ソードアート・オンライン~夢幻の戦鬼~   作:wing//

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えー、皆様…本当に、大変長いことお待たせしました。
ということで、更新再開です!今日・明日とおふらいんシリーズを更新していきます!

まずは前半…ホロウ・レトロスペクト編の大部分を主題としたお話です!

ちょっとパワーアップ(?)したおふらいんをどうぞ!


そーどあーと・おふらいん ほろう・れとろすぺくと編

…てぃんとんかんこーん。

 

そんなどこかで聞いたことのあるBGMと共にいきなり謎の映像が始まった。

 

「ニュースヘッドラインの時間だよ!アインクラッド歴1年と9カ月が過ぎた頃、あの攻略組の中でもトッププレイヤーとして知られる夢幻の戦鬼ことフォンが行方不明になったんだって。

トッププレイヤーの突然の失踪に、最前線は大混乱…彼を知る黒の剣士たちは攻略の傍ら、探索していたんだけど、何の痕跡も見つけられずに事件は迷宮入り…かと思っていたところに、73層攻略後にいきなり帰ってきたんだって。

一時的にとはいえ、トッププレイヤーの失踪に攻略組には不安を隠せないようで、詳しい事情を聴くってことだけど…一体どこに行ってたのかな?その辺りの原因究明を頑張ってほしいね…以上、ニュースヘッドラインでした」

 

『…はい、オッケーです!ストレアさん、お疲れ様でした!』

 

「はーい!ありがとうございました!」

 

『では、続いて…本編スタートです!みなさん、よろしくお願いします!』

 

そんなやりとりと共に、再び画面が切り替わり、

 

『そーどあーと・おふらいん ほろう・れとろすぺくと編』

 

のタイトルバックと共に、ようやく番組本編が始まろうと…

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

始まろうとしたかと思っていたが、司会席にいる二人はなんとも言えない表情で沈黙していた。理由は簡単だ…疲れたような顔で、男が言葉を漏らした。

 

「今までやってきてなかったことを、本編丸パクリでやるじゃねぇよ、スタッフ」

 

『フォンさん、ツッコミにいつものキレがないので、もっと迫力を出してください』

 

「…あんたらがそういうの望んでそうと分かって、敢えて落としてんだよ…っていうか、何をストレアにさせてんだぁ!?」

 

『いや、依頼したら快く引き受けてくれたんで』

 

「絶対に断らないだろうと思って依頼しただろう!?本当に腹黒いな、この番組!」

 

『あなたにだけは言われたくないです』

 

「カンペで返すな!?」

 

タイトルコールを余所に男…フォン(SAOアバター)とカンペによるスタッフとのやりとりが行われていた…番組の目玉と言うとフォンがまたうるさいので、そろそろ本編を始めてもらいたいものだ。

 

「ほれほれ怒るのもその辺にして、そろそろ始めるぞ、フォンよ」

 

「…あとで裏で話し合いな、お前ら」

 

「コホン…視聴者のみなさん、こんにちはじゃ。そーどあーと・おふらいんの時間じゃ。司会のカーディナルこと、カナデじゃ」

 

「…解説のフォンだ。これで何度目になるか分からない、またの解説役だ」

 

「まぁまぁ…この番組は『ソードアート・オンライン 夢幻の戦鬼』に関するあらゆる情報や裏事情を解説していく番組じゃ。今回は、フォンがSAO時代に遭遇し、あの少女と出会った冒険譚『ホロウ・レトロスペクト』を解説していくのじゃ」

 

フォンの怒りはまだ収まっていないようだったが、もう一人の人物がその怒りを収めながら、番組を進行させていく。互いの挨拶が終わったところで、司会の少女…カーディナルことカナデ(猫妖精族アバター)が番組の主旨を解説し終えたところで、

 

「ちなみに、視聴者のみなさんが『何故にカナデが司会をやってるの?フィリアじゃないの?』と思われておるかもしれぬが、ここから先のお話的にここでわしに司会の役をやらせておかぬと、出番がないという理由での抜擢とのこと…と、この台本には書かれておる」

 

「…作者ぁ…(まぁ、カナデならちょっと安心か…変に暴走することもなそうだし

)」

 

こちらもまた作者の思い付きというかご都合を冷静に読み上げるカナデに対し、フォンは頭を抱えて静かにツッコんでいた…これもまたおふらいん名物である。

 

「では、そろそろゲストの紹介に移ろうと思う。今回のゲストはもちろんこの二人じゃ」

 

「えっと…こんにちは、でいいのか?竹宮琴音です」

 

「いや、フィリア、キャラネームの方で自己紹介してくれないか?」

 

「…あっ!ええっと、フィリアです!職業はトレジャーハンター…かな?これって、あとで編集できる?」

 

「…生放送だぞ、これ」

 

「えっ、嘘ぉ?!」

 

「フィリア、緊張し過ぎだって…みんな、こんにちは!ユウキです、今日はよろしくね!」

 

カナデの掛け声で転移の光と共に姿を現わしたのは、女性二人…一人は、本章でメインヒロインを飾ったフィリア(SAOアバター)と、本作のメインヒロインのユウキ(闇妖精族アバター)だった。

 

番組慣れしているユウキに対し、始めてのおふらいん参加ということで緊張しまくりのフィリアが早速やらかしていた。個人情報漏えいという名の自爆だ。

 

「ううぅ…いきなりやらかすなんて…」

 

「安心しろ、フィリア。地獄を見るのはこれからだからな…フフッ」

 

「フォン、ハイライトが消えた目に加えてそんなことを言われたら、全く安心できないんだけど!?」

 

もう既に覚悟を…いや、諦めの境地にいるフォンの言葉に、フィリアは既に出てきたことを後悔しそうになっていた。これもお決まりのやりとりである。

 

「フォン、頼むから絶望するのは番組が終わってからにしてほしいのじゃ」

 

「そうだよ、折角カナデが初の司会回なんだから」

 

「なら、俺がこの後のプレイバック回でやらかしても二人は許してくれるのか?」

 

「それはそれ、これはこれだよ」「それはそれ、これはこれじゃ」

 

「そうだと思ったよ、こんちくしょう!?ええい、おふらいんスタートだ!」

 

(…尻にしかれてるなぁ、フォン)

 

二人のフォローの言葉に、ちょっとした期待を持ったフォンだったが…見事なまでの掌返しに絶望した挙句にヤケクソで開始宣言をしたのだった。そんなフォンを見て、フィリアが内心同情したのは言うまでもないだろう。

 

ということで、おふらいんが本格的にスタートするのだった。

 

 

夢幻の戦鬼・トリビア(トリビア担当のユイによる解説)

「SAOでは武器は片手持ち、あるいは両手持ちタイプのタイプと分別されていて、それぞれに長所と短所がありました。片手持ちの武器は空いている手に盾や暗器といったものを持てるというメリットがありますが、武器を二つ所有しようとすると、システムエラーが生じて装備することができません。

一方で、パパやフォンさんが所有していたユニークスキル『二刀流』や『幻想剣』、あとは他のユニークスキルである『双剣』を持っていたら、この制限が撤廃されます。ALOではシステムの違いから、その辺りがほとんどないに等しい状態となってますが、SAOではどれだけ異常なことが分かりますよね。

パパとフォンさんがSAO最強の一角と呼ばれるのも仕方ないのかもしれませんね、以上、夢幻の戦鬼・トリビアでした」

 

 

 

「なんじゃ今のは…」

 

「ユイによるソードアート・トリビアならぬ、夢幻の戦鬼・トリビアじゃと。アリシゼーションも終わったし、ホロウ・レトロスぺクトではかなりのネタバレもしたから、大抵は話してしまってもいいと思った、というのが作者の言いわけじゃな」

 

「今回、原作のパクリ酷くないか?!」

 

唐突に差し込まれたトリビアに呆れが混じった疑問を口にしたフォンに、カナデがこれでもかと冷静に解説してくれる。その解説に、また見事なツッコミが響いたのだった。

 

「なるほどね、これがおふらいん名物のフォンの絶叫ツッコミなのね…大変そう」

 

「だよねぇ…あれを連発するから、番組終わったらフォンが疲弊しきってるんだよね」

 

(…えっ、ユウキ、無自覚…?過去の番組だとユウキが原因だったことも何度かあったような…)

 

そんなやりとりをどこか感心したように呟いたフィリアだったが、笑いながらそんなことを言ったユウキを思わず見てしまった。無自覚とは本当に怖いものだ。

 

「コホン…では、まずはプレイバックのコーナーじゃ。今回は、ホロウ・レトロスペクト編の大空洞エリアまでを振り返っていくのじゃ」

 

「ホロウ・レトロスペクトは過去の冒険譚であり、しかも幻想剣関連の色々な謎が解き明かされた章だからな。解説もべらぼうに長くなるから、キリのいい大空洞エリアまでを前編である今回では解説していくぞ。フィリアにも色々と話してもらうところがあると思うから、フォロー頼むな」

 

「それはいいんだけど…私、フォンに嫌な態度を取っていたところも多いから…今、思うと、見るとかなり気まずいなぁ」

 

「ボクもカナデもそういう態度を取る機会はなかったから、逆に新鮮だよね」

 

「ということで、プレイバック…まずはこのシーンからだ」

 

そういうわけで、まずは第0話からこちらのシーンがセレクトされたのだった。

 

 

『フォン、ユウキとカナデに幻想剣が11番目のユニークスキルであることを語るシーン』

 

「これ、本当にビックリしたよね…幻想剣が本来は存在しなかったなんて…」

 

「私もALOで再会してからそのことを教えてもらったけど…なんか逆に納得できたんだよね。幻想剣って能力がぶっ壊れすぎてるし…」

 

当時の驚きを振り返るユウキに、違った感想を持ちつつも同意するフィリアが苦笑いしながら頷く。

 

「いや、俺もヒースクリフ…茅場に正体を明かした時に知って驚いたからな。その上、俺が10001番目のプレイヤーとして参加したことで生まれたとなったら、驚きしかないよ」

 

「映現世の剣といい、お主が参加するゲームに何かしら影響を与えまくりではないのか?」

 

「…ぐ、偶然だろう。ALOやGGO、オーディナル・スケールには変な影響与えてないし…与えてないよな?」

 

カナデの指摘に反論するフォンだったが、どこか自信がなさそうだった。色々とやらかしている自覚がある上に、自分が認識していないところでやっていないかと不安に思ったのだ。

 

「本章前半となるホロウ・レトロスペクトでは、幻想剣の謎を明かすことが本軸であったことから、これまで嫌という程に隠してきた設定を存分に明かすことができたのもあって、思わず書きたいことを書いてしまったお話となったため、どうしても長くなってしまった、というのが作者の思考じゃったみたいんじゃな。それと、後半戦で幻想剣のコピースキルが敵に回ることもあってのお話でもあったようじゃ」

 

「幻想家の上位互換の『神裁剣』か…まぁ、その辺りの話は後編でやるとして…それじゃ、次のプレイバックは第0話および第1話からこのシーンだ」

 

カナデがながながと解説してくれたところで、フォンの一言で、次のプレイバックへと話は移るのだった。

 

 

『フォンとフィリア、衝撃の出会いからコボルト・ロードとの激戦!』

 

「へぇ~…フィリアとフォンって、こんな感じの出会い方だったんだ」

 

「その節は本当にゴメン…話を聞かずに剣を向けて」

 

「いや、フィリアの事情やホロウ・エリアの実態を知れば、あれは仕方ないと思う」

 

話には聞いていたが、プレイバックとして映像により視認したことで改めて物凄い出会い方をしたのだと納得したユウキ。一方で、あまりに恥ずかしい自身の態度に羞恥心で顔が赤くなったフィリアに、思わずフォンもフォローを入れていた。

 

剣でいきなり襲い掛かってきたヒロイン…ある意味で珍しい属性だろう。

 

「小回りの利かない両手剣で、近距離で短剣と即座に打ち合えるのもちょっとおかしいのじゃが…」

 

そんなカナデの呆れたツッコミをスルーして、話はそのままコボルト・ロードとの戦いに切り替わった。

 

「コボルト・ロードか…本当に懐かしい相手だよな」

 

「フォンがキリトやアスナと一緒に初めて戦ったフロアボスなんだよね…その強化体か」

 

「本来、ゲーム原作じゃと第3エリアである『入り江エリア』のボスじゃったのが、ご存じのように序盤と第4エリア『大空洞エリア』でそれぞれで対峙する筈だったスカル・リーパーの亜種「ホロウ・リーパー」の代替えとしての登場じゃったわけじゃな」

 

「こっちは二人なのに対し、無限増殖の上に、部下の強化までしてくるなんて…あれはあれで攻略させる気はないレベルだったよね」

 

「第5層のLABの上位アイテムまでも使用してきたからな…本当に色々と懐かしい敵だったよ。ステータスもそれに見合ったものだったせいか、そこまで高くなかったのが幸いだな」

 

((なんでだろう…幻想剣を保有しているフォンが言うと、あんまり信憑性ないんだよね…)

(なんでじゃろう…幻想剣を持っておるフォンが言うと、全然信憑性がないのじゃが…)

 

確かに(ゲーム原作のホロウ・リーパーと同様に)序盤ということで、そこまでステータスは高くはなかったのだが…攻略組でないと苦戦は必須のレベルのステータスをコボルト・ロードは持っていたのだが…幻想剣を保有するフォンの評価では、イマイチそれが実感できずにいたヒロイン3人の声が重なるのだった。

 

そんなフォンへの評価を余所に、プレイバックは次のシーンへと移るのだった。

 

 

『フォン、フィリアを投げ飛ばす』

 

「「これはないわ」」

 

「誠に申し訳ありませんでした」

 

見事なまでの一本背負い…もとい、フィリアの隙を突き、ぶん投げた上に短剣を奪った上に、彼女の喉元に突き付けるフォン。見方によっては、滅茶苦茶ヤバいシーンである。

 

そのシーンを見たユウキとカナデ(カナデに至っては、「のじゃ口調」が抜ける程にだ)からありえないという言葉が冷たく発せられた。それは、もう人を射殺せそうなくらいに冷たい視線と共に…あのフォンが思わず速攻で謝ってしまう程にだ!

 

…これはフォンが100%悪い。

 

「私、傷物にされちゃったなぁ…」

 

「言い方?!フィリア、分かってて言ってるだろう、お前!?」

 

「まぁ、冗談7割は置いておくとして…フォンの右手に現れた紋章が現れた話でもあったよね」

 

「3割は冗談じゃなかったのかよ…アクセス権限機能な。まぁ、俺がホロウ・エリアに呼ばれた理由からして、ある意味でこれに関しては必然だったのかもな」

 

「でも、フォンと出会えたのは、私にとっては本当に幸運だったよ…そうでないと、今、こうしてここにはいなかったと思うから」

 

「…それは良かったというべきなのかな(まぁ、それは俺も言えることなんだけどな…)」

 

意味ありげな冗談の言葉にツッコミを入れつつ、二人の出会いが偶然であり、そして、あってよかったものだと当事者同士の感想を告げつつ、今は支えてもらっていることもあって、心の中で感謝の言葉を述べるフォンだった。

 

…言葉にしたら、ユウキたちからまた色々言われそうだと思って、心の中で呟いたのは内緒だ。

 

そして、話は第1エリア『樹海エリア』のエリアボス戦へと移った。

 

 

『樹海エリアボス…影の獣との激戦!』

 

「樹海エリアのボスか…27層の階層ボスの強化体との戦いは、また懐かしい気持ちになったな」

 

「27層か…ボクたちスリーピング・ナイツもアスナと一緒に攻略したフロアボスだったけど、ボクたちの時は二つ頭で4本腕の獣人モンスターだったよ?」

 

「ALOだとSAOと違うエリアボスが配置されていることがあるんだよ…まぁ、SAO帰還者にあまりトラウマを与えないようにするためだろうな。実際に、新生アインクラッドの25層ボスは、俺たちが戦ったボスとは違ったからな…もっとも、新生の第1層だけは変わらずコボルト・ロードだったけどな」

 

「でも、視覚封じに、途中からボスの本体が切り替わるギミックは初見殺しにも程があるよね」

 

樹海エリアボスとの激戦を映像で振り返り、当時の激闘ぶりを懐かしそうに見ていたフォンとフィリア。もっとも、ここから先のボスたちが更に面倒くさいだけに、この戦いが可愛く見えるのだから、二人がどれだけ苦労したかが分かるだろう。

 

一方で、新生アインクラッドで25層以降のボスと戦ったことがあったユウキが思ったことを口にしたことで、この中ではALOプレイ歴が長いフォンが、その辺りの事情を解説した。

 

全てではないが(SAOと比べて、その機会が減っていたのもあり)、参加してる・してないにかかわらず、階層ボスの情報は(アルゴ経由で)仕入れていたのもあり、おおまかに把握していたフォンの言葉に、3人がへぇ~と頷いていた。

 

「…というか、フォン。お主、幻想剣をフル活用してないにも関わらず、あの強さだったのじゃな」

 

「止めて、カナデ…そんな人を化け物みたいに見ないでくれ」

 

「ねぇ、フォン…普通の人はいきなり壁に向かって走り出したり、そのまま壁を駆けたり、そして、落下の衝撃をソードスキルで相殺しようなんてしないからね」

 

「うぐぅ…!い、いや、だって、キリトだって同じことできてたし…!」

 

「あのね、フォン…他の人ができるからって、普通ってわけじゃないからね?キリトもどっちかというと、化け物の領域だからね?」

 

「ぐはぁ?!」

 

「…それを言うなら、弾丸を予測線が見えるからって切れるお主とアスナも化け物じゃからな?」

 

「あー、うん…それは普通じゃないね。できるからって、やっちゃったら駄目だと思う」

 

「むぎゃ?!」

 

そんな中、樹海エリアの戦いを見終わったところで、幻想剣をフル解放していないにも関わらず、ホロウ・エリアのボスに嫌と言う程に大打撃を与えまくったフォンの姿に、隣にいたカナデがどこか呆れた目線を向けていた。

 

SAO時代の活躍をこうして見るのは初めてだったこともあるが、それでも、「全力を出し切っていないにも関わらず、あの強さって異常では?」という感情が目に出てしまったようで…そこから、ユウキとフィリアの追撃もあって、フォンが胸を抑えて倒れ込んだ。

 

あと、自分は関係ないとばかりに言っていたユウキも、GGOで弾丸をぶった斬ったことをカナデに持ち出され、そこにフィリアの同意が重なったことで、そのまま膝を突くことになった。

 

…この夫婦、最強カップルなのだが、化け物の領域に両足を突っ込んでいると思うのは、当然の感想だろう。

 

精神的なダメージを二人が負ったところで、話は浮遊遺跡エリアへと移ることになった。

 

 

『ホロウPoHとの邂逅と遺跡の謎解き』

 

「あれは本当に焦ったな…まさか、ホロウ・エリアであいつの…いや、正確にはホロウ・データか…あいつそっくりのホロウ・プレイヤーに遭遇したからな」

 

「あの時は、フォンが怒っている理由が過剰かと思ってたんだけど…大空洞エリアや、それと、アンダーワールドで見た本物の本性を見て、よく分かった。あれは、フォンがあそこまで怒りを覚えるのも当然だよね…」

 

当時のことを振り返り、なんとも言えない表情を浮かべるフォン。同じ当事者であるフィリアはどこか納得した表情をしていた。自身もいいように操られただけでなく、全く違うベクトルではあったが、歪な黒い欲望を露わにしていた本物をアンダーワールドにて見たことで、フォンの怒りの真意を嫌という程に理解できてしまったのが大きかった。

 

「ある意味で、フォンの宿敵…と言ってもいいのかな…因縁の敵に近いよね。フォンがあれほどまでに敵意を向ける相手なんて、ほとんどいなかったし…」

 

「チュデルキンやクィネラ…アドミニストレータと対峙した時にも似たような怒気を発しておったが…お主の性格からして、許せぬ相手だったのじゃろうな」

 

「…そう、かもな。といっても、あいつも俺のことを死ぬほど嫌っていたみたいだけどな。よっぽどキリトの隣にいたのが気にくわなかったらしい」

 

「いや、あれはもうヤンデレの領域じゃない…?まだホロウの方がマシに思えたもん、私…」

 

ユウキとカナデも同様の感想を抱いていたらしく、その二人の言葉を受けたフォンは苦笑いを浮かべていた。蓋を開けてみたら、フィリアの言う通り、まだホロウの考え方の方がかなりまともだったので、その意見は確かにと全員が同意するのだった。

 

そして、話はそのまま浮遊遺跡の謎解き場面へと移った。

 

「ゲーム原作にはないオリジナルの謎解きシーン…話に聞いて面白そうと思っておったが、こうして見ると、やはりその通りじゃったな」

 

「ボクもこういう身体を動かしながらする謎解きは結構好きかな」

 

「確かに面白かったな…命が懸かってさえなければな…」

 

「フォンの方の謎解き、物凄く難易度高かったもんね…」

 

二人の言葉によってフォンの笑みに影が差す…当時はSAO=デスゲームであり、HP全損は死に直結するため、それを考えるとあまり笑える話ではなかったのだ。

 

自分が挑戦した謎解きと比べ、フォンの方が難易度がおかしなレベルと化していたので、フィリアもその気持ちが分かり、苦笑いを浮かべていた。そんな二人の様子を見て、慌てたユウキが話題を変えることにした。

 

「そ、そういえば、謎解きといえば、フィリアのトレジャーハンターとしての勘や経験も、色々なところで役立っていたよね!ああいうのって、どんな感じで分かるの?」

 

「うーん…フォンにも言ったけど、大体パターンがあるんだよ。大事なのは、いつもと違う何かがないかを見分けることかな…トラップとか、一見普通そうに見えるものが逆に怪しいというのもあるから…ゴメン、ちょっと言葉にするのは難しいかな」

 

「ふむ、経験則というか、それを見つけるのがフィリアは上手いのじゃろうな。嗅覚が優れているというのかものう」

 

「ちょ、そんな大したことないよ…エヘヘ」

 

(…そういや、あの予約倍率ヤバい数字だったナーブギアも、店頭で余っていたのを偶然見つけたとかも言ってたよな。もしかして、フィリアって…運に愛されてる?)

 

本人は偶然と言っていたが、そもそもとして、

●予約倍率が異常レベルのナーブギアを偶然見つけて購入できた

●数千人いるプレイヤーの中で、唯一例外としてホロウ・エリアに転移してしまった

●1年近く、フォンと現実世界(帰還者学校)で遭遇しなかった(=フィリアが再会を望まなかったのが影響した?)

●間一髪のところで、何度もフォンが間に合って駆け付ける(ホロウ・エリアだろうと、アンダーワールドだろうと、デイリーダンジョンだろうと)

 

…思い返して、ここまでラッキーが重なることなどあるだろうか、と思う程の幸運がフィリアには起こっていた。これまでの出来事を思い出したフォンは思わず青ざめた。

 

(…もしかして、フィリアって…何かしらの現実改変能力でも持ってんのか…?いや、まさか…まさかなぁ…)

 

自身は普通と言っていたが、そんなまさかを考えてしまい、ありえないと思ってその考えを振り払うようにフォンは頭を振るった。

 

そんな可能性があるわけないだろう…たぶん…きっと…おそらく……ない筈である。

 

フィリアのトレジャーハンターや索敵能力を褒めるユウキたちを余所に、フォンが苦笑いしている中、プレイバックは次の場面へと移るのだった。

 

 

『夢幻の戦鬼の全力!飛竜ボスとの空中戦!』

 

「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」

 

「あの…なんか言ってくれませんか?」

 

浮遊遺跡エリアボスとの激戦を見終わり、待っていた感想は…呆れた視線と無言だった。三人からそんな態度を向けられ、流石のフォンも居たたまれなくなって、思わずそんなことを口にした程だ。

 

「敵に回したくない」

 

「戦鬼の名にふさわしい、暴れぶりじゃな」

 

「チートってこういうことを言うと思うのに、一票」

 

「ぐはぁぁぁぁぁ?!」

 

階層ボスよりも高ステータスな上に、ALOと違って飛行能力がないのにも関わらず、飛び回る飛竜に空中戦を挑んで勝つ…幻想剣フル活用したフォンの暴れっぷりに、三人から当然の評価が返ってきて、フォンのメンタルに大ダメージが入った!

 

少し立ち直れなそうなくらいのダメージを受け、魂が口から漏れているかのように半分気絶しているフォンを余所に、ヒロインズが幻想剣とフォンについて話していく。

 

「ねぇ、ユウキ…幻想剣使われたら、ユウキってフォンに勝てるの?」

 

「…五分五分かな。二刀流スタイルで戦われると、ちょっとキツイかな」

 

「いや、幻想剣ありのフォンでも五分で打ち合えるユウキも大概おかしいからのう?」

 

「私、フォンに秒殺されそうな気がするんだけど…」

 

「安心せい、フィリア…わしも同じ気持ちじゃ」

 

幻想剣ありのフォンと互角にやりあえるユウキは例外として、本気を出したフォンには絶対に適わないと思ったカナデとフィリアの気持ちは同じものだった。もっとも、

 

「…でも、映現世の剣を使用したフォンとは絶対に闘いたくない」

 

「「それは分かる」」

 

あらゆる世界の武器を反映できる映現世の剣に、心意で幻想剣スキルを使うこともできるのだから、ユウキでさえも勝てる未来が見えないことから、正直な感想を口にして、カナデとフィリアも同調するのだった。

 

「でも、ALOだと飛竜系ってそんなに珍しくないイメージだけど、SAOだとやっぱり珍しいの?」

 

「ワイバーン系とかはいたけど、それでも、やっぱり低空飛行するタイプばっかりで、武器が全然届かないみたいな敵はいなかったから、そういう意味では珍しかったかな」

 

「しかも魔法が使えぬのだから、猶更じゃろうな…今、思えば、ユニークスキル『射撃』が使えることが前提のボスだったのかもしれぬな」

 

「…あー、そういえば、ホロウ・エリアって、SAOに実装するかもしれないことを実験するためのエリアだったっけ?フォンの幻想剣もそうだし、飛竜ボスもその目的の相手だったのかもね」

 

「…そう言われれば、そうかもな。ゲーム原作だと第76層以降の話で、SAOに混線したシノンが取得してたけど…ゲーム原作のボスは低空飛行で攻撃が届かないという設定はなかったからな…まぁ、オリジナルでの設定という感じだったわけで、言うなれば、作者が悪いってことだな、うん」

 

「フォン、復活して早々他人のせいにするのはどうかと思うよ…」

 

ユウキの言葉に、ようやく復活したフォンが作者に罪をなすりつけようとしたが、やらかしのはフォン本人であるため、責任をなすりつけないようにとフィリアが苦言を呈したところで、プレイバックは次のシーンへと移るのだった。

 

 

『ホロウPoHの甘言、そして、フィリアの裏切り』

 

「…本当にこの時はゴメン、フォン…私…」

 

「もう気にするなって、フィリア。フィリアだって、俺を危険から遠ざけられると思って、ああしたんだろう?」

 

「そうだけど……私がフォンを信じられなれていなかったことでもあるから…あー、もう!この時の自分を殴れるなら殴りたい!」

 

「まぁまぁ。この時のフォンもフィリアに隠し事をしていたんだから、どっちもどっちだよ」

 

ちょっとでもフォンのことを疑って、酷い目に遭わせたことはフィリアの中で未だに罪悪感を覚えていたらしく、今にも泣きそうなぐらいに酷い顔をしていた。そんなフィリアを見て、気にするなとフォンが告げ、フォローしようと(フォンに対してはフォローとなっていない)したユウキの言葉に、少しだけフィリアの表情が明るくなった。

 

「しかし、あのホロウPoHの言葉は…本当に何も分かっていないのが悟れぬぐらいに巧みじゃのう」

 

「ああ、あれがあいつの厄介なところなんだよ…どの言葉を投げれば、相手の心を掌握し、操り、そして、思うがままに動かせるのか…そういった意味では、あいつも特殊な才能を持っていたんだろうな。それが本物・ホロウ共に持っているなんて、最悪だったけどな」

 

カナデの言葉に、真剣な表情でPoHの恐るべきカリスマ性と人心掌握を語るフォン…それにより、アインクラッドで幾多もののプレイヤーが搔き乱されてきたのだ。どれだけ、フォンたちが硝酸を舐めさせられたのか、フォンの表情を見れば分かるだろう。

 

「…でも、フォンに一番酷いことを言っちゃったのは私…それは事実だし…」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

WoU編で明らかになったフォンの過去のトラウマ…それを連想させるワードを、フィリアが偶然にも口にしてしまい、それに虚を突かれたフォンは、ホロウPoHの奇襲を避け切れずに、罠に嵌ってしまったのだ。

 

…フィリアが感じる罪悪感は、普通のものではないだろう。だが、フォンは…

 

「フィリアは悪くない。あれは…あれも、俺が抱えないといけない過去なんだ。俺が勝手に気にし過ぎていたことだし…知らないことの方がたくさんあるに決まってる、俺だって、みんなに言えてないことだってある…あの状況で、フィリアのことを知らずに、助ける・信じるなんて言ってたんだ。フィリアにあんなことを言われても仕方なかったんだ。でも、それでも、俺は何度だって言うよ。

 

フィリア…俺はフィリアのことを…フィリアやユウキ、カナデのことを信じてるから…だから、皆の為なら全力で頑張れるんだよ」

 

「「「…っ~~~~~~~~~~~!!」」」

 

ある意味でフィリアにとっての救いの言葉なのだろうが…別の意味で、3人を悶絶させる言葉を繰り出し、心に矢が刺さったかのように旨を押さえたまま、崩れ落ちてしまった。

 

こういうことを平然と言うから、3人からその内刺されそうだと評価されるのだ。そんな天然ジゴロのオリ主はさておき、プレイバックは一番の見どころに差し掛かった。

 

 

『ファンの激昂…ホロウPoHの死闘!』

 

「短剣幻想剣ソードスキル5連撃…あれ、初見殺しというか、まさしく必殺コンボだよね」

 

「必ず殺すコンボか…言い得て妙じゃのう」

 

ホロウPoHとの死闘を見届け、フォンが技術連携によって繰り出した短剣幻想剣ソードスキル5連撃に、流石のユウキもあれを出されるとキツイと思い、カナデも評価にフォンは何とも言えない表情になっていた。

 

「いや、フィリアを貶めたあいつにぶち切れていたというか、こいつだけは許しておけないと思わず感情的になってて…もう少し冷静になるべきだったよな、ちょっと反省だな。落ち着いていれば、あいつの凶行をもっと早く防いで、フィリアを危険に晒さなかったしな」

 

(((いや、論点はそこじゃないと思う)))

 

ソードスキルの連続発動…しかも、ALOでフォンやキリトが愛用している剣技連携と異なり、両腕で交互に発動させる際の多少のタイムラグなく、ほぼノータイムで連続発動できる技術連携+ALOと違って本来の威力で発動できる幻想剣ソードスキルは反則級の強さだった。

 

ヒロインたちをして、敵に回したくないと思うのは当然の感想だった。あと、殺意マシマシのコンボを出したフォンに対する印象は、

 

(((絶対にフォンは怒らせてはいけない)))

 

の一択だった。普段は色々と尻に敷かれているフォンだが、それは彼が穏やかで、基本的には怒らない人だからだ。そして、自分の為に怒りのボルテージが上がることが珍しいからでもあった。

 

だが、他人のためならその感情を爆発させることができるフォンがブち切れた際には…ある意味で、相手は覚悟を決めるべきなのだろう。

 

「ブチ切れたと言えば…やっぱり怒ったフォンは怖いよね。ちょっとかっこいいけど…」

 

「ユウキたちもキレたフォンを見たことがあるの?」

 

「…ブチ切れられた当事者です」

 

「目の前で怨敵に対してキレたのを見たのと、学院での出来事を少しばかり…」

 

PoHとの激闘を見終わり、話は変わってフォンがキレたことへと移った。まだ影があった時期とはいえ、キレたフォンの態度に恐れと惚気が入り混じった感想をユウキが零す…もちろん恐怖が8割だが。

 

すると、フィリアがほんの気まぐれで気になったことを尋ねると、ユウキとカナデは揃って目を逸らしながら、恐る恐る答えた。

 

ユウキは自身の一件でフォンを怒らせたことがあり、カナデはアドミニストレータとの決戦と、シャーロットを通して…ある意味で、フォンが一番ブチ切れたシーンである学院での凶行を覚えているが故に、気まずかったのだ。

 

「…そんなに怖いか、俺がキレたところは…?」

 

「「怖いよ」」「怖いのじゃ」

 

「お、おう…」

 

「普段あんなにまで穏やかな人が、別人かと思う程の冷気と殺気と圧を放ったら怖いし…フォンの場合、声色まで重くなるから、心臓を掴まれたようになるんだよ…」

 

「心をこれでもかと抉り、その直後に纏った闘気をこれでもかと叩きつけられたら、強者であっても気圧されるぞ…」

 

「あのね…フォンの場合、ギャップが酷いんだよ。対峙していた相手が180度全く違う温度をぶつけてきたら、こっちとしては…ううぅ、今、思い出しただけでも、鳥肌が立ちそう…」

 

「そ、そうか…キレてる時の言葉や態度って、かなり感情任せになっているところもあるから、そういうのは自分じゃ分からないんだよな…でも、キリトやアスナもキレた時は、似たような感じじゃないか…?」

 

三者三様の評価に、しかも、ヒロインズからの率直な感想ということもあって、流石のフォンも笑みが引き攣っていた。

 

そんなことを言われつつも、自覚がしにくいところもあって、なんとも言えないなと心中で抱えながらフォンは思わず深くため息を吐いた。

 

またしても、フォンのメンタルにダメージが入ったところで、プレイバックは次のシーンへと移った。

 

 

『フィリア、フォンへの恋心を自覚する』

 

「まぁ、だろうね」「まぁ、そうじゃろうな」

 

「…あ、アハハ」

 

「………殺してくれ」

 

ジト目と共に冷たい言葉が刺さる…もちろん向けられたのは、やらかした本人であるフォンに対してだ。

 

一方の当事者であるフィリアは、自身の気持ちの変化を改めて見返すことになったのもあり、懐かしさ3割・恥ずかしさ5割・嬉しさ2割という感じで、顔を赤くしながら笑みを浮かべていた。

 

そして、もう片方の当事者のフォンはというと…こちらも顔を赤くしつつも、反応は正反対だった。文字通り『殺してくれ』と言わんばかりに、両手で顔を覆っていた。

 

「…俺、鈍感すぎんだろう。普通、ここまでやられたら気付くだろう…キリトじゃないんだし、この時にタイムスリップできるのなら、自分をぶん殴ってやりたい」

 

「…結構重症じゃな」

 

過去と自分をこれでもかと呪うような自虐のオンパレード…自分で自分を追い込むフォンの姿に、カナデが呆れたような目線を向けていた。

 

「で、フォン…何か言うことは?」

 

「フィリアの心を落としてすみませんでした!?」

 

「ま、まぁまぁ…ユウキもその辺で。どっちかと言うと、私が勝手にフォンに惚れちゃってただけだし…ほら、吊り橋効果みたい感じもあったし」

 

「でも、自分のためにあそこまで必死に動いてくれたフォンのことが好きになったんでしょ?」

 

「…うん」

 

「やっぱりギルティ」「ギルティじゃな」

 

「そう言うと思ったよ、こんちくしょう?!」

 

こうなるのはある意味で必然だったとは分かりつつも、やっぱりユウキ的には許せない部分があるわけで…カナデも思うところはあったわけで、容赦なく有罪宣言を告げる。フォンの方も結果は見えていたわけで、ちょっとヤケクソ気味に叫ぶのだった。

 

「…それにしても、フォンって結構初心なところあるよね?」

 

「あー、それ分かるかも…ボクと付き合う前とかも、抱き着いたり、顔を近づけたら、真っ赤になってたし」

 

「わしの時もそうじゃな…キスした時や、水着で一緒に入浴した時も恥ずかしそうにしていたし…」

 

「いや、それはだな…」

 

一方で、フィリアの言葉をきっかけに、フォンの女性に対する態度が初心すぎる疑惑へと話が移る。それぞれの場面での出来事を口にしたところで、フォンは苦笑しつつも、その理由を話していく。

 

「俺の周りって、そういう相手がいなかったというか…前の世界でも、告白とかされたことはあったけど…まぁ、色々あって全部断ってたし、そういうのに興味を持っていなかったからな」

 

「でも、そんなフォンがボクやカナデたちの好意に気付くようになったのって、どうしてだったの?」

 

「そうだな…それは、キリトやアスナたちの影響だろう」

 

「キリトたちの影響?」

 

「ああ…まぁ、小説を読んで展開を知っていたのもあるが…キリトやアスナのじれったい関係を後押ししたり、SAOから帰還後はリズにシリカ、リーファにシノンのこともあって、それに影響されたんだろうな。

…といっても、ユウキと付き合ってなかったら、カナデとフィリアからの好意にも気づけていたか、怪しいところはあるんだけどな」

 

「…ちょっと複雑。付き合ってなかったら、こんなことになってなかったらと思うとなぁ…」

 

「わしらとしては、かなり有難いがのう…ユウキがここまで寛容になってくれたから、わしらは自分の気持ちに蓋をしないで済んでおるからのう」

 

「…そういう意味では、私たちも複雑なところだよね」

 

フォンの心境の変化にキリトたちの恋愛事情、そして、ユウキとの出会いと恋人としての付き合いが大きく影響していると知り、当の本人であるユウキがなんとも言えない笑みを浮かべていた。

 

そんなユウキの決断により、今は自分たちもフォンの恋人になれていることに、カナデもフィリアも何とも言えない感情を表情に浮かべていた。

 

そんな気まずい空気を変えるべく、プレイバックを次のシーンへと移ることになった…前半最後のプレイバックはもちろん、あの戦いのシーンだった。

 

 

『因縁のクォーターボス再来…大空洞エリアボス戦!』

 

「…幻想剣同士がぶつかったら、こんな感じなんだろうな」

 

「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」

 

手に汗握る、というのは今見ていた戦いのことを言うのだろう。

 

ある意味で、ホロウエリアでの戦いの中でも最大の激戦と化した大空洞エリアのボス戦…ヒロインズが何も言えなくなっていたところで、改めて自身の激闘を第三者という立ち位置で見返したフォンは、苦笑しつつそんな感想を口にしていた。

 

「…フォンもフィリアもよく勝てたね?」

 

「後からすれば、あれは本当に死ぬと思ったよ…武器ごとに繰り出してくる特殊攻撃が違う上に、パターンが変わる度にあんな超威力の大技を繰り出してくるなんて…フォンがいなかったら、確実に死んでたよ…」

 

自分でさえ勝てるイメージが見えなかったこともあり、ユウキがなんとも言えない表情で、二人の勝利を称賛(?)していた。言われたフィリアはげんなりした様子で生きた心地がしなかったと返答するのだった。

 

「それにしても、因縁というのはあるのじゃな…お主が『夢幻の戦鬼』と呼ばれるきっかけとなった、25層のクォーターボスの超強化体と戦うことになるとはのう」

 

「それな…第0話でユウキがSAO全記録集の一文を読んでいたのもな…まぁ、メタ的なことを言うと、この話のための布石だったわけだが」

 

まさか第0話のあの流れが、大空洞エリアの展開に繋がっていたとは…呆れた様子でフォンがそんな解説をするのだった。

 

「えっとじゃな…もともと25層でフォンが有名になったという話は初期からやっていたが、その25層クォーターボスって、本作だとどんな感じなの?という部分から、今回の展開になったわけじゃ。

もともとホロウ・エリアの話をやることになった時点で、最初に決まったのがこの大空洞エリアのボスだったわけじゃ」

 

「けど、この大空洞エリアボスも結構設定が変わっていったみたいだけどな」

 

「えっ、そうなの?」

 

やっと解説らしい仕事をカナデとフォンがしたところで、大空洞エリアボスの解説にはまだ続きがあった。意味深なフォンの発言にフィリアが首を傾げると、続きが始まった。

 

「初期設定では、タゲを取ったプレイヤーと同じ武器に高速換装し、ソードスキルを放たれると必ず少しだけ威力を上回るソードスキルで反撃する、HPバーが減少する度に、攻撃力・速度が上昇していく…という設定だったみたいだ。

ところがだ…『あれ、これだと物足りなくないか?クォーターボスなら、もうちょっと強くしてもよくないか…?…そうだ、入り江エリアのボスと連動させる形で、超絶強化しよう!』という作者の暴走によって、入り江エリアボスを犠牲にすることで、大空洞エリアのボスがあんな面倒な内容になったわけだ…というわけで、作者って奴が全て悪いわけだ…」

 

「あー、うん…フォンがなんで作者さんをいっつも責めているのか、ちょっと分かった気がする」

 

長い解説の終わりに怨嗟の声を零したフォンを見て、フィリアはどこか納得しつつ、苦笑するしかなかった。そんなかんやで、プレイバックのコーナーは終了するのだった。

 

 

 

夢幻の戦鬼・トリビア

「フォンさんはバイクの免許を持ってますが、実は取得したのは、パパと同じタイミングです。ALOからの帰還後、パパからバイクの話を聞いて、一緒に取りに行ったんだそうです。

でも、実はフォンさんのバイクは、パパのと違って電気式稼働のもので、ガソリン式のパパのバイクと比べてエンジン音がかなり静かなんです。これは、パパが買う際に、ろまん?というものを求めたのに対し、フォンさんは性能面を重視して選んだから、こういった違いが出たんですね。

以上、夢幻の戦鬼・トリビアでした」

 

 

 

「では、最後のコーナー『今だから語れる夢幻の戦鬼小話』じゃ」

 

「いぇーい!」「い、いえーぃ…?」

 

カナデの進行の声に合わせるように、ゲスト二人から掛け声が上がる。もっとも、これはユウキのアドリブによるもので、出遅れたフィリアは少し躊躇いがちなものになっていたが…

 

「このコーナーでは、WoU編が終わったり幻想剣の謎が大体明かされたことで、これまでは中々話に出せれてなかった話を解説しながら、皆で語っていくコーナーだ。結構初公開の情報が満載なので、是非とも楽しんでもらえたらと思う」

 

「それでは、まずはこちらの議題からじゃ」

 

 

『実はフィリアがヒロイン化するのはもっと後になる予定だった』

 

「えっ?!」

 

フォンの説明に続き、カナデの言葉によって、まず最初のお題が出てきたのだが…そのお題に驚きの声を上げたのは、もちろん当の本人であるフィリアだった。

 

「ど、どういうこと、これ…?」

 

「えっとじゃな…作者曰く『フィリアとこの後にやるロスト・ソング編のヒロインとは、現在、構想までは出来上がっている最終章終了までヒロインといっても、回答保留状態に留めようと考えてました。そもそも、後編のリユニオン・ビヨンド自体も実は当初想定していた終わり方とは異なるものになっています。

そのため、本来はフォンがもっと酷い奴扱いになっていたのですが…流石にそれはやりすぎかなと思い、並行世界出身の秘密までもを明かす形になったわけです。同様に、実はストレアも当初は出す予定はありませんでした』…ということらしいの」

 

「…お、おう。なんか物凄い裏話が出てきたな」

 

「というか、どっちみち私が大変な目に逢うことは確定事項だったのね」

 

さりげなく精神的なダメージを受けたフォンが引き攣った笑みを浮かべ、本編で結局とんでもない秘密を打ち明けられたこともあって、フィリアもどこか疲れた表情をしていた。

 

「まぁ、そんな展開だったら、多分ボクが滅茶苦茶怒ってたと思うけどね」

 

「同感じゃな。ぶっとばすでは足りずに、色々やっていたじゃろうな」

 

「作者、珍しくナイス!」

 

他ヒロイン二人が黒い笑みと共にそんな恐ろしいことを口にし、思わずフォンが叫ぶ!いや、結局の元凶は作者なのだが…ちょっと焦っているせいかその辺りの考えが抜けてしまっていたようだ。

 

「というか、最終章って気になる話が出てきたけど…」

 

「…まぁ、話自体はGGOのおふらいんの時にちょっとだけ出てたけど…それを聞くと、まぁ、いつかはやってくるよなと思うよな」

 

「もっとも、この更新速度でいつになるのかが未知数じゃがな」

 

「みなさんの期待に応えられるように頑張らないとね!」

 

そんな中、話の途中で出た最終章という単語に反応したユウキに、フォンもどこか感慨深そうに呟く。二人の言葉にメタ発言を交えつつ、カナデとフィリアも意気込んだところで、小話は次の展開へと移った。

 

 

『フォンの地元は実は都内ではない』

 

「「「ええぇ!?」」」

 

「…あれ、そういや言ってなかったっけ?」

 

「「「聞いてない?!」」」

 

もちろん驚きの声を上げたのはヒロインズ。それに対して、フォンが苦笑+首を傾げて問い掛けると、ハモった声で答えが返ってきた。

 

「地元が都内ではないというのはちょっと誤解を与えそうだけど…正確には、実家が都内じゃないってことだよ」

 

「…えっと、ゴメン、どういうこと?」

 

「俺、生まれも育ちも都内だけど、父さんや母さんの実家が西日本の方なんだよ。で、二人とも大学は東京で、そのまま結婚して定住したってこと。だから、子供の頃は里帰りで一緒に帰省してたんだよ。

もっとも、SAOに巻き込まれて以降は色々とあって、帰れなかったんだけど…今年の夏もアンダーワールドの一件があったからな」

 

「へー…お義父さんたちからそんな話出たことなかったから、知らなかったな」

 

「まぁ、父さんも母さんも自分のやんちゃしていた頃の話はしたくないんだろうな。特に父さんは爺ちゃんとも結構喧嘩していたらしいからな…って、母さんが前に教えてくれた」

 

「…お主の母上は本当に容赦ないのう」

 

フィリアの困惑の声に、応えるフォン…両親の出身が都内ではないことや最近の帰省事情を解説したところで、ユウキとカナデの違った反応が出たところで、小話のコーナーは終了するのだった。

 

 

 

「ということで、おふらいんもそろそろ終わりの時間じゃ。あっという間じゃったが…司会としてはこんな感じでよかったのかの?」

 

「グッジョブだ、カナデ。というか、今回、俺、そんなにひどい目に逢ってない!?」

 

「いや、喜ぶところはそこなのか、フォンよ…ユウキとフィリアはどうじゃった?」

 

「いやぁ、話にしか聞けてなかったフォンのかっこい…色々と暴れているシーンをみられたのはやっぱり楽しかったな」

 

「なんで言い直した、ユウキ?」

 

「私も…結構恥ずかしいシーンもあったけど、懐かしい気持ちになれたからよかったかな。あと、次回は私がこんな感じで進めないといけないんだと勉強になったよ」

 

終わりの時間ということで、カナデが〆へと話を進めるべく、三人へとコメントを求める。普段どれだけおふらいんで酷い目に逢ってるんだと言わんばかりに歓喜の声を上げるフォン、何故かちょっと悪意のある言い方に言い直したユウキ(理由:嫉妬)、懐かし半分(次回が司会ということで)不安半分のフィリアという、三者三様のコメントが返ってきた。

 

「それでは、後半もこのメンバーでお届けするので、是非ともご期待ください…という感じかのう。では、皆のもの…最後の挨拶を頼むぞ?せーの…」

 

「「「「またね~!」」」」

 

そんな挨拶と共に、番組は終了したのだった。

 

『この番組は、憩いの場と店主オリジナルブレンドコーヒーで出迎える喫茶店『羽休めの宿』の提供でお送り致しました』

 

 




○ネタ解説

●ニュースヘッドライン
 元祖おふらいんでもあった要素。今回は、ゲーム原作繋がりでストレアに解説してもらいました。

●「…あとで裏で話し合いな、お前ら」
元ネタ:クイズ松本潤(1回目)
 スタッフに謀られたMJが放った台詞に近いもの。

●夢幻の戦鬼・トリビア
 元祖おふらいんでもあった要素。ユイが解説しているのも元祖と同じ。

●ユニークスキル『射撃』
 ゲーム原作『インフィニティ・モーメント』・『ホロウ・フラグメント』で、実際にシノンが習得したユニークスキル。実は、浮遊遺跡エリアボスの裏設定は射撃スキル持ちがいる前提の難易度となっていた(それを物理でなんとかしているフォンがやっぱりおかしい)。

●フォンの地元は実は都内ではない
 アインクラッド編第5話も参照(シリカやキリトとのエピソード)。祖父の話が出てましたが、なかなか触れられてなかったので。いつかどっかでやる予定です。

明日更新の後編もお楽しみに!

キャラエピ第2段!どのキャラから見たいですか?(時系列の問題で多少前後することがあります)

  • リーファ
  • シノン
  • リズ
  • シリカ
  • ミト
  • ユイ
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