ソードアート・オンライン~夢幻の戦鬼~   作:wing//

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前回のフォンの言葉で、少し吹っ切れたキリトとBoB本選に挑むシーンになります。

おやっ?というシーンがあると思いますが、気にしないでください・・・フラグですから。

それでは、どうぞ!

あと、オリ主がちょっと苦労する回です(笑)


第5話 「BoB本選開始」

再び、GGOの世界へと降り立った俺達。

だが、昨日とは違い、GGOの世界はかなりにぎわっていた。それもそのはず・・・ありとあらゆるところに、BoBの宣伝広告が流れているのだ・・・と思ったのだが、何故か周りから物凄い視線を感じた。

 

「おい、あれ、キリトちゃんじゃないか!?」

「ああ!光剣でバッサバッサ切り裂いていく、GGOの花形剣士!」

「うぉぉぉぉ・・・キリトちゃん、その光剣で俺の・・・いや、やっぱりいい!!」

「それに隣にいるのは、ダークホースの一人、盾殺しのフォンだぞ!?」

 

・・・8割方、キリトのせいで大注目を浴びてるようだ・・・というか、さっき危ない発言してる奴いなかったか!?というか、盾殺しって、なんだ!?もしかして、昨日の決勝戦で相手に盾投げたからか!?

 

「さ、さっさと行くか、フォン」

「・・・そうしよう」

キリトの提案に俺は力なく頷くことで同意するのだった。

 

 

 

そんなこんなで噂の声を(無理やり)聞き流し、俺たちは総督府に到着した。すると、そこには見覚えある水色の髪の少女、シノンがいた。

 

「よ、シノン」「こんにちは、シノン」

「・・・こんにちわ、キリト、フォン」

 

そのまま彼女は登録端末の方に行ってしまった。あっさりした対応に俺もキリトも慌てて彼女を追った。

 

「あ、あの、シノン・・・?」

「・・・・・」

 

端末を操作するシノンはキリトを無視した。

 

「シノンさん?」

「・・・・・・・」

「シノン姐さん・・・?」

「・・・・・・・・・・・・」

「シノンのあね・・」

「止めて・・・!聞こえてるわよ・・・あいさつはさっき済んだでしょう?まだ何か用があるの!?」

「い、いやぁ・・・本選までまだ時間があるし・・・」

「・・・もし良かったら、情報交換しないか?シノンだって、俺はともかく、こいつが途中で負けたりしたら嫌だろう?」

「・・・・・・・・・・・・・はぁ・・・まぁ、いいわ」

「悪いな・・・」

 

どうやら承諾を得られたようだ。

 

「どうせ、私から情報をレクチャーするだけなんだろうけど」

「「あ、アハハ・・・」」

その指摘に思わず、俺とキリトは苦笑いするしかなかったのだった。

 

 

 

「「おおう・・・!」」

 

本選のエントリーを終え、シノンとともにエレベーターで会場ですると、そこにはプレイヤーで盛り上がりを見せていた。中には、本選に出場するらしいプレイヤーにインタビューをしたり、仲間と話しているカウボーイのプレイヤーがいた。

 

「凄いな」

「まるで、一種の祭りだな」

「そうね・・・本選はいつもこんな感じよ」

 

キリトと俺の言葉にシノンは同意した。そのまま空いている席を探し、会場を歩き続けていると・・・

 

「おい、キリトちゃんだぞ!」

「フォトンソードで敵を滅多切りだってな・・・」

「クールビューティーなバーサーカーか・・・いいね!」

「いやいや、やっぱりシノンちゃんでしょ!」

「俺もシノンちゃんに撃たれたい派!」

「・・・二人の近くにいる男は、誰だ?」

 

・・・聞こえない、聞こえない・・・そんなことを思いながら、歩いていると、よそ見をしているキリトが男性プレイヤーにぶつかった。が、逆に謝られ、道を譲られていた。その光景に、思わず苦笑してしまった、のだが・・・

 

「君たち・・・・・・・・・・」

 

そう言って、振り返ったキリトは・・・

 

「応援してね!!!」

「・・・なにやってんじゃああああああああ!!!!!!」

 

すかさず、小型シールドでキリトを地面にたたきつけた。

 

「お、俺のキリトちゃんが!?」

「あいつ、殺す!!!」

「ま、待て・・・あいつ、盾殺しだ!?」

「今回のダークホース、盾殺しのフォン!?」

 

うるさい!さっきまでもモブ扱いしてたくせに!?俺の存在は盾だけか!!!

 

「・・・・・大変ね、あんたも」

シノンが俺に慰めの視線を送っていた。

 

 

 

なんやかんで、BoB本選まで残り20分

「それじゃあ、本選のバトルロイヤルっていうのは、同じマップに30人がランダムに配置されて、出くわしたら戦って、最後の一人が優勝・・・ってことでいいだよな」

「・・・あんた、運営が参加者に送ってきたメールを読んでないの・・・?」

「ア、 アハハ・・・」

 

呆れ顔のシノンにキリトは苦笑いしていた。まぁ、俺もキリトもアドレスどころか、住所さえ登録しなかったからな・・・メール届いてないんだよな・・・俺は澄ました顔でそれを悟られないようにポーカーフェイスを気取った。

 

「本選はキリトが言った通りよ。開始位置はランダムで、最低でも千メートルは離れてるから、いきなりの遭遇戦はありえないわ。本戦のマップは直径10キロの円形。山、森、砂漠、川ありの複合マップだから、装備・ステータス次第で戦況は大きく変わるわ」

「ちょ、ちょっと待て・・・10キロ!?」

「・・・・広いな」

 

想像してみたが・・・バカでかいステージとしか、思い浮かばなかった。思った以上に大変そうだ。

 

「そんなに広いと、遭遇できないんじゃないか?下手すれば、大会終了まで、誰とも出くわさないとか・・・?」

「その心配はないわ。参加者には、〈サテライト・スキャン〉っていう端末が自動配布されるの?」

「なんだ、それ?」

「15分に1回、上空を監視衛星が通過する設定なのよ。その時、全員の端末に、全プレイヤーの位置情報が表示されるの。マップの点をタップすれば、名前まで表示されるおまけつきよ」

「・・・・・つまり、15分ごとに場所を変えなければ、敵に狙われるって、ことか」

「そういうこと」

 

キリトとシノンのやり取りを聞き、ルールを頭に叩き込んだ。衛星での位置情報か・・・

いわゆるGPSみたいなものか・・・携帯と同じ感覚で考えればいいか。

 

「でも、そんなルールならスナイパーは不利じゃないか?茂みに隠れて、ずっとライフルを構えてるんだろう?」

「そうでもないわよ。1発撃って、一人殺して、1キロ移動するのに15分もあれば、十分すぎるわ・・・今度こそ、あんたの眉間に、ヘカートの弾丸を撃ち込んであげるわ」

「・・・お、お手柔らかに」

「つまり、試合が始まったら、とにかく敵を見つけ倒し、15分ごとの位置情報を頼りに、誰が生き残っているのかを確認しながら、戦い続ける・・・ってことか」

「・・・その通りよ。もうレクチャーは十分ね」

 

俺のまとめにシノンは満足げに頷き、席を立とうとした。

 

「わ、悪い・・・もう一ついいか?」

「・・・なによ?」

 

それを慌てて、キリトが呼び止める。呼び止められたシノンは不機嫌そうに座り直した。

 

「・・・今日の本選・・・シノンが知らないプレイヤーは何人いる?」

「・・・はぁ!?どういう意味、それ?」

「頼む・・・!大事なことなんだ・・・」

「・・・・・まぁ、いいけど・・・そうね、ほとんどの人は顔見知りね。会ったことない人もいるけど、その人たちはGGOじゃ有名な人たちだし・・・知らないのは4人ね・・・

『銃士X』、『ペイルライダー』『コボルト』・・・それにこれは『Sterben』・・・

『スティーブン』かな?」

「・・・そうか。助かった、ありがとう」

「う、うん・・・」

 

この中に死銃がいる・・・そう考えると、思わず語彙が強くなってしまい、シノンを威圧してしまったようだ。

 

「・・・悪い、変なこと聞いたな」

「・・・う、ううん・・・ねぇ、もしかして、昨日の予選でキリトの様子がおかしくなったのと、何か関係あるの?」

 

シノンは俺とキリトの態度の変化に、昨日の予選のことについて、尋ねてきた。俺とキリトは目配せし、シノンに説明することにした。

 

「・・・・・ああ、そうだ・・・」

「・・・・昨日、俺たちは、昔一緒にVRMMOをやってた奴に声を掛けられたんだ。さっきの奴の誰かが、おそらく奴だ」

「・・・友達、だったの?」

「違う・・・敵だ。俺たちと奴は確かに殺し合ったことがあるはずなんだ。なのに、俺は奴の名前すら思い出せない・・・」

「っ・・・殺し合った?敵?・・・それって、考え方の違いで対立したってこと・・・?」

 

キリトの言葉にシノンは思わず、そう聞き返していた。

 

「違う・・・本当の命をかけた殺し合いだ・・・奴は・・・奴らは絶対に許させないことをしたんだ・・・」

「・・・絶対に分かり合えない・・・話し合いでの解決なんて、不可能だった・・・」

「・・・俺がやったこと自体に後悔はない。けど、俺はそれを忘れて、追うべき責任から目を背けようとした・・・だけど・・・もう逃げることは終わりにしないといけないんだ」

 

キリトはシノンを見据え、言葉を続けた。その目にもう迷いはなかった。

 

「・・・あっ、変なこと言って悪い。忘れてくれ・・・」

「・・・『それでも君は引き金を引けるか・・・?』」

「っ・・・!?」

 

その言葉にキリトが息を呑んだ。

 

「キリト、フォン・・・もしかして、あなたたち・・・」

「・・・・・ああ」

「そうだ、俺たちは俗に言うSAO生還者だ・・・そして、あいつも・・・」

「・・・・・ゴメン・・・」

「気にするな・・・」

 

シノンの謝罪に俺はそう返した。キリトも首を振って、意思を示した。

 

「・・・・・キリト」

「・・・うん?・・・シノン?」

 

何かを決意したシノンの様子に、俺とキリトは思わず首を傾げてしまった。

 

「・・・そろそろ行きましょう・・・装備の確認や精神集中の時間も必要だしね」

「あ、ああ」「そうだな」

その言葉に頷き、俺たちは移動を開始した。

 

 

 

エレベーターで本選の会場控室に向かう中

俺達3人は何も喋らず、沈黙が場を支配していた。その沈黙を破ったのはシノンだった。

 

「あなたたちにも、事情があるのは理解したわ・・・けど・・・」

 

そう言って、シノンはキリトの背中に手銃を構え、続けた。

 

「私との約束は別の話よ。昨日の決勝戦の借りは必ず返すわ・・・フォンも・・・あなたたちは私が必ず倒す・・・だから、私以外のやつらに打たれたら、許さないからね」

「・・・分かった。君と出会うまで、必ず生き残る」

「・・・その約束・・・必ず守るよ」

「・・・・・ありがとう」

 

その時、エレベーターが到着し、扉が開いた。シノンはそのまま無言で行ってしまった。

俺達も選手の待合室に移動した。残り5分のアナウンスが聞こえ、俺たちは最終確認を行っていた。

 

「とりあえず、最初の目的は合流だな」

「ああ・・・最初のスキャンの時にお互いの位置を確認して、そこからってとこだな」

 

俺の言葉にキリトは頷きながら、答えた。

 

「・・・フォン・・・誰が死銃だと思う?」

「・・・・・正直さっぱりだな・・・名前で判断するのなら、ペイルライダーか・・・」

「ペイルライダー・・・?」

「ああ。確か、ヨハネの黙示録で出てくる死を司る騎士、だったか・・・まぁ、そんな安易な名前かという疑問もあるけどな・・・」

「・・・とりあえずは注意することに変わりはないか」

「・・・もうすぐか」

 

最終確認を終えた時には、残り時間は30秒を切っていた。

 

「フォン」

「・・・うん?」

「・・・・・途中で負けるなよ?」

「・・・ああ!また後でな」

 

キリトと拳をぶつけ合い、気合を入れ直した。必ず死銃の正体を突き止める・・・

そう決意を決め、俺たちはバトルフィールドへと転移された。




どこに行っても、苦労するオリ主(笑)
キリトもかなりの疫病神体質ですが、オリ主の場合は貧乏くじを見事な確率で次々と引き当てていく体質です。

次回更新 16日0時投稿予定

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