…てぃんとんかんこーん。
前半でも聞いたあのBGMと共にニュースヘッドラインが始まった。
『ニュースヘッドラインの時間よ。今日、帰還者学校で行われた運動会で、新たな伝説が生まれたそうよ。
なんでも、愛する人の名前を叫ぶと、相手方のチームが優勝するっていう話よ。これは、騎馬戦や最終種目であった紅白対抗リレーで、それぞれのカップルが相手のパトーナーの危機に際し、叫んだことでなんと見事な逆転劇の活力となったそうです。
…えっ、もう一つ伝説が生まれた?なになに……はぁぁ?!熱愛発覚!?結城明日奈に女の影?!お相手は他校の女子性?!本命の桐ヶ谷和人との三角関係?!誰よ、こんな記事を書いたのは!?…情報提供者は夢幻の戦鬼?フォン、あんた、覚悟しときなさい!?デスペナ喰らわせ…(ピーーーーーーー)』
『そーどあーと・おふらいん りゆにおん・びよんど編』
「いやいやいやいや!?待って待って、進めないから?!タイトル自然と表示させないで?!」
ニュースヘッドラインでとある紫髪の女性プレイヤーが暴走し、鎌を持ち出したところで、『少々お待ちください』というピナが右端側で頭を下げる映像に切り替わり、そのままタイトルを表示して本題に入ろうとしたところで、鋭いツッコミが入った。
「今の何?!完全な放送事故じゃない!…えっ…『スタッフも予想していなかった展開で、対応が追いついてないので、アドリブで場繋ぎをお願いします』…いや、無茶ぶりだし!?というか、ミトにあんな記事を見せたら、こうなることは予想できたでしょ!?」
「それと、なんか俺のせいにされたけど、あれ書いたの作者だろう…!」
突然スタジオへと映像が切り替わり、挨拶をする間もなく、フィリアのツッコミが炸裂しまくる。ついでに、冤罪を引っ掻けられたフォンも静かにツッコミを入れていた。
「なんで私が初司会の時に余計なことをするのよ!?避けれた事態でしょう、あれ!…えっ…『いや、面白そうだと思って』…それ言えば、許されると思ったら大間違いだから!こっちに飛び火してる時点でアウトだから!」
(…おぉ、フィリアが司会だと言いたいことを全部ツッコミとして言ってくれるから、滅茶苦茶楽だな)
カンペで言い訳を告げるスタッフ陣に、フィリアのツッコミが止まらない!そんなやりとりを見ていたフォンは、今回は楽できそうだなと思いながら、ひとまずフィリアのツッコミが落ち着くのを待つことにしたのだった。
「ぜぇ…!ぜぇ…!もう!なんで、始まる前からこんなに疲れないといけないのよ…!」
「気を抜くのはまだ早いぞ、フィリア…これからが修羅場だからな」
「フォン、お願いだから、早くも疲れた表情でハイライトのない目にならないで!もうフォンにまでツッコむ気力ないから…
コホン……みなさん、先程は映像に不適切な場面が移り、大変失礼しました。そーどあーと・おふらいんの時間です。今回の司会を務めますフィリアです」
「引き続き解説を務めます、ふぉ「音弥ぁぁァァァァァ!?」うぉぉ…?!」
そんなかんやで、落ち着いたところで番組を始めようと、それぞれが挨拶をしようとしたところだった。
解説席にいたフォン目掛けて、何かが飛んできたのだ。紙一重のところでしゃがんだことで躱したフォンだったが、彼の頭があったところを貫いていたのは鎖鎌だった。もちろん放ったのは、
「あんたぁ?!よくも私の恥ずかしい情報を口外したわね!?万死に値するわ!」
「ちょ、待て、落ち着け、ミト!?あれは俺じゃない!?」
「死になさい!?」
「なぁ、聞く耳持たずかよぉ!?フィリア、悪い、少しの間番組を頼む!?この、分からず屋がぁ!頭冷やさせてやる、来い!」
「上等よぉ!?」
今度は薙ぎ払うように鎖鎌を放ってきたミト…このままでは、フィリア(と、一応番組スタッフ)に危険が及ぶと判断したフォンは、背中の両手剣を抜き、鎖鎌を弾き飛ばし、翅を展開させて上空へと飛び立った。
そんなフォンを追撃するべく、ミトも飛んでいき…上空にてぶつかり合いを表現するかのような金属音と火花が何度も散り合う!
「…え、えっと…と、とりあえず、そーどあーと・おふらいん、スタートです!?」
残されたフィリアはとりあえずそれしか言うことができず、まさかの形で番組がスタートしたのだった。
夢幻の戦鬼・トリビア(トリビア担当のユイによる解説)
「フォンさんは両手剣をメインとした、他全ての武器を使えるオールラウンダープレイヤーとして有名です。両手剣以外は、パパたちと武器が被ることがありますが、その戦い方はフォンさん独自のものとなっております。
例えば、弓矢の場合、シノンさんは超長距離射撃を始めとした精度の高い射撃が特徴ですが、フォンさんの場合は速射と数本同時射撃を得意とします。他にも、細剣はママと同じ武器ですが、閃光と称される程の速撃を放つママに対し、フォンさんの細剣は正確無比な刺突と斬撃を組み合わせものを得意とするなど、同じ武器であっても戦い方は全くことなるものだったりするので、まさしく使い手の色が出るという感じになっています。
以上、夢幻の戦鬼・トリビアでした」
「…えーと、まだフォンが返ってきてないんだけど、このままじゃ埒が明かないので、番組を進めます。それでは、今回のゲストの紹介です。それでは、どうぞ!」
「これはまた凄い展開だね…あっ、ゲストのユウキです!前回に続き、よろしくね!」
「ゲストのカナデじゃ。フィリア、序盤から大変じゃったの…」
「本当にね…このままフォンが返ってこなかったらどうしようかって、もう既に不安なんだけど」
「大丈夫!フォンがいなくても、ボクたちがついてるから、大船に乗った気分でいてよ!」
「(前回もそうだったけど、ユウキってその辺り、自覚なさそうなんだよね…)…カナデ、悪いんだけど、フォローの方をお願いできるかな?」
「うむ、任せよ。どこまで力になれるかは分からぬが、精一杯フォローしようぞ」
「…?あれ、フィリア…今、ボクのこと、スルーした?」
今回のゲストということで、姿を現わしたのはALOアバターのユウキとカナデだった。既にフォンが一時離脱という不安の中、少しばかり泣きそうになるフィリアが本音を零した。
そんなフィリアに胸を張って応えるユウキだったが、フィリアが助けを求めたのはカナデだった。彼女の思惑を秒で理解したカナデが応える横で、スルーされたことに理由が分かっていないユウキが首を傾げていた。
「それでは、本番組は『ソードアート・オンライン 夢幻の戦鬼』に関するあらゆる情報や裏事情を解説していく番組です。後半となる今回は、ホロウ・レトロスペクトの最終局面、そして、その続章となるリユニオン・ビヨンドの解説をしていくわ。
プレイバックを中心に語り切れなかった部分を説明していくし、リユニオン・ビヨンドで登場したフェイカーについても触れるから、目を離せないお話ばかりだから、最後までお楽しみに!」
「…WoU編で色々な謎が解き明かされて、また新しい謎が出てきたところで、今度はフェイカーという、フォンに深く関係ありそうな人物が登場したもんね」
「まさしく、読者のみなが知りたい場面が集結した話になりそうじゃのう」
「そうだね、その分気合を入れていかないとね…!それでは、まずはプレイバックのコーナーから…ホロウ・レトロスペクトより、このシーンです!」
『フォンの負の側面とフィリアの新しい武器』
「…あー、もう…なんでおふらいんにまでこんなマジバトルをしないといけないんだよ」
「あっ、フォン。おかえり」
少し息が乱れ、装備に破損が目立つが、なんとか生還したフォンがそんな言葉を零したところで、フィリアが出迎えの言葉を告げた。
「ミトは…倒したの…?」
「いや、鎌を半壊させて、一本背負いから関節技を決めたところで、この番組の悪質…本質を嫌と言う程に言い聞かせて理解させた」
「は、半壊とは…さらっと言っておるが、そんな簡単に出来るものではないじゃろう」
「いや、鎖鎌はその性質上、軌道を描かないといけない点から、どうしても脆くなる部分があるんだよ。だから、そこを両手剣と両手斧で無理矢理角度を調整してやって、バキッとな。もっとも、あとで武器を修理することを約束したから、その時に壊したことは謝らないといけないけどな…武器ぶっ壊されて、ちょっと半泣きになってたから」
ユウキとカナデの問い掛けに、それぞれ応えるフォンは、その合間に司会席に置いてあった水を一気に飲み干す。いきなり襲撃したミトにも悪いところがあるとはいえ、それをさらりと無力化するフォン…色々な意味で鬼である。
「それで、今は…あー、このプレイバックのシーンか。この時はマジでショックだったな」
「フォンでも、やっぱり武器が壊れると落ち込むの?」
「一つや二つならそこまでだが…流石にこの数が一気にぶっ壊れるとな。武器は壊れる前提で使っているところはあるし、今回はしょうがなかったということは理解していても、やっぱり、防具含めて大量破壊となると、メンタル的にはキツイなぁ…」
当時を思い返して、珍しく渋い表情で両腕を組むフォン。溜息まで吐いたその姿に、ユウキが真意を尋ねると、ああいうのはもう懲り懲りと言わんばかりにフォンが返答していた。
「それにしても…やっぱりこの時のフォンって変だったんだね」
「フィリア、お願いだから、もうちょっと言葉を足してくれないか?すごい誤解を生みかねない言い方になってるから」
「この時からフォンってやっぱり自分を犠牲にしがちだったんだね」
「まぁ、浮遊遺跡や大空洞エリアボスとかもそうじゃったからのう、こやつ。お主の過去を知っておるわしらでさえも、異常に見えるぞ、あれは」
「…わ、悪い。その、今は本当に反省してるから」
「「「説得力がない」」」
「ぐはぁ…!」
フィリアを皮切りに、自己犠牲が過ぎるフォンの過去の姿に、ヒロインズの指摘がフォンにぐさりと刺さる。自己犠牲のせいで、何回か彼女らを泣かしていることもあって、流石のフォンも反省はしていると告げるが、ヒロインズは口を揃えて信じられないと切り捨てた。
…まぁ、反省は確かにしているが、やらかさないとは言ってないので、当然の結果である。
「そして、フィリアがフォンに惚れたシーンか…まぁ、これは無理もなかろうな」
「うん。だって、未知なるエリアで一回打ち負かしておいてから、何度もピンチを助けた上に、最後には絶好のタイミングで駆け付けたもんね。あれは、誰であっても落ちるよね」
「ちょ、二人とも?!それぐらいにしてよぉ…!」
次に話題となったのは、鍛冶に没頭するフォンにフィリアが見惚れるシーン…ここぞとばかりに、カナデとユウキが笑みを浮かべながらフィリアを尋問していく。
「でも、ちょっといいなぁ。あんな恋の落ち方もありだよね」
「も、もう!恥ずかしいから止めてよ…そういえば、二人はどんな感じでフォンのことを好きになったの?」
「えーとね…ボクの場合は自然と好きになってたかな。あっ、でも、一番大きかったのは、ボクが全部を諦めようとした時に、無理矢理にボクの本音を引き出してくれたからかな。あれがなかったら、今、こうしていなかったかもしれないし」
「わしの場合は…そうじゃのう。わしも似たようなものじゃが、わしに心というものがどういうものかを、フォンは気付かせてくれたのじゃ。絶望の中に、それでも贖い続けることを、本気で人を想うということがどういうことかを教えてくれたから、自然と好きになっていたのう」
「…へぇ~、二人もフォンに色々としてもらったんだ。でも、それなら、私とそう変わらないじゃないの?」
「「それはない」」
「なんで?!」
「いや、フィリア…フィリアのあれはレベルが段違いだから。あの惚れ方は王道の中の王道だよ?」
「吊り橋効果というのもあるのじゃろうが、あそこまで綺麗に落ちるのは、逆にレアケースじゃぞ。あれ、わしでも絶対に落ちる自信があるわ」
「だよね、だよね!見てて、本当にいいなぁ!って思ったもん!もうヒロイン力で負けてる感じがしたもん」
「ヒロイン力って何!?」
ヒロインズトークが弾む中、自分の恋の落ち方がこれでもかという程に理想だったと絶賛8割揶揄い2割の評価がフィリアを襲っていた。ユウキから謎のワード『ヒロイン力』という言葉にフィリアのツッコミが響き渡る。
(…頼むから、早く終わってくれぇ…)
一人公開処刑に近い暴露を喰らっているフォンが全身を真っ赤にしながら、ヒロインズの会話に耐え忍ぶ中、プレイバックは次のコーナーへと移った。
『ホロウの最後の砦…Vsホロウ・キリト!』
「…いや、あれはもう…本当によく勝てたよな、俺」
「フォンがあれだけ口酸っぱく頼りにしているって言ってる意味が分かったよ。同じユニークスキル持ちで、フォンと同等の技量を持ってたら、そうだよね」
ホロウ・エリア最後の激闘…幻想剣対虚像の二刀流という、ある意味で、親友であり、相棒でもある彼らの激闘に、一同は圧倒されていた。
見終わった後、口を開いたのはフォンとフィリアの当事者二人だった。特にフォンの方は、フィリアを人質に取られたような状態だったので、あの状況から勝てたことにそんな感想を呟いていた。
「前から何度から話には上がっていたけど、幻想剣と二刀流が本気でぶつかるとあんな感じになるんだね」
「わしも話には聞いたことがあったが、お主とキリトがALOで戦った時よりも凄かったのか?」
「凄いなんてもんじゃないさ…ALOと違って、ユニークスキルのパッシブスキルが機能してるから、幻想剣ありきでなんとかって感じだよ。幻想剣がなかったら確実に負けてたな」
「その上で、幻想剣の効果までも二刀流に上乗せって…実質ユニークスキル二つ持ちって状態だったわけだよね。あれこそチートだね…」
「だな…不幸中の幸いは、あいつがキリトのデータを模したホロウ・プレイヤーだったという点だな。だから、まだ攻撃に粗があったからな…あれが本物のキリトだったら、絶体に負けてた」
これまでは一度も実現したことがなかったユニークスキル『幻想剣』Vs『二刀流』というレア激闘に興奮が隠し切れないでいるユウキに、フォンとキリトが激突した場面を初めて見たカナデの問い掛けに、フォンは物凄く疲れた顔で答えた。
二刀流にサブ要素として幻想剣の効果である『武器ごとに特殊効果を付与』が追加されていたのは文字通りチートだと、ホロウ・キリトを目にしていたフォンとフィリアは当時の感想を語る。
…特に直接戦ったフォンは物凄く遠い目をしていた。
「というよりも、フォンよ。前から思っておったのじゃが…お主、キリトのことを持ち上げ過ぎではないか?」
「うーん、そうかな…実際、ゲームの経験値もセンスも、それにあの反射神経もあると、どうしてもなぁ。簡単に負けてやるつもりはないけど、どうにも勝てる気がしないんだよ。ALOでのデュエル・トーナメントの戦いも、搦手で勝ったようなもんだし…」
「(…のう、ユウキ。なんでこやつはこうも自己評価が低いのじゃ?)」
「(フォンの場合、努力で補ってる部分が多いからじゃない?なんでも最初から上手くできたわけじゃないって、本人もお義母さんも言ってたし…だから、自分ができることは、時間を掛ければできるっていう認識が強いんじゃないかな?)」
「(あー、なるほどのう。そこがあやつのズレとるところか。器用すぎて習熟性が高すぎるのは自覚ある癖に…)」
「(まぁ、それがフォンの一番悪いところで、抜けてて可愛いところだと思うんだけどね)」
「おーい、そこ二人。何コソコソ話してんだ」
「…多分、フォンがズレてるポンコツなところについてだと思うよ」
「ぽ、ポンコツ?!」
自身の問い掛けに肩を竦めながら答えるフォンに、カナデは思わずユウキへと小声で話しかけた。前々よりも見せていたフォンの謙虚さに二人して呆れた様子で話すのを見ていて、察したフィリアのツッコミにフォンが驚いていると、
「それにしても…技術連携でのソードスキル6連続発動って、また無茶したね」
「まぁ…というか、あの時はフィリアの命も懸かっていたから必死だったのもあったし…ほぼ無意識で、しかも心意によって発動したようなもんだぞ?」
「…技術連携って、そんなに難しいの?ALOでの剣技連携だと、もっと連発できるんでしょ?」
「8連続まではな。といっても、8~9割まで成功できるのは6連続までで、7連続だと半分、最高の8連続だと3割切るからな。で、技術連携と剣技連携のどっちが難しいかと言うと、技術連携の方が習得は難しくて、切り替えるのは簡単だ」
「…?覚えるのは難しいが、連続発動させるのは難しくないということか?」
最終決戦の話は、フォンが最後に放った技術連携6連発と、それに関連して類似システム外スキルである剣技連携についてだった。
フィリアの問い掛けに、自身の剣技連携における最高到達点を説明したところで、技術連携の仕組みを述べると、カナデが理解できているかを問うように質問したため、頷いたところで、説明を続けた。
「技術連携は、ソードスキル発動直後にシステムによって発生する硬直の寸前で、その瞬間に身体によって、別のソードスキルを発動させるモーションを取ることで、ほぼ無理矢理にソードスキルを硬直無しで連続発動させるものだ。だから、どのソードスキルがどのタイミングで発動し終わり、硬直が発動するのかを完全に覚えて、その直前に別のソードスキルを発動させるためのモーションを取らないといけない。
一方で、技術連携は発動方法は似ているが、原理が異なる。こっちは更にシステム外スキルらしく、硬直発生前に脳で別のソードスキルを発動させることを強くイメージさせる形だ。左右の手に伝わるイメージを硬直発動のほんのわずかのタイミングで切り替える、と言えば伝わりやすいか…左右に別の武器を持っているから、こっちの方が切り替えはしやすいんだ…もっとも、これは技術連携のコツを知っているからこその話で、キリトも俺から説明を受けて習得して、自然と出せるようになるまで結構苦労してたな。
…とか思ってたら、足まで対象に入れた四肢三刀流剣技連携なんて化け物技を編み出したからな」
「「「いや、お前が言うな」」」
「…!?」
長々と技術連携と剣技連液の説明と違いが終わったところで、キリトがヤバい奴だと言いたげなフォンがやれやれと言った形で言い終えたが、ヒロインズ3人の鋭いツッコミが炸裂した!
さり気なくなんでもないかのように告げているが、まずできること自体が異常なのだ。それを全武器(ALOであっても両手持ちとなってしまう弓を除き)にてできてしまうフォンもまた異常なのだ(キリトは使い慣れている片手剣限定であるため)。
三人のツッコミにショックを受けているフォンを置いてけぼりに、プレイバックは次のシーンへと移った。
『フェイカーの影と、おしおき執行!』
「ちょ、このシーンは…!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
フェイカーがキリトたちと遭遇したシーンに続き、その裏側で起こっていたフォンへのお仕置き…ユウキとカナデによる添い寝されたシーンが映され、フォンが慌てて抗議の声を上げるも、既に時遅し…フィリアの目には然りと映像が映ってしまっていた。
「フォン、なにこれ?」
「いや…えっと……罰ゲームだそうです」
「私にハーレムを見せつけたいの?それとも、私もここに加えたいっていう願望?」
「ち、違う!?誤解だぁ!」
「フォンの馬鹿ぁ!?!」
「(ズバァズバァザシュ!?)ぎゃあああああああぁぁ?!」
問答無用とばかりに、短剣最上位4連撃ソードスキル〈エターナル・サイクロン〉がフォンを切り刻み、ノックダウンさせる。
「もう…」
「で、本音は?」
「うらやま…って、何を言わせんのよ!?」
「(ドス!)ぐはぁ?!い、今の…俺、関係なくない…?」
ちょっとだけ鬱憤が晴れたフィリアが顔を赤くしているのを見て、ユウキがさらりと本音を尋ねる。その場の勢いで思わず応えそうになったフィリアが照れ隠しで、フォンの鳩尾へと拳を叩き込む!
更なる追撃にフォンが一段とボロボロになる中、話は添い寝へと進んでいく…お願いだから、フェイカーの方へも話を振ってほしいものだ。
「そ、それで…フォンと一緒に寝るって……ど、どんな感じなの?」
「へぇ~…気になるの、フィリア?」
「こ、後学のためよ!他意はないから!?」
「どうって言われてものう…わしも一緒に寝るのは初めてじゃったから…安心感というのか、もっとくっつきたくなるというか…」
「離れたくなるって感じが強いのかも。偶にああやって現実世界でもALOでも抱き着かせてもらってるけど、癖になるぐらい気持ちいいんだよね」
「そ、そうなんだ…って、現実世界でも!?フォン、もうユウキに手を出してるの!?」
「いや、今のはユウキの言い方に誤解が「フォンの変態!?」ぐげぇぇ!?…た、頼むから、話を…聞いてください…」
もの凄く意味深に聞こえるが、三人が会話している内容は添い寝に関してである。特にユウキは普段からしてもらっていることもあってか、恥ずかしそうにしながらも喜びを隠せないでいる態度で答える。
そして、それを深読みしすぎたフィリアによる三度目の鉄槌がフォンを襲う!日頃の行いがものを言うとはよく聞く話だが、こればっかりはユウキの説明の仕方も悪かった。
…あと、フィリアにムッツリ疑惑が出てきた。どこぞの元血盟騎士団副団長もといバーサクヒーラーと仲良くできそうだ。
短時間でボロボロと化したフォンが敬語で願いを告げる中、プレイバックは次のシーンへと移った。
『全員集合!フェイカー探索へ』
「フォンって、やっぱりみんなからも化け物って見られてるんだね」
「酷いよな、全然適切な評価じゃないよ?」
「妥当だと思うよ」
「あれぇ?!」
フェイカーのことが全員に共有されたシーンにて、物凄い風評被害を受けたフォンを見たフィリアがそんな感想を口にしていた。心外であると抗議したフォンだったが、フィリアに至極真っ当なものだと逆に肯定され、ショックを受けていた。
「でも、フォンの偽物というか、フォンが悪くないのに、悪者みたいな感じで言われるのは、やっぱり嫌だな」
「全くもって同感じゃ。腸が煮えくり返るとはこういうことなのじゃろうな」
「二人はこうお怒りだけど、フォンはあんまり怒ってなかったみたいだね…」
「うーん…この時は怒りよりも驚きの方が大きかったし、それにもしもそいつが他のプレイヤーに危害を加える可能性があるのなら、どっちかというと止めないといけないっていう気持ちがあったから、怒りっていうのはそこまで湧いてなかったな」
ユウキとカナデがそれぞれ怒りを示す中、当事者であるフォンがあまり怒っていなかったことが気になったフィリアがそんな問いを投げかける。すると、フォンは当時の感想を告げ、どっちかというと苦笑していた。
(やっぱり、フォンって自分に対する沸点が本当に高いというか、あんまり怒んないよね。良いことなんだか、悪いことなんだか…だから、キレた時が怖いんだろうけど)
そんなことをフィリアが思っているとは知らずに、プレイバックは次のシーンへと移る。
『フォンとフィリア…再会とすれ違い』
「「フォン、最低」」
「いや、この時はもうその言葉の通りでしかないです」
再会とその後の話し合いのシーンを見終わり、ユウキとカナデから出た一言に、フォンはただ受け入れることしかできなかった。
「ま、まぁまぁ…フォンも私のことを最大限に思ってのことだったんだし…私も気遣い過ぎて、身を思いっきり引いちゃったのもあったから…どっちもどっちって感じだったから」
「フィリア、一発と言わず数十発は引っ叩いてもいいと思うよ?それぐらい、せ…正妻であるボクから見てても、あれはないと思ったし」
当時のフォンの心情も知り、自分にも落ち度があったと告げるフィリアだが、そうでなくとも、フォンの考え方はNGだとユウキが制裁を加えてよいと促す(ちなみに、正妻のワードが言い鳴れておらず、恥ずかしさも混じって言い淀んだのは余談だ)。
「…そうだな。フィリアには俺を殴る権利がある。だから、俺を気にせずに引っ叩くぐらい、全然「本当?なら、遠慮なく」…えっ?」
…パン!パン!パァン!!
「いや、すっきりした!」
「しょ、しょうですか(そ、そうですか)」
(やっぱりイラっとはしてたんだ)
(やはり苛ついておったのじゃな)
華麗なビンタ3連発(最後の右手の一撃には一段と力が籠っていたようだ)により、フォンの両頬に綺麗な紅葉が浮かんだ一方で、フィリアがとてもいい笑顔を浮かべていた。そして、それを見たユウキとカナデは苦笑する以外になかった。
「でも、カナデがあんなことを言うなんて、ちょっと以外だったよね?」
「そうか?まぁ、わしもフィリアと少し立場が似ておったからのう。見ておれんかったというのも大きいかったかもしれんのう」
「…カナデ…ありがとう」
場面は、フォンの背中を蹴とばすカナデのシーンになり、意外な一面があったなと言うユウキに対し、カナデが少し気恥ずかしそうに返し、それを聞いたフィリアがお礼を告げる。
そんなヒロインズの絆に、何とも言えない立場であるフォンが黙って気まずくなっているところで、シーンは次の場面へと移った。
『フェイカーとの激突、レゾナンス発動!』
「レゾナンス…これで、ボクたち3人ともフォンと繋がったわけだね」
「ユウキさん、お願いだからもう少し言葉を選ぶか足してくれ!変な意味に聞こえるから?!」
幻想剣の上位コピーユニークスキルである神裁剣を使うフェイカーとの激闘…その最中、レゾナンスを発動させ、圧倒的なコンビネーションで巻き返したフォンとフィリアの活躍に、言葉足らずのユウキの感想が告げられ、咄嗟にフォンが突っ込んだ!
「じゃが、見事な連携じゃな。レゾナンスで全くのレスなしによる連撃…あそこまで息を併せて連撃を加えるのは見ていて圧倒されるの。わしではちょっと真似できぬぞ」
「そうだ、それでフォンに聞きたいことがあったんだ!ボクとフィリアとだと、どっちの方が連携しやいの?」
「そうだな…正直に言うと場合によるんだよな」
一定程度の体術は使えるといっても、自身のビルドや戦闘スタイルの都合上、どうしても近接での連携ではフィリアやユウキと比べると劣るカナデがそんな感想を告げる一方で、ユウキが気にしていたことを訪ね、腕を組んで唸ったフォンがその答えを口にした。
「ユウキと連携する時は俺がフォローに回る形で動くから、ユウキがどういう動きをするか、どのタイミングで攻撃を合わせればいいかを考える感じだから、ちょっとした無茶な動きでもユウキならこなしてくれると信じて動くんだよ。だから、オールマイティな動きをすることが多いかな。
一方で、フィリアとの連携は攻撃だけに集中できるっていうのかな…俺がフォローしていほしい時に動いてくれるから、俺が逆に無茶な動きができるんだよな。
だから、二人それぞれで俺の立場が丸っきり逆転するんだよ…もっとも、これはフィリアがサポートに向いてるからっていうのも大きいんだろうな。俺もその辺りは得意な方かと思うけど、フィリアはそれ以上だろうな…全体を見渡して、どこに自分が動けばいいかがすぐに分かる。トレジャーハンターとして、トラップや仕掛けを注意する観察眼からくるものだろうな」
「そ、そんな…大層なものじゃないよ!フォンみたいにかっこよく動けないし」
「謙遜するほどじゃないと思うけどな…それで、俺は何度も助けてもらってるわけだし」
「…ということは、フォンとフィリアは戦い方が似てるってこと?」
「似てるっていうよりは、動き方が近いだろうな。もっとも、俺は前に出ることが多いのに対し、フィリアは隙を突いての一撃離脱型だから、そこら辺の違いが大きいから、イメージが重なりにくいのかもな」
フィリアの活躍やその動きの良さを分析したところで、話はフェイカーが使っていた神裁剣に移った。
「神裁剣…特殊能力もチートだけど、ソードスキルも幻想剣全てを統廃合したかのような性能だったよね」
「けど、相手のステータスやソードスキル頼り部分なところもあるからな。正体分かっていれば、対策なんていくらでも立てられるんだよな」
「そうなのか?15秒ごとにHP全快など、かなり面倒そうなスキルじゃが…」
「いや、あくまでHP全快だから、首を撥ねたら一発デスのALOだとあんまり意味ないんだよな。それに状態異常みたいな搦手に滅法弱いからな、そこら辺の防具やアクセサリーでフォローしないと駄目だな。あとは、俺とフィリアみたいに、ソードスキル一切なしで攻められたり、あるいは多人数で挑まれると、上手いこと立ち回らないと詰むな」
戦った時は性能が把握し切れていなかったこともあり苦戦していたが、こうして第三者目線から見ると、攻略の立て方はいくらでもあるとばかりに告げるフォンが、ユウキとカナデの感想に応えた
「さてさて、ではここで裏話です。この神裁剣の命名についてです。この名称…何か見覚えはありませんか?」
「……あー、もしかしてそういうことか」
「………なるほど、そういうことか」
そんな中、『裏話』と書かれた黒いファイルを取り出したフィリアが告げた言葉に、真っ先に反応したのはフォンだった。遅れて気付いたカナデの隣で、ユウキだけが答えが分からず、頭を捻っていた。
「神聖剣…ヒースクリフ、いや、茅場が使っていたGM専用のユニークスキルから取っていたのか。何が神の裁きの剣だ…名前までパクッてんじゃんねぇか」
辛辣な感想を口にしたフォンの言葉に、ユウキもようやく答えに気付き、そのまま苦笑いを浮かべていた。そんなフォンを見て、カナデとフィリアも似たような感情を抱いている中、フィリアが裏話のファイルを片手に説明していく。
「読者の皆様はもうお分かりのように、本作で以降のお話にもあの男が使っていたアバター名と同じ人物が暗躍してきます。そんな中、登場させた新しいユニークスキルということで、この人物が茅場明彦を超えられていないことを、ある意味で証明するための命名としてのセレクトでした。
フェイカー…本編だとオベイロンっていうアバター名だったよね?フォンとも因縁があるんだっけ?」
「俺がというより、キリトの方が因縁としては根深かいな。俺はどっちかというと、操られていたから、被害者に近いしな。まぁ、当時のことは今、思い返しても腹が立つけどな」
「それにしても…渡り人って、フォンのことを呼んでいたんだよね?それって…」
「ほぼ間違いなく、お主が並行世界から来たことを知っておるのじゃろうな。それに、あやつの傍におったマキナという人物…あやつのことも気になるのう」
「まぁ、その辺りの話はネタバレになるから…今後の展開に期待、ってところだな」
説明のまま、少しだけ本編の考察へと入る一同…幻想剣の謎が明かされた一方で、新たなる謎が出てきた中、ネタバレ防止の観点からフォンが話を打ち止め、プレイバックは次の画面へと移るのだった。
『思い重なり、そして…』
「「この女誑し」」
「ぐはぁぁ?!」
「あはは…これはしょうがないね」
フェイカーの騒動を終え、フォンとフィリアの二人っきり(ユウキとカナデがこっそり盗み見)で、互いの気持ちを告げ終えた場面。我慢して映像を見ていたユウキとカナデから、容赦のない一言が、フォンのメンタルを抉った。
ショックを受ける隣のフォンを見て、流石のフィリアもフォローし切れず、苦笑していた。
「でも、そういうフォンを好きになっちゃたんだから、仕方ないか。フィリアもいい人だしね」
「むしろ、フォンの被害者じゃからのう。ちゃんと責任は取ってもらわねば、フィリアも困るじゃろう」
「…ま、まぁ、私としては嬉しいけど。お父さんに説明するのが大変そうなだよね」
「そこは俺の責任だからな。任せてくれ…例え、何発殴られようとも、納得してもらうまで話すから」
(でも、フォンの場合、容赦なく論破しそうで怖いんだよね)
(あやつ、微妙に天然で容赦ないところあるからのう)
ユウキやカナデの場合と違い、フィリアの家族への顔合わせや説明は避けられないと…既に覚悟を決めていたフォンが、目にやる気の炎を灯し、意気込んでいた。
もっとも、どちらかといえば、フォンよりも家族との面談の時に何か起こりそうではと危惧するユウキとカナデだったりする。
「でも、なんというか…フォンが並行世界からやってきた事実を告げられた時には…流石に気を失いそうだったよ。まだ宇宙人とか未来人って言われた方が信じられたもん」
「いや、驚かせたのは悪かったけど…フィリアの中で俺ってどんなイメージを持たれてんだ」
「…(スッ)」
「おい、なんで目を逸らしたフィリア。あと、ゲストの二人…なに、納得したような表情で頷いてだよ」
「フォン、偶には自分の行動を振り返った方がいいと思うよ?」
「解せぬ」
とんでもない評価をされていることに抗議の声を上げるフォンだったが、目を逸らしたフィリアだけでなく、ユウキとカナデまでもが何故か納得したような表情で頷いていたことに、思わずジト目となっていた。
そんな態度のフォンに、当然だと3人を代表して声を上げたユウキの言葉に、不満げに口を尖らせるのだった。
「でも、やっぱり嬉しかったよね。フォンが自分の秘密を打ち明けてくれて…あんな大事なことを教えてくれる程に、私のことを信じてくれてるんだって」
「あー、それはちょっと分かる!フォンって秘密主義だから、逆に…なんていうのか、ギャップって言うのかな、そういうことを教えてくれるってことは、ボクたちにだけ教えてくれるだって、嬉しくなるよね」
「特にこやつの場合、背負っている秘密が重いか大きすぎるかのどっちからじゃからな。それを告げられたとなると、自然とそうおもってしまうのう」
「…い、いきなりなんだよ。そんな評価をして」
「あっ、フォン。別に褒めてるわけじゃないからね?」
「お主は人に隠し事をするのは程ほどにしとくようにのう」
「掌返しが酷い?!」
告白の前…フィリアへとフォンが自身の秘密を語ったところに、ヒロインズがどこか嬉しそうに思ったことを共感しあっているのを見て、少し顔を赤くするフォン。だが、調子に乗るなと言わんばかりのユウキとカナデのツッコミに、思わず叫ぶのだった。
『燃え尽きろ、大運動会編!』
「あー、完全オリジナルストーリーの奴な…誰かタイムマシン作ってくれないかな、マジで」
ダイジェスト版の運動会におけるプレイバックの映像を見終わったところで、フォンが頭を抱えていた。その理由はもちろん…
「あれは伝説だったよね。アスナと共に、帰還者学校の生ける伝説となったもんね」
「ユージオやアリスと共に見ておったが…お主、本当にユウキが絡むと暴走するのう…」
「止めてくれ?!今、思い出しても本当に恥ずいんだから!?」
フィリアとカナデからジト目交じりの苦言を呈され、フォンは顔を真っ赤にしていた。一方で、もう片方の当事者はというと…
「お姫様だっこ…こうやって改めて見ると、ちょっといい思い出だよね」
「あっ、駄目だこりゃ。された側がちょっと毒されてる」
恥ずかしさが一周回って、嬉しさに還元されたらしくユウキは満更でもない笑みを浮かべていた。そんなユウキを見て、フィリアはツッコミを放棄した…決して羨ましいとか思ったりはしていない。
「でも、お姫様だっこか。確かにちょっと憧れるよね」
「今、思えば、ユウキにぐらいしかやっておらぬのではないか?」
「…いや、別にやってほしいというくらいなら、全然やるけど」
「「………またどっかの機会で」」
ちょっと考えてから、目を逸らしたフィリアとカナデの反応に、おいおいと思わず心の中でフォンが突っ込みながら、プレイバックのコーナーは終了したのだった。
夢幻の戦鬼・トリビア
「この作品では、主要キャラの皆さんに、作者独自の短縮した二つ名が設定されています。例えば、パパですと黒の剣士から『黒剣』、フォンさんは夢幻の戦鬼から『戦鬼』といった感じで、各話のサブタイに用いられていたりします。ちなみに、ママは『閃光』、ユウキさんは『絶剣』や『紫花』、カナデさんは『賢者』、フィリアさんは『探索者』、といった感じで設定されていて、これからも増えていくかもしれないです。
ちなみに私は『黒閃の娘』という二つもあったりします。パパやママの二つ名から一文字ずつもらえて、すごい気に入ってます!
以上、夢幻の戦鬼・トリビアでした」
「では、最後のコーナー『今だから語れる夢幻の戦鬼小話』よ」
「このコーナーでは、前編に引き続き、これまで中々話題として出せれなかったこの作品の裏設定や情報を解説していくコーナーだ。ということで、早速作者から預かってきた裏話のファイルを基に話していこうと思う」
最後のコーナーということで、フィリアの進行に合わせ、フォンがさくっと解説を進めていく。疲れているのか、早めに終わらせたいのだろうか?そして、まず出てきた話題は、
『実はプロット段階では、WoU編におけるフォンの立ち位置は全然違っていた』
「あれ、この話ってWoU編でちょっとやらなかった?」
「あれは、映現世の剣の話であって、俺の立ち位置というのはちょっと違うかな。えっと、この裏話によると、俺は終盤まで存在そのものが消えてしまう…という設定だったらしい」
「「「…えっ?」」」
似たような話をした記憶があり、首を傾げたユウキに対し、苦笑いしながらフォンがその内容を口にした。だが、あまりにも意外な内容にも思わず3人が絶句した。
「映現世の剣を限界の限界以上に使用したことで、ありとあらゆることをなかったことにした結果、代償として自分の存在自体もUW上の記録全てから消えてしまい、消息不明となる…一方で、外部からユウキたちが来たことで、カーディナルやユージオたちの記憶が少しずつ戻り、その結果、終盤で復活…という流れも本来は想定していたらしい」
「…いや、えっ…フォン、ゴメン…本気で笑えないから」
「もしもそんなことになっておったら、わし、確実に後を追うぞ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「いや、もしもの話だから?!プロット段階の話だから!?ユウキ、泣かなくて大丈夫だから!俺、ここにいるから!?」
ガチトーンのフィリアに、ハイライトが消えかかっているカナデの反応に加え、無言のまま涙を流し始めたユウキという、ガチ反応の前に流石のフォンも慌てる。愛が重いというか、愛されているというか…なんとも言えないところである。
「…まぁ、あの時の俺の心境的には…そうなってもおかしくなかったのかもな。ここにいちゃいけないって勝手に思い込んでいたところもあったから、消えてしまいたい…というのは、ある意味で俺の勝手な願望を反映したという意味では正しいのかもな」
「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」
「今はそんなこと思ってないし…それに、みんなが…3人がいるからな。もうそんな勝手なことを思わないし、いなくなったりもしないから…安心してくれ」
「「「信用ない」」」
「あれぇ?!そこはホッとするところじゃないのか!?」
設定的には納得しつつも、ユウキたちに不安を与えまいと弁解したフォンだったが、ヒロインたちから返ってきた反応に、思わず変な声を上げるのだった。
『フォンの年齢設定は、結構後からできたものだったりする』
「へぇ~、ちょっと意外。てっきり最初からそうなのかと思っていた」
「当初はアスナと同い年くらいを想定していたらしいが、WoU編で俺の過去をやることになり、その時に改めて設定を練り直すにあたって設定されたらしい。まぁ、俺の過去にスポットがあたること自体が珍しかったもんな」
「剣道は昔からやっていたっていう設定はあるけど、大会とかに出なくなったりした理由も、あんまり明かされてなかったもんね」
「まぁ、こやつはこやつで、進んで自分の過去を話そうとせんからのう。事情が事情とはいえ、そこも影響しておったのじゃろう」
実際に誕生日の話など(ユウキが本格的にヒロインとなったのが、少し遅かったのもあり)も、アインクラッドからファントム・バレットでは行っていなかったため、そこら辺の話が有耶無耶になっていたのも大きかったのである(そもそも、ここまで話が長くなるなんて、作者が予想していなかったのもあるが)。
「そういえば…私たちの中じゃ、大人のエギルさんやクラインさんを除けば、フォンが一番上になるんだっけ?」
「いや、シグさんが一番上だな。俺の一個上だから。その下に、アスナとリズ、そして、フィリアという順だった筈。あっ、でも、一番上はカナデに「フォン」…っ?!」
ふと、気になったことを疑問として口にしたフィリアの問いに、フォンが記憶を辿りながら、答えていく。登場回数がそこまで多くないことで忘れがちだが、学生組の中では、実はシグが一番年上だったりする。
そこまで言ったところで、そういえばと思い、カナデの名を口にしたフォンだったが、物凄い冷たい声がそれを遮った。その声の主へを目線を向けると…
「わしが…何歳じゃと言いたいのじゃ…?」
「……え、えっと…いや、UWでは最も長く生きてるが、現実世界換算だと一番下になるんだなって言おうとしただけだよ、うん!他意はない!」
おふらいん名物「目が笑ってない笑顔」を浮かべるカナデの姿がそこにはあった。最終宣告かのように、射殺す視線にフォンは咄嗟に上手いことを言い逃げした。結果は…
「…(ニコッ)」
「…!」
「ギルティじゃ!!」
「ぐはぁ?!」
司会席にゆっくりと近づき、笑みを浮かべたカナデ…それに一瞬ホッとしたフォンだったが、一転してブちぎれたカナデの(杖による)アッパーカットがクリーンヒットし、その身体が宙を舞う。
「ふん、人の年齢に容易く踏み込みよって…お主でなかったら、ボコボコにしてやっておるところじゃ」
(フォンじゃなかったら、もっと酷い目に遭うんだ)
スタジオの裏にまで吹っ飛んでいったフォン…それを見送り、まだ怒りが収まっていないかのように自身の立ち位置へと戻るカナデを見ながら、フィリアはそんなことを思っていた。
ちなみに、本編ではクラインが見事なまでにやらかし、カナデにボコボコにされる話があるのだが…それはまたどこかの機会で語るとしよう。
フォンが(ある意味では)一時退場してしまったので、本コーナーは終了となるのだった。
「いてて、さっきのはマジで聞いた…」
「さて、フォンも戻ってきたところで、この番組もそろそろ終わりのお時間を迎えます。ユウキ、カナデ、どうだったかな?」
「フィリア、初の司会として、凄く上手かったと思う!これからもやる?」
「そうじゃのう、わしも前回初めてやったが、こういうのはツッコミ上手…コホン、進行が上手なものがやった方がいいじゃろうし、わしも異論はない」
「二人ともさり気なく、私に押し付けないで!?あと、カナデ、それ誤魔化せてないから!?」
「ほら、こんな風にツッコんでくれるし」
「もう?!」
番組の感想を聞いたつもりが、自身の評価の話と共に司会を押し付けようとするユウキとカナデに、フィリアから痛烈なツッコミが炸裂する。だから、そういうところで押し付けられるのだ。
「俺としては、今回も酷い目に遭ったから、できたら、これっきりにしたいんだけど…ロスト・ソング編以降もやるんだよな?」
『需要があるので』
「なんて身も蓋もない!?」
『あと、ロスト・ソング編の奴をやらなかったら、セブ…歌姫がうるさいので』
「メタ発言で返すな?!あと、言い直せてないぞ、それ!?」
無駄だと分かりつつ、スタッフに続行の有無を尋ねるフォンだったが、返ってきたのは予想通りの反応のコメントが書かれたカンペだった。
ロスト・ソング編の司会が彼女になる可能性が高いだけに、既に胃が痛くなるのを感じるフォンは思わず、
「…フィリア、俺の代打で次回解説やってくれないか?」
「フォンまで?!いや、主人公のあなたが出ないで、どうするのよ!?」
駄目元でそんなお願いをするフォンに、またしてもフィリアのツッコミが炸裂するのだった。そういうところが原因である。
「ほら、ふざけてないで…もう終わりにするよ!みなさん、これからも本作『夢幻の戦鬼』をよろしくお願い致します!せーの…」
「「「「またね~!」」」」
『この番組は、ALO界ナンバーワンの品質である武具を生産する工匠妖精族の提供でお送り致しました』
そんなエンドテロップと共に、番組は終了したのだった。
○元ネタ解説
●「万死に値するわ!」
元ネタ:機動戦士ガンダムOO ティエリア・アーデ
作品知らなくても、聞いたことある人もいるのでは?ちなみに、中の人はファントム・バレット編で、ゼクシードの声をやられてました。
●「この、分からず屋がぁ!」
元ネタ:機動戦士ガンダムUC バナージ・リンクス
OVA3巻より。元の台詞は「この分からずやぁぁぁ!!」。
●「いや、お前が言うな」
類義語:ブーメラン発言、マッチポンプ、万丈構文。
●「ち、違う!?誤解だぁ!」
日頃の行いのせいとも言う。
●「フィリアには俺を殴る権利がある」
元ネタ:機動戦士ガンダムSEED キラ・ヤマト
元台詞は「あなたには僕を撃つ権利がある」。こちらでは、フィリアさんの容赦ない仕返しが炸裂しましたが。ちなみに、中の人は赤眼のザザの声をやられてます。
●「解せぬ」
元ネタ:ニコ動の『ローズ&柴犬りょう』、が発祥とされているそうです。
長かった(?)おふらいんも終わり、ようやく更新再開といきたいところですが、今後の更新スケジュールについてお知らせします!
まず、本編は1月はお休みさせて頂きます。
代わりに…ちょっと更新ストップしている外伝をSAO編完結まで更新してまいります!また、同時にW×ごじょじょの小説も更新しないとマズいと思っているので、そちらに集中させて頂ければと思います。
お休みの間も、多くの読者様がこの作品を見てくれていて、更新していないにも関わらず、お気に入りが増えていたのは大変有難かったです。
2025年はしっかりと更新していきますので、今年も本作や別作品を何卒宜しくお願い致します!
それでは、また!
キャラエピ第2段!どのキャラから見たいですか?(時系列の問題で多少前後することがあります)
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