ソードアート・オンライン~夢幻の戦鬼~   作:wing//

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アンケートを投票されていた皆様、大変お待たせしました(二年以上も待たせておいて、何を今さらかもしれませんが…)

ようやく執筆の目途が立ちましたので、本作の裏のストーリー…夢幻の戦鬼外伝『鼠のボディガード』を少しずつですが、更新していきます!

そういうわけで、まずは二人の出会いのお話からとなります。

過去に書いていたお話を、今の書き方にリメイクしたものなので短めです。(まぁ、外伝はそういうスタイルのお話がちょっと多いかもしれませんが)

それでは、どうぞ!


外伝 鼠のボディガード アインクラッド編
第一話 「鼠と彼との出会い」


「アルゴさんって、どうやってシグさんと出会ったんですか?」

 

そう問いかけてきたのは、闇妖精族アバターの少女だった。

 

ALOでは、『絶剣』の二つ名と共に最強プレイヤーの一角を担い、あの夢幻の戦鬼と呼ばれるフォン坊のパートナーでもあるユウキの突然の問い掛けに、オレっちは驚きつつも、それを見せずに笑みを浮かべる。

 

「いきなりどうしたんダ、ユウキ?そんなことを聞いてくるなんて…」

 

「何て言うか…アルゴさんとシグさんってイチャイチャしているところを見たことないなって。」

 

「いや、本当に唐突ダナ…別に面白いものでもないけどナ」

 

「でも、フォンに聞いても何かはぐらかされるというか…答え辛そうにされるというか」

 

「…まぁ、そうだろうナ。お姉さんたちの熱い熱―い話は、ユウキには早すぎるだろうしナ」

 

ユージオとアリスの結婚式を準備している最中…偶然、進捗状況の報告にアーちゃん宅を訪れたのだが、どうやら材料に調達に行っていたらしく、いたのは留守番をしていたユウキだけだった。

 

とりあえず伝言してもらうかと思い、その旨を伝えようとしたのだが…アーちゃんが帰ってくるまで待っていてはどうかと彼女に言われ、この後の予定も特になかったのでそうさせてもらっている最中に、突然の話題振りだった。

 

あれだろうか、結婚式の準備中の熱にユウキも晒されたという奴だろうか…まぁ、女の子なら仕方のない部分というやつか?

 

「でも、確かにいい機会かもナ」

 

「…!それじゃあ…!」

 

「お姉さんの気まぐれに感謝しろヨ?まぁ、そこまで面白いものでもないがナ…もちろん、あとで情報の代価は貰うけどナ?さてと…どっから話すカナ」

 

目を輝かせてオレっちの次の言葉を期待するユウキ…そんな彼女に苦笑しながら、オレっちはあの時のことを思い出していた。

 

冷たい雪風が飛び交う…あの鋼鉄の城の一層で、あいつと遭遇したあの出来事を。

 

 

 

アインクラッド第57層

 

フィールドのほとんどが雪に覆われたこの層は、現在攻略が薦められている最前線だった。そのフィールドの一角でオレっちは息を切らせながら走っていた。

 

「ハァ…ハァ…!(まいったな…流石のオイラのスピードでも逃げ切れないとは…これは良い情報になりそうダナ…)」

 

白い息を吐く口が苦笑を浮かべ、オレっちはそんな強がりを心の中で呟いていた。情報屋としては、生死に関わる情報ほど提供しなければと思う反面、以前に心配されたアーちゃんの懸念が現実になるとは思ってなかったのもあり、

 

(まぁ、それもオイラが無事に逃げ切れたらの話だけどナ…!)

 

覚悟を決めたオレっちは腰のダガーを抜いた…雪に足を取られるこのフィールドでは、踏み込みが重要となる手甲よりも、短刀の方がまだ生き残れる可能性が高い…もっとも、僅か数パーセントの差だろうが。

 

そんなオイラの覚悟を悟ったかのように、追跡してきていた3匹の狼型のモンスターが視界に入ってきた。

 

オイラのレベルは何とか安全マージンを取っているが、戦闘向きのステータスビルドをしていないオイラでは、自身よりも俊敏性の高いモンスターを複数相手取るとなると、かなり厳しかった。

 

「さてと…ここで死んでやるわけにはいかないし…出来る限り足掻いてやるとしますカ…!」

 

ダガーを握る手を強め、オイラは自身を鼓舞するように言葉を零した。

 

その言葉を皮切りに、飛び掛かってきたモンスターとの戦闘が始まった。

 

だが、やはり俊敏性で負けている上に、数の暴力に押され、オイラは終始防戦にならざるを得なかった。

 

吹雪レベルの気候によって、視界は塞がれ、雪によって取られる足は、オイラ自慢の俊敏性を封じていた。最悪な状況と長所を殺された状況では、できることな限られていて…防ぎきれない攻撃によって、軽装であるオイラのHPがどんどんと削られていく。

 

更に最悪は重なり、出血のバッドステータスまでを喰らい、鈍くなっていた動きがもっと制限されることに…HPがイエローに突入し、早くHPとステータスの回復をしなければと、結晶アイテムを取り出そうと焦った結果、

 

ガキン…!

「しまっ……グゥ!?」

 

隙を突いたモンスターの一撃によって、大きく体勢を崩したオイラは地面にしりもちを着いてしまった。その一撃によって短刀も弾き飛ばされしまい、無防備とかしたオイラにモンスターの一匹が迫ってきていて…

 

(やられる…!?)

 

咄嗟に腕で顔を庇い、少しでもダメージを減らそうとして衝撃に備える。思わず目を瞑り、その時を待っていたのだが…いつまで経っても、覚悟していたそれがやってこない。どうしたのかと思い、目を開けると…

 

(……あ、あれ?)

眼前には一人のプレイヤーが立ち塞がっていて、振り抜いた刀を手にしていた。その刃は、迫って来ていたモンスターをポリゴンに変えた直後だった。

 

「……大丈夫か?」

 

「あ、ああ…」

 

「…キュア、ヒール!」

 

赤いフードを被ったそのプレイヤーは少しだけ目線…緑色の瞳をこちらへと向けながら問い掛けてきて、答えたオイラに止血結晶と回復結晶を使ってきた。

 

オイラの出血状態とレッド直前まで減っていたHPが全回復したのを確認すると、残った二体の狼たちへと視線を戻した彼は刀を動かしながら、

 

「さてと…それじゃ、まずはモンスターを片付けるか」

 

その言葉の後に、彼は刀を鞘に納めたと思えば…オイラの眼前から消えたように見えた彼が、一気にモンスターへと肉薄していた。

 

…それは、アーちゃんの剣閃とはまた異なる速さだった。

 

(…刀を抜いたのが…見えなかった…)

 

肉薄したと思った次の瞬間、モンスターを通り過ぎた彼が鞘に剣を納めるのと同時に、残っていた二体のモンスターがポリゴンへと変わっていたのだ。

 

ソードスキルではない…居合系の刀ソードスキルは嫌という程に熟知していた。だが、彼の放った居合の技は、ソードスキルの最大の特徴であるライトエフェクトがなかったのだ。

 

つまり、ソードスキル以上の速さを誇る抜刀術を、眼前のプレイヤーは自力でやってみせたのだと、突然のことに続き驚いていたオイラの頭はようやく理解できた。

 

(アーちゃんの剣筋が閃光と呼ばれるほどに鋭く速いのに…一瞬の剣閃で全てを斬るあの抜刀術…でも…)

 

アーちゃんとは別種の剣筋…攻略組にいてもおかしくない腕前を持つ彼の実力に驚きつつも、オイラの頭には別の疑問が生まれていた…情報屋として当然の疑問が…

 

(これほどの腕前を持つプレイヤーをオイラが知らないわけがない…攻略組にいれば、当然知っている筈……ということは、攻略組じゃない?でも、それなら…)

 

湧き上がる疑問が頭を埋め尽くす中、いつの間にオイラの元に歩み寄っていた彼が眼前にまで来て、手を差し伸ばしていた。

 

「……大丈夫か?」

 

「あ、ああ…」

 

「そうか…それじゃ、俺はここで…」

 

オイラの安否を確認した彼は…そう言うと興味を失くしたようにその場を後にしようと…

 

「ち、ちょっと待った!?」

 

「うん…?」

 

「た、助けてくれて、ありがとナ…名前なんて言うんダ?」

 

「…シグ…俺の名前はシグだ」

 

疑問が湧いていたオレっちは思わず問いかけた…こんな凄腕を持つ彼をここで逃すわけにはいかないと思って問い掛けたオイラに、彼は間を置いてからそう名乗った。

 

 

 

それがアインクラッドにおいて…のちに『鼠』の相方でもあり、そのボディガードとして知られることになる相棒のシグとオイラの出会いだった。

 




口調が違うって…?彼も昔は尖ってたんですよ(苦笑)

そんなわけで、アルゴと後に相棒となるオリキャラのシグのお話でした。
本当は現実時間の時系列をもっと後にしようかと思っていたのですが、本編『ホロウ・レトロスペクト』のネタバレになる可能性が非常に高かったので、キャラエピのユジアリ編の準備期間にするこぼれ話という立ち位置になりました。

さて、この外伝は月二回更新は最低限できればいいなと思っている次第です(本当はしますと答えたいところなのですが、本編やらもう一つの作品の方の執筆もありますので…)おそらく第2・4水曜更新になるのかなと。

そういうわけで、少しずつですがこちらの外伝の更新にもご期待頂ければと思います。

本年も大変お世話になりました!
来年も本編・外伝・もう一つの作品ともども宜しくお願い致します!

それでは、明日…新年一発目の本編最新話でまたお会いしましょう!

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