言うなれば、次話辺りまで序編とか邂逅編みたいなところでしょうか。
この辺りからゲーム原作と微妙な違いも出てきます。
それでは、どうぞ!
P.S. えー、先に謝っておきます、ごめんなさい!(どういうことかは本編をご覧いただければ分かるかと…)
(…さてと、どうしたもんか…)
一メートルほど離れた場所で、短刀を突きつけられているこの状況…これが現実世界であれば、ちょっとした修羅場として捉えられてもおかしくはないだろう。
だが、ここは小説の…いや、ゲームの世界であって、こんな日常はそう珍しくなかったりする。まぁ、決闘システムなどがあるくらいだから、当然と言えば当然なのだが…
そんな現実逃避を少し挟みつつ、今の俺は、警戒している少女に刃物を突き付けられているという状況に直面していた…さっきまで共闘していた彼女の警戒心が再燃し、どうしたものかと手をこまねいている状況だ。
(せめて、俺に敵対する意思はないと、彼女も少しは理解していると信じたいが…それは高望みがすぎるか?)
コボルトロードを撃破し、一息つく間もなく再び睨み合うこの状況…正確には、彼女に一方的に睨まれている俺は、そんな期待を心中でするも、望み薄かと同時に危惧していると、
「さっきのあのボス…第一層で倒されたボスに似てたのよね?」
「…!…ああ、間違いない。俺も、その時の討伐戦には参加していて、直接対峙したからな。これまで、72層に至る全ての討迷宮区ボスに関しては、討伐戦に参加しなかったものも含めて記憶してる。
迷宮区のボスは全て種族も系統も異なっていたが、あいつのことは今でも鮮明に覚えてる…だから、あのコボルトロードがいきなり現れた時には、俺も驚いたよ。まさか、迷宮区ボスが蘇ったのかと思ったからな」
「…そうね、それに関してはあんたと同感。それは置いておくとして…さっきのあんたのスキル……一体なに?」
(…まぁ、触れずにやり過ごすっていうのは無理だよな)
ファーストコンタクト時に比べれば、俺と会話してくれる気はあるらしく、言葉を交わす少女にホッとしつつも、話は俺が使ったスキルになるわけで…話題を逸らすことはできないと腹を括った俺は頭を働かせながら口を開く。
「…両手剣の派生、と思われるエクストラスキルだよ。習得方法は……分かってない」
「エクストラスキル…でも、あんな強力なスキルは聞いたことがない」
「情報屋…あの鼠でさえも正体が掴めていないスキルだ。できることなら秘匿しておきたかったんだが…さっきのボス戦はそうも言ってられない状況だったからな」
「……それ…もしかして…」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「…いや、そういうことなら触れないでおいてあげる。あんたのおかけで、命拾いしたことには変わりないし」
どうやら彼女は、根は良い人のようだ。俺が使ったスキル…幻想剣がユニークスキルかもしれないと察したようだが、俺が黙秘したのと、さっきの共闘のこともあって、とりあえずの追及は諦めてくれたようだ。
俺としても、それは非常に助かる結果だ…その中身を説明しようとなると、とても人にベラベラと明かせるようなものではないからな。
「それで、さっきの約束…休戦はボスとの共闘が終わるまでというわけだったが、それが終わった今、やっぱり俺は君と闘わないといけないのか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「もしも…君にその意志がないっていうのなら、話を聞かせてくれないか?俺も、最前線の73層に向かおうとしてこのエリアに飛ばされたんだ。今は少しでも情報がほしい状況だ…できることなら、状況を少しでも分かっていそうな君と敵対したくない」
「…本当に…あいつらの仲間じゃないの?」
「あいつら……さっき言ってた『ならず者』ってやつらのことか?少なくとも、俺は基本的にコンビかソロでしか活動してない…もしも、俺の相棒が君に何かをしたら…まぁ、絶対にそんなことはないと思うけど、もしそうだとしたら、謝るよ」
できることなら協力を、もしくは情報を得たいという俺の意志が伝わったのか、確かめるように問い掛けてきた彼女の言葉…会話のなかで再び出た『ならず者』という意味が掴めず、しかし、俺が集団では行動しないことを伝える。
ならず者という連中が複数人いるらしいが、俺は相棒…キリトとしか基本的に行動を一緒にすることはなく、あいつがそんな『ならず者』と呼ばれるような行為をするわけがないと思いつつも、一応言葉では取り繕う。
…もっとも、今の状況を鑑みて、もしもキリトまでこの現象に巻き込まれていたら、神様を疑いたくなるレベルの確率だとは思うが…
警戒心は未だに解けてはいないが…彼女は少し思巡したと思えば、少し下がったトーン…そのことを告げるのを躊躇うかのような声で言葉を続けた。
「…少なくとも、嘘は言ってないみたいね。でも、あんたにも見えてる筈でしょう…私のカーソルがどうなっているか?」
「まぁな…それで警戒して、君に敵意をぶつけてしまったしな」
「それが当然の反応よ…なのに、なんで今はそんなに平然と私と話をしていられるの?グリーンのあんたが今の私を攻撃しても何も問題はないのに…」
「さっきはさっき、今は今だ。確かに初めて遭遇した際には警戒したが、少なくとも警告もなしに相手を倒そうとはしないよ。それに…さっきも言ったが、そんなことを正直に言ってきてくれる人を、悪人だと俺は断定したくないんだよ。
オレンジカーソルになるのが一概に何かしらの悪行を犯したからってわけでもないだろう?PK集団の中には、街で獲物を探したりするためのグリーンが紛れていたりするから…身を守るためにそいつを攻撃してオレンジになった可能性だってあるしな」
さっきから警戒心が強い彼女だが…逆にその態度は俺への不必要な干渉を避けるためのものにも見て取れた。
少なくとも、俺が知っているオレンジ…PKを生業とするレッドプレイヤーに比べれば、彼女の言動は全く違うように俺は感じた。
…レッドプレイヤーは殺しを楽しみ、ゲームだからと人が死ぬことを軽く見ている連中…いや、その殺しをある意味では合法的に味わえることに快感を覚えてしまっている連中だ。
かつて、シリカを護衛していた際、キリトと共に対峙することになったPKギルド『タイタンズハンド』とそのリーダーであったロザリアがそうだったように…偵察兼誘い役としてグリーンカーソルのプレイヤーを仲間に引き入れていることだってあるのだ。
(…駄目だな。あの時のことを思い出して、また殺意が……俺も人を殺したことには変わりないのにな…)
正当防衛だったとはいえど、以前に行われたラフコフ討伐戦のことまでも思い出してしまい、怒りと殺意が頭をよぎった俺は、それを振り払うように思考から消し、話の方へと意識を戻した。
「…すまない、変な話をしたな」
「…私は明確な殺意を持って人を殺した…そう言っても、あんたはまだ平気なの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
忘れようとした話が再び振られた…謝罪を打ち消すように、唐突に告げられた彼女のどの独白は、俺の言葉を失わさせるには十分すぎた。
「それは正当防衛として……って、その様子だとそうじゃなそうだな」
「ええ……これで、あんたが私を警戒しない理由はなくなったでしょ?だからこそ、あんたはこれ以上、私に関わらない方がいいの…それじゃ、さよなら……さっきは助けてくれてありがとう」
なんとか紡ぎだした言葉だったが、彼女の目は言っていることが本当だと物語っており、俺はその口を再び閉じることになった。
彼女の方も言いたいことは言ったとばかりに、短刀を鞘に納め、最後にお礼を告げてからその場を後にしようとして…って、ちょっと待て!?
「待て待て!まだ聞きたいことがこっちにはあるんだが…!」
「…なに?お礼ならちゃんと言ったじゃない?これ以上、私に関わらない方がいいとも言った筈よ?」
「いや、そういうのじゃなくてな…せめて情報を交換してくれないか?俺はさっきここに飛ばされたばかりだ、右も左も分からない…できることならここがどこなのかくらいは教えてくれないか?…そうすれば、俺はもう君に関わらないって約束するよ」
「………分かった。そういうことなら、私が知っていることを教えてあげる。と言っても、私もほとんど何も知らないんだけどね」
「何も知らない…どういうことだ?」
これが最後だということで、俺の質問に答えれてくれるようになった彼女だが…その表情は苦々しいものだった。少しは事情を知っているようだったのだが、どういうことかと尋ねると、彼女はこれまでのことを教えてくれた。
「私は一週間前にこのエリアに飛ばされてきたの…50層の転移門から移動しようとしてね。でも、ここのモンスターたちはかなり強くて…私は索敵とかが得意だからなんとかやり過ごしてきたけど、生き残るのが精いっぱいで、ほとんどこのエリアを探索できていないの」
「一週間だって…!?そんなにずっとこのエリアを……ちょっと待て。転移結晶での脱出もできないのか?」
最前線で闘ってきた俺のステータスなら、一体や二体のモンスターであればこの辺りは苦労しない…だが、先ほどのコボルトロードやらそういった類の敵がうろうろしているとなるなら、話は別だ。
一週間もそんな環境で生き残ってきた彼女の言い分ももっともだろうと思った矢先、俺はどうして彼女が転移結晶を使わなかったのかと疑問を持った。
一番に疑うのはこのエリア一帯が結晶無効化エリア…のちに、攻略に挑むことになるであろう74層と75層の迷宮区ボスに仕掛けられたギミックだった。以前、月夜の黒猫団の悲劇を引き起こしたそれが、このエリア全体に発動しているとすれば…そう思い、俺は転移結晶を取り出し、試しに発動させようと…
「…えっ?」
使おうとして驚きの声が思わず出た。予想に反して転移結晶は使えたが、転移することはできなかった…どういうことかというと、矛盾しているその結果の答えが、俺の眼下に見えていた。
『転移可能なエリアが存在しません』
「…転移できる場所がない?」
「このエリアの独自性なのか、それとも階層が分からなくなっている影響なのか…アイテムは使えても、転移結晶が発動できないの。回復結晶は使えたから、転移だけが封じられているのかもしれないわ」
「なんてこった…つまり、ここから出るには場所が分からないエリアの出口を探すしかないってことなのか…助けを呼ぼうにもメッセージは……使えないか」
使用はできるが発動しない…結晶無効化ではなく、転移禁止エリアと呼称すべきだろか?そんなピンポイントのギミックを知った俺は、きっと苦々しい顔をしていただろう。
彼女も既にそれを試していたらしく、どこか諦めたような表情をしており、一応の望みに賭けてフレンドリストからキリトを選択したが…メッセージ機能は『送信可能なエリアにいません』と無情な表示が出た結果に終わった。
どうやら覚悟を持って、このエリアの攻略に挑むしかないと思っている矢先、それは突如として聞こえてきた。
『…該当プレイヤーの招待に成功…試練の突破を確認……これより、No『Γ÷?*λ』、\キΛ『=$λ』のγちτに…ホロウエリアの…探索権限を、あたぇηυ……『ホロウ・エリア』データのアクセス制限が解除されました』
「「…!?」」
システムアナウンスだと分かる機械的な音声…ノイズが酷い部分も多く、聞き取れなかった部分もあったが、突如してエリア全域に響き渡るようにして聞こえたその言葉に、俺と少女の息を呑む音が重なる。
「…ホロウ・エリア…?それがここの名前なのか?」
「…!ねぇ、あんた…その右手に浮かんでる紋様…!」
「えっ…っ!さっきまで何もなかったのに……あのシステムアナウンスが流れたからか…そういえば、さっきシステムで探索権限とかアクセス制限みたいなことを言っていたが…もしかして、これのことだったのか…?」
中央に二重丸があり、そこを基点にした十字架のような紋章…どことなくダンジョンの鍵を思わせるようなデザインの紋章が、俺の右手の中で黄色の光と放ちながら存在していた。
先ほどのシステムメッセージらしくものが告げたのは、この紋章のことを指していたのだろうか?もしかしたら、俺だけでなく彼女の手にも出現しているのではと思い、視線を向けるも…彼女の両手には紋章どころか何の光も見えなかった。
「…あんた…一体何者なの?」
「…さぁね。少なくとも、このエリアに飛ばされるようなことをした覚えはないよ。最前線で剣を振るったり、自作の武器を作ったり…そんなありふれたことをしている只の一プレイヤーのつもりだったんだけどな…」
まさか、この世界…ソードアート・オンラインが小説の中の話になっている世界から訳も分からずやってきた人間…と馬鹿正直に答えるわけもいかず、俺は半分冗談交じりの答えを言った。
とんでもない二つ名をつけられた今となっても、俺は最前線で攻略に挑み続ける一人のプレイヤーでしかないと思っていることもあっての言葉だったが、そんな冗談が分かる余裕が彼女にはなかったようで…
「ねぇ…その手、もう一回よく見せてくれない?」
「それは構わないが……何か気になることでもあるのか?」
「…………やっぱりそうだ。あれと同じだ…」
真剣な様子でそう願い出た彼女に、迷いなく右の掌を広げるように…紋章が見えるようにして突き出す。理由を尋ねた俺の言葉に、彼女は確信を持ったその言葉で応えた。
「…同じって…」
「うん…これと同じ紋様がある場所を知ってる」
「そういうことか…なら、そこに行けば、何か他にも分かるかもしれないな。いきなりの感じではあるが、これ以外に手がかりがない以上、行ってみるのが一番だな」
俺の言葉の続きを引き取るように告げた彼女の答えに、これから取るべき方針が見えた。
俺の右手に突如として出現した紋章…先の見えない手がかりではあるが、これについて調べることが脱出への手掛かりになる可能性が現状一番高そうだった。
そうなると、問題となることがまた浮上してきたわけで…
「…なぁ。さっきの約束に関して…二転三転して申し訳ないが、撤回させてくれないか?君さえよければ、その紋章があった場所へ連れて行ってくれないか?そうすれば、君もここから出られるかもしれないし…」
「別に私は構わないけど……でも、そんな簡単にオレンジ……いいえ、レッドの言葉を信じていいの?」
…頑固だ。
もうこの一言に尽きると思う…これで何度目かになるか分からない彼女のその忠告に、流石の俺も眉を顰めざるを得ない。
どうして彼女は自分をここまで警戒させようとするのだろうか…逆に、人の好さが出すぎているような気がするのだが…しかし、今の彼女に何を言っても通じないような気がするし…気は向かないが、多少手荒な手段を取らせてもらおう。
「あのコボルトロードと一緒に戦い、俺のピンチを救ってくれた。それに、この紋章のことだってわざわざ情報をくれただろう?もし俺を殺す気なら、それこそさっきの闘いの最中で、俺にタゲを集中させてのモンスターPKやらピンチには助けに入らなければいい…そもそもの話、不意打ちを狙うような奴はもっと話を別の方に誘導するもんだ…」
「…っ!?」
次々に指摘を受け、苦々しい表情を浮かべる女…動揺したその隙を狙い、俺は一気に彼女へと距離を詰めた!俺の行動に、彼女はすぐさま短刀を抜いたが、その動きを読んでいた俺は彼女の右手首を取り、
「…えっ……きゃああああああぁぁぁ!?」
関節を決めて、そのままの流れで地面へと投げ飛ばした!そして、緩んだ手から奪い取った短刀を構え、
「…っ!?」
「…これこそがレッドと呼称される奴らの常套手だ」
眼前に奪った短刀の刃を突き付け、少し冷たい声色を意識してそう告げる。一転して、追い詰められた彼女の息を呑む音が聞こえるも…俺は大きくため息を吐くと、
「…というわけだ。これで少しは分かったかな…?」
「…え…?」
すぐに彼女から離れ、害を加える気はないと意思を示すために短刀を地面に刺さるように落とした後に、俺は両手を挙げてそう告げる。展開に追いつけない彼女の目が見開かれていたが、先ほどの行動の真意を伝えることにしよう。
「少なくとも、俺は君よりも強い。武器なしでも、こうやって君を制圧できるくらいにはな。だから…例え、君が裏切ったとしてもなんとかできるってことだ。そういうことで、君がいらん心配をする必要はないってことだ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「それと、ここまでして君に裏切られた俺の見る目がなかったってことで…この世界…SAOは命が懸かったゲームだ。そんな世界の中でも、ここは未知なる場所だ…だからこそ、少しでも信用できる君に手を貸してほしいんだ……そういう理由じゃ駄目か?」
「…あんた…かなり性格が悪いって言われてるんじゃない?」
「どちらかといえば、腹黒いって相棒にはよく言われるかな。俺的にはそういうつもりは全くないんだけどな」
「…フフッ。そういうことを言われるってことは、あんたの相棒も結構振り回されているんじゃない?」
「どうかな…どちらかといえば、あいつらに振り回せていることの方が多い気がするんだけどな。さっきはすまなかった…立てるか?」
さっきのやりとりがわざとだと理解し、そんな会話をしている最中、初めて笑みを零した彼女の姿に、俺はなんとかなりそうだと思い、地面に倒れている彼女へと手を差し出した。
その手を取り、立ち上がった彼女には先ほどまで見せていた警戒の色はそこまで見えず、根負けしたといった苦笑を浮かべていた。
「そういえば…自己紹介がまだだったな。俺はフォン。一応、最前線に挑んでて…攻略組って呼ばれてるプレイヤーの一人だから、多少の腕は立つつもりだ。君は…?」
「…フィリアよ。最前線とまではいかないけど…私もそれなりに腕は立つ方よ」
「フィリア…これからよろしくな。さてと、それじゃあ、君が見つけたっていうその場所へと行こうか」
その言葉を皮切りに、俺たちは彼女…フィリアが見つけたというポイントを目指して、歩き出したのだった。
「…といった感じで、俺はホロウ・エリアへと足を踏み入れたわけなんだが…」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
ホロウ・エリアに突然迷い込み、そして、コボルトロードとの激闘を経て、出会った少女…フィリアとの出会いを話し終えたわけだが…机を挟んだ向こうにいる二人…ユウキとカナデの反応は大変複雑なものだった。
「どうした、二人とも…なんというか、ごちゃ混ぜになった料理を食べて、旨いのか辛いのか酸っぱいのか甘いのか苦いのか…どう表現すればいいか分からない顔をしてるぞ?」
「いや、もうその通りというか…色々なことがありすぎてお腹いっぱいというか……もしかして、そういうことなの?」
「このパターンはそうじゃぞ、こやつ…わしのケースを考えてみよ。絶対にこの後、何かしらやらかしておるぞ?」
「…お前らなぁ…!」
その二人の言葉のフレーズで何を言いたいのかを察した俺は、逆にジト目になって睨み返していた。なんか変な疑いを掛けられていたが、大変心外である!
「状況が状況だぞ…フィリアとはホロウ・エリアを脱出するまでに手を組んだ…ある意味で、キリトとはまた違った意味での相棒みたいな感じだよ。二人が危惧しているようなことは流石にして…………あっ」
「「『あっ』?」」
反論すべく、フィリアと駆け巡ったホロウ・エリアの冒険のことを思い出しながら語る。互いに背中を預け、共に激闘を乗り越えて……そして、その最中でいくつかの出来事を思い出して、俺は思わずそのフレーズを言ってしまった。
…言ってしまったがために、オウム返しのごとく繰り返した二人の目が光った。同時に、表情に影が差し、二人の纏う雰囲気が大変冷たいものに変わった。ついでに、俺の背中にも大量の冷や汗が流れ始めたのは言うまでもあるまい。
「やらかしたんだね?既にやらかしてたんだね…へぇ~…ふ~ん…ほぉ~……カナデに飽き足らず、まだ女の子を増やすつもりなの、フォン?」
「ま、待て!?誤解だぁ!」
「そうじゃよ、少し落ち着け、ユウキよ。わしやお主よりも先におなごを落としておったということじゃよ。どうやら、こやつの女誑しについて、じっくりと問い詰める必要があるようじゃ~の~う?」
「…誤解っていうのはそういう意味じゃなくって!?だから、狙ってやったわけじゃなくって…いや、そういう訳でもなくてな…!?」
『ゴゴゴォ…!』という効果音が聞こえてきそうなオーラを纏った彼女たちを宥めようとするも、そんな言い訳は一切聞かないとばかりの彼女たちの目はマジだった。
「「この……天然誑し!!」」
「絶対に言われると思った!?」
「フォン!?もうこの際だから、洗いざらい全部吐いてもらうからね!」
「少しでも嘘を吐いたら…どうなるか承知せぬぞ!!」
「…分かった、分かった…全部教えるから、少し落ち着いてくれよ。ちゃんと続きを話すからさ…」
隠し事は許さない…別の意味で話を聞くのに前向きになった彼女たちに、俺は冷や汗を流しながら、話の続きをすることになったのだった。
…この話が終わった後、処刑されるかもしれないと感じたせいか、できるだけ時間をかけて話そうと覚悟を決めたのは、きっと現実逃避したからだろうと思いつつ、俺はまた記憶へと思考を傾けることにした。
あっ、文字化けは誤字ではないのでご安心を(苦笑)
ネタバレになるので(といっても、次話の展開的に勘のいい人は色々と察するかもしれませんが)多くは言えませんが、色々と起こっているわけでして…その異常さが更に明確になるのが次回のお話です。
さて、少しずつですがゲーム原作との違いが出てきましたので、軽く纏めますと、
・発生時期が少し早まる(平行世界軸になるゲーム原作では、75層突破後、76層の攻略を開始して少し経った頃にキリト一人がホロウ・エリアへと飛ばされた)
・フィリアがホロウ・エリアに迷い込んだのが一週間前と短くなっている(ゲーム原作では一か月彷徨っていたと本人が語っている)
・転移結晶での移動が不可(使用はできるが、転移できる場所がないという扱い。こちらもゲーム原作ではアインクラッド側への移動が可能だった…はず?)
・ボスの一部変更(スカル・リーパーはシナリオの制約上、今後も出ない)
・システムアナウンスにノイズが混じるなど不穏な要素が追加
といったところでしょうか?ゲーム原作におけるキリトの立ち位置をフォンが担いますが、ところどころ違う背景やストーリーにもご期待頂ければと思います。
…で、問題のヒロイン投げ飛ばし事件に関してですが…
「鬼か、お前は」という感想が作者の中にもあるにはありますが、フォンならやりそうだなと(苦笑)
そして、女性関係における信頼を失っているためにユウキとカナデからとんでもない疑い(しかもあながち間違ってない)を掛けられるわけで…(黒笑)
そんなわけで次回は拠点となるあの場所へと至るお話をして、邂逅編は終わりになるかと…それでは、また!
P.S. 今更ながら、本章のサブタイは何かしらカタカナ表記の英語を入れる形式です。強いて言うなら、気分が理由ですが(苦笑)
1/10追記 マザロリおふらいんと矛盾する箇所があったので修正しました。