本年も『夢幻の戦記』を宜しくお願いいたします!(昨日、最新話二つ更新しておいて、あんまり新年感が薄いかもしれませんが…(苦笑))
抱負とかはtwitterで呟くとして…本編はゲーム原作同様、いきなりのボス戦となります!
相手がスカル・リーパーもどきではないので、多少アレンジが加わってますが、なし崩し的な二人の初共闘にもご注目頂ければと。
ちなみに、今回のお話はある種のネタバレを複数含みますのでご注意ください。
それでは、どうぞ!
「なんで……なんで、こいつがここにいる!?」
少女を庇った姿勢から、すぐさま臨戦態勢を取る俺だが、眼前の光景に理解が追い付いていなかった。
片手剣…いや、奴の巨体に合わせたサイズなので、外見からすれば両手剣を遥かに超える大きな刃を持った奴は、唸りと共に白い息を吐き、獲物である俺たちを睨みつけていた。
『Hollow Dead Revenge Kobold Load』…直訳で『虚ろなる死から蘇りしコボルトの王』といったところか。その名の通り、第一層で討伐された奴がリベンジを果たしにきたのかと思う展開に、俺は皮肉が効きすぎだと思わざるを得ない。
もっとも、第一層で対峙したボスと比べ武装は上位のものにかなりグレードアップされており、鉄の甲冑に銀の装飾が目立つ鎧、巨大な双刃の片手剣とバックラー…そして、腰にはその見た目からして棍棒らしきものが装備されていて…明らかに、このコボルトの王は上位の存在だと一目で分かる出で立ちだった。
「くっ…なんとか撒いたと思ったんだけど…やるしかないか」
「…!君はこのモンスターに追われていたのか…!?こいつは一体…」
「…あんたに話す必要がある?」
「…(まぁ、それもそうか。彼女から見たら、俺は不審者に見えても仕方がないか)」
どうやら、彼女はこいつから逃げている最中、俺に遭遇してしまい、逃走に失敗したようだ。悪い事をしたと思いつつ、全く協力する気がない彼女にどうしたものかと思っていると…
『…GUOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!』
残念ながら相手が待ってくれるわけがなく、俺たちの命を刈り取ろうと奴が飛び掛かってきた!狙いは…元より狙っていた彼女で、その刃を振り下ろそうと…
「…させるかよ!」
ソードスキルを発動させた巨大な片手剣の軌道を見切り、奴と彼女の間に割り込む様にして俺は飛び込んだ!
加速と重心を、剣を振り切らせようとする力に加えて両手剣『エンプレス・ジェイル』を振るう!刃に緑の燐光を宿した剣が奴のソードスキルとぶつかり…そして、予想外の結果へと至る。
『GAAAAA?!』
「なぁ…打ち勝った…!?」
一瞬の拮抗の後、両手剣単発ソードスキル〈サイクロン〉が奴のソードスキルを打ち消し、それどころか、剣越しに奴の巨体を後方へと吹き飛ばしたのだ。
押し負けることはなくとも、せいぜい相殺されるものかと思っていた予想をいい意味で裏切られ、俺は驚きつつも分析する。
…どうやら、ネームドボスとはいえ、パラメータはそこまで高くは設定されていないらしい。
さっきの撃ち合いで俺一人で競り勝てたことがその証拠だ…これがあのスキルのソードスキルなら話が変わってくるが、ただの両手剣ソードスキルであるならば…勝機は十分にあると思いつつも、奴がコボルトの王なのだとしたら、最大限に警戒しないといけないことがあるわけで…
「今の内だ、一旦ここから離れるぞ!」
「えっ…ちょっと…!」
三本あるうちの一本目…そのHPを一割ほど削られた奴は、吹き飛ばされた体勢からまだ立ち直れていない。その隙に戦場を変えるべきだと思った俺は、少女の腕を掴んで走り出した。
いきなりのことに最初は引っ張られるままだったが、我に返った彼女は当然抵抗を始め…
「離して!誰があんたなんかと…!」
「っ…!」
「えっ…何を……あっ…!」
掴んできた左手を離そうと、逆の方向へと体重を掛ける少女だが、説得する前に懸念していたものが来てしまい、俺は再び彼女を抱き寄せる形で庇い、下から斜めに斬り上げるように両手剣を右手で振る!
少女の驚きの声と、二つの刃がぶつかったのはほぼ同時だった。
少女の背後から迫っていた取り巻き…第一層のように、奴が呼び寄せたであろうモスグリーンのプレートアーマーに身を包んだコボルト・ナイトが攻撃を仕掛けてきていたのだ。
「…このぉぉ!!」
交えている刃を無理矢理押し込み、奴の剣を腕ごと上に跳ね上げさせると、そのまま右足蹴りを胴体に叩き込み、距離を取る。
ここで一体ずつ仕留めても意味がない…まずはこちらが不利にならない状況にする必要がある。
「あんた…どうして?」
「悪いが、そういう話は後だ。君だってこんなところで死にたくはないだろう?不本意なのは分かるが、まずはこの森を抜けるぞ」
「…………分かった」
納得はできずとも、俺の言うことに一理あると判断したらしく、彼女は俺の言葉に従うことにしたようだ。そのまま、俺たちは周囲からの奇襲に警戒しつつ、森を駆け抜けた。
そして、森を抜けた先…遺跡の残骸らしきものが端々に見えた開けた場所へと出たことで、迎撃の体勢を整える。そんな俺たちを必ず仕留めると言わんばかりに、奴の咆哮が森からどんどんと近づいてきていた。
「なぁ、君…物は相談なんだが。あいつを倒すまで、共闘ついでに休戦しないか?」
「……なんで、あんたなんかと…」
「そう思うのが当然だろうし、俺が信用できないっていうのは百も承知だ。なんなら、この場から逃げてもらっても構わない。君を庇いながら、あいつと闘うのは流石に難しそうだからな。
…だが、少しでも勝てる確率を上げられるのなら、君と手を組むのが一番だと思ったから…理由なんてそんな単純なものさ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
索敵スキルの反応によれば、もう30秒もしないで奴が追い付くだろう…俺の言葉を吟味するかのように沈黙を保つ彼女の口が開き、
「…私が…あんたを背中から攻撃するとは思わないの?」
「そんなことをする連中だったら、まず馬鹿正直には言わないだろう?さらに言うなら、俺だってそう簡単には死にたくないし…見知らぬ誰かであっても、眼前で危なくなっているのを見過ごせるほどに強くはないんだよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
反応がすぐそこにまで迫る中、熟考の末、彼女が出した結論は、
「…さっき助けてくれた借りもある。提案通り、ボスを倒すまではあんたに協力してあげる」
「助かるよ……来るぞ!」
短剣を抜き、少し離れた位置にて構えた彼女の言葉に頷き、俺も両手剣を構え直す!その直後…三つの影が森から飛び出してきた。
『GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!』
逃がすつもりはない…まるでそう言っているかのような咆哮と共にコボルトロードと、二体の取り巻き達が姿を見せた。
「俺がタンクを引き受ける!取り巻きとボスの攻撃を防ぐから、君は隙があり次第、直撃を喰らわせくれ!」
「…分かったわ」
できるなら手札を晒さずにこの場を乗り切りたいところだが…最悪の場合はそれを切ることを選択肢の一つとするしかないだろう。
いくらステータスが低いとはいえ、ボスはボス…舐めてかかっていい相手ではない。彼女の装備を見るに、戦闘向きかと言われると微妙なラインだ。
それに対し、俺が装備している防具『蒼炎の烈火 G7』は最前線でも闘えるように強化をしている。装備している両手剣も、武器の耐久値の減少が大きくなるという欠点はあるが、攻防に転用しやすい武装だ。
ならば、俺が防御全般に徹し、彼女に本命を叩き込んでもらう戦略が今の状態では一番効果的な筈だ。幸いなことに、彼女が装備している短剣のソードスキルにはデバフや状態異常を付与する効果を持つものが多い。
彼女の方も俺の意見に反対する気はなかったらしく、静かにそう答えた。
そのまま再開された戦闘は、取り巻き二体の先制攻撃で幕を開けた。一歩前へと出たことで、タゲを誘発した俺に飛び掛かってきた二体を…纏めて剣で吹き飛ばす。
ロードのステータスが低かったことから、ソードスキルなしでもカウンターで吹き飛ばせるかもと思っていた予想が当たった。
取り巻きを吹き飛ばし、がら空きとなったロードの懐に直進する。そんな俺を迎え撃つように振り下ろされた片手剣に、さっきのように両手剣をぶつける。
ただの斬撃にソードスキルをぶつけてしまうと、ステータス的に大きく吹き飛ばしてしまい後に繋げない…それをすぐさま判断し、相殺…ではなく、横に大きく逸らすようにして剣の軌道をズラす。
「今だ!」
「っ…はあああああああああああぁぁ!」
剣をぶつけた反動で横っ飛びに躱しながら、俺の言葉に応えるように、少女は逸らされた片手剣の背を踏み台にして跳躍…高さを稼ぎ、そのままロードの頭部にソードスキルを叩き込んだ!
短剣4連撃ソードスキル〈ファッド・エッジ〉が急所である頭部に炸裂し、確定クリティカルによってそのHPを大きく削る。更に、その最後の一撃がなんと左目にヒットし、部位攻撃によって耐性を無視して出血の状態異常を付与させていた。
「…おっと!お前らの相手はこっちだ!」
大きく怯んだロードを援護しようと硬直に襲われながら落下しているフィリアの着地地点に迫る…そんな二体を近づけさせまいと、一体を剣を振りますことで牽制し、もう一体には両手剣単発ソードスキル〈アバランシュ〉を喰らわせる。
「…もう一発…!」
取り巻きが一体減ったところで、クリティカル+急所による大ダメージによって体勢を崩しているロードに追撃を加えようと、少女が再接近しようと…
「…っ!待った、横だ!」
「…くっ!」
残った取り巻きを相手どろうとしたが、その前に少女の横を突くような位置に、二つの転移の光が見え、思わず叫ぶ!その言葉によって、急ブレーキを掛け彼女はそのまま後方へと大きく飛んだ!
すると、光から新たに二体の取り巻きが出現し、彼女の守護に回るべきだと判断した俺は眼前の取り巻きを手早くポリゴンへと変えると…その直後に、再び転移の光が一つ発生して、すぐさま新たな取り巻きが一体リポップした。
「なるほどな…倒した直後にリポップするのか。第一層の時よりも厄介だな。それに…HPが減少する度に取り巻きの数が増えるのか」
「分析どうも…それで、どうするの?」
「取り巻きが増えようともやることは変わらない…ボスの方を頼む」
会敵した際のノックバックと、さっきの少女の一撃…それによって、ロードのHPバーは二本目に突入していた。更に、出血の状態異常によってHPが徐々に減っている状態だ。
つまり、HPバー一本につき取り巻きが一体増えるといったところか…なら、四体まで取り巻きが増えると想定して動けるようにしておけばいいだけだ。少女の問いに不毛だという態度で答え、俺と彼女は再びロードへと意識を傾けた。
そのまま、闘いは俺たちの優勢で進んでいった。
取り巻きが増えたところで、相手のステータスが変わったわけではない…二体が三体や四体に増えようが、俺の負担がちょっと増えただけで攻勢は変わらなかった。
俺が取り巻きたちの行動を阻害し、ロードの攻撃を逸らしては少女が直撃を狙いに行く。左目をやられたことで、激高状態になったロードの攻撃が苛烈さを増し、先程のようには容易にしかけづらくなったが、通常攻撃で削っていき、二本目を削り切った時だった。
『GGGu……GOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!』
(ラスト一本…!もし奴が第一層と同じなら、武器を持ち変える行動を取る筈…!)
怒りの咆哮を上げ、その勢いに風が押されて顔や体に突風が当たる。
奴の腰にも追加武器らしきものが装備されている…系統を考えれば、今装備している片手剣を超える強力な武器に持ち変えると思われるのだが…
そんな思考と共にボスを観察していると、俺の予想通りに剣を…なんとこちらへとロードが投擲してきたので、すぐさま少女を庇うように両手剣でその軌道をなんとかズラした!
そして、持ち変えるであろう武器の種類を見極めようとする…棍棒の形状の武器。いや、筒と言った方が適切か?如意棒か、ショートランスか、はたまた打撃系統のそれらか…そんなことを思っていたのだが、
「…まさか…あれは!?」
右手に持ったそれを広げるように構えたロード…いや、奴はまさしくそれを広げたのだ。
武器かと勝手に勘違いしていた俺は、予想が外れ…そして、その形状の武器に理解が及ばず、次にロードが取った行動…地面に柄頭を叩き付けたその行動に、俺はようやくその道具のことを思い出し、嫌な予感が同時に背中を走った!
…その次の瞬間、俺たちの周囲に夥しい量の転移の光が出現した!
「…なぁ!取り巻きたちが…!?」
「っ…そういうことか…!」
10や20…いや、下手をすればそれ以上か…周囲360度全てを埋め尽くすように、取り巻きたちが俺たちを囲んでいたのだ!
いきなりの数の暴力に少女も驚きの声を出し、嫌な意味で理解した俺は思わず悪態を吐きたくなった。互いの背中を庇うように構え、俺は奴が新たに持ち変えた道具の効果を推測する。
「今、ロードが持っている武器…見たことがある。第五層の迷宮区フロアボスがドロップした、周辺の味方を強化する槍状の武器だ」
「…!それって…じゃあ、今、私たちを取り囲んでる奴等は…」
「強化されていると考えるべきだ…それも、予想を超えるものでな。そのドロップアイテムは、ギルドメンバーを強化するフラッグで…範囲はあるものの、強化人数に限りがない。多少ステータスが上回っているとはいえ…この数で一斉に攻められたら……」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
その先の言葉が続けられず、しかし、彼女もどういう意味かは察してくれたらしく、言葉を失くしていた。
第五層の攻略時にも色々あったが、まさかこんな形でそれを目にすることになるとは…いや、よく見ると細部が異なる。あのギルドフラッグの上位アイテムだとするなら…強化の効果も上がっている可能性が高い。
もしかすれば、この取り巻きたちの異常な数もあの武器の効果か、もしくはロード独自の効果なのか。
…そんな分析を終えたところで、問題はこの絶望的な状況をどう切り抜けるかとことになるわけで…
(…あれを…使うしかない……!)
一つだけ…この状況を打破できる手段はある。
あのギルドフラッグは確かに驚異的だが、それに対して大きな弱点も存在する。特に…装備しているのが、大将であるロードだというのが更に致命的だ。
つまり、この取り巻きたちさえ一瞬でもいいから、なんとかできさえすれば勝機はあるのだ。そして、その手段が俺にはあるものの…それには問題もあって、
(…彼女に…それを見せていいのか…?)
その手段を取れば、彼女に秘密を抱えさせることになる。
あの時…迷い込んだ特殊なダンジョンとは状況が違う…彼女はこのゲームの普通のプレイヤーだ。いや、それ以前に…この後のことを考えれば、不信感を生む火種にもなりかねないわけで…
(…迷うな!後のことはその時になったらだ…今は…!?)
考えている時間はない…今にも飛び掛かってきそうな取り巻きたちを前に、俺は迷いを捨て、背後の少女へと声を掛ける。
「君…俺が合図をしたら、すぐにしゃがむんだ」
「……何を…「いいから!俺を信じろ!!」…分かったわよ」
説明をする時間すらももったいない…無理矢理黙らせる形ではあるが、彼女に指示を聞かせ、俺は取り巻き達を一斉に引き付けるためにバトルスキルを発動させる!
『ウオオオオオオオオオオオオオオォォォォ!!!』
「っ!?」
バトルスキル<ロオリーシャウト>…ヘイトコントールで自分に全てのタゲを取らせたことで、取り囲んでいた取り巻きたちが一斉に俺へと飛び掛かろうと…!
「…しゃがめ!」
「…!………えっ、なに…?」
叫ぶと同時に両手剣を首の後ろに回すように構える…すると、両手剣にソードスキルが発動したことを示すライトエフェクトが発生するも…その尋常ではない光の量に気が付いたのか、彼女の驚きを表わすかのような声が耳に届いた。
…だが、そんなことを気にする余裕はなく、俺は周囲一帯に全ての意識を集中させていた。その集中力に合わせるかのように、蒼色のライトエフェクトが一段とオーラを大きくさせていき…
「…!うおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉ!!」
眼前にまで取り巻き達が迫り…限界にまで引き付けたところで、俺はそれを解放するように咆哮を上げて、両手剣を振るった!
無尽蔵の勢いで360度全てから迫っていた取り巻きたちが、三つに枝分かれした巨大な剣状のオーラによって呑み込まれた…いや、呑み込んだというべきだろう。
両手剣ではありえない威力と超広範囲に渡る大規模攻撃…幻想剣《両手剣》超重単発ソードスキル〈エンド・オブ・フォーチュン〉による一撃が、取り巻き達をその一撃によって全てをポリゴンへと変えて屠ったのだ!
(…あとは…ロードを倒すだけ!あの強化付与フラッグの最大の弱点は、バフ付与効果を発動させる際、地面に突き立てないとならず、その間、装備している者は身動きが取れなくなること!…つまりは…今のロードは完全に無防備だということ!)
フラッグの最大の弱点は装備者の身動きが封じられてしまうこと…フラッグを地面から離すと、バフの効果が切れるのだ…つまり、ロードが防御や回避をしようとすれば、取り巻きのステータスが元の弱いものに戻るというわけだ。
その一瞬の隙を突ければ…幻想剣の強力なソードスキルなら、奴の残ったHPバー一本を削り切れる筈だと確信していた俺は、硬直が解けるのを待とうと…
『…GUOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!』
「…なぁ?!」
だが、俺の予想に反し…なんと、ロードが強化付与フラッグを地面から離し、俺へと攻撃をしかけてきたのだ!
動くとしても、距離を取るなどといったものかと予想していただけに、不意を突かれ、硬直で動けなくなっていた俺へとボスの一撃が直撃しようと…!
…ガキィン…!
「…君…!」
だが、その一撃が俺に当たることはなかった。
鈍い金属音が響き渡ったのは、眼前に割り込んできた少女が、ボスのその一撃を短剣によって相殺しようと動いたものだった。
流石に俺みたいに逆に弾き飛ばすことはできなかったが、反動によって地面にその身を転がされた少女だが、
「…スイッチ!?」
「っ……ああ!」
今だ!という少女の言葉に、驚いていた意識をロードへと向き直し、幻想剣スキルの共有効果『ソードスキル発動後の硬直緩和』によって、2秒と少しで硬直が解けた俺はボスの懐へと飛び込んだ!
そんな俺の命を刈り取ろうと、ロードは最後の足掻きとしてフラッグを振るおうとするが…
「亡霊は…あの世でおとなしく寝ておけぇ!!」
間合いに入っている時点でもう遅かった…フラッグをギリギリで躱し、その勢いをも加えた両手剣をロードのボディに突き刺し、そのまま再度〈エンド・オブ・フォーチュン〉を繰り出した!
身体に食い込んだ両手剣の刃が、内側からロードの身体を食い破るかのように…枝分かれした刃でボスの全身に斬撃を浴びせる!二撃を浴びせるように放った回転斬りのそれは、丸々残っていたボスのHPバー一本を勢いよく削り…
『…Gu…oo…?!』
負けたのが分からないと…そんな切なそうな声を断末魔としてあげて、ロードの身体はポリゴンへと変わった。
それを確かめ、そして、周囲にもう取り巻きたちがポップしないことを確認したことで、なんとか切り抜けることができたのだと実感した俺はようやく安堵して…
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「…(いや、安堵するのはまだ早かったか…)」
振り返った俺の視線の先…そこには、立ち上がり、警戒するように俺へと短剣を突きつける少女の姿があった。
確かにボスは倒したが、結局話が振り出しに戻っただけ…しかも、俺は彼女の前で幻想剣スキルを使ってしまい…更に不信感を抱かせることになったわけで…
(まずは…彼女をどう説得するか、だよな)
一難去ってまた一難…対峙する少女の警戒をどう解くべきかと思いつつ、両手剣を鞘へと納めた俺はため息を吐きたくなるのを堪え、眼前の難問にどうしたものかと考えるのだった。
彼女って、当初はこんなにツンツンしてたんですね(まぁ、事情が事情なので仕方ないのですが)そして、昨今形骸化していた冷静沈着(という設定)なフォンの姿も垣間見えたところで、なんとかボス戦を終え…次回はその後の話になります。
早速『幻想剣』を使ってますが、当初は使わない予定だったりしました。しかし、流石にちょっとキツいと思い、両手剣限定で解放することになったわけで…(苦笑)
色々な武器は出しまし、限定的ではありますが未出の幻想剣ソードスキルも出す予定ですので、ご期待頂ければと思います。
それでは!