申し訳ありません。ほぼほぼカットです!
いきなりクライマックスです!
しかも、最後、ご都合展開です!
・・・言い訳は後書きでお聞き頂ければと思います。
それでは、どうぞ。
本編 「鍍金の勇者」
斬る……
斬る…………
斬る…………
私は何も考えず、与えられた任務をこなしていた。迫りくる妖精たちを切り伏せ、この先の入り口を死守する……それが私に与えられた任務だ。壁には大剣や弓を持った仲間たちが待機している。私はいざとなった時の最終防衛ラインだ。
私はいつからここにいるのだろうか……ふと考える時があるが、すぐに考えるのを止める。私はマスターの命に従い、忠実に任務をこなすだけだ。
ある日、マスターに召集を受けた。そこは私が普段死守する世界樹の入り口の先……鳥かごと言われるエリアだ。そこにはティターニアがいるとのこと。
「……フ・ンく……ど・して……その・と……」
「驚いたかい……?彼は僕の忠実なしもべとして、働いてくれているんだよ」
「し……?あ・た・なに・し・の!・」
ティターニア様(マスターにそう呼ぶように言われた)が私を見て、ひどく驚いていたがどうかしたのだろうか……ティターニア様の動揺が、何故か私には引っかかった。
来る日も来る日も私は妖精たちを斬り捨て続けた。
時には、マスターから腹いせを受けることもあった。どうやらマスターの邪魔をする者が現れたらしい……名はキリガヤというらしい。マスターの邪魔をするものはこの私が全て切り伏せよう……私はマスターの忠実な
久々に歯ごたえのある敵がやってきた。どうやら影妖精のようだ。手には大剣を持ち、私の仲間たちを多数屠った……どうやら私が相手をしなければならないようだ。だが、私を見た瞬間……奴は何故か動揺し始めた。
「・ォン!?……フ・ンな……?」
何を言っている……フォン……?誰の名前だ……私は……誰だ?
「お・だ!キリ……!フォン、わか・な・か!?キ・ト・!!!」
……黙れ……黙れ黙れ黙れ黙れ!!!!
私は奴の口を閉じるために奴に斬りかかった。
奴はなんとか受け止めるも明らかに戦意を無くしていた。
「やめ・!フォン、や・てく・!?」
……うるさい!?!?!?
私は影妖精を蹴りつけ、壁に叩きつけた。そのまま大剣で奴の体を何度も斬りつける。そして、大剣でその腹を突き刺した。奴のHPがゼロになる直前に、その体を地面へと斬り捨てた。
「……フォン…………!」
その言葉を最後に奴は残り火となった。その時、私の目から何かが流れていた……
涙だ……
なぜ私は涙を流しているのだろう……?
私は忠実に任務をこなしているはずなのに…………
奴がまた来た……今度は仲間を連れてだ。
だが、状況は変わらない……仲間を連れてこようが、数で勝ればいい話だ。
そんな考えは、すぐに覆された。なんと、風妖精・猫妖精の援軍がやってきたことで形勢を逆転されてしまったのだ。こうなれば、あの影妖精を討つしかない。戦況を打開するために私は奴に勝負を仕掛けた。
しかし、奴の動きは前回と大きく異なっていた。奴の剣から迷いが消えていたのだ。
「フォン!お前が……に邪魔を……って……俺はもうまよ・ない!!!お前が敵にな……ら、お前をた・してで・、俺はアス・を取り戻す!!!」
次第に奴の声が鮮明に聞こえてくる。
……私は……俺はその声を知っている。
その声を俺は……いつ、どこで聞いたのだろうか?
知らない記憶に困惑し、更に奴の気迫に押され、俺の剣がどんどん鈍くなっていく。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
あいつは大剣の他に、もう一本の真っ黒な剣を構え、俺を何度も斬りつける。
「そこを通してもらうぞ、フォン!」
そして、奴の咆哮と共に最後の一撃を食らった時……俺は思わず呟いていた。
「キ、リト………………」
それを最後に……俺の意識はブラックアウトした。
もう一度、マスターに呼び戻された時……そこは見たこともない空間だった。
そこには先ほどの影妖精とティターニアがいた。
「さぁ、僕の人形よ!もう一度、チャンスをやる!その餓鬼を徹底的に痛めつけろ!」
「…………………………」
俺がマスターの指示に従おうとした時だった。
「駄目、フォン君!?」
……ティターニアの声に俺の動きが止まった。ティターニアの声もしっかりと聞こえるようになっていた。
「黙ってくれないかな、我が姫!?」
「きゃぁ!!!」
そう言って、マスターは彼女を殴った。その光景に俺はよく分からない感情が沸きあがった。
「……何をしている?さっさとあの餓鬼をやれ、このポンコツが!?」
今度は俺が殴られた……俺は悩みながらも、奴の指示に従った。
「ぐぅぅ……フォン……!」
地面に倒れている彼に俺は大剣を突き立てた。
「がぁ……がぁぁぁぁぁ!?」
「アハハハハ!いいね、その悲鳴!」
影妖精の悲鳴に奴は下品な悲鳴を上げた。
だが、俺の手は震え、また涙が流れていた。
奴は、今度は彼女の服を剥ぎ、彼女を凌辱し始めた。
その光景に俺の中の何かが限界を超えようとしていた。
その時だった……あいつが立ち上がった。
「あの世界の剣は……もっと重かった!もっと、痛かった!!!」
激痛をモノともせず、あいつは立ち上がった。
そうだ、俺はあいつのことを知っている。
あいつの横で、何度も戦ってきた。
あいつと馬鹿やって、笑って、呆れて……その姿を何度も見てきた。
その強さを俺は知っている。
俺が憧れた戦友の目には、あの世界と同じ闘志の光が宿っていた。
「っ!くそが!?
「………………………………」
「なぁ!?妙なバグでも出たか……もういい!僕が直々に叩き潰してやる!」
指示に従わない俺に業を煮やし、奴はあいつに殴りかかった……だが、
あいつはその拳を軽々と受け止め、続けて言葉を言い放った。
「システムログイン……ID:ヒースクリフ……!」
「な、なんだ、そのIDは!?」
「システムコマンド、スーパーバイザー権限変更、ID:オベイロンをレベル1に」
「なぁ!?」
「そして……ゲストプレイヤー:フォンの束縛・命令・行動制限を解除……操作権をゲストプレイヤー:フォンに返却!」
その言葉がきっかけで俺を光が包んだ……そうだ、俺は……!?
『『『『『『『フォン(さん)(君)(坊)』』』』』』』
「っ……キ、リト?」
「フォン!戻ったのか!?」
「ああ、悪い。俺……お前に……!?」
「……気にすんな。これでおあいこだろ?」
「……そうだな。とりあえずは……あいつが先だな」
キリトの言葉に俺は謝るのを止め、そのままオベイロンへと向き直った。
「ぼ、僕より高位のIDだと!?あり得ない……あり得ない!!!僕は支配者だ!
創造者だぞ!この世界の帝王、神!!!」
奴は明らかに動揺し、錯乱しかかっていた。
「そうじゃないだろう?お前は盗んだんだ、世界を……そこの住人を!盗み出した王座の上で、一人踊っていた泥棒の王だ!」
「盗むことでしか、お前は自分の世界を作れなかったんだ……そんな奴が作る世界なんて誰も認めはしないし、誰も賛同なんてするものか!」
「こ、このガキども……!僕に、僕に向かってそんな口を……!後悔させてやる!!!」
俺たちの言葉に奴は逆上し、金切り声を上げた。
「システムコマンド!!!オブジェクトID:エクスキャリバーをジェネレート!!!!」
だが、システムは奴の言うことを聞かなかった。
「システムコマンド!!!!!言う事聞け!このポンコツが!?神の……神の命令だぞ!?」
錯乱している奴を置き、キリトはアスナへと視線を向けていた……そのまま、口パクで何かを言った。おそらく、大丈夫だと言ったのだろう。それを聞いたアスナも安心したように頷いていた。そして、キリトは上空を向き、叫んだ。
「システムコマンド!オブジェクトID:エクスキャリバーをジェネレート!」
キリトの手の中に金色の剣が出現した。
「たった一言で、伝説の武器を召喚とはな…………」
そう言って、キリトはエクスキャリバーをオベイロンに投げた。奴はなんとか剣を掴むも、あまりにも重いのか、剣先を地面へと落としてしまった。俺とキリトはそれぞれの獲物を奴に突き付け、言い放った。
「決着をつける時だ、泥棒の王と鍍金の勇者のな……システムコマンド、ペインアブソーバーをレベル0に」
「な、なに……!?」
「逃げるなよ……あの男は最後の最後まで臆した姿は見せなかったぞ……あの、茅場晶彦はな!」
「か、かや……茅場!?ア、アンタが!?またアンタが邪魔をするのか!?」
俺の言葉に奴は大きく動揺し、再び金切り声を上げた。
「死んだんだろう!なんで死んでまで僕の邪魔をするんだよ!?アンタはいつもそうだ!いつもいつも!!いつだって、何もかも悟ったような顔しやがって!?僕の欲しい物、端から掻っ攫って!」
奴は叫び続けた。
「須郷、お前の気持ちは分からなくもない……俺もあの男に負けて、家来になったことがあるからな。でも、俺はあいつになりたいと思ったことはないぜ……お前と違ってな」
「人はそれぞれ違う。お前が茅場になろうとしているのは、お前が心のどこかで茅場に勝てないって、認めちまってるからだよ」
「が、ガキがぁ……この糞ガキ共がぁぁぁぁぁ!!!」
奴はそのままエクスキャリバーを乱雑に振るうも、キリトは冷静にその剣戟全てを受け止めた。そして、カウンターで奴の頬を掠め切った。
「い、痛い……!?あああ!?ああぁぁぁ!?!?」
「……痛いだと……?お前が……アスナやフォンに与えた苦しみは……こんなもんじゃない!!!」
その言葉にキリトの何かが切れたらしい。キリトは容赦なく剣を持つ奴の手を切り落とした。
「アアアァァァァァァァァ!!!て、手が……僕の手がァァァァァァァァ!?」
「フン!」
「えっ……?か、体がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
キリトの一撃はそのまま胴体を真っ二つにした。奴は床を這いつくばるしかなくなっていた。そして、キリトは奴の頭を掴み……
「フォン!」
こちらに投げ飛ばして来た……それを俺は、
「すぅぅぅぅ……はぁぁぁぁ!!!!!」
その頭を何度も切り刻んだ。与えられたアバターの能力がいいのか、俺の思う通りに体が動いてくれた。
「!“$%%#T”%!#$#“$”~~~~~~~~~~~~~~~~~!?!?!?!?」
奴は声にならない叫びをあげ、その姿をポリゴンに変えた。
「……終わった」
「……ああ、終わったな」
そう言って、俺とキリトは拳を突き合わせた。そして……
「……行ってやれ。俺は後でいいから」
「…………悪い」
キリトはそう言って、アスナに近づき、アスナを束縛から解放した。そして、言葉を交わした後、アスナはログアウトしていった。
「……さて、久しぶり……と言えば、いいのかな…………フォン」
「…………そうだな」
少し寂しそうなキリトに、俺も思わず苦笑でそう返した。
「…………本当は、もしもう一度会えれば、言いたいことがたくさん有ったんだけどな」
「これから消えゆく友にあまり酷いことは言ってほしくはないな」
「…………なぁ……あの話、本当なのか?」
「……ああ」
「もう、会えないのか?」
「さぁな?俺にも分からん」
「…………………………………………」
「……そんな顔しないでくれ……俺はもう覚悟してるから」
「だけど……だけど!?」
「言ったろ……お前らと出会えて、俺は最高に楽しかった、って……」
「っ…………フォン……!」
「…………また会えるさ。こうやって、出会えたんだ……世界が違ってもいつかまた……どこかで…………」
「…………ああ」
そう言って、俺は右手でウィンドウを操作しようとして……キリトに左手でないとウィンドウが出ないと突っ込まれ、ちょっと恥ずかしかったが……ログアウトボタンを押した。
「じゃあな……キリト」
「……ああ。じゃあな、フォン……」
キリトに別れを告げ……俺は今度こそSAOの世界からログアウトした。
…………
………………
……………………
お…………おと……!
(うん……?誰だ?)
意識を取り戻した時、誰かの呼び声が聞こえた。
────おとやさん…………音弥さん!!!聞こえますか、音弥さん!
その声に体を動かそうとするが、何か固定されているのか、動かせない状態だった。そして、声も出すことができなかった。音もうまく聞き取れないが、誰かが叫んでいることしか分からない。
────先生、音弥さんの意識が!?
────今すぐ、ご家族に連絡を。マシンから出して!
(何を……そんなに慌てるんだ?)
聞こえてくる喧騒に俺は思わず疑問を抱えてしまった
(……ここはどこだ……?)
そんなことを考えていると、俺の寝ていた土台が動き出し、光が徐々に見えてきた。そして、完全に出た時……そこには白衣を着た、おそらく医者らしき人物が立っていた。
────聞こえますか?
音がうまく聞こえないが、なんとか大丈夫だという意志を示した。医師も俺の様子から声が聞こえていないことに気付き、タブレットでの筆談に切り替えてくれた。
『どこか体に異常はありませんか?』
『体が重いです』
文字を打って、考えを伝える。
『ここがどこか分かりますか?』
『病院、ですか?』
『はい』
どうやら病院らしい……意思はどうやら伝わったようだ。
『あなたの身に何が起こったか、分かっていますか』
……物凄いことを聞かれた……まぁ、異世界体験してきました、というのは事実だが……
そう思い、素直に答えることにした。
『別の世界に行っていました』
俺の回答に医師はもの凄い微妙な表情をしていた。どうしたのだろうか……
『あなたは自身がどこにいたのか、本当に分かっていますか?』
……ますます意味が分からない……この医師は何が言いたいのだろうか?
『どういう意味ですか?』
そう尋ねると、医師はタブレットに文字をかなり長く入力し始めた。
『あなたはソードアート・オンライン……VRMMOの世界に2年近く囚われていたんですよ。更に、ゲームがクリアされたのに関わらず、あなたは3か月間、目を覚まさなかったです』
(…………えっ…………?)
タブレットの文字に、俺の思考は完全に停止した。ここは現実世界で、帰ってきたのは……元の世界じゃなくって……SAOの現実世界……?
さっきまで無事に戻れたことを内心喜んでいた俺は今度こそ青ざめることとなった。
なんてこった…………どうやら俺は……肉体ごとSAOの世界に迷い込んじまったらしい……
『大丈夫ですか?』
医師がタブレットでそう聞いてくるも、今の俺にはそんな文字、全く目に入ってこなかった。
というわけで、フォンこと、蓮・・・まさかの肉体ごと転移。
実は、この話、後々のマザーズ・ロザリオ編・アリシゼーション編での大事な伏線になっております。
・・・さて、では、どうしてALO編がこんなに短いのかと・・・それは
①オリ主をALOのストーリーに絡ませても、キリトたちが強くなるだけで、
同じ話になってしまう可能性が高いから
②ストーリーを変えようと、オリジナルの敵を入れたくても、須郷のことやらタイムリミットのことやら考慮すると、難しい点
③・・・と言って、無理矢理入れても、今度は幻想剣の扱いに困る。オリ主弱体化すると、この後の話が、進めづらくなる
との点から、それなら、オリ主が敵視点で初めて、徐々に正気に戻っていくシーンがいいじゃないか・・・という発想になり、このような展開になりました。
後悔はしておりません!
リーファファンの皆さんには大変申し訳ないと思っております・・・
だが、私は謝らない!(分からない人は、このセリフと一緒に仮面ライダーとググって下さい)
リーファには、このあと、がっつりメイン回を用意しておりますので、
ご期待下さい。
あと3話、フェアリー・ダンス編の後日談を投稿して、第3章のGGO編に入りたいと思います。
GGOはしっかりと書いておりますので、ご安心下さい(笑)
次回、投稿は10日 0時になります。