番外編その2にして、真の200話…いわゆる「やってみた」系のお話です。
流石に会話パートが多いので、今回アバターの色を「」頭部分につけてます。
とりあえず、ある人が色々とやらかして、かつ、やりたい放題です(苦笑)
一応、ゲーム見た事ない人でも分かるようには書いたつもりですが、見てから読んでいただいた方がより分かりやすいかと。
それでは、どうぞ!
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
様々な機械が立ち並ぶ宇宙船の一画…蒼色の宇宙服らしきものに身を包んだ男は、テーブルの上に置かれたボタンをジッと見ていた。何かの待っているのか…10秒と少し動かずにいるその様は異様に見えただろう。
そんな男を同じ宇宙服ではあるが色違いの紫色を着た人物がジッと見つめていた…いや、正確には周囲の視界が紫色は見ることができず、その場でジッとしていると言った方が正しかった。
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
互いに動かず、その場で均衡状態となる二人…途方もなく続きそうなその状態がいつ終わるのかと思っていると、
「…っ…!」
先に動いたのはなんと蒼色の方だった。覚悟を決めたように紫色の横を通り過ぎたのだ。
「…!」
ようやく視界が開けた紫色だが、徐々に広がっていく視界に蒼色が映り、思わず警戒する。すぐさま眼前のボタンを押さなければと思ったが、
…グサッ…!
「…(えっ…?)」
そんな努力など無駄だと言わんばかりに、いきなり振りかざされた蒼色の手に握られたナイフが、紫色の頭部へと突き刺さった。突発的なことに紫色から驚きの声が漏れるも、蒼色の握ったナイフはその凶行を止めることなく、
…ザクッ!ザクッ!!…
抜いたナイフを、止めを刺すかのように何度も頭部に突き刺していく…その一切の遠慮のないナイフ捌きは、見ている人からすれば人の心はあるのかと思わせられるほどのものだ。
秒での裏切りを受けた紫はされるがままなわけで…紫色アバターを使っていたユウキの眼前には『you Lose』の真っ赤な文字が記されたリザルト画面が浮かんでいた。
「「「「「「…鬼畜の所業か、あれは」」」」」
蒼「…えぇー…」
ゲームを終え、インターバルを過ごす為の待機区間…小型移動宇宙船の中へと戻ってきた俺たちだったが、真っ先に聞こえてきたのが俺を非難するみんなの声だった。
あまりに息の揃ったその発言に、流石の俺も少しばかりたじろいでしまう。まぁ、そう言われてしまうのも無理はない話で…
紫「うえええええええええぇぇぇん!フォンに殺されたぁぁ?!」
赤「よしよし…あれは人として酷いよね」
対面で大泣きしているユウキを慰めるアスナが、俺を今にも射殺さんとばかりに睨みつけていた。何か仇の如く俺へと憎悪を向けているが、
蒼「いや、ちょっと待て…さっきのゲームでシノン、リーファ、シリカをキルしたお前にだけは絶対にそんな目を向けられたくないんだが…」
黒「えっ!?その三人を全員キルしてたのって、アスナだったのか?!」
赤「…えっと……テヘ」
「…アスナ」「「…アスナさん」」
ヘイトが俺に全集中しているのが気に食わず、さっきのゲームの立役者でもあり、もう一人の人狼…インポスター役のアスナがした所業を告発した。
村人…クルー側だったキリトも、俺が最後の犠牲者となったユウキ以外はキルしていないと知って、恋人のまさかの凶行に驚いていた。
まぁ、当の本人は『やっちゃった!』と言わんばかりの反応をしていたが…いや、狙った相手が明らかに私怨を感じる相手ばかりなところを見ると、『殺っちゃった!』にしか聞こえないのだが…
桃「…ううぅ!やられたわぁ…!アスナが途中から怪しい動きしてたし、シリカがキルされた時、一緒にいたから絶対アスナがインポスターだって分かってたのに…まさか一番白っぽい行動をしてたフォンが最後の最後で動くとか…!」
ユ『いやぁ、本当に暗躍してましたね、フォン。一部始終を見てるこっちは怖かったよ』
ア『特に、二番目の被害者であるリーファがやられた時、監視カメラでアスナがキルしていたところを確実に見ていたのに、隠蔽するために自分で通報しに行ってたからね…』
アスナを疑っていたリズだが、どうやら俺の思惑まで予想できなかったようだ。対する第三者的な立場でゲームを見届けていたユージオとアリスも、俺とアスナのプレイに…いや、特に俺の暗躍ぶりに戦々恐々と化していたらしい。
…さて、ここまで第二ゲームのエピローグをお届けしていたが、ここで俺たちが何をしているのかを簡単に解説しよう。
俺たちが今やっているのは『Amoung Us』という集団対人ゲームだ。一般的には「宇宙人狼」という名称で呼ばれていることもあれば、略称の「あもあす」としても知られているゲームだ。
ルールは簡単…村人役であるクルーと人狼役であるインポスターとにプレイヤーたちはランダムで別れ、互いの勝利条件の達成を目指すというもの。
クルー側は裏切り者であるインポスター側を全て排除するか、一定数課せられるタスク(そのゲーム内におけるミッションのようなもので、秒で終わるものもあれば、複数の処理が必要となるものと多岐に分かれ、プレイするマップによっても種類が異なる)を全クルーが達成すれば勝利となる。
逆にインポスター側は、妨害タスク(クルー側の行動を妨害するおじゃま行為)を上手くつかいながら、クルー側をキルしていくか、討論でのミスリードによってクルー側を追放していくなど、生存しているインポスターの人数と同じになるまでクルーを減らすか、緊急タスクという時間内に処理しなければならないクルー側の敗北が確定するミッションを達成する、の二択で勝利を目指していくことになる。
言うなれば、人狼に役割だけでなくリアルタイムでのミッション遂行要素を追加したものと想像してもらえれば大きく違いはないのだろう。なので、クルー側・インポスター側両方に特殊な役割を持たせることもできるのだが…今回はそれはなしの方針でプレイしているわけだ。
ゲームのコンセプトが『自分たちによく似た偽物をやっつける』というものなので、色以外はそっくりな宇宙服を生物にしたような二頭身のアバターを使っているのも特徴で、インポスターのキルする際のモーションがまた人外染みているものもあるため、コンセプトに説得力を持たせているわけだ。
そういうことで、俺が蒼、ユウキが紫、キリトが黒、アスナが赤、リーファが緑、シノンが水色、リズがピンク、シリカが茶色のあもあすアバターを使ってプレイし、そして、一回・二回とゲームを終えたところが現時点の段階というわけだ。
…えっ?どんな経緯でゲームをプレイすることになっただって?
おいおい、ここはおふらいん時空だぜ?そんな細かいことはツッコんだら、馬に蹴られることになるから禁句だぜ?
ユ『フォン、今、誰に向けて喋っていたんだい?』
蒼「それはこの画面の向こうにいるであろう読者のみなさんにだよ」
ア『…あなたがボケると、色々と面倒がから勘弁してちょうだい。というか、フォン…ゲームとはいえ、容赦ないわね、あなた…平然とキルしたり嘘並べての討論をこなすとか…』
蒼「あくまでゲームだからな…命のやりとりじゃなく、勝敗を競うものだから多少の遠慮はなくなるだろう?」
ア『その結果が恋人を大泣きさせることになっていたら世話ないでしょうが』
紫「うわわわあぁぁぁぁ…!」
蒼「…あれに関しては熱が入り過ぎてやらかしたなと反省しております」
通信機と映像ディスプレイを通して、呆れたユージオの表情と疑問の声が届けられるが、いつものお決まり文句で返させてもらった。今回は俺がその役を担っている感じなのだから、多少は見逃してほしいものだ。
…まぁ、アリスのジト目と共に指摘された悲惨な結果には、流石に返す言葉が見つからなかったのだが…うん、いくらゲームでもあれはやりすぎたと、未だに大泣きするユウキを見て後悔の感情がナイフとなって俺の胸にグッサリと突き刺さっていた。
ちなみに、ユージオとアリスは第三者目線ということで、離れた場所からモニターでゲームの流れを見守ってくれている。キル・追放されてゴーストとなったプレイヤーたちとも話せる立場だ。
で、そんな二人から見て「容赦しなさすぎ」「えげつない」と評価される俺がどんなことを第一回と第二回のゲームでしてきたのかというと…
第一回に関しては、全ては偶然から始まったというべきだろう。
…いや、それは過大評価な表現だな。より正確にいうのなら、事故という名の俺のミスからとんでもないことになったわけだ。
…要するに、つい殺ってしまったのだ…
内容を話すと、まず火山みたいなマップで第一回は始まり、まさかのインポスターになった俺はどうするべきかと考えていた。まぁ、初回ということもあって、とりあえず思うがままに皆が動き始めたために、俺は一人スタート地点である会議室へと取り残されてしまった。
考えていてもしょうがないと思い、すぐ右にある部屋へと移ると…何かを見ていたアスナとシノンの姿があった。確かプレイヤーの生死をリアルタイムで判別できるものを見れる場所だったかと思い出し、それと同時にインポスターには妨害タスクを発動できることを思い出し確認しようとして…
…「あっ」と思った時には既に遅かった…
慣れないインターフェイスだったことが災いしたのか、それとも、まさかこうもあっさりとキルされる仕様だと思ってなかったことが裏目に出たか…妨害タスクのコマンドのすぐ近くにあった、キルのコマンドを間違えて押した結果、俺のアバターが口を開けるかのように大きく開き(口のないデザインなのに、どこからそう開くのかと思う時点で、インポスターの特異性を感じたのは余談だ)、そこから勢いよく飛び出した針がアスナの真っ赤なアバターを貫いていた。
「「…(えっ…?)」」
キルされたアスナも、そのすぐ近くにいたシノンも驚かざるを得なかっただろう…俺がそうなのだから。ちなみに、これを見たユージオたちも同じ感想を持っていたらしい。
…突然の殺戮に、呆然とする俺とシノン。しかし、そんな現場にやってきた人物がいて…
黒「…?……!?」
俺たちがいないことを不審に思って戻ってきたのか、それとも、何かの気まぐれなのか(ゲーム後に確認したら前者だったらしい)、黒アバターのキリトが戻って来てしまったのだ。俺とシノンの姿を確認して安堵…する前に、その足元で上半身の骨がむき出しになっているアスナの赤アバターの死体を見つけ、驚いて通報を、
…パン…!
黒「……っ?!」
「あー、これは追放されたか…」と俺が諦めかけている中、報告のコマンドが実行される前に、キリトのアバターの頭を一発の弾丸が撃ち抜いた。
俺は先程アスナをキルしたばかりでクールタイム(今回は20秒に設定されてる)が発生しているため、できない…ならば、キリトをキルしたのは、
水「…(全く…しょうがないわね)」
もう一人のインポスターであるシノンの仕業になるわけだ。その手には小型拳銃が握られており、銃口から漂う硝煙が犯行を物語っていた。
もっとも、さっきアスナをキルしていなかったところを見ると、シノンはアスナの信頼を得ていこうという作戦だったようだ…今回は討論会議以外でのボイスチャットはオフにしているため、クルーもインポスターも意思疎通はほとんど取れない仕様になっている。なので、シノンの目論見を潰してしまった上に、ミスをカバーしてもらうという大変申し訳ない事態になったわけだ。
ジト目と呆れた視線がシノンから注がれているような気がして、思わず動きで謝っておく。ともかく、ここにジッとしていてはまた誰かに見られてしまうと思い、俺とシノンは別々に動き出そうとして…あることを思いつき、そのまま報告コマンドを実行した。
いつもは冷静なシノンも驚いただろうが、声を出さないでいたあたりは流石というべきだろう。システムによって強制的に会議室へと転移させられた他のクルーたちと面した俺とシノン…そこで俺は語った。
蒼「俺とシノンでモニターを見ていたら、キリトとアスナがキルされているのを知り、それで、俺だけが死体を見つけに動いたら、会議室やモニター部屋を出て下に行った場所でキリトの死体を見つけた。しかし、アスナの死体がどこにあるか分からない」と。
言うなれば、情報の錯綜だ…ダブルキルを疑われるところではあるが、『キリトとアスナのキルは同タイミングで起きた』『キリトとアスナの死体は離れた場所にある』という情報をミスリードとして与えたのだ。
このゲームが初回だということも幸いして、しかも嬉しいことにユウキたち4人も全員バラバラで行動していたらしく、逆にアリバイの証明が難しくなっていたので、俺とシノンは第一容疑者の線が薄くなるという想定外の良い結果へと転がった。
蒼「えっと…とりあえず俺とシノンで二人ずつ見張っておくか?」
完全に疑心暗鬼に陥った4人…バラバラになっていたせいで互いの無実を証明できないのだが、それは逆に誰が怪しいとも指摘できない硬直状態が構築されてしまったわけで…とりあえず、打開案として見張りを提案したわけだ。
…この時、共犯者のシノンと傍観していたユージオとアリスは俺を見て、こう思ったらしい。
『表情は普通に笑って見えるのに、その背景にとてつもなく悪魔的な笑みが隠れていた』と。
討論を終える直前、俺はこう付け足したのだ…「緊急タスクが出た場合には、全員で行くようにしよう。でないと、監視外のところでキルされるし、停電の妨害タスクをされると、個別にキルされる可能性が高まる」と。
インポスター側の妨害タスクとして、通路間の扉の封鎖・タスクの進行状況やリストの閲覧をできなくする通信障害・復旧作業を必要とされる停電(クルー側の視界が極端に狭くなる)などが存在する。
あと、一定時間までにタスクを処理しなければインポスター側の勝利となる緊急タスクという妨害も発動できるわけで…このステージでは上部の左右に分かれた装置を二名によって正常化しなければならないギミックになっている。
…おそらく、察しのいいシノンは気づいてくれたのだろう。
ユウキとリーファを見張る俺はキルのコマンドが回復するのを待って、タイミングを見計らって緊急タスクのコマンドを始動させた。
二人がタスクを処理しに行こうと移動するのに追従し、右側の方へと二人が向かったのを見て、反対側の方を処理しようと…見せかけて、俺はシノンたちが来るのを待ち構えていた。
あとは簡単だ…どっちかのタイミングに合わせて、ダブルキルをするだけだった。俺がレーザーによってリズの桃色アバターを吹き飛ばした直後、間髪入れずシノンがシリカの茶色アバターの首を捻りちぎったことで、俺たちインポスター側が勝利したのだった。
ユージオ曰く『完全にフォンがゲームをコントロールしていたのが勝因だったね』と、苦笑いしながら語れ、
「開始して30秒も経たないうちのキルは酷過ぎる」とアスナに凄い視線を向けられた…それに関しては、本当にアクシデントだったのだ、許してほしい…
で、プレイするマップを変えての二回戦…大型の宇宙船をベースとしたマップでプレイすることになったのだが、またしてもインポスターになってしまったわけである。
しかも、さっき事故でキルしたアスナとのコンビ…さっきのことも踏まえると、ちょっと大人しくしてアスナのフォローに回ろうと思い、ひとまずはシノンと行動を共にしようとしたのだが、
水「……っ!」
チャンスと思ったのか、一緒についてきたアスナが容赦なくシノンの首を容赦なく捻り飛ばしたのだ…とりあえず、色々と思うところはあったが、
蒼(あー、さっきのシノンはこんな気持ちだったんだろうな…)
開始1分も経たないうちにキルされたのを眼前で目撃するのはこんな気分になるんだなと思い、俺は地面に倒れ伏したシノンの亡骸を見ていた
…対するアスナは何もなかったかのように、右のウェポンルームへと颯爽と向かってしまった。おいて行かれた俺はとりあえず来た道を引き返し、上部カフェテラスから下へと向かい、管理室へと向かった。
そこでカード―キーのタスクをしていたキリトやシリカと合流し、俺も同じことをしているフリをする…さっきインポスターだったこともあり、何度も失敗しているかのように振る舞う…30秒ぐらい掛かってようやく終えたようにすると、終わるまで待っていてくれた二人に追従しようとしたところで、シノンの亡骸が発見されたとされて会議へと入る。
桃「さてと…あたしとユウキが死体を見つけたんだけど…他の面々は何してたの?」
どうやらリズとユウキがシノンの亡骸を見つけたらしく、最初からずっと一緒に行動していたこともあって、今回の犯行は自分たち以外だということでアリバイを聞かれた。
アスナとリーファは互いにソロで行動しており、移動中に中央下部にある保管庫ですれ違ったことを報告していた。一方のキリトとシリカも最初から一緒に行動しており、途中から俺が合流してきたことを告げた。
まぁ、そうなると…途中で合流したという俺に疑いの目が向く訳で、
桃「ねぇ、フォン…まさか二連続でインポスターになって、シノンをキルしてから合流したんじゃないでしょうね?」
蒼「いやいやいや、その偏見で追放されるのは勘弁してくれ…初めてクルーになって、コマンドの位置を確認してたんだよ。さっきミスったのもあったから…で、色々弄ってたら出遅れて、とりあえず誰かと一緒にいないと思って、下に行ったらキリトたちがいたんだよ」
紫「あー…えっ、シノンが死んでた場所を通って?」
蒼「えっ、死んでた場所…?いや、俺カフェテラスから真下に下りただけなんだけど、その先に死体があったってこと?」
桃「…これ、本当に分かってないっぽいのもあるわね…あたしたちは左から大回りしていって、それでウェポンルームのタスクをこなしにいった時に発見したのよ」
ア「あっ、それ私が一番最初にやったよ、タスク…でも、しののんの死体はその時見見かけなかったよ?」
リズの追及に考えていた言い訳を並べていく…ユウキがさらりと追撃を掛けてくるも、本当に死体の場所を分かってないフリをして答える。
俺の言い分に一応の納得はしたのか、経緯を説明し出したリズに、アスナが虚偽の情報を混ぜ込む…これで犯行時刻を少しばかり誤魔化す算段なのだろう。
黒「じゃ、シノンと一緒に行動していた奴は誰もいないってことなのか?」
茶「…でも、フォンさん、カフェテラスに最後まで残っていたのなら、誰がどの方向に行ったのか見てるんじゃないんですか?」
蒼「えっとだな…アスナとリーファが真っ先に動いてそれぞれ右と左に、その後にキリトとシリカが下に行って、最後にシノンが右に、リズとユウキが左にそれぞれカフェテラスを出ていった感じだよな」
桃「…ってことは、やっぱり怪しいのはアスナにリーファ、それとフォンってことね…少なくともこの三人の中に一人はいるのは確実ね」
緑「それじゃ、あたしとアスナさんがコンビを組みます?それなら、どっちかがやられた時、片方を吊ればいいですし…」
ひとまずは様子見ということで解散となり、再び自在に動けるようになったことでバラバラになっていく中、キリトとシリカについていきながら、俺はどうしたものかと考えていた。
ちょっとでも怪しいことをすれば確実に吊られかねない事態だ…だからといって、アスナも疑われているため、行動に制限が掛かっていた。今はもう少し静観するべきかと、キリトたちに追従して、タスクをするフリをしていく。
一分ほど経った頃、原子炉に立ち寄った時、いきなり停電の妨害タスクが起こったのだ。それがアスナが仕掛けたものだと気付いた俺は、修理ではなく監視カメラが見れるセキュリティルームへと向かった。
…そこで見たのは、上部エンジンのすぐ近くで斃れているリーファの亡骸だった。いつの前にやったのかとドン引きしながら、俺はカフェテリアへと向かおうとした。停電が回復する前に、死体の隠ぺいを図ろうとしたのだ。
が、それよりも早く事態が動いた!丁度リーファの亡骸のすぐ傍を通ろうとした直後、別の通報コマンドが実行されたのだ。
何事かと思い、強制集合される俺たち…それはアスナ発信で、シリカがキルされたことを告げるものだった。
蒼「ちょ、ちょっと待った!えっ…さっきまでシリカはキリトと一緒にいただろう?なんでキルされてるんだよ!?」
黒「いやいや、俺じゃない!停電を一緒に直しに行ってると思って、電気室で作業をしてたらいきなり通報になったんだよ!というか、フォンは何してたんだよ!」
蒼「いや、俺は全員で行くのは危険かなと思って、監視カメラで全員の動きを見張っててさ…暗闇中でもカメラ見れるから、一番インポスターが狙ってくるかなと思って、逆に罠を張ってたんだけど…あのさ、停電前に俺とキリトたち以外に上部エンジン側行った奴いるか?」
赤「…どうかな?私は管理室にいたから、下の保管庫を通って行ったから通ってないよ」
桃「あたしも右下の通信室にいたから…でも、タスクが先に終わったユウキが先に保管庫の方に行ったから、アリバイ照明できないのよね」
紫「ボクも保管庫通って管理室に行ったらアスナがいて…そこで停電になった感じかな」
蒼「うわぁ、マジかよ…いや、停電になってすぐにカメラを見たら、上部エンジンとカフェテリアを結ぶ廊下にリーファが倒れたんだけど…で、そっち通報しないと思って向かってたら、シリカのキルが報告されたんだけど…シリカはどこでやられたんだ?」
赤「電気室よ…多分、私が一番について停電を復旧させたんだけど、復旧画面を閉じたら、何故か通報コマンドが機能してたから、慌てて押したの」
黒「多分、フォン以外全員来てたよな…けど、アスナが言うことを信じるなら、誰がどの順番で来たのかは分からないな」
桃「えっ…もうこれ吊らないとマズいわよね…どうする?怪しいのはフォンかアスナだけど…」
紫「これ、吊る人間違えたら負けだよね?」
蒼「…だな。いや、俺はもうシリカのキルに関しては関与してないし、そもそもリーファの死体を見つけた側だからな。それで通報するのって、怪しまれてる時には悪手だと思わないか?」
黒「その理論でいくとアスナもなんだよな…えぇ~、誰を吊ったらいいんだよ」
桃「…あぁ~、もう!?こうなったら、互いの思うがままに入れましょう!」
討論の制限時間が迫り、答えがでないまま焦ったリズの言葉に全員が思うままに投票を入れた。すると、アスナに二票、俺に二票、とまさかの同票という結果に誰も追放されないという最悪の事態に陥ってしまったのだった。
…まぁ、俺がどうするべきかと迷っている内に投票できず、票が偶数になったことが幸いしたようだ…アスナは容赦なく俺に票を入れてきていたが…
そして、こうなったらもう一度会議を開こうとクルー側が慌てて実行しようとするも、討論終了から10秒は招集ボタンでの討論は開けずに、更に最悪なことにアスナは停電の復旧タスクを完全に終わらせていなかったらしく、周囲一帯は未だ停電状態となっていた。
実は、緊急タスク状態中は招集ボタンでの討論が実行できないのだ…それに気付いたリズが慌てて直しに向かうも既に遅し…15秒の初期クールタイムが終わったキルコマンドが復活し、停電が復旧した直後、最も近くにいたユウキに近寄り、キルを実行したのだ。
…それで、俺とアスナが勝者となり、俺というか、インポスター側が二連勝となったわけだ。
そんなこともあり、全員がゲームに慣れたことで最後となる三回目が始まることとなった。今回のマップも前回と引き続き、宇宙船でプレイしていくことになった。
「「「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」」」」
それぞれの役職を理解し、一斉に動き出した。今回は俺も慣れたこともあり、スムーズに動き出せれた。前回と異なり、まずは左から行ってみようと動き出すと、シリカとリズが俺に追従してきた。
俺を見張る目的か、それとも、偶然行き先が重なったか…ともかく、まずはタスクを確認しながら、道なりに歩んでいくことにする。今回のタスクは、
・管理室でカードをスワイプする
・三か所の配線の修理
・ウェポンルームで小惑星を20個撃破する
・シールドルームでシールドの準備をする
・原子力室でゴミの排泄処理をする
の五つのようだ。まずは原子力室からかと思い、廊下を左に曲がる。タスクをこなす箇所が光で強調され、俺はその前に立つ。
すると、ついてきたリズとシリカも原子力室へと来たが、シリカは俺と同じように壁の前に立つも、リズだけは離れた場所でこっちを見張っているようだった…警戒するのは分かるが、どうにも気まずかった。
ともかく、大体やり終えたところでその場を離れ、今度は俺が見張りをすることにした。代わりに、リズもそのタスクをやり始め、シリカもタスクを終えたようでそこから離れていた。それで、リズが終えたことも確認し、俺たちは原子力室を後にする。
その際、隣のセキュリティルームで監視カメラを覗いた…10秒ほどカメラを見ていたが、映像として映し出される4か所に人は通るものの、怪しい動きや亡骸は見受けられなかった。
他の面子の動きを確認したかった程度なので、カメラを見るのを止め、次のタスクをしに行こうとした…その時、宇宙船が停電状態になった。復旧にむかうようであるリズとシリカの背中を追って、俺も電気室へと入る。
見ると、既に他の面々も到着しているようで、俺は最後だったようだ。復旧させるための配電盤の前に立ち、ブレーカーを正しく上げようとした時だった…復旧画面が通報通知画面へと変わり、俺たちはカフェテリアへと強制集合させられた。
紫「えっとね…アスナが電気室でやられたんだけど…みんないたよね?」
黒「だな。ちなみに、アスナは俺と一緒に行動してた」
水「私はリーファとユウキと一緒だったわ」
茶「私はリズさんとフォンさんと一緒にいました…フォンさんが怪しいのもあって、とりあえず見張っておこうかなって…」
桃「今のところ、怪しい動きはないわね」
蒼「やっぱり俺を見張りに来てたのか…ユウキが通報したってことは、ユウキが停電を復旧させたのか?」
紫「うん…直ったから画面を閉じたら、通報コマンドが出てて…それでアスナがキルされてるって気づいたんだ」
緑「問題は…この場にいる全員が容疑者ってことですね」
暗闇に紛れての犯行…被害者だけでなく、容疑者までもが全員集合という誰の犯行から探りづらい状況に、一同に沈黙が漂う。
紫「…もうとりあえずフォンを吊っておくのでいいじゃない?」
蒼「ちょっと待てぇい!?そんな理不尽な…!」
桃「まぁ、二度あることは三度あるっていうし…」
水「別にここで一人減ろうと、負けるのに比べたらね」
蒼「…マジで吊られる流れじゃないか、これ」
紫「フォンは吊られたくないの?」
蒼「当たり前だろう!インポスターじゃないのに…!」
黒「そう言っておいて、前回・前々回でやらかしてるからな」
蒼「…あー、分かったよ!別に吊るのはいいけど、せめてちょっとだけ猶予をくれよ!誰か俺を見張って、それで何かあったら吊ってくれていいから!」
緑「ど、どうします…?あたしも吊ってもいいかなって思うんですけど」
紫「…でも、ここまで言うのならインポスターでもないのかも…ボクが一緒に行動して、抑制しておくから…もう一人のインポスターもいるのなら、そっちを突き止めてからフォンを吊るのもありかなって…停電になって誰かキルされたら、もうフォンが確定ってことでいいじゃない?」
完全に吊る流れになっていたが、流石に可愛そうかと思ったのか、提案した筈のユウキが助命を申し出たことで、ユウキが俺を見張ることになり、その場の会議は終了となった。
他の面々がカフェテラスから出ていく中、俺はユウキと二人っきりになる。いつまでもここにいてもしょうがないため、ユウキについていく形で俺もカフェテリアを離れる。
とりあえず残っているタスクを片付けるべく、ウェポンルームに行くと…廊下に入った直後、カフェテリアに通じていた後ろの扉が妨害で閉じられてしまった。当分、こちらの通路は通れなくなってしまったため、今は前に進むしかない。
ウェポンルームで時間を潰し、そのまま配線修理のタスクの一か所である一番右奥のナビゲーションに向かう。そこでやることをやり、今度はシールドルームに向かう。
ユウキの思惑に感心しつつ、先導するその背を追っていく…さっきは追い詰めてきた時はヤバいと思ったが、今はこうして庇ってくれている姿にちょっと安堵していた。まぁ、まだまだ油断はできないのだが…
管理室で二つのタスクの場所へと立ち寄り、あと行ってないのは配線の修理のタスクである配電室の奥だけとなる。このまま全て完遂させようと移動しようとすると、二度目の通報コマンドが実行され、カフェテリアへと転移する。
緑「えっと…シノンさんがキルされてるのを見つけたんですけど…ユウキさん、どうでしたか?」
紫「ずっと見てたけど、まずシノンとすれ違ってないよ…というか、いきなり序盤で扉によって分断されかけたくらいだったから、ボク的にはフォンに罪を着せたい人がいるのかなって思ってたのが、それが更に深まった感じかな」
茶「えっ!?妨害でそうされそうになったってことですか?」
黒「今、俺はリズと一緒に原子炉にいるんだが…さっき合流したばかりでなんとも言えないな」
桃「というか、リーファ…シノンはどこでやられたの?」
緑「ナビゲーションですね…タスクがあるんで、それをしに来たところでやられたのではと…」
桃「あのね…あたし、キリトに合流する直前に監視カメラを数秒見てたんだけど、誰も直近そこ通ってないのよ…シノンも見てないから、あたしが見る前にやられたと思うんだけど…」
蒼「…あれ…でも、そこって確かベントで繋がってなかった?」
「「「「「…えっ?」」」」」
俺の発言に、全員が硬直する…どういうことか全員の視線が俺に集中する中、俺はそのワードに説明していく。
蒼「インポスターは地下に張り巡らされた通気口…ダクトを通ることができるんだよ。クールタイムが回復しないとかのデメリットもあるけど、通路を通らずに部屋から部屋を移動できるから、監視カメラに見られずに移動できる時もあるんだよな…」
茶「ちょ、ちょっと待って下さい…ってことは、もしかして…」
紫「リーファ…やっちゃった?」
緑「えぇぇ?!ち、違います?!あたしじゃないです!」
桃「でも、フォンがやってないのをユウキが証言してて、通路を通ってないのを見ると、監視カメラで見られているのに気付いて、狂言で通報したって可能性も…」
緑「そ、そんな…本当にあたしじゃないです?!」
蒼「えっと…どうする?一応吊っても、俺たちクルーの負けには直結しないが、人数的には大分厳しくなるぞ?」
桃「…リーファには悪いけど、吊っておきましょう。前回のことを考えると、一人でもインポスターを吊っておかないと負けることになるし…」
非情な決断ではあったが、リズの意見に従い、リーファ以外の全員が投票したことで、緑色の宇宙服が船外へと追放されることになった。
緑「あたしじゃないのにぃぃぃ~…!?」
そんな断末魔が聞こえ、リーファの声はシャットアウトされた。あとはいるであろうもう一人を吊ることができれば、クルー側の勝利となるのだろう。
こうなったら、俺も吊ろうとリーファを追放する直前で議題に上がり、全員がカフェテリアへと留まっていた。招集ボタンの初期クールタイムが終わるのを待っている中、そこに妨害タスクが発動された。
インポスターの最後の足掻きかとクルーは感じただろう…ユウキを残し、全員で左奥の原子炉に向かう。この緊急タスクは原子炉が停止したものであり、二人で上下の制御パネルを正常化させなければならないのだ。
キリトとシリカが上に行くのに対し、俺とリズが下の制御パネルを直しに向かった。比較的時間の余裕があったことにより、すぐに正常化に成功した。これで、あとはカフェテラスに残ったユウキが招集ボタンを押せばいいわけだ。
が、しかし…いつまで経っても会議が開かれず、原子炉にいたクルーたちは困惑していた。とりあえず、全員で戻るかと廊下へと渡り、来た道を引き返していく。
カフェテリアが見えたところで、ユウキが招集ボタンの前に立っているのが見えたのだろう。無事であったことに安堵しつつ、どうして招集を掛けないのかと疑問を持ち、代わりに押そうとしたキリトだったが、
黒「…がぁ…!?」
その手がボタンに届くことはなかった。
簡単なことだ…その前に立ちはだかったユウキの口元が大きく避け、飛び出した針がキリトの黒い宇宙服を突き刺していたからだ。
そして、必要なないとは分かっていたが…それと同時に俺は背後からリズの背中を銃で撃った。
何が起こったのか…自分たちの画面に『you lose』と表示されてもすぐには呑み込めなかっただろう。
もちろん…インポスター側であった俺とユウキの画面には『you win!』のリザルト画面が出ていたわけだが。
ア『彼氏が彼氏なら、彼女も彼女ね…見てて、本当は意志疎通ができてるんじゃないかと思ったわ』
最終ゲームを終え、未だに現実が受け入れられず呆然とするクルーたちに対し、先にキルされたり追放されたりしたアスナ、シノン、リーファが慰めの言葉を掛ける中、一部始終を見ていたアリスの評価が俺とユウキに投げられていた。
ユ『うんうん…最初の停電の時にアスナをフォンがキルしたのは偶然だったんだろうけど、まさかユウキが庇うどころか、責めるとは思ってもなかったよ』
紫「あれはちょっと失敗したなと思ってさ…本当はボクとフォンが共犯だって疑われたくなかったから、ワザと距離を取ろうとしたんだけど、フォンが吊られそうな流れになって焦ったよ」
蒼「いや、あれは俺も焦ったからな…まぁ、ユウキが証言者になってくれたおかげで、その次に立ち寄ったナビゲーションでシノンをキルできて、おまけにリーファに罪を着せられたからな」
紫「あれは申し訳ないことをしたよね…それに、インポスターをしていたメンバーがもうキルされてたから、ベントみたいなそっち側の知識がクルーサイドになかったのも助かったね?」
ア『さらりと嘘をぶっこむ上に、最後の待ち伏せはもう見てるこっちが可哀そうに思えてきたわよ、あれ…あんたたち、鬼よ』
まぁ、確かにあれは焦ったわ…ユウキが容赦なく俺を切り捨てるのかと思える態度だったからな。まぁ、なんとか取り繕ってくれたお陰でキル+エスケープゴートができたから、かなり美味しい結果に繋がったからな。
赤「フォン君、私に恨みでもあるの?二度も殺すなんて…」
蒼「いや、一回目もさっきも事故というか、二回目に関しても完全にランダムだったんだよ…とりあえず誰か一人キルできたらみたいな感覚だったから」
緑「あたしの場合、完全に濡れ切れだったんですけど…」
蒼「悪い、リーファ…人狼だから仕方ないと割り切ってくれ」
水「…あんた、一回目助けてあげた恩をこんな形で返すとはいい度胸してるじゃない」
蒼「あー…すまん、キルできる場所にいたのがシノンだったから…つい…」
キルされたヒロインズから抗議の声が上がってくるが、そういうゲームなのだからしょうがないだろう。責められてもどうしようもないのだ。
桃「…というか、三回全部インポスターってどんな確率よ!?」
蒼「えっと…21,952分の1の確率だな」
茶「どんだけ豪運なんですか…やっぱり次からフォンさんは真っ先に吊った方がいいじゃないですか?」
黒「そういう時って、大体クルーだったりするんだろうな」
完全に最初から最後までやられっぱなしだった一同が俺を苦々しい視線で見てくる。俺だって好きで引いてるわけではないので、多少は勘弁してほしいところだ。
『フォンに人狼系のゲームをやらせる時は、どんな立場であっても疑ってかかった方がいい』…そんな変な教訓が生まれたことはいうまでもないだろう。
なんというか、こういう心理戦が主となるゲームになると、フォンが滅法強いイメージがあるんですよね。そして、容赦なくキルする姿とかも…なんやかやで割り切るタイプですからね(黒笑)
傍から見てたユージオとアリスが何度もドン引いていたとは思いますが…
これにて、200回記念のほとんどは終わりです!
次回からキャラエピの更新に突入してまいります!まずはキリト編から…今のところ、2~3話辺りを予定してますので、是非ご期待頂ければと思います。
…まぁ、今週大分無茶をしましたので、来週の更新はお休みさせて頂きます…
それでは、また!
P.S. 本日21時に別のお話を投稿する予定です。こちらではなく、別の作品枠になりますが、ご興味のある方は覗いて頂ければありがたいです。
…200…?
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