いや、前回・前々回のような感じでいけるかなと甘く考えていたのですが…
流石はバトル回が多いセントラル・カセドラル編…書くことが次々と出てくるもので…おふらいんとしては…というよりも、本編通して最長のお話となってしまいました(笑)
そして、序盤から終盤までおふらいんシリーズらしい(?)とってもカオスなお話となっております(黒笑)
先に謝っておきます…あの方が出ると思っていた方々、すみません!
このシリーズではそんな真正面なことをするわけがないので…
それでは、どうぞ!
「…ようやく前半最終回か…これで折り返しだと思うと、やっとと言うべきか、まだまだ続くのかと思うべきなのか…」
「フォン、フォン…カメラ回ってるよ!?」
「はっ…!し、失礼しました!みなさん、こんにちは!そーどあーと・おふらいんのお時間です!」
三回目…というよりも、前半ラストということで物思いに耽っていたフォン…が、その姿が面白いからと勝手にカメラを回していたスタッフに嵌められていた。
気付いたユージオが慌てて始まっていることを告げ、ようやくカメラに気付いたフォンが冷静を装いながら、いつもの挨拶を述べた。
「番組の解説を担当しておりますフォンです。前半最後ではありますが、宜しく」
「司会のキリトです。ドンマイ、フォン…お疲れ」
「まぁまぁ…司会補助のユージオです。今日も宜しくお願いします」
自己紹介が終わったところで、さっそく仕掛けてきた番組スタッフ陣へとジト目を向けるフォン…同情と共に労いの肩ポンをするキリトと諫めるユージオと、お決まりの流れだった。
「…前半ラストなのに、油断も隙もねぇな」
「番組スタッフの意向はともかく、今のは本番直前で気を抜いてたフォンにも落ち度があっただろう」
「それはお前の言う通りかもしれないけど…あぁ、憂鬱だ。この後のプレイバックがもう本当に…ユウキに何を言われるか…あああぁぁぁ…!?」
ボソッと呟くも、キリトの指摘通り、油断し切っていたフォンにも非があった。もっとも、この後のコーナーに頭を悩ませ、悲観的になっていたフォンが悲鳴を上げきながら嘆いていた。
「…なんか、今日のフォン、ヤバそうだね…」
「それは…そうなるだろうな。俺も同じ立場だったら、胃痛を抱えているぞ、絶対…!」
「……そうだね。僕もアリスに刺されるだろうね、同じことをしたら…」
いつもの冷静さを失くしているフォン…頭を抱えるその姿に、いつも以上に荒れそうだとキリトとユージオは危機感を覚えていた…前回が思った以上に平和だったから、尚更だった。
「…フォン、覚悟を決めるべきじゃないのか?そろそろゲストも呼びたいから、正気に戻ってほしいんだが」
「…まぁ、本人たちがいるわけじゃないからまだマシと思うべきなのか……よし!もう大丈夫だ、こうなったら勢いで今回は乗り切ってやろうじゃないか!」
(不安だ…フォンがヤケクソになっているせいか、とてつもなく不安だ!?)
『状態異常:混乱・不安・恐怖』をヤケクソという名の怒りで開き直ったフォン…そうさせたキリトが苦笑いする一方で、第一回・第二回以上に嫌な予感がしたユージオが両腕をさすっていた。
「それでは、前半ラストのゲストは…この人だ!」
「…番組に来てほしいと言われてきたが…ここがスタジオというやつなのじゃな」
「…?……えっ…ちょ…………っ~~~?!?!」
キリトの紹介で転移の光と共に姿を現した人物が来て早々にそんな感想を漏らしていたが…フォンは一瞬見間違いかと思って目を擦った。
目を擦ってから開いたが…そこにいたのは大図書室の賢者の恰好をした彼女で…
番組の台本へと目を落とし、そこに書かれている予定の人物とスタジオにいる人物を二度見直す…そこにいるのはよく知るチビッ子賢者で…
『これはドッキリ?ああ、ドッキリか…へぇ…』と驚きが一周回って、落ち着いたところで冷静になって…声にならない叫びを上げていた!…そんな姿を見て、彼女が首を傾げているも、フォンにとってはそれどころではなかった!?
「か、か、か……カーディナルゥゥゥ?!なんでお前が…はぁ!?はああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!?!」
「えええええええええぇぇ!?アリスの予定じゃなかったのぉぉぉ?!」
ようやく事態を…というか、現実を受けて入れてしまったフォンが頭を抱えて絶叫する!それに併せてユージオまでもが驚きのあまり叫んでいた。
「くっ!?転移、アインクラッド コラル!?…なぁ、転移結晶が発動しない!」
「諦めろ、フォン…スタッフがこのスタジオ一帯に結晶無効化エリアを展開してるから」
「…だ、だったら…!映現世の剣の『時駆得』でどっかに瞬間移動を!?」
「はいはい…混乱するのは分かるが、おとなしくしような…悪いな、カーディナル。少し落ち着くまで待ってくれるか?」
「う、うむ…分かった」
混乱の余り、転移結晶で(文字通り)現実逃避しようとしたフォンだが、キリトの解説に今度は武装変換術までもを使って逃走を図るも、今度はキリトに羽交い絞めされて制止される。
珍しくというか、今まで見たことないまでに冷静を失っているフォンと、それをなんとか収めようとするキリトの構図に…カーディナルはなんともいえない表情になるのだった。
※司会陣が落ち着くまで少々お待ちください…次元跳脚『時駆得』が何かを知らない人は、WoU編49・50話をご覧ください。
「…悪い、とんでもない醜態を見せた」
「こ、こいつ…記憶開放術まで使おうとしてまで抵抗するとは…」
約10分後…ボロボロとなったフォンに、キリトと…成り行きで手伝うことになったユージオが疲弊した姿で司会席にいた。
…ヤケを上回って、大暴走したフォンが映現世の剣を持ちだし、それに対してキリトが心意で黒の剣士の姿を纏い、ユージオが心意の破界鎧をも発動させての激闘が繰り広げられ…フォンが記憶開放術を使う寸前になんとか相打ち寸前に二人掛かりで止めることができたわけで…
「…見てる側としては大変興味深かったぞ。このゲスト席とやらがセーフティゾーンになってたなかったら、何度死んでおったかと…いや、スタジオどころか、世界が滅びそうな戦いを間近で見せてもらったからのう」
スタッフの気遣いで温かい緑茶と和菓子を堪能していたカーディナルが感想を述べていた…呆れ8割・同情1割・その他1割の感情が混じった言葉だったが…
ちなみに、カーディナルがいるゲスト席は破壊不能オブジェクト化しているので、化物3人が好きなように暴れまくっても全く問題ないのだ!この番組スタッフは無駄に高い技術レベルを持っているのだ!!…なので、今全力でそれ以外の破損したセットのプログラムを大至急修復中だったりする。
「…うううぅぅ…台本には『アリシゼーションのヒロインがゲスト』って書いてあったから、てっきりアリスかと思っていたのに…!どおりでVR空間がセントラル・カセドラルじゃなくって、大図書室なわけだ!」
「でも、はっきりアリスとは書いてなかっただろう?」
「てめぇ、キリト!?やっぱりお前も共犯か、この野郎!もう一回表に出ろ!今日という今日は許さねぇ?!」
確かに台本に嘘は書かれていない…間違いなく、アリシゼーションのゲストが来ている。まぁ、フォンサイドでのアリシゼーションのヒロインだが。今回のスタジオのVR空間も、実はゲストのカーディナルに合わせて、秘匿された大図書室を採用していたわけで…
叙述トリックと言うべきなのか…ものの見事にやられたフォン。もちろん、司会陣の中で一人知っていたキリトがとてもいい笑みを浮かべてネタバラシをしたので、今度こそぶっとばしてやろうとフォンがキレた!
「…フォンもキリトも…いい加減にしようよ?」
「「っ…?!」」
…そんな怒りと不機嫌のオーラを纏った幻鬼と、いつもの調子でちょっとふざけていた黒の剣士に、絶対零度の気迫がすぐ傍から襲い掛かった。
「僕だってアリスがゲストかもしれないって楽しみにしてたんだよ?フォン、君だけが残念なわけじゃないんだよ?あと、キリト…知ってたんだね?知ってて、僕が楽しみにしているのを横で笑って見てたんだね?
…その癖に、まだ暴れようとするなんて……怒るよ?」
「「…ゴメンなさい、俺が悪かったです…」」
表情が笑ってすらいない…これでもかというぐらいに怒りを気迫に、青薔薇の剣の力を使ってもいないにも関わらず、絶対零度の気迫を纏うユージオの言葉は正確無比に、そして、冷酷に二人へと突き刺さった!
『殺される…!』…そう直感した二人がすぐに折れた。本来であれば、逞しくなったと友の成長を喜ぶところなのかもしれないが、そんなことで実感したくはないし…今のユージオはそれを感じさせるどころの状態ではなかった。
「…悪かった、カーディナル。ちょっと取り乱した」
「(あれがちょっとなのか…?)…まぁ、よいわ。ユウキから事前に話は聞いて、お主のことをよろしくと言われておったが…大変じゃのう、フォン」
「今回はいつも以上に酷かっただけだから……ハハッ」
(笑ってない…笑えておらぬぞ、フォン!?)
言動があやしいどころか、顔が笑っている筈なのに、全くそうは思えないフォンの笑みに内心、ゾッとするものを感じるカーディナルだった。
「それにしても…流石にさっきのはやりすぎではないのか?お主の気持ちも考えも分からなくはないが…」
「いや、ついな…普段のストレスが思わず爆発したというか…映現世の剣を持っていたから咄嗟に手が出たというか…」
「…そういうことではない。別にわしが来たぐらいであそこまで慌てなくとも……良かったではないか」
拗ねたような物言いで口を尖らせるカーディナル。言い訳に近いフォンの返しが出るも…そう意味ではないと否定した彼女の反応にフォンは察した。
…さっきの言葉に混じっていた感情のその他1割…それは、嫉妬という名の扱いがぞんざいだったことに対するカーディナルの不満が出たものだった。
「…えっとだな。避けたわけじゃない…混乱のあまりというか、頭の処理が追い付かなかったんだよ。それに…」
「それに…?」
「この後のプレイバックで…俺とお前の色々なシーンが流れると思ったら…流石に俺も恥ずかしいんだよ。無自覚でお前に色々な言葉を掛けていた訳だし…今も思い出すだけで顔が赤く……これ以上は言わせんな」
「…そ、そうか……そういうことなら良しとしとうこうかのう…フフフっ」
「(イラッ)…ねぇ、キリト。僕とアリスもこんな感じで周りからは見えてるのかな?」
「だ、だろうな…だから、落ち着いてくれ、ユージオ…!掛けている青薔薇の剣から手を離せ、いつものお前にそろそろ戻ってくれぇぇぇ?!」
彼女が求めているであろう答えを告げたフォンと、満更でもない笑みを隠しきれてないカーディナル…どっちも照れの色を隠そうとしない甘々空間が出来上がっていたが、ゲストにアリスが来なかったことに、まだお怒りモードのユージオをキリトが宥めるというカオスな空間もまた同時に出来上がっていた。
トピックス:ALOだと猫妖精族を選んだユージオとアリスだが、キリトの悪戯によって『猫妖精族は猫耳か尻尾を触られるのが一番気持ちいい』という嘘を吹き込まれたせいで、アリスがとっても他人には聞かせられない悲鳴を上げたとか…(そして、翌日キリトはアスナと一緒にアリスからお仕置きを受けたらしい)
「それでは、プレイバックのコーナーに移るとするか…(なんか始まったばかりなのに、どっと疲れたな)…改めてゲストの紹介だ。アリシゼーションのヒロインの一人で、大図書室の司書であり、アドミニストレータに反抗し続けたもう一人の管理者とも言うべき存在…カーディナルだ」
「改めて…システムのサブプロセスであったカーディナルじゃ。一応、前準備として情報は集めてきたが…至らぬ点も多いじゃろうが宜しく頼むぞ、三人とも」
いつもとは逆に心身共に疲れたキリトだが、まだ番組は始まったばかりだ。フォンとカーディナルの関係はともかく、あのユージオまでもがキレかかったのが予想外だった。
それでも番組を進めなければならないわけで…改めてゲストの紹介を挟んだことで、カーディナルが自己紹介をし直していた。普段の調子と冷静さを取り戻したフォンとユージオを含め、ようやく番組が元の路線に軌道修正された。
「ということで、今回は第29話より第45話…セントラル・カセドラルの激闘をプレイバック映像で振り返っていこうと思う」
「この辺りの話も色々とあったよね…色々と話すことが多くなりそうだ」
「わしもそれなりに出ておるが、一番はフォンの話題がほとんどじゃろうな。というか、それが多すぎて、キリトの出番が薄そうなのじゃが…」
「それは作者も読者の皆も…そして、当の被害者(?)である俺も思ってることだよ、カーディナル」
フォンとユージオがプレイバックの内容を説明しながら懐かしんでいる一方、内容が想像しやすかったのか、言葉にしたカーディナル…それに対して、キリトが苦笑いして同意していた。
「では、早速振り返っていこうか。まずは、第29話よりこちらのシーンをどうぞ!」
〈フォン、ラースが仕掛けた最終負荷実験(人界大戦)のことを知り、激怒するシーン〉
「ここか…正直、あの時は現実世界に戻った瞬間、菊岡をぶん殴ってやろうと心に決めた瞬間でもあったな」
「…フォンよ。その時はわしの分も込めて殴ってもらってかまわんぞ」
しみじみと呟いた…かと思った次の瞬間、黒い笑みで右拳を握り占めたフォンから不穏なオーラが発された!それに乗っかかるようにカーディナルも黒い笑みを浮かべていた。
…どんだけ二人が頭にきていたのかがよく分かる光景だった。
「まぁ、フォンがあそこまでキレるのは当然だよな。俺と違って、事情を全て聞かされていたと思っていたのに、裏切りに近い内容を隠されていたと知ったらキレるよな」
「…別にあの腹黒公務員の菊岡さんが「フォン、呼び方がエグイよ」…コホン…あの人が隠し事をしてるタイプなのは理解してたけど、それ以上にフラクトライトたちの立場っていうか、命の扱い方をどうしても受け入れられなかったんだよな。
それに…キリトがそのことを知らずに協力させられていたことも頭にきたし…ユージオたちに戦争をさせるための道具にしようとする魂胆がありえないと感じてな」
「「…フォン」」
「…まぁ、俺もまだまだ子供だったってことだよ」
いつもとは異なり、感じていたことを隠すことなく晒すフォン…怒っているとも、嘆いているとも、嫌気が差しているとも…困った様に笑っていたその姿にキリトとユージオも何とも言えない感じになってしまう。
そんな二人に気にするなと言わんばかりにフォンが言葉を掛けていた。
「話は変わるが、あの時のフォンは…本当に怖かったぞ。わしに怒りが向けられているわけでないのに、思わず竦んでしまうほどじゃったわ」
「…俺も隣で見てた時はマジでビビった。ウンベールたちの時は見れなかったのもあったが、あんなにキレたフォンは初めて見たぜ」
「…そうだね。僕も闘った時にフォンの怒気を受けたことはあったけど、これはその時を凌駕するほどのものだね」
「…頼むからドン引きしないでくれよ…」
全員が恐怖を誤魔化すように両腕をさするその姿に、笑みが引き攣るフォン。心なしか距離を取られたような気がして、ちょっと心にダメージを受けた。
この時、全員がこう思った…(((普段怒らない人が怒るものほど怖いものはない)))と。
〈炎の不死鳥Vs二つの異氷 デュソルバート戦〉
「第31話のデュソルバート戦か…映現世の剣のデビュー戦で、初めて武装変換術を使った闘いだったな」
「さりげなく別の武器とはいえ、武装完全支配術もフォンが初めて使ったもんな…俺の活躍をごっそりと奪って」
「キリト!?それって俺のせいじゃないだろう!」
セントラル・カセドラルの激闘の第二戦…それぞれの剣を取り返してからの本格的な闘いの中、まず話題に上がったのはフォンの映現世の剣の力についてだった。
あわせて、『キリトの出番を奪われた事件その1』でもあったわけだが。
「ユージオの青薔薇とはまた異なる、破壊の竜氷か…不死鳥の炎とぶつける相手としてはふさわしい武器じゃったな」
「この時は、まだ映現世の剣の本質をちゃんと理解できてなかったから、俺の思いやその場の状況にあわせて武器が半ば自動的に選ばれるというか…脳裏にこの武器はどうかみたいな感じで、剣から訴えかけられるみたいな傾向が多かったんだ」
「力の本質を少しづつ開示していき、経験を積ませることで本来の力を理解させようとしておったのかもしれぬな。実際、お主がイーディスとの闘いにおいて剣本来の武装完全支配術を発動したのも、映現世の剣自身が可能だと判断したからこそ自ら訴えかけたのじゃろう」
「…ただ、フラクトライトに直接干渉する性質のせいか、剣自身の正体を知らなかったとはいえ、あの反動は勘弁してほしかったよ…頭の神経を直接殴ってくるかのような激痛だったからな」
闘っていく中で少しずつ力を発揮していく映現世の剣に対して考察を重ねるカーディナルに対し、当の本人であるフォンは反動の頭痛を思い出してしまったのか、額に手を当てていた。
「そんなに剣の反動って酷かったのかい?」
「最初の方は多少耐えられる程度なんだけど、防御するのがやっとな状態って感じで…大剣自体の武装完全支配術を初めて使ったイーディス戦とか、無理矢理本来の力を解放したお前との闘いは…頭の中から何かに引き裂かれるようなというか、むしろ頭を叩き割った方が楽になるんじゃないかっていう激痛と共に、全身の血液が拒絶反応をしたかのような痺れと吐き気が襲いかかってくるみたいな…言葉にするのならそんな感じかな」
「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」
「お願いだから、ドン引きしないでくれぇ?!」
つい気軽に聞いてしまったユージオだったが、平然と拷問なような出来事を語るフォンに一同は何とも言えない表情のまま固まる。その空気に耐えれず、思わず叫んでしまうフォンだった。
「まぁ、フォンの話は置いておいて…ユージオの活躍も凄かったよな」
「〈秘奥義連携〉…SAOで俺が主に使ってたスキルチェインのアンダーワールドでの呼び方だよな」
デュソルバートへの決定打となった〈バーチカル〉からの〈バーチカル・アーク〉へと繋げたユージオの剣技に、師であるキリトとフォンが感嘆の声を漏らしていた。
「22話でもユージオが模擬戦で使っておったが、そもそもこれはフォンが使っておったものなのか?」
「スキルチェインはな。SAO時代の中盤から使えるようになったんだよ…まぁ、それにはちょっとした裏話があるんだけど。
それは置いておいて…ALOだとその派生版として、ソードスキル発動後のコンマ僅かのラグ時間において、意識を切り替えて両手の武器によって交互のソードスキルを繋げるスキルコネクトをキリトが見つけて、SAOでの経験を俺が教えたところで、俺が六連撃まで、キリトは七連撃まで繋げられる感じになって…」
「それで、アンダーワールドでは発動できるソードスキルは、心意による拡張を除けば、剣の等級によってかなりの制限が掛けられるってことから、なんとか技量を広げられないかと試行錯誤していた時に、フォンがSAOでのことを思い出して…やってみたら出来たんだよな」
「あの時は焦ったわ…駄目もととはいえ、同じ感覚でバーチカルからホリゾンタルへと繋いだら、あっさり出来たからな…しかも、一度技を見せた時に感覚を教えただけだったのに、ユージオはユージオでいつのまにか出来るようになってたし…」
「アハハ…といっても、あの時は失敗する確率の方が多かったんだよ?二人を驚かせようとこっそりと練習してたけど、成功率は4割ぐらいだったからね」
(…そういえば、シャーロットが定期報告でユージオがこっそりと特訓している様子を時たま伝えておったな)
システム外スキルという、自身が把握していなかった技術が気になったカーディナルの問い掛けに、発起人のフォンとキリトが交互に説明していく。
アンダーワールドで初めて秘奥義連携を使ったフォンが当時の驚きを語る一方、いつの間にか使えるようになっていたユージオに嬉しさと困った表情が混ざった視線を向けており、照れたユージオが後頭部を搔いていた。
…その話を聞いた覚えがあったカーディナルがそんなことを思いながら、プレイバックは次の場面へと移るのだった。
〈暗殺コンビ フィゼル&リネル〉
「「…うわぁ…」」
映像を見終わったところで、そんな第一声を発したのはキリトとユージオだった。あの時は奇襲を受け掛けたこともあって、そこまで思う余裕がなかったのもあるが…改めて客観的に見たその一部始終に『これはないわ』とドン引きの感情が籠った感想が出ていた。
「…これはやりすぎじゃな」
「あー……これは確かにやらかしてるな」
流石のカーディナルも弁護の言葉が見つからず、やれやれといった様子が首を振る。それに対し、当の本人であるフォンも顔を手で覆いながら後悔していた。
「…うん、あれは完全にやつあたりに近いわ。色々と連続してありすぎたとはいえ、フィゼルたちのことを何も知らないであんな凶行をやるのは…駄目だよな」
「読者の方々からも指摘されていたもんね」
当時、色々なことを知り、体験したこともあって感情のコントロールが曖昧になっていたフォンの懺悔に、同情できる部分はあるが、それを目の前にして困惑してこともあったユージオが苦笑いしていた。
「解説書によると、ここでフォンの暴走というか、ちょっと潔癖な部分…WoU編で明らかになるフォンの負の側面を強調したく、敢えて反感持たれるような描写にしたとのことだそうだ。
別に作者がフォンのことを嫌ってというわけではなく、むしろ気に入っているからこそ、心情を掘り下げる為に敢えて乱暴なことをさせたのと、この後のファナティオ戦に繋げるには、ここで二人を倒す必要性がある点、そして、俺が本来担っていた改心の部分を引き出すための展開だったらしい」
「ある意味では、原作と大きく異なる部分の一つでもあるわけじゃな。まぁ、あの二人はそのせいで、フォンに対してちょっとしたトラウマを抱えたみたいじゃがな」
「えっ!?そうなのか…?」
「うん…僕が人界大戦で二人と再会した時、真っ先にフォンの居場所を尋ねられたからね。よっぽど、あの時のフォンは怖かったんだと思うよ」
解説書そのままに長文での説明をキリトがしたところで、その後のフィゼル&リネルの様子を思い出したカーディナルがそれを補足した。
その言葉に続くように、大戦前に再開した時のことをユージオが語り、フォンは更に罪悪感に襲われることとなった…内心で二人に更に謝ったのは言うまでもない。
「この時って、前回取り上げたライオスたちの姦計や整合騎士たちに施されたシンセサイズのこと、更にはラースが仕掛けた最終負荷実験のこととかもあって…そこにアドミニストレータの方針が重なって、ちょっと我慢の限界が来ちまったんだよな」
「キレる要因はところどころにあったが、それがついにこの時に爆発しちまったって感じか。信じてはいたけど、フォンが大剣を振りかぶった時はちょっと焦ったな…」
感情が暴発したとも言える行動に反省するフォン…その時は冷静に状況を見守っていたキリトだったが、内心は冷や汗を掻いていたのだと言葉を漏らしていた。
思い話が続いたので、話題転換にフォンが二人の武器から正体に勘づいたことへと話を移すことになった。
「しかし、フォンよ…お主は相手のことをよく見ておるのう。あの暗殺コンビの武具を一瞬で看破するとは…」
「まぁ、職業柄というか、ジョブ的にな…鍛冶師をしていれば、嫌という程に様々な武具を鑑定したり調べたりするし、SAO時代からリザードマンやスケルトンっていった似人型のモンスターと戦っている上に、幻想剣ソードスキルを適切に使い分ける為に相手の分析をすることは心掛けていたからな…もう癖みたいになってるんだよな」
「フォンの場合、物理でも口でも容赦なく弱点突いてくるからな…相手を苛めるのが好きなのかと思うぐらいだぞ」
「人をサディストみたいに言うなよ、キリト…戦い運びが上手いって評するところだろう、ここは」
感心するようなカーディナルの評価と、今まで自他共にそういう場面に出くわしてきたキリトの苦言に、フォンも困ったように笑う。
「そこに映現世の剣が加わったら、もう本当にチートだよね…フォンと映現世の剣があったら、世界の一つや二つ楽に滅ぼせそうだし」
「流石にそれはやらないって…それに、その力を振るえるのはあくまでもVRMMOだけだからな?そんな傍迷惑なことは軽はずみにはしないさ」
(…うん?今、こやつ…「できない」とは言わなかったような…)
世界征服どころか、破壊神になりかねないのではと危惧するユージオに、少し慌てた様子でフォンが否定するも…『やらない』と言っただけで、『できない』とは言わなかったことに気付いたカーディナルが心の中で戦慄したのは余談だ。
〈閃光飛び交う嵐戦…ファナティオ&四旋剣〉
「ということで、こちらも闘いの入り方が原作とは異なるファナティオ&四旋剣との死闘の場面だが…」
「俺とフォン的にはちょっと思うところがあった闘いだったよな」
3対5の乱戦を見終わったところで、フォンが解説をするも、それに続いたキリトが言葉を濁らせていた。
「キリトはアスナたち、俺はユウキっていう強い女性陣と一緒に過ごしてきたからな…弱いところを見せるのは別に悪いことじゃないけど、女性であることそのものを理由にするのは…まぁ、ちょっとキレるよな」
「俺からすれば、アスナが閃光と呼ばれていたせいか、光のレーザーを放つファナティオの闘い方が、アスナと少し重なって見えたのもあるな」
「じゃが、お主らのその在り方がファナティオを雁字搦めにしていた氷を溶かしたのじゃ。特にキリト…お主がファナティオを一人の剣士として対等に剣を交えたのは大きかったじゃろう」
「フォンのことをあんだけ言っておいて、キリトはキリトで結構容赦ないよね」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
その後のファナティオを見ていたカーディナルが、あの時の闘いがあったからこそ彼女が変われたのだと評する一方で、なんやかんやで似た者同士だとユージオに言われたことで、二人してバツの悪い顔をするのだった。
「それにそういう意味だとファナティオさんとベルクーリさんにとって、キリトは恋のキューピッドになったとも言えるのかな?」
「自分の恋愛に関してはあちらこちらへと手を伸ばしておる癖にのう…少しはフォンを見倣って全員を幸せにしてやるとでも宣言してみれはどうじゃ?」
「…止めてくれ、カーディナル…それは俺にもダメージが入るやつだから」
「と、ともかく…俺とユージオが武装完全支配術を使用した初の闘いでもあったよな。イメージできていたとはいえ、やっぱり凄い威力だったよな」
追撃と言わんばかりにその後、ファナティオがベルクーリとどうなったのか(ちなみに、大戦後、結婚して子供生まれた話などを知ったのはかなり後のことにはなるのだが)を語るユージオと、カーディナルがキリトの女性関係に釘を差していると、フォンが顔を少し赤らめせていた。
…流石に色々と覚悟したとはいえ、ハーレム野郎呼ばわりや扱いされるのは慣れないらしく、暗に自身のことを指摘されたのが痛かったらしい。
そんなフォンと同じ立場のキリトが強引ながらに話を戻し、夜空の剣と青薔薇の剣の武装完全支配術へと振った。
「どっちも凄い威力だったよな…夜空の剣は元となったギガスシダーの負の側面である『孤独』を模して放つ超重撃の単発技、青薔薇の剣は中範囲での拘束&持続ダメージを与える占領技…原作の対PoH戦でも言及されてたが、かなり相性の良い武器だよな」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
「…うん?どうした、二人とも。変なものを見るような目をして…」
それぞれの武器の術の利点を分析し、誇らしげに語るフォンだったが、何故か所有者である二人の反応が芳しくなく、どうしたのかと尋ねていた。
「いや…今、思ったら、映現世の剣だったら、僕たちの神器と同じことができるんだろうなって思って」
「…だな。その上、神器を二つ同時に使えるようなものだから、もし最初から剣の力が全解放されていたら、俺とユージオがいらない子扱いされたたんだろうなって思って」
「止めてくれ!?ただでさえ、キリトの出番を奪い過ぎてヘイト喰らってんのに、当の被害者であるお前らにまで言われたら、マジで心が痛いから?!」
落ち着いて闘いを振り返っている今、『最初から映現世の剣が全盛期だったら、俺たちいらなかったのではと?』と思ってしまった親友二人に、流石のフォンも慌ててその考えを否定した。
「原作改変の反動が全部フォンに返って来とるわ…お主はどこに行っても、苦労人なのじゃな」
『多分、一番メンタルやられる番組だとは思うけどよろしくね?』と、出演前にユウキから言われたことをようやく理解したカーディナル…どこか投げやりな表情のキリトとユージオをなんとか励まそうとするフォンに同情するのだった。
<分断された一同 深闇影の刃を振るうイーディス戦>
「80階…アンブレ(アンリーシュ・ブレイディングの略。旧名はアリシゼーション・ブレイディング…通称アリブレ)よりまさかの登場、イーディス・シンセシス・テンと戦ったんだよな」
「まずは第34・35話のフォンとイーディスさんとの闘いを振り返っていくわけだけど…実際どうだったの?僕が共闘した時には、イーディスさんはサポートに回ってもらってたから、どういう闘い方をするのかあんまり知らないんだよね」
この80階の戦いで、キリトはアリスと共にカセドラルの外壁へ飛ばされてしまい、ユージオはフォンに背中を押される形で先行することになったたね、合流するまで互いの状況があまり理解できていなかったのだ。
そのため、当時のことを思い出しているフォンに、自分と別れた後のことをユージオは尋ねていた。
「強かった、そして、とっても闘いにくい相手だったよ。闘い方的にはアスナとユウキを足して割ったような感じで、剣戟の早さも対応できないほどでもないんだが…彼女が持っていた闇斬剣がやっかいすぎたな」
「神器『闇斬剣』…火妖精族のユージーン将軍が持ってる魔剣グラムと同じ能力を持ってるんだったか?」
「いや、それ以上だよ、キリト。魔剣グラムが持つエクストラスキル『エアリアルシフト』は相手の武器・防具をすり抜けて攻撃できるものだが、発動してから数秒クールタイムを必要とするから、二刀流を繰り出したお前はそれで破っただろう?
でも、闇斬剣はクールタイムという概念がない、防御と装甲を常時無視できる武装完全支配術を使えるんだ。その上、防御バフまでもを無視して攻撃できるから…こっちは避けるしか手がないせいで、どうしても行動が制限されちまうんだ」
唯一、本気で剣を交えたからこそ分かるフォンがキリトの問いに答えながら、イーディスとの激闘を思い返していた。
常時防御無視という、防御手段の半分を封じられたにも等しい闘いは、今になって思い出してもかなり辛い闘いだった。
「その上、イーディスはアリスが死んだと思っており激昂しておるのに加え、お主の方も映現世の剣が覚醒前のせいで、武装変換術で呼び出せる武器に制限が掛かるという事態に直面しておったのじゃから、尚更じゃろうな」
「近接戦ではダメージ覚悟か、避けるか躱すことが大前提の縛り、だからって、中途半端に距離を取ったら炎系の上級神聖術が飛んでくる…それに加えて、武器のいくつかのカテゴリーが呼び出せないって…どんな鬼畜レベルだっつうの」
「解説書によると…実はイーディス戦の構想はセントラル・カセドラルにおけるバトル回では一番最初に出来上がったものであり、そこからデュソルバートさんやファナティオさんたちとの戦闘回が組み上げられていったんだって。
作者曰く『イーディス戦で大苦戦させるにあたって、神器自体の性能はさながら、更に映現世の剣の制限が露呈する…強敵+まさかのアクシデント=大ピンチの構図にしたかった』とのことだって」
「なんて傍迷惑な脚本なんだよ、こっちの身にもなれってもんだ」
「カセドラルでのフォンにおける初単独戦ってことで劇的に書きたいのもあって、それまでの闘いではあまりダメージを負わせないようにしながら、武装変換術をそれなりに使わせようとしたのにも苦心してたみたいだな」
激戦の裏話を一切隠すことなく解説するユージオに、当のやられた側であるフォンはたまったものじゃないとムッとしていた。そんな友の姿にドンマイと思いながらも、キリトが補足事項を述べていた。
「それでも、記憶開放術での相打ちまでもを狙ってきたイーディスをなんとか打ち倒したわけだが…ここで更に映現世の剣の力の一端が垣間見えたわけだ」
「読み取った二つの世界の力を混ぜ合わせる力…全てを飲み込む闇斬剣の記憶開放術すらもあっさりと消し飛ばす程の力を放つのじゃから、その脅威は計り知れぬのう」
「ソード・ゴーレムには防がれたけど、あれは覚醒前で半分ぐらいまでしか力を発揮できてなかったみたいだからな…今なら、ソード・ゴーレムを倒すまでとはいかなくても、結構なダメージは与えられる気がするな」
「武装完全支配術の力ってあれで全開じゃなかったんだね…それはそれで怖いんだけど…」
「俺としてはホッとしてる…もしあれ以上の威力だったとしたら、俺とアリスは確実にカセドラルの地上に落下してたからな」
「その節は本当にゴメン…全く手加減する余裕もなかったし、正直、キリトたちがそういう状態だったどころか、気にしている場合でもなかったもんで…」
映現世の剣の武装完全支配術…この面々の中でも、本来の力を発揮して以降のものも見たことのあるカーディナルがその凄まじさを語る一方、ソード・ゴーレムに効かなかったを少し悔しく思っていたフォンがその心情を零していた。
…まぁ、まだ未覚醒状態の時しか知らなかったユージオが冷や汗を流している一方で、ものの見事に被害を被ったキリトが安堵する絵が出来上がっていたわけで…把握する余地がなかったとはいえ、下手をすれば親友と友の想い人を吹き飛ばしていたかもしれなかったと思っていたフォンが素直に謝るのだった。
「まぁ、もう済んだことってことで…次はお待ちかねというか…第36話より、こちらのシーンが選出されますので、見てみましょうか?」
「うっ…何かとてつもなく嫌な予感がするのじゃ…!」
大まかな部分を話し終えたところで、ユージオが次の場面へと進もうとする。だが、寒気を感じたカーディナルの予感が的中したかのように、次に映った映像は…
〈フォンが意識を失っている間、膝枕をしているカーディナルの姿〉
「なぁ…なぁ、なぁ、なんでこのシーンが?!というよりも、本編でも描かれてなかった直前のシーンがなんで映っておるのじゃ?!?!」
そう…いつもの落ち着いた様子はどこにいったのか、完全に取り乱したカーディナルの言う通り、映っていたのは第36話では(フォンの視線で描かれていたこともあって)カットされた、フォンが意識を失っている時のシーンだった。
こんなに堂々と恥ずかしい場面を見られるとは思っていなかったこともあり、なんとか映像を隠そうとするカーディナルだが…身長が小さいとはいえ、大きく拡大されたプレイバック映像を隠すことなどできるわけもなく、
「…///(これは確かに恥ずかしいよな…特に、俺に対しての感情がまだ微妙だった時に膝枕をしてくれてたわけだし…)」
意識を失っている間、こんな形だったんだと初めて知ったというか、客観的に見るとこんな感じなんだなと、ちょっと恥ずかしいなと思いつつもフォンは少し冷静に分析していた…当の相方であるカーディナルがテンパっている分、落ち着いていたのだ。
「ふぅ!ふぅぅ!!」
「カーディナルさんが大混乱中なので…この場面を先んじて見てもらっている、フォンの本命であるユウキさんからメッセージを預かっているので読んでみますね」
「なぁ!嘘だろう、ユージオ?!」
「『…とっても羨ましい!?フォンの寝顔を堪能するだけでなく、膝に頭を乗せるなんて!!…番組が終わったら、ボクにもしてよね、フォン?』…だって」
「…お、思った以上に平和だった…下手をしたら、処刑するとか言われるかと思ったぜ(したいじゃなくって、俺がユウキにする側なのかよ!?それでいいのだったら、いくらでもするって…)」
「フォン、本音と建前のツッコミが入れ替わってるぞ」
躍起になって動き回ったせいで息切れしているカーディナルを余所に、ここでまさかのユージオからとんでもない提案が飛び出し、今度はフォンが驚愕する番だった。
本妻からの感想、もとい第一回浮気現場評論に戦慄していたが…想像していた一万倍安全な感想だったことに、安堵し過ぎたせいで心の声が駄々洩れになっており、キリトが苦笑いと共にツッコミを入れていた。
「それにしても、人が大変な目に遭っている時にイチャつくとは…どう思う、ユージオ?」
「…(ブチッ!)」
「えっ…いや、この時のカーディナルさんは別に意識してやってたわけじゃないんだし、フォンが少しでも休めるようにって気を遣っただけじゃないのかな?」
「…えー…二人が混乱しまくっている今だから、弄れるチャンスだぞ?ここぞとばかりに、いつもやられてる分をやり返すチャンスだぞ?」
「…(カチン!)」
「…あっ…(これはヤバいかも…)」
こんな機会はそう多くないとユージオを煽るキリトだが、優しい親友が気を遣って言葉を選んだことに不満だったらしく、更に扇動するも…先に冷静になっていた戦鬼の堪忍袋の緒が切れる音に続き、流石の賢者も聞き捨てならなかったらしくキレて…
「「…キ~リ~ト…!!」」
「…ひぃぃ…?!」
いち早く危険に気付いたユージオがこっそりと退避した直後、地獄の底から這い上がってきた悪鬼の如くの声色で、大剣と杖を構えた二人の姿に、やり過ぎたと思ったキリトだったが手遅れだった。
「元祖ハーレム野郎のお前にだけは絶対に弄られてたまるかぁぁぁ!!」
「お主のような女誑しがわしらを馬鹿にするでないわぁぁぁ!!」
「エンハンス・アーマメント!!」「フォース・バースト・アウト!!」
「ぎゃあああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!」
全く手加減なし、全力全開の強大な一撃が、映現世の剣の武装完全支配術と四元素の属性竜を象った神聖術を絶叫と共に放ったフォンとカーディナル…劇中では、防がれてしまった『堕天氷龍拳』が原作主人公に直撃するとは…6つの光に呑み込まれたキリトの断末魔が掻き消されるギリギリの轟音が鳴り響く中、一人逃げていたユージオがマイク片手にその光景を眺めていて…
「…ええっと…二人の大技のせいでスタジオが半壊していますので、スタッフが復旧作業をしている間に、みなさんはこちらのシーンをご覧頂いてもらいましょうか?…キリト、大丈夫かい!?」
とりあえず場を繋げなければとなんとか次のシーンへと話を移した後、流石にこれは予想していなかったらしく慌てて修復作業に入り出したスタッフに紛れ、光の渦に呑み込まれたキリトを探しにユージオが向かった。
〈アリス 自身のルーツを知る〉
「…し、死ぬかと思ったぞ、お前ら…!?」
「「あぁん?」」
「…なんでもありません、ごめんなさい」
(無駄に高い技術で)映像の再生が終わるまでにスタジオセットの修理をスタッフが完了させたのと同時に、殺意がかなり込められた大技を喰らったことでボロボロになったキリトが悪態を吐いていた。
…もっとも、『反省の色が見られないが、もう一回いっとくか?』と言わんばかりのドスの効いた声と視線に、一転しておとなしくなってしまったが。
「ふぅ…キリトとアリスが強力してカセドラルの壁を登るシーンか。それにしても、右目に仕掛けられたコード871か…ユージオの一件でもしかしたらとは思っていたけど」
「カーディナルシステムの領域外で作られたものだと、わしは存在を認知することすらできぬからな。まさか、ラースの中にも考えを反する者がおるとは…しかも、そやつがアドミニストレータに執着しておったとはのう」
「WoU編でその事実が明らかになって、ALO事件の時にも加担してた柳井って人がその裏切り者だったみたいだな…操られている時間が長すぎたせいか、全然記憶になかったんだよな」
右目の封印を破ったアリスの姿から、全てが終わった後にその事を知ったフォンがカーディナルの言葉に頷いていた。特に、アスナと同じくALOに捉われていたフォンにとっては、色々と思うところはあったわけだ。
「それと…この話自体が珍しいというか、ヒロインのユウキはともかく、キリト主体に近い三人称での話だったわけだよな?」
「えーっとね…解説書によると、作者曰く『フラグぶっ壊し&ユジアリCPフラグ回』…って、書かれてるね…」
話にほとんど携わっていない…特に37話に至っては会話の中で名前が出た程度だったフォンは初めて戦友と親友の嫁(予定)が話していたシーンを見たのもあって、このシーンについて疑問を口にしていた。
聞かれたユージオが解説書の該当箇所を見つけ読み上げたのだが、読み終えるとちょっと困った様に笑みを浮かべるのだった。
「『この時点でユージオ生存は確定していたので、キリアリルートへと進ませるわけにはいかないと、キリト本人にぶっ壊してもらった上でユジアリへと繋いでもらう必要があったので…まさしく恋のキューピッドですね(笑)』…って」
「あー…確かにそういう意味じゃ、キューピッドだな」
「キリトがキューピッドなら、アリスの人格を統合させたことで二人を歩み寄せた映現世の剣は恋の矢だったのかもな」
困り顔のまま解説を終えたユージオに、親友二人も苦笑いしていた。ファナティオの時と同じく、しかし、親友の恋路の入り口を作ったことに照れるキリトと、自分の剣が橋渡しの役目を担ったことに少しばかり誇らしくなったフォン。
「まぁ、俺とフォンがああなることからすると…ユージオが代わりに騎士アリスとの約束を叶えてくれる形になるとは思ってもみなかったよな」
「俺なんて知らない内に、二人のことをバカップルとか弄ってたんだぞ?記憶が戻って落ち着いたら、色々ととんでもないことを二人に言ったりしたことを思い出して…なんか申し訳なさでいっぱいになったわ」
「…き、気にし過ぎだよ、二人とも!?全然大丈夫だったから!お願いだから、そんな顔をしないでよぉ!?」
「ユージオ…お主、愛されておるのか、庇護を受けすぎておるのか、微妙なところじゃのう、これは…」
二人からすれば、親友の恋路を後押ししておいて、いちゃつけるところを邪魔しかしていなかったのではと一気に落ち込んでいた。そんな二人の姿に慌ててフォローの言葉を掛けるユージオを見て、カーディナルは少し朗らかな気持ちになっていた。
…そんな友の絆を断ち切るような闘いを強いられるのが、次のシーンだったのだが…
<堕ちた青薔薇Vs不知火の魂炎>
「…ここか…精神的な意味では、この闘いが一番辛かったかもな」
「そう、だね…僕もフォンも、こんな形で闘うことを望んでいなかっただろうしね」
師と弟子であり、背中を預け闘ってきた友でもあった二人…フォンとユージオが何とも言えない表情のまま、自分たちの闘いを見終えた。
「フォンとしては連続での激戦で肉体的にかなり消耗しておったから、ここでユージオが立ちはだかるというのは、精神的にはかなりくるものがあったじゃろうな」
「…俺もユージオと本気で闘えるかって言われたら…やっぱり最初は迷うだろうな」
「言い訳になるかもしれないが…頭では分かってても、やっぱり心が追い付かないっていうかさ…剣で語るって言っておきながら、氷漬けにされるまで迷っちまってたからな」
「フォンが優しいからこそなんだろうね…だから、あの逆刃黒刀を呼び出してからは本当に一切の遠慮がない猛攻を受けることになったんだけど…あの時のフォンは何度も言うけど本当に怖かったよ」
映現世の剣を無理矢理覚醒させるまでに追い詰められたフォンの姿に、当時の状態を理解していたカーディナルとキリトも苦々しい表情になる。
当事者であるフォンも闘うことに迷いを覚えていたのを認めていたものの、その後の闘いで猛反撃を受けた側であるユージオは、敵対したフォンの恐ろしさに戦慄していたのだが…
「実はこのシーン…アリシゼーション前編において、シナリオ変更が多々あったお話でもあったみたいだぜ?」
「えっ、そうなのか?てっきり、プロットからこの展開だったかと思ってたが…」
「いや、実は当初の構想では、原作通りに俺とユージオが闘う予定だったみたいなんだ」
思っていたのと違うと聞いて尋ねるフォンに、キリトは解説書を見返しながら説明を続けていく。
「そもそも、ベルクーリとの闘いからシナリオに変更があったみたいだ。イーディスとの激闘までは同じなんだが、この闘いの時にユージオも80階に一緒に残っている予定で、実はベルクーリ戦が原作とは異なり、フォンとユージオの二人掛かりで挑むことになるのを考えていたらしい」
「…それはそれで、大変そうだな」
「で、ベルクーリの時穿剣の力に二人掛かりでも苦戦して、原作通りにユージオが記憶開放術を捨て身で使うわけなんだが、後方にいたフォンがその余波を受けて、一旦部屋の扉の外へと吹き飛ばされ、気を失う…そして、95階から降りてきた俺たちと合流する…っていう流れだったらしい」
「それでキリトと合流して、原作通りの闘いに至る展開を想定していたわけか」
なるほどなと思い、キリトの説明を聞いていたフォン…なんやかんやで全編を通してユージオのみしか闘っていない面々が多かったイメージだったのだが、下手をすれば自分も闘っていた可能性があったのかと思ったのだ。
「ちなみに、どうしてそんなシナリオ変更になったのかというと…『この段階でユージオはともかく、カーディナルまで生存させることが決まったため、カーディナル生存フラグを80階の闘いの後で作る必要があったのと、翼衣の力が発現するきっかけと幻想剣ソードスキルを心意で発動できることを表現するシーンが欲しかったこと、そして、WoU編にて必須となってくるキリトの心神喪失の根拠となる部分を設けたい』…そんな意外にも複雑な理由があって、大幅なシナリオ変更が行われてみたいだね」
「思っていた以上に壮大な理由があったのじゃな…というか、きっかけはわしというのがまた驚きなのじゃが…」
長々とユージオがシナリオ変更のきっかけと理由を語り終えたところで、カーディナルが気まずい表情をしていた…まぁ、無理もない話である。
「俺からしたら、ユージオ生存ルートによる弊害として、心神喪失なる理由が欲しかったっていうのも分かるけど、出番奪われた被害回その2だからな」
「いや、今回に関してはそうとも言えないだろう…俺からしたら、お前にユージオと闘わせるなんて悲しいことをさせたくないし…けど、それが逆にお前を追い詰めちまったんだから滑稽な話だよな」
「そ、その辺にしておけ、お主ら!二人してとんでもない空気になっておるぞ!?」
自分で言っておきながらダークブルーな気持ちに陥っていたキリトとフォンのやり取りに、思わずフォローの言葉を入れることになり、そんな気まずさを吹き飛ばされたカーディナルだった。
「幻想剣ソードスキル…キリトの二刀流もそうだけど、二人とも本来の力をまだ見せてなかったことにも驚きだよ。アリスも、二人のそれをALOで見た時には目を丸くしてたし…」
「『剣を二本持つなんて、お遊戯でもするつもりなの?』って言われたな…その後、模擬戦で闘った時には容赦なく勝たせてもらったけど」
「あれは本当に大人げなかったぞ…俺だってALO初心者のユージオと対峙した時には幻想剣ソードスキルの使用は一回限定って名言してたのに」
「いや、フォン…最後の最後で両手剣の大技で吹っ飛ばそうとしたことを、僕は忘れないからね?」
アンダーワールドにて初めてフォンが使用した幻想剣スキル、そして、それに合わせてキリトの二刀流が話題にあがったが、ユージオとアリス、そして、カーディナルがその実態をしっかりと理解したのはALOからだったりする。
その際に手合わせということで、キリトとアリス、フォンとユージオが手合わせで闘ったことがあったのだが…二刀流を舐めていたアリスをキリトが完封、フォンも途中までは普通に闘っていたが、テンションの上がったところで幻想剣ソードスキル<エンド・オブ・フォーチュン>をユージオに繰り出してしまい…
二人して『大人げない』とカーディナルのお小言をもらうということがあったのだ。その時のことはユージオもアリスも同じ感想を抱き、少しだけ根に持っていたりする。
「…それはそうと…氷と炎の対決とは、カセドラルの第一戦となったデュソルバートとの闘いとは、敵味方の属性が入れ替わるという面白い構成になっておるのう」
「特に意識していたわけじゃないけど、『強力な青薔薇の剣の凍土を打ち破るほどの尽きることのない炎はロマンがある!』と作者が思っての武器のセレクトだったみたいだな。アリシゼーション前日譚である『バーサス』に出てきたオリキャラの武器をどこかで出したいと思っていたのが、ここで出たのもあったみたいだな」
「…そのせいで、今まで一番の反動に襲われることになったのは本当に許せないけどな。この後、チュデルキン戦でも戦えなくなるぐらいだったし…」
「そういうことで、次のシーンは…アリシゼーション前半における最大の驚愕シーンとなった第43話よりこちらのシーンをどうぞ!」
闘いの構想自体が序戦と終盤において逆転したものになっているのをカーディナルが減給したのに、キリトが解説を用いて補正する。そのせいで、とんでもない反動を喰らったフォンの言葉を引き継ぎ、ユージオが次のシーン…映現世の剣の本来の力が解き放たれたシーンへと場面が移った。
<表裏一体、肯定に反する否定の力…映現世の剣の記憶開放術形態>
「チートだな」「チートだね」「チートじゃな」
「うん…それに関しても否定できないわ」
あの最恐最悪の悪魔の人形であるソード・ゴーレムを瞬く間に瞬殺、そして、30の神器とフラクトライトに分離するという解体光景に三人の気持ちと感想が同調して漏れ、流石のフォンも否定することができずにおとなしく受け止めていた。
「いや、もう反則とか違反とか…そういう概念を通り越して、物語の根幹をぶっ壊しかねない性能だろう、あれ」
「だよな…それに関しては俺も同じ考えだわ、キリト」
「お主もそれなりの化け物だとは思うが…あの映現世の剣に関してはそういった枠組みに当て嵌められんぞ」
ただでさえ結構なハイスペックぶりなのに、映現世の剣の力が全解放されたせいか、人外扱いの目を向けられるも、キリトとカーディナルの言葉にフォンは反論しないでいた…自分自身もそう思っていたからできなかったのだ。
「比嘉さんやユウキが言っていたように、この記憶開放術もある意味では『筆』だよね。フォンが思う様に塗り替えるっていう感じもするし…」
「あらゆる世界を読み取る力を応用して、圧倒的なデータ量によって無理矢理上書きするようなものだからな。強力な心意でないと防ぐことすらできないから、チートだって言われて当然だし、その分、使用回数やインターバルといった制約もかなりキツイものになってるし…」
「ちなみに、この技を喰らってギリギリ耐えられる心意を出せるのは俺やPoH、それと心意の破界鎧を発現させたユージオ、半分ぐらいにまで無効化できるのが堕天使と化したガブリエルやアンダーワールドの心意を集めた最終局面の俺ってレベルだから、どれだけヤバイ技かっていうのが分かるよな」
作中でユウキの表現した『筆』というフレーズを基に、この記憶開放術の特徴を述べるユージオとフォンに、もしもあれを耐えることができるのは誰になるのかをキリトが解説書から見つけて答えていた。
アリシゼーションのラスボスにまでダメージを与えられるのだから、どれだけヤバイのかがよく分かるのは言うまでもない。
この話題だけで何時間も議論できそうなので、話はこれからフォンとキリトが闘うことになるアドミニストレータへと移ることになったのだが…そんな時、フォンが思わずつぶやいた。
「…というかさ、対峙していた時にはその場の空気とかで全然気にしてなかったんだけど…なんでアドミニストレータの奴は全裸のままで平然としていられたんだ?」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
その呟きと言うか、当然の疑問がフォンの口から出た瞬間、キリトとユージオは硬直した。そして、カーディナルの笑みがとっても怖いものへと変わった。
「自分が最も美しいとか、見せつけたいとかっていう自尊心は百歩譲って分かるとしても、青少年が三人もいるのに、全く恥じらうことなく肌を見せるのはどうなんだ?一歩間違ったら痴女だろ、あれ…」
「それ以上は止めとけ、フォン!?アドミニストレータのげぼ…コホン…ファンを敵に回しかねないぞ!っていうか、どんだけアドミニストレータのことが嫌いなんだよ、お前!?」
「そうじゃ、もっと言ってやるがよい、フォンよ!あんな恥知らずで、胸と身長がでかいだけの女に遠慮など必要ないわい!?」
「カーディナルさんも煽らないでください!?どんだけコンプレックスを覚えてるんですか!?」
突如始まったアドミニストレータディスりに慌ててキリトとフォンが抑えに入った…特にカーディナルに関してはほぼ9割方私情や怨恨が混じっているような気もしないでなかった。
…あと、キリトが『下僕』と言い掛かったのには誰も気づかなかった。
「いや、確かに菊岡たちラースの思惑に反する気持ちや考え、あいつなりの防衛策をもって人界の守護の要を作ったのは許容できるとしてもだ…それが100%己自身のためだっていうのが受け入れられない、そんな自分の為の独善のせいでいくつもの人の人生を無碍にしてきたのがどうしても許せない」
「…まぁ、あの時のフォンは鬼気迫る勢いでブチギレて、それに加えてカーディナルやユージオの並行世界…というか、原作世界における未来を視たせいで記憶開放術を無理矢理解き放った形にもなったわけだから…気持ちが分からないまでもないが…」
「それで、カーディナルさんの心を落としてたら、ユウキに浮気だって言われてもしょうがないと思うよ?」
「……それに関しては、ぐうの音も出ないけどさ…」
平然と一切の淀みなく、『アドミニストレータが嫌いな理由』を列挙していくフォンだが、同意しながらもその顛末としてやらかしたことをキリトとユージオに指摘されて、言い訳することもできずに閉口してしまった。
「フォンがようやくおとなしくなったところで解説です…僕との闘い以上に最もシナリオ変更の憂き目にあったのがこのソード・ゴーレム&アドミニストレータ戦だったそうです」
「まぁ、前々から結構言及はしてたし、ユージオやカーディナルの生存とかでシナリオ構成自体が変わるのは当然だよな」
「そうだよな…例えば、プロット段階だとユージオまでもが死ぬ設定だったわけだけど、その段階でキレたフォンが剣の力を解き放って、捨て身でアドミニストレータを抹殺…その代償でアンダーワールドから消滅するっていうシナリオだったみたいだし…」
「……えっ?ちょっと待て…今、消滅って言ったか?!」
さらりととんでもない事実がキリトから告げられ、思わず待ったを掛けるフォン。どういうことかという疑問に答えたのはユージオだった。
「怒りと後悔の感情が重なって映現世の剣が半ば暴走状態になって、アドミニストレータを自滅同然の特攻で倒すのを想定してたみたい…その余波でアンダーワールドのシステムにもとんでもない大ダメージを与え、消滅したフォンのことを誰も覚えてないっていう展開を考えていたみたいだよ」
「そこにアンダーワールドに降り立ったユウキたちが異変に気付き、徐々にマーベルたちが記憶の齟齬に気付き始め、復活するっていうシナリオだったようだな」
「…うわぁ…全員から忘れられるとかキツイな。しかも、俺が記憶喪失に近い状態になったのって、その名残っぽいな」
キリトの解説まで聞こえたところで、げんなりした表情をフォンは浮かべる。本編の展開も相当ハードなものだったが、プロット段階のものも結構なものだと感じたからだ。
「そして、アリシゼーションを書き始めた段階で『ユージオ生存ルート』を考えることになり、今のシナリオへと大まかな流れが変わったみたいだな」
「その時はどのタイミングで記憶開放術を使うことになっていたんだ?」
「えっとね……僕がカーディナルさんに頼んで、自分の身体を剣に変えてもらおうとした直前だね…本編のように、剣となった僕が死ぬビジョンを幻視して、それを防ぐために発動するって感じかな」
「へぇ~…そうだったなら、アリリコ(アリシゼーション リコリスの略称)によく似た展開になっていたんだな」
「というよりも、丁度書いていた時期に発売されたから、それに感化されたんだろうね…この作品の作者って、できるだけ登場人物を死なせたくない傾向あるし」
そのシナリオ展開が本編でなっていた場合の流れが気になったフォンだが、メタ発言マシマシのユージオの同意に、半笑いで頷くしかなかったのだった。
この作品の作者は基本ハッピーエンド主義者なのだ!
「と、大まかなストーリーはそうしようと決めていたところ…『あれ、映現世の剣の設定的にカーディナルも生存させられるんじゃね?』と思ったんだよね、作者が」
「気まぐれでアンケート取って、読者の反応がどんな感じかと思ってたら…まさかの8割越えでの生存を望む声が上がって、作者も滅茶苦茶ビックリしてたからな。それで、生存させるなら、ストーリーを持たしたいと思って考えてたら…結構愛着あったキャラなのが、更に愛着湧いてしまって、俺のサブヒロインにするのはどうかという考えになったんだよな」
「しかも、あんだけユウキ一筋って言ってたフォンのハーレム化にどうしようかと散々頭悩ましてたみたいだしね…最悪、振るっていう展開も最後まで考えていたみたいだし…」
「なぁ!?そ、そうなのか…?」
「落ち着け、カーディナル!?大丈夫だから!今の俺はお前のこともちゃんと好きだから!誰かに取られそうになったら、全力で守るくらいに…もう手放したくないって思うくらいに大好きだから!!」
ユージオとの会話で、後日談にてフラれるという選択肢があったことを知ったカーディナルが流石に狼狽していた。そんな不安が出て、綴るような視線を向けられたフォンは迷うことなく言葉を掛けた。
…が、本心のままに言葉を放ってしまったので、聞いてる側としては安心できるのを通り越して、盛大な告白にも近い宣言になってしまったわけで…
「っ~~~~~~~~~~~~~~///!?!?」
「…フォン、だから誑しって言われるじゃない?」
「…言わないでくれ、ユージオ…俺もそうだなと自省してるところだから」
偽りない『守る宣言』に、撃沈したカーディナルが帽子を深く被り直して、真っ赤になった顔をできるだけ隠そうとしていた…まぁ、帽子が小さいせいで全く意味を為していないのだが…
親友のあまりにも大胆な宣言に、呆れの混じった忠告がユージオからでるが…同じく自分の言ったことに気付いたフォンが赤面しながら右手で表情を隠そうとしていた。
<黒幻の剣舞 最強剣士たちのタッグバトル!>
「…別名『作者過労回』だね」
「ユージオ、なんてことを…いや、確かにその通りなんだけどさ」
フォン&キリト対アドミニストレータ…原作とは全く異なる闘いとなった、アリシゼーション前編の最後の闘いを見届けたユージオから漏れた評価に、思わずフォンがツッコんだ。
「後書きでも大変だったと語っておったからのう…アリシゼーション全編を通して、WoU編の復活直後と併せて、かなりの武器を出した回でもあったわけじゃろう?」
「キリトに二刀流を使わせるために赤薔薇の剣を呼び出し、残った月影剣で様々な武器を呼び出す…二刀流一筋のキリトと、多彩な戦法で攻め立てる俺との対比を目指した回でもあったわけだな」
「なんやかんやで、俺とフォンってそこまで共闘する機会って多くなかったもんな。SAOだと一時期別れて行動していた時もあったし、GGOではほとんど別行動でそれぞれ別の死銃と闘うことになったし、一人の敵に対して二人だけで最初から最後まで共闘したのってほとんどなかったよな」
一緒に闘っているイメージが強い二人だが、どの闘いにおいてもアスナやクライン、ユージオといった仲間がいることが多く、シリカとの出会いとなった『タイタンズハンド』戦や、果ての山脈で遭遇したウガチ戦も最初は別々の敵に対峙していたりと、一人の敵に対してフォンとキリトだけで徹頭徹尾対峙した例はほとんどなかったりするのだ。
「WoU編でも共闘することはなかったから、ある意味で最高の状態で二人で闘ったのがこのアドミニストレータ戦だったわけだが‥それでも、ユージオの奇襲がなかったら決定打に欠けていた程に、ようやく互角に戦えた感じだったらな」
「俺の二刀流に、変幻自在なフォンの攻撃に怯むことなく対応してきたからな。下手をすれば、ヒースクリフを演じていた茅場よりも強かったんじゃないか…ガブリエルとはまた違った強さを持ってたよな」
死闘において剣を交えた二人だからこそアドミニストレータ単体の強さが分かり、なんとか互角に戦えながらも、切り崩すことができなかったことからそれを痛感させられていた。
「これに関しては、作者も『やりすぎた…』と感じてたみたいだね…なんというか、前半が終盤に差し掛かるにつれ、テンションが上がっていって執筆もノリノリになって…気づいたら、とんでもない激戦に仕上がってたみたい」
「今、思えば…この闘いから全体的にいざという時には話が長くなるような傾向になり始めたような気がするのう」
ユージオとカーディナルも思うところがあったのか、メタ発言などお構いなしに言及していた。
「それにしても、ラストはまた凄かったよな…綺麗に俺を踏み台にして、フォンが止めを刺したから…リアルジェットストリームアタック崩しをされるとは思ってなかったわ」
「いや、行けって言ったのお前だろうが、キリト!完全にそうさせるつもりで、赤薔薇の剣に変えていた天日剣を空へと放り投げただろうが!?」
話がフィニッシュへと移るも、ここでも出番を奪われたと言わんばかりのキリトに、流石のフォンも反論した!確かに、そうするようにキリトが誘導したようにも見て取れる。
「まぁまぁ…でも、天日剣の力も凄かったよね。今まで蓄積してきた力を解放することで絶大なエネルギーを引き出すなんて」
「とっておきって感じで置いておいた武器だからな…ソード・ゴーレム戦で大剣が二つの片手剣に分かれるっていう設定は結構早めに決まってたから、そこから天日剣・月影剣の能力が決まっていった感じみたいだからな」
「強力な分、発動条件を鑑みると、そう何度も連発できぬようじゃしな。月影剣の能力を考慮すると、月影剣の武装完全支配術で相手を無力化・弱体化して、天日剣で止めを刺すというのが理想のパターンなのじゃろうな」
「多分な…ちなみに、流れ的に某電脳世界で闘う青い戦士の4作目に出てきた強力なチップを連想させる感じだけど、元ネタだから当然だよな。もう一つの意味としては、『日食』の名を冠するモードを持つ慈愛の勇者から、剣の設定とかを思いついた感じらしいぞ」
「…さらっととんでもないことを言いおったわ、こやつ…」
ユージオの言葉から、天日剣・月影剣の在り方を解くフォンとカーディナルだったが、さり気なく映現世の剣のデザインや意味のコンセプトとなった作品をフォンが語ったことで、カーディナルがちょっと引いていた。
「それで、ようやくアドミニストレータへと決定打を喰らわせることができたわけだが…そこからが更に大変だったんだよな」
ようやく死闘を制したものの、話はそこで終わらず、前半最終話へとプレイバックのコーナーも佳境を迎えることとなった。
<Fatal Error>
「落としたな」「落ちたね」
「「ぐうううぅぅぅ…!」」
最終話の見どころの一つ…絶望している彼女へと、叱咤激励の言葉を掛けた彼のその姿に、キリトとユージオがそんな感想を述べていた。
誰が誰を落として、誰が誰に落とされたのか…はっきりと映像で突き付けられた当事者二人は顔を真っ赤にして、ぐうの音しか出ない状態になっていた。
「自分のことで結構一杯になっているはずなのに…それでも、絶望しているカーディナルにあそこまで親身に接せられるって…逆に凄いよね、フォン」
「あの心境であんなことを言われたら…吊り橋効果に重ねるようなもんだから、イチコロだろうな、うん」
「止めてくれ、マジで?!今、こうして冷静に見返したら、俺もいっぱいいっぱいだったんだよ!?」
「ちなみにユウキからは『女の子のハートを落とすのも酷いけど、頬を引っ叩くのも酷いと思うよ。それで、カーディナルを落っことしてるんだから重罪じゃないかな』…って、感想を貰ってるよ?」
「…ぐおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉ!!」
淡々と評価していくキリトとユージオに待ったを掛けるも、トドメと言わんばかりにユージオからユウキのメッセージを告げられ、絶叫と共にフォンが地面に伏した。
「…べ、別に…わしはあれで落とされたわけではなく…その、あの時のフォンの言葉があったからこそ再び立ち上がれただけであって…!あの時にフォンのことを好きと自覚したわけじゃ…!?」
「カーディナル…それを世間ではツンデレって言うんだと思うぞ?」
「ううううぅぅ…!?うるさいわ、キリト!少し黙っておらぬか!?」
同じくされた側のカーディナルが必死に言い繕うも、完全にツンデレフレーズになっているとキリトに突っ込まれ、照れ隠しでキレた…傍から見れば可愛いのだが、指摘しないでおくのはお約束だ。
「まぁ、そんな二人の浮気馴れ初めは置いておいて」
「誰が浮気馴れ初めだ!?」「誰が浮気馴れ初めじゃ!?」
「天日剣で髪どころか、半身を焼き尽くされてもギリギリ生き残っていたアドミニストレータの姿は…なんていうか怖いね」
「そうか…キリトやユージオはこの時、気を失って見てなかったんだよな。最大の一撃を喰らわせたのに、まだ立ちはだかってくるのは執念が為す業だよな。俺でさえ信じられないと思ったからな」
ラストバトルで倒したと思った敵が立ちはだかってきた絶望感を味わうことになるとは思ってもみなかったこともあり、ユージオの感想にフォンも思わず頷いていた。
「それで、キリトが意識を取り戻して…フォンの異変に気付いたんだよね」
「ああ。いつものフォンらしくないっていうか…ちょっと投げやりになってるみたいなところを感じたんだよね」
「…この時、映現世の剣の力を一時的に無理矢理全解放しただろう?その際に、原作のSAO世界のことも認識して、ユウキたちの死を知った上に、俺たちがいるSAO並行世界の本来いたであろう、この世界の俺自身の存在を乗っ取ったことを自覚しちまったんだよな。そんな大切なことを見てみないフリをしていた自分に嫌気が差して…そんな時に、オーシャン・タートルが襲撃されて、その余波によって記憶を封じることになったんだよな」
WoU編で語られた事実が、この時、既にフォン自身が気づいてしまい、自己険悪に陥ったことで、フラクトライトを書き換える=記憶を封じる形へと襲撃の余波によるダメージによって起きてしまったのだ。
真面目で、正義感もそれなりに強いフォンだからこそ…自分のことが許せずに、自分を封じようとしてしまったわけだ。
「それで隠しサブタイトルが『Fatal Error』って感じだったわけだ。和訳したら、致命的な誤り…重大なエラーってことで俺とキリトがこの後、どうなるのかを暗示するだけでなく、俺が取り返しのつかないことをしてしまったということを含めての、ダブルミーニングでもあったわけだ」
「そこで僕が目覚めて、二人が意識を失う瞬間…WoU編の第一話へと繋がるんだね」
最終話のサブタイの意味をも解説できたことで、フォンの言葉を引き継ぐようにユージオが締めたことで、長きに渡ったプレイバックのコーナーが終わりを告げたのだった。
トピックス:カーディナルが『わたし』と一人称と口調を変えるのはフォンの前だけであり、ユウキに対しても絶対にしないようにしているらしい(言うなれば『フォンだけに見せたい専用モード』とか…?)
「さてと、それではお次のコーナーは…もちろん『フォンの質問コーナー』のお時間です!」
「…えー…今回、結構な文字数いってるのに、このコーナーやる必要があるのか?大丈夫か、作者?」
ユージオのタイトルコールに、ちょっと疲れ気味のフォンがそんな愚痴を呟いていた。これ以上長くしてしまった大丈夫かという心配1割無気力9割の声に応えたのは、
『頑張りますので、大丈夫です。まだまだ紹介できてなかった武器がありますので、解説の方、お願いしますね?』
「さいですか…それなら、がんば……って、作者いたのかよぉ!?」
まさかいるとは思ってもみなかった作者が、言葉を代筆したカンペを構えてスタッフ陣の中に紛れていたのだ。予想外の登場人物に、流石のフォンも一瞬脳内処理が追い付かなかった程だ。
『どうせフォンのことだから、そう言ってくるだろうとスタッフの方々が予想してたので、サプライズで呼ばれました。それでは、執筆あるのでそろそろお暇しますね!』
「…い、いつからいたんだ…?というか、嵐のように去って行ったな、あいつ」
「それでは、気を取り直して武器紹介へと移りましょうか?」
「いやいやいやいや!今の無視していくとか、どんだけメンタル強いだよ、お前ら!?」
「…なぁ、フォンよ…ユージオまでもがこの番組に毒されておるのではないか?」
「…だろうな。前回のゲストだったマーベルたちがすっごいまともだったことを実感させられるよ…カーディナル、頼むからお前だけは真面目なままでいてくれ」
「…努力はするぞ、うむ…」
颯爽と去って行った作者に『あれを言うだけのために呼ばれたのか?』と思っていたところに、全く介さず番組を進行しようとするユージオに待ったを掛けるフォン。
そのやりとりに同情の視線を向けるカーディナルだったが、フォンの懇願に関しては絶対とは言い切れず、そう答えるのがやっとだった。
「じゃあ、始めていくとするか…まずはこの武器だな…こい、古代の遊戯王に仕えしさんげ「ちょっとまてぇい!?」な、なんだよ、カーディナル…!」
「なんだよ、じゃないわい!?なんじゃ、その詠唱は?!そんなこと、劇中でもほとんどしてなかったじゃろうが!?」
前回のように、武装変換術で武器を呼び出そうとしたフォンを遮り、カーディナルが止めた。何事かと訴えると、気になった部分を指摘した。その理由は、
「いや、実は武装変換術で武器を呼び出す際、詠唱を必要とする設定が元々あったんだよ。流石に本編にあわないとなってボツになったんだけど…ほら、世界を映し出す剣だから、世界を呼応させるって意味でも雰囲気欲しいなって考えがあったらしくて…折角だから、読者の方々に詠唱からどの世界からの武器かを推測してもらえたら、みたいなクイズ的要素も入れた方がいいかなって」
「…はぁ~…分かったわい。お主がそうしたいのなら、これ以上は何も言うまい」
まさかのボツ設定をここで持ってきたことと、一応答えを知れたことで納得したカーディナルが折れたことで、中断していた呼び出しをフォンは再開する。
「じゃ、改めて…来い、古代の遊戯王に仕えし三幻神を宿しし召喚旗よ!」
詠唱と共に武装完全支配術が発動し、大剣が光を放ち姿を変える…フォンの身長の倍はありそうな巨大な戦旗が姿を現した。古き金の装飾がところどころに散りばめられ、旗には目を思わせるような古代文字らしきものが浮かんでいた。
「遊幻三旗『闇戯』…振り回しての打突武器としても使える感じの戦旗だな」
「旗…?武器っていうより、応援とか目印のために使うものだよね?」
「おっ、鋭いな、ユージオ。実はそれに近い効果を持っている武器なんだよ」
旗と聞いて、真っ先に頭に浮かんだものを告げたユージオだったが、フォンが嬉しそうに同意して、武器の力について説明を始めた。
「武装完全支配術で三種類の効果を選んで味方全体に付与できるんだ。赤き天空竜の加護では味方の数に応じた攻撃力・防御力を増加、蒼き巨神兵の加護ではクリティカル率・クリティカルダメージの増加を、黄金の翼神竜の加護だとHPを糧に味方全体に全てのダメージを吸収するバリアを、って感じでな」
「フォンが使ってきた武器の中では珍しく支援を重視した武器なんだな。効果も意外におとなしいものばっかりで…」
「ちなみに記憶開放術はHP・MPが20%になる代わりに3倍にまで強化された全ての支援能力を同時に味方に付与する能力だったりする」
「って思ってたら、記憶開放術がとんでもなかった!?代償ありとはいえ、全部載せかよ!?」
味方を強化する能力に特化したものだと納得し掛かったところで、フォンが記憶開放術で告げたことで驚愕するキリト…全く大人しくない能力だった。
「そもそもがWoU編におけるPoHとの前哨戦で使うことを想定していた武器だからな。キリトが復活するまでに、無限に湧き続ける赤鎧たちと対峙するために、人界軍やコンバート軍の生存率をできるだけ上げるために使う予定だったんだ。
軍を率いる王としての在り方みたいものをイメージしての戦旗ってわけだ。ってことで、モチーフは『遊☆戯☆王』より、古代エジプトやキーカードとしても有名な三幻神だな」
「もともとは石板に刻まれていたんだよね?アンダーワールドにはない召喚という能力はちょっと興味深いね」
「問題は、その能力を発動した上で容赦なく戦旗で敵をぶん殴るフォンの図が容易に想像できてしまうことじゃな」
大まかな能力を解説し終え、関心を持ったユージオともしも使っていた場合の光景が想像できてしまったカーディナルがやれやれといった呆れたところで、次の武器へと話は移った。
「それじゃ、次だな……来い、古代の絆を紡ぎし電脳の武器よ!」
式句を唱え終わり、戦旗から…今度は何にも出現していなかった。元の姿である映現世の剣さえも見えないことに、キリトたちが首を傾げるも、フォンは種明かしをするように自身の左手首に装着されていたそれを見せるように首近くにまで上げた。
「…アクセサリー?」
「ああ…これは設定だけ考えて出すところを見逃した武器の一つ…電星古絆『トライウェーブ』だ」
その左手首に色を失ったような鈍い銀色のアクセサリーに気が付いたユージオに、フォンが武器の名前を告げる。古代の剣・手裏剣・恐竜の頭蓋骨を思わせるような三つの装飾品が一つの輪に繋がれているようだった。
「この武器はかなり珍しいタイプで、武装完全支配術を発動させる度に段階的に力を解放していくものなんだ。最初はこのアクセサリーのうち、どれか任意の武器を呼び出す。
武器自体にもそれぞれ能力があって、古代の剣は雷属性の上に無条件で2連撃までスキルチェインが使用できる、手裏剣は風属性で一度発動すると30秒のクールダウンを要するが攻撃を無効化してカウンターの手裏剣を放つミガワリが使えて、恐竜は炎属性に加えてソードスキル発動時にモーションを必要以上に構えることでその時間に応じた攻撃力アップが図れる、といった感じでな」
「…でも、聞いてる感じだと別々の能力を自由に使い分けられるみたいなもので、映現世の剣と大差ないじゃないのか?」
「まぁな…けど、映現世の剣と決定的に違うのが、一度装備した武器を解除することはできないこと、そして、弱点属性を突かれた場合、武装が解除されるといった点だ」
「つまり、電撃は土を、風は雷を、炎は水といった相性の悪さが存在するわけじゃな」
「その上にダメージ二倍の上、かなりの隙ができるから尚更だな。だから、この武器たちの力を完全に発揮するには仲間との連携が重要となってくるわけだ」
キリトとカーディナルがそれぞれの武器の特徴を聞き、思ったことを指摘する。その指摘を踏まえた上で、フォンは武器の真髄を説明することにした。
「一回目の武装完全支配術をしてから3分後、更に武装完全支配術を重ねて発動できるんだ。その際には、装備していない他の二つの武器のどっちかを装備するんだ。属性と能力は両方持つことになるが、弱点も増えることになる。そして…その5分後に三回目の武装完全支配術を発動すると…三つの武器の特性に加え弱点がなくなり、全攻撃が全ての属性を持つ上に弱点特攻ボーナスとして3倍の威力となって、使用するソードスキルの威力をも倍増させる最終形態になれるわけだ」
「…あー、なるほどだね。強化していく度に弱点が増えるから、装備を解除されないように味方にカバーしてもらいながら、最終段階にまで持っていく必要がある…ある意味では絆を必要とする武器ってことなんだね?」
「そうなんだよ、ユージオ。初期状態だと、神器に一歩劣るレベルの力しか持ってなくて、二種類の武器を持った状態でようやく互角に撃ち合えるレベルだからな…その上、強力な最終形態もそのパワーの反動で一分しか維持できないからな。最終形態になったからといって、その一分で決着が着けられるように味方に協力してもらう必要があるわけだ」
「無理に最終段階に入らず、機を見ながらの選択をしていく必要もあるわけじゃな…これはまたピーキーな武器じゃのう」
「本編でも、そこまで長期化するような闘いや、連携できるような闘いが少なかったのもあってボツになったわけだ。ちなみにどの段階においても記憶開放術は発動可能で、雷の古代剣なら雷撃を落とすかのような三連撃のソードスキル、手裏剣は分身してからの乱れ投げ、恐竜は周囲を焼き尽くす炎のレーザーって感じでな。
二段階時はそれぞれの技を組み合わせたもので、最終段階時は敵を三つの三角形のオーラで拘束してエンド・オブ・フォーチュンに似た一撃を喰らわせる技になる…まぁ、記憶開放術を使ったら使ったらで反動によって、武装が解除されちまうんだけどな」
強力な分、手間と継続時間にそれを維持する条件がかなり厳しいこともあり、流石のカーディナルも少しばかり引いていた。それを受けて、フォンも苦笑いしつつ記憶開放術にまで説明し終えたので、モチーフとなった世界を最後に教えることにした。
「で、この武器のモチーフは『流星のロックマン2』より、強化変身システム『トライブオン』で使われる三種のオーパーツだな」
「…だから、武器の名前に電波や流星、絆を意味する文字が入ってるんだね」
「ちなみに、その前作とか続編の奴も武器は考えていたり、EXEで有名な方もちょっと考えていたりしたんだってさ。もしかしたら、またどっかで披露されるかもしれないな」
武器のネーミングもそれにちなんだものだとユージオが納得した後、実は他にもシリーズ作品関係で考えていたものがあったのだと暴露するフォン。
そんな説明もあって、武器紹介のコーナーは最後の武装へと移ることになった。
「…来い…絶えることのない滅鬼の魂刀よ!」
最後ということで、一段と気合の籠った声で式句を唱えたフォンの手元に現れたのは、一本の刀だった。刀身の柄元には『滅幻』と刻まれており、だが、その刀身は普通の物とは異なり、周囲の色を映すかのように透明だった。
「まぁ、式句で大体の人は察したよな…先に明言しておくが、モチーフとなったのは『鬼滅の刃』より、『日輪刀』だな」
「あー、あれか……なんでだろう。その刀を見てると、何故か石で削りたくなるんだが…」
「止めてくれ、キリト!一応は、俺の大事な武器だぞ…!」
変な既視感を覚えたキリトがそんなことを呟いたために、思わず刀を背中に庇って後退るフォン…猪突猛進の何かが憑依しそうになったのだろうか?
「まぁ、作者も考えたはいいけど、『なんかブームに乗っかかってるとか思われるのが癪』という個人的な心情でボツになったわけで…武装完全支配術で、武器に宿った呼吸の型を使える…だけど…」
「『だけど…』…どうしたんじゃ?」
「まず、この武器を呼び出してすぐには使えない。使おうとすると、肺が追い付かず過呼吸を起こし、技が不発に終わる」
「「「…えぇぇ……」」」
「もともと作品の風潮的に、すぐに強くなれるものではない・日頃の鍛錬がものを言う=武装変換術で呼び出していた時間に応じて発動できる技に制限が掛かるという制約が存在するわけだ…これは一度解除しても、また呼び出した時には継続して蓄積されてるからリセットされることはないのが救いだな」
武装変換術のルールに則り、世界観の縛りからそう簡単に扱えるものではないと知り、三人がなんとも言えぬ表情になる。そんな反応を予想していたのもあって、落ち着いていたフォンは説明を続けていく。
「で、記憶開放術は天命の最大値を犠牲に全てのステータスを半永久的に上昇させることができる痣を纏うことができる…これは武器を解除しても継続されるが、減少した天命の最大値が元に戻ることも半永久的にはないという強烈なデメリットも存在する…これを解除できるのは、月影剣の武装完全支配術によって、メリット・デメリット合わせてバフ消しするぐらいだろうな」
「…まさしく魂の炎を一気に燃やして闘うための武器というわけじゃな」
「世界観のコンセプトに合わせる…世界を読み取る映現世の剣らしい武器の一つでもあるよな」
便利なようで、それなりの制限は存在する…カーディナルの言葉に、フォン自身もどこか困ったように応えるのだった。
トピックス:シナリオ的にフォンが一時出来に消える設定だった場合、実は原作以上にカオスな展開…かなりの人物たちが死にかかるルートだったらしい。
「…ということで、ようやくおふらいん前半も終わりを迎える時間となりました!なんか、色々とゴメンな、カーディナル」
「気にするでない…まぁ、確かにかなり恥ずかしい思いはしたが…今、お主と相愛の関係となってから振り返れば、わしにとってはとても良い思い出として見れたのもあったからのう」
「…そ、そうか…なら、良かったよ」
「なんじゃ…相愛と言われて照れておるのか、お主?」
「なぁ……悪かったな。お前にそこまで言ってもらえるだけで…俺としては十分嬉しいのもあるんだよ」
番組も終盤に差し掛かり、謝罪と共に感想を求めるフォン…珍しく素直に感情を吐露したカーディナルの発言に、顔を赤くするのをこらえきれずにいたが…
そんな二人のやりとりに、キリトとユージオがちょっと呆れていた…キリトに関してはそんな反応をする権利があるか怪しい所だが…
「まぁ、お二人とも…続きは番組が終わってからにして下さい。それじゃ、そろそろいい時間なのでこれにて番組を「おい、早くしろぉ!?」…えっ?」
甘々空間はほどほどにと、ユージオが忠言してから番組の締めの挨拶に入ろうとした…が、それを遮って男性の声がスタジオの外から割り込んできた。
「…な、なんだ?」
「スタッフの声だよな、今の…」
「なにやらバタバタしだしたぞ…何かあったのではないか?」
まだ収録中だというのに、セット外のところでスタッフたちがいきなり慌て始め、フォンとキリトが顔を見合わせる中、カーディナルが何事かと顔を顰めていた。
「ヤバイです?!さっきの攻撃でスタジオにダメージが入った時、データにかなりの損傷が発生していたみたいです!?」
「このままだと、破損したデータからとんでもないバクが発生して、スタジオを形成しているVR空間にとんでもない負担が掛かります!」
「なんとかできないのか…このままじゃ、スタジオにいるメンバーが危険だぞ?!」
「は、早く避難を…あっ!?駄目です、スタジオの電源が落ちます?!」
普段の暗躍ぶりからは考えられないほどに取り乱すスタッフ陣営…駄目だと言った次の瞬間、セットを含むスタジオ全ての電源が切れたかと思えば…
…ピシャアアアアアアアアアアアアアァァァァァァ!!!…
「うおおおおおおおおおおおおおぉぉぉ…!?」
「ぎゃああああああああああああぁぁぁ…!?」
何も見えない空間に赤黒い稲妻らしきものが降り注いだと思った時には、二人の人物の悲鳴が響き渡っていた。そして、ようやくスタッフたちがシステムを復旧できたその場には…
「…やっと照明が元に戻った。みんな、大丈夫かい?…あれ…キリト?フォン?……二人とも、どうしたんだい!?」
スタジオに明るさが戻り、一番に全員の安否を尋ねたのはユージオだったが、ゲスト席にいるカーディナルは無事であったが…自身の反対側にいた二人がそうではなかった。
さっきの悲鳴はフォンとキリトのものだったのだ…あのセントラル・カセドラルでの光景を想起させるかの如く、二人は地面に倒れたまま何の反応も示さないでいた。
「フォン!?キリト?!しっかりして!カーディナルさん!?二人が!」
「なぁ…!?さっきの落雷みたいなもののせいか!落ち着け、ユージオ。すぐに二人の様子を看る!」
「スタッフさん、担架を!?それと、お医者さんか、治癒魔法を使える人を!?…早く!!」
…もはや番組の継続など不可能だった…
慌てるユージオ、カーディナルの反応に、ようやく事態を把握したスタッフ陣が動き出したものの…おふらいんシリーズとしては異例の『番組の中断』という形で、前半最終回は終わりを告げたのだった。
…異例の番組中断で終わりました!?
これに関しては次回の冒頭で彼と彼女に説明してもらいますので…(黒笑)
そういうわけで、次回からWoU編のおふらいんとなります!
司会もそうですが、ゲストもおふらいん初参加メンバーを予定しておりますので、お楽しみに!(また長くなりそうで、今度は遅れないように頑張りたいと思ってます!)
それでは、また次回!
カム1231さん
ご評価ありがとうございました!
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