ソードアート・オンライン~夢幻の戦鬼~   作:wing//

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GGO編 クライマックスのお話になります。
フォンVsもう一人のデス・ガン! 

デス・ガンの正体、正確無比の攻撃の謎が次々と発覚する、GGO編最長のお話になります。

是非、お楽しみ下さい!
それでは、どうぞ!

※一部、原作キャラへのアンチ・ヘイトがあります。お気を付けください。


第8話 「復讐の小鬼」

「どうだった?」

スキャンを終え、戻って来たキリトにシノンがそう問いかけた。

 

「・・・残りはおそらく7人だけど、一人スキャンに映らなかった。俺達と同じように洞窟に隠れているのかもしれない。残りは俺達、闇風、デス・ガンたち・・・」

「あと・・・7人」

「・・・大会開始から1時間と45分経過か」

「前回の大会は2時間ちょいで決着が着いたから・・・妥当な人数ね」

 

俺の言葉にシノンが補足してくれた。

 

「誰もグレネードを投げ込んでこなかったのは不思議だけど・・・」

「もしかしたら、砂漠をうろついている間にデス・ガンたちにやられたのかもな」

「・・・もしそうなら、マックスキル賞はデス・ガンのどちらかね」

 

キリトの言葉にシノンが同意した。あの狙撃銃に、謎の正確無比なグレネードの爆撃・・・確かに、普通のプレイヤーじゃ歯が立たないか。

 

「それはそうと、問題は闇風よ・・・」

「「えっ・・・?」」

「彼の端末に表示されたのは、キリト・・・あなた一人なんだから間違いなく接近してくるわ」

「・・・強いの?」「・・・強いのか?」

「前回の準優勝者!バリバリのAGI一極ビルドで、ランガンの鬼って呼ばれてるわ」

「ラ、ランガン・・・?」

「・・・ラン&ガンのことだ、キリト・・・要は走って撃って走る・・・敵に狙いを定めさせず、急接近する戦闘スタイルだ」

「・・・前回はゼクシードのレアウェポンとレア防具に競り負けたけど、

実力だけなら闇風の方が上だって声も多いわ」

(・・・それって、日本のGGOで最強プレイヤーってことじゃないのか・・・)

 

思わずキリトと顔を見合わせた。

デス・ガンだけでなく、そんなトッププレイヤーまで狙ってくるとは・・・

 

「・・・あのさ、あんたたちの推測が正しければ、今、デス・ガンが殺せるのは私だけってことよね?」

「あ、ああ・・・」

「なら、この際、彼には悪いけど・・・事情を説明して、彼にも囮になってもらうのはどう?まぁ、私も同じことしてるけど・・・」

「強いな、シノンは・・・」

「・・・えっ?・・・別に、ただ考えないようにしてるだけ。怖いことから目を瞑るのは昔から得意だから」

「「ハハハ・・・」」

 

その言葉に俺とキリトは笑うしかなかった。

 

「ともかく、今の作戦、どう?」

「ああ、基本的には俺も賛成なんだが・・・ただ一つだけ気になってることがあって・・・」

「・・・スキャンに映らないもう1人の生き残りか?」

「ああ。さっきのスキャンの時、人数を確認したら、1人足りなかったんだ・・・俺は洞窟に隠れていたからと思ってたんだけど・・・」

「・・・もしかして、デス・ガンがその生き残りもやったってこと・・・?でも、それは!?」

「ああ、おかしなことになる・・・現実世界の共犯者はシノンの現実世界に・・・待てよ?」

「・・・ああ。俺もそこが変だと思って、考えてみたんだ」

 

シノンの言葉に応えようとしたところで、違和感を覚えた。それはどうやらキリトも同じだったらしい。

 

「・・・ペイルライダーを撃ってから、奴がシノンを撃とうとするまで、30分しか経ってなかった。つまり、シノンとペイルライダーの家はその30分で移動できる距離だったってことになる・・・」

「・・・もし、現実世界の共犯者がその生き残りも手をかけたのなら、3人の家が近距離にあったってことだよな・・・・・いくらなんでも都合がよすぎる・・・」

「で、でも・・・そうとしか考えられないでしょ!?」

 

シノンの言葉に、俺は最悪の考えが浮かんだ。

 

「・・・・・共犯者・・・」

「ああ・・・このBoBのように、現実世界でも複数の共犯者がいれば、一人がシノンの家で待機しているとしても、別の共犯者が他のプレイヤーの家に侵入できる」

「・・・・・最悪のパターンだな」

 

つまり、闇風でさえもデス・ガンのターゲットになっている可能性を否定できない、ってことだ。

 

「そ、そんな・・・!こんな恐ろしい犯罪者に大人数が加担してるかもしれないってこと?!」

「・・・『笑う棺桶』のSAO生還者は10人以上いる」

「もし、そいつらが全員・・・いや、半分でも参加していれば、大量殺人が可能ってわけか・・・!」

 

怒りのあまり、思わず爪が食い込むほど、手に力が籠ってしまった。

 

「・・・プレイヤーキラーって、言ったけど・・・」

「「うん・・・?」」

「その言葉、取り消すわ・・・このゲームでもPKやっている人は多いし、私もその手のスコードロンに入ってたけど・・・PKにはPKなりの矜持があるはず・・・

フルダイブ中の、意識のない人間を毒薬で殺すなんて・・・!そんなの、PKじゃない・・・ただの卑劣な犯罪・・・ただの人殺しだわ・・・!

・・・だとしたら、そんな奴らに負けられない!」

「ああ・・・これ以上、奴らに好き勝手にさせるわけにはいかない・・・!」

「奴らの中で、SAOが・・・レッドプレイヤーでいることが終われないって、いうのなら、俺たちが終わらせてやるしかない・・・!」

(シノンを守り、闇風を倒し・・・・・デス・ガンたちに勝つ・・・かなりの難問だけど・・・必ずやり遂げる!)

 

シノンの言葉にキリトと俺も力強く答えた。

その後、作戦の段取りを確認した。戦闘中に狙われるのを避けるため、闇風はシノンが狙撃することになり、俺とキリトはデス・ガンたちを倒すことに専念することになった。

 

「それじゃ・・・」

「うん・・・?ああ、なるほど」

「・・・武運を」

 

キリトが突き出した右手にシノンと俺も拳をぶつけ合わせ、覚悟を決めた。

 

「よし、行こう・・・!」

キリトの言葉に俺たちは行動を開始した。

 

 

 

キリトとは別の方角・・・北西地点・・・

崩壊した遺跡群が点在する中で、俺は息を殺していた。

先程のスキャンで、デス・ガンたちがキリトの位置を補足し、挟撃を考えていた場合、この方向から来ると網を張ったのだ。

もしも予想が外れた場合は、狙撃地点にいるシノンから合図が来る手はずになっている。

マシンガンを持つ右手に、思わず力が籠る。SAOの時のように、この戦いには人の命がかかっている・・・そう思うと、体が硬くなっていくのを感じた。

 

(すぅ・・・落ち着け・・・!

奴がどんな方法で攻撃してくるのかは、分からないが・・・シノンを守るためにも、俺が負けるわけにいかない・・・!

キリトだって、全力で過去と向き合おうとしてるんだ・・・!)

 

深呼吸し、息を整え、集中力を高め、目を瞑った。

 

(・・・そうだ・・・あのデス・ガンもどきの殺気・・・・・俺はどこかで感じたことがある・・・戦場?・・・違う、それ以外の場所で・・・あれは・・・?)

 

もう少しで何かを掴めそうになった時だった・・・

 

ズガン!!!!!!!!!!!

(っ・・・始まったか!?)

 

大きな音ともに、モニュメントの一部が崩れ落ちていくのは見えた。その後、シノンのヘカートの銃声音が聞こえてきた・・・どうやら向こうは作戦通りいってるらしい。そして・・・

 

「・・・・・来たか」

 

どうやら俺の方も釣れたらしい・・・デス・ガンもどきが堂々と姿を現し、こっちに歩いてきていた。俺も隠れていた場所から飛び出し、奴に対峙した。

 

「・・・悪いが、ここから先には行かせないぞ、デス・ガン」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

奴は黙ったままだったが、その不気味さは変わらないままだった。

 

「もう終わりだ。お前もあのデス・ガンも俺とキリトが倒す・・・お前達、『笑う棺桶』のゲームはこれで終わらせる・・・!」

「・・・フフ・・・・クククっ・・・・・アハハハハハハハ!!!!!」

 

ボイスエフェクトを使っているのか、やけに高い声で奴は笑い始めた。

 

「・・・何がおかしい!?」

「・・・なんだ・・・お前、俺が誰だか分かってないのか?」

「・・・元『笑う棺桶』のメンバーだろう!?」

「・・・・・はぁ・・・これやから、ガキは・・・自分の推測でしか、物事を言われへんのやからな」

(関西弁・・・?)

 

いきなり話し方が変わったのと同時に、その話し方に覚えがあった。

 

「まだ思い出さへんか?なら、この声ならどうや・・・!」

「っ!その声・・・!?まさか・・・お前は!?!?」

「・・・・・久しぶりやな・・・『夢幻の戦鬼』!!!」

「・・・・・キバオウ・・・!!」

 

それは・・・SAOで俺が嫌悪し、キリトをビーターに追いやった遠因の人物・・・元アインクラッド解放軍の筆頭、キバオウだった。

 

「どうしてあなたが・・・!?」

「・・・・・お前が全て、悪いんやんけ!」

「・・・俺・・・?」

 

キバオウは憎悪に染まった目で俺を睨み、呪詛を呟いた。

キバオウの言葉に俺は困惑するしかなかった。

 

「お前が・・・儂から全てを奪ったんや!

お前さえいなければ、軍も、権力も、富も・・・

全てを失うことはなかった!?お前が、儂をはめさえしなければ!?」

「っ!・・・まさか、あのことを言ってるのか・・・?!」

 

その言葉に俺は、SAOのあの事件を思い出した・・・

そうだ、あれはディアベルに相談を受けたことがきっかけだった。

 

 

 

あれは73層の攻略から少し経った頃、ある日、俺はディアベルに呼び出された。

誰にも話を聞かれることがないよう、人目を避けた場所での密会だった。

 

相談内容は・・・キバオウをなんとか軍から追い出したい、とのことだった。以前にも、『解放団』と『解放軍』を分離させた時にも、協力したのだが・・・

どうやら、最近のキバオウの行動は目に余るものがあるらしい。第1層の馴染みで仲介役であるディアベルがなんとか諫めているらしいのだが・・・限界らしい。

このままでは、攻略に関しても支障がでるかもしれない・・・それがディアベルの懸念だった。

 

そんな相談を受けている時だった。どうやって、情報を掻きつけたのかは分からなかったが、キバオウが乱入してきたのだ。ディアベルの裏切りを知り、彼を糾弾しにきたらしい。

更に、相談相手が嫌っている俺であることも関係し、キバオウは酷く激怒していた。

終いには、命で精算しろと、無茶苦茶な要求をディアベルにしてきたのだ。そして、その私怨からくる行動に俺の方が先に限界を迎えてしまった。

 

「それなら、俺が責任を取りますよ」

「・・・・・ほう?」

「・・・俺とあなたがデュエルで決着を着ける・・・もちろん全損決着で構いません」

「・・・ふん、どうせ勝つから、全損でも余裕ってわけかいな!!

そんな勝負、誰が「もちろんハンデはつけます」・・・なんやと?」

「・・・俺は防具なし・・・なんなら初期装備でも構いません。ソードスキルの使用も禁止・・・それならいかがですか?」

「・・・・・その条件、ホンマか?」

「ええ・・・・・それとも、こんなハンデでも、もしかして勝てないとお考えですか?」

「・・・・・・・・・・・ええやろう!なら、今すぐ、デュエルや!!!」

 

・・・そして、結果は・・・

 

俺の思惑通り・・・俺の圧勝で終わった。

 

確かに、俺は初期装備で、ソードスキルは禁止・・・追加の要望でオートヒーリングなどのバトルスキルも全てオフにした。

デュエル開始の時、奴は醜い笑みを浮かべていた。目障りの俺を消せることがそんなに嬉しいのかと、つい思ってしまう程だった。

 

・・・だが・・・勝負は一瞬だった。

 

簡単なことだ。俺は、使用が禁止されていなかった体術スキル〈弦月〉でキバオウの武器を蹴り飛ばしたのだ。奴の大振りに合わせて、持っていた両手剣を空中に蹴り飛ばし、そのまま武器を空中で掴む。

奴も何が起こったのか分からず、そのまま空中からの俺の両手剣の一撃を食らい、吹き飛んだ。

 

「・・・・・このまま続けますか?・・・HPがゼロになるまで」

 

吹き飛ばされ地面に激突し、HPがレッドになったキバオウの眉間に剣を突き付け問いかけた。

この一件と、74層ボス戦での軍の暴走の一件が重なり、キバオウは完全に失脚。

初期装備のプレイヤーにボロ負けしたと、評判もガタ落ちになり、姿を消したと言われていた。

 

 

 

「・・・そうや・・・!お前が、あんな卑怯な戦いを仕掛けたせいで、儂は全てを失ったんや!!!」

「・・・・・勝手な!もともと、貴方が招いた結果でしょう!」

 

完全な逆恨みだった・・・確かに、卑怯な策を使ったのは事実だが・・・遅かれ早かれ、キバオウは軍を追われていたはずだ。それを責任転嫁するのは、お門違いだ。

 

「・・・そんな時や・・・失意のどん底にいた儂に声を掛けてくれた方がいたんや・・・そのお方は、こう言ったや・・・『お前を追いやった奴らに復讐したくないか』ってな!!!」

「・・・まさか!?」

「そうや・・・『笑う棺桶』のボス、PoHや・・・あの方は色々と儂に教えてくれた・・・シンカーを閉じ込めたあの迷宮や、麻痺毒を使ったPKとかな・・・!!」

 

(合点がいった・・・!・・・SAOの時に『笑う棺桶』と付き合いがあったのか・・・!?)

 

「・・・それで?なんで、この事件に加担したんだ!?」

「・・・・・お前がこの大会に出場してたからや・・・」

「なに・・・!?」

 

その言葉に俺は思わず、固まった・・・俺が原因・・・?

 

「最初は、儂も現実世界の実行犯に廻るつもりやったんや・・・

だが、本選で『黒の剣士』とお前が出場することを教えてもらったんや・・・

あの「『赤眼のザザ』か・・・」なんや、あっちの方の正体には気がついとったんかいな・・・そうや、ならばお前は儂が殺さな、気が済まんと思ってな・・・あの街で一方的にお前をいたぶった時には、心がすっとしたがな・・・クハハハハハ!!!」

 

(・・・そうか・・・こいつも俺のせいで・・・)

そう考えると、この男との決着は尚更、俺がつけなければならない。

 

「・・・なら、あんたをここで止める!それが俺の責任だ・・・!」

 

マシンガンを構え、奴に突き付けた。

 

「・・・あの街でのこと、忘れたんか?」

「そっちこそ・・・光学迷彩も使わず、堂々と出てくるなんて・・・銃なら、俺に勝てるとでも思ったのか?」

「ククク・・・当たり前や!」

「・・・なら、やってみろよ!!!」

 

妙な自信が気になったが、俺は構わず、奴に突っ込んだ。

その時、奴は背後から何かを取り出した。

俺が引き金を引いた瞬間・・・それは姿を現した。

 

「な、何…!?」

「なんや・・・自分だけが盾を使うと思ったんかいな・・・?

まぁ、儂が使う盾は、お前が使ってる盾みたいな玩具やないがな!!!」

 

奴の前面を覆う様に、装甲版が展開され、俺のマシンガンは全て防がれてしまった。しかも、全ての弾丸が拉げてしまっており、逆に奴の盾は無傷のままだった。

 

「さぁ、今度はこっちの番や!」

 

奴の反撃に備え、俺は一度距離を取った・・・だが・・・!

 

「無駄や!無駄や!お前の位置は丸見えや!!!」

 

その言葉と共に、狂いなく予測線が俺を襲った。そのままグレネードが次々と放たれた。

なんとか回避するも、着弾と同時に爆風が襲うため、回避するのがやっとで反撃する暇がなかった。

 

(こっちを見てないのに・・・なんでこんなに正確に狙えるんだ!?)

 

猛攻の中、奴を見るも・・・奴は障壁から顔を全く出していない・・・なのに、奴はこちらに向けて、正確な射撃を繰り出していた。

 

(・・・まさか、砂の音を頼りに狙ってきてるのか?!それなら・・・!)

 

砂漠では、狙われ続けてしまう・・・そう考えた俺は、遺跡に身を隠すため、窓らしき部分から中に飛び込んだ。ここなら、時間を稼げる・・・そう思った時だった。

 

・・・予測線が再び俺を襲った。

(な、なんで・・・!?)

 

動揺してしまい、反応が一瞬遅れた。

なんとか後ろに飛ぶも、グレネードが目の前で爆発した。

 

「ぐぅぅ!?!?!・・・・がはぁ!?」

 

盾を構えて、なんとか最小限のダメージに減らすも大きく吹き飛ばされ、遺跡の壁に叩きつけられた・・・HPも残り6割になってしまっていた。

 

(し、しまった・・・マシンガンを落として・・・!?くっ、追撃が来る!)

 

落としたマシンガンを拾おうとするも、またしても予測線が飛んできたため、急ぎ、その場から離れた。2,3秒後にさっきいた場所に着弾し、マシンガンが爆発した。

 

「ゴホ!ゴホ!くそっ!?さっきの爆発で火が・・・!?どうする!どうする!?」

 

武器を一つ失い、敵の攻撃方法も不明・・・このままでは、本当になぶり殺しにされるのを待つだけだった。なんとか反撃の糸口を考えている時だった。

 

「どこに逃げても無駄や・・・どこや!?」

(・・・・・攻撃が止んだ?)

 

さっきまで雨の様に襲って来たグレネードが止んだ。キバオウもどうやら俺を見失ってしまったようで、叫んでいた。

 

(さっきまで、あんなに正確に攻撃してきたのに・・・そういえば、初めて襲撃された時も途中で攻撃が止んだ・・・・・どうして・・・?)

 

火と煙から逃れるように、遺跡内を移動しながら、考えを巡らせた。

 

(・・・そうだ。あの時も、攻撃が止んだ時には車が誘爆して・・・まさか!?)

 

街での襲撃を思い出し、俺の中である仮説が浮かんだ。

そして、崩れた部分から遺跡の屋根へと上がった。

そこには・・・

 

「・・・・・!やはりそうか・・・!」

 

煙が立ち昇る中、何もない空間・・・いや、何かによって、煙が不自然に分断されていた。そこに向かって、俺はショットガンを構え、引き金を引いた。

 

ガァン!!!

 

鈍い金属音が響き、何もない空間が一瞬歪んだ・・・そのまま、そこにある何かはふらつき・・・

 

「・・・落ちろ!」

 

装填し直したショットガンの引き金をもう一度引いた。そして、

 

ガァン・・・・・ドガァァァン!!!

 

再び金属音が響き、爆発が起きた。爆発の余波にマントで身を守る。

爆発から・・・小型偵察機の残骸がボロボロと落ちてきた。

 

「・・・・・やってくれたなぁ・・・!」

「悪いが・・・お前の魔法のような攻撃はもう通じない・・・光学迷彩を使った偵察機とはな・・・遮断物があっても見つけられるように、熱源センサーにしてたんだろうが・・・武器との相性を考えなかったのが、お前のミスだ!」

 

岩陰に隠れながら、キバオウに接近した時、奴の悔しそうな声が聞こえた。

その言葉に笑いながら、そう返した。

 

「・・・じゃが、この盾がある限り・・・お前は儂に攻撃できひんぞ!

近づけば、グレネードの餌食や!」

「そんな鉄の盾に隠れてないとビビッて何もできないなんて、

お前の言葉も虚勢にしか聞こえないけどな!」

「なんなら、試してみんかい!!」

「・・・そうさせてもらう!」

 

俺は岩陰から一気に飛び出し、奴へと全速力で走りだした。盾の隙間・・・ガンポートからランチャーを構え、銃撃を繰り出して来た。

それを予測線を頼りに回避しながら、ショットガンの射程距離に入ったところで引き金を引いた・・・が、

 

「っ・・・!くそっ!?」

 

ショットガンの弾でさえも、奴の盾は傷一つついていなかった。

 

「どうした、どうした!!そんなもんかいな!?」

「ぐっ・・このぉ!?」

 

ショットガンを装填し、ハンドガンを左手に持ち、乱射するも・・・

奴の盾はびくともすんともしなかった・・・逆に奴のグレネードは俺のHPを着実に削っていった。猛攻のため、奴に接近しているため、グレネードの着弾も先ほどよりも早く、完全に回避することができなくなっていたからだ。

終いには、ショットガンの弾も底を突き、一度、体勢を立て直すために、距離を取った。

 

「・・・・堅すぎだろ・・・!!傷一つつかないなんて!?」

「ガハハハハ!!!言ったはずや!この盾はお前の玩具とは違う!

この世界で最も固い素材でできてるや!・・・さぁ、かくれんぼはもう終わりにしようやないか!」

 

(・・・残りHPはあと4割、ハンドガンの残数は後2発・・・あとは・・・)

 

左腕に固定しているシールドを確認しながら、策を巡らせていた。

・・・この状況を逆転するには・・・一か八かの賭けになるが、これしかない。

ハンドガンを左手に持ち変え、俺は覚悟を決めた。

 

「・・・・・いくぞぉ!!!」

 

俺は自身が出せる全速力で、一気に奴に近づいた。

 

「死ねヤァァァ!!!」

 

グレネードが襲い掛かってくるが、最小限の被害で一気に駆け抜ける。

 

(まだだ・・・・・!)

 

爆風の中を駆け抜け、ハンドガンの射程距離に近づく。

 

(・・・まだだ・・・!!)

 

グレネードの余波で、HPが少しずつ減っていくなか、ハンドガンの残り弾全てを、唯一の穴・・・ガンポートに向かって、連射した。

 

・・・だが、弾は全て外れてしまった。

 

(・・・・・・まだだ!!!)

「・・・・・終わりィやァァァァァァ!!!!!」

 

その言葉と共に、キバオウはグレネードランチャーを大量に放ってきた。俺の周囲全てを予測線が襲った。

 

「・・・・・ここだぁ!!!!!」

 

それに合わせ、俺は大きく前へと飛んだ・・・左手に持っていたハンドガンを、右手

に持ったショットガンと共に後ろに投げ捨てる。

その直後、グレネードが着弾し、誘爆した銃の爆発と共に、爆風が俺を大きく前へと吹き飛ばした。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!」

 

そのまま、シールドの裏側に装備していた・・・とっておき・・・水色の光剣『フォトン・ソード』を右手に装備し、技を繰り出した。

 

 

あの世界で、何十回、何百回と放った技を・・・

片手剣重単発ソードスキル〈ヴォーパル・ストライク〉を、ガンポート目掛けて放った。

 

「がはぁ・・・・・!?」

(もっと・・・もっとだぁ!!!)

「・・・・・はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

 

ガンポートごと、キバオウの胸を貫いた光剣を、さらに深く差し込む。

脳の回路が焼き切れそうになりながらも、全力で光剣を押し込んだ。

そして・・・

 

ドガァァァン!!!!!

「くっ・・・!・・・・・ううう・・・・・!」

 

奴のHPがゼロになり、奴と共に貫いていたグレネードランチャーが誘爆し、

俺は大きく吹き飛ばされた。奴の方を見ると、自慢の盾も粉々になっており、体が飛散したキバオウが倒れていた。

 

「ハァ、ハァ、ハァ・・・・ハァ・・・ハァ・・・!」

「・・・・・まだ、や・・・!」

「っ・・・!?」

「・・・まだ、なんにも終わってない・・・・・!いつか、あのお方が・・・お前らを・・・!」

 

そう言って、奴は事切れた。

 

「・・・・・いいえ、少なくともあなたたちは終わりです・・・ここはSAOでもなければ、あなたはもうレッドプレイヤーの仲間でもない・・・ただの下らない犯罪者だ・・・あなたたちのゲームは・・・これで終わりだ・・・」

 

奴の捨て台詞に向かって、俺は奴に向かって、そう言い放ち、その場を後にした。

 

 

 

キリトがいる方向へと歩いて向かうと、ボロボロのキリトもこちらへと歩いてきているのが、見えてきた。

そして、シノンも狙撃ポイントからこちらへと歩いてきているのに気が付いた。

俺達はそのまま無言で近づき、それぞれ拳をぶつけあった。色々と話したいことはあったが、今はそれだけで十分だった。

 

「・・・終わったな」

「・・・うん」「そうだな・・・」

 

空を見上げながら、キリトの言葉に俺とシノンは満足そうにそう返した。

 

「そろそろ、大会の方も終わらせないとな・・・」

「・・・うん、そうだね」

「デス・ガンたちが倒れたことで、君を狙っていた共犯者も姿を消してるはずだ」

「(コクッ)」

 

キリトの警告にシノンは静かに頷いた。

 

「だから、ログアウトしても危険はないはずだけど・・・念のため、すぐに警察を呼んだほうがいい」

「でも、110番して、何て説明せればいいの?」

「・・・例えば、凶器を持った不審人物がうろついている、じゃ、不審がられるか。こうなったら、菊岡さんに頼んだ方がいいか」

「そうだな。俺たちの依頼主は一応、公務員だから・・・奴に動いてもらって・・・

あっ・・・でも、今ここで、君の住所を聞くわけには・・・」

「いいわ、教える・・・」

「「えっ・・・?」」

 

シノンの言葉に俺たちは思わず声が出てしまった。

俺たちを信用してくれて、とのことだろうか・・・

 

「いい、私の名前は朝田詩乃・・・住所は・・・・・」

 

そう言って、シノンは小声で個人情報を伝えてくれた。だが、その住所を聞いて、

 

「ちょっと待って・・・そこって・・・」

「驚いたな・・・俺達がダイブしている場所の近くだ」

「えっ!?そうなの・・・?」

 

まさかの事実に俺たちは驚く。こういうことって、あるだな・・・

 

「それなら、俺たちがそっちに行こうか?」

「えっ、来てくれ・・・ううん、大丈夫。近くに信用できる友達が住んでるから」

「そうか・・・それじゃ、俺たちはログインした後、依頼主に事の顛末を伝えるよ」

「警察にもすぐに動いてもらうから、安心してくれ」

「うん・・・分かった」

 

俺とキリトと言葉にシノンは安心したように頷いた。

 

「それはそうと・・・私にだけ、個人情報を開示させて、終わり・・・?」

「・・・悪い」

「・・・そうだった、ゴメン。俺の名前は桐ヶ谷和人」

「俺の名前は音弥蓮」

「桐ヶ谷和人・・・で、キリトね。確かに安易なネーミングだわ。フォンを見習いなさいよ・・・」

「き、君に言われたくないな・・・」

「あっ・・・フフフ」

「「フフフフフフフフフ」」

 

・・・あれ、デジャビュ・・・?SAOでも似たようなことが・・・

というか、俺を忘れて二人の世界になってます・・・?

 

「オホン!」

「「っ!?」」

「・・・大会を終わらせないと、ログアウトできないじゃないのか?」

 

ジト目で突っ込む俺の言葉に、キリトとシノンが我に返った。

 

「そ、そうだな・・・それじゃ、シノン。どうやって決着を着ける?

昨日みたいに決闘スタイルで・・・ああ、でもそうなると、フォンが不利か」

「・・・今更、バトルロワイヤルをやるわけにもいかないしな。どうすべきか・・・」

 

そういえば、デス・ガンを倒した後のことを考えてなかったな・・・どう決着を着けるべきか、キリトと俺が頭を悩ませていると・・・

 

「はぁ・・・あんたたち、全身ボロボロでしょ・・・そんな人たちに勝っても、全然自慢にならないわ」

「「ア、アハハハ・・・・・」」

 

シノンの指摘に、俺とキリトが苦笑いしながら、お互いの体を見渡した。

キリトはザザから受けた剣戟が全身にあり、俺はキバオウのグレネードランチャーによって、全身の所々が焦げており、露出している肌はすすで汚れてしまっていた。

 

「・・・決着は次のBoBまで預けておいてあげる」

「ア、アハハ・・・はぁ」

「・・・頑張れ、キリト」

「あなたもよ、フォン」

「あっ、やっぱり・・・?」

 

・・・残念、どうやら俺もシノンのターゲットといて、ロックオンされてしまったようだ。俺もキリトと同じく、思わず肩を落とすのだった。

 

「さぁ、それじゃ、そろそろ終わらせようか・・・?」

「うん・・・?でも、どうやって?」

「BoBは誰か一人が生き残るまで、終了しないんじゃないのか?」

 

シノンの提案にキリトと俺は思わず疑問が口から出た。

 

「第一回BoBは、2人同時優勝だったんだって。

理由は、優勝するはずだった人が、おみやげグレネードに引っかかったから」

「「おみやげグレネード・・・?」」

 

シノンの言葉に物凄く嫌な予感がした・・・キリトはそうとは気づかず、シノンから手渡されたそれを素直に受け取ってしまった。そう、おみやげグレネードを・・・

シノンはグレネードのスイッチをためらいもなく押した。

 

「えっ・・・?あっ、あああ!えっと、ああぁ!?そのぉ・・・!?」

「キ、キリト!?早く捨て・・・!?」

「フフッ・・・わーい!!!」

 

グレネードに気付いたキリトは混乱のあまり、お手玉のようにグレネードの処理に困っていた。すぐさま、キリトに捨てるように助言しようとしたのだが、いたずらが成功したような笑みでシノンがキリトと俺に抱き着いてきたのだ・・・それによってグレネードを捨てることができなくなり・・・

 

「ひぃ・・・・・・・」「アハハハハ・・・・・」

「フフン!!」

 

・・・爆発に巻き込まれ、俺たちは綺麗に吹っ飛んだ・・・意識が無くなるまでの間に視界に映ったのは・・・

『第三回 バレット・オブ・バレッツ WINNER Sinon Kirito Phone』の文字だった。

 




最後の光剣で決めるシーンは、どうしても入れたいと思っていた所になります。
そのために、オリ主には銃を全て捨てさせました。
銃好きの方、誠に申し訳ありません。
最後は剣士として、過去に終止符を打ったフォンを表したかった結果、こうなりました。

次回で、GGO編は最終話となります。

次回更新 19日0時投稿予定
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