そんな中、投稿するのはどうかと迷ったのですが、割り切って更新することにしました。
さて…番組も折り返しての後半戦です!
意外に早いものだと思ってましたが、字数がまたエグイのなんの…
今回から司会にようやく彼女をお迎えしての新体制でお届けすることになります!
えっ、あの二人はどうなったかって?
それも彼女に説明してもらう形になりますので…それでは、どうぞ!
いつものスタジオ、いつものセット…今回の仕様に合わせ、アンダーワールドのルーリッド村を模したVR空間が形成されていることを除けば変わらない…と言いたいところだが、雰囲気は全く別物だった!
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
照明が全て落ち、影が差されていたスタジオの中央…マイクを片手にスタンバイが完了したことでライトスポットに照らされた彼女が目を瞑り、沈黙のまま立っていた。
照らされたことを合図に覚悟を決めた彼女…整合騎士の鎧を身に纏ったアリスが目を見開き、その重たい口を開いた。
「…みなさん、ご無沙汰しております。アリス・シンセシス・サーティです。本来であれば、おふらいんシリーズのWoU編…アリシゼーションの第四回をお届けすることになっていたのですが…その前に、皆さんに重大なことをお伝えしなければなりません」
騎士口調ではあるが、緊張感が漂うその話し方に合わせてか、スタジオはアリスの声だけが響いていた。
「前回…終盤にトラブルが起こり、番組を中断する形でお送りすることになってしまったかと思います。皆様は覚えてらっしゃいますでしょうか?
前回、このスタジオが即時での修理が必要となる程に半壊する事態が二度あったかと思います…一度は、冒頭にて半ば錯乱したフォンを止めるために、ユージオとキリトがそれぞれの神器をぶつけ合った時…そして、もう一つが調子に乗って揶揄ったキリトに、キレたフォンとカーディナル殿が大技をぶつけた時のことを…
その際、一回目の時にスタジオの基幹部分にあたるデータが破損…そこに二回目のダメージが重なったことでデータのほとんどが暴走…バクと化して、あの時、スタジオに降りかかったのが真相でした。
そして…それは運悪く司会席にいたフォンとキリトに直撃したのです…すぐに二人の安否を確認しましたが……………」
そこまではなんとか淀みなく言葉を紡いでいたが…二人の容体を伝えようとしたところで、アリスは言葉を詰まらせてしまった。堪え切れない感情を抑えようと、口を空いている左手で押さえ、説明を続けていく。
「…番組制作陣は迷いましたが…このまま番組の続きをしていこうと決断しました。一番は読者の方々のため、それを第一にすべきだと判断した次第です…そうすれば、きっと二人も近くでも見守ってくれていると思いますので…」
そう宣言し、困った様に笑うアリスが空を見上げる…その視線の先にいる誰か達へと向けるかのような視線だった。
「…それでは、長らくお待たせしました!『そーどあーと・おふらいん ありしぜーしょん ふぉーす』のスタートです!!」
寂しそうな表情から一転…明るい雰囲気をいつもの口調へと戻すのと同時に作ったアリスが、番組の宣言をしたところで落ちていた照明が一気に点き、スタジオに光が戻った!
「はい、始まりました!改めまして、みなさん、こんにちは!今回から、本番組の総合司会を務めますアリス・ツーベルクこと、アリス・シンセシス・サーティです。宜しくお願いします!」
「…えーっと…どうも、みなさん。前回まで司会補助を務めていたユージオです。今回から解説を担当させて頂きます……はぁぁ~~~…」
「…どうしたの、ユージオ?なんか疲れたような、呆れたような、更には困ったような意味が籠ったような溜息を吐いて」
「とても具体的な指摘をありがとう…いや、それはもう思うことはというか、言いたいことがいっぱいというか…どこから言及すればいいのか…」
初司会・初レギュラーということで盛大に気合が入っているアリスの自己紹介に対して、何とも言えない表情のままのユージオは大変困っていた…前半でも色々とあったが、それに匹敵するかそれ以上の事態に目を背けたい気持ちだったが、現実と向き合うことにした。
「まず…さっきの挨拶というか、説明はなに?」
「…?どこか変だったかしら?どこも間違ってないでしょう?」
「…うん、事情に関してはそうだよ。フォンやカーディナルさんの大技でスタジオが二回半壊して、その反動でキリトたちに降りかかったのは合ってるよ。けどさ…なんで二人が大変なことになったみたいな言い方をしたの?」
「…スタッフの人から渡された台本そのままに読んだだけよ。できるだけ、悲観そうにして読んでくれってオーダーは受けたけど…」
「うん、そうだろうね…アリスのことだから、きっとこの番組のスタッフの事を信頼してしまった、そのまま読んだんだろうけど…さっきの言い方だと、二人がもう番組に立てないみたいな言い方に捉えられるじゃないか…」
「………そ、そういえば、そうね」
「それとね…始まる前からもの凄く気になっていたんだけどさ…あれに触れないわけにはいかないよね」
指摘されたことで、自分がさっき読んだ説明の台本を見返したアリスがようやく気付いた…気付いて、やらかしたことに笑みを引き攣らせていた。そして、ユージオは視界に入っていたはいたが見て見ないフリをしていた…中央の後方スペースに配置されているそれへと話を振った…振ってしまった。
…ガタガタゴトゴト…
『『出してくれぇェェ!?』』
…それは棺桶だった…
黒いのと蒼いの二つ…長六角形のフォルムに黒いものには交差した二本の片手剣が、蒼いものには鍛冶屋『ファントム・クラウド』のマークである大剣と霞を模したレリーフが刻まれていた。
地面にしっかりと固定されているようで、かなりの勢いでジタバタしているにも関わらず、振動しながらも動く気配が全くなかった。そして、その振動の発生源は中から…というか、中にいる人物たち…フォンとキリトが必死に抵抗している証拠であり…
ほとんど身動きが取れない状態で頑張って足掻き、全力で助けを求めて叫ぶも…実は二人の声は外へと届かない完全防音仕様の棺桶となっているのだ。なので、『』の声は文字としてしか認識されないことになっているわけで…
『なんだよ、これ?!目が覚めたら、なんでこんなとこにいるんだ!?』
『いや…確かおふらいんの撮影をしてて、電気が切れて…そっからの記憶がない!?ユージオ、見てないで助けてくれぇ!?』
完全にパニッくっているキリトに、直前の出来事を思い出そうとするもできなかったフォンが視線をこちらに向けているユージオへと助けを求める…しかし、残念ながらその声は届かない!?
「…いや、もうなんと言うか…二人の扱いが酷すぎないかい?前回のあの事故だって、ちょっと意識が飛んだだけだったの軽い症状だったのに…ここのスタッフは何を考えているんだか!?」
「…そうよね。私も二人が大変なことになったと聞いて、助っ人として呼ばれて慌てて来たのに…いきなりスタジオに棺桶二つが立っていたのを見た時には何事かと思ったわ」
「確かに、心神喪失とか記憶喪失もどきになっていた二人に、WoU編のおふらいんシリーズの司会進行を任せるのが厳しいのは分かるけど…それでも、あんまりだと思うよ」
無事だった…というか、その時、意識のあったユージオは当時のことを思い返し頭を抱えていた。
前回…フォンとキリトが意識を失った直後、二人が軽症であることを確認したユージオとスタッフ陣はホッとしていた。それと同時に、スタッフ陣の悪魔的思考と行動力がいつものように発揮されてしまったのだ。
【そうだ…どうせ本編でもそんなに出番なかったんだから、二人を司会進行から降ろそう】と…
一体誰が言い出しのか…しかし、誰も反対することなく、5分も経たずに会議をすっぽかして方針が決まってしまい、あまりの流れの良さに素人のユージオが止められるわけもなく…
(流石にいきなりリストラはマズいのでは?→本編の二人の状態にしてしまうのもやりすぎだし…→スタジオにはいるけど発言権はないようにするのはどうか?→そうだ、棺桶にぶちこんでしまおう!!)
…みたいな悪魔的発想に至ったわけだ…これだけは言っておこう、「人としてあるまじき発想」だと。この番組のスタッフが技術もとんでもなく凄いが、考えがクレイジーすぎるくせにそれを実行できてしまうから尚更性質が悪い。
『…全然身動き取れないどころか、ビクともしない!どんだけ頑丈に作ってたんだよ、スタッフたち!』
『キリト…これはもう諦めて、達観した方がいいんじゃないか』
珍しくやられる側になったキリトが頑張って足掻き続けるも、何度も何度も何度も!やられ続けてきたフォンは慣れているせいか、棺桶の中から番組を見守る気に早くもなっていた。
…実は棺桶同士は通話可能だったりする。本当に無駄に細かい仕様である。
「まぁ、なってしまったものはしょうがないか…こうなったら、二人の分まで頑張っていこう、うん!」
「そうよ!その意気よ、ユージオ!」
ユージオはユージオで別の意味で諦めてから覚悟を決めたようで、解説としての立場を全うすることにしたようで…それを支えようとアリスが鼓舞していた。
「それでは、改めまして…っていうか、何度改めてって言ってるのかしら…本番組は本編『ソードアート・オンライン 夢幻の戦鬼』を裏話などを踏まえて振り返っていくものです。
今回は、激動の展開が繰り広げられたアリシゼーション後半…WoU編、その中でも序盤にあたる第Ⅰ話から第ⅩⅢ話をプレイバックとして振り返っていこうと思います。
…こんな感じでいいのかしら、ユージオ?」
「うん、大丈夫だと思うよ…というか、司会上手いね、アリス」
「前回までの番組は見てたのよ。それに、リアルワールドでの記者会見に比べたら、まだ気軽にできるからね」
「…そう言っていられるのも今の内だけだよ、アリス…」
「…それも前回までを見て知ってるわ…油断しちゃいけないこともね。というか、私が司会で本当にいいのかしら?普通だったら、本作のヒロイン陣であるユウキとかカーディナル殿がふさわしいんじゃ…」
「いや…フォンとキリトがあの状態なんだよ?カーディナルさんはともかく、ユウキやアスナが司会になったら…スタジオどころか、スタッフたちが全員処刑されかねないよ?」
「…それもそうね。怒ると、二人とも怖いものね…」
「それに…アリスと一緒にこうして司会をやれるのは…僕としては凄い嬉しいし。前回があれだった分、尚更ね」
「…それは私もよ。ある意味では二人の共同作業よね?大変だとは思うけど、私たちなら絶対にやり遂げられる筈よ。だから『そろそろ二人っきりの空間を作るのを止めてもらえませんか?番組が進まないので!?』…残念。そろそろ始めるとしましょうか?」
「うん!それでは、番組スタートです!」
いつの間にかずっと話している二人…バカップルといわんばかりの甘々空間で恋人トークに発展しかけていたので、流石に軌道修正を掛けるべくスタッフからカンペでの支持が入る。
これはそろそろ番組を進めなければと、二人揃って苦笑いしながら顔を見合わせてから、ユージオの宣言で番組がスタートしたのだった。
トピックス:ユージオの相棒である飛竜『凍華』…実はキリトやフォン用の飛竜も出そうかとボツになったプロットでは検討していたこともあったらしい。
「では、まずはプレイバックのコーナーからよ。ユージオ視点をメインとしたアンダーワールド序盤のお話よね…あの時も本当に色々とあったわよね」
「そうだね…特に、アリスにとっては半分は整合騎士としての人格を過ごしていた上に、そこから人格統合まであったから、尚更そう感じるよね」
「セルカとの再会から…キリトやフォンも一緒だったとはいえ、貴方と新婚に近い生活を過ごしていたものね。あの時のことは今でも鮮明に覚えているわ」
「…僕だって忘れないよ。あの時から、君ともう絶対に離れたりするもんかって決めた時でもあったんだから」
当時のことを振り返り懐かしむ半面、色々なことがあったために一言に表せない二人だが…そんな中にあった一時の平穏な時間は大切な思い出となっていた。
『…こ、こいつら。平然とイチャついているだと…!?』
『いや、あいつらの場合、アンダーワールドの時にあんな感じだったぞ。というか、お前も俺も、アスナやユウキたちと過ごしている時って、多分あんな感じに見えてるんだと思うぞ』
いつの間にかまたしても甘々空間になっていたことに、思わず砂糖を吐きたくなる程に胸焼けを覚えたキリトに、冷静半分呆れ半分のフォンのツッコミが入っていたが…
「さてと…それでは、今回のゲストの方々をお呼びしたいと思います!今回、一緒に振り返ってもらうのはこの方々です!」
「ここが番組のスタジオって奴か…全然見たことないばっかりのものなのに、景色だけは嬢ちゃんたちの故郷とは…これが機械とかの技術ってやつか……おっと、名乗るのが遅れちまったな。整合騎士長…いや、人界軍大将のベルクーリ・シンセシス・ワンだ。よろしく頼むぜ」
「アリス~!ゲストに呼んでくれてありがとう!まさか、アリスとこんな機会で共演できるなんて思ってもみなかったから…私、昨日からずっと眠れなかったわ!あっ、自己紹介をしないとね…騎士長と同じく、整合騎士を務めているイーディス・シンセシス・テンよ。みんな、宜しくねー!」
「ベルクーリさん、来て頂いて、本当にありがとうございます!」
「イーディス殿も来てくれて「ア~リ~ス!!」ちょ…!?来て早々に抱き着かないで下さい!?って、どこ触ってるんですか?!」
転移の光と共に姿を現したのは、人界大戦時の恰好に身を包んだベルクーリとイーディスだった。
話には聞いていたものの、初めて見る機械群に関心を寄せるベルクーリを温かく出迎えるユージオに対し、同じくお礼を言おうとしたアリスがイーディスにタックルに等しい勢いの抱き着きをくらっていた。
『…またえらいゲストが来たな』
序盤から整合騎士二人が来るとは思ってなかったフォンが思わずそんな感想を呟いていた。
「ぜぇ…ぜぇ…!」
「ちぇ…アリスのケチんぼ。別に減るものじゃないでしょ?」
「イーディスさん…その辺にしておいてあげて下さい。あと、アリスに抱き着いていいのは僕だけですから!」
「ちょ!?ユージオまで何を張り合ってるのよ!?」
「へぇ~…言う様になったじゃない。だったら、どっちがアリスのことを知っているかを勝負よ、ユージオ!」
「望むところ「止めなさい!?」(ゴン!)…いたぁ!?」
「お前さんもだ、イーディス(ゴォン!!)」「いったああァァァァ!?!?」
もう限界とばかりに暴走し掛かっていた二人の頭上にそれぞれ拳が振り下ろされた。ユージオを止めたアリスの拳は恥ずかしさが限界を迎えたのもあったのだろうが、ベルクーリの一撃はとんでもなく良い音がしたことから、キリがないと思っていたのもあったのだろうか。
「久しぶりだな、嬢ちゃん…まぁ、大変そうだなというか…その二つの棺桶には触れるべきなのか?」
「できれば、さっき説明し終えたばかりなので、ないものとして扱ってもらえると助かります」
「そ、そうか…前回の放送から、今回のゲストは整合騎士から二人を選出するって話を聞いてな。お前さんらと関わりの深い俺は確定だったんだが、もう一人を誰にするかで盛大に揉めてたな…出演権を賭けての総当たりでの生き残り戦をやることになったんだ」
「…こんな番組の為になにとんでもないことをやっているんですか…!というか、どれだけ皆さん出たがってたんですか?!」
「俺も激しく同意するが、いつもは止めに回る筈のファナティオまでもが参戦しちまってな…で、激戦の中、イーディスが勝ち残って訳だ」
「アリスへの愛の力で、勝利を捥ぎ取ったのよ!」
「いい大人が何をしているんですか」
ユージオとイーディスが頭を抱えて蹲っている間、どういう経緯でやってきたのかを話すアリスとベルクーリ。
まさかの整合騎士最強決定戦みたいなバトルロワイヤルが起こっていたことにアリスが頭痛を覚えるも、立ち直ったのと同時に自信満々に胸を張るイーディスの姿に、更に頭が痛くなったような気がしたのだった。
「ア、 アリス…結構遠慮なく殴ったね」
「私の恥ずかしい気持ちも考えずにあんなことを言うからよ…(そういうことは二人っきりの時に聞かせてくれるので十分なのよ…バカ)」
「ほぉう…(ニヤニヤ)」
「そこ、なんか勝手に納得して笑わないで下さい!?もう!二人の紹介も終わったのですから、さっさとプレイバックへと移りますよ!」
「まずは前回…フォンとキリトがアドミニストレータとの激闘を終えた直後からのお話となります。お二人にも色々とコメントを貰えればと思いますので、宜しくお願いしますね。それでは、いきましょう!VTRスタート!」
本音を隠したまま、ユージオの物言いに切り返すアリス…そんな心情をお見通しだとベルクーリが見ていたのを注意し、ユージオが開始を告げて映像が映り始めた。
<アドミニストレータ戦直後…ユージオと向き合うアリス>
「衝撃的な入り方だったよね…僕の心理世界からルーリッドの村へと移って、回想していく展開だったから、一瞬読者の方々も混乱したんじゃないかな?」
「作者は作者で、PV感覚のつもりで投稿した第0話のUA数がとんでもない数になってて、二度見しながら『はぁ…?…はああああああああああぁぁ?!』って、仕事中に内心絶句していたみたいだけどね」
第Ⅰ話から衝撃的な展開が続いたなと感慨深くなっているユージオに対し、投稿前を含めてのことを解説するアリス。そんな二人に続くように口を開いたのはベルクーリだった。
「ユージオの精神世界…あの坊主どもが出てきてるが、あれはどういったつもりでの描写だったんだ?」
「WoU編の主軸を僕とユウキが占めることは決まっていたので、前半のフォンとキリトの背中を見てきた僕の成長譚を書いていきたいと思い、心理世界でまだ二人に頼りたいという僕の弱さをここでは描いたつもりらしいですよ」
「そういえば…ベクタとの決着が着いた後にも、似たような描写がなされていたわね」
「…といっても、この時はアリスとの関係にも悩んでいたこともあって、それも影響してたんだとは思いますけどね」
その先のことと比較して感嘆の声が漏れるイーディスに対し、当時の未熟な自分を看られていることもあって、少しばかり恥ずかしがるユージオ。アリスはアリスで申し訳なさそうにしていたが…
「更に付け加えると、キリトとフォンが終盤まで復活しないことを踏まえ、ちょっと絶望的な描写にしたかったのもあったと…軽く作者のメンタルもダメージを受けたシーンの一つだったりするみたいね」
「WoU編ってほとんどシリアスだから、ところどころ書いててダメージを受けてたみたいだね、作者さん」
ちょっとばかし同情した声がアリスとユージオから零れたところで、話はセントラル・カセドラル100階の出来事へと移ることに。
「…まさか最高司祭猊下を本当に打ち倒しちまうとはな」
「でも、ほとんどはフォンとキリト…二人がアドミニストレータを追い詰めたようなものですから。僕はちょっと隙を突いただけで…」
「それでもだ…あの激闘を生き抜いただけでも大したもんだ。それにしても、あの時、カーディナル殿と出会った時は本当に驚いたな」
アドミニストレータを倒すとは想像していなかったこともあり、珍しく本気で驚いているベルクーリに、ユージオは謙遜した態度で否定する。しかし、それでもユージオたちの奮闘ぶりを称える彼は、当時のことを振り返っていた。
「あたしも意識が戻った時には驚いたわ…ちょうどあの司祭代行様が慌てて飛び出す直後に目を覚まして…全く見たこともない図書室にいたんだから」
「そうか…お前さんやファナティオはカーディナル殿に治療をしてもらっていたんだったな」
「そうそう!ファナティオはまだ寝てたんだけど、そこからちょっとして司祭代行が戻って来て、猊下の寝室に直接連れて行かれた時も更に驚いたんだけどね…流石は猊下と同じ力を持つ人よね」
「僕たちを休ませる為にも、休憩室と空間を湾曲させて繋いでましたからね…神聖術に関してはもう誰も敵わないレベルなんでしょうね」
「そして、まだ騎士としての人格だった私とユージオが落ち着いて話す場面へとなるわけですね」
直前までファナティオと一緒にカーディナルによって治療を受けていたイーディスから、裏側を語られるベルクーリ…その話に続き、場面はユージオとアリスが休憩室で向き合うシーンへと移った。
「この頃のアリスは…なんというか、本当に硬かったよね」
「嬢ちゃんは面倒くさいくらいに真面目だからな。休めていっても、任務の合間に少しでも時間があれば鍛錬しようとするしな」
「あたしが一緒にお風呂に入ろうといっても、もの凄く抵抗してくるし…でも、結局、根負けして一緒に入ってくれるのよね~…どっちも可愛いから、お姉さん的にはグッジョブなんだけど!」
「ちょ、止めてください、三人して!?私がまるで、融通の利かない女みたいじゃないですか!?」
「…いや、そうと言ってるつもりなんだが…もしかして、自覚がなかったのか、嬢ちゃん?」
「…っ!?(ガーン!?)」
「なぁ、ユージオ…嬢ちゃんって、昔はそうじゃなかったのか?」
「……お転婆なところもありましたけど、キリトと揃ってあれやこれやと言い返してくることは多かったような気もします」
「子供の頃から頑固なところはあったのね、アリス」
一同から『頭が硬い』と言われ、ショックを受けるアリス…うな垂れる彼女の姿に、幼少期のことをベルクーリから尋ねられ、そういえばと答えるユージオ、昔も今も根幹はそもど違いはなかったのだとイーディスが温かい視線を向けるのだった。
『あの時は俺やユージオが止めても、何かしら理由をつけて色々とはしゃいでたもんな』
『…それについてはゴメン』
棺桶組も同じ感想を持っていた。
「それにしても…この時のユージオ、聖人かと思うぐらい優しいわね。あたし的には、アリスを陥落させようとしていて、非常にイライラするんだけど…」
「ま、まぁ…セントラル・カセドラルで色々とありましたから…それに、二人の影響がやっぱり大きかったんだと思います。二人の言動があったから…僕も一応気持ちの整理をつけることができたんです」
「そうか…まぁ、嬢ちゃんは嬢ちゃんで暴言の一つや二つ言われることを覚悟していたところに、あんなことを言われたんだ…気が抜けて、疲労で寝落ちするのも仕方ないか」
「あ、あれはですね…!?…今ならともかく、騎士時代の私も色々と抱え込んでいたところで…あんな態度を取られては警戒心どころか、安堵してしまうのも無理はない話で…!」
どこか感心と呆れの声が混じっていたイーディスが一転してライバル心を向けてきたことに、ユージオも苦笑いを浮かべながら応える。それに対し、ニヤニヤしているベルクーリから弄られたアリスも顔を赤くしながら、ゴニョゴニョと言い訳をしていた。
「あんな誑し文句がさらりと言えるのもまた凄いもんだがな…あれも師匠の坊主どもから学んだものだとしても、あの二人とは違って嬢ちゃん一筋を貫いたのは、師匠越えをできたと言ってもいいじゃないか?」
「どうでしょうね…別に特段学んだわけじゃないですけど。それに、複数の女性と付き合うのは男としてちょっとどうかなともやっぱり思いますし…」
『『…グフッ!?』』
「当たり前よ…アリス以外に魅力を感じたりなんかしたら、あたしが処刑してあげるわ」
「ユージオ…浮気なんてしたら、貴方を殺して私も死ぬわ!」
「感じませんし、絶対にしないから!?二人とも、お願いだから剣を下ろして!?」
親友のまさかの言葉に棺桶組にクリティカルに等しいダメージが入るも、それがブーメランとなって、女性騎士二人に火を点けることになり、それぞれ闇斬剣・金木犀の剣を構えたことに、慌てたユージオが制止の声を掛けるのだった。
<カーディナルの決意、集う整合騎士たち>
『…ガハァ!?(カーディナルのやつ、この時からそんなことを思っていたのか!?というか、完全に落としてるじゃん、俺!?)』
最後の場面で、カーディナルが決意を新たにしたところを知ったフォンが棺桶の中で吐血していた…自分がやらかしていることに砂糖を肺一杯に詰められたような感覚に襲われたらしい。
「この時のカーディナル殿は…なんというか、ちょっと緊張している感じではあったな」
「無理もないですよ…形はどうあれ、これから敵であったベルクーリさんたちと話し、協力関係にならなければならないわけですから…」
珍しく緊張した様子のカーディナルを見て、それを近くで見て感じていたベルクーリの評価に、ユージオは気持ちを代弁するように補足していた。
「まぁ、変わり者の騎士長や命を救ってもらったあたしやファナティオならまだしも、真面目なエルドリエや四旋剣たちは反発するのは目に見えてたしね…あの時、エルドリエが司祭代行をチビッ子って称した時には思わず吹き出しそうになったけど…」
「それ、本人の前で絶対に言わないでくださいね…この前、ALOで口を滑らせたクラインさんがボコボコにされてましたから…」
真面目な場面だったので、なんとか笑うことを堪えたイーディスが当時のことを思い出してから笑みを浮かべていたが、対するユージオは先日目撃した悲劇を思い出して苦笑いしていた。
…魔法ではなく、杖による殴打の暴行というまさかの奇襲に対処できなかったクラインのあの姿はすぐに忘れられそうにないぐらい、酷かったらしい……賢者という肩書はどこに置き忘れてしまったのだろうか?
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「…うん?どうした、嬢ちゃん。モニターをジッと見つめたままで」
「いえ…皆さんを一喝している叔父様を見てまして…いつもから、あれぐらいの態度で任務にも当たって貰えてればなと思ってしまいまして…」
「ああいうのは必要な時に最低限でいいんだよ…そもそも、ああやって怒鳴ってとか、殺気を放って場を仕切るのは俺の性分じゃねぇんだよ」
「ベルクーリさんって、意外に気配り上手ですよね…ガサツそうなイメージが強いので知ったら驚きましたけど…」
「ユージオ、その評価はちょっと老体にはくるものがあるんだが…」
「いつもの態度がそう取られるからですよ…ちょっと反省してください」
「ファナティオにも同じことを結構言われてるが…嬢ちゃんはともかく、ユージオにまでそう言われると流石に堪えるな…」
困惑、もしくは紛糾する整合騎士たちを纏め上げたベルクーリの手腕に、感心…というよりも嘆くアリスに反論するベルクーリ。
だが、それに続きユージオにまで言及されてしまい、先程弄られたことの復讐か、更に追撃してきたアリスの言葉に、苦い笑みを浮かべるのだった。
<ユージオの飛竜『凍華』>
「あの暴れん坊ね…よくユージオに懐いたわよね」
カーディナルの紹介のもと、自身の相棒となる飛竜『凍華』と邂逅したユージオ…それを見終えたところで、イーディスがポツリと呟いた。
「本編でも言われてましたが、そんなに手が付けられたかったんですか?」
「手が付けられないってレベルじゃないわよ、ユージオ…凍華は整合騎士に対しても容赦なくブレスを放ってくる程に、人を毛嫌いしていたのよ?私も雨縁と出会う前に試しで会いに行った時、やられたのよ…」
「誰が行っても同じ調子で、挙句の果てにはあのチュデルキンにまで逆らって、俺が止めてなかったら凍結処分にされそうになっていたからな」
「だから、ユージオがあの暴れ娘を手懐けたって聞いた時には驚いたわよね」
騎士たち三人から三様の答えが返ってくるも、普段の大人しい姿からは到底想像ができず、逆にユージオは困惑していた。
「そんなに人を毛嫌いしていたのに、どうして僕は大丈夫だったのかな?」
「それに関して、カーディナル殿からメッセージを預かっているわ『わしの見立てでは、凍華は心を読むに等しい真贋の目を持っていて、シンセサイズされた整合騎士たちや悪意を隠そうとしないチュデルキンやアドミニストレータを嫌ったのではないかと思われる。
そこで、シンセサイズから解放され、純真な心を持ったユージオであれば、凍華も受け入れてくれるのではないかと思って紹介したのじゃ』…だって」
「…そういえば、ルーリッドが襲撃された時も、僕の感情を読んだようにすぐに待機してくれていたな」
「かなり特殊な飛竜だったわけね…それは確かに、ユージオみたいな純粋な人でないと気に入ってもらえないわね」
当然の疑問がユージオから出るも、預かっていたカーディナルの推測をアリスが読み上げたことで、思い当たることがあり納得していた。同じく、凍華の性格に納得したイーディスは苦笑いしていたが…
「本編でも至る場面で活躍していたが…ユージオへの信頼感があってこその力でもあるが、そこにあの動きに耐えられるユージオの胆力も大きいだろうな」
「いえ、初陣となったルーリッドではしがみついているのがやっとで…凍華が物凄い力を持っているんだって実感させられましたよ。お陰で、スピードを落としてもらったのに、アリスの元に来た時、落下に近い不時着になりましたからね」
「その話はまた後程語り合うってことで…次は第Ⅳ話・第Ⅴ話・第Ⅵ話からこちらのシーンを振り返っていきましょう」
ベルクーリに褒められながらも、初回は耐えるのがやっとだったと断りを入れるユージオ…その辺りの話はまた後でということで、次の場面へとプレイバックは移った。
『…いいな、飛竜』
『まぁ、ALOで飛べるっていっても翅で飛行するのとじゃ、感覚も最高速度も違うだろうしな』
『ムーン・クレイドルでは機竜を作っているとはいえ、それはそれで違ってくるし…ユージオがちょっと羨ましい』
『…でも、ALOでも猫妖精族ならドラグーンとかそんなジョブなかったか?アリシャ・ルーさんとか部隊で率いていたような…』
『……影妖精族じゃなくって、猫妖精族にしておけばよかった…』
『だから、色とかで決めるからそういうことになるんだよ』
嘆く相棒に、やれやれといった感じで応える…そんな漫才に近いやり取りが棺桶の中で交わされていた。
<ルーリッドでの生活…セルカとの再会>
「アハハハハハハハ!もう、無理…!?ハハハハハハハハハ!!」
「お願いですから…もう止めて下さい、イーディス殿!?」
見終わるどころか、途中から完全に爆笑してしまっていたイーディスが腹を抱えていた…笑いで涙が出る程苦しそうにしているも、勘弁してくれと言わんばかりにアリスが注意していた。
父や村人たちからの拒絶、セルカとの再会と色々と思うシーンが続いたのだが…そのギャップというか、アリスのやらかしたことがイーディスのツボに嵌ってしまったのだ。
「だ、だって…!あたしが様子を見に行った時には上手くやれてるって言ったのに…整合騎士の感覚で木を伐ろうとして森ごと伐採するわ、両手で掲げた包丁をまな板に振り下ろそうとするわ…待って、思い出しただけでその後の可愛い反応と合わさって笑いが……これでご飯3杯はいけるわ!?」
「イーディス殿!?どういう意味ですか、最後のは!?」
アリスLOVEを全く隠す気がないどころか、推しのドジっ子そぶりに歓喜しまくりのイーディス…下手をすれば、鼻血が出かねない程に喜ぶその姿に、思わずアリスがツッコんだ。
「あのな、嬢ちゃん…料理っていうのは家事の一種であって、闘いとはほとんど無縁のものなんだぞ?」
「この場で一番言われたくない人に諭された?!」
「あの時、ようやくフォンの言っていた言葉の意味が理解できました…自信満々の無知って大罪なんですね」
「そこまで言うの、ユージオ!?」
『分かってくれるか、ユージオ!本当に、ユウキの時もカーディナルの時も大変だったんだよ…こっちの為に一生懸命作ってるから止めづらいというのもあるし…』
流石のベルクーリもこれは苦言を呈さずにはいられなかったらしく、それを目の当たりにしたユージオが遠い目をしたことで、アリスにとんでもないダメージが入った。
…棺桶の片っぽが物凄く同情していたようだが…
「さてと…真面目な話もしないとね。まずはセルカとの再会だよね」
「アリスの妹よね!ということは、アリスのお姉ちゃんでもあるあたしの義妹でもあるわけね!」
「違いますから!?セルカの姉は私一人です!?絶対にそこは譲りませんから!」
感動の再会…この時は、まだアリスの人格統合が行われておらず、記憶が戻ってからの真の再会はもう少し先になるわけだが…
感動の場面にも関わらず、完全に自身の欲を口にしてしまったイーディスに、そればかりは譲れないとアリスが食って掛かった。
「ケチー、お姉ちゃんの一人二人が増えるのはセルカにとっても悪くない話じゃない?それに、セルカがあたしのことをお姉ちゃんと認めれくれれば、間接的にアリスもあたしのことをお姉ちゃんと認めざるを得なくなるわけだし…!」
「な、なんて用意周到な…!?絶対に断固阻止します!セルカのお姉ちゃんの座は私一人のものです!」
「…女って怖いな、ユージオ。ファナティオも時々おっかないが、まだ優しく見えるから不思議なもんだな」
「ベルクーリさん、これファナティオさんも見てたら後でまた怒られますよ。というか、セルカも見るって言ってたから…これで『そんなことを言い合う二人とも嫌い』なんて言われたら、アリスもイーディスさんもとんでもないことになるような…」
『セルカのお姉ちゃんの座は私のものだと!』と、互いに口論を重ねていくアリスとイーディス…お姉ちゃんになりたい者と、姉としての立ち位置を守りたい者の執念と気迫に押されるベルクーリとユージオ。
そんな中、おっかないと言わんばかりに肩を竦めるベルクーリに、ユージオが無慈悲に事実を告げた。「あっ…」と呟き顔を真っ青にするベルクーリに対し、セルカの反応が怖いとユージオは懸念するのだった。
<記憶を失った戦鬼、自我を喪った黒の剣士>
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「…ユージオ。無理そうなら、ちょっと休憩してきても…」
「…大丈夫…ちょっと思うところがあっただけだから」
記憶を封じたフォンに、自我を喪失したキリト…変わり果ててしまった親友の姿に、ユージオの表情も歪む。無理をしているのではとアリスが心配になって声を掛けるも、なんとか踏ん張ったユージオは大丈夫だと答えた。
「…これは確かにキツイな。よくユージオは崩れなかったもんだな」
「アリスがいてくれなかったダメだったと思います…あれを一人で受け止めることは多分できなかったかと…」
「あれは誰だってそう思うわよ。あたしも、アリスに忘れられたりしたら、多分自害すると思うわ」
「…あの、イーディス殿…私としては、それをユージオにしてしまっているので、もの凄く肩身が狭いのですが…」
「あっ…ゴメン、つい例えで…!?ユージオもゴメン…」
「いえ…何か色々あり過ぎて慣れてしまってますから」
心の底から出たベルクーリの労いの言葉に、当時のことを振り返ったユージオが首を横に振っていた。もしも自分が同じ立場だったらと恐怖したイーディスだが、例として挙げられたアリスとしては大変居心地の悪いもので…
すぐさま司会の二人に謝るイーディスだが、気にしないでと応えるユージオの姿に、『本編の方で一番の苦労人と化しているのでは?』と同情する三人の姿があった。そして、棺桶にいる親友二人はというと…
『…うわぁ。俺、こんな状態だったのか…これは酷い』
『キリトなんてまだ話せないからいいだろう…俺なんて、ユージオやアリスになんて暴言を吐きまくってるんだか…!?』
…別なところで後悔していた…とりあえず、二人してユージオに謝るべきだと思う、色々と…
「ここで解説ね…原作同様のキリトはともかく、この時点でフォンが記憶を封じた理由は本編のものと決めていたため、『知らないことを演じるフォン』というのを意識して書いたそうです。
記憶封印の原因である、この世界にいたであろうフォン(=音弥蓮)を模倣する…言ってしまえば、罪悪感を少しでも晴らそうとその立場を演じようとした形だったみたいね。
私が二つの人格に関して悩んでいることや、戦場へ行くべきか迷っていたユージオにあんな発破を掛けるような形で接したのも、心の奥底にある本来お節介な部分が出てしまったからの行動で、記憶封印を意味する布石でもあったってことよ」
「その証拠に、フォンは料理関係や地理といった一般常識を覚えていたにも関わらず、料理の食材はまだしも、調味料といったアンダーワールドの特色は覚えているなど、このルーリッドでも色々と布石を打っているシーンは多かったみたいです」
「それじゃ、第Ⅶ話のように夜空を見上げるシーンは何を意味してたの?」
「あれは映現世の剣の影響で直前で記憶開放術によって幾億ものの世界を見てしまったことによる余韻だそうです…無限に広がる世界を宇宙としてフォンが認識していた為で、ここから最終話のマルチスペースへと絡ませたかったそうです」
本編では語れなかった部分を交互に解説していく二人に、他にも気になった点を挙げるイーディス。その場に一緒にいたユージオが答え、大まか部分は語り終えたと判断し、次へとシーンは移った。
<二人のアリス、人格統合の奇跡>
「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」
その場にいた誰もが黙ってその場面を見届けていた。
何も言うことができない、というよりも、何も言うべきではないという思いが強かったのだ。
「…あの…イーディス殿。いつもの「アリスにアリス、二人もいるなんて、あたしにとってのパラダイスじゃない!?」みたいなことを仰って頂いてもいいんですよ?」
「アリス、あたしのことを何だと思ってるのよ…あたしだってこのぐらいは空気を読みます。というか、アリスがちゃんと反応してくれるところでないとやらないわよ」
「…し、失礼しました…!」
場の空気を変えようという当事者であるアリスが、いつものノリを真似してイーディスへと話を振るも、ジト目となった彼女から至極正論で切り返され、丁寧に謝っていた。
…あまりに冷静に返されたことに、いつもは狙ってやっている確信犯だという言葉を聞き逃してしまっていたが…
「この時の嬢ちゃんの人格統合に大きく関わっているのが、茶髪の坊主が持っていた映現世の剣なんだろうな?」
「ええ。解説書によると、この時、フォンが記憶を封じてしまっているため、剣の機能が暴走しかかっていたようで、それを阻止するために機能全てを封じた状態…本編のように色を失った罅割れ状態になっていたそうです。
しかし、フラクトライトにも直接アクセスするという力を持つこの剣が、アリスの強い想いに反応して騎士としてのアリスと、元のアリスのそれぞれのフラクトライトに干渉…大剣状態で使う武装完全術の統合による力で二人の意識と記憶を合体させた…と本作では扱っているみたいですね」
「…それって、フォンが記憶を封印してなかったら起きてなかったってことよね?そう聞くと、なんか複雑なところよね」
理を超えた、奇跡に等しい出来事にベルクーリから当然の疑問が飛び出し、解説書を参考にしながらユージオが答える。
当時の映現世の剣がどれだけ不安定で、その剣の力である読み取りによって二人のアリスを読み取って統合した…その事実を聞いても、すぐには理解することができず、もしもフォンが記憶を失くしていなければできなかったのではとイーディスがなんとも言えない表情でコメントしていた。
「元々、アリスの人格をどうするかは結構迷っていたらしく、ツーベルク寄りにして騎士の人格を消すのは、後々アリスが闘えなくなるのではという懸念があったため、統合するという手段を取ったみたいです。
もっとも、元のアリスの人格がベースとなっている反動で、ルーリッド襲撃における戦闘ではその部分の人格が戦闘によって疲弊して、原作と比べて一時的に戦闘能力がダウンするという展開にもしたようですが…」
「まぁ、本来の騎士の状態のままだと、私一人であの戦乱は収められるものね」
ユージオを参戦させるにあたって、どうしても避けられなかった点までもを解説したが、ものの見事に割を食ったアリスが苦笑いしていた。
そういうことで、人格が無事に統合できたアリスとユージオの生活へと再び場面は移るのだが…
『…へぇ~、そうだったのか…暴走状態ってヤバいな』
『って、フォン!?知らなかったのか!』
『いや…記憶を封じている時は映現世の剣との繋がり、と言えばいいのか…リンクが切れてるみたいな感じで、全く関与してなかったからさ』
『持ち主としてどうなんだ、それ…』
『そうは言われても、現段階になってもその正体すら掴めてない武器なんだからしょうがないだろう。記憶を封じている=自身のフラクトライトという存在を否定している=映現世の剣との繋がりが途絶える=左目が色を失うみたいな状態だったわけだし…』
『誰にも聞こえてないところで、解説をするなよ…』
とんでもない情報が棺桶の中から開示されていたが、残念なことに棺桶の中にしかそれは聞こえていなかった。
<新婚(?)生活を過ごす二人、密かに迫る戦火>
「誰が新婚生活ですか!?」「誰が新婚生活よ!?」
「おー、見事に息の揃った夫婦ツッコミだな」
「ベルクーリさんまで!」「叔父様まで!?」
まさかのサブタイに弄られるとは思ってみなかった二人のツッコミが重なる…思わずベルクーリが唸る程だが、指摘された側としては恥ずかしいこと以外にはない。
「どっからどう見てもラブラブじゃない?もうどっちが告っても成功するの間違いなしって感じよ…だから、その立ち位置をあたしと代わりなさい、ユージオ」
「イーディスさん…最後のやつ、本音と願望が混じったものが出てませんか?」
「だって…あたしがお風呂に誘ったらあんなに抵抗するのに、ユージオの前だと可愛い反応ばっかりするなんて…何をどうしたらアリスをああさせられるのよ!?」
「いえ、別にイーディス殿が嫌いとかではないのですよ…ちょっと強引なのに思わず遠慮してしまっている感じで」
「…ぐはぁ…!」
評価から一転…完全に私欲が出てしまったイーディスに、アリスが申し訳なそうに告げる。『遠慮』という言葉も、どうやら彼女にとってはダメージが入るものだったらしい。
「お、推しが遠慮する行為をするなんて…ファンとして失格だわ、あたし!?」
「…というか、イーディスさん。どうしてアンダーワールドから出てきたことがない貴女が、リアルワールドの言葉を知っているんですか?」
「えっ…大戦後にキリトが『イーディスってアリスのことが好きなところを見てると、ファンみたいだな』って言って、言葉の意味とか種類を色々と教えてくれたんだけど…」
「…キリト。どうして君はいつもそうやって余計なことをするのかなぁ…」
『ゴメーーーーーーーーーーーーーーーン!!』
先程は気のせいかと思っていたものの、流石に『ファン』というキーワードは聞き逃せず、経緯を尋ねると、不思議そうな顔で答えたイーディスの反応に、思わずユージオは頭を抱えた。
またしてもお前の仕業かと言わんばかりのユージオの姿に、大声で謝るキリトの声は届かない…!
「まぁ、ラブラブとかそういうのは置いておいて…この時は、まだ戦争前というのもあって、私の方も告白とかそういうのは考えてなかったので…」
「…まぁ、そういう考え方もあるよな。特に嬢ちゃんは整合騎士としての人格も残したからこそ、その責任感を感じている部分もあっただろうしな」
「でも、騎士長…戦争の準備の合間を縫って、ファナティオと何度か会ってなかったかしら?四旋剣のダキラが目撃して、他の三人が乱入しそうになったのを必死で止めたみたいな話を聞いたんだけど…」
「……その話は長くなるから、また今度にな」
「いや、滅茶苦茶気になるんですけど?!僕たちがいない間に、央都で何があったんですか!?」
「色々とあったんだよ…色々とな…」
初耳どころか、気になることだらけの話がイーディスから出てきて、追及するユージオに合わせてアリスも興味津々といった態度を取っていた。しかし、ベルクーリがその一切を今は語るつもりはないらしい。
…とっても疲れた様子からして、彼は彼なりにファナティオとの交際に色々と大変な目に遭ったのだということが読み取れてしまったのだった。
「ファンといえば…エルドリエもそうよね。あの子はあの子でアリス大好きだったわけだし」
「イーディス殿、その称し方はエルドリエに失礼ですよ。あくまでもエルドリエは、私を師として、そして、騎士の先触れとして尊敬してくれていたのです。それに…その言い方では、エルドリエが怒ります」
「あ、あれ……っ!そ、そうね!あたしが軽率だったわ!?(も、もしかして…アリスって、エルドリエの感情に気付いてないの!?)」
「…(コクコク)…(…そういえば、エルドリエさん、僕には打ち明けてくれたけど、アリスの前にそれらしい反応は見せないように振舞っていたっけ)」
分かっているものかと思って言ったつもりのイーディスだったが、まさかの気付いていないような反応をアリスからされ、すぐさま誤魔化した。思わず目線でユージオにそうなのかと尋ねると、そういえばと思い返したユージオが首を縦に振ることで肯定し返していた。
「…まぁ、ともかく…それにしても、エルドリエの奴、よく嬢ちゃんを見つけたよな。偶然とはいえ、雨縁と凍華を見かけるとは…嬢ちゃんたちがあいつらを放し飼いにしていたという失態もあるが…」
「でも、『魂の絆を辿ってきた』っていう台詞はちょっとね…まるで、あたしとアリスの絆があいつに負けてるみたいじゃない!?エルドリエよりも、あたしの方がアリスとの付き合いは長いのよ!?」
「イーディスさん、論点がズレてますから!?」
エルドリエに感心しながらも、アリスたちの駄目な部分を容赦なく指摘するベルクーリに、言葉を詰まらせるアリス。一方、そこじゃないとイーディスの物言いにユージオが冷静にツッコミを入れていた。
「でも、その再会が契機になったかのように…遂にあの時が来てしまったのよね」
「うん…僕と君が再び戦場に立つことを決意したあの日が…では、第ⅩⅠ話・第ⅩⅡ話より、こちらのシーンをご覧下さい」
アリスとユージオが当時のことを思い出した様に重い口を開き、遂に場面はダークテリトリーの一軍がルーリッドを襲撃する場面へと移ることになったのだ。
『そういえば、俺やお前って恋のライバルみたいなキャラっていなかったよな』
『言われてみれば…原作だと俺とユージオがアリスの立ち位置の問題でそんな感じになりかかってたけど…クラインやエギルはまた違うしな』
『それなのに、女性陣をあそこまで落とすのって…女難の相でもあるのかな、俺たち』
『そんなことを言ったら、ゲーム版のSAO世界まで話を伸ばした場合、俺はこの後、ヒロインたちを取られる側になるわけなんだが…』
『……うおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉ?!!?』
ユージオのように恋のライバルキャラがいなかったなと振り返る二人だが、この後。ヒロイン二人(予定)を奪うという事実を突きつけられたフォンが思わず絶叫していた。
<ルーリッドを襲う戦火…青薔薇と金木犀の剣舞>
「とりあえず一言……尊いわ」
「あ、ありがとうございます…と言うべきなんでしょうか?」
ユージオと共に戦場を駆けるアリスの勇姿に、ハンカチで鼻と口を抑えながらイーディスが感激していた。
もうどこか達しているその反応に、賞賛された側であるアリスが戸惑いを隠し切れてないのだから、よほどなのだろう。
「嬢ちゃんはともかく…ユージオ、お前さんもかなり動きが良くなってるじゃないか。エルドリエを闘っている時もそうだったが…本当に見違えるぐらいに強くなったな」
「ありがとうございます、ベルクーリさん…といっても、僕の場合だと、アドミニストレータとの決着の時に少しだけ加勢した影響か、オブジェクト権限値といった成長…ステータスが大幅に強化されたのも大きかったんですけどね」
気を失っていたアリスとは違い、最終決戦の終盤にて、アドミニストレータの右手を斬り落とすという大役を果たしたユージオにも経験値が割り振られており、フォンやキリト同様にオブジェクト操作値などが上昇していたのだ。
更には、ルーリッドに来てからも鍛錬は怠っていなかった上に、ちゃんと青薔薇の剣の整備もしていたため、精神面以外ではアドミニストレータ戦と同等以上だったわけだ。
「さり気なくこの後に覚醒する心意の破界鎧の前触れも描いていたのよね…あの時のユージオは、本当に騎士のように見えたから、正直自分の目がおかしくなったのかと錯覚したわ」
「眼前で自分の知らないことが起こるとそうなるわよね…フォンって子が色々とやらかしているせいか、ユージオの成長ぶりがまだまともに見えるから不思議よね」
『なんて失敬な』
当時、共に闘っていたアリスもあの時は驚いていたらしく、対するイーディスはユージオの成長を誉めつつも、その師の一人が異常だと棘を刺していた…言われた人は棺桶から抗議の声を上げていたが…
「フォンといえば…記憶を失っているにも関わらず、演じているとはいえど、ユージオに発破を掛けたのはまた驚きだな」
「そうですね…作者的には『お人好しや正義感が強い部分は変わらないこと、演じる側が分からない癖に無理に演じようとする=結局、素の部分が出てしまうめんどくさい性格』を意識してたみたいですので…
まぁ、確かにフォンって変なところで素直じゃないところありますからね…色々なことができる器用さはあるのに、人間関係になるとところどころ不器用といいますか…」
『って、言われてるぞ?』
『それに関してはノーコメントで」
憎まれ役を買って出ている記憶封印状態のフォンの発破のシーンにて、ベルクーリが振り返ると、言われた側のユージオが解説と併せて自身の印象を語った。
当然、それをよく知っているキリトが弄るも、流石に反論できないと思ったのか、返信拒否という形でフォンは口を閉ざしたのだった。
<さらば、ルーリッド…剣士たちの出立>
「ありがとうございます!!」
「何に対してのお礼ですか、イーディス殿?!」
もの凄い勢いで頭を下げたイーディスに、思わずツッコむアリス。
まぁ、推しのベットシーン(健全)&嫉妬する姿を見せられれば、お礼も言いたくなるわけで…
「ユ、ユージオ…このところ!このアリスが後輩の女の子に嫉妬しているところの写真はないの!?」
「な、ないですよ…僕はこの時寝てて、アリスが嫉妬して可愛い姿をしているなんて知らなかったですし…」
「くっ…!?というか、なんで一緒に寝た癖に手を出さなかったのよ!」
「いやいやいや!?まだ付き合ってもないのに、手を出すのは流石に…駄目じゃないですか…というよりも、手を出したら、絶対にイーディスさん許さないでしょう?」
「当たり前よ!?祝福しながら、断罪してやるわ!」
「祝いたいんですか、怒りたいんですか、どっちなんですか?!」
「あたしのアリスをうば…コホン…手に入れようとするわけなんだから、それ相応の覚悟を持ってないといけないに決まってるでしょう!それとも、あんたはアリスを幸せにしてみせるって言えるんでしょうね!?」
「そんなの…少なくとも、僕の全てを賭けてしてみせるって豪語できるに決まってるじゃないですか!」
「…あ~…悪いが、二人とも。熱中しているようだが、その辺にしておけ。聞いてて凄いし…何よりも、止めようとしてた嬢ちゃんが途中から恥ずかしさのあまり、下を向いちまってるぞ?」
「っっっっっぅぅ…//////~~~~~~~~~~~~~!?!?」
愛でる者と愛する者…互いの愛がぶつかり、周囲を置いてけぼりにしての熱論が繰り広げられたが…流石にやりすぎだとベルクーリが割って入ったことでようやく我に返った。
…何度も止めに入ろうとしていたが、ユージオの愛する宣言に顔を真っ赤にさせたアリスが地団駄を踏みながら、恥ずかしがっていた。
まぁ、恥ずかしいシーンを見られたことでの羞恥心や、ユージオにそんなことを言われての幸福感やら嬉しさやらが入り混じって、とりあえず感情をコントロールできなくなっている感じに陥っていた。
ということで、司会のアリスが落ち着くまで話はできなさそうだったので、プレイバックのコーナーは終了となり、休憩を挟むことになった。
トピックス:アンダーワールド組のALOにおける武具のメンテナンスは、UWの勝手を知っているフォンが担当しているらしい(リズと相談して、意匠などを把握しているフォンの方が適任だということになったため)
「さて、次のコーナーは…いつもであれば、『フォンの質問コーナー』なんだけど、本人があんな感じなので…」
『そのコーナーに良い思い出はないけど、ここから出してくれるのなら、よろこんでやらせてもらうから、出してくれぇぇぇ!?』
「後半における今回からは、WoU編で登場したオリジナル要素を解説していく感じになります。言うなれば、『アンダーワールドなにこれコーナー』という感じかな?」
「いぇーい!」
残念ながら未だに棺桶の中の声は届かず…ユージオが番組後半コーナーの趣旨を説明し終えたところで、ノリに乗ったイーディスが拍手をしていた。
「第四回となる今回では、中盤から僕が使えるようになった『心意の破界鎧』について語っていきたいと思います」
スタジオの中央に、青薔薇の剣を抜くのと同時に破界鎧を発現させて身に纏ったユージオの姿があった。
「神聖力や暗黒力を用いた術を全て無効化、記憶開放術で放出した神聖力を剣に集めての威力強化・射程拡張、そこに青薔薇の剣以下の優先度の武器の攻撃をも無効化…その癖、全く重みがないというのは…本当にとんでもない性能よね?」
「これ…あたしの闇斬剣の武装完全支配術でも斬れないってことなのかしら?」
「そうですね…鎧は鎧でも、心意によって青薔薇の剣の力を纏っているようなものなので…それなりの心意を引き出さないとまず無理かと。逆に属性は氷そのものであることは変わりないので、熱系統の攻撃には長時間は耐えられませんね」
「ってことは、ファナティオやデュソルバートの神器の記憶開放術ならダメージを与えることもできるってわけか…といっても、あくまで優位に立てるってだけで、倒し切れるってわけじゃないんだろうな」
本編でもあった解説に三者三様の意見が加わっていく。特に、防御無視の攻撃を持っているイーディスにとっては、それが通用しない秘技なのと知って驚いていた。
「もともと生まれた理由が、本編でエルドリエさんを散らせることがどうしても避けられなかった点と、僕のラストバトルがベクタを想定していたため、ノーマルの状態で勝たすビジョンがどうしてもできなかったこと、そして、翼衣という魔導士に近い恰好のフォンに、黒の剣士の姿を纏うキリトに合わせ、騎士の恰好をなんとかさせられないかと思い、登場したのがこの破界鎧だったみたいですね」
「名前の由来は『己の限界を破りしことで発現した鎧』で、コンセプトとしては『自分の強さと弱さと向き合い、受け止め切れたことで進化した姿』というものを連想していたみたいです…完全にペルソナシリーズから影響を受けた感じね」
生まれた経緯と、由来からコンセプトまでをユージオとアリスが続けて語っていき、聞いていたゲスト二人を唸らせていた。
「それにしても、発動条件が心意を一定以上扱えるだけでなく、右目の封印を破る…確か、リアルワールドだとシンギュラリティと呼ばれているのか…それを起こすことが入り口に立つ条件とはな…」
「あたしたちの中で一番心意の力に長けているのは騎士長だけど…それでも発動できないわけよね。次点だとアリスよね…ということは、アリスの破界鎧もそのうち登場するのかしら?」
「…どうでしょうね。そもそも、発動条件を満たしたとしても、媒体となる神器…私の場合だと金木犀の剣がないと駄目でしょうし、UWと違うALOではできないのではないでしょうか?」
「僕たちの剣は、アンダーワールドのアカウントデータに結び付けられているから、そう簡単に移し替えることができないだろうしね…でも、ちょっと見て見たかもね、アリスの破界鎧」
「そうね…やっぱり金木犀の剣にちなんだ能力を持っている感じなのかしらね?」
「でも、もう既に騎士鎧を身に纏っているのですよ?これ以上、上に重ね着るのはちょっと無理があるような気もしますけどね」
今後、破界鎧が出ない可能性も考慮し、残念だと言いつつも、もしも発動させた場合、どんなものになるのだろうと興奮するユージオとイーディス。一方で、騎士鎧の上に更に重ねるのはどうなのかとアリスが言及していた。
「でも、神器に合わせて性能が強化されるのは面白そうよね…あたしの闇斬剣だと…やっぱりどこまでも呑み込もうとする深淵が特徴だから、一定量の攻撃を吸収して無効化とか、自由自在にあらゆるものを擦り抜ける透過能力とかになるのかな…」
「後半、どっかの少年漫画に出てきた能力なような気が…ベルクーリさんはどうですか?時に関する時穿剣だと、どんな能力になりそうですか?」
「そうだな…裏斬とか残撃とかがあるかな。時間という概念で考えるのなら一定行動に関して何かしらの恩恵を受けるものとかが挙げられるのかもな。同じ行動をする度に強化や、一定の時間に達成できればボーナス、みたいなものとか…俺としてはある程度のリスクがあっての強化する傾向の方が肌に合うのも大きいな」
もしもの場合を想定して、更に話が盛り上がっていく。聞きに徹していたベルクーリもユージオから話を振られて、あったらいいなという感覚で答えていく。
…全員分の破界鎧を考えようとしたら、作者が過労でとんでもないことになるので大変勘弁してほしいものなのだが…
「…そういえば、この破界鎧ってアンダーワールド人限定の力であって、フォンやキリトは発動できないだったよな?だったら、カーディナル殿はどうなるんだ?あの方も、条件は満たしているわけだし、神器があったら発動できたじゃないのか?」
「えっとですね…解説書によると、理論上は可能だそうです。ただ、神器がないため、カーディナルさんが発動させる機会はそうないだろうとのことです…メタ的なことを言ってしまうと『魔法が主体のカーディナルの個性を潰しかねない』という理由も大きかったみたいです」
同じ立場に等しいカーディナルも適合者なのではと気になったベルクーリだったが、メタ的な意味を含んだユージオの返答に、なるほどなと苦笑いしていた。
「ちなみに、本編だと機能から削除されていましたが…当初の段階では、
・致命的なダメージを受けた時、一度だけダメージを肩代わりする身代わりの氷人形を作成可能(インターバルに半日を要する)
・片手剣ソードスキルを全て使用可能。更には専用オリジナルソードスキルが解禁。
・空間をも凍らせる程に記憶開放術を強化…強化された技は全ての物体の時を止めるかのように制止させる『零の凍空間』という名称予定。
・ダメージを受ける度に防御力がアップ。
・鎧に触れるだけで凍結…自在に氷を操ることで武器から壁といった創造能力の獲得。
・弱点はもともと無しにする予定だった
…みたいな盛り込み性能を予定していたみたいなんですけど、流石にチートすぎるってことで、かなり削除して今の能力に落ち着いたみたいです」
「…まぁ、それが妥当でしょうね。もしもこの性能のままだったら、ユージオ一人でベクタを倒せれていたかもしれないわね」
解説書から本来予定して能力を列挙するユージオに、アリスがやれやれといった表情でそう述べていた…それを受けて、ユージオだけでなく、ベルクーリとイーディスも同じ感想を持つのだった。
『心意の破界鎧か…確かに味方にすれば心強いが、敵に回したらこれ以上やっかいなものはないだろうな』
『フォンがそこまで言うならよっぽどなんだな…映現世の剣であっても、やっぱり苦戦しそうなのか?』
『生半可な武器じゃ効かないし、だからって魔法系統の武器は全て無効化されるだろう?じゃ、青薔薇の剣以上の武器を呼び出せばいいじゃないかって話になるだろうけど、あの剣と同等以上の武器となると大抵何かしらのデメリット持ちだからな…映現世の剣の記憶開放術を使わないっていう条件だと苦戦は必然だろうな』
『…というか、赤薔薇の剣が呼び出せるのなら、青薔薇の剣を呼び出して、翼衣か何かで破界鎧を再現できたりしないのか?』
『あー…それは無理なんだよ、キリト。武装変換術って、世界を読み取って、俺に適した武器へと再反映させるのがコンセプトだろう?でも、破界鎧の力って、使用者が心意によって剣の力を最大限にまで引き出すものだ…だから、俺とユージオじゃ武装完全支配術から記憶開放術の引き出し方から術の構成事態が異なるだろう?』
『…そういえば、青薔薇の剣と同じ力を持つ星薔薇の剣の記憶開放術を俺が使った時も、違う術だったな』
『そうそう…だから、武装変換術で青薔薇の剣を呼び出せたとしも、ユージオが発現させた破界鎧は俺は使えない…というか、引き出すことができないってわけだ。まぁ、翼衣があるから、そう大差ないって言えばそうなんだが…あっちは武器本来の力を限界を超えて引き出すから疲労度も少ないけど、こっちは疲労も大きい上に代償もあったりするから…似てるようで違う感じだな』
『なるほどな~…これが外に聞こえてないっていうのが悲しいな』
『だな…あー、早く外に出たいぃぃ!?』
某光の巨人№6の如く、フォンが叫ぶが…彼らが外に出られる日はやってこられるのだろうか。
トピックス:ユージオ的には、フォンが一番恋愛関係の話が豊富だと思っていたようで、ユウキとの関係がプラトニックな段階であるのを聞いて更に感心したとか(ちなみにアリスは「ヘタレね」と評価しているらしい)
「…さて、そろそろ番組もお開きのお時間となりました。意外となんとかなったね?」
「というよりも、いつもは暴走しがちなキリトに、それに巻き込まれるフォンがいなかったから逆に平和になったんじゃないかしら?」
「嬢ちゃん…その理論通りだと、あいつらは一生その棺桶に閉じ込めておいた方がいいってことになるんだが…」
『『勘弁してくれぇ?!』』
あとは終わりの挨拶を残すのみとなったが、想定していたよりも無事にやり遂げられたことに安堵するユージオに、アリスの冷静な分析が加わる。もっとも、その通りではあるのだが、流石に可哀そうだろうとベルクーリがフォローの言葉を入れていたが…
…もちろん、棺桶組の声は誰にも届かないのだが…
「あたしも楽しかったわ!でも、またアリスとお別れだなんて…そうだ!次の収録までアリスを愛でていいかしら?」
「「ダメです!?」」
「えぇ~…あたしにアリス成分を補充させてくれたっていいじゃない!ユージオなんかはいつでも補充し放題なわけだし…」
「私の意志はまるっと無視ですか!?」
「アリス成分って…どんな成分ですか、それ…」
半分冗談半分本気の提案で、両手をわしわしと動かしながら迫るイーディスに、一歩後ろへとさがるアリスと庇う様に前へと出るユージオ。アリス成分とは一体何を指すのだろうか?
「叔父様も…お忙しい中、お越しいただきありがとうございました」
「気にするな。嬢ちゃんたちのある意味での晴れ舞台に来れたんだ。ファナティオにも良い土産話ができたってもんだ」
「ちなみに、さっき『あなた…帰ったらお聞きしたいことがありますので、寄り道せずに真っ直ぐ帰って来て下さいね』ってメッセージがファナティオさんから届いてましたよ」
「…前言撤回だ。土産話じゃなく、釈明しに戻ることになりそうだな、おい…」
不敵な笑みを浮かべてアリスへと応えるベルクーリだったが、ユージオから絶望的なことを告げられたことで、顔を顰めていた…どこの家庭も奥さんは強いらしい。
「まぁ、なんだ…嬢ちゃん、ユージオ。あと二回あるとは思うが、頑張るんだぞ?」
「…はい!」「…当然です!」
「それでは、この辺でお別れしましょうか!次回もご覧くださいね~!」
「って、イーディス殿!?私たちの台詞を取らないでください!」
最後の最後で締まらず、〆の挨拶を奪われたことにアリスが紛糾する中、番組は終了したのだった。
『この番組は、人界を守護する最後の盾…ダークテリトリーからの脅威に立ち向かう人界連合軍の協力の元、作成しております』
『…うわぁ…本当にこのままで終わりやがった。次回ももしかして、こんな感じなのか?!』
『だろうな…下手したら最終の第六回までこの可能性も…』
『でも…何にもしなくていいと思えば、この空間に慣れさえすれば案外楽なのかも…」
『いや、キリト。それ俺の台詞だからな?いっつも迷惑を掛けられてる俺の台詞だからな!?」
…棺桶と聞いて、連想するのが太陽少年なのは自分だけでしょうか?
いや、本家おふらいんのALO編でもあったので、こっちでも入れるかと思っての暴挙です。なので、二人には当分副音声という立場で出てもらうことにしました…キリトファンの方々、本当にすみません!!
次回は三人のゲスト+αでお届けすることになるかと思います。また長くなりそうですが、頑張って更新しますのでお楽しみに!
それでは、また!
…200…?
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