ソードアート・オンライン~夢幻の戦鬼~   作:wing//

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初めて投稿して、やっと使い方をなんとなく理解した作者(笑)

蓮・・・原作キャラと出会う+自身のアバター名を知る


第2話 「迷い込んだ異界者」

「……本当に……SAOなのか?」

俺は背中に背負った……おそらく初期装備である……剣を確かめながら、フィールドに出ようとしていた。とりあえず、外に出て、本当にここがSAOなのか、確かめたかったのだ。少し歩くと、何かの集団が見えた。

 

「もしかして、ボアか……?」

 

たしか、本ではクラインが苦戦していた、ス〇イム相応のモンスターだったか?

(……やって、みるか!)

俺は剣を抜いた。俺の動きに気付いたのか、一匹のボアがこちらに突進してきた。

 

「……って、ソードスキルのやり方が分からん!?」

 

剣を抜いたのはいいが、ソードスキルの起動モーションが分からず、俺は慌ててしまう。しかし、ボアはそんなことはお構いなしに突進を止めてくれなかった。

 

「っ!危なかった……!」

 

俺は足さばきによる最小限の動きで、ボアの突進を躱した。どうやら現実の動きは十二分に再現できるようだ。俺がそんなことを考えていると、

 

「っ……また来るか、なら!」

 

ボアが再び、突進を仕掛けて来たので、俺は動かずカウンターを狙った。

 

「そこだ!」

 

俺はボアの突進が直撃する前に、先ほどと同様に足さばきで突進を避け、すれ違いざまに剣で体を切り裂いた。

 

「はぁぁ!」

 

そして、そのまま剣を振り切り、後ろからボアを斬りつけた。それでHPがゼロになったようで、ボアは消滅した。

 

「……本当に、ゲームの中なのか?」

 

ポリゴンとなったボアを見ながら、俺はこの世界が本当にゲームの世界であることを実感した。ということは……

 

(それじゃ、このゲームは、原作通りデスゲームだということなのか……?)

 

一番最悪の可能性を考えていた俺に誰かが声をかけてきた。

 

「おーい、お前さん、さっきの動き、凄かったな!」

「えっ?あ、ああ……ありがとう」

 

バンダナを巻いた、若い男が話しかけてきた。後ろにはもう一人男がいた。

 

「お前さんもベータテスターなのか?」

「べ、ベータテスター……?」

「ありゃ、違うのか……?」

「クライン、それ以上聞くのは、マナー違反だぞ……」

 

俺がバンダナ男の質問に戸惑っていると、後ろの男性が制止してくれた。

……待て……今、なんて言った?

 

「あ、ああ。そうだな、キリト……悪いな、俺、このゲーム初心者なもんでな」

「い、いや、気にしてないでくれ……」

 

俺はなんとか平常心を保ちながら、バンダナ男、もといクラインにそう返した。

(ク、クラインにキリトって……SAOの主要人物かよ……!?)

出会った人物によって、俺はこの世界がSAOである証明がどんどんされていることに頭が痛くなっていた。

 

「それにしても、あれがモンスターか……キリト、早速レクチャーを頼んでいいか?」

「ああ……よければ、君も一緒にやらないか?」

「えっ?……い、いいんですか?」

 

原作ではコミュ症だったキリトからまさかこんな誘いを受けるとは……

しかし、SAOのことを何も知らない俺にとっては嬉しい誘いだった。

 

「……それじゃあ、お言葉に甘えて、お願いします。俺は……ええっと、フォンって言います」

 

「フォンか……よろしくな!それじゃ、まずソードスキルについてだけど……」

 

俺はHPの欄にある自分のキャラネームを見た。〈Phone〉とあったので、そう名乗った。その後、俺とクラインはキリトからレクチャーを受けた。

SAOのようなゲームが初めてであったクラインはボアに苦戦していたが、俺は先ほどの戦闘と現実で学んでいる剣道の腕もあり、すぐに戦闘のコツを掴んでいた。

 

「いや~、ここが仮想世界だなんて信じられないよな……!」

夕焼けを見ながら、クラインが感想を呟いていた。しかし、俺はそのセリフに不安を抱いていた。

(もし、ここが本当にSAOの世界なら……)

そうだ、もしこの世界があの本の通りなら、このあとは……

俺が考えていた通り、クラインとキリトがログアウトボタンがないことに気付いた。俺も一応、右手でメニューを開き、確認するがそこにログアウトボタンはなかった。そして、俺たちは何かの光に包まれた。

気が付くと、俺たちは広場に来ていた。今のが、転移というやつなのだろうか。

どうやら他のプレイヤー達も転移させられたようだ。

 

「おい、キリト、フォン、大丈夫か……?」

「あ、ああ……だけど、これは……?」

 

クラインとキリトは安否を確認していたが、俺は空を見つめていた。転移が行われたということは、次は……

そして、空が真っ赤に染まり、二つの文字が表示された。

(あれは……〈Warning〉〈System Announcement〉か?)

どうやら、他のプレイヤーも異常に気付き、それぞれ声を上げている。

そして、空から何かが形どるように出現した。それは中身がない赤いフードを来た人型の何かだった。

 

『プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ』

 

そのセリフに、俺はこれが茅場晶彦の声だと分かった。まさしく原作通りのセリフだった。

茅場の説明は、本と同じだった。このSAOがデスゲームであること、HPがゼロになれば、ナーブギアで脳が破壊されること、そして、ゲームをクリアするためにはこの浮遊城アインクラッドを攻略すること……だが、俺が知りたいことはそんなことではなかった。

(俺は……どうすれば元の世界に戻れる……!?)

俺がそんなことを考えながら、フードの化け物をにらみつけている横で、キリトとクラインが本にあったセリフを述べている。

そして、フードの化け物は最後に手鏡というアイテムを送り付けてきた。すると、またしても俺は光に包まれた。

 

「うわぁ!」

 

そして、光が静まると、そこには……

「おい、大丈夫か、キリト、フォン?」

「あ、ああ……ってお前、誰……?」

「いや、おめぇこそ誰だよ……?」

 

そこには、本の表紙に描かれていたキリトがいた。もう一人はバンダナをしているということは彼がクラインだろうか……?

 

「お前がクラインか!?」「お前がキリトか!?」

 

(……本当に原作通りなんだな……)

俺は不思議とそんなことを考えていた。

 

「って、フォンはまったく変わってないな……」

「自分の顔をそのままアバターにしてたのか、変わってるな……」

「ま、まぁな……」

 

落ち着いた二人は俺のアバターに全く変化がないことに気付いた。俺も手鏡で確認したが、俺のアバターはどうやら現実世界のままだったらしい。

そして、茅場は再び話し始めた。世界を創った理由、目的を……

 

『以上で〈ソードアート・オンライン〉正式サービスチュートリアルを終了する。プレイヤー諸君の────健闘を祈る』

 

そして、全てを言い終えたのか、ローブの化け物は姿を消した。そして、広場は一気にパニックとなった。そんな中、俺とクラインはキリトに引っ張られ、路地へと入った。

 

「二人ともよく聞いてくれ。この世界で生き残るには自分を強化しなくちゃいけない。だけど、この辺りの狩猟場はすぐに狩り尽されてしまうだろう。

だから、俺は次の村に拠点を移そうかと考えてる。もしよかったら、二人とも俺と来ないか。俺なら危険なルートは全部わかるし、今のレベルでも安全に村に辿りつける……一緒に来ないか?」

 

キリトからそう誘いがきた。しかし、

 

「でも、でもよ。レクチャーの前にも言ったが、俺、他のゲームで一緒だった奴らと、徹夜で並んでソフトを買ったんだ。そ、そいつらも多分ログインしてて、さっきの広場にいるはずなんだ……置いては、いけねぇ」

 

そうだ、クラインは仲間思いなのだ。しかし、キリトには、その仲間全員を連れていける余裕はないのだ。

 

「いや、俺たちのことは気にするな。お前にこれ以上、世話になるわけにはいかないしな。

それにこのゲームやる前は、ギルドの頭をやってたんだ。大丈夫だ、今まで教わったテクで何とかしてみせらぁ!それに、もしかしたら、すぐにログアウトできるかもしれないしな……」

「……クライン……」

 

クラインの言葉にキリトは悔しそうに呟いた。

 

「……フォン、お前はどうするんだ?キリトに付いていくのか?それとも、残るのか?」

「俺は……俺は、キリトに付いていこうと思う」

「フォン……」

 

クラインに尋ねられ、俺はキリトに付いていくことにした。今は、少しでも力をつけたい。

どうしてこの世界に来たのか、どうすれば戻れるのか……その答えを探すためにも、今は生き延びることが先決だった。

 

「そうか……なら、ここでお別れだ。キリト、フォン……次、会った時には強くなった姿を見せてやるからな!」

「ああ……何かあったら、メッセージを飛ばしてくれ……また、どこかで」

「……先に行って、待ってるからな……クライン……!」

クラインの言葉にキリトと俺はそれぞれ分かれを告げた。そして、クラインは広場に、俺たちも町を出るために駆け出した。

「キリト、お前、意外にかわいい顔してやがんな!結構好みだぜ!フォンもイケメンだぜ!」

 

クラインの叫び声が聞こえ、俺たちは振り返りながら、叫び返した。

 

「お前も、その野武士ヅラの方が十倍似合ってるぜ!」

「ありがとうな!誉め言葉として、受け取っておく!」

 

そして、俺たちは再び駆け出した。俺はキリトの状態が気にかかり、声を掛けた。

 

「……後悔しているか?」

「…………当たり前だろう」

「クラインは強い……きっと大丈夫だ」

「………………行こう」

 

俺の言葉にキリトは頭を振るい、言葉を返してきた。原作を知っているからこそ言えることなのだが、少しはキリトの罪悪感を和らげただろうか……?

俺たちは次の村を目指し、全速力でかけるのだった。

 


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