ソードアート・オンライン~夢幻の戦鬼~   作:wing//

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えー、大変お待たせしました…!
えっとですね、遅れた理由として、予想以上の量の仕事が流れ込んできたり、夏休みがぶっとんだり、このボスの設定に嫌という程に苦しめられたり、リモしるのイベントに行って来たり…8月が本当に忙しかったんです(苦笑)

そういうわけで、大空洞エリア編ラストのお話となります。
サブタイでどういったボスからもうお分かりですね?

それでは、どうぞ!


第22話 「地獄から蘇りしクォーター」

「…ここか」

 

「そう、だね…」

 

ホロウPoHを打ち倒し、フィリアと和解した翌日…大空洞エリアも残すはエリアボスを倒すだけとなった今、俺たちはそのボスがいるであろう扉…いつもの通りの仕様であるボス扉を前にして、確認するように呟き合っていた。

 

以前、フィリアを探し回っていた際に通りすがった『ジリオギア階段遺跡』を踏破した先…『看守たちがカードに興じた監視棟』から続く『少年が投獄された牢屋』の最奥にて、ボス扉を見つけたわけだが…

 

「…PoHがここに通じる道を封鎖していたお陰で、逆にこの先にボス部屋があることをすぐに突き止められたのは良かったが…それでも、ボスの情報が何も掴めなかったのは痛いな」

 

「ボスのパターンを分析、最大限警戒しながら戦っていくしかないか…いつもどおりのノーパターンって奴だね」

 

「だな…まぁ、どういった状況でも対応できるように装備は持ってきたから、なんとか…なんとかするしかないか」

 

「期待してるからね、夢幻の戦鬼さん?」

 

ボスがいるエリアは分かっても、ボスの情報がどういったものかまではコンソールを使っても知ることができなかった。どうも、その辺りの情報は管理システムの秘匿領域にあるらしく、それもPoHの仕業とみていいだろう。

 

逆に言ってしまえば、これまでしてきたことを同じように…上手い言い方をすれば臨機応変に、下手な言い方をするならフィリアの言う通りノープラン…それに対応できるように一通りの装備をこしらえてきた。

 

フィリアからの期待に苦笑いと共に肩を竦める…そう言われてしまえば、期待に応えるしかないだろう。

 

「…まぁ、幻想剣の仕様を聞いた時には何度か卒倒しかけたけどね」

 

「…あははは…」

 

今回のボス戦に備え、幻想剣の固有効果から武器毎に設定される固有能力やらを昨日の時点でフィリアへと説明したのだが…説明の途中で二回ほどストップが掛かった。情報過多による思考停止が原因の小休止のためだ。

 

そんな苦労もあって、フィリアも幻想剣の仕様を十二分に理解してくれた…代償として、今、ジト目を受けているが…その視線から逃れるように苦笑いを浮かべた顔を逸らしていた。

 

「さてと……それじゃ行くか」

 

「うん!」

 

…エリアボス前というせいか、それとも、フィリアとはこれまでとは違った関係で挑むボス戦だからだろうか…そんな軽口を叩き終え、覚悟を決めた俺たちはボスへと続く扉を開いた。

 

…開いた先に待っていたのは砂時計型の転移結晶…エリア間の移動を目的としたそれだった。

 

ちょっと肩透かしを喰らった感じだが…俺たちは転移結晶へと触れ、そして、転移の光に包まれたのだった。

 

 

 

「…っ?!うそ、だろう……ここで、こいつが来るのか…!」

 

「…フォン?」

 

転移された先…目にした光景に、俺は思わず息を呑んだ。

 

周囲に飾られた三段式のろうそくの列、六つの勾玉の紋様が刻まれた屏風群…この光景を俺は忘れたことなどなかった。72体に渡る階層ボスの中で、俺が参加したボス戦の中で最も印象に残っているボスがいた場所…その強化体と戦うことになるとは…予想外もいいところだと驚いている俺に、フィリアはどういうことかと首を傾げていた。

 

「…フィリア。俺はこの場所を…これから戦うことになるボスのことを知ってる。俺とも因縁深い…俺が異名を背負うことになった相手だからな」

 

「…えっ?」

 

「俺が夢幻の戦鬼って呼ばれるようになったのには理由があるんだ…それの一つ。今の俺の戦闘スタイルがそれによって出来上がったとも言える相手…25層エリアボス…あのアインクラッド解放軍をほぼ壊滅状態にまで追いやった初のクォーターボス…『The God of War ASYURA』」

 

「…『武人の神「阿修羅」』…25層の…確か当時の新聞でも盛り上がっていたよね。軍を壊滅させて、攻略組全ての力を結集してなんとか撃破したって…そういえば、その時からだっけ。夢幻の戦鬼の二つ名が有名になりだしたのって」

 

そうだ…25層のボス、攻略組にとって、初となるクォーターボスとの激闘はアインクラッド解放軍の壊滅という痛い結果となり、血盟騎士団、聖龍連合、ディアベルなどを始めとした解放軍の残存部隊、クラインたち率いる風林火山ギルド、そして、俺やキリトといったソロプレイヤーが一時的に垣根を越えて共闘し、撃破したのだ。

 

その時、様々な武器を持ち換えて攻撃を仕掛けてくるボスに対し、俺が対抗するべく武器を換装し続けることで渡り合い、ボスの動きを封じている間に攻略組がダメージを与えていき、そして、俺がラストアタックを決めて打ち倒したのだ。

 

そう…その戦いがきっかけで、アルゴさんの勝手なる命名によって二つ名である『夢幻の戦鬼』が有名となり、後に50層にてラストアタックを決めたことで魔剣『エリュシデータ』を手に入れたキリトが『黒の剣士』と呼ばれ始め、いつの間に攻略組最強候補と評価され始めたわけだが…

 

そんな余談は置いておこう…問題なのは、ここにきてそのクォーターボスの強化体と戦わなければならないことだ。まだスカル・リーパーでないだけマシと思うべきなのか。

 

「…戦ったことがあるのなら、パターンが分かったりは……しないよね」

 

「樹海エリアボスの一件があるからな。相違点が多いと考えた方がいいだろうな…25層で戦った時には、六つの腕に色々な武器を装備していて、それらを駆使しての乱撃がメインだった。しかも、厄介なことに六つの武器も時間経過で次々と変わってきて…それに対抗するために、俺も武器を次々と換装して渡り合ったんだ」

 

「…それじゃ、まるでフォンみたいなボスと戦うってこと?」

 

「ある意味ではな…フィリア、この戦い、一瞬たりとも気を抜くなよ。少しでも油断をすれば、確実に死ぬ」

 

「…っ!?」

 

直感というのだろう…このエリアに足を踏み入れてから、嫌な予感が止まらないでいる。これまで戦ってきたボスとは違い過ぎる雰囲気に、下唇を噛んでしまう程だ。

 

俺がそこまで言う状況にフィリアも息を呑んでいた程に…これからの戦いは激戦になるとみて間違いないだろう。

 

「…あくまで油断したらの話だ。俺とフィリアが本気で戦えば、なんとかできるさ。だから…力を貸してくれ。俺一人じゃ手に余りそうだからな」

 

「…もちろん!絶対に勝とうね!」

 

改めて覚悟を決め、フィリアとも意思を示し合わせたところで、互いの獲物を抜刀してから、ボスがいるであろう広場へと続く階段を下りていく。

 

あの時と…25層で戦った時と同じように広場の中央には俺たちの身長の二倍はあるであろう巨象が鎮座していた。プレイヤーが広場へと着いた30秒後に、巨象が砕けてボスがその姿を露わにするのだ。

 

俺の予想通りであれば、あの時と同じような形でボスが姿を現す筈だ。広場に着き、俺たちが戦列を整えたタイミング…30秒経過によって巨象に罅が入ろうと…

 

「っ…!?何だ…?」

 

「…!フォン、あれ!?」

 

巨象に罅が入るものかと思っていた矢先、何かの気配を感じた俺とフィリアは周囲を見渡す。すると、フィリアが気付き指さした方向に…彼方から何かが飛来してきていた。

 

「…武器?25層の時にはこんな演出はなかったぞ…!」

 

「待って……両手剣に刀に斧、それに細剣に片手剣……あれって、入り江エリアのボスで戦った武器たちじゃない!?」

 

25層の際にはなかった出来事に動揺する俺。それに対し、フィリアがその武器たちの正体に検討をつけた。言われてみれば、確かにあの入り江エリアにて戦った武器らと同じだ!

 

予想を超える展開に理解するのがやっとで、そうこうしている内に、まるで亡霊かのように周囲を高速で飛び交う武器たちが巨象に集まったかと思うと…

 

バババババババァァァァァン!!バリギャリバリギャリ!!

 

武器の浮遊例からエネルギーのような雷が巨象へと迸り、その眩しさに俺たちは思わず目を瞑ってしまった!?

 

降り注ぐ轟音に遅れ、何かが一気に砕け落ちたような音がした。それが巨象が崩れた音だと理解したのは、開いた視界にてその光景が…中から(それだけは)予想通りボスが出てきたからだった…だが、その中身は俺の予想を超えるものだった。

 

25層の時には木造のような巨象から、まさしく阿修羅像のような魔像が出てきたのだ。しかし、今、目の前にいるのは…

 

(25層の時と全然違う…!?サイズが一回り小さい上に、あの姿は…人型なのか?!)

 

25層で出現した際には魔像は巨象と同じ大きさだった。だが、イレギュラーな出現をした大空洞エリアのボスの大きさは、俺たちよりも少し大きいほど…そして、その姿も異形なものだった。

 

人型であるが、なんと表現すればいいのか…憤怒の化身というべきなのか、水色の肌色に紫と赤の奔流が血管のように浮き出ている姿。感情を人型にしたという表現がある意味では適格なのだろうか。

 

『キサマラ…ブグノソウルヲ…オトシメシモノタチヨ…ダンザイスル!!』

 

「「…喋った!?」」

 

予想外の出来事が続いていたところに、ボスからとても…そう、とても機械調な声が聞こえてきて、俺とフィリアの驚きの声が重なる!あまりにも…アインクラッドの階層ボスとも、ホロウ・エリアのエリアボスとも、全く違うパターンに困惑を隠せない!

 

『…ナイガシロニサレタ…ブグノイタミヲ…シレェ!?』

 

驚きにより脳の処理が遅れている最中、霊雷(と呼ぶのが正しい表現か分からないが、とりあえずそう仮定しておこう)が降り注いだにも関わらず、浮遊していた武器たちの一つ…刀が奴の手に吸い込まれるように収まったと思った瞬間だった!

 

ガァン!?

 

「ぐううううぅぅぅ!?」「…フォン!?」

 

…それは一瞬のことだった…

 

殺気のようなものを感じ、咄嗟に両手剣を盾にしたことが幸を制した。鈍い金属と共に、俺の身体は後方へと吹っ飛んだ!?遅れて気づいたフィリアの悲鳴が木霊する中、俺はなんとか体勢を整えるも、勢いを殺し切れずに地面に膝を擦らせた!

 

「っ…!?見えなかった…これじゃ、まるで…!?」

 

『ヨクゾフセイダ…ダガ、イツマデモツカナ』

 

(…幻想剣の刀ソードスキルを使ってるみたいじゃないか!?)

 

大上段に構え、いつでも斬り掛かれる体勢になったボスの言葉を耳にしながら、俺は冷や汗が背中を伝うのを覚えていた。

 

あの…妖精のユウキと攻略した隠しダンジョンのことが頭に浮かんでしまう。もしも、あの時のボスみたいに…こいつも幻想剣の能力を持っているとしたら…!

 

「フォン?!」

 

「っ…!」

 

フィリアの叫びに乱れていた思考が現実へと引き戻される。その直後、二度目ということで少しは目が慣れていたことで、視界に捉えることができたボスが眼前に迫っていた!?

 

…ガァン!?

 

二度目の金属音が響き、予想できたこともあり、今度は僅かに後方に下がる程度に済んだが…防御したにも関わらず、立て続けの攻撃にHPが四割も減っていた!

 

「フィリア!?絶対にこいつの攻撃は直撃を喰らうな!君のステータスじゃ一撃でHPが全損する!?」

 

「っ…了解…?!」

 

俺のステータスで防御した上でこれなのだから、AGI寄りのビルドにしているフィリアが直撃を受けたりすれば、とんでもないことになる。

 

フォローを頼みたいところだが、こいつ相手に援護を頼むタイミングも指示を出すことも難しい!?

 

『…緊急クエストが確認されました!当ホロウ・クエストが完了するまで、出入り口を封鎖します!ユニークスキル『幻想剣』の分析完了…これより、緊急クエストと共にユニークスキル『幻想剣』の最終テストを開始します!』

 

『…マイル!!』

 

『The Phantom of Weapon master KIZIN』…遅れて流れた、これまでと少し異なるシステムアナウンスのことなど気にする間もなく、今度は刀を斜め後ろへと刃を向けるように構えたボスが、三度目となる斬撃を放ってきた!

 

「っ!?」

 

それもなんとか防ぐも…HPが半分を切り、イエローゾーンに突入する。このまま攻撃され続けたら、確実にやられる!だが、攻撃を受け続けたことでその技の仕組みを見破れた。

 

(シグさんの居合術よりは遅い…それに…!)

 

ほんの僅かだが、シグさんよりは遅い斬撃だ…そして、何よりも致命的な弱点がある!四度目となる斬撃を放とうとしていたのに気づき、水平切りを放ってきたのに合わせて前方に飛び込むような形で斬撃を避ける!

 

こいつの攻撃は早いだけで、酷く単調なのだ。構えによってどういう斬撃がくるのか、予想できてしまうのだ。すぐさまメニューを開き、ハイポーションを一気に飲み干し、空になった瓶を投げ捨てる。

 

『ホウ…ヤルデハナイカ。ナラバ、コレハドウダァ!』

 

ポーションの効果により回復し出したHPだが、俺の動きに関心したような声を出したボスは、なんと…俺の方へと駆け出してきたのだ!

 

その流れに乗るかのように、乱撃の雨が始まった。

 

斬撃の基本九つの型…それらが縦横無尽に迫ってくるのを、なんとか両手剣で防ぎ続けるが、直撃しないようにするのが精いっぱい…それどころか、斬撃に対応するのがやっとで、呼吸が次第に体の動きへと追いつかなくなっていた。

 

(ヤバい…このままじゃ息が……!?)

 

両手剣よりももっと取り回しのいい武器にしたいのに、高速換装スキルさえも使う暇がない!このままでは、酸素不足で身体の動きが追いつかなくなる…なんとかラッシュを止めることができればいいのだが…打開策が思いつかず、このままでは時間の問題だと思っていた最中だった。

 

『…!』

 

刀をこれでもかと振るっていたボスが突如として飛びのいたのは、フィリアがボスの側面目掛けて短剣を振るったからだった!

 

「ハァ…ハァ…フィ、リア…?」

 

「もう…見てられない!私だって戦える……私たちなら絶対に勝てる。そうでしょ、フォン!」

 

「っ…!?そう、だな…フィリア、全部任せる!援護頼む!」

 

「うん!」

 

ボス戦前、『二人が本気で戦えば、なんとかなる』…そう自分でフィリアに言ったのに、このボスの特異性の前に、それがすっかり頭から抜けてしまっていた。フィリアの言葉でそれを思い出した俺は、頭を掻きながら息を整える。

 

『ブスイナコトヲ…ヤハリブジントシテノホコリヲシラヌカ…シヌガイイ!』

 

「はっ!何をもって武人の誇りだとかほざいてやがる!そんなもん…俺たちにお前の勝手な妄執を押し付けんな!?」

 

「あんたを倒して…私たちは先に進む!だから…」

 

「俺たちの邪魔をするじゃねぇ!?」「私たちの邪魔をしないで!?」

 

『フユカイ…シソウナキケンデハ…ワレハタオセン!!』

 

息を整えたことで、少し思考も冷静になれた。何を基に発言しているかは知らないが、そんなこと知ったことではない。

 

今の俺たちは負けられない理由がある…先に進まなければならないのだ!それさえあれば、十分だ。俺とフィリアの言葉が重なり、それに応えるかのように不快感を出したボスとの視線がぶつかり、戦いは仕切り直しとなった。

 

「…(フィリア…!)」「…!(コクッ)」

 

前に出る直前、一瞬のアイコンタクトにてフィリアと意思疎通を図る。フィリアを信じて…それだけで言いたいことを汲み取ってくれるだろうと信じ、俺はボスへと攻撃を仕掛ける!

 

『イッタハズダ…シソウナキケンハワレニハトドカント!』

 

(あの構え…高速の斬撃か!?)

 

このボスの攻撃パターンは二つ…その内、初撃で放ってきた高速斬撃を放つ際には癖があるのだ。ほんの僅か…僅かだが、その斬撃を放とうとする直前、後ろ足を引くのだ。そして、斬撃の軌道が分かっている以上、スピードが一定であるのなら相殺することはそう難しいことじゃない!

 

「そこだぁ!!」

 

『…ナニ…?!』

 

幻想剣≪両手剣≫単発ソードスキル〈フォール・ルイン〉が見事に奴の斬撃を弾き飛ばし、余裕淡々だった奴の表情が初めて崩れた!0.2秒…一瞬だが、フォール・ルインの硬直時間によって動けなくなった俺は追撃に移れない。

 

…だからこそ、彼女に託したのだ。

 

「もらったぁ!」

 

俺の肩を踏み台にし、空中からの落下の勢いをも加えた短剣2連撃ソードスキル〈ラウンド・アクセル〉がフィリアの短剣によってボスの身体に斬撃を刻む。

 

「駄目押しだ!」

 

ダメージを喰らったことで、怒りに支配されたのか…硬直で動けなくなったフィリアを迎撃しようとボスが刀を振りかぶるも、その行動は悪手だ。咄嗟に動いたせいで動きが緩慢すぎた…硬直が解けた俺がその一撃を防ぎ、代わりに幻想剣≪両手剣≫3重連撃ソードスキル〈クラッシュ・エンカウンター〉を叩き込む!

 

「いける…いけるよ!」

 

「油断するなよ、フィリア…まだ始まったばかりだ」

 

一人ではやりあうのがやっとでも、二人でなら競り勝てる…それを確信したフィリアの言葉に警戒を促しつつも、俺も自然と笑みを零していた。

 

パターンさえ分かれば対処はできる…対処の手段は俺が持っていて、隙を作ればフィリアがダメージを与えてくれる。キリトとは違う…また別の意味での感覚が共有できている感じが心強い。

 

…だが、実はもう一つ気になっていることがある。

 

(ボスのHPが表示されていない…こいつにはまだ何かギミックがあるのか)

 

フィリアと俺のソードスキルが直撃したにも関わらず、ボスは全く堪えた姿を見せないのだ。それどころか、戦いが始まって以来、奴のHPが表示されていないのだ…もっとも、これは索敵スキルの仕様で、看破可能ではない程にボスのレベルが高い可能性もあるのだが…

 

HPの残量はある意味で戦況をコントロールするための指標の一つであるため、それが分からない今、攻めるのはかなり難しい状況と言えた。

 

「はああぁぁ!!」

 

4度目の攻防にて、フィリアの一撃がまたしてもボスの身体に決まるが、嫌な予感が未だに拭えずにいた。そして、その予感は当たることとなる。

 

『コノ…チレモノドモガアアアアアアァァァ!!』

 

「「っ?!」」

 

フィリアの一撃が引き金となったらしく、ボスが咆哮を上げると共に衝撃波が身体から放たれた!回避する間もなく、そのまま喰らった俺とフィリアは無理矢理にボスから距離を取らされた。

 

『シンノブシンノイチゲキヲウケヨ!』

 

「っ…あれはマズい!?フィリア、俺が相殺する!フォローを!?」

 

「分かった!」

 

再び大上段に構えた刀から尋常ではないライトエフェクトが…いや、オーラと化したエネルギーが奔流していた。見た目だけで直撃するのはマズいと分かる一撃に、俺も大技で迎え撃つことを迷いなく選択した。

 

後詰めをフィリアに頼み、俺も両手剣を振りかぶるように構える。そのモーションによってソードスキル発動のためのライトエフェクトが剣に宿る。

 

「エンド・オブ・フォーチュン!!」

『ブジンシンゲキ!!』

 

飛び出したタイミングは同時…技名の叫びすらも重なり、二つの斬撃が轟音と共にぶつかった。拮抗したのは一瞬…大技のぶつかりは斥力によって、互いの身体を吹き飛ばす結果に終わった!

 

「スイッチ!?」「いっけぇぇぇぇ!!」

 

叫ぶのと同時に、既に身構えていたフィリアが吹き飛んだボスへと肉薄していた。その手に持つ短剣が描く軌道は、短剣最上位4連撃ソードスキル〈エターナル・サイクロン〉…豪風を表すかのような斬撃がボスの身体を斬り刻んだ!

 

『グウウウゥゥ…!?』

 

ここにきて初めてボスから苦痛の声が漏れた。その直後、持っていた刀が砕け散り、そのまま奴は地に膝を突けることになった。

 

このまま押し切れる…そう確信したのは早計だった。

 

…バキン!?

 

「っ…なに?!」

 

耐久値がまだ残っていたにも関わらず、持っていた両手剣『エンプレス・ジェイル』の柄と刀身が分かれ砕けたのだ。まさかとは思うが…さっきの一撃は相殺した武器を…いや、防具すらも破壊する能力があったのかもしれない。

 

つまり、防御しようとすれば防具ごと破壊され…威力の足りないソードスキルではそのまま押し切られどのみちやられることになる未来が待っているわけだ。

 

「フォン、武器が…!」

 

「問題ない。次がくるぞ!?」

 

動揺している暇なんてない…既に体勢を立て直していたボスの手の中に細剣が収まろうとしていたのだ!

 

できることならどういった順番で武器を装備し直すのか分かればいいのだが、贅沢は言っていられない。半壊した両手剣を換装するべく、メニューを高速操作し、修理し直したばかりの両手斧『ラーバ・ソリッド』を装備する。

 

『シンソクノシトツゲキヲミヨ!』

 

「…!フィリア、俺の後ろに!?」

 

その言葉で思い出したのは入り江エリアでの出来事だ…不意打ちだっただけに覚えていたのと、奴が幻想剣と同じ能力と技を使うのならと嫌な覚えをして、両手斧を盾にしてフィリアを庇う。

 

俺の背後にフィリアが来た直後、ボスが細剣を突き出した…10メートルぐらい先から。そして、その結果は…衝撃波が両手斧を襲ったものだった。

 

「飛ぶ斬撃とか…やっぱり反則でしょ!?」

 

「幻想剣ソードスキル〈ランバルト・ノイン〉の硬直無し、無限連射版とかチートだろう!」

 

武人の誇りとか口にしてた精神はどこにいったんだ?!とツッコミたいが、そんな余裕など一切ない!

 

エセ武人野郎ことボスは休む間もなく飛ぶ刺突を繰り出してくる。両手斧を盾にし続けることを強制されてしまう。連射性がある分、一撃一撃の威力は大したことないようで武器での防御にも関わらず、ダメージはないに等しい。しかし、腕に伝わる衝撃のせいで疲労は蓄積していく一方だ。

 

「フォン、ちょっと考えがあるんだけど…(コソコソ)…ってできるかな?」

 

「…できると言えばできるけど…フォローはできないぞ!?」

 

「でも、現状は打破できる…でしょ!」

 

「…分かった」

 

そんな中、背後のフィリアから打開策が提案される…一瞬、耳を疑うような内容だったが、確かに現状を変える一手には間違いなかった。あと、フィリア…人を化け物扱いしているが、その発想が出てくる時点で人のことを言えないと思うぞ…と内心ツッコんでおきながら、チャンスを伺う。

 

「…!フィリア!」

 

「よろしく、フォン!」

 

刺突が飛んでくる感覚を読み、直近で飛んできた斬撃を逸らし、合図と共に両手斧を背後へと回すと、そこには跳躍していたフィリアの姿が…

 

「せぇ…のおおおおおおおぉぉぉぉ!!」

 

「っ!?」

 

乗った直後に両手斧でフィリアを上空へと打ち上げる!どこぞの馬鹿(黒の剣士の異名を持つ悪友)に何度か試しに飛ばしてほしいとエギルさんと共にやらされた時の経験が活かされることになるとは…人生分からないものだと呟きながら、俺も動き出す!

 

『ソノテイドノコザイク…ウチオトシテクレヨウゾ!』

 

「やれるもんならやってみなさい!でも、私だけ見てていいのかしら!」

 

『ッ…?!』

 

空からの強襲…フィリアの動きを無駄だと言わんばかりに迎撃しようとするボスだったが、そんな彼女の言葉に、視線と剣先を逸らしてしまったことに気づき、慌てて俺へと注視する。

 

準備はもう整っていた…両手斧にライトエフェクトが宿ったのを確認し、俺は駆け出す!

 

『…カザアナヲアケテクレルワァ!』

 

フィリアが囮だったことに気づいたようで、接近してくる俺へと無数の刺突を放ってきた。それを俺は…避けることはせず、まっすぐ突っ込む。

 

頭に飛んでくる刺突だけは首の動きで躱し、刺突の雨嵐を無理に突っ込んだせいで、7発ほど右腕、左肩、腹部、左足と直撃し、俺のHPがレッドゾーン直前まで減った。だが、それは狙い通りだった。

 

「…倍返しだああああああああぁぁぁぁ!!」

 

白色だったライトエフェクトが真っ赤に染まり、斬撃を放とうと踏み出した一歩によって、斧からとんでもないオーラが解き放たれる!

 

復讐者の名を冠するソードスキル…幻想剣≪両手斧≫変動型単発ソードスキル〈ペイン・アベンジャー〉は、ライトエフェクトを武器に発動させてからソードスキルを放つまで受けたダメージを倍にして返すカウンターソードスキルだ。

 

スーパーアーマー仕様でノックバックを受けない代わりに、真っ直ぐしか進めないという弱点はあるが…刺突を放ってくる性質上、HP残量に気を付ければ、ハイリスクハイリターンの一撃を繰り出すのに利用するのはそう難しいものじゃない。

 

命削りの一撃が細剣を咄嗟に盾にしたボスをそのまま抉る!防御力無効にショックウェーブによる衝撃波まで加わり、大ダメージを与えた(と思いたい)。

 

『グゥゥゥ?!キサマァ「余所見してんじゃないわよ!」…グオォ?!』

 

「スイッチ!」「おう!」

 

3秒間の硬直に襲われた俺に…大打撃を受けた鬱憤を返そうと細剣を構え、すぐ近くにいる俺へとその狂刃を振るおうとするも、空から落下してきたフィリアの体術スキル〈流月〉による右踵おとしによって、それは中断させられた。

 

頭部へと強力な一撃を喰らったことで無理矢理顔を地へと向けさせられたボスに再び隙が生まれ、逆に反動によって逆宙返りしながら着地したフィリアの合図に俺は飛び出す。

 

両手斧を持つ右手を押し込むように持ち換え、幻想剣ソードスキルを立て続けに発動させる。鈍い銀色のライトエフェクトを宿した斧の一撃がガラ空きとなったボスの胴体に直撃し、断斬しようと…せずに、ボスの身体に刃を接着したまま押し込んでいく!

 

押し斬るのではなく、両手斧の重量と大きな刃による持続的なダメージを与える特殊ソードスキル…幻想剣≪両手斧≫重単発ソードスキル〈エグゾード・スブル〉による吶喊でボスを押し込みながらフィールドを駆ける!

 

『…ッ!?ナメルナァァ!?』

 

「ぐぅ?!」

 

されるがままに十数メートルを駆け抜けたところで、ボスの咆哮と共に奴の全身から二度目の衝撃波が放たれる!それが刀を使っていた時…あの大技を使う前に見せた予備動作だと理解しながら、ソードスキルを強制的に解除された俺は後ろへと吹っ飛ぶ!

 

「フォン!?」

 

「フィリア、あの大技がくる!さっきと同じ通りに頼む!」

 

最低限の呼吸をするのがやっとで、息苦しいのをなんとか堪えながら、吹き飛ばされた勢いを両手斧の柄頭と左手を地面に擦らせることで無理矢理失くす。さっきもそうだが、この衝撃波自体にダメージはない…おまけに、ソードスキルの硬直も無効化してくれるらしく、硬直に襲われることなく、俺は大技に備えて動き出す。

 

あとのことはフィリアに任せたこともあり、迷うことなく繰り出すのはもちろん…幻想剣≪両手斧≫の最上位ソードスキル…!

 

『ブジンシンソクゲキ!』

 

細剣最上位ソードスキル〈フラッシング・ペネトレイター〉に酷似した高速の刺突を放ったボスに対し、俺が繰り出した…幻想剣≪両手斧≫2連撃最上位ソードスキル〈ランダウン・スロチャーム〉の初撃が激しい音と共に激突する!

 

その結果は刀の時と同じように…最上位級のソードスキルがぶつかり合い、相殺されたことで俺とボスの身体が反発したかのようにそれぞれ後ろへと吹っ飛ぶ。

 

違いがあるとすれば、俺が装備していた両手斧と…そして、二度の大技の激突によってダメージを受けていた防具『蒼炎の烈火』が限界を迎え、罅を立てて右肩から腕と下半身のほとんどが崩壊したことだった。

 

「これで…二つ目!」

 

だが…先程と同じということで、チャンスを伺っていたフィリアはボスへと二度目となる〈エターナル・サイクロン〉を叩き込む!最上位の4連撃を叩き込まれ、痛み分けと言わんばかりに、ボスの持っていた細剣が砕け散る!

 

「あと三つ…これを繰り返していけば、このボスは倒せる筈…と見ていいのかな」

 

「そう信じたいけどな…それ以上のギミックが出てきたら、覚悟しないとマズいな」

 

「フォン、武器のストックは…?」

 

「あと三回分は余裕で凌げる…次は……片手剣か!?」

 

刀の時と同じように今度は細剣が砕けたことで、ようやくこのボスのパターンが…攻略方法が見えてきたような気がする。

 

このボスはある意味で俺に酷似している…そして、25層で戦ったクォーターボスとしての性質をも残している。

 

HPがないことやこいつが姿を現した時もこのことを連想させていたのだろう…こいつは武器を基にその存在を確立させている。『武器の付喪神』、もしくは『破壊された武器の怨霊』と表現すべきか…つまり、さっきのように一定ダメージを与え、大技を相殺した後の隙に大ダメージを与えられれば、武器を破壊できて次の段階へと移れるのだ。

 

…だが、言うは易し、やるのは超絶的に難しい…そもそも武器を複数所持していることが前提のボス戦だ。メインの武器を失ったら、そのプレイヤーはほとんどフォローに回るしかなくなり、攻略の戦力は下がることになる。それを複数回繰り返すなど…下手したら、犠牲が多数に出かねない相手だ。

 

仕切り直しのために戻ってきたフィリアの問い掛けに、攻略の道筋が見えたとはいえ、不安がまだ拭い切れない俺は真剣な声で応える。こんなことがあろうかと、全てのメイン武器と防具も持てる限りは持ってきていたが…まさかそれが功を制することになるとは思ってもみなかった。

 

全壊の一方手前である『蒼炎の烈火』と半壊した『ラーバ・ソリッド』を換装すべく…しかし、ボスの次の武器が何であるかを確認した俺は、併せて高速換装スキルを発動させる!

 

一番使い慣れている両手剣を失ってしまった今、できることなら次に使い慣れている片手剣は温存しておきたいところだ…そう思い、装備したのはこれまた作り直した細剣『メルクネイル』と防具『イノセント・ドキュメント』(純白カラーをメインに、薄黄金色の文字がラインとして刻まれたAGI・VIT重視型の軽鎧装備)だ。

 

『ブジンノケンツカイヲトクトミヨ!』

 

そう告げたと思った矢先、装備した片手剣を頭上へとボスが掲げると…剣に光が灯り、そこからいくつもの光の剣…光剣が数えきれないほどに出現した!

 

「っ!?回避!」「…!?」

 

その光景に思い起こされたのは入り江エリアでのボス戦…ゾッと背中を走った嫌な予感に従い叫び、俺とフィリアはすぐさま動き出した。その直後…光剣たちが一斉に動き出し、俺たちがいた場所へと高速で飛んできたのだった。

 

「…フィリア!剣の動きを注意しろ!こっちを狙って、剣の動きが止まったすぐ後に射出されてる!」

 

「ってことは…それを利用すれば誘導できるってことだよね!」

 

「ああ!隙を作るから、追撃頼む!」

 

刀の居合術や高速乱舞、細剣の飛ぶ斬撃に比べれば、この光剣の雨嵐はまだ対処が容易だった。光剣は空間を縦横無尽に飛び回っているわけではなく、ボスの頭上からこちらを狙って射出しているに過ぎないのだ。おまけに、射出される直前…射線が決まる際に光剣が硬直するのだ。つまり、こっちの動きによって誘導しやすいということだ。

 

次々と飛んでくる光剣の雨嵐を最底辺の動きで躱し、フィリアへと指示を出す。これまでの攻撃に比べればすぐに見切れたのもあり、乱れていた呼吸を戻すこともできた。それと併せ、ポーションとハイポーションを重ね掛けして一気飲みし減っていたHPを回復したことで、、多少の無茶がまたできるようになった!

 

「…いくぞ!」

 

駆け抜けながら、奴の間合いの外…奴と2メートルの距離にまで近づいたところで、細剣でソードスキルを発動させる。そして、俺の身体は一気に加速した!

 

…ガァン!

 

「っ…!(光剣が…盾になりやがった!?)」

 

幻想剣《細剣》8連撃ソードスキル〈エイトニング・カウント〉での高速突撃を繰り出し、ボスに一撃を与えようとするも…身動き一つ取らないボスの代わりに、光剣が1撃目を防いだ。

 

そう簡単にはやらせてくれないらしい…少し驚きはしたが、予想の範囲内だ。そのままソードスキルのモーションに合わせて残り7連撃を繰り出すも、全てが光剣に防がれてしまう。そして、最後の8連撃目を放ち終えた俺は硬直に襲われ…

 

『…チレ!』

 

「…お前がな!」

 

隙だらけだと判断したのだろう…8連撃の突進を終えた俺の背中目掛けて、光剣を放ったボスがそんなことを口にするも、どうやらこいつは記憶力が悪い方らしい。さっき自分がしたことを忘れてしまったのか。

 

強気な笑みと言葉を共に、俺はソードスキルのモーションを利用してその場から飛びのき細剣を持つ右手を引くようにして構える。

 

技術連撃によってスキル硬直を無視する形で幻想剣ソードスキルを連続発動させる!さっきやられたことをそのままお返ししてやろう…そんな意趣返しの思いを込めた斬撃を放つ!

 

幻想剣≪細剣≫遠距離ソードスキル〈ランバルト・ノイン〉による飛ぶ斬撃がボスへと迫る!そして、先程と同じように光剣が盾になろうとボスの前に立ち塞がり…

 

「そうはさせない!?」

 

注意が完全に外れていたことで、すぐ傍にまで来ていたフィリアに気づいていなかった…ボスの盾になろうとしていた光剣がフィリアの振るった短剣によって弾かれ、彼女の顔ギリギリを横切った飛ぶ刺突が、防がれることなくボスの身体に突き刺さった!

 

『ガハァ…!?』

 

「まだまだぁ!」

 

油断していたところにまさかの一撃を喰らったことでボスの口から悲鳴と共に息が吐かれ、そんなことなど構うことなく、立て続けに技術連携でソードスキルを連続発動させる。即座に放てる上に、かなりのスピードを持っているのに硬直時間が短い細剣単発ソードスキル〈リニア―〉で追撃を放つ。

 

ダメージを受けたことで光剣のコントロールが乱れたらしく、再び光剣が盾になろうと動いていたが、先程までの精細さを欠いた動きで…完全に抜けることはできなかったが、掠った光剣のせいで勢いが落ちたものの、リニア―の一撃はボスの身体に突き刺さり、更に後方へと吹き飛ばした!

 

いける…!そう確信したが、それが時期尚早だったことを思い知らされることになった。

 

『コノワタシニナンドモキズヲォ!?キサマラァァ!!』

 

「っ!(しまっ……!?)」

 

光剣が単調だと思い込んでしまっていた…激昂したボスの叫びに呼応するかのように、なんと光剣がこれまでとは違う動きを…周囲を切り刻むかのように円環の陣形となり、巨大な飛ぶノコギリのように迫ってきたのだ!

 

幻想剣の効果で硬直時間が短くなっているとはいえ、どうしても僅かに硬直は発生してしまうのだ。思った以上に高速で迫る剣環に俺は直撃を覚悟して…

 

「フォン!?」「っ…?!」

 

していたのだが、ピンチに気づいたフィリアが硬直で動けなくなっていた俺を押し倒す形で迫っていた剣環から助けてくれた。

 

「サンキュー、フィリア…今のは本当にヤバかった」

 

「どういたしまして…この形態も長期戦はあんまりしないほうがよさそうだね」

 

「ああ…一気に決めに行こう」

 

手短に礼を告げたところで、やはりホロウ・エリアのボスということで一瞬たりとも油断も慢心もするべきではないと考えを改め直し、ボスへと視線を向ける…円環陣形より再びボスの頭上へと集結している光剣が俺たちへとその矛先を向けていた。

 

(硬直の長いランバルト・ノインは技術連携なしじゃ使えない、ゼクス・ペンタグラムはあの大技に備えて使うとして、バックル・ウォートンは論外…そうなると使えるのは……エイトニング・カウントと…)

 

幻想剣≪細剣≫の固有効果で全ステータスが30%上昇している…直撃さえできれば、かなりのダメージを与えることができる。短期決戦を狙うのなら重たい一撃を直撃させる必要がある。

 

狙い手としてはフラッシング・ペネトレイターかゼクス・ペンタフラム、そして、バックル・ウォートンの三択…そして、もう一つだけ手段がある。光剣の防御システムを考えれば、上記三つの手段は使えない…ならば、最後の手段を選ぶしかないだろう。

 

「フィリア…少し無茶をするから、もし俺がしくじったらフォロー頼む」

 

「…分かった。でも、できることなら成功させてほしいかな」

 

「善処するよ…よし、やるぞ!」

 

成功率は今や8割だが、それでも2割は失敗する可能性がある…それでも、現状の選択肢としては最適解だと思い、ダメだった場合のフォローをフィリアに頼み、俺は息を大きく吐き、集中する。

 

そんな俺たちを迎撃すべく、光剣が再び動き出した。それに合わせ、分かれるように回避した俺とフィリア…光剣の半数を引き付けるように動くフィリアに対し、俺は向かってくる光剣に真っ向から立ち向かった!

 

「はああああぁぁ!!」

 

射殺さんと向かってくる光剣に対し、ライトエフェクトを発動させた細剣で迎え撃つ!細剣5重連撃ソードスキル〈スピカ・キャリバー〉による突進しながらの斬撃技に、光剣の軌道が逸らされる。

 

そのまま、意識を切り替え…技術連携でソードスキルを連続発動させる!細剣10重連撃ソードスキル〈オーバーラジェーション〉による素早い剣舞が更に増援として迫ってくる光剣を撃ち落としていく。

 

これで15連撃…そろそろいいとは思うが、もう少し重ね掛けしておきたいところだ。そう刹那の時間で思考し、三つ目となるソードスキルを技術連携にて発動させる…細剣3重連撃ソードスキル〈アクセル・スタブ〉でも光剣を弾き飛ばし…全ての準備が完了した。

 

「…っ!?(ここだ!)」

 

4つ目の…本命のソードスキルを発動させるべく、技術連携をまたも使う。4連続までは成功率8割だったが…なんとか成功したことに安堵しつつ、モーションに則り紫色のライトエフェクトを纏った細剣を手に俺はその場でバック転をした。

 

いた場所に光剣が突き刺さり、その少し後ろに着地した俺は地に伏せる寸前までの低姿勢になり、次の瞬間…

 

…ガァバキィン!?『ガアァ!?』

 

神速の領域に到達した速度で奴へと肉薄した俺は、目にも止まらぬ高速連撃で奴の光剣ごと斬り刻んだ。先ほどまでソードスキルの直撃を耐えていた光剣だが、このソードスキルの前に意味を為さなかったらしい。

 

幻想剣≪細剣≫x連撃ソードスキル〈レコード・コネクト〉…このソードスキル発動15秒前までに使っていた細剣ソードスキルを強化し高速の剣檄にて叩き込む、幻想剣の代名詞ともいえるチートソードスキルだ。

その威力や剣戟の早さは元のソードスキルの2倍…そして、このソードスキルの最大の特徴は…『発動直前15秒前までに使っていた細剣ソードスキル全てを強化して再現する』といったところだ…そう、全てだ。

 

つまり、技術連携で連続してソードスキルを使ってから〈レコード・コネクト〉へと繋げば…15連撃という驚異の大技を作ることができるのだ。スピカ・キャリバー、オーバーラジェーション、アクセル・スタブそれぞれのモーションを順繰りに繰り出した高速連撃の前に、流石の光剣も耐えきれず砕け散り、アクセル・スタブを強化した3連撃がボスの身体を斬り刻んだ!

 

強力は強力なのだが…もちろん相応のデメリットがレコード・コネクトには存在する。まず再現したソードスキルが3時間ほど使用できなくなること、そして、硬直時間が7秒と長いのだ。幻想剣の効果で短縮した上でこれな上に、再現の対象となるのは細剣の既存ソードスキルだけであり、幻想剣ソードスキルは対象外となっている。おまけに技術連携を使うことでようやくその真価を発揮できるようなものなので、技術連携自体が対ヒースクリフ戦に備えてのとっておきであるため、人前で使えるものではないのと…強力すぎるが故に対人ではまず使えないのだ。

 

だが…この厄介なボスに使うのはそう問題ではないだろう。加減なんてする必要はない相手だし、そして…そのデメリットが今回に限って意味を為さない。どうせ武器はこのあとすぐに壊されることになるので細剣ソードスキル自体が使えなくなるし、そもそも、硬直すらも…

 

『ヌオオオオオオオオオオオオオォォォ!!!』

 

「っ?!」

 

大技を放つ前に起こす衝撃波で強制的に距離を取らされるのだから…三度目となるふっとばしに予想通りと笑みを浮かべ、落下して地に足を着ける。見なくても分かる…既にフィリアはいつでも追撃できる位置に向かっている筈だ…ならば、俺がやることはただ一つ。

 

 

「うおおおおおおおおおおおおぉぉぉ!」

『ブジンキコウザン!』

 

光剣を片手剣の刀身に集中させた大ぶりな一撃と、幻想剣≪細剣≫6連撃最上位ソードスキル〈ゼクス・ペンタグラム〉の超高速の初撃がぶつかり合う!防具の相性がいいこともあり、アップしているAGI値を加算した上に、放つスピードが速ければ速いほどに威力が上がるのがゼクス・ペンタグラムの特徴だ。

 

その思惑は当たり、三度目となる大技のぶつかり合いはこれまでと同じく互いを相殺し合うという結果に終わり…俺の装備している細剣と防具が半壊する代わりに、フィリアが片手剣のタームを終わらせるべく、エターナル・サイクロンを叩き込んでいたのを視界に捉えながら、俺は体勢を立て直していた。

 

「…ゴクッ…これで三つ。あと二つ!…換装!」

 

攻防の余波と相殺したことで半分以下になったHPを回復するべく、ハイポーションをオブジェクト化して一気に飲み干す!そのまま空になった瓶を投げ捨て、続けて高速換装スキルを発動させる。

 

次はどうやら両手斧でくるらしい…ということは最後は両手剣でくるらしい。相手が両手斧で来るのなら、受け止めるよりも回避をメインにした方がいいだろう。そう考え、機動性を重視して防具を『骸骨織りの祈海装』と片手棍『フェイタル・アウト』へと切り替える。

 

『ブジンノシンノゴウゲキ、タエラレルノナラタエテミヨ!』

 

少し離れた位置で警戒するフィリアとアイコンタクトを交わし、様子見に徹することに合意を取ったところで、ボスがそんなことを言葉にし装備した両手斧を…なんとそのまま地面に振り下ろしたのだ!?

 

突然の行動に俺もフィリアも完全に対応が遅れてしまった!さっきの片手剣の流れからして、これは予想すべきだった筈なのに…前兆がなかったことが災いした。両手斧の衝撃が地を伝い、俺たちの身体をスタンさせた。しかも、奴の攻撃はそれで終わらず…

 

(落石…!?入り江エリアボスの強化技か!?)

 

なんとかスタンから回復したものの、体勢を立て直した時にはすぐ近くにまで岩が落ちてきていたのだ!咄嗟に横に飛んだことで回避したことで事なきを得るも…砕け散った岩が身体を掠り、小さなダメージを負う。

 

「っ…!?きゃあぁ!?」

 

「…!フィリア?!」

 

衝撃波によるスタン、落石攻撃…しかも、それに終わらなかったようで、フィリアの短い悲鳴が聞こえ、視線を彼女のほうへと向けると…さっきまでいた筈のフィリアの姿が消えていたのだ!?

 

…いや、よく見れば、地面に埋もれるような感じでフィリアの顔と腕が見えていた。何が起こったのか理解が追いつかず、ひとまずフィリアを救助しないと近寄ろうとしたのだが、

 

「…!?フォン、足元!」

 

「…なぁ!?(パリン!)っ…!」

 

何かに気づいたフィリアの叫びに咄嗟に飛びのいた直後、足を踏み出していた場所が砕け散り、底が抜けてしまったのだ!

 

地形変化攻撃…おそらくフィリアはこれにやられたのだろう。たまたま立っていた場所が罅割れと変わってしまったのか…よく見れば割れている箇所を見切ることはできるだろうが、問題なのは…

 

「フォン、後ろ!?」

 

『ヒネリツブシテクレルワ!?』

 

「…!?くっ!」

 

思考を別の方向へと向けていい状態ではなかった…フィリアの叫びにより、振り返るのと同時に片手棍を身構える。その直後、奴の言葉と共に薙ぎ払うような形で振るわれる両手斧が視界に入った。

 

咄嗟に構えた片手棍が盾となり、直撃は免れたが…それでも重量のある両手斧の一撃はやはり重く、耐えきれずに大きく後退る!そして、勢いが止まった時に足元に感じた儚い感覚にすぐさま飛びのく。

 

直後、立っていた場所が罅割れ、穴が開く…これではまともに撃ち合うことすらできないm解決策も思いつかない…取れる手段は一撃必殺での超短期決戦しかなかった。

 

「…デスペラード!!」

 

だが、最優先はフィリアの救出だ…そのためにも、まずはボスの注意を逸らす必要がある。すぐさま思考を纏め直し、持っていた片手棍を勢いよく投げつける!幻想剣≪片手棍≫投擲兼用ソードスキル〈デスペラート〉により、強力な投擲物と化した片手棍がボスへと迫る。

 

その間に、フィリアの救助へと向かう…このソードスキルの利点は硬直時間がほぼないに等しいことだ。投げた直後、すぐさま動き出せただけでなく、防御されようとも相手にスタン効果を与えることだ。この状況にとって、これほど相応しいスキルはないだろう。

 

「フィリア、手を…!」

 

「っ…あ、ありがとう」

 

スタンが入れば、前後の動きにまで支障が出る…1秒以上の時間を稼げれば、できることはそれなりにある。

 

手放したことで手隙となった右手をフィリアへと差し出し、掴んできた彼女の腕を更に左手をも加えて、一気に引き上げる!お礼を言われるも、既にボスはスタンから復帰しており、再び両手斧を地面に振り下ろそうとしていた。

 

「「っ!?」」

 

二度目となれば、流石に対応できる…振り下ろされる両手斧の軌道に合わせてその場で跳躍する。それにより、衝撃波によるスタンは回避できた…そして、直後に落ちてくる岩石を警戒するも、どうやら岩石はランダム落下らしく、今度は俺たちの方へと落ちてこなかった。

 

最後に警戒すべき落とし穴となる罅入り地面だが…幸か不幸か、両手斧の一撃によりこれらはリセットされるらしい。さっきフィリアが落ちそうになっていた穴や俺が踏み抜いた穴が消え、元に戻っていたのだ。おそらく、罅割れ地面もまたランダムに配置されているのだろう。

 

「フィリア、少し時間を稼いでほしい。さっき弾かれた片手棍を回収したいんだ…それさえできれば、一撃で片を着けられる」

 

「…!分かった…両手斧なら大振りになるだろうから、多分なんとかできると思う。準備ができたら、合図して」

 

「…頼む!」

 

フィリアの救助を優先したため、デスペラードの効果により上空へと弾き飛んでいた片手棍は少し離れた場所へと落ちてしまっていた。落とし穴を注意しながら回収しに行こうとしたら、少し時間が掛かってしまう。

 

だが、あれさえ回収できれば、なんとかできるのだ…全てを伝えずとも、俺の言葉を信じてくれたフィリアがボスのヘイトを引くべく、肉薄しようと駆け出すのに合わせ、俺も走り出す!

 

機動性重視の装備である『骸骨織りの祈海装』のおかげで罅割れ地面が落とし穴と化す前に走り抜けることができた。約10数メートル先に落ちていた片手棍を拾い上げ、一旦立ち止まり呼吸を整える。

 

「よし…いいぞ、フィリア!」

 

「…!うん!」

 

合図をしたことで準備ができたことを理解したフィリアが回避行動から、一旦ボスから距離を取る。入れ替わるような形で今度は俺がボスへと迫る。

 

『ソノバンユウ…ウチクダイテレクレルワ!!』

 

「フォン、何する気!?」

 

「言っただろう…一撃で片を付けるって!」

 

止まることなく駆けていく俺の姿に、迎え撃つと言わんばかりのボスの言葉と、フィリアの叫びが重なる。対して、フィリアにだけ言葉を返し、俺は両手斧の軌道を冷静に観察していた。

 

そして、求めていた振り下ろしのモーションを起こそうとしていた!

 

「っ!?」「フォン!?」

 

振り下ろされる両手斧…その直前に俺は大きく跳躍し、衝撃波を躱すのと同時に身体を捻り、振り下ろされた両手斧の柄部分へと着地、すぐさままた全力で跳躍する!

 

『チョコザイナァァァ』

「うおおおおおおおおおおおぉぉ!」

 

両手持ちにした片手棍に最大限力を込めて、空中から一気に振り下ろすも…それに反応できないボスではなく、振り下ろしていた両手斧を返す形で振り上げ、俺の一撃をなんなく打ち返した。

 

その余波によって、俺の身体はボスの頭上へと空高く打ち上げられ…

 

「そうしてくれると思ったよ…悪いが、利用させてもらう!」

 

打ち上げの頂点へと達したことで、一瞬襲われた浮遊感を合図に、俺は片手棍を手放し右手でメニューを開く…もちろん、装備を換装するのとあるアイテムをオブジェクト化するためだ。2秒も掛からず防具を変え、俺の身体が水色のシステムエェフクトに包まれる!

 

『レジスタンス・フィメル』…俺が持つ防具の中でも最重量であるそれを身に纏った俺は、手放していた片手棍を再び手にし、そのままソードスキルを発動させる!

 

鈍い水色のライトエフェクトを宿した片手棍…それがシステムモーションに沿って動き、空中にて一回転した俺は…次の瞬間、流星と化した。

 

『ナァ、グガアアアアアアアアアアァァァァァ?!』

 

これまでで一番と言っていい苦痛の声がボスから漏れ、その顔が身体と共に地面に陥没し、それでは殺し切れなかった勢いによりバウンドし、後方へと吹っ飛んだ!

 

上空からの落下撃…幻想剣≪片手棍≫重単発ソードスキル〈グラビティ・カタストロフ〉…幻想剣の片手棍固有能力を最も生かせる超凶悪スキルだ。このソードスキル発動時、俺の体重を10倍にするのだ…装備している防具を含めて。単純ではあるが、固有効果自体に体重に応じたダメージ加算補正が入るのだ。このソードスキル自体が上空からの落下を前提とした加速が入る仕様であるため、高度からの落下+10倍となった体重の補正が加わった一撃は凶悪そのものだろう。

 

…まぁ、あくまで攻撃に特化しているので、使用者への負担など全く考えていないソードスキルでもあるため、増えた体重の負担が俺の腕に、急降下による着地のせいで両足へとそれぞれ衝撃が伝わり、俺のHPを大きく削る。

ソードスキルの威力で多少は軽減されたとはいえ、その反動は大きく…HPが一気にレッドゾーンへと突入し、体勢を立て直したボスが四度目となる大技を放とうとしていた。

 

「…ヒール!」

 

だが、こうなることを予想していたので、既にオブジェクト化してポーチに装備していた全快結晶をすぐさま手に取り、発動させる!先程、空中にて装備を換装した際、同時にオブジェクト化していたのはこれだった。

 

発動したことで手元にあった結晶が砕け、俺のHPが全快する…これであの大技を迎え撃つのに何の問題もない。右肩の後ろ側へと大きく振りかぶったことで、システムに発動モーションを認識された片手棍のライトエフェクトに連動した巨大な幻影が出現する!

 

『ブジンハガンゲキ!』

「アブスターディ・ターミネイター!!」

 

赤と黒の雷を纏った両手斧を迎え撃つべく、幻想剣≪片手棍≫超重単発最上位ソードスキル〈アブスターディ・ターミネイター〉の白水色の轟撃をぶつける。質量・威力共に俺が持つ最上位ソードスキルでも最強の一つなのに、それにも関わらず奴の一撃は重く、相殺するのがやっとだ。

 

そんなことを思ったのは相殺した衝撃によるノックバックにより吹っ飛びながらで、フィリアが4度目となるエターナル・サイクロンを叩き込むのと同時に、装備していた片手棍と防具が半壊したことで砕けた破片が視界に移った時だった。

 

(次で…次の両手剣でラスト…!武器を砕いて、ボスを倒し斬れば…この戦いは終わる筈だ…!)

 

最後の武器が両手剣と分かっていれば戦いやすい…メイン武器であるからこそ、癖や傾向は熟知している。片手剣『アサルト・サヴァイブ』と防具『柴・真剣烈火』へとメニュー操作によって装備を換え終え、回復したばかりなのに相殺によって半減したHPを回復するべくハイポーションを一気に飲み干す。

 

ここが正念場とばかりに集中しようとしたのだが…

 

『・・サ・…?!』

 

「「っ…!?」」

 

『ユルサン…ユルサンユルサンユルサンユルサンユルサン!?ユルサァン?!コノブスイモノドモガァァァァ!?』

 

「…!ヤバい…!」

 

完全な八つ当たりだろうが、何度も…堪え切れない怒りをこれでもかと表すかのように地団太を踏み、咆哮を上げるボスが両手剣を頭上へと掲げたのだ!その刃に…これまで打ち砕いてきた四つの武器が亡霊のように集まり、一体化した姿を見た瞬間、これまで何度か感じてきた寒気が背中を走った!

 

何かが…何かヤバいことが起ころうとしている!直感で感じたことをそのまま口にし、俺はボスから目を離すことなく叫んだ!

 

「…っ!フィリア、伏せろ!?」

「っ?!」

 

『ブジンムゲンザン!!』

 

俺の叫びに反応し咄嗟に伏せたフィリア…そのすぐ後のことだった。いつもの大技のように…いや、モーションは同じでもその威力はこれまでの技を遥かに凌駕していた!

 

伏せたことで直撃は躱したものの、その余波によって起こった剣圧に防具がはためくほどに…視界を閉ざされそうになるほどの風に直撃すればただでは済まないことを物語っていた。

 

いや、直撃どころか防御さえも無意味と化す一撃に等しいだろう…躱したのにも関わらず、HPが2割も減っていたのだ。フィリアだけでなく、俺さえも一撃でやられかねない。更に性質が悪いのが…

 

『ウオオオオオオオオオオオオオオオオォォォ!!』

 

硬直無し…俺が使っているシステム外スキル技術連携のように、両手剣の刃に巨大なオーラを発生させたまま大技を連発してきていたのだ。その姿が…エンド・オブ・フォーチュンを無制限に連発してくる悪夢のように見えたのはきっと気のせいではないだろう。

 

伏せていた俺を斬り飛ばそうと繰り出された垂直斬り…それを無理矢理ながらに横っ飛びに近い形で転がることで躱し、片手剣を構える。剣圧のせいでこちらの動きが阻害されてしまう以上、回避さえも困難だ。

 

(決めるなら一撃…回避できて3発、それで決めないとこっちが持たない!?)

 

ハイポーションの効果で徐々に回復しつつあるHPだが、奴の大技のせいでそれがほとんど意味を為さないでいた。相殺の余波も考慮して、奴の攻撃を躱すのは3回が限度だ。

 

だが、逆に言えば相殺さえできればいいのだ…そうすれば、あとはフィリアが決めてくれる。やることは変わらない…そう思い、乱れかけていた息と思考を整える。

 

「…ヒール!」

 

回復結晶を使い、一気にHPを回復させる…両手剣の…いや、エンド・オブ・フォーチュンもどきを連続して使ってきているとはいえ、隙がないわけではない。両手剣の仕様上、どうしても大振りになりがちだ…こいつがただ強い武器と技を使っていることはこの戦いを通して理解していた。

 

ほんの一瞬…次の大技を放つ一瞬の隙にすぐさま体勢を整え、片手剣を構える。

 

「すぅぅ………いくぞ!」

 

乱れていた呼吸と思考を一瞬のうちに整え、一気に駆け出す。

 

俺の接近に、ターゲットを俺一人に絞ったらしく、無造作に振り回していた両手剣の狂刃の乱撃を集中させてきた!

 

(足を止めるな…!腕と刃の位置で次の動きを読み切れ!多少のダメージを気にせず…勝つための一撃を…!?)

 

大技自体の速さはそこまでではない…問題なのはその威力だ。回避しようとも余波でダメージを受けるのであれば、被弾しないことを選択肢として捨てればいい。

 

逆袈裟斬り、水平斬り、垂直斬り…トップスピードで掛けていく中、俺目掛けて振るわれる狂刃を斜めサイドステップ、スライディング、回転によって躱したところであと数歩で片手剣の射程圏内に入るところで、俺のHPは半分直前にまで減少していた。

 

(いける…!このまま…!?)

 

幻想剣の片手剣固有効果は幻想剣ソードスキルの基礎威力を底上げする能力だ…そこに幻想剣≪片手剣≫最上位7連撃ソードスキル〈ファントム・スイープ〉を放てば、奴の大技を相殺することは十分可能だろう。

 

「これで…最後だぁぁぁ!!」

『ハアアアアアアアァァァァァァァァァ!!』

 

フィリアの位置も確認し…まだ少し遠いが、追撃に間に合わない距離ではない。あとは頼んだと思いながら、俺はファントム・スイープを発動させ、奴の大技を迎え撃った!

 

咆哮に僅かに遅れ、二つの大技がぶつかり合う!相殺した衝撃が剣を通し腕に伝わり、その余波によって俺のHPが減っていく。少しでも力を緩めれば、押し負けて吹き飛ばされてしまう…そう錯覚してしまう程に、それが永遠に続くかと思う程に…僅か3秒にも関わらず、永く感じた激突は両者が吹っ飛ぶという結果に…

 

『…シネ』

 

その一言…冷たく、短く呟いた奴の口は笑みを浮かべていた。

 

相殺したことで片手剣と防具が半壊し、ノックバックの影響で両手を挙手させる形で仰け反った俺は完全に無防備と化していた…なのに、これまでと違い、奴はノックバックなどなかったかのように、右足を踏ん張り…なんと連続して大技の一撃を振るってきたのだ!?

 

(しまった……読み間違っ…?!)

 

これまでとは全く異なるパターン…まさかの連続しての大技に、思考は状況を理解しつつも、身体は言うことを聞いてくれない。迫る刃に死の予感が…気配が迫るも、何もできない。目を瞑る事さえ間に合わず、俺の身体を縦真っ二つにしようと迫り……

 

「…ダメェェ?!」

 

…その悲鳴に顔を向ける余裕もなかった。

 

気付いた時には俺の視界に明るい茶髪の彼女の髪が映り、衝撃音が響き渡っていた。

 

「っ~~~~~~~~~?!?!?!」

 

「フィ「スイッチ!?!」…!」

 

斬られようとしていた俺を庇い、フィリアが短剣で大技を防いでくれたのだと理解し、思わず叫ぼうとした声が…俺を信じて叫んだ合図に、応える間も惜しく、悲鳴を上げる全身を無視し、前へと足を踏み出す!

 

今は一秒だって惜しかった…一秒でも早く、いや、もっと早く…!フィリアのHPが尽きる前に、この状況をどうにかするしかなかった!

 

だからこそ…こういう時に、自分の器用さを感謝したかった。どの武器が現時点で最適で、どのスキルを使うべきか…その最適解を瞬時に導き出せれたのだから。

 

戦爪『陽陰虎』を高速換装スキルにて装備してすぐさまソードスキルを発動させる!踏み込むのと同時に常時では出せない速度によって、姿が消えた俺の拳がフィリアを消し飛ばさんとしていたボスの鳩尾に突き刺さる!

 

『グハァ…?!』

 

その一撃によって、持っていた両手剣を取り落とし、ボスがフィリアから離れる。突き上げる形で拳を叩き込み、そのままボスを持ち上げる形で浮かび上がった俺は…未だ発動中のソードスキルのモーションに合わせて、叩き込んでいる拳の向きを変え、止めを放つ!

 

「今度こそ…終わりだぁァァァァァァァァァァァァ!!」

 

宙へと浮かんだボスの身体を地面に叩きつけるように、スクリューの軌道を描くように拳を更に押し込む!

 

幻想剣≪手甲≫最上位2連超重撃ソードスキル〈ノンザウド・ホフィスト〉…このソードスキルの前にはどんな防具も効果も能力も通用しない。使用後、HP半減の上に回復不能のデバフを負う代わりに、絶対に防ぐことのできない一撃を放つことができるこの大技に加え、そこに幻想剣の手甲の固有効果が加われば、唯一無二の一撃と化す!

 

HPがレッド寸前にまで減少している今、補正効果により攻撃力・ソードスキルの威力が100%増加した一撃はボスの身体を穿ち、そのまま二撃目の叩きつけと同時にオーラのパイルパンカーが発動し、奔流したオーラが一気に解放される!

 

『バ…バカナァァァァァァァ!?』

 

その断末魔を最期に…現実を認められないかのような悲鳴を最期に、俺の眼下にて地面に叩きつけられていた奴の身体がポリゴンへと変わった…突き付けていた拳が相手を失ったことで一瞬宙を彷徨い、地面に手甲が当たった。

 

「…おわ、った…よな……そうだ、フィリア?!」

 

一瞬も気が休まることのなかった激戦に…五つの武器を連続して使ってきたボスを倒したことに現実感が持てず、思わず言葉にしてしまう。なんとか思考が落ち着いてきたところで、俺は庇ってくれたフィリアが無事かを確かめようと振り返り…

 

「……か、った……かったね…よかっ…」

 

「…!フィリア?!」

 

カラカラと、零れ落ちる鉄の欠片は大技を受け止めたことで破損した彼女の短剣だったものの残影…フィリアの方も俺と同じ状態に近かったらしく、確認するようにそう呟き、安堵したこともあり、その身体が崩れ落ちそうになった!

 

マズいと思い、慌てて彼女に駆け寄りその身体を抱き留める。HPを見れば、レッドゾーンに入り、もう僅かしか残っていなかった…何かの衝撃で削れてしまうほどの残量に、慌てて回復結晶をオブジェクト化して発動させる。

 

「フィリア…なんて無茶を…!」

 

「…えへへ。だって……私はフォンの相棒だもん。相棒が危なかったら…助けるのは当然でしょ。フォンがしてくれたように……しただけだから…」

 

「…フィリア…ったく、そう言われたら、こっちも怒れないじゃないか」

 

なんて無茶を叱責しようとするも…疲労のせいで完全に身体を任せてきているフィリアの言葉に、自分と同じことをしたのだと言われてしまい、何も言えなくなり、苦笑するしかなかった。

 

これまでで一番の激闘だったが…フィリアがいなければ勝てなかっただろう。失ったものも多いが、それでも、この難関を突破できたことを今は喜ぼう。

 

「お疲れ、フィリア」

 

「お疲れ様、フォン」

 

【Congratulation!!】

 

右拳と左拳…それと、俺と彼女の声が同時に重なり、互いの健闘を讃えたところで、システムメッセージが表示され…様々な出来事が起こった大空洞エリアの攻略はこうして完了したのだった。

 

 

 

「25層の…クォーターボスとの二度目の会敵とはのう」

 

大空洞エリアのボスとの激闘…ある意味では、ホロウ・エリアのエリアボスの中でも最大といってもいい戦いを話し終えたところで、カナデがふとそんなことを呟いていた。そんな彼女の視線の先にあるのは抱えていたSAO事件記録全集だった。

 

「お主が夢幻の戦鬼と呼ばれるようになった25層のボス…それの強化体との激闘とは。まるで狙ったかのような登場で、どこか作為的なものを感じるのう」

 

「実際その可能性はあったと思うぞ。あのボス戦の序盤、これまでノイズ混じりだったシステムメッセージがはっきりとした内容だったからな。これまでのエリアボスを通して、俺から収集した幻想剣のデータを反映してきたっぽかったしな」

 

「…ふむ。じゃが、実際の25層のボスとはあまりに違いすぎたとのことじゃったが…実際はこの本に書かれている通りじゃったわけか」

 

「まぁな…あれはあれで30秒ごとに武器を換えてくる上に、HPバーが一本を切ったら、全ての武器を六本腕に装備して猛攻を仕掛けてきたからな。反射神経のいいキリトやほとんどの武器の特性を理解している俺が主力として動かざるを得なかったんだ」

 

「…う~~~~~~ん」

 

「…?どうしたんだ、ユウキ。唸っているけど…」

 

対峙したことのないボスの話に気になることを訪ねてきたカナデに答える一方で、過去にスリーピングナイツの面々と共に一度戦ったことのあるユウキが首を傾げていたので、どうしたのかと尋ねると、

 

「あの六本腕の怪物とフォンは戦ったのは分かるけど…そういえば、フォンの二つ名である『夢幻の戦鬼』って、その時から呼ばれるようになったんだよね?フォンの性格からして自分から名乗ったりはしないだろうと思ったら、一体誰が命名したのかなって思って」

 

「アルゴさんだよ…」

 

「「…えっ?」」

 

「アルゴさんが勝手に付けたのがそのまま定着しちまったんだよ…あの人、面白がって付けたと当時言ってたけど、俺に全く許可求めてなかったからな。それはまぁ……お説教させてもらったよ」

 

「…あ、アハハ…」「…お、おう」

 

俺の二つ名のきっかけに関しても話したことはなかったので、アルゴさんが実は名付け人であることに二人は驚いていた。同時に、お説教と聞いて笑みが引き攣っていた…あの時は、苦笑いしながら言い逃げしようとしたアルゴさんに、ちょっとキレて正座+言い訳に対し悉く論破した上に涙目になるまで言い詰めたからな。

 

…その経緯を聞いて、後にシグさんに漏らしてしまい、物凄く文句を言われたのだが、まぁ、それでお相子ということになった。もっとも、経緯としてはシグさんの二つ名を俺の時と同じように勝手に決めたせいで、愚痴に近い相談をされた際にした話なので、元を辿れば元凶はアルゴさんなのだ。

 

「ま、まぁ…そうやって大空洞エリアを乗り越えたんだよね?でも、色々な武器が壊れちゃったなんて…」

 

「リズが聞いたらマジギレしそうだよな。俺もあの時は状況が状況だったから思考の領域から外していたけど…後から思い出す結構ショックだったなぁ。あそこまで破損するとは思ってなかったし…全部を修理するのに時間も素材も使ったし、フィリアの短剣も壊れちまったからな」

 

「…それじゃ、その壊れた武器を直しはしたのじゃろう?お主のことじゃから、準備としてそういうのを直してから次のエリアに挑んだじゃろうしな」

 

「まぁな…大方は直してから次のエリアに挑んで「その前に!」…えっ?」

 

多くの武器・防具の破損という結果もついてきた大空洞エリアのボス戦…それを語り終えたことで、残すは追加で発覚した異界エリアの話だけかと思い、話そうとしたのだが…その前に、と言葉通りにユウキから待ったが掛かり、思わず変な声が出た。

 

「ねぇ、フォン…何か話してないことがあるよね?」

 

「……な、何のことやら」

 

「(ジー)…」

 

「か、カナデまで…別に隠して「話して」「話すのじゃ」…あい」

 

…俺はなんとか言い逃げようとした!

…しかし、ユウキとカナデに見透かされてしまった!?

 

なんて、冗談めいたことを心の中で呟きながら、ユウキの一言によって僅かに動揺した俺の反応に、カナデにまで気づかれてしまった。

 

いや、特に面白いことはないので話さなくてもいいかと思っていたのだが…どうにも、最近ユウキが鋭すぎるような気がする。喜ぶべきなのか嘆くべきなのか…悩みつつ、俺は異界エリアに挑む前に起こった二つの出来事を話すことにしたのだった。

 

…一応内容的には問題ない筈だが、何が出てくるか分からないので、二人の琴線に引っ掛からないことを祈るのだった。

 

 




オリジナルソードスキル解説
幻想剣≪両手斧≫変動型単発ソードスキル〈ペイン・アベンジャー〉
白色のライトエフェクトが特徴のソードスキル。
 ソードスキル発動後、スーパーアーマー仕様で突撃し、斧を振るまでに受けたダメージを倍にして返すカウンターソードスキル。ノックバックを受けない代わりに、真っ直ぐしか進めないという弱点はあるものの、強引に攻撃ができる利点を活かして状況打破として使いやすい。(特に両手斧固有能力が攻撃特化であるため、攻撃性だけ見れば性能は破格)

幻想剣≪両手斧≫重単発ソードスキル〈エグゾード・スブル〉
鈍い銀色のライトエフェクトが特徴のソードスキル。
両手斧を持つ右手を押し込むように持ち換え、対象に両手斧の刃を押し付け続け持続ダメージを与える技。この技は貫通せず、相手に刃がくっつく性質があるため、反撃されない限り引きずり回すことが可能。

体術スキル〈流月〉
フィリアが使用した踵落としのモーションの体術スキル

幻想剣≪細剣≫x連撃ソードスキル〈レコード・コネクト〉
紫色のライトエフェクトが特徴のソードスキル。
 このソードスキル発動15秒前に使用していた細剣ソードスキルを2倍の威力・速度に強化して再現発動する。
 このソードスキルの最大の特徴は15秒前に使用していた全ての細剣ソードスキルを再現し強化発動する点=スキルチェインなどで複数のソードスキルを発動させていた場合、それら全てを繋げる形で再現するというチート仕様(つまり、全自動スキルチェイン)
 一方で、デメリットもそれ相応に大きく、再現したソードスキルが3時間ほど使用できなくなる上、硬直時間が7秒と長い。しかも、真価を発揮できるのがスキルチェインの使用が大前提であるため、対ヒースクリフ戦の切り札としてスキルチェインを留保していたのと対人戦ではあまりにも強すぎて使えないといった形で、アインクラッド編では使用されることがなかった。(ヒースクリフとの決戦も使い慣れていた両手剣で挑んだため)
 また、再現の候補に幻想剣ソードスキルは含まれない。

幻想剣≪片手棍≫重単発ソードスキル〈グラビティ・カタストロフ〉
鈍い水色のライトエェフクトが特徴のソードスキル。
 飛び上がり一回転してから急降下の叩き込みを放つソードスキル。これだけであれば、ただ単発ソードスキルだが、発動時、使用者の体重を10倍にする特殊効果があり、片手棍の固有効果を考慮すると重装備で放った場合、その威力は凶悪なものへと変わる。

幻想剣≪手甲≫最上位2連超重撃ソードスキル〈ノンザウド・ホフィスト〉
 金色のライトエェフクトが特徴のソードスキル。
相手の鳩尾へとアッパー気味の一撃を叩き込んだ後、宙に浮いた相手を地面に叩きつけるようにスクリューパンチを叩き込むソードスキル。このソードスキルは装甲・防御力・特殊効果・バフ全てを無視して直撃ダメージを与えるため、防御=死を意味するレベルの巨悪スキル。
 一方で、モーション的にどうしても単調であるため、読まれやすく避けやすい上に、デメリットとしてHP半減の上に回復不能のデバフを負う弱点がある。


というわけで、25層の擬似ボスの登場でした。意外と予想されていた方も多かったのではないでしょうか。
まぁ、コンセプトとして、ゲーム原作だと待ち構えていたスカル・リーパー(ホロウ・リーパー)の代わりということで、同じクォーターボスとして、そして、フォンの二つ名の原因となった25層ボスをモチーフとしたエリアボスになったわけでした。
イメージ的には『エセ武人』といったところですかね…ビジュアル的にはラッシュデュエルの『トランザム・ライナック』なのですが、言ってることとか台詞的には鬼滅の刃の『憎拍天』の感じが凄い(苦笑)とりま言ってることやってること滅茶苦茶をイメージした感はありますね。
ちなみに、台詞がカタカナなので分かり辛いですが、使っていた大技の表記は『武人神撃』『武神神速撃』『武神鬼輝斬』『武神破岩撃』『武神夢幻斬』といったところ。初撃のみ防具が破壊されなかったのは、初撃は他と違い防具破壊効果がなかったため。
そして、このボス…ご察しの通り、入り江エリアボスとの戦闘結果が影響しております。結論から言うと、入り江エリアのボスは倒す必要はなかったのです。
入り江エリアボスは時間で消滅する仕様になっており、各武器は5分が経過すると消滅していたわけです。武器を倒した数ほどに今回の大空洞エリアボスが強化され、使ってくる武器の種類が増えるわけです。しかも、今回は全ての武器を倒してしまってましたので、HPが武器依存となり見えなくなるという効果までついてきてしまったわけで。
能力的にはフル強化された状態のボスは80層クラスのモンスターとなり、フォンですら防戦一方になる相手と化したわけでした。
何度か影は見えていたというのは第0話にて既に出ていたからですね(SAO事件記録全集自体がフラグだったわけです。実は本性を書く前より一番に決めていたボスだったりしました(黒笑))

本当に色々とあった大空洞エリアもこれで終わり…次回異界エリアは…多分1話で終わります(笑)出オチです、先に言っておきます、出オチですので。(まぁ、ただでは終わらせませんけど…)
その前に…ユウキ・カナデの追及により、異界エリア前のインターバルのお話をします。武具に多大な被害が出ましたし、フィリアの短剣までも破損してしまいましたからね。
…なので、少し珍しいフィリア視点でのエピソードになります。一回で終わればいいのですが、もしかしたら二話に分けるかもです。

それと、来週更新なかったら忙殺されているとご認識下さい。
8月終わるまでが本当に忙しすぎるもので…(外伝もごじょじょも書けないほどになもんで…)

それでは、また!

スローイングさん、アスシさん、
ご評価ありがとうございました!

もしも見るならどっち?

  • GRAND QUEST FANTASY
  • 修羅場

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