ソードアート・オンライン~夢幻の戦鬼~   作:wing//

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お待たせしました!
キャラエピ編、本話より開幕です!

次章以降にも繋がる要素も多めの、オリジナルストーリーになります。
あっ、基本キャラエピはシリアス7割なので、ご注意ください(特に前話までおふらいんエピソードだったので、温度差がエグイことになってます(苦笑))

それでは、トップバッターとなるキリトのエピソードからどうぞ!


キャラエピソード1
キリト編① 「月夜の鎮魂歌」


「……ぁぁぁぁぁ…」

 

「なんつう声を出してんだよ、お前は…」

 

9月1日…オールメンバーでの花火大会を終えた翌日、帰還者学校では二学期の始業式を迎え、学校自体は午前で終わったわけだが…眼前で幸せが逃げそうな溜息を吐く友の姿に、俺は苦笑いを浮かべるしかなかった。

 

「…いや…なんかあっという間の夏だったなと思ってな」

 

「それ、ユウキも似たようなこと言ってたぞ?」

 

「…そもそも…始業式で始まったばかりだっていうのに、月末に運動会をやるってどういうことだよぉ!?」

 

「それに関しては半分同意するわ…半分だけな」

 

溜息から絶叫へとコンボを繋げる戦友…影妖精族アバターのキリトにちょっとだけ同情しつつ、俺は湯気の立つ紅茶が入ったカップに口をつける。

 

授業が早めに終わった今日…それぞれ帰路についたあと、俺たちはALOにダイブし、各自思うがままに行動していた。

 

ユウキはカーディナル…カナデを誘ってスリーピングナイツと一緒にクエストに、アスナはユイちゃんやリズ、シリカと食材採取に、といった感じで出掛けていた。

 

ユージオとアリスは朝からALOにダイブしているらしく、どうやらフレンドの追跡機能を見ると、新生アインクラッドの迷宮区に潜っているようだ。

 

…で、留守番をすることになった俺とキリトは、偶にはのんびりしようということで、キリトたちのログハウスにて和んでいたわけだ。

 

まぁ、勉強片手に話をしていたのだが、キリトは学校で今日告げられた出来事に頭を抱えていた。まぁ、インドア派のキリトからすると、頭を悩ませるイベント…まさかの運動会を帰還者学校で9月30日にやろうという通達があったわけだ。

 

キリトの気持ちも分からんでもないわけだが…俺的にはちょっと楽しみだったりする。もともと体を動かすのは好きな方だし、何よりユウキが滅茶苦茶燃えていた(らしい…同じクラスのシリカが『通達を聞いた時に目を輝かせていた』と教えてくれた)のだから、俺が楽しまないわけにはいかないだろう。

 

…とりあえず、先の話をしてもしょうがないので、別の方へと話を戻そう。

 

「そういえば、キリト…月末といえば、来月の大型アップデートに関してだけど…」

 

…コンコン…!

 

現実の憂鬱な話よりも、キリトが好みそうなALOの話でもするかと持ち掛けようとした時だった。

 

来客を知らせるノック音がドアから聞こえ、言おうとしていた言葉が途切れた。住居人であるアスナやユイちゃんがノックする必要はなく、そうなると、知人の誰かということになるだが…とりあえず、来訪者の正体を確かめようとキリトが迎えに行くと、

 

「よ~、キー坊。暇してたカ?」

 

「アルゴ…珍しいな、お前の方から来るなんて」

 

「おっ、フォン坊も一緒だったのカ。まぁ、立ち話もなんだから、とりあえず中に入れてくれヨ」

 

ドアの外に立っていたのはアルゴさんだった。キリトの言うように、アルゴさん本人から尋ねてくるというのは確かに珍しく、アルゴさんの方も俺が一緒にいることに気が付き、まずは家に入れてくれとのことで、中に招き入れる。

 

「キー坊、コーヒー…ガムシロマシマシでな」

 

「へいへい……で、今日は一体どうしたんだよ?」

 

客人らしく…というか、アルゴさんらしいいつもの態度での要求に、慣れた態度で応えていくキリト。俺もキリがよかったのもあって、勉強道具を片付け(こういう時にストレージに放り込めるのが、ⅤRの便利なところだ)、飲み物を持ってきたキリトと並んで、話を聞くことにした。

 

「まぁ、事後報告というカ……言うべきかどうか迷ったってたんだが…キー坊にはやっぱり伝えておいた方がいいと思ってナ」

 

アイスコーヒーに口をつけ、今日来た用件を告げるアルゴさんの口調は…珍しく迷いを感じさせるものだった。キリトにということは、俺はそこまで関連しない話題なのだろうが、同席を黙認されていることからすると、全く関係ない話ではないのだろう。

 

「まぁ、本題が何かといえば、先々月にキー坊たちが巻き込まれたアンダーワールドに関することなんだけどナ」

 

「アンダーワールドの…?もしかして、人界大戦のことか?」

 

「そうダ。キー坊たちやアンダーワールドに生きる人々の救援のために、ALOやGGOを中心とした日本のVRMMOプレイヤーがコンバートしてくれたことは分かっているよナ?」

 

「ああ…本当に、みんなには感謝してもし切れないぐらいだよ…リズたちだけじゃなく、サクヤさんたちALO領主勢やスリーピングナイツ、シンカーさんやディアベルたちSAO生還者メンバー、それにエイジ…いや、ノーチラスたちまでもが来てくれたもんな」

 

「…帰って来てから、その全員にお礼参りに行くのが大変だったけどな」

 

俺たちが眠っている間、フラクトライトたちを懸命に守ろうと闘ってくれていた面々には感謝するしかない。あのカレットやエイジたちも駆けつけてくれたのだから、俺たちからすれば感慨深くもなる。

 

…まぁ、その後、関わった面々に挨拶周りに行かねばならなくなったのだから、もう色々と大変だった。

 

先に現実世界に戻れていた俺とユウキも色々と巡ったものだ…ALOの風妖精族・猫妖精族の領地に赴いて、サクヤさんやアリシャさん(前までアリシャ・ルーさんとフルで呼んでいたのだが、仰々しいから止めてくれとその時に言われた)に会ったり、GGOに再コンバートして御礼を言いに行ったり、ダイシーカフェでディアベルを通してシンカーさんたちにお礼を伝えてもらったり(その時に、ユウキとディアベルが初めて顔合わせしたのもあったが)…帰って早々、本当に大変だったわけだ。

 

…その時にサクヤさんたちからとんでもないお願いをされたこともあったが、まぁ、今は置いておこう。

 

ちなみに、火妖精族のユージーン将軍のところにもお礼に行ったのだが、

 

「礼など無用だ…全力で闘える相手がいなくなるのはつまらんからな」

 

と一蹴されてしまった…ALOを始めたばかりの頃に、疑似二刀流を使った俺に負けたこともあってか、キリトと同じく好敵手認定されているのは喜んでいいのかどうか微妙なところだが…ユージーン将軍らしい答えだとも思った。

 

で、そんな将軍と似たような反応をしたのが、

 

「あんたらに礼を言われる覚えはない。俺とカレットが、自分たちが思うままにやったことだからな」

 

…と、素っ気なく返してきたエイジ…いや、ノーチラスとカレットの二人なわけで。まぁ、黒ユナが、

 

「本当は嬉しいんだけど、貴方たちの前で見せるのがちょっと嫌なだけだから、気にしないであげてね?」

 

こっそりとフォローの言葉をしていたわけで…こちらも無理に距離を詰めようというわけでもなく、彼らの意志を尊重しようとなったわけだ。

 

…そんな感じでお礼回りをしに行き、遅れて帰ってきたキリトとアスナも夏休み中、VRMMOをプレイしている時間の半分をそちらに割かれたりもしたわけだ。

 

「でも、どうして今更その話を?アルゴさんから伺った人たちへのお礼参りは全部終わらせたと思うんですが…」

 

そもそも、協力してくれた面々のことを教えてくれたのはこのアルゴさんだ。なのに、9月の初日…一応は終わった話であるそれを今さら掘り起こしてきたアルゴさんに、俺はどういうことかと目線と共に尋ねる。

 

すると、苦々しい表情をするアルゴさんという珍しい光景に、俺はキリトと顔を見合わせる。SAOでは色々とあったこともあって時折見ていた表情だが、いつも飄々として裏表を感じさせないアルゴさんの性格からすれば、用件はあまりいいものではないことは確かなのだろう。

 

「…その、ナ……実はキー坊たちには黙っていたことがあってナ。話すべきかどうかずっと迷ってたんだが…やっぱり言っておいたほうがいいじゃないかって思ってナ」

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

躊躇いながらも、真剣な態度に変わったアルゴさんに、俺とキリトも思わず背筋が伸びる。そして、アルゴさんの口から出た言葉は、

 

「…『月夜の黒猫団』」

 

「「っ!?」」

 

聞こえてきた言葉に、思わず息を呑んだ…忘れるわけがない。特にキリトにとっては忘れられるわけがないその名前が、アルゴさんから出たことに驚くことしかできない。

 

確かにSAO時代、その一件でアルゴさんは多少関わっていたこともあったが…その名前が今出てくる意味が分からず、俺たちは困惑するしかなかった。

 

「オレっちもあのアンダーワールド大戦が終わって、しばらくしてから知ったんダ。どうも、ディアベルが彼らを知っていたらしく、それであのコンバートでの介入時に二人がいたことに気付いたらしい。

で、そのことを知って、オレっちなりに調べてみたら…二人はどうやらALOをプレイしているみたいなんダ」

 

アルゴさんが言い淀むわけだ…これは確かにキリトに伝えるべきかどうか迷う案件だ。しかし、最終的には知っておいた方がいいと判断して、伝えてくれたのだろう。

 

「…大丈夫カ、キー坊?」

 

「…!あ、ああ…大丈夫……いや、悪い。ちょっと…」

 

「…分かった。悪かったナ、いきなりこんな話をして…また改めるヨ」

 

それでも…キリトにとってはショックが大きすぎた筈だ。アルゴさんが心配するように、その顔は真っ青になっていた。

 

この状態で話すべきではないとアルゴさんも思ったらしく、ひとまず出直すことにしたらしい。去り際の目が『あとを頼む』と言っていたのに、軽く頷くことで応え、出て行くアルゴさんを見送った。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

残された俺たちに漂うのは気まずい沈黙だった…キリトは当然、事情を知る俺からしても、なんと話を切り出せばいいのかと考えていた。

 

とりあえず、このままでいてもしょうがないと思い、呆然としているキリトの首根っこを掴み、

 

「ちょっと付き合え、キリト」

 

「うぉ!?な、なにすんだよ、フォン!」

 

「まぁまぁ…大人しく付き合えって」

 

俺のいきなりの行動に慌てるキリトの抗議を軽く受け流し、首根っこから左腕へと掴む位置を変えて、キリトをログハウスから強引に連れ出した。

 

 

 

「…ほら、キリト。乾杯」

 

「か、乾杯…」

 

されるがままに連れてきたキリトにグラスを手渡し、強引に乾杯でグラスをぶつける。

 

買い物を済ませ、新生アインクラッドを飛び出して辿り着いたのは、俺が使っている工匠妖精族アバターの領地から5分ほど飛行して来れる森の一画…その中でも、周囲の森と比較して、突き出ている高さを持つ木々が立ち並ぶ中、ある一本の木の枝に腰かけた俺とキリトはいた。

 

月の光が仄かに照らす中、周囲は風と時折聞こえてくる動物の鳴き声が静かな空間を形成しており、これから話すことを踏まえればムードとしては十分なものだろう。

 

いきなり知らない場所に連れてこられたこともあり、驚いていたキリトだが、とりえあず乾杯はしてくれた。

 

「いつも食べてるアスナの手料理に比べたら負けるだろうが、偶にはこういうつまみを食べながら一杯するのもありだろう?まぁ、一杯すると言いながらも、ノンアルコールだけどな」

 

「あ、ああ……ここって、結構有名な場所か何かなのか?」

 

「いや、全然…昼間は硬質的な性質を持つ木材が採れる採取スポットしては有名だが、俺たちが乗ってるこの『エルメダス・ツリー』は日光が当たっていない間は、異常なまでに硬くなる…破壊不能オブジェクト化するっていう性質があって、夜はほとんど人が訪れないんだ。

だから、人の耳を気にすることなく、静かな空気を味わえる…ってことで、結構前はよく訪れていたりもしたんだ…まぁ、ユウキと付き合いだしてからはほとんど来てなかったけどな」

 

「…そう、なのか…」

 

「ああ…だから、誰かを伴ってというのはお前が初めてだな。ある意味、一人になりたい時とかに来る隠れ家みたいところで俺は考えてたからな」

 

ノンアルコールではあるが、結構辛めのタイプのジンジャーエールを選んだこともあり、喉を潤すのと同時に、その辛さが染みてくる。キリトの好みに合わせた飲み物・おつまみにしたが、目的はプチ宴会ではないこともあり、俺たちはしみじみと飲み物を飲んでいるだけだった。

 

「…なんか意外だな。フォンでもそういう風に…一人になりたいって思うことがあるんだな」

 

「ソロプレイ好きなお前に言われるのはどうかと思うが…それはもちろんあるさ。ユウキと付き合う前は、何度お前らの甘々空間に胸やけを覚えたことやら…」

 

「それは…悪いとは思うけど。そもそも、俺とアスナの関係を知っておいて、くっつけようとSAOの時に画策していたお前にだけは批難される権利はないと思うんだが」

 

「別にくっつけようとはしてなかったぞ。ただ邪魔をしては悪いなと思って、色々と遠慮してただけだ」

 

「それをくっつけようとしてたって言うんだろうが…あと、甘々空間に関してはお前とユウキとの絡みも大概だからな」

 

「…それに関しては否定しない!」

 

「開き直るなよ!?」

 

いつもとはまた違う、けど、キリトだからこそ見せられる態度で揶揄い、揶揄われ…馬鹿なやりとりをしていると、沈んでいたキリトの顔にも少しだけ生気が戻ってきた。

 

「…どうだ?多少はモヤは晴れたか?」

 

「……ちょっとはな。でも…」

 

こちらの問いに言い淀むキリト…その先が言わんとすることは、言わなくても十分に伝わるものだった。

 

「…まぁ、難しいよな。過去の後悔と向き合うのは…」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

俺がそうだったからこそ、キリトの気持ちが痛いほどに理解できた。特に、キリトの場合はもっと重たいものだ…死銃事件のものとは異なる、より自身が原因だと感じているのだから尚更だ。

 

「…俺は…どうするべきなんだろうな…」

 

「…もう答えは出てるんだろう?」

 

ポツリと零れた問いに、俺ははっきりと指摘した。そう言われるとは思ってなかったのか、目を丸くしてこちらを見るキリトに、肩を竦めながら笑う。

 

「何年一緒にいると思ってるんだ。アスナよりも深い付き合いをしてるだから、お前の考えてることぐらい、察しがつくさ」

 

「ハハッ…そうか……顔に出てたか?」

 

「というよりも、キリトだったら多分そうするんだろうなと思ったのが大きいな。死銃事件の時もそうだったし」

 

「お前やアスナの前だと隠し事ができないような気がしてきたよ」

 

「…伊達に彼女から『隠し事が上手い』って皮肉は言われ慣れてないからな」

 

自虐を交えてのジョークにキリトもクスリと笑ってくれた…俺の場合、次そんなことしたら、滅茶苦茶怒られることが確定しているので、実は笑えるものではなかったりするのだが…

 

「キリト…月夜の黒猫団のあれは…お前のせいじゃない」

 

「…いや、フォン…それは…」

 

「確かに、お前がレベルや実力を偽って彼らと一緒にいたのは事実だ。でも、それとあのトラップでの出来事はまた別のことだ。命が懸かっているからこそ、誰もが慎重にならないといけなかったのがあの世界だ…

もし、お前に全てが原因があるっていうのなら…それなら、俺にだって責任や原因があるってことになる…あの時、お前をこっそりと見張るような真似をせず、堂々と合流していたら?お前たちを見失っていなかったら?…そういう話になってくるだろう?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

そんなことはないと言いたげなキリトを目線で沈黙させ、俺はあの時には告げられなかったことを、別世界からの傍観者ではなく、共に苦難を乗り越えてきた友としての言葉をキリトに掛けた。

 

「何かの力を持っている=何かをしなければならない、っていうことじゃない…何かをしようという心があってこそ、力が伴ってくるじゃないかって俺は思う。お前がアンダーワールドで、ガブリエルって名乗ってたあのヤバイ奴を打ち倒した時のようにな…

力があるから、できることがあるから…確かにそれも素晴らしい考えだとは思う…けど、それを義務として捉えちゃいけない…それに呑み込まれれば、自分の心を殺すことになりかねないぞ」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

その言葉の…いや、俺の真意をキリトは理解してくれているだろう。

 

今、言ったことは過去の俺そのものだ…ユウキやカーディナルだけでなく、キリトにも俺がどうして記憶喪失もどきになっていたのかは、簡単にではあるが、キリトたちが無事に帰ってきた後に、伝えていた。

 

キリトは優しすぎる…俺への罪悪感で己を殺そうとするほどに。だからこそ、どこか俺と似たようなことに陥るんじゃないか…そんな危機感を、今回の一件に感じてしまっていた。

 

もちろん、キリトの考えを一番に尊重しようとは思うが…それでも、間違った方向に進もうとするのなら、それを止めるのが仲間であり、友である俺たちの役目なんじゃないかとも思っていた。

 

「…なんて、偉そうなことを言ったが、俺も間違えまくってばかりだ。でも、俺は…俺たちは一人じゃない…俺にユウキやカーディナルがいるように…お前にはアスナがいる、リーファやシノンたちといった頼りになる仲間たちがいる、それに…いざとなったら、ぶん殴ってでもお前を間違った方から引き戻す俺やユージオがついてる…だから、安心して玉砕してこい」

 

「フォン……って、なんで玉砕することが決定事項みたいになってるんだよ!?」

 

流石に最初から失敗する気で挑むつもりはないらしい…ブラックジョークに見事にツッコんでくれたことに感謝しつつ、キリトと互いに笑い出してしまう。

 

「はぁぁ……そうだな、悩んでばかりじゃどうしようもないもんな…お前の言うように、実はどうしたいかなんて決まってる。俺は…二人に謝りたい…それで本当に絶交されることになっても…それでも、そうなったとしても…俺にとって、月夜の黒猫団で過ごした時間はやっぱり特別だったから…」

 

「…そうか…まぁ、すぐにどうこうってしないといけないってわけでもないだろう。ちゃんと考えが纏まってから行けばいいさ…お前の中で踏ん切りが着き次第な。それまでは、こうやっていくらでも悩みを聞いたり、相談に乗るからさ」

 

「…ああ。ありがとな、フォン」

 

「気にすんな、単なるお節介だからな。むしろ、もっと巻き込んでもらっていいほうだ…あっ、修羅場関係以外での話でな」

 

持ちつ持たれつ、5年を超える(アンダーワールドでの期間をも含めてではあるが)付き合いをしているのだ。今さら、迷惑や頼み事の掛け合いなど慣れたものになっていた。

 

そんな想いと共にせっかく男二人だけで飲み会をしているのだから、他の話をしようかと思っていたら、

 

…新着メッセージ着信の通知が眼前のインターフェイスに表示され、その差出人の名を見て、俺は背筋が凍った…

 

『無断で外泊って…どこで誰といるのかな? Yuuki』

 

(あっ……そういえば、今日は三人で夕飯を食べようって約束してたような)

 

キリトのことで頭がいっぱいになっていたこともあって、完全にその約束を忘れていた…いや、一言断りを入れておけばよかったのだろうが…最後のメッセージの書き方からして、大変お怒りということだけはよく分かった。

 

「…なぁ、フォン」

 

偶然か、それとも狙ってなのか…ほぼ同時に届いたらしいメッセージを見ていたキリトの顔も先程とは異なる意味で青ざめていた…どうやら、向こうも大変お怒りのご様子だ。

 

「実は…今、頼みたいことがもうひとつできてさ」

 

「奇遇だな…実は俺もなんだ」

 

顔を見合わせ、考えは同じだと言わんばかりにそれを口にした。

 

「ユウキたちに弁解するのを手伝ってくれ」

「アスナたちに謝罪するのを手伝ってくれ」

 

『うちの女性陣は大変怖い』…どうにも恋人たちに頭が上がらないのは、俺もキリトも同じなのだとしみじみと実感し…今日は家に戻らないと二人して決めたのだった。

 

一応、キリトと一緒にいること、今日は工房の方で寝泊まりする旨をユウキにメッセージで送るも…カナデと二人がかりで尋問されることは決定事項だろう。

 

一先ずは困難を見ずに先送りした俺とキリトは、夜遅くまで色々と話をしていったのだった。

 

…でも、俺たちは知らなかったんだ…運命は時に残酷で、再会の時はすぐ傍に…それが突如としてやってくることになるなんて…この時は思ってもみなかったんだ。

 

 




あっ、運動会そのうちやります(突然の告知)

まぁ、そんなことはさておき…とりあえず、序章となるキリトとフォンの真面目なお話でした。もうフラグ感がエグイのなんの…(黒笑)

前章がフォンたちにとっての後日談で合ったのに対し、本エピソードはキリトにとってのSAO・UWの後日談といった立ち位置になるのかと。
今のところ、3話構成を予定しておりますので、次回以降にもご期待頂ければと思います。

それでは!

P.S. 滅茶苦茶気が早いですが、次章のあとにやるキャラエピの順番リクエストをアンケートで実地中です(あくまでも参考にさせて頂くといった形で、お話の流れ的に順番が前後する可能性もあります、ご了承ください)
是非是非ご投票の程、宜しくお願いいします!

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