまともに喰らったら、ダメージもヤバそうだ」
取り巻きたちがリポップした間に、前線へと上がってきた二人と合流し、敵の分析をユウキ、カナデと共有し合う。さっき掠った奇襲に関しても警告し、俺はストレージからハイポーションを取り出して飲む。
掠っただけでHPのイエローバー直前まで削られたのだ…直撃すれば、下手をすれば、一発リメインライト化する可能性が高い。ユウキもカナデもそれぞれディーラー・メイジといった防御力がそこまで高くないビルドなので尚更だ。
「さっきの光魔法に加えて、お主の秘奥義もそこそこ効いておったな。炎以外なら効くとみてよいか?」
「多分な…でも、闇属性は控えておいた方がいいかも。悪霊って言われるぐらいだから、耐性どころか吸収までされる可能性もある。攻めるなら、耐性がはっきりしてる光・風・雷の属性か、打撃系の武器だな」
「…ってことは、メインのディーラーは二人に任せた方が良さそうだね」
三人が集結したことで、ボスと取り巻きとで挟まれる形となったが、有効打を当てられる俺とカナデがボスへと集中し、取り巻きを近づけないようにユウキが後方をカバーしてくれる戦法でもある。
あいにく今日はタンク系の装備を持ってきていないのと、収集系クエストだけと思い、そこまでアイテムを多くは持ってきてないこともあって、持久戦をするのは結構厳しいのだ。
「おう…さてと、それなら本腰入れて行くとしますか!」
「「了解!」」
短期集中…HPバーの減少による動きの変化には最大限注意しながらも、俺たちは猛攻を仕掛けた!
カナデが詠唱をしている中、さっきのようにヘイト集めるのも目的に俺は両手棍でダメージを与えていく。巨枝は部位破壊できないだけでなくダメージも超軽減されてしまうようだが、本体に次々と片手棍ソードスキルを叩き込んでいく。
重単発〈アサルト・ダイブ〉、3連撃〈レイジ・ブロウ〉、6連撃〈ライオット・スマッシュ〉、3連撃〈ブルータル・ストライク〉…属性ダメージまでもが加算された通常ソードスキルの乱打を一撃離脱で食らわしていく中、カナデが初級から中級までの様々な光魔法を放って、追加のダメージを狙っていく。
取り巻きたちも、一体も通すことなくユウキが相手取ってくれいて、ボスへと集中することができた俺とカナデは順調にそのHPを削っていく。
二本目に突入しても行動に変化がなく、最後のHPゲージである三本目へまで削ってみせたが…やはりそう一筋縄ではいかないようで…
『Guuuooo…!?GAAAAAAAAAAAAAAA!!!』
「っ……何だ…?」
ボストレントが呻き声から怒りの叫びへと変えながら放ったかと思えば、全身から何かの気体を噴出し出したのだ。それはあっという間に戦場を包み込むも、特に視界が塞がれるわけもなく、一体何が目的かと訝しんでいると…
「…なぁ…これは…!?」
「フォン!武器や防具が…!?」「…融けてる…!?」
「…っ!……いや、違う!これは腐食だ!この気体は酸の瘴気なんだ!」
全身が…いや、持っている両手棍や装備している防具から白い蒸気が異臭と共に立ち始め、同じ現象が起こっているカナデとユウキが動揺していた。
すぐさま鑑定スキルで武具の状態を視てみると、『腐食』状態だという鑑定結果が出ていた。防御力のダウンを始め、耐久力までもを解除されるまで下げ続けるバットステータスだ。
しかも、戦場一帯を瘴気の霧が包んでいるため、アイテムが回復しようにも、すぐにまた影響を受けてしまうため意味を為さない。その上に、MPまでも減少させるという、ボストレント特有の能力までも持っているらしく、ステータスバーのMPゲージが減少し続けていた。
「…カナデ、マジックポーションは!?」
「…あと三つじゃ!フォン、さっさとケリを着けぬとマズいぞ!」
「分かってる…!一気に決めるぞ!」
防具はともかく、武器までもが耐久値を切ってしまえば使い物にならなくなってしまうし、カナデもMPが尽きてしまっては打てる手段がなくなってしまい、アイテムが尽きれば回復もできなくなってしまう。
あと数分でHPゲージ一本を削り切らなければならないことを理解し、カナデの言葉に大声で応えながら、俺は両手棍を構えて突っ込む!
「…舞え、光の槍よ!」
「幻想剣…アブスターディ・ターミネイター!!」
光属性中級魔法『ライト・パラディン』で牽制してくれたカナデの魔法に合わせ、幻想剣《片手棍》超重単発最上位ソードスキル〈アブスターディ・ターミネイター〉を発動させる。オーラによってその刀身が巨大化した棍棒を突撃と振り抜きの慣性をも加え、奴へと叩き付ける!
…だが…!
「なぁ…!?」「…まさか…!」
直撃したソードスキルと魔法だが…その結果に俺とカナデは絶句する。
さっきまでとは全く違い、HPは2割ほどしか減っていないのだ。どうやら最後のHPゲージを切った変化はステータスにもあったらしい。
(雷属性100%のアブスターディ・ターミネイターだけならまだしも、光属性にまで耐性を持ったっていうのか!?その上で防御力までも上がっているのか…!)
舌打ちしたくなる気持ちを抑えながら、打開策を考える。属性耐性の増加だけでなく、防御力までも強化されているのなら…瘴気の影響を受けた両手棍は耐久値が破損寸前にまで減ってしまっていて、もう使えない。
今日持ってきている武器に打撃系のものはもう……いや、そういえばあれがまだあったな!実践テストが終わっていないが…あれならば、この状況を打開できるどころか、あいつをすぐに倒すこともできるかもしれない!
「カナデ!何でもいい、奴の視界を妨げるような広範囲の魔法はあるか!」
「あ、あるにはあるが…火属性じゃぞ!?奴には耐性が……いや、お主がそう言うのなら…任せよ!!ユウキ、詠唱に集中するからガードを頼むぞ!」
「うん、任せてといて!」
最後の攻勢に出るためにカナデにあることを頼む。突然の頼みに戸惑うカナデだが、俺の目を見て悟ってくれたらしく、ユウキにカバーを頼んで詠唱を始める。
それを見て、俺も動き出す。ストレージからマジックポーションを取り出し、一気に飲み干すことで減少しつつあったMPゲージを回復することで現状維持に留める、そして、一気に高度を上げながらその時を待つ。
「……よし!フォン、準備できたぞ!」
「やってくれ!後はこっちでなんとかする!」
「うむ……フレア・カーテン!!」
初撃で放ったものよりも、詠唱を更に重ねたことによって攻撃範囲が倍増したフレア・カーテンが局所攻撃として、ボストレントの視界を塞ぐようにその前方へと放たれた!
その時と同時に、高度を上げ終えた俺に、先程のように超高速の刺突攻撃が襲い掛かる。しかし、既に種が割れている上に、視界を防がれているために正確にこちらを捉えられていない攻撃を避けることなどそう難しいものではなく…
上方へと僅かに身体を逸らすことで躱した直後に、刺突によって伸ばした枝を足場にするように蹴り、翅を解除して重力に引っ張られるのをも合わせて一気に加速しながら、左手でメニューを操作して高速換装スキルを発動させる!
両手棍の装備を解除し、新たに武器を装備…そして、それとは異なるスロット…予備として扱っている5番目のセット一覧に設定している防具一式を選択し、スキルを発動完了させた!
そのことで両手棍がポリゴンの光と化して装備ストレージに収容され、俺の全身が転移の光に似たものに包まれる。
装備していた『蒼炎の烈火』を一段とゴツく、そして、よりウォリアーらしくした赤き鱗甲で構成された防具と、それと共にオブジェクトした刀に酷似した片手剣らしきものを腰の鞘から抜刀する!
未だに燃え盛るフレア・カーテンの壁を突き破り、剣を振りかぶりながらソードスキルを発動させる!
「これなら…どうだぁぁぁぁ!?」
赤紫のライトエフェクトが刀身に宿ったのを確認し、剣の力をスキルによって解放する!それにより、三分の二で止まっていたMPゲージがゼロになり、刀身が均等に砕けたかのように分裂した!
エクストラスキル「蛇腹剣」…片手剣スキル・鞭スキルをマスタリーすることで解放される武器スキルの一種で、多大なMPを代償にすることで剣の力を発揮することができる。
炎棘鞭剣『フレガンズ』のバラバラになった刀身…その3倍の長さがある鞭を大きく振りかぶり、ボストレントの巨体へと巻き付ける!剣による攻撃は無駄だと言わんばかりにボスが嗤ったように顔の模様が歪んだように見えたが…それを見て、俺も思わず笑みを浮かべてしまった。
「…お生憎様、耐性があるから効かないと思ったら大間違いだぜ?」
伝わるわけがないとは分かっているが、そんな言葉が零れてしまう。分かっていて、無駄な攻撃をするわけがない…そのために使ったのがさっきのソードスキルだったわけだ。
幻想剣《鞭》単発拘束ソードスキル〈タインバウンド〉…鞭で使えば、拘束した敵に防御無視の固定ダメージを与える闇属性のソードスキルだが…蛇腹剣で使えば、炎属性に変化するだけでなく、防御無視に加えて耐性までもを無視してダメージを与えるものへと様変わりする。
鞭であれば単発だが、刃が均等上に並ぶ蛇腹剣であれば、その刃の数だけダメージを加算するというおまけつきだ…防御も耐性も無視する連撃は、相手が巨体であればあるほどにその脅威を増す!
「…これで…終わりだぁぁぁぁぁぁぁ!!」
再び翅を具現化して空へと浮き、巻き付いた蛇腹剣を逆手で持ち変え、体を半回転させることでその刀身を引き戻す!それにより、巻き付いていた刀身が引っ張られるのとに合わせてトレントの身体を貫き切り裂いていく!
『GAGAGAGAGAGAGAGAGAGAGAGA!?!?』
硬木を抉り取られているのが、口から漏れるようにボストレントが悲鳴を上げる!必殺にも等しい一撃はガリガリとHPを削り取っていき…引き戻した蛇腹剣が元の形状に戻った時には、そのHPがレッドゾーンを通り過ぎてゼロと化した。
…それにより、断末魔と共にボストレントはポリゴンへとその姿を変えた。
ユウキが足止めしていた取り巻きたちは枯れるように崩れてはポリゴンへと変わり、十万していた瘴気が霧散し、どす黒い雰囲気から元の木漏れ日が入ってくる穏やかな森の空気へと戻った。
「…よっと。どうやら討伐できたようだな」
「「フォン!」」
「おう。お疲れ、二人とも。あっ…」
全てが終わったのだと視認したことで地上へと降り立ち、二人と合流する。瘴気によって浸食した防具は多少のダメージを受けていたが、それ以外に目立ったダメージはなく、二人も俺が無事であることを確認して安堵していたが、装備していた蛇腹剣が耐久値の限界を超えたことで完全破損してしまい、ポリゴンとなって消滅してしまったのだ。
「…剣が…!」
「あー…完成したばかりだったとはいえ、元々耐久値がかなり低かったからな。瘴気の侵食に、幻想剣ソードスキルは無茶があったか。こうなったら、一から新しく作らないと駄目だな」
「修理することはできぬのか?」
「半壊とかなら一回インゴットに戻してそれもできるんだけど、ポリゴンとなって消滅するような完全破損の場合はできないんだよ」
目の前で突然蛇腹剣が壊れたことに驚くユウキに対し、俺はこうなる可能性も想定していたため、そこまで動揺はなかった。カナデから当然の質問が飛んでくるが、解説を交えて答える。
以前、ユウキの剣を決闘で破壊したことがあったが、あれは耐久値がゼロに近い状態で大ダメージを受けたことで刀身が折れた半壊状態であったため、一度インゴットに戻すことができた。
しかし、今回の破損状態は耐久値がゼロになったことで完全破損扱いとなってポリゴンとなって消滅する…修理・復元といったことができない状態に該当する。
蛇腹剣は片手剣の威力・鞭のリーチを合わせた上に斬・打・貫属性の全ての攻撃ができるという優れた武器なのだが…弱点として異常なまでに耐久値が低いのだ。幻想剣ソードスキルを一、二度使えば耐久値が限界を迎えるほどで…今回のことは当然の結果だったかもしれない。
「まぁ、壊れてしまったものはしょうがないさ…作ったばかりだったから、テストなしのぶっつけ本番での勝負だったからな」
「…お主があまり気にしていないというのならよいが…炎の中に突っ込むのを見た時は、少しばかりヒヤッとしたぞ…!」
「うんうん!熱くなかったの、フォン!?」
「大丈夫、大丈夫。この防具は火属性に耐性があるものだから…といっても、試作段階のもので、名前もまだ決まってないんだけどな」
俺が頼んだことを承諾したとはいえ、流石のカナデも俺が炎魔法の中を突っ切るとは思ってなかったらしく、ジト目と共にそんな抗議の言葉が飛んできた。それに同意するユウキに、装備している防具の耐性を説明しながら弁解する。
前々より構想を温めていた新防具の一つであるこの赤鱗甲(仮称)は多少のダメージは無視して攻撃することを想定したもので、あのぐらいは何ともないレベルだった。でも、可動域に課題がまだあり、装備面も完成していないから、今回の結果を踏まえて改良する余地はまだまだありそうだとも感じた。
…ともかく、無事にボストレントを倒し終えたことで、今度こそクエストを達成できただろう。左手でメニューを呼び出し、普通に装備画面を開いて防具をデフォルトの『蒼炎の烈火』へと戻しながら言葉を掛ける。
「それじゃ、ドライアドの所に戻るか。さっさと報告して、家の増築をしてもらわないといけないしな」
「うん」「うむ」
『ありがとうございました、妖精たちよ!お陰様で悪霊は倒し切ることができました』
森の入り口へと戻ると、最初に来た時のように巨木からトライアドが姿を現し、ボストレントを討伐したことを察してお礼を述べてきた。
「いや、俺たちがあいつを復活させたようなものだから…当然のことをしただけだよ」
『ですが、貴方たちの力がなければ悪霊を滅ぼすことはできなかったでしょう。これで、奴が再びこの地に現界するまでに対策を講じることができるでしょう』
「現界って…もしかして、あのおっきな木のモンスターって死んでいないの?」
『正確にはあの悪霊は完全に消滅しました。しかし、この地は負のエネルギーが集まりやすい地であるため、それが凝縮すれば別個体の悪霊が現れる可能性もあります』
「…つまり、封印した悪霊は完全に倒し切ったが、新たな悪霊が生まれる可能性もある…そういうことじゃな?」
『ええ…ですが、そうはならないようにするのがこの私の役目ですので。伐られてしまったアシカアの木も新たに植え直しますので、問題はないでしょう』
(…やっぱりさっきのイレギュラークエストの発生要因は素材クエストによるアシカアの木の総伐採本数が一定数に達した時が理由だったんだろうな。これは、アルゴさんにも報告しといた方がいいな)
ドライアドとの会話から、イレギュラークエストの発生トリガーがなんとなく読めた。そう頻繁に発生するものではないのだろうが、念のためにアルゴさんにはこのことは伝えておいた方がいいだろう。
万が一の時には情報屋を通して対策を講じることもできる筈だし、(個人的に揶揄ってくることを除けば)良識のあるアルゴさんは安易に情報を拡散することもないため、広まり過ぎて森が過剰に伐採されるといった事態もそう起きはしないだろう。
『お礼と言ってはなんですが、報酬として貴方たちにこれをお渡ししましょう。我らドライアドが瘴気を浄化した際に僅かに生まれる純粋な大地のエネルギーを凝縮した結晶です。貴方たちの役にきっと立つ筈です』
そう言って、ドライアドの手元から放たれた光がこちらへと向かって来て、クエスト達成の文字が空へと浮かび、リザルト画面と同時に取得アイテムが表示される。
『神浄の霊結晶』…どうやら加工アイテムらしい。アクセサリーの素材として使える、かなりレア度の高いアイテムだ。鍛冶師としてはとても気になる素材だが、今は置いておいて…本命である報酬を期待していると、
『それとは別に貴方たちに木の加護を与えたいのですが…何か望むことはありますか?』
木の加護…おそらくこれこそがログハウスの増築をお願いできることなのだろう。色々と回り道をすることにはなったが、ようやく本来の目的を達成できると三人して安堵し、代表で俺が応える。
「実は…今住んでいる家屋の増築をお願いしたいんだが、それでも構わないか?」
『…ええ、問題ありませんよ。ですが、あなたの住んでいる家が金属や鉄工の素材では私の手に負えるものではないですが、大丈夫ですか?』
「その点は問題ない、俺たちが住んでいるのはログハウスだからな」
『そうでしたか…では、その家の証である何かを貸して頂けますか?』
アルゴさんに教えてもらった情報通りに話が進み、俺は固定ストレージ(アイテム・装備ストレージとは別の、貴重品やイベントアイテムといったものを保管するストレージ)からログハウスの鍵を取り出し、ドライアドに手渡す。
『確かに…………今、あなたの家を確認しました。では、私の力でこの家を増築しますね。何か希望はありますか?』
「間取りは大きく変えずに、個室の増加とリビングを広くしてもらうことはできるか?」
『そのぐらいは問題ないですわ。それでは、その希望に沿って増築致しますね』
「…ってことは…?」
「どうやらこれでクエストは達成したみたいだな」
「そうか…一時はどうなるかと思ったが、やったのう、二人とも」
「うん!楽しみだね、どんな感じになるのかな!」
こっちの増築案を快く了承してくれたドライアドの言葉に安堵の息を吐く。なんとか改築へと辿り着けたことに、ユウキとカナデも嬉しそうに言葉を零していた。増築が完了次第、カナデの荷物を取りに行ったり、家具を探しに行ったりしないといけないのでまた忙しくなりそうだが、ともかく今は目的を達成できたことを喜ぼうと思っていた時だった。
『それでは、増築を終えるまで三すので、今日の夜までに必要な荷物を持っていくようにしておいてくださいね?』
「「「…えっ?」」」
当たり前のように告げられたその事実にピタッと動きが止まった俺たちは、ドライアドの方を見ながら思わずそんな声が出てしまっていた。だが、逆にドライアドの方もどうしたのだと首を傾げて不思議がっていた。
『…?増築するのに三日お時間を頂きたいと言ったのですが…今日の夜から三日後の昼まで家に入れなくなりますので、気を付けて下さいね?』
「「「………えええええええええええぇぇぇ!?」」」
それ以上のことはドライアドの口から語られることはなく、俺たちは思わず顔を見合わせて絶叫するしかなかった。
「…まさか、増築するのに家に入れなくなるとは…変なところでリアルに寄せてきてるよな」
まさかの事実が突き付けられた後…いつまでもそこにいるわけもいかず、俺たちは動き出した。
とりあえず、家に荷物を取りに行ったり、泊まる先を見つけたり、カナデは宿屋に自分の荷物を取りに行く必要があったりなど…ユウキとカナデにそっち方面を任せ、俺は一足先にアインクラッド21層の自分の工房『ファントム・クラウド』へと来ていた。
宿屋に泊まるのもありかと思ったが、三泊程度なら鍛冶屋の二階の私室スペースで雑魚寝するのもありかという話になって、寝るスペースを確保するべく物の整理をしに来ていたのだ。
来客スペースを兼用していた二階には、そこまで多くの荷物を置いていなかったため、ソファーとデスクを端っこに移動させたことで十分なスペースが確保できた。
あとはユウキたちが戻ってくるのを待つだけなのだが…思ったよりも早く作業が完了したので、手持ち無沙汰になった俺はどうしようかと考えながらぼんやりとしていた。
そんな時、俺はさっきイレギュラークエストの報酬としてもらったアイテムのことを思い出し、ストレージからそれを取り出して改めて観察することにした。
『神浄の霊結晶』…さっきはアクセサリーの作成に使用する素材アイテムだという部分までは見たが、更に詳しい情報を見ていく。
サッカーボール程の大きさをした岩石の形状をした真っ白な霊石で、加工時に鉱石を加えることで自在に色を変えることができるらしい。特殊な効果は期待できないようだが、鑑賞品としてのレアリティは最高級の出来となるとのこと…もっとも、それ相応のスキルレベルが求められるため、鍛冶・装飾関係スキルをマスタリーしていないと厳しそうだが…
(…そうだ……そういえば…)
この霊石を使えば、あれが作れるのではと…あれよあれよとの勢いに、話がとんとん拍子に進み過ぎたせいもあって、完全に機を逃していたあれを作る絶好の機会なのではと思った俺は、装備を鍛冶用のツナギとバンダナ鉢巻きへと換装して一階へと降りた。
…それから、時間を忘れるほどに集中した。
頭に思い浮かべたデザインと配色を形にするべく、炉へと熱をくべ、金槌を片手に霊石をベースに素材を融け合わせていき、砥石で研磨し、熱が引いたパーツと宝石を組み合わせ…自分の気が済むまで研磨していく。
「……よし、できたー!!」
「何ができたの?」「何ができたのじゃ…?」
「うおおっ…!?」
最後の一つが出来上がり、不備がないかを確認し終えたところで達成感と共に立ち上がったのだが、横から飛んできた声に思わず驚く。
目線を移すと、苦笑いしているユウキとどこか呆れたカナデの姿がそこにはあった。もしかしてと思っていると、
「えっと…ゴメンね。ちょっと前に戻ってきたんだけど、フォンが凄く集中してるみたいだったから声を掛けずにいたんだ。一段落ついたみたいだから声を掛けたんだけど…」
「ドアをノックしたにも関わらず、全く気付く様子がなかったからのう。というか、その恰好はまた…鍛冶士としての姿というわけか」
「あー…なんかゴメン。色々と考えながら作ってたから集中し過ぎてたっぽい。まぁ、鍛冶の時の仕事着って感じだな。これを着ると、また別の意味で気合が入るって感じでな」
どうやら俺が思っていた通り、二人を待たせてしまっていたらしい。申し訳なさそうにするユウキに対し、俺の鍛冶服を初めて見たカナデは珍しそうにこっちを見ていた。
そんな二人に謝罪しながら、被っていたバンダナ鉢巻きを脱ぐ。火の前で集中していたことで、結構な汗を掻いていたが、今は置いておこう。
…本当は箱なども用意しておきたかったが…今ほど渡すのにふさわしいタイミングもそうないだろう。
先程完成した最後の品を身に着け、俺は既に出来上がっていたそれらを手に取り、カウンターの向こうにいる二人へと近づく。
「まぁ、今さらというか…でも、こういうのはしっかりしないといけないとも思ってな。二人とも、左手を貸してくれるか?」
「「……っ//!?」」
俺の言うことが何を意味するのか…それで何を作っていたのかを察した二人は顔を真っ赤にしたが…恐る恐ると俺の方へと左手を差し出してくれて、
ユウキにはアメジストの宝石で象ったガーベラを中心に光のエフェクトを模した装飾が加わった指輪を、カナデには蜘蛛の糸を表紙に象った本を琥珀色の宝石で模した指輪を、それぞれの左薬指へと填めさせてもらった。
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
「俺の独断だけど…二人をイメージしたもので作らせてもらった。その……どうかな?」
「…どうって……こっちでも指輪をくれるなんて…嬉しいに決まってるじゃん!」
「そ、そうじゃのう……全くお主というやつは…どこまでわしの心を搔き乱し、捕えようとしてくるのじゃ」
呆然と指輪を見つめる二人に、迷いながらも感想を尋ねると、それぞれ違った形ではあるが、とても嬉しそうに応えてくれた。その答えに肩の荷がやっと降り、俺も自分様に作った霞で刀身を隠した両手剣をサファイアで模した指輪をした左手を見せる。
「…ユウキ、カナデ…こんな優柔不断で、どうしようもない俺だけどさ…それでも、俺を想ってくれる二人を幸せにするからさ……なんて言うか、これからもよろしくな」
「…だってさ。本当にしょうがないね、フォンは」
「まぁ、そんな者を好きになってしまったわしらもしょうがないのじゃろう」
照れまいとしていたが、最後の方の言葉が恥ずかしさで少し小さくなってしまった。そんな俺を見て、やれやれといった様子の二人だが、満更でもない笑みを浮かべていた。
「そうだ!写真を撮ろうよ!…フォンの二股記念に」
「なぁ?!その記念の名称はちょっと勘弁してくれ!」
「写真って…ここで撮るのか?」
「だって、せっかくフォンが指輪をくれたんだし!三人の思い出として残したいから…」
「…分かったよ。それじゃ、ここで撮るか」
冗談としてもその記念日は本当に笑えないので止めて欲しい…首を傾げるカナデをも巻き込んで、カウンターの前に並んだところでスクリーンショット用の撮影結晶を準備する。
「じゃあ、いくぞ……せーの!」
…カシャ!
嬉しさを全開にした笑みを浮かべるユウキと、恥ずかしそうにしながらも笑みを零すカナデに囲まれながら、俺も穏やかな気持ちでシャッターを切った。
オリジナルスキル解説
エクストラスキル「蛇腹剣」
片手剣・鞭スキルをマスタリーすることで解放されるエクストラスキル。形状的には刀に近いが、一定のMPを消費することで刀身が分割する魔法剣という扱い。
鞭のリーチの長さと片手剣の攻撃力を合わせたいいところどりに加え、斬・打・突属性を全て併せ持つ万能武器だが、トリッキーな軌道に慣れるまでに時間が掛かるのと、武器自体の耐久性が他と比べて圧倒的に低いのが欠点(幻想剣ソードスキルを1、2発使っただけで破損するほど)また、MP消費も馬鹿にできないくらい多大な量を消費するため、連続発動し辛いという弱点も存在する。
幻想剣ソードスキルは基本鞭スキルのものをそのまま流用する形になるが、属性・特殊効果が追加される形となる。
幻想剣《片手棍》超重単発最上位ソードスキル〈アブスターディ・ターミネイター〉
以前、番外編で解説あったが、ALOでは初使用だったため補足。最上位ソードスキルのため、属性が付与されており雷属性100%の割合となっている。
幻想剣《鞭》単発拘束ソードスキル〈タインバウンド〉
赤紫のライトエフェクトが特徴のソードスキル。
効果としては敵を鞭で拘束した後に、締め付けによる防御無視の固定ダメージを与えるもの。防御力を無視するため、打・闇属性の固定ダメージをそのまま敵に与えられることからタンクビルドのプレイヤーや、防御の硬いモンスターに有効である。
その反面、敵の身体のどこかを鞭で拘束しなければならない上に、締め付けるまでに拘束が解除されてしまうとダメージが発生しないため、タイムラグとSTR値が高い敵には拘束を解かれやすいという弱点が存在する。
「蛇腹剣」スキルで使用した場合、炎属性に変わり、更に耐性無視の効果が追加、等分割した刃の数だけ固定ダメージを連続して喰らわせるというえげつない効果が加わることになる。(さらに加えるならば、巨体であればあるほど刃に触れる面積が大きくなるために、ダメージも増加する)
怪風海『ジーク・テンペスト』
両手棍(片手棍よりも大型で、取り回しに苦労する分、威力・攻撃範囲が強化された両手持ちの派生武器)のカテゴリーに該当する古代級武器。
風を想像させるような旗飾りがついた灰色の巨体に対し、持ち手が細長いというアンバランスな構造となっているが、その見た目からは信じられない威力を弾き出す攻撃特化仕様の武器。
元ネタは「ゼルダの伝説 風のタクト」にあった武器アイテム「ハンマー」。意外に色々と使い道があって、お世話になって人も多いのでは?作者は一時期ハンマー縛りプレイで遊んでいたことがありました(苦笑)
炎棘鞭剣『フレガンズ』
フォンが「蛇腹剣」スキル開放に伴い、試作した属性付きの古代級武器。
見た目は普通の細い片手剣だが、MP消費によって炎の刃を宿した蛇腹剣として展開することができる。炎属性ソードスキルを使った場合にその威力を底上げする能力を持つ。
ちなみに、フォンが鞭スキルをマスタリーしたのが本章の2話にあたる特訓回のお話であり、この武器が作られたのは本話の一日前…つまり作ってすぐに作り主によって酷使されてぶっ壊されたという、ちょっとかわいそうな背景を持っていたりする。
名前に棘が入っているのは、素材に薔薇系統のアイテムがあったから。
さてと、まずは…大変お待たせしてしまい、誠に申し訳ありませんでした!!
ここで詳細を語るわけには(読者の皆様には無縁のことでもありますので)いかないのですが、もう時間もメンタルもボロボロになってた時期でして(苦笑)
ごじょじょの映画とコナンで回復できたかと思ったら、またひと悶着…
まぁ、そんな作者の事情は置いておいて…!
祝(?)家改造計画…みたいなお話でした。カナデをお話に加えるにあたって、これは切ってもは離せないのではと思っていたお話でもあり、フォン、ユウキとの連携を意識した戦闘をも盛り込んだお話だったわけです…それで3万字に迫るっていうのはやりすぎたと作者も思っております。
そして、エクストラスキル「蛇腹剣」。
鞭を武器として出そうとおもったきっかけがこの蛇腹剣であり、実はこっちの方が先に思い付いていたからこその逆算してという形だったりします。元々はWoU編第ⅩⅬⅣ話で出した海賊鎖剣『ムラマサ』を考えた時に思い付いたんですけど…
それと、さりげなく新防具も(試作段階レベルではありますが)登場しました!本格的なお披露目はロスト・ソング編になりますので、もうしばしお待ち頂ければと思います。
ちなみに今回頻繁に登場している高速換装スキルの詳細も描いてみました。これに関してはまた後程どこかで触れようとかと考えております。
そして、最後の指輪のシーン…いつかは書きたいと思っていたお話でもあり、フォンにとってもWoU編で一つの区切りが自分の中でつけられた今こそ、ユウキとカナデに向き合えるという考えもあっての展開でした。
次回がおまけ回ですので、これでようやく本当の意味でWoU編も終わりを迎えられたといってもいいのではないかと思います。
そんなわけで次回は本章最終話!オールメンバー集結での、気分的には少し早めのお話をお送りすることになるかと思います…来週までに書きあげられるかが不安ではありますが、楽しみにして頂ければと。
それでは!
神久夜さん、ザインさん、ご評価ありがとうございました!
P.S. 200回記念アンケートもう間もなく締め切ります!
…200…?
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