ソードアート・オンライン~夢幻の戦鬼~   作:wing//

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フォンとスリーピングナイツとの顔合わせです。
ここら辺は、ほぼアニメと同じです。

後半、本編に関わるもう一つのテーマに関するお話が入ります。

それでは、どうぞ!


第2話 「眠り続ける騎士達」

「うん、ここならいいかな!」

「ぜぇ・・・ぜぇ・・・」

「あー・・・ゴメンね」

「・・・ぜぇ・・・だ、大丈夫・・・本当なら、いきなりは止めてほしかったけど・・・」

「ゴ、ゴメン・・・!」

 

俺達が決闘した小島から少し離れた別の小島・・・マングローブのような小さな木が生い茂った場所・・・そこにやっと着陸できたのだが、俺の状態に思わず、ユウキが謝った。流石にやってしまったと思ったのか、ちょっと慌てていた。

 

「ふぅ・・・それで?いきなり連れ出して、一体どういうことなんだ?」

「う、うん・・・ねぇ、フォン。ボクたちに力を貸してくれないかな?」

「・・・・どういうことなんだ?」

 

ユウキの言葉が分からず、思わず眉を顰めてしまった。

彼女の表情から只ならぬことだということは伝わるのだが・・・

 

「ボクたちと一緒に戦ってほしいんだ!ボクたち・・・スリーピングナイツと!」

「スーリピング・・・ナイツ・・・?」

「うん・・・ボクたちスリーピングナイツと一緒にボスモンスターを倒してほしいんだ」

「ボスモンスターって、もしかしてアインクラッドの階層ボスのことか?」

「そう・・・それを、ボクたちとフォンだけで倒したいんだ!」

「・・・えっ?それは無理が・・・・・

もしかして、第一層の剣士の碑に刻まれる、1パーティ攻略のアワードか?」

「・・・うん・・・かなり無謀な挑戦だっていうのも分かってる。

・・・けど、どうしてもやり遂げたいんだ・・・!」

 

ユウキの言葉からその思いがにじみ出ていた。

だからこそだった・・・俺は思ったことをそのまま聞いてしまった。

 

「でも、どうしてそこまで?こんな決闘みたいなことをして、協力者を探してまで、やらないといけないことなのか?」

「・・・・・ボクたち、スリーピングナイツはとあるネットゲームで知り合ったメンバーで結成したギルドなんだ。

・・・でも、今のメンバーで活動できるのも、そう長くないんだ・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「だから!・・・できる内に、解散する前に、記念になる何かを作ろうって・・・

そう決めたんだ・・・!」

「・・・・・理由は分かった」

「っ!本当?・・・なら!!」

「・・・ああ。けど、俺よりも適任者がいるぞ、ユウキ」

「え・・・?」

「もちろん、最終的にはユウキに決めてもらいたいし、その人が駄目なら俺が協力するけど・・・きっとユウキも気に入ってくれると思うぞ?

彼女は、かつて『攻略の鬼』と呼ばれてたからな」

「攻略の・・・鬼・・・?」

「ああ。今は『バーサクヒーラー』なんて呼ばれてるけどな」

 

不思議そうに首を掲げるユウキに俺は笑みを浮かべながら、そう答えた。

 

 

 

ひとまず助っ人の話は、アスナを紹介するまで保留ということになったのだが、

どうしてもユウキがギルドメンバーを紹介したいとのことだったので、俺は彼女たちがホームとしている27層の宿屋に向かうことになった。

 

「さて、それじゃ紹介するね、フォン。ボクのギルド、スリーピングナイツの仲間たち!」

 

宿屋に着くと、もう既に席に着いていたプレイヤーたちをユウキが紹介してくれた。

どうやら彼らがスリーピングナイツのメンバーのようだ。

 

「僕はジュン。フォンさん、よろしく!」

「私はタルケンって、名前です。よろしくお願いします」

「あたしはノリ。フォンさん、ユウキを倒した腕前、後で見せてくれないかな?」

「まぁまぁ・・・初めまして、私はシウネーです」

「テッチって言います。どうぞよろしく」

「よろしく。ユウキから簡単に聞いてるかもしれませんが、改めて・・・フォンって言います。

ユウキとは・・・色々あって、知り合いみたいなものです。色々な呼ばれ方をされていますが、まぁ、好きな呼び方で呼んでもらって大丈夫ですので。よろしく」

 

メンバーの自己紹介が終わり、俺も簡単に自己紹介をした。みんな、良い人そうだ。

 

「それにしても、まさかユウキを倒すなんてね・・・」

「ええ。私たちの中でも最強のユウキと同じか、それ以上の人をと考えていましたが・・・本当にユウキを倒してしまう人がいるなんて・・・」

「ちょ、ちょっと!シウネー・・・!」

「・・・ああ。それであんな勝負を・・・」

 

ノリさんとシウネーさんの言葉にユウキが赤面していた。まぁ、深くは言うまい・・・

 

そのまま、話は俺のことや彼女たちがこれまでプレイしてきたゲームをし、場は盛り上がった・・・流石に俺がSAO帰還者であることは伏せたが。

 

「そういえば・・・ユウキ」

「うん?なに・・・?」

「キリト・・・俺の前に戦った黒づくめのプレイヤーはどうして誘わなかったんだ?あいつだって、かなりの腕前だったろ?」

 

俺は気になったことをユウキに尋ねていた。さっきの条件であれば、キリトもあてはまるのではないかと思ったのだ。

 

「あ、うん・・・・・・・・・・やっぱりあの人はだめだよ」

「・・・えっ?」

「あの人は・・・ボクの秘密に気付いちゃったから・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

寂しそうな表情をしたユウキの意外な言葉に俺は思わず言葉を失ってしまった。

そもそも秘密って、何のことだ?キリトが言っていた言葉と何か関係があるのか?

 

「・・・そうだ!そういえば、さっき、フォンが使ってたスキルなんだけどさ?」

 

話を強引に切り替えたユウキに、俺もそれ以上は聞こうとせず、ユウキの話に答えたのだった。

 

 

 

「それじゃ、今度はその人を連れてくるから」

「うん!それまで、ボクも他にいい人がいないか、探してみるよ」

 

アスナを連れてくる約束をし、俺はユウキ達と別れた。

広場に移動しながら、メッセージを確認すると、キリトたちから鬼のように来ていた。

 

それに苦笑いしながら、俺は各自に問題ないと返事を返し、キリトにだけは

『また今度、事情を説明する』

とだけ返した。そのまま、現在仮ホームとしている宿に向かい、ログアウトした。

 

 

 

「・・・・・んん!」

 

現実世界に戻ってきた俺は、ベッドから体を起こし、背伸びをした。寝る前に水を飲もうと思い、冷蔵庫に向かおうとした時だった。スマホが光っていた。

 

内容を確認すると・・・

父さんからの着信履歴があった。留守電メッセージも残っており、俺はそれを再生した。

 

『ああ、蓮か。仕事で近くにまで来ていたので、お前のところに寄ろうかと思ってな・・・

もし何もなければだが・・・連絡をくれ』

 

慌てて、もう一度履歴を見ると、どうやら1時間前にかかってきていたようだ。俺は急ぎ、父さんに電話をかけ直した。数コールの内に父さんは電話に出た。

 

『もしもし』

「も、もしもし。父さん、蓮だけど・・・」

『・・・ああ。メッセージを聞いてくれたのか』

「う、うん。ごめん、遅くなって・・・まだ近くにいるの?」

『ああ。ちょうど駅に向かっていたところでな』

「そ、そっか・・・・・もし良かったら、うちに来る?」

『・・・・・そうだな。それじゃ、すぐに向かう』

「うん」

 

父さんの言葉に俺はそう答えた。駅からここまで大体5分ぐらいだ。俺は慌てて、父さんを出迎える準備を始めた。そして、2,3分経った頃だった。

 

ピーンポーン

 

「・・・いらっしゃい」

「ああ・・・悪いな、急に・・・」

「ううん・・・とりあえず上がって」

「ああ」

 

ともかく家に上がってもらおうと思い、俺は父さんを促した。

お茶を出し、俺と父さんはテーブルを挟んで座った、のだが・・・・・

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

俺と父さんは何も話さずにだんまりだった。どうして、こうなっているのか・・・

別に父さんと仲が悪いとか、喧嘩しているとか・・・そういう訳ではない・・・

確かに父さんは家でもそこまで話すタイプではないのだが、それが原因でもない・・・

原因は・・・俺にある・・・

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

・・・元の世界と瓜二つ、性格や仕事も一緒・・・それでも、こっちの世界に来た俺にとって、父さんや母さんがどうしても他人だと感じてしまうところがあったのだ。

 

頭では分かっているのだが・・・何を話せばいいのか、良く分からなくなってしまうのだ。

 

「・・・蓮」

「な、何・・・?」

「学校はどうだ?」

「楽しいよ。元々、知り合いもいたし」

「・・・今もVRMMOはよくやっているのか?」

「う、うん・・・」

「やりすぎて、勉学に支障が出ないようにな」

「うん・・・父さんも、仕事順調そうだね」

「ああ・・・まぁ、忙しすぎることに困ることはないだろう」

「・・・そっか」

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

そして、俺が父さんと話しにくい理由は・・・父さんの考えが良く分からないことだった。

再び、沈黙が支配した。俺は父さんの表情を伺ったのだが、その表情は変わらないままだった。

 

「・・・そろそろ帰るとするよ。お前が元気にしているのかを確認しにきたようなものだったからな」

「あっ・・・それじゃ、駅まで・・・」

「大丈夫だ・・・もう遅いしな。戸締りはしっかりとしておけよ」

「あっ・・・」

 

俺の提案を断り、父さんはすぐに出て行ってしまった。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

取り残された俺は、何も言えずにその場で立ち尽くしかなかったのだった。

 

 

 

次回 SAO~夢幻の戦鬼~

 

「気持ちよさそうに寝てるよな」

 

「アスナ、もう少しよ!頑張って!」

「アスナ、行くぞ!」「決めるぞ!」

 

「あるプレイヤーの二つ名だよ。絶対無敵の剣」

 

「キリトは俺にこう言ったんだ。絶剣はVR世界の申し子だ、って・・・」

「直接、絶剣さんに聞くしかないわね・・・その絶剣って人のことも気になるし・・・」

 

『追憶の22層戦』

・・・戦わなければ、生き残れない!

 

 




ALO編でも、触れていたフォンと父母との距離・・・・

本編では、このお話にも触れていきます。
まぁ、当分はオリジナル準拠ですが・・・(笑) 

次回更新 27日 0時予定

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