ソードアート・オンライン~夢幻の戦鬼~   作:wing//

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後日談最終話となります!

そんなわけで全員集合です!そして、多くの方々が待ち望んでいたあの回です!そうです、あれです!(語彙力どころか、情報量ゼロ…)

それでは、夏休み最後のお話へとどうぞ!


第9話 「End of Summer Vacation」

「海に行くわよ!」

 

「…いやいやいや…いきなりすぎるわ。経緯を話せ、経緯を」

 

席に着いたところで用件を尋ねると、突然の提案が飛んできた。

 

脱力しながらも、とりあえず詳しい話を聞こうと…俺は来訪者である彼女…リズへとジト目を向けながらも話を振った。

 

「ゴメン、ゴメン。確かにいきなりすぎたわね。っていうか、フォン…驚いたのはこっちなんだから!アスナと一緒にあんたの家に行ったら、なんか変な蔓で覆われてるし…あれは一体何よ?」

 

「改築中なんだよ…色々あってな。明後日まではあんな感じらしい」

 

「らしいって…なんで当の本人がそんな曖昧な言い方をするのよ…」

 

「俺もまさかあんなことになるとは思ってなかったんだよ…一瞬で終わるものかと思ってたところの不意打ちを喰らったんだよ」

 

「ちょっと、ちょっと!話がズレてるよ、二人とも!それで、リズ。どうしていきなり海に行くって話になったの?」

 

朝からALOにダイブし、今日はどうしようかと相談していたところ…やってきたのは少し疲れた雰囲気を纏ったリズだったわけだ。

 

とりあえず一階の鍛冶場で話すもどうかと思い、二階の接客室へと通し、ユウキとカナデの三人で話を聞いていた。

 

疲れているのは俺たちが22層のログハウスにいないことを分かり、探していたかららしい…そういえば、キリトたちに家が改築であることを伝えてなかったな。

 

家の増築状態を見たらしく、当然の疑問がリズから飛んでくるが…話がズレまくっていたのをユウキが訂正してくれたことで、軌道を元に戻すことになった。

 

「アスナと前に夏の終わりまでにどっかに行きたいと相談してたんでしょう?それで、ALOで海に行かないかって、昨日キリトたちと話してて…それで今日みんなに話を伝え回っていたのよ」

 

「…あー、あの時の話か。そういえば、そんな話をしていたな…直近で色々ありすぎてすっかり忘れてたな。海か…確かに今年はリアルでもプールを含めて行けてなかったからな。今から行く感じなのか?」

 

「流石に急すぎるから、今日は予定を確認してから準備、それで明日行く感じよ。ちなみに、フォンたち以外の予定は確認済みで、みんな参加するって」

 

「…なるほどな。俺も予定は大丈夫だ。宿題も終わってるしな、二人もどうだ?」

 

「ボクも大丈夫かな。むしろ行きたい!」

 

「わしも問題ない…というよりも、海自体が初めてじゃから、行ってみたいという気持ちもあるしのう」

 

そういえば、カナデがうちに来た時にそんな話をリアルでしていたなと思い出した。あの話が生きていたということか…まぁ、海というか、泳ぐという夏らしい出来事を今年はできていなかったので、丁度いいかと思い賛同する。

 

一応、ユウキとカナデにも意思確認するも、二人も参加する気満々らしい。

 

「オッケー!…それにしても、ユウキはともかく、カーディナル…じゃなかった。今はカナデだっけ?なんで、あんた…というか、貴女がここにいる…いるのですか?」

 

「リズ、別に敬語でなくともよい。あっちでも、こっちでも、わしは気を遣われる立場ではない。普通に話してくれる方がわしは有難い」

 

「そう…?分かったわ…で、なんであんたもここにいるの、カナデ?」

 

「…まぁ、その…えっとじゃな…」

 

「増築の理由がそれだ。俺とユウキとカナデの三人で住むことになったからだよ。それで改築が終わるまでは三人で一緒にここに寝泊まりしていたわけだ」

 

「…はっ…?」

 

よく分からんが、リズの中でカナデに対して変なイメージがあったのか…変な話し方になっていたのを直したところで、当然のツッコミがリズから飛んできたわけで…

 

返答に困窮したカナデに代わり、隠すことなく堂々と事実を告げた。当然の如く、一言と共に表情が硬直した。そんなリズには申し訳ないが、我に返る前にその隙に突け込ませてもらう!

 

「何を考えてるは知らんが、もともとリアルでも三人一緒みたいなもんだから、それならという話になったわけだ。俺たちも大人数になったから、それに合わせた大きめの拠点の一つがあってもいいだろう?それを含めての増築だ」

 

「………あー!そ、そういうことね!?アハハ、そうよね、うん!そうに決まってるわよね!?」

 

半眼で淡々と事実を述べると、情報がようやく飲み込めたリズは焦ったように謝り出した。大変申し訳ないが…狙い通りだ。

 

(邪推とか下心があると勘違いしたら、誰だってテンパるよな。それに、俺は一言だってどっちの理由が本命だとははっきりとは言ってない。リズがそう取るように誘導させてもらっただけだ…狙い通りだ!)

 

「(前々から思っておったが、こやつ腹黒すぎやせんか?表情には出しておらぬが、真っ黒な笑みを浮かべておるぞ?)」

 

「(ま、まぁ…ボクたちにそんなことをしたら、お仕置きをするってことで)」

 

内心、完全に想定通りに話が進み、俺は思わず組んだ手で口元を隠していた。リズには申し訳ないが、嘘は言ってないので許してほしい…あと、俺の背中で隠れるようにコソコソ話す二人、静かにしてほしい!?

 

「分かったわ…ともかく予定は伝えたわよ。それじゃ、ユウキ、カナデ、行くわよ!」

 

「行くって、どこに…?」

 

「水着を買いに決まってるでしょ?この後、持ってない面々や新調したい人たちが集って買いに行くことになってるのよ。カナデはもちろん、ユウキも持ってないじゃないの?」

 

そういえばと顔を見合わせる二人…まぁ、カナデは言わずもがな、ユウキもALOに来たのは春先からだったからな。リズの言う通り、持っているわけがなく、二人も一緒に買いに行くことになりそうだ。

 

…それはいいのだが…

 

「リズ、俺も水着持ってないんだけど…なんで誘ってくれないの?」

 

「なんで男のあんたが一緒にくるのよ!乙女心を察しなさいよ!…ユージオも買いに行くって言ってたから、男は男同士で行ってきなさい」

 

「…さいですか」

 

どうやら男子禁制でのお買い物らしい。まぁ、リズの言うことに納得するしかなく、おとなしく引き下がる。あとでユージオとキリトにメッセージを送って誘ってみるとしよう。

 

…そういうわけで、明日31日…夏休み最後の日は、みんなで海に行くことになった。

 

 

 

「ユージオ、パラソルは全部立て終えたぞ!荷物を持ってきていいぞ」

 

「うん!今、行くよー!」

 

休憩場所と荷物置き場と食材の保管…それぞれのスペースを確保したところにパラソルを数本を立て終え、木陰で荷物を見てくれていたユージオへと声を掛ける。

 

ALOにおいてトゥーレ島とよばれる、ここシルフ領の南方にあるこの島は、以前キリトたちがある目的の為にやってきたところで、半月状に島と砂の遊歩道によって形成された面に大海原が広がっているのが特徴だ。

 

話には聞いていたが、島を背景に先を見通すことができない程に広がる海には、爽快感を感じられずにはいられない。

 

「よっと…どの辺りに置けばいい?」

 

「着替え関係の荷物はそっちで…ブルーシートも広げたいから手伝ってくれるか」

 

荷物はほとんどの面々があるのだが、ここに今いるのは俺とユージオだけだ…まぁ、この後のことを考えるのなら、できるだけのことは…いや、作業はほぼほぼの終わらせておきたいところだ。

 

ストレージからいくつかブルーシート…というか、色とりどりのビニールシートをユージオと協力して広げ、その上に荷物を置いていく。すると、

 

「待たせたな、二人とも」

 

「「…つ、疲れたぁ…!?」」

 

大方の作業が終わったところで、空から彼らがやってきたのが見えた。

 

先頭で降り立ったエギルさんと、同じ量の荷物を持ちながらもバテバテ気味のキリトとクラインが追従して地面へと着地してきた。

 

「お疲れ様です…っていうか、なんでキリトとクラインは疲れてるんだ?」

 

「これ、結構見た目に見えず重いんだぞ!?」

 

「食材だけでなく、固形燃料とかもあるんだぞ!?」

 

「…だから、そういう嵩張るものとか、重てぇやつは俺が持つって言っただろうが…なのに、女子たちに良いところを見せたいとかって、お前が言ったんだろうが、クライン」

 

食材などを受け取りながら、こんなことになっている経緯を尋ねる。どうやら、クラインの悪いところが出てしまった自爆だったらしい…おそらくそのせいによる荷物配分によって、キリトが割を食ったのだろう。

 

「…って、その女子たちはどこにいんだよ!?」

 

「みんな、さっき着替えに行ったよ。残念だったな、クライン。良いところを見せられないで」

 

「着替えにって…別にストレージからすぐに換えられるから、着替えに行かなくてもいいじゃないか?」

 

「「…キリト…」」

 

「えっ…!?」

 

「キリト、僕でも流石に分かるよ」

 

「ユージオまで?!」

 

努力が水の泡になったと崩れ落ちたクラインに対し、ありえない疑問を口に出したキリトに、俺とエギルさんは呆れ、ユージオにあたっては言葉にするほどに憐れんでいた。

 

「アスナたちもアリスも、色々と準備が必要だったり、乙女としてはどうしても避けられない勝負をしたいんだよ…まぁ、もう少し待ってろよ。もうすぐ来る筈だから…それにしても、水着も黒なんだな、お前は…」

 

「そういうお前だって、いつもの色の水着じゃないか」

 

そう…女性陣は俺とユージオと先に来ていた。けど、まぁ、なんというか…乙女心的な部分が発動したわけだ。それで、準備は俺とユージオが引き受け、エギルさんたち三人は買い出しに行ってために遅れての合流になったわけだ。

 

説明を聞きながら、メニューを開いたキリトは水着へと姿を換えていた。腰元に灰色の一本横ラインが入った黒の水着を見て、本当に黒が好きなんだという意味で言ったら、言葉を返された。

 

俺は膝下よりも少し下…裾部分が少し長めの二色の濃淡がある蒼色によって構成された水着に、肩から腕部分にかけて水色のラインが入った白い色のパーカーを着ていた…まぁ、確かにこの色が落ち着くのだから、ご指摘の通りなわけで…

 

「まぁまぁ、二人とも…似合ってるし、カッコいいからいいじゃないか?」

 

そういうユージオの水着は俺と同じくパーカーとの組み合わせだが、違いとしてパーカーはフード付きのもので色も彼のパーソルカラーであるライトブルー、水着もスタンダートのものでいくつかの白い横ラインが入ったちょっと濃い目のライトブルーのものだった。

 

ユージオに仲裁されている間に、クラインとエギルさんも着替え終えたようだ。

 

クラインは黄色の図形がいくつか入った赤銅の水着に、エギルさんは…攻めていた。完全なブーメランというわけではないのだろうが、それに近い灰黒の水着だった…凄いとだけ言っておこう。

 

「それにしても…女子たちはいつになったらやってくるんだよ…!」

 

「俺に言われてもな…というか、クライン。やけにというか、いつも以上に熱が入ってるけど、どうしたんだ?」

 

「…去年は色々とあったからな…リベンジのつもりじゃないのか?」

 

リベンジ…エギルさんの言うその意味はよく分からんが、クラインにとっては何か譲れないところがあるらしい。ユージオと顔を見合わせていると、キリトも何故か苦笑いしていた。去年のクエストでここに来た時、何かあったのは察した。

 

女子たちが来る前に、準備を進めるべきかと考えていると、

 

「お~い!お待たせ~!!」

 

向こうからリズの声が聞こえ、俺たちの視線がそっちへと向く。

 

「お待たせ、キリト君」

「お待たせしました、パパ!」

 

先陣を切ったのはアスナとユイちゃん…今日は海水浴という完全なるオフということで、小妖精ではなく、少女アバターの姿にユイちゃんはアスナと一緒にキリトへと歩み寄っていた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「キ、キリト君?」「…?どうしましたか、パパ?」

 

「はっ…!わ、悪い…その……綺麗だから見とれてた。二人とも、とっても似合ってるぞ!」

 

「ふふっ。ありがとう、キリト君」「本当ですか!?嬉しいです!」

 

水妖精族の髪色に合わせた水色と白のボーダーの水着のアスナに、ピンクを基調とした端に白のアクセントカラーが入った水着のユイちゃん…そんな二人の可憐な姿に、キリトは言葉を失う程に見惚れていたらしい。

 

我に返ったところで、感想を述べられたことで母子共に大変嬉しそうにしていた。しかし、そんな二人に負けるかと出てくる面々がいるわけで…

 

「ちょっと、キリト?!アスナにばっかり見惚れてるんじゃないよ!」

 

「そうです!どうですか、私たちの方は!」

 

対抗馬と言うべきか…黒いビキニに下にパレオに近いデザインの短いピンクの装飾に加え、髪留めらしき貝殻を身に着けたリズ、オレンジに近いイエローカラーの水着のシリカが負けじとキリトに詰め寄り、

 

「お兄ちゃん、どうかな?あたしの水着!」

 

「キリト…その……こっちを変な目で見るんじゃないわよ?!」

 

またまたやってきたのが、リーファ…白をベースに緑の水玉模様がはいったビキニに、ポニーテールを南国の花を模した髪飾りで纏めていた。その隣に立つシノンは薄い黄緑色のパレオを肩に羽織った水着姿だったが…恥ずかしさが勝ったらしくツンの態度が出てしまっていた。

 

(シノンもそうだが…キリトの奴も大変だな、あれは…)

 

自分たちも感想を聞きたいとキリトに詰め寄る嫁~ズ…それを見て、苦笑いするアスナとお冠なユイちゃんの構図…くわばら、くわばら。ああはなりたくないと過去には思っていたんだが、俺も似たような感じになってるんだよな。

 

「…ユ、ユージオ…その……変じゃないかしら…?」

 

「…ア、アリス……………」

 

「……ちょっと…!何か言ってよ!?」

 

「ゴ、ゴメン…その、綺麗とか…ゴメン、僕の言葉じゃ言い表せないくらいに…僕にはもったいなくらいに綺麗だよ、アリス」

 

「っ~//!?あ、あ……ありがとぅ…!」

 

(獣耳がちゃんと出る仕様の)麦わら帽子に、金髪に映える青色に、左胸に金木犀の花柄が刻まれたビキニのアリスが自信のなさそうにユージオへと感想を求めていた。

 

イマイチ反応が悪いユージオにやきもきするアリスだったが、カウンター気味の心からの感想にやられ、真っ赤に染まった顔を麦わら帽子で隠そうと両手で深くかぶり直していた。

 

(天然って怖ぇ…ユージオ、恐るべし…!)

 

言葉足らずにも関わらず、アリスを轟沈させるとは思ってもみなかったこともあり、そんなユージオに驚いていると…

 

「「…フォン」」

 

その声に、俺の意識が二人へと向けられる。そこには…

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

前言撤回…キリトのことを馬鹿にできなかった。

 

見てから感想を述べようとしていたのだが、そのことが頭から抜け落ちてしまう程の衝撃を受けていた。

 

「…どうかな!アスナに選んでもらったんだ!綺麗かな?」

 

恥ずかしさも入り混じりながらも、明るい声でそう尋ねてくるユウキ…紺と白のダブルボーダーに腰のミニパレオ…ユウキのためにといっても過言ではないその水着は俺の心を完全に撃ち抜いていた!

 

「…こ、こんな感じなのじゃな、水着というのは…なんというか、落ち着かん…/」

 

一方で、着慣れていないというか、初めて着る水着にそわそわするカナデ…布面積が多い薄いオレンジと白で構成された水着に腕で隠すように身構えていた。

 

確か…タンキニというデザインのタイプだったか?そこにまさかの眼鏡オフという貴重な素顔ヴァージョンという…ユウキとはまた違ったかわいいと、慣れていないのを恥ずかしがっているその姿が…また胸にきた!

 

「……っ!ふ、二人とも…とりあえず、これだけは言っておく。言葉を失う程に似合ってる」

 

「「っ…///!!」」

 

このままでは何も言えなくなると気付き、ともかく言葉にしなければと口を動かす。素直に思ったことを述べるも、それだけでは足りないと思い、もう一度二人の水着を見て感想を告げる。

 

「えっとな……ユウキ。元気と可憐…その二つを完璧に兼ね備え持つといってもいいぐらいに似合ってる。正直、惚れ直したと言っても過言ではない」

 

「ほ、惚れ直したって…エヘヘへ!」

 

「カナデ…似合ってるから安心しろ。普段からも、そんな可愛らしい服装をしてくれれば、色々と断れなくなりそうぐらいにちょっと危なかった」

 

「お、お主は…お主という奴は……そ、そうか…似合っておるか…ふむ」

 

もっと詳細な感想を伝えると、照れを隠し切れないでいるくらいに喜んでくれたようだ。なんとか本音は零さずに言うことができたが…内心では…

 

(俺の奥さんたち、マジで可愛すぎる…!)

 

その本心を吐露せずに、地面に膝を立ててて悶えなかった自分を褒めたかった。ユウキだけならまだしも、カナデのことも意識しだしたら、こういう形になるのだということを自覚した瞬間だった。

 

「…なんで…なんでぇぇ、俺のところには誰も来てくれないんだヨォォォォ!?!?」

 

「クライン…分かっていたことだろう?」

 

絶望の咆哮を上げ、地面を叩くように崩れ落ちたクラインを慰めるエギルさんの姿が横にあったのに気付くのはもう少し後の話だ。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「カ、カナデ…大丈夫だから。いきなり泳ぐとかじゃなくって…潜ることだけを意識すればいいから」

 

とりあえず、水着のお披露目タイムが終了し、まずは遊ぼうということで一同が思うがままに動き出したわけだが…

 

アスナたちと水遊びに向かったユウキに対し、海どころか泳ぐこと自体が初めてのカナデに俺は付き合っていた。

 

同じ海が初めて(アリスも整合騎士時代に見たことはあったらしいが、来たのは初めてとのことだった)というユージオとアリスは、川での遊泳経験があったらしく(俺とキリトもその時、一緒にいたらしいが、覚えてなかったのだが)、キリトやアスナに教わってすぐに泳げるようになっていた。

 

そんな二人はユイちゃんやシノンと一緒に砂浜側で造形に励んでいた。

 

ということで、俺はカナデに泳ぎ方を教えていたのだが…握っている両手からその緊張が嫌という程に伝わってくるわけで…

 

「わ、分かっておる…分かってはおるが……!」

 

流石のカナデも初体験ということで、頭では分かっていても気持ちが追い付いていないようだ。ともかく、まずは落ち着かせるべきかと声を掛ける。

 

「カナデ。ちょっと落ち着け…一回深呼吸をしてみな」

 

「う、うむ……すぅ…はぁぁ…すぁ……はぁ…」

 

「…よし。落ち着いたな?いきなり勢いよく潜れとか話じゃない。まずはゆっくりとでいいから潜っていこう。ずっと手を握ってるから」

 

「…た、頼むぞ。離さないようにするのじゃぞ?!」

 

「大丈夫だって…それじゃ、いくぞ?」

 

ちょっと慌てるカナデを、少し強引ながらも先導しながらゆっくりと潜水していく。手を引かれる形でカナデも、息を大きく吸ってから海へと潜った。

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

まずは初期段階である潜れたことを確認し、次の段階に進むことにする。

 

一旦、周りを見渡してから…息を止めることに必死で目を瞑りっぱなしのカナデに、右手だけを放して彼女の肩へと優しく触れる。

 

「…(んん!?)」

 

意識を集中していたところにそんなことをされ、少しばかり息が漏れたカナデだが、それでようやく閉じていた目を開けた。最初は海水が染みて、何度か目を閉じ開きしていたが…慣れたようで目を開けることができるようになっていた。

 

それを確認して、空いた右手で向こうを指差す。そちらへカナデが視線を向けると、少し先にサンゴ礁が見えた。

 

「…ぷはぁ!はぁぁ……」

 

「初めてにしてはスムーズにできたな。どうだった?」

 

その辺りで息切れしたようで、カナデに合わせて海面へと浮上した。息を整え終わったところで、初めての潜水の感想を尋ねてみると…

 

「…目が少ししょぼしょぼする…」

 

「あー…悪い悪い。慣れてないとそうなるよな」

 

「でも、悪くはない感じじゃな。水の中というのはこんな感じなのじゃな」

 

「その感じなら泳げるようになるのも時間の問題………」

 

「…?どうしたのじゃ、フォン?」

 

「いや…今更ながら、眼鏡なしでも大丈夫なのか?」

 

「…あれはその……伊達じゃからな。ないとどうにも落ち着かんので着けておっただけじゃよ」

 

「そうなのか……ふーん…」

 

水に濡れた髪を分けながら、問いに答えるカナデ…さっきも思ったことだが、眼鏡なしだとまた違った印象を受けるわけで…

 

「…ない方も可愛いよな」

 

「…へっ……なぁあ!?」

 

あっ…と思った時には声に出てしまっていた。ポツリとではあったが、思ったことをそのまま言ってしまい、真正面にいたカナデに直撃したわけで…一気に顔を真っ赤にしたカナデはそれを隠すようにゆっくりと海面に沈んでしまった。

 

「…そ、そういうことを…平然と言うでないわぁ……」

 

「…重ね重ねゴメン。どうにもお前たちの前だと、ついつい本音が出ちゃうというか…カナデとはこうやって遊びに来るのが初めてだから、なおさら…ぶべぇ?!」

 

素直に言葉を重ねて述べている最中、それ以上は言わせないと下から掛けられた海水が顔面を直撃した!

 

見事に呑み込んだ海水の辛さを味わいながら、俺は犯人であるカナデへとジト目を向ける。

 

「照れさせたのは分かるが、照れ隠しで海水をぶっかけるのは酷いぞ…」

 

「お主が堂々とそんなことを言うからじゃ…ほれ、さっさと続きをやるぞ!」

 

「へいへい…それじゃ、次は…」

 

練習から脱線し過ぎたこともあり、そろそろ戻ろうというカナデの言葉に従い、今度は泳法を教えていくことになった。

 

(…バカ……二人きりだからといって、堂々と嬉しいことを言うでないわ…)

 

…いつもの調子を取り戻したカナデが、内心でそんなことを呟いていた…

 

 

 

「あー!遅いよ、フォン!」

 

「お待たせ、ユウキ…って、少し見ない間にとんでもないことになってるな」

 

おおかたの泳ぎ方をマスターしたところで、初めてということで疲れたカナデが浜辺の休憩スペースに向かったことで、浅瀬辺りで遊んでいたユウキたちに合流した俺。

 

…そこで目にしたのは、いつの間にか戦場と化した光景だった。

 

「…ま、待て?!話せば分かる筈だ!」

 

「動かないで、キリト君…私が一発で一発で仕留めてあげるから」

 

「お兄ちゃん…妹から逃げるなんて最低なことしないよね?」

 

「キリト、あなたを撃ち抜いていいのは私だけなんだから…他の人に撃たれないようにしてよね?」

 

「キリト!観念して、あたしに撃ち取られなさい!?」

 

「きょ、今日こそ…!今日こそキリトさんの隣は私がもらいますから!」

 

明らかに異質な気迫で迫る女性陣…アスナを筆頭に、リーファ、シノン、リズ、シリカに追い掛け回されるキリトが悲鳴を上げながら逃げていた。

 

女性陣の片手には水鉄砲が握られており、リーファやシノンに至っては大型タイプのものを、アスナとリズは二刀流で巧みに攻め込み、シリカはピナのサポートを受けて追い詰めるという…とんでもない光景が見えていた。

 

「…キリトの奴、何をしたんだ?」

 

「えっと…水遊びから鬼ごっこをしようって話になったんだけど、どうせなら水鉄砲を加えてやろうって話になって…罰ゲームをありにしようってキリトが言ったら…」

 

「もしかして…キリト以外の奴らが全員鬼をやるって言って、キリトを捕まえた奴が何かするって話になったのか?」

 

「…うん。流石にボクはキリトに何かしたいわけじゃないし…というか、あの5人の気迫に押されて様子見してたわけ」

 

修羅場というか…こんな恐ろしい鬼ごっこに至った経緯を聞き、俺はキリトに同情していた。持ち前の反射神経でなんとか逃げ続けているが…時間を決めていない以上、キリトの体力が持つか心配だ。

 

…無事に逃げ切れることを祈ることしかできない。

 

「…それでね、フォン。良かったら、フォンもやらない?」

 

「そうだな…流石にあのままじゃキリトが可哀そうだしな」

 

ユウキの誘いに、必死で逃げるキリトを一瞥してから頷く。捕まえた奴が罰ゲームを課せるのなら、アスナたちには悪いが、俺がキリトを撃って捕まえるのもありなのだろう。

 

そうと決まったら、俺も鬼用の水鉄砲をもらおうとユウキに手を伸ばしたのだが…

 

…すちゃ…

 

俺の想像に反する形でユウキから水鉄砲が向けられた…手渡しならばグリップ側を差し出す筈なのに、それは銃口が見えている形なわけで…

 

「…ユ、ユウキさん?それはどういうつもりでしょうか?」

 

「えっ…だって、さっきフォンもやるって言ったじゃん、鬼ごっこ」

 

「いや、確かに言ったけど…俺的にはキリトを追い掛ける側かなと思ってたんだけど…」

 

少しでも時間を稼ごうと、後退りしながら言葉を交わす。背中に冷や汗が流れ、真夏の太陽に照らされているというのに、異常な悪寒に襲われていた俺は嫌な予感を覚えずにはいられなかった。

 

「それじゃあ、ボクに得がないじゃん…だから、フォンに参加してもらいたいなって思って誘ったんだよ?…追い掛けられる側として…」

 

「…あー、なるほどなー……ちなみに今更止めたいっていうのは…」

 

「…できると思うの?」

 

「ですよねー……(…やられた!?)」

 

叙述トリックというべきなのか…完全に思い込みを突かれた俺は、内心絶望していた。ユウキは確実に狙っていたのだ…ここで俺を捕まえて、罰ゲームを与えるつもりだ!?

 

「ちなみに追い掛けられる側は潜水することで逃げるのもありだって」

 

「へぇー、そうなんだ…ちなみに逃げる猶予は頂けるのでしょうか…?」

 

「…3秒だけならいいよ?3…2…」

 

逃げる方法を伝えられるも、この至近距離ですぐにできるわけもなく、少しでも時間を稼ごうと最後の抵抗を試みるも、逆に無慈悲なカウントが始まってしまった!

 

(こうなったら…仕方ない!?)

 

遊びであろうが、そうそう易々と負けてやるわけには(負けた時の恐ろしさも考えて)いかないので、手段を選んでいられない俺はユウキが3秒を数え終わる前に行動に出た!

 

「いー、うわあぁぁ!?」

 

体術スキル〈拳突〉…シンプルにスキルによる補正がかかっただけの正拳突きだが、発動速度と隙の無さは他の技の追従を許さないほどだ。

 

薄青のライトエフェクトを纏った右拳をすぐ足元へと振り下ろした!そこを起点に、拳の衝撃波によって巻き上げられた海水が俺とユウキへと降りかかる。流石のユウキもこれには不意を突かれたらしく、驚いている内に一足先に硬直が解けた俺はバック転の要領で海へと飛び込む!

 

(…これで少しは時間を稼げたらいいが……どうしたもんかね)

 

なるべく遠くに…息の続く範囲、かつ、自身が出せる最大のスピードで潜水してユウキから離れる一方で打開策を練る。

 

(当たったら負けというルール上、撃たれなかったこっちが負けないわけで…キリトと違って俺はユウキ一人に集中すればいいのなら…なんとか水鉄砲さえ奪うことができれば…!)

 

5人に追い掛け回されているキリトにとっては無理ゲーにしても、俺はまだユウキ一人にしか狙われていないのだ。つまりは、ユウキさえ無力化できればなんとかできるかと…そろそろ息が限界だったため、一旦水面へと浮上する。

 

「あっ!そんなところにいたんだ!覚悟してよ、フォン!」

 

「…そう言われて、はいそうですか、って聞けるわけがないだろう!?」

 

距離にして約5メートル…海水に足を取られて機動力が下がっているユウキだが、その手元にはレンジを縮める水鉄砲がある。こっちが近づけば撃たれることはほぼ避けられないだろう。

 

だからといって、武器とか防具を呼び出して盾代わりにするという大人気ない行為は絶対にルール違反になるだろう。潜水して近づいても、顔を出す直前を狙われてしまうわけで…そうなると、なんとかユウキの不意を突くしかないのだろう。

 

…問題なのは、あの化け物レベルのユウキの反射速度をどう攻略するのかというところなのだが…こればかりはやってみるしかないだろう。

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

確実に俺を仕留めるべく、水鉄砲を構えたまま距離を詰めてくるユウキに対し、俺は右腕を背中に回すように半身を引いた形で身構える。

 

2メートルを切らないところで、この距離なら外すことはないだろうと確信したのか、水鉄砲を構え直したユウキが口を開いた。

 

「もらったよ、フォン!」

 

「っ…!?」

 

銃口の方向からして、当たる面積が大きいであろう胸元を狙っているのが分かった…ユウキが引き金へと指を掛けた瞬間、俺は動いた!

 

「…えっ、うそ?!」

 

隠し持っていたそれを銃口目掛けて投げる!

 

銃とはいっても所詮は水鉄砲…本物と比べて速度は圧倒的に劣る。つまりは、同時に投擲すれば、間に合う可能性は高いのだ。そして、ユウキもそこまで扱いに長けているわけでもない…その一点へと賭けた!

 

銃口から放たれた水の弾丸は、潜水時に拾っていた(ホタテ貝に近い)貝殻と相殺された!投擲したのと同時に前へと出ていた俺に対し、虚を突かれたユウキは水鉄砲の銃口を逸らしていた。

 

ここしかないと、全力で足を取る海水を強引に掻き分けるように歩み、

 

「でええぇぇい!!」

「きゃああぁ…!」

 

銃口が再び向けられる直前に、俺はユウキへと飛び掛かり、そのまま海面へと押し倒した。その勢いで海水が周囲へと大きく舞い散るが、顔に掛かるのを気にせずに俺はユウキへとこう告げる。

 

「…バン…これでゲームセットだな」

 

右手で象った指銃で撃ったフリをして、馬乗りになったことで下に位置するユウキの顔へと向ける。

 

「むぅぅぅ……負けちゃった。折角フォンに色々してもらえるチャンスだと思ったのに…」

 

「その色々が怖いんだが…今回はお預かってことで。ゴメン、ユウキ…結構強引に押し倒しちゃったけど、どこかぶつけてないか?」

 

「…大丈夫。というか、押し倒す直前に、頭を打たないように手で支えてくれたでしょう?」

 

そこまで海面が深くないのもあって、かなり強引なことをしたのも重なって、ユウキに安否を尋ねるも大丈夫だという答えが返ってきた。できるだけ、衝撃を和らげようと後頭部へと片手を回していたのが功を制したようだ。

 

とんでもない鬼ごっこが終わり、ホッと一息を吐いていると、

 

「……フォン!~~~~…!」

 

あっちも一段落したのか、少し離れた場所からリズが何かを叫んでいたのが聞こえてきた。どうしたのかとユウキと揃って首を傾げていると、キリトやアスナたちも揃って慌てているように…

 

「フォン、後ろを見なさい!?」

 

その言葉がようやく聞き取れて、背後を振り返った時には遅かった。

 

どうしてかというと、俺の背を少し超えるぐらいの高波がすぐ眼前にまで迫っていたからだ。俺もユウキもそれを躱すことなどできず…

 

「うおおおぉぉ!?」「うわわわぁ!?」

 

ものの見事に波に飲み込まれるように再び海面へと押し倒された。

 

「……ゴホ!はぁ、はぁ…あんな大波が来ることあんのかよ…!ユウキ、大丈夫か?」

 

流石に意識を持っていかれるまでではなかったが、予想だにしていなかった事態に思いっ切り海水を呑み込んでしまい咳込む。そして、同じく波に飲まれたユウキの無事を確かめる。

 

「…ゲホ!だ、大丈夫……今のは凄かったね」

 

すぐ傍で四つん這いになる形でいたユウキが応えてくれた。そのことにホッとし、良かったと思っていた矢先に、俺はとんでもないことに気付き、

 

「フォンも大丈「ユウキ、ちょっと待った!?」え、えええぇぇぇ?!」

 

立ち上がろうとしたユウキを制するように、すぐさま近づき抱きしめる!突然の俺の行動にユウキから悲鳴が上がるが、俺の方もそんなことを気にする余裕がない程に、なんとかユウキの身体を水面から浮かばせまいと、抱き抱えながら海面へと身を沈める。

 

「ど、ど、どうしたの、フォン!?こんなところで…いきなりそんな…!」

 

「いや、そうじゃなくって……その……・・てるんだよ…」

 

「…えっ、なんて…?」

 

「っ…?!…だから…胸が……水着が取れてるんだよ!?」

 

「…………~~~~~~~~~///!?!?」

 

気まずさで一言目が小さくなってしまったが、事実を告げない方が大変な事態になるため、意を決して叫んだ!一瞬、言っている意味が理解できていなかったユウキだが、俺の言葉を確かめるように自身の胸元へと視線を下ろした直後、一気に顔を真っ赤にさせた。

 

「フォ、フォン!?その、そのその!?」

 

「動くな…!だ、大丈夫…他の奴らには見られる前に抱きしめたから…見られてはいない筈…!」

 

自分に起こったことをようやく理解したユウキだが、完全にパニックを起こしていた。胸の中にいるユウキが動くことで色々と感じてはいけないものが…ゴホン!…もとい、海面で見づらくしているとは、他の男性陣に見られるかもしれないという危険があるので、できるだけ動かないようにとユウキを制止する。

 

さっきの大波で水着の紐が解けてしまったのだろう…あと、俺が押し倒してしまったのも少しばかり影響しているのかもしれない…ともかく流されてしまった水着を見つけなければと周囲へと目を向ける。

 

すると、少し沖の方へと流れされていく水着が見えた。今ならなんとか取りに行ける距離だが…俺がここを離れると、ユウキの素肌が晒されてしまうことになり…どうしたものかと思っていると、俺たちの異変に皆が気付いたようで、

 

「フォン、どうした!どっか怪我でもしたのか?」

「待ってて!今、そっちに行くから!」

 

「キリト!ユージオ!お前らは来るなぁ!?来たら、流石のお前らでも絶対に許さないからなぁ!!」

 

「「…えええぇぇ?!」」

 

「アスナ、アリス、悪いんだがこっちに来てくれ!」

 

俺のピンチだと察したキリトと、浜辺にいたユージオがこっちに来ようとしていたが、それを言葉によって全力で押し留める。

 

二人には悪いが、ユウキの裸を見ようというのなら記憶が飛ぶまでキルするしかなくなるので、絶対に近づけさせるわけにはいかないのだ。

 

逆に彼らのパートナーであるアスナとアリスを呼んだことで、その困惑を更に深めることになってしまったが…許してほしい。彼女のあられもない姿を野郎に見せたくないという気持ちは理解してくれるだろうと。

 

「一体どうしたの、フォン君?ユウキと抱き合ったまま離れずにいるけど…」

 

「悪い、アスナ…さっきの大波で…えっと……ユウキの水着が流されちゃったんだよ。それで、その水着が沖の方へとどんどんと流されていってて…」

 

「…ええぇぇぇ!?それは一大事じゃない!…あれね。待ってて、すぐに取ってくるから!?」

 

物凄い速度で来てくれたアスナに事情を放し、ここを離れられない俺たちに代わって水着を取りに行ってくれた。流石は水場に適正が高い水妖精族…人間では出せない速度で潜水して、アスナは水着を追いに行ってくれた。

 

「呼ばれてきたけど…一体何があったの、フォン……って、ユウキ、その恰好は?!」

 

「見ての通りだ、アリス。さっきの大波で水着が流されたんだよ。今、アスナが取りに行ってくれてる。悪いんだけど、ユウキの背中に立つようにして壁になってくれないか?」

 

「…これは確かにユージオを来させるわけにはいかないわね。もしも見たりしたら、目を潰さないといけないところだったわ」

 

「俺と似たような感想を抱いてくれたことに感謝するよ」

 

「…ううぅ…ゴメンね、アリス」

 

慣れた動きで追いついてくれたアリスはすぐに事情を察してくれたらしい。あと、同じ考えに至ったのにはちょっと笑ってしまった。そんな俺とアリスに挟まれたユウキは、頭を半分沈めている海水が蒸発してしまうのかと思うぐらいに顔を真っ赤にしながら謝っていた。

 

「アスナは水妖精族だから、水場はもってこいの種族だ。すぐに戻って来てくれると思うからもう少しだけ我慢してくれ」

 

「う、うん…」

 

「アリス、悪いんだけど他の連中…というか、キリトたちが来ないように見張っててくれ。来るようなら魔法でぶっ飛ばしていいから」

 

「…分かったわ。ちゃんと見張っておくわ」

 

できるだけ身を覆うようにユウキを抱きしめ、アリスには周囲の警戒を頼んだ。俺の殺気も少し混じった頼みに、アリスも苦笑いしつつも引き受けてくれて、浜辺の方へと向き直った。

 

「…ねぇ、フォン」

 

「うん、どうした…?」

 

「…さっき…見えた?」

 

「……………ゴメン」

 

アリスには聞こえない声でそう尋ねられ、一瞬思巡してから正直に答えた。ほんの一瞬だったが…見えてしまったのは事実だった。抱き着く強さが一段と増したことで怒っているかと思ったが、次の言葉でそうではないと察した。

 

「…えっち……でも、もう散々見られているからいいかな…」

 

「…ここでその台詞は反則だろう…」

 

ちょっと怒気の混じった、けど、悪戯成功と言わんばかりの笑みが込められたその言葉に、俺までも顔を真っ赤になるのを感じ、思わず空を見上げてしまった。

 

(…お願いだから、そういう話は聞こえないようにしてよ!?)

 

実は猫妖精族の特性である聴覚強化で、一連の会話がアリスには丸聞こえだったとは露にも思ってなかったのだが…そして、数分してアスナが水着を持ってきてくれたことで、ようやく俺たちはその場から動けるようになったのだった。

 

 

 

「エギルさん、何か手伝うことはありますか?」

 

一通り遊び、そろそろバーベキューをするのにもいい時間になってきたので、海から離れて休憩スペースの近くで準備していたエギルさんへと声を掛ける。

 

「おう、フォン。そっちはもういいのか?」

 

「…まぁ、色々と楽しみはしましたから。それにエギルさん、一人に任せっきりにするのも悪いですし」

 

「お前さんが気を回さなくてもいいんだが…こっちとしては助かるぜ。今、炭火の準備をしてるから、野菜とかを切ってくれるか?」

 

「分かりました」

 

2台並んだ炭火焼き用のバーベキュースタンドを前にしているエギルさんに代わり、食材の準備をするべく、ビーチテーブルの上に設置された簡易台所で野菜を適当なサイズに切っていく。

 

「バーベキューのあとでスイカ割りをしようって話も出てますけど、できれば夕暮れまでにはやりたいですね」

 

「最後の締めに花火もやるとなるとそうだろうな。ALOだと時間が流れるのが早いから、あと二時間ぐらいだろう」

 

「焼きそばとかも作ります?鉄板はないですけど、小さなフライパンは持ってきてるので、できないことはないと思うんですが…」

 

「食べたい人の人数を聞いて作ったらいいんじゃないか?それだと、一度に作れる量も限界があるだろうしな」

 

包丁片手に、背中合わせ越しにエギルさんと今後のプランについてとバーベキューの流れについて話していく。エギルさんの方がこういう話は得意なので、相談する形で任せられるのは助かる。

 

「そうですね‥‥そうしましょうか。それにしても、みんな元気ですよね…来てから結構遊び尽くしてますけど、まだまだ遊び足りないって感じが凄いですよ」

 

「フォン、年寄りみたいなを言うなよ。お前さんだって、まだ20歳手前だろう?そういうのは俺とかクラインみたいなオッサンが言うことだぞ?」

 

「そういうエギルさんだって、まだまだ若い方じゃないですか。奥さんだって美人だし」

 

「まぁな…今日も店の方を任せちまってるから、今度どっかで埋め合わせしないといけないな」

 

エギルさんの奥さんとはバイトで何度も顔を合わせた仲だ。なんか息子扱いされてるような感じでこっちとしてはちょっと気恥ずかしかったりする。あと、かなり美人だ…とりあえず、クラインが羨ましがる程に。

 

「嫁さんと言えば…フォン、少し気になっていたことがあるんだが」

 

「気になってること…何ですか?」

 

「お前さんとカナデ…そういう関係になってるのか?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

…玉ねぎを縦切りしていた手が思わず止まった…

 

びっくりというか、あまりにも確信めいたエギルさんの聞き方に言葉を失ってしまったというべきだった。そして、俺の沈黙は肯定していることを示してしまっているわけで…

 

「もしかしたらと思ってな。聞くかどうかは迷ったんだが…その様子だと俺の感じた通りだったみたいだな」

 

「…どうして分かったのか聞いてもいいですか?」

 

「伊達に年を重ねてないもんでな…それにお前さんやキリトたちともかなりの付き合いだろう?見てれば、どういう感じなのかっては嫌でも分かるもんさ」

 

「…ってことは、もしかして皆も気づいていたり…?」

 

「それはないだろう。カナデがお前さんに好意を抱いているだろうってことは薄々勘づいている奴はいるだろうが、その先にまでいっているとまでは考えてないじゃないか」

 

年の功というべきか、既婚者であるエギルさんだから気付かれてしまったようだ。動揺して答えを態度で表してしまったので、観念して正直に答えていく。

 

「シノンとか同郷のアリスあたりはカナデの好意に気付いてるかもな…まぁ、二人とも口を挟んでくるタイプじゃないだろうから、黙認するつもりじゃないのか?」

 

「アハハ……それはありがたいと言うべきなんですかね。まぁ、バレるのを覚悟してなかったわけじゃないんです…こうも早くにとは想定してなかったですけど」

 

「それにしても意外だったな…キリトみたいに鈍感ではないだろうと思っていたが、お前さんはユウキ一筋だろうと思っていたからな」

 

「……俺も、自身はそうあるべきなんだろうとは思っていたんですけどね」

 

苦笑いしながら止めていた包丁を動かし、残りの食材を片していく。そんな中、エギルさんからそんな言葉が飛んできたので、切り終えた食材をまとめながら、視線を砂浜で遊んでいるユウキたちへと向ける。

 

「でも、ユウキが受け入れてあげてって言ってくれたんです。それで、俺一人が最低な野郎という扱いで済むのならって……ユウキもそうですけど、カナデが嫌な思いで泣くのを見たくなかったですよね…勝手なエゴかもしれませんけど」

 

何組かに分かれてビーチフラッグにいそしむ面々…そんな中、リーファやリズ、クラインたちと競争している中、フラッグを先取したユウキと、審判を務めるカナデの姿が目に映った。

 

「…難儀な性格だな、お前さんも」

 

「ですね…こればっかりは死んでも治らないだろうなって諦めてます」

 

「そうか…まぁ、お前さんとユウキたちがそれでいいとしてるなら、俺がこれ以上どうこう言うことじゃないな。茨の道ではあるだろうが、ともかく頑張れ。困った時には愚痴くらいは聞いてやるぞ?」

 

「ありがとうございます、その時はご厄介になります」

 

「…というか、お前らのそれがバレたら、大変なことになりそうな爆弾を抱えてる奴が一人いるからな」

 

「…そういう意味でも、確かに大変ですね、あいつは…」

 

頼りにしてくれという大人の言葉と共に、俺以上に色々と厄介なことになることが目に見えているあいつ…アスナにフラッグを先に取られたことでへこんでいるキリトを見て、俺とエギルさんは互いに苦笑いしていた。

 

 

 

休憩を兼ねてのバーベキューも終わり、食後の運動ということでスイカ割り…の前に、もうちょっと動けるものがいいということで、クラインの提案でビーチバレーをすることになった。

 

普遍的なルールに沿って2対2の構図でチーム分けをくじでやったのだが…

 

「…まさか、こんな形でお前らと戦うことになるなんてな」

 

露出を減らすために来ていたパーカーを再度脱ぎ、肩を慣らすように腕を回しながら彼女たちにそう投げ掛ける。

 

「そうだね…今考えたら、SAOで決闘して以来じゃないかな?」

 

「私もセントラル・カセドラルでは貴方とは剣を交えませんでしたからね…正直、どっちが強いか気になっていました」

 

対する彼女たち…強気な笑みを浮かべるアスナと、真剣なあまり騎士モードになっているアリス…二人の鋭い眼光が俺とそのパートナーへと刺さる。

 

「えっと…お手柔らかにね、二人とも」

 

そんなバチバチとした雰囲気に置いて行かれかかっているパートナーであるユージオが引き攣った笑みを浮かべていた。

 

一斉にくじを引いた結果がこの組み合わせだったわけだが、なんとも意外なチームといえるだろう。

 

ちなみに他の組み合わせだと、シノン&カナデペア対リズ&シリカという、クール(&ツンデレ)コンビ対いつもの仲良しコンビという対決で…意外も意外、シノンはともかくカナデが思った以上に俊敏な動きを見せ、クールコンビが圧勝するという番狂わせを初戦で見せてくれた。

…リズの強烈なレシーブをシノンが冷静に受け止め、その身長からは信じられない…というか、猫妖精族の身軽さを生かしたカナデの猛攻に対応し切れなかったのが勝負の分かれ目となった感じだった。

 

二戦目はリーファと組むことになったユウキ…対するはキリトと、本当は女子と組みたかった(というか、それ目的でバレーを提案したっぽい)ので、血涙を流すクラインとの対決だった。

「こうなったら、男のカッコいい勇士を見せてつけてやろうぜ、キリト!」…と意気込んだまではよかったが、運動センス抜群のリーファに、キリト以上の反射神経を持つユウキのペアではあまりにも相手が悪すぎた…結果、こちらも結構な差をつけられてユウキたちの勝利となった。

 

そんなわけで…最後の組である俺たちの出番となったわけだ。ちなみに点数に関しては1セットルールでやると長くなるということで、10点先取のデュースなし(点差が9対9になった場合、2点差をつけないと勝利にならないルール)で行っており、エギルさんとユイちゃんが審判を務めてくれている。

 

「…アリスはともかく、アスナが相手か」

 

「フォンがそんなに警戒するなんて…アスナってそんなにこれが強いのかい?」

 

コイントスによって、アスナ・アリスペアからのサーブとなり、互いのコートに分かれてから、俺はボールを確かめるように触っているアスナを見ていた。思わず零れた言葉に首を傾げるユージオに、そう言った意味を伝える。

 

「うーん…強いかどうかは分からないが、アスナって聞いてる感じだと運動神経いいんだよな。決闘でバトったり、色々と共闘したことはあってよく知ってるからこそ油断できないんだよな」

 

「へぇ~…ちなみにフォン。このビーチバレーって経験あるの?」

 

「普通のバレーならちょっとやったことあるレベルだな。しかも、中学…何年も前の話だから、実質ゼロに近いかも」

 

「それは…全力でいかないと負けそうだね」

 

あの剣捌きだけでなく、身のこなしひとつ取って、アスナの身体能力は目を見張るものがあるわけで…本当にお嬢様なのかと疑いたくなるものだからな。

 

対するこっちは素人男子二人…向こうも素人が一人いるとしても、油断して勝てるような相手ではないということは、ユージオも察してくれたようだ。

 

「それでは、第三試合…フォンさん&ユージオさん、ママ&アリスさんの対決を始めます!すぅぅ……Piiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii!!」

 

宣言の後、ユイちゃんが思いっきり吹いたホイッスルによって試合が始まった。

 

まずはアスナがボールを上空にあげてからのサーブを仕掛けてきた。結構スピードがあるが、対応できるレベルだ…落ち着いて軌道を見きわめてレシーブする。

 

ふわりと浮かせたボールをユージオの方へと流し、ユージオがトスするのに合わせてネット近くへとジャンプする。

 

「やらせませんよ!」

 

俺の動きに注意していたアリスがブロックしようと飛び出そうとするも、俺のスパイクの方が一瞬早く放たれ、アスナがいたのとは逆の方向にボールを打ち込む!これに対応するのは簡単ではないだろうと思った瞬間、

 

「させないっ!」

 

横っ飛びにより距離を稼ぎ、片手でボールをレシーブしたアスナによって防がれたのだ!そう簡単には決めさせてくれないかと内心舌打ちしながら、攻勢に備えようと下がろうとするも、

 

「アリス、ボールを上げて!」

 

「…!ええ!」

 

倒れながらも指示を出したアスナに応え、不安定な軌道になっていたボールを安定させるようにトスをしたアリス。次に打つアスナがあの体勢ではすぐに動けないだろうと思っていたのだが…俺は久しぶりにそれを目にすることとなった。

 

「…せええええええぇぇぇいい!!」

 

すぐさま体勢を立て直したと思った瞬間、放たれた矢の如く、後方から一気に距離を詰めたアスナが既にスパイクのモーションに入って…掛け声と共に放たれたボールは、体勢を立て直せていなかった俺の顔を横切り、コートに突き刺さった。

 

「……閃光…久々にみたな、おい」

 

『閃光のアスナ』…SAOで呼ばれていた二つ名がふと頭を過ぎり、思わず言葉に出ていた。剣捌きだけでなく、スポーツにまであんな動きをされてしまっては圧倒されるのも仕方ないわけで…

 

先取点を奪ったことでハイタッチしながら喜ぶ女性陣に対し、これは想像以上に大変なことになりそうだと、俺とユージオは思わず顔を見合わせて冷や汗を掻いていた。

 

…結果…ユージオとアリスがバレーに慣れてきたことで良い試合ができるようにだんだんとなっていたが、アスナの鋭い猛攻を止める術はなく、10対6という点差で俺たちは敗北を喫することになった。

 

「…女性って逞しいね…」

 

試合後、苦笑いと共にユージオが零した言葉に、俺だけでなく、同じく負けたキリト、クラインは頷くことしかできなかった。それぞれの彼女たちがいるチームが勝ったことを喜びたいが、ユージオはアリスに負かされた形にもなり、俺とキリトは互いの彼女に一杯食わされた形になったので、何とも言えない感情を胸に抱くのだった。

 

その後、ようやくスイカ割りへと移り、是非ともやりたいと申し出たユイちゃん、今度こそ汚名返上の機会とクライン、それと(アスナを始めとした女性陣の支持による多数決で)キリトが挑戦し、

ユイちゃんはスイカに木刀を当てることはできたが力が足らずヒビを淹れるのが精いっぱいとなり、クラインは振り下ろす瞬間に力み過ぎて最後の最後で木刀を外し、5人の嫁~ズの誘導に困惑しながらも、なんとか当てることができたキリトの一撃によって、スイカを割ることに成功したり、

 

スイカを食べてる最中、どこまで種を飛ばせるのかという勝負をクラインとキリトが始め、ユージオを巻き込んだ上に、興味を持ったユイちゃんまでもが真似をしようとしたのだが、「ユイちゃんになんてことを教えてるのよ!」「食べたものを口から飛ばすなんて、非常識にもほどがあります!」…と、事態に気付いたアスナとアリスによって大説教コースへと突入した男たちをよそに、

一緒に持ってきていたアイスクリームを食べている最中、頭をキーンとさせてしまったユウキとカナデにリーファとシリカの4人を見て、シノンと一緒に笑ったりして、

 

 

そんなかんやで、楽しい時間はあっという間に過ぎていき…

 

「…なんか線香花火していると、夏も終わりって感じるよね」

 

「このタイミングで、なんでそんなしんみりするようなことを言うんだよ」

 

時間が過ぎたことで、浜辺を照らしていた日も沈み、水平線に消えようとしている残日が僅かに明るさをもたらしてくれる中、〆の花火をしていると、火花を散り始めた線香花火を見て、ユウキがぽつりと呟いた。

 

言いたいことは分かるが、落ちた時にさらにしんみりするのではと思っていると、

 

「…あっ、落ちた…」

 

「くくっ、変なことを気にするからじゃ…あっ、しもうた…」

 

心の声を体言するかのように、俺の持っていた線香花火が静かに落ちた。それを綺麗に目撃したことで、思わず笑ってしまったカナデだが、それが仇となったのか、彼女の花火も静かに落ちた。

 

「あとはボクだけか…よーし……って、落ちたぁ!?」

 

俺に続きカナデもリタイアしたことで、残りは自分だと気合を入れた直後、ユウキの持っていた線香花火までもが地に沈んだ。

 

「…確かに、儚い感じはすごいのう」

 

カナデが今の状況を適切な言葉で表してくれた。

 

線香花火が照らしてくれていた小さな光が消えたことで、一段と周りが暗くなったように感じる。

 

「明日から学校か…もっと夏を満喫したかったな」

 

「今年は色々とありすぎたもんな」

 

「…みんなと一緒の…初めての夏だったのに……」

 

「…ユウキ」

 

もう終わりだと…そんな雰囲気にユウキから言葉が零れた。ユウキの寂し気な姿に思うところがあったのか、カナデの表情も陰ってしまう。

 

「確かに夏休みは今日で終わりだな…けど、これで全部が終わりってわけじゃないだろう?」

 

ユウキの言葉も肯定しつつ、でもそれだけではないと告げて二人へと視線を向ける。

 

「明日から残暑からの秋が始まって、その次が冬…年を重ねる度に夏は来るんだ。今年できなかったことは来年…その年にしたいことができたら、いつかすればいい。カナデもそうだ…お前にはもっと色々と知ってほしいし、触れて欲しい。

少なくとも、俺は二人とこれから色々な季節を過ごして、沢山の思い出を一緒に作っていきたい。だから…最後まで笑っていてくれ。それでも耐えられないっていうのなら…俺に泣きついてくれたんでいいから。それを受け止めるのが……彼氏の俺の役目だし…」

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

最後の方は照れくさくなって顔を背けながらの言い方になってしまったが…とりあえず伝えたいことは言えた筈だ。二人の反応が気になり、視線を戻すと…

 

「…うん。ありがとう、フォン」

「…そうじゃな。これからもよろしくのう、フォン」

 

…どうやら元気づけることはできたようだ。そのことにホッとしていると、

 

「お~い!準備ができたぞ~!!」

 

遠くからクラインが俺たちを呼ぶ声が聞こえてきた。実は、俺たちが花火をしている中、エギルさんと協力してあることを準備してくれていたのだ。

 

準備が完了したと聞き、俺たちや別の場所で花火をしていたキリトたちがそちらへと向かい、一同が集結した。

 

「クライン、あとどれくらいで始まるの?」

 

「ちょっと待てよ…あと10秒だな」

 

「えっ!?そんなにすぐに始まるんですか?!」

 

「そうだ!カウントしましょうよ!どうですか?」

 

日が完全に沈んだことで、星明かりだけが海浜を照らす中、リズがクラインへと進捗を尋ねる。もう間もなく始まるという答えにシリカが驚き、リーファの提案でカウントすることになり…

 

『5、4、3、2、いーち……ゼロぉ!!』

 

そのカウントで、少し離れた前方に設置された筒が光った次の瞬間、上空へといくつもの火光が打ち上げられた。

 

…真っ黒な夜に、幾多ものの色を含んだ花火が照らし出された…

 

「…綺麗です」

 

想像を超えた…感想を口にすることも忘れるほどに鮮やかな光の芸術が次々と空へと描かれていく。

 

火光によって象られた花、動物、星、幾何学模様…それに目を奪われたユイちゃんの言葉が、俺たちの気持ちを代弁してくれていた。

 

エギルさんとクラインが用意してくれていたのは、魔法による打ち上げ花火で、連続で100発の花火が打ち上げられる一番グレードの高い…いや、野暮な解説は今は置いておこう。今は…

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「「…!……//!(ニコッ)」」

 

偶然か、それとも俺と同じ気持ちだったのか…自然と触れたユウキとカナデの手を握り返し、こっそりと繋いだ。

 

(来年も…その先も……みんなと、二人と沢山の時間を過ごしていけたらいいな)

 

そんな願いにも近い、願望を胸に抱き、花火を見続けていた。

 

夏休み最後の日…良い思い出ができたと思ったのは、きっと俺だけではない筈だ。そうであったらいいなと…心の底から思った。

 

 




「夏休み終盤…?だったら、水着回でいいじゃね?」
…それが今回のお話を書こうと思ったきっかけでした(あさはかなり!)

というわけで、オールメンバー+水着回でした!(アルゴを期待していた方々すみません!)
ちなみに、フォンとカナデのものはオリジナルですが、各面々のものは既にあるものを流用させて頂きました。一覧とすると、

キリト・クライン・エギル…Extra Editionと同一。
アスナ:コード・レジスタ2016年第2回水着クエスト
ユイ:SAOエンドワールド《波際の楽しみ》
リズ:SAOエンドワールド名称不明
シリカ:エンドワールド《華やかな潮騒》
リズ:エンドワールド《黄金の海風》
シノン:コード・レジスタ《オーシャンケットシー》

ユージオ:メモデフ
アリス:電撃屋台1/7フィギュア

ユウキ:1/7スケールフィギュア 

といった感じになりまして、画像検索なので脳内補填して頂ければと。

色々と要約すると、眼鏡なしのカナデのツンデレからユウキとのちょっとした(?)ハプニングから、大人すぎるエギルさんの対応と色々と盛り込んだお話となりました…書きたいことを書いた結果です!悔いはありません!(開き直り!)

そういうわけで、これにて後日談も終わりを迎えることができました。
ということで、次回からはアリシゼーションのおふらいんシリーズを投稿していきます。いや、もう…色々と書くこと、暴露しないといけない裏事情が満載の章なので、一話辺りの長さも結構なものになるかと、今から覚悟しております。

また、ちょっとお知らせですが、今後の投稿時間を変更させて頂きます。
いつもは毎週日曜0時に投稿しておりましたが、次回から正午に時間を変更させて頂きます。
これは完全に作者の都合で、書いている時間がいつも深夜=日曜の0時投稿だとギリギリ間に合わないことが多くなってきたこともあってのことです。
大変勝手なことで恐縮ですが、ご理解頂ければと思います。

それでは、また!

…200…?

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