サブタイ的にそういう話かと思われかもですが、そういう話ではありません(どういうこと?)
少し短めですが、キリがいいので…それでは、どうぞ!
「なっっっっとくいかないぃ!?」
(…今日はまた一段と荒れてるな)
これで何回目になるか…まだ両手で数えられる回数の筈だが、2回目以降は数えるのは諦めたため、正確な数は分からない。
そんなことを頭の隅で思いつつ、俺は目の前にいる彼女の愚痴を聞きながら受け流していた。
ユウキたちには彼女と会うことはもちろん伝えている…最初の頃は物凄い目を向けられたが、今となっては少し同情の視線を向けられるようになったのは余談だ。まぁ、彼女とした話については共有しているから、当然といえば当然なのだが。
(というか、毎回毎回思うのだが…なんでこんな酔っ払いみたいな形になるんだ、こいつ。ALOにはアルコールがある酒は提供されてない筈だぞ)
エギルさんのお店とかで何度も見かけたことがあったのだが、酔っぱらいはこんな感じだったなと思わせる姿の彼女に、俺はこれまたいつもの問い掛けを投げる。
「…今度はどうしたんだ?」
「ううぅぅ…キリトの奴よぉ!あのまっくろくろすけ、またアスナとイチャイチャして!?武器の話をしていたのに、なんで惚気話に繋がるのよぉ!?」
(…あー、またあいつらの惚気に当てられたのか…)
おかわりした筈の一杯のドリンクを早急に飲み干し、再びNPCにおかわりを求める彼女から出た愚痴に、俺は思わず南無阿弥陀仏と同情した。なんとなく、アインクラッド時代の自分を見ているような気もしてきたため、なおさらだった。
…言っておくが、最初はこんな相談ではなかった。最初は、
『…みんなと仲を深めるにはどうするべきかしら?』
という些細な相談だった。彼女の性格的に(顔見知りであるアスナを除き)すぐに素直になるのは難しかったらしく、色々と事情を知っている俺に相談しに来たのがきっかけだった。
そこから俺が仲介役になったりして、アスナ以外のメンバーともかなり仲良くなり、彼女自身も少しずつ自身のことを打ち明けられるようになっていた…のだが…
『アスナの娘さんが可愛い過ぎる…!その分、キリトのことが憎く見えるのよ?!』
『あんなアスナ、見たことない!?私以外の男がアスナを幸せそうにさせられるなんて、うらやま…悔しいのよぉ!?』
『…ううぅ…なんで結婚しちゃったのよぉ、アスナぁぁ…』
と、相談内容がアスナのこと…というより、アスナの家族のことが中心となり始めたのだ。といっても、結城家のことではなく、アスナの旦那と娘のことについてがメインなのだが。
…まぁ、今回はこの前の運動会の件もあって、さらに荒れているのも大きいのだが。
「…なぁ、ミト。もうそろそろいいんじゃないのか…キリトのことを認めてやっても…」
「はぁぁ!?認めるわけないじゃない!あんな…あんなまっくろくろすけのことなんか!?」
「…さいですか(頑張れ、キリト…)」
さり気なくキリトのことを話題に出すも…逆に怒りの炎にガソリンをぶっこんでしまったようだ。
俺の言葉に更に怒りを燃やした彼女…ミトは顔を真っ赤にしていた。酔いではなく、怒りによるものだろう…と思いたい、多分。あと、キリトがまだまだ苦労しそうだなと思って心の中で合唱した。
…という感じで、俺はこれまでもミトの愚痴を聞き流していたのだ。前に一度なんで俺にそんな相談をするのかと尋ねたことがあったのだが…
『アスナに…こんなことを言えるわけないでしょう!?』
『さいですか…』
消去法だったらしい…まぁ、アスナの前では変に素直になれないミトの心情を考えれば、俺は話しやすい対象なのだろう。他のメンバーもキリトに好意を持っているメンバーばかりだし、クラインやエギルさんには話しづらいということもあるだろう。
「…もうなんでなのかな…」
「別に不思議なことじゃないだろう…アスナだって、いつかは結婚する可能性があったわけだし…」
「それは‥‥‥そうなんだけど…分かってはいるのよ、そんなことは…でも…」
「まぁ、お前がアスナのことを大事に想っていることは分かってるつもりだ。それに、嫉妬する一方で、またアスナの別の面を見られていて、嬉しいとも思っているんだろう?」
「……否定はしないわ」
ようやくミトの怒りの炎が鎮火し始めたため、俺は完全なる鎮火を図るべく、火消しの言葉を口にする。何度か相談に乗ってきたのだ…そろそろミトの対応の仕方も分かってきたところだった。
「…分かってはいるのよ。アスナが選んだ相手だし、アスナを幸せにしてくれているんだってことも…でも、頭では分かっていても、感情が割り切れないのよ。それはフォンも分かるでしょう?」
「まぁな…俺もユウキが他の男に迫られたりしたら、色々と思うところはあるしな」
「でしょ?」
しゅんとしてしまったミトに苦笑しつつ、俺もユウキ…そして、カナデやフィリアのそんな場面を見れば、もやっとしてしまうところはある。それが、今のミトの現状なのだろう。更に、アスナがキリトと一緒にいて楽しそうに…幸せそうなところを見れば、嬉しいと思う反面、怒りを覚えてしまうのだろう。まぁ、それほどまでにアスナを大事に想っているということなのだろう…ちょっと度が過ぎている感も否めないが。
「…ねぇ。恋って、そんなにいいものなの?」
「…はぁ?」
そろそろ今日もお開きかなと思っていた矢先、これまで聞かれたことがなかった質問がミトから飛んできたため、俺は変な声を出してしまった。
「あんたもユウキと結婚してるんでしょ?しかも、現実世界でも同棲しているらしいし…あんたにとって恋ってどんなものなの…?」
「どんなものって…また難しいことを聞くなよ。そうだな‥‥‥」
まさかここでそんなことを聞かれるとは思っておらず、俺はどう回答しようかと思い、考え込んでしまう。
ユウキとカナデにフィリア…紆余曲折あって3人と付き合っている状態だが、3人と俺にとっての恋とはどういったものかと言葉にしようとすると…
「…その人のことだけを考える、っていうのかな」
「……………」
目線で続けてとミトに言われたため、俺はその先を言葉にした。
「その人がどういったことをしたら喜んでくれるか、今この時はどういったことをしてるんだろうとか…こういったことを一緒にできれば楽しいなとか…やっぱり言葉にするのは難しいな」
「…でも、それって大事な友達にも思うことがあるでしょう?」
「まぁ、それはそうだが…あとは……一緒にいると、ついふんわりしちゃう、とかかな」
「ふ、ふんわり…?」
ミトの指摘に確かにと思いつつ、俺は他にはどういったことを言葉にできるかと思っている矢先に、思ったことをそのまま言ってしまったため、抽象的すぎるその表現にミトから半眼の視線を向けられてしまった。そのため、俺はもう少し詳しく話すつもりだった。
「一緒にいて自然と笑顔になるっていうか…胸がポカポカしてくるんだよ。その人のことをもっと理解したいとか、色々な気持ちを互いに分かり合いたいというか…そういうことなんだと思う」
「…そういうもんかしら…だったら、私には絶対に縁のない話ね」
「まぁ、別に無理して…というか、意識してするものかと言われると、そういうものでもないしな。まぁ、今はそれでいいんじゃないか?」
(…恋ね……例えば私とアスナが…‥‥‥うーん、やっぱりそういうのじゃないわよね)
変な話をしたせいか、少し顔が熱くなってしまい、飲み物を飲み干す。そんな俺に対し、どこかミトは冷めたような表情をしていた。まぁ、こういうのは個人によって見解が異なるものだろうし、ミトの反応も理解できるところはあった。
「(もういい時間だし…そろそろ帰るか)…もうお開きにするか?明日も学校だし、そっちもだろう?」
時間は22時前…明日も学校ということで、俺もミトもそろそろ帰って、互いのことをした後で寝ればいい時間帯である。そういうつもりでお開きを切り出したのだが、
「…ねぇ、フォン。この後、暇でしょ?もうちょっと私に付き合ってよ」
「…えっ?」
まさかの誘いに、俺は想定していた予定がガラガラと崩れる音が聞こえたような気がしたのだった。
「…付き合ってって、クエストのことかよ」
「いいでしょう?ストレス発散には…やっぱりバトルが一番よ!」
ミトの誘いは、一緒に討伐系のクエストを受けないか…というものだった。
どうやら面白そうな討伐系の話をアルゴさんから聞いたらしく、一緒に行かないかと誘ってくれたのが話の本筋だった。ミトなりの気遣いというか、親切心での誘いだったのだろう。無碍に断るのもどうかと思い、俺はユウキたちにメッセージを送ってから、こうしてミトに同行していた。
「…クエストは洞窟の前にいるNPCに声を掛けるのが条件か」
「そうそう。鼠曰く、どうやらスライム系のモンスターが相手らしいんだけど…どうも一筋縄ではないかないみたいで、どうかって言われたのよ」
「…あのアルゴさんがそういうって…あまりいい予感がしないんだよな」
ワクワクするミトに対し、俺は何か嫌な予感をしていた。アルゴさん絡みのクエストって、あんまりいい思い出がないのもあって、そう思ってしまうのは当然だった。
そんなことを話している内に、今回のクエストの舞台である洞窟が見えてきた。そして、その洞窟の先に、クエストのアイコンが表示されたNPCの老人が立っていたので、俺は声を掛けることにした。
「お爺さん、どうしたのですか?」
「…ああ、妖精様。どうかこの老いぼれの依頼を聞き入れてくれませんが?」
俺の問い掛けに、NPCは依頼を聞き入れてくれとシンプルな返答をしてきた。それにより、俺とミトの前にウィンドウが表示され、そこには『迷幻の洞窟に潜みしもの』というクエスト名が表示された。
ミトに目線を向けると、彼女も頷いて返答してくれたため、そのままクエストを受注するを選択した。それにより、NPCが言葉の続きを話し始めた。
「妖精様…この洞窟は迷幻の洞窟と呼ばれております。この洞窟に入ったものは幻に魅入られ、誰も返ってこないと言われております…私の娘もこの洞窟に誘われてしまい‥‥‥どうか娘の安否を確認してくれませんか」
「分かりました…俺たちが洞窟の中を見てきます」
どうやら洞窟の中に何かがいるらしい…ミトからさっき聞いた情報からすると、スライム系のモンスターらしいが。ともかく油断はせずに進むこととしよう。
「…よし、行くか」
「ええ!」
両手剣と大鎌のそれぞれの獲物を装備し、俺とミトは洞窟へと足を踏み入れた。だが、そこで想定外の事態が発生した。
「「…っ!?」」
足を踏み入れた瞬間、俺の視界を青白い光が覆ったのだ。それが転移の光で、足元に何かのトラップが仕掛けられていたのだと悟った時には、既に転移が完了してしまった後だった。
「っ…!ミト!…やっぱり別のところに転移させられたか…まぁ、そりゃそうだよな」
転移した先は洞窟のどこか…周囲には他のエリアに繋がっているであろう通路が複数あった。ともかく冷静になったところで、さっきまで隣にいたミトが一緒に転移されていないかと周囲を見渡すも…想像通り、ミトは近くにはいなかった。
溜息を吐きつつ、まずはミトとの合流を図るべきだと思い…俺は早速洞窟の中を進もうとした時だった。
「…あれ、フォン?」
その声に驚いた俺は振り返ると…
「…っ!しまった、転移トラップがあったのね…フォンは近くにはいないみたいね…」
一方で、ミトの方も転移させられた先で、フォンが一緒にいないことを理解し、分断させられたのだと悟った。
ひとまずはフォンとの合流をするべく動き出そうとした時だった。
「っ!?」
殺気を感じ、背中に背負っていた大鎌を手にして防御態勢を取った。その直後、黒い剣による一撃が鎌の柄に直撃した!
「っ…あんたは…!?」
襲撃者の一撃を受け止めた時、その顔を見たミトは思わず驚きのあまり口が開いてしまった。
…そこには、黒い剣…愛剣であるユナイティウォークスにて自身に斬り掛かってきていたキリトの姿があったからだった。
別名、ミトさん、アスナ大好き問題…
まぁ、ミトからすればキリトってそうだよな、と思ったのがこのお話を思いついたきっかけでした(頑張れ、キリト!)。
恋とは何ぞや…これはアスナ編でも少し話に出た、ミトにかかる話としてはありかなと思った部分もあってのお話です。
ということで、次回からは戦闘回です。
それでは、また!
見てみたいシチュエーションはどれでしょうか(誰がとは言いませんが)
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ショタ化
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メイド
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●●音痴
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歌うま合戦
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料理対決